特許第6572719号(P6572719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572719
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】導光体、面光源装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20190902BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20190902BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20190902BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20190902BHJP
【FI】
   F21S2/00 434
   F21S2/00 435
   F21V8/00 350
   G02B6/00 331
   F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-201696(P2015-201696)
(22)【出願日】2015年10月13日
(65)【公開番号】特開2017-76460(P2017-76460A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 博之
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−150832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 8/00
G02B 6/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の基材の片側端部に設けられた光入射端面と、
前記基材の主表面に、前記光入射端面に対して略直交し、互いに対向して設けられた光
出射面及び裏面とを有する基材を含む、エッジライト方式の面光源装置用の導光体であっ
て、
前記基材が光拡散剤を含有する透明樹脂組成物からなり、
前記光出射面及び前記裏面から選ばれる少なくとも1つの面の少なくとも一部の領域に
光出射機構を有し、下記の測定方法1で測定した前記基材の照度均斉度が80%以上であ
り、
前記導光体は、前記導光体の透明樹脂組成物から光拡散剤を除いた樹脂組成物を用いて
得られた導光体より、下記の測定方法2で測定した面内平均照度が10%以上高い、
ことを特徴とする、面光源装置用の導光体。
<測定方法1>
導光体の対向する2つの光出射端面に、LED光源を隣接するように配置する。導光体
の光出射面上の、片側の光入射端面の中心部と、他方片側の光入射端面の中心部とを結ん
だ線上の複数の個所における照度を、照度計を用いて測定し、照度の最低値を照度の最高
値で割った値を照度均斉度とした。
<測定方法2>
導光体の対向する2つの光出射端面に、LED光源を隣接するように配置する。導光体
の光出射面上の、片側の光入射端面の中心部と、他方片側の光入射端面の中心部とを結ん
だ線上の複数の個所における照度を、照度計を用いて測定し、照度の平均値を面内平均照
度とした。
【請求項2】
板状の基材の片側端部に設けられた光入射端面と、
前記基材の主表面に、前記光入射端面に対して略直交し、互いに対向して設けられた光
出射面及び裏面とを有する基材を含む、面光源装置用の導光体であって、
前記基材が酸化チタンを含有する透明樹脂組成物からなり、
前記光出射面及び前記裏面から選ばれる少なくとも1つの面の少なくとも一部の領域に
光出射機構を有し、
前記透明樹脂100質量部中の酸化チタン含有量をY質量部、前記基材の光入射端面か
ら対向する光出射端面までの距離をXmmとしたとき、Y/Xが下式(1)を満たすこと
を特徴とする、面光源装置用の導光体。
0.00000005≦Y/X≦0.00000025 (1)
【請求項3】
請求項1又はに記載の導光体の少なくとも1つの光入射端面に隣接してLEDが配置
された、面光源装置。
【請求項4】
前記LEDが前記導光体の対向する2つの光入射端面に隣接して配置された、請求項
に記載の面光源装置。
【請求項5】
請求項又はに記載の面光源装置を用いた照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は面光源装置用の導光体、面光源装置及び照明装置に関し、さらに詳しくは、照度が高く、且つ光出射面における照度の均斉度の高い導光体、その導光体を使用した面光源装置及びその面光源装置を使用した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDは、低消費電力で高寿命光源であることから照明装置に使用されている。LEDを用いた照明装置としては、例えば、LEDから出た光を拡散板により拡散させてLED光の出射方向を照らす直下型照明と、LEDを一次光源として矩形板状の導光体光入射端面にLED光を入射させて導光体内部へと導入し、導光体の2つの主表面のうちの一方である光出射面から出射させる導光板型照明装置が挙げられる。
【0003】
導光板型照明装置において導光体の光出射面から出射した光は、例えば、光出射面上に配置される光拡散板等の光拡散素子により所要の方向へ拡散される。導光体の2つの主表面のうちの光出射面に対向する裏面からも光は出射し、この光を導光体へと戻すために、裏面に対向して光反射シート等の光反射素子が配置される。
【0004】
上述のような導光体を製造する際、例えば、導光体の材料である透明樹脂の成形体の表面には導光体内を導光される光を適宜出射させるための光出射機構が形成される。
【0005】
光出射機構としては、例えば、適度に荒らされた粗面又は多数のレンズ列を配列したレンズ列形成面のような微小凹凸構造が用いられる。
【0006】
微小凹凸構造を形成する方法としては、ブラスト処理又はエッチング処理等により形成した形状転写面を有する成形用型部材を使用した成形装置を用いてアクリル樹脂等の透光性素材に形状を転写する方法が知られている(特許文献1及び特許文献2)。
【0007】
また、上記以外にも光出射機構として、導光体の光出射面にレーザー光を照射して発泡表面層を有する凹部を形成させたものが開示されている(特許文献3)。
【0008】
また、高輝度で面内輝度均一性に優れた導光体を得る方法として、メタクリル樹脂中に特定の平均粒径を有する無機微粒子を特定量含有させた導光体が開示されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2005/073,625号公報
【特許文献2】特開2009−266,830号公報
【特許文献3】国際公開第2011/115,124号公報
【特許文献4】特開2004−351,649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、光源のLED化及び薄型化が要求される面光源装置又は照明において使用できる、平均照度が高く、且つ光出射面における照度の均斉度の高い導光体は得られていない。
【0011】
本発明の目的は、照度が高く、且つ光出射面における照度の均斉度の高い導光体、その導光体を使用した面光源装置及びその面光源装置を使用した照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題は、以下の発明[1]〜[4]によって解決される。
【0013】
[1]板状の基材の片側端部に設けられた光入射端面と、基材の主表面に光入射端面に対
して略直交し、互いに対向して設けられた光出射面及び裏面とを有する基材を含む、エッ
ジライト方式の面光源装置用の導光体であって、基材が光拡散剤を含有する透明樹脂組成
物からなり、光出射面及び裏面から選ばれる少なくとも1つの面の少なくとも一部の領域
に光出射機構を有し、基材の照度均斉度が80%以上であり、前記導光体は、導光体の透
明樹脂組成物から光拡散剤を除いた樹脂組成物を用いて得られた導光体より、面内平均照
度が10%以上高い、面光源装置用の導光体。
【0015】
[2]板状の基材の片側端部に設けられた光入射端面と、基材の主表面に、前記光入射端
面に対して略直交し、互いに対向して設けられた光出射面及び裏面とを有する基材を含む
、面光源装置用の導光体であって、基材が酸化チタンを含有する透明樹脂組成物からなり
、光出射面及び裏面から選ばれる少なくとも1つの面の少なくとも一部の領域に光出射機
構を有し、透明樹脂100質量部中の酸化チタン含有量をY質量部、前記基材の光入射端
面から対向する光出射端面までの距離をXmmとしたとき、Y/Xが下式(1)を満たす
面光源装置用の導光体。
0.00000005≦Y/X≦0.00000025 (1)
【0016】
[3]前記導光体の少なくとも1つの光入射端面に隣接してLEDが配置された、面光源
装置。
[4]前記LEDは、導光体の対向する2つの光入射端面に隣接して配置しても良い。
【0017】
[5]前記面光源装置を用いた照明装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明の導光体を用いた照明は均斉度を高く保つことができ、且つ高照度を得ることが可能であることから、LEDを使用した薄型の面光源装置や照明装置に用いられる導光体として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のエッジライト方式の面光源装置の一実施形態を示す模式的構成図である。
図2図1の面光源装置に使用される導光体の裏面において、光出射機構の一実施形態を示すレーザー加工形状の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの態様のみに限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明のエッジライト方式の面光源装置の一実施形態を示す模式的構成図である。面光源装置は、導光体1、点状の一次光源としてのLED3a及び3b、光拡散素子4及び光反射素子5を備えている。導光体1は、基材15の光出射面14及び裏面13の少なくとも1つの面の少なくとも一部の領域に光出射機構2を備えている。
【0022】
<基材>
基材15は、光拡散剤を含有する透明樹脂組成物からなる板状の基材であって、LEDの光を導光体1に入射するために基材15の片側端部に設けられた少なくとも1つの入射端面A11と、前記光入射端面A11に対して略直交し、且つ互いに対向して設けられた光出射面14及び裏面13を有する。
【0023】
前記基材15の光出射面14及び裏面13の少なくとも1つの面の少なくとも一部の領域には光出射機構2が形成されている。
【0024】
基材15は、後述する光拡散剤を含有する透明樹脂組成物を成形して得られるものである。
【0025】
<透明樹脂組成物>
透明樹脂組成物は透明樹脂及び光拡散剤を含有する。
【0026】
<透明樹脂>
透明樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂及び塩化ビニル系樹脂が挙げられ。これらの中で、光透過率の高さ、耐熱性、力学的特性及び成形加工性に優れる点で、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
【0027】
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル酸メチル単位を50質量%以上含有する樹脂が挙げられ、光透過率の高さ、耐熱性、力学的特性及び成形加工性のバランスの観点から、メタクリル酸メチル単位を80重量%以上含有するものが好ましい。
【0028】
<光拡散剤>
光拡散剤とは、透明樹脂等の透明媒体に添加して用いられる、光拡散機能を有する光拡散物質のことで、例えば、透明樹脂と屈折率の異なる有機系微粒子や無機系微粒子が挙げられる。光拡散剤としては、具体的には、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機系微粒子や、シリコーンビーズ、ポリメチルメタクリレート樹脂ビーズ、メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂ビーズ、ポリスチレンビーズ等の有機系微粒子が挙げられる。
【0029】
光拡散剤としては、透明樹脂と光拡散剤との屈折率の差が大きいほど光拡散効果が大きいことから、酸化チタンが好ましい。
【0030】
光拡散剤の形状としては、例えば、真球状、球状、鱗片状及び不定形状が挙げられる。光拡散剤の平均粒子径は、0.1μm以上50μm以下が好ましい。光拡散剤の平均粒子径が0.1μm以上で、光散乱の波長依存性が小さくなる傾向にある。また、光拡散剤の平均粒子径が50μm以下で、散乱光によるギラツキ及び輝度ムラの発生が抑制される傾向にある。
【0031】
本発明において、前記導光体1の厚みの上限は、面光源の軽量化の点で6mm以下が好ましく、4mm以下がより好ましい。LED光源3a、3bから出射された光を効率よく導光体1の内部に入射させる点で、導光体1の厚みの下限は1.5mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。
【0032】
<光入射端面>
本発明においては、基材1の4つの端面のうち少なくとも1面を光入射端面とすることができ、目的に応じて光入射端面を1〜4面とすることができる。図1においては、光入射端面が2面の場合を示し、基材15の片側の端部に光入射端面A11が設けられ、基材15の他方片側部の端部に、光入射端面A11に対向して光入射端面B12が設けられている。
【0033】
<光出射面>
本発明においては、光出射面14は基材1の光入射端面に略直交する主表面の1つである。図1においては導光体1の上面が基材1の光出射面である。
【0034】
<裏面>
本発明においては、裏面13は基材の光入射端面に略直交する主表面の1つで、光出射面14の反対側の主表面である。図1においては導光体1の下面が基材の裏面である。
【0035】
<光出射機構>
本発明において、光出射機構2は、光出射面14及び裏面13から選ばれるの少なくとも一つの面の少なくとも一部の領域に設けられており、光入射端面から入射された光を、光出射面14から出射させるための機能を有する。
【0036】
光出射機構2の形状としては、例えば、凸形状及び凹形状が挙げられる。図1においては導光体1の下面(裏面13)の一部の領域に、凸形状の光出射機構2が形成されている。勿論、導光体1の上面(光出射面14)の一部の領域に、凸形状の光出射機構が形成することもできる。
【0037】
図2は、導光体1の裏面13に形成された光出射機構2を示す模式図である。光出射機構2は、裏面13に設けられた複数の溝6からなり、溝長さ7、溝間隔8、溝間ピッチ9、溝太さ10及び図示されていない溝深さ等の形状やパターンを制御することにより、後述する照度均斉度が80%以上の照度を有する導光板を得ることができ、さらに後述する面内平均照度が10%以上の高い照度を有する導光板を得ることができる。
【0038】
凸形状の光出射機構の形成方法としては、例えば、印刷法が挙げられる。また、凹形状の光出射機構の形成方法としては、例えば、エンボス加工やレーザー加工により導光体の表面に複数の凹部を所望のパターンとなるように形成する方法が挙げられる。
【0039】
本発明においては、光出射機構2の形状やパターンは特に限定されるものではなく、目的に応じて公知の光出射機構を形成することができるが、光出射面から出射される光の均斉度を良好とするため、グラデーションを有するパターンが形成された光出射機構を形成することが好ましい。
【0040】
グラデーションを有するパターンとしては、例えば、光入射端面から遠ざかるに従って、線状の光出射機構間のピッチが狭くなるように、光出射機構が形成されているパターンが挙げられる。例えば図1においては、線状の光出射機構間のピッチは、左側のLED3aに隣接する光入射端面A11と右側のLED3bに隣接する光入射端面B12との中間部において最小値を持ち、中間部から左右のLEDに向かって次第に拡幅されている。このようなパターンとすることにより、LED3a及び3bから光が出射される領域までの距離が大きくなるにつれて、光が出射される領域の光出射面14からの光の出射率が高められ、光出射面14の各領域からの出射光量をより均一化することができる。
【0041】
基材15の表面に光出射機構を形成する方法としては、例えば、基材の表面に所望の表面構造を有する型部材を用いて熱プレスする方法、基材の表面にスクリーン印刷等の印刷法で光出射機構を形成する方法、押出成形、射出成形等の成形によって基材を得ると同時に光出射機構の形状を付与する方法、基材の表面に熱硬化性組成物又は光硬化性組成物等の硬化性組成物を塗布、硬化させて光出射機構を形成する方法が挙げられる。
【0042】
上記の方法以外に、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリメタクリルイミド系樹脂等の透明シート上に熱硬化性組成物又は光硬化性組成物等の硬化性組成物を塗布、硬化させて光出射機構を形成した積層シートを基材の表面に積層させる方法や、基材の表面にレーザー照射加工により凹部を形成させて基材の表面に光出射機構を形成する方法が挙げられる。
【0043】
透明樹脂がキャスト製法で作られたメタクリル酸メチルを主成分とする樹脂の場合、レーザー加工により発泡部が形成され、より拡散性の高い光出射機構を得ることができるため、導光体の光出射機構の形成方法としては、レーザー加工が好ましい。
【0044】
<導光体>
本発明の導光体1は、例えば図1に示すように、エッジライト方式の面光源装置に使用することができる。
【0045】
本発明の導光体1は、基材15の光出射面14及び裏面13から選ばれる少なくとも1つの面の少なくとも一部の領域に、光出射機構2が形成されたものである。
【0046】
本発明の導光体1は、光入射端面からLED光を入射した場合に光出射面14から出射されるLED光の照度均斉度が80%以上となることを特徴とする。光出射面14から出射するLED光の照度均斉度を80%以上とすることにより、導光板を面光源として照明に用いた際の光出射面14内の見た目の明るさの斑を小さくすることができ、照明としての美観を向上することができる。
【0047】
本発明の導光体1は、光拡散剤を含有する透明樹脂組成物を使用して成形された基材を用いたものである。
【0048】
本発明の導光体1は、透明樹脂組成物から光拡散剤を除いた樹脂組成物を使用して成形された樹脂材料を用いた場合よりも面内平均照度が10%以上高い照度を有するものである。光拡散剤を含有しない樹脂組成物を使用して成形された樹脂材料を用いた場合よりも面内平均照度が10%以上高い照度を有することにより、導光板を面光源として照明に用いた際に、発光効率のよい照明を得ることができる。
【0049】
本発明の導光体1としては、例えば、酸化チタンを含有する板状の基材であって、該基材の光出射面14及び裏面13から選ばれる少なくとも1つの面の少なくとも一部の領域に光出射機構2を有し、基材100質量部中に含まれる酸化チタンの含有量をY質量部、基材の展開長をXmmとしたときに、下式(1)を満たす導光体が挙げられる。
0.00000005≦Y/X≦0.00000025 (1)
【0050】
Y/Xが0.00000005以上の場合、拡散剤による光拡散効果が十分に得られ、照度の高い面光源を得ることができる。また、Y/Xが0.00000025以下の場合、拡散剤の光拡散効果が強過ぎず、導光体1の光入射端面11、12の近傍の光出射面14から出射する光の量が多くなりすぎず、また導光体内部を進むに従って光出射面14から導光体1の外に出射する光の量が減ることを抑制できるため、光出射機構2により光出射面14から出る光量を調整することが容易であり、光出射面14から出射される光の均斉度を良好とすることができる。
【0051】
さらに、導光体1が前記光出射機構2を備える場合、基材中に含まれる酸化チタンの含有量が式(1)を満たすことにより、酸化チタンが奏する光拡散剤の効果と、光出射機構2が奏する光出射面14の各領域からの出射光量をより均一化する効果と相まって、導光板の照度均斉度や面内平均照度を所望の値に制御することが可能となる。
【0052】
<面光源装置>
本発明の面光源装置は、導光体1の少なくとも1つの光入射端面に隣接してLEDが配置されたものである。光出射面14における照度の均斉度の点で、導光体1の対向する2つの光入射端面11、12のそれぞれに隣接してLEDが配置されたものが好ましい。
【0053】
本発明の面光源装置としては、例えば、図1に示される態様が挙げられる。面光源装置は、導光体1、点状の一次光源としてのLED3a及び3b、光拡散素子4及び光反射素子5を備えている。
【0054】
<光拡散素子>
光拡散素子4は導光体から出た光を所望の方向に拡散させるために使用されるもので、例えば、図1に示すように、導光体1の光出射面14上に配置される。
【0055】
光拡散素子としては、例えば、光拡散フィルムが挙げられる。本発明においては、光出射面14から出射される光の指向性が所望の出射角度や視野角を持つ場合は、光拡散素子4を省略してもよい。
【0056】
<光反射素子>
光反射素子5は光出射面の反対面に抜ける光を再度導光板に戻し、光出射面からの光出射を促すために使用されるもので、例えば、図1に示すように、導光体1の裏面の下に配置される。
【0057】
光反射素子5としては、例えば、表面に金属蒸着反射層を有するプラスチックシート(光反射シート)が挙げられ、金属蒸着反射層の面が導光体1の裏面と対向するように配置される。本発明においては、導光体の裏面から出射される光の量が無視し得る程度に少ない場合は、光反射素子5を省略してもよい。
【0058】
本発明においては、光反射素子を導光体の裏面以外に、目的に応じて導光体の光入射端面として利用される端面以外の端面にも配置することができる。
【0059】
<照明装置>
本発明の照明装置は、本発明の面光源装置が使用されているものである。
【実施例】
【0060】
以下に本発明を、実施例を用いて説明する。尚、導光体の照度均斉度及び面内平均照度は以下の方法により評価した。また、以下において、「部」は「質量部」を示す。
【0061】
(照度均斉度及び面内平均照度)
縦595mm×横595mm×厚み10mmの板状の基材の上部平面の中央部の560mm×560mmの領域を光出射面とし、前記上部平面に対向する下部平面に光出射機構を形成し、これを導光体とした。LED光源(5mm表面実装型)40個が9mm間隔で並べられたLEDエッジライトを、前記導光体の対向する2つの光出射端面にそれぞれが隣接するように配置した。前記導光体の光出射端面にアクリライトL#432−2mm、裏面に粘着剤付きリフレクターフィルム((株)ツジデン製、商品名:MTN−W400)を設置し、2辺入光タイプの照明装置を得た。次いで、LEDエッジライトが配置されていない導光体の2つの端面の全面に粘着剤付きリフレクターフィルム((株)ツジデン製、商品名:MTN−W400)を貼付した。
【0062】
上記の照明装置の光出射面の片側の光入射端面の中心部と、他方片側の光入射端面の中心部とを結んだ線上に、20mmピッチで計28個所設けた測定点において、照度計(コニカミノルタ(株)製、商品名:T−1)を用いて照度を測定した。測定に際しては、端子側面からの入射光の影響を避けるために、黒色アクリル板(厚み3mm)を端子形状にくりぬいたカバーを端子側面に設置した。
【0063】
照度均斉度は、28個所における照度の測定値において、照度の最低値を照度の最高値で割った値とした。
【0064】
面内平均照度は、28個所における照度の測定値の平均値とした。
【0065】
[実施例1]
(導光体の作製)
ポリメタクリル酸メチル20質量%及びメタクリル酸メチル80質量%を含有する単量体溶液(以下、「シラップ」という)100部に、平均粒子径0.255μmの酸化チタン0.00006部を分散させ、分散シラップを得た。
【0066】
次いで、前記分散シラップ100部に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.03部及び紫外線吸収剤として2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール0.005部を添加し、30分間攪拌して重合性原料シラップを作製した。
【0067】
2枚の強化ガラス板(縦700mm、横700mm及び厚さ6mm)を、強化ガラス板の周辺部にポリ塩化ビニル製の無端チューブを介して、対向させて配置して得られた鋳型の中に前記重合性原料シラップを注入し、板厚3mmになるように所定の間隔に調整後、70℃の温水中に浸漬して2時間重合させ、次いで130℃の空気浴にて1時間重合させて縦650mm、横650mm及び厚さ3mmのアクリル樹脂板を得た。
【0068】
得られたアクリル樹脂板を573mm×573mmの大きさにパネルソー(シンクス(株)製、商品名:SZIVG−4000)で切断し、4つの端面を研削研磨機(宏邦産業(株)製、商品名:CGS−1600)にて鏡面研磨加工して基材を得た。
【0069】
基材の主表面の1つの面にレーザー加工機(LTS.Co.Ltd.製、商品名:EMMLS−001)を用いて加工速度3,000m/分でレーザー加工を実施し、図2に示すパターンで、表2に示す溝間ピッチを有する複数の溝6(溝長さ7:1.5mm、溝間隔8:1.5mm、溝太さ10:100μm)が導光体入光端面11と平行に並んだ光出射機構を形成し、導光体を得た。得られた導光体について照度均斉度及び面内平均照度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
[実施例2、3]
基材中の酸化チタンの含有量、導光体の加工速度及び溝間ピッチを表1に記載した条件とした以外は、実施例1と同様の方法で導光体を作製した。得られた導光体について照度均斉度及び面内平均照度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0072】
[比較例1、2及び参考例1]
基材中の酸化チタンの含有量、導光体の加工速度及び溝間ピッチを表1に記載した条件とした以外は、実施例1と同様の方法で導光体を作製した。得られた導光体について照度均斉度及び面内平均照度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0073】
比較例1では光拡散剤(酸化チタン)の含有量が高いため、LED光の照度均斉度が低く、光源のLED化及び薄型化が要求される面光源装置又は照明装置には不適であることがわかる。
【0074】
また、比較例2では光拡散剤(酸化チタン)の含有量が低いため、光拡散剤を含有しない樹脂組成物から得られた基材を用いた導光体(参考例1)に対する面内平均照度の上昇率が10%未満と低いレベルであることから、光源のLED化及び薄型化が要求される面光源装置又は照明装置には不適であることがわかる。
【符号の説明】
【0075】
1:導光体
2:光出射機構
3a、3b:LED
4:光拡散素子
5:光反射素子
6:溝
7:溝長さ
8:溝間隔
9:溝間ピッチ
10:溝太さ
11:光入射端面A
12:光入射端面B
13:裏面
14:光出射面
15:基材
図1
図2