(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
酸化セリウム粒子と、カルボン酸基および/またはカルボン酸の塩を有する水溶性有機高分子と、分子中に3級アミノ基および/またはオキシアルキレン鎖を有する水溶性ポリアミドと、水を含有し、pHが7以下であり、前記水溶性ポリアミドは、アミノエチルピペラジンおよび/または変性ポリアルキレングリコールと、ラクタムから得られる共重合体である、ことを特徴とする研磨剤。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の高集積化や高機能化に伴い、半導体素子の微細化および高密度化のための微細加工技術の開発が進められている。従来から、半導体集積回路装置(以下、半導体デバイスともいう。)の製造においては、層表面の凹凸(段差)がリソグラフィの焦点深度を越えて十分な解像度が得られなくなる、などの問題を防ぐため、化学的機械的研磨法(Chemical Mechanical Polishing:以下、CMPという。)を用いて、層間絶縁膜や埋め込み配線等を平坦化することが行われている。素子の高精細化や微細化の要求が厳しくなるにしたがって、CMPによる高平坦化の重要性はますます増大している。
【0003】
また近年、半導体デバイスの製造において、半導体素子のより高度な微細化を進めるために、素子分離幅の小さいシャロートレンチによる分離法(Shallow Trench Isolation:以下、STIという。)が導入されている。
【0004】
STIは、シリコン基板にトレンチ(溝)を形成し、トレンチ内に絶縁膜を埋め込むことで、電気的に絶縁された素子領域を形成する手法である。STIにおいては、まず、
図1(a)に示すように、シリコン基板1の素子領域を窒化ケイ素膜2等でマスクした後、シリコン基板1にトレンチ3を形成し、トレンチ3を埋めるように二酸化ケイ素膜4等の絶縁膜を堆積する。次いで、CMPによって、凹部であるトレンチ3内の二酸化ケイ素膜4を残しながら、凸部である窒化ケイ素膜2上の二酸化ケイ素膜4を研磨して除去する。こうして、
図1(b)に示すように、トレンチ3内に二酸化ケイ素膜4が埋め込まれた素子分離構造が得られる。
【0005】
このようなSTIにおけるCMPでは、凹部であるトレンチ3内の二酸化ケイ素膜4の上面が、凸部である窒化ケイ素膜2の上面と面一になることが望ましい。そして、そのような二酸化ケイ素膜4の上面と窒化ケイ素膜2の上面との面一の程度を、平坦性と定義した場合、研磨前の窒化ケイ素膜2の上面から、研磨後の凹部の二酸化ケイ素膜4の上面までの厚さ(または高さ)方向に沿った距離(以下、単に「距離」という。)を、前記した平坦性を表す指標とすることができる。前記した距離が短いほど、凹部の二酸化ケイ素膜4の上面と窒化ケイ素膜2の上面とが、面一に近く、ほぼ同じ高さの面上に並ぶことになり、平坦性が良好である。
【0006】
近年のCMP技術では、前記した平坦性の良さ(高さ)だけでなく、二酸化ケイ素膜に対する高い研磨速度がコスト面から要求されており、高い研磨速度と高い平坦性の両立が求められている。
【0007】
そのような観点から、研磨剤の研磨特性を改善する方法が提案されている。特許文献1には、層間絶縁膜、STI用絶縁膜等を平坦化するためのCMP研磨剤であって、酸化セリウム粒子、分散剤、重量平均分子量500以上20,000以下のポリカルボン酸、第1解離可能酸性基のpKa値が3.2以下である強酸(硫酸)および水を含有してなり、pHが4.0以上7.5以下の研磨剤が開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に示された研磨剤では、研磨により得られる基材の平坦性は良好であるが、二酸化ケイ素膜に対する研磨速度が十分に高いとはいえなかった。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施の形態も本発明の範疇に属し得る。
【0021】
<研磨剤>
本発明の研磨剤は、酸化セリウム粒子と、カルボン酸基および/またはカルボン酸の塩を有する水溶性有機高分子と、分子中に3級アミノ基および/またはオキシアルキレン鎖を有する水溶性ポリアミドと、水を含有し、pHが7以下であることを特徴とする。
【0022】
本発明の研磨剤を、例えば、酸化ケイ素からなる面を含む被研磨面のCMPに使用した場合、十分に高い平坦性を維持しながら、酸化ケイ素膜に対する高い研磨速度を実現することができる。
【0023】
本発明の研磨剤がこのように優れた研磨特性を発揮する機構については、明らかではないが、カルボン酸基および/またはカルボン酸の塩を有する水溶性有機高分子と、分子中に3級アミノ基および/またはオキシアルキレン鎖を有する水溶性ポリアミドとを含むことに起因するものと考えられる。すなわち、研磨剤に含有される、カルボン酸基および/またはカルボン酸の塩を有する水溶性有機高分子と、分子中に3級アミノ基および/またはオキシアルキレン鎖を有する水溶性ポリアミドが、pH7以下の領域で、それぞれの分子の末端基を介して、酸化セリウム粒子の表面および酸化ケイ素膜を含む被研磨面に静電的に吸着されることに依るものと考えられる。そして、このような水溶性有機高分子および水溶性ポリアミドの、酸化セリウム粒子表面への吸着の効果と、酸化ケイ素膜を含む被研磨面への吸着の効果が、最適化される結果、研磨液中での酸化セリウム粒子の分散性が損なわれることなく、酸化ケイ素膜に対する高い研磨速度と、高い平坦性の両方が得られるものと考えられる。
【0024】
以下、本発明の研磨剤に含有される各成分、および液のpHについて説明する。
【0025】
(酸化セリウム粒子)
本発明の研磨剤に含有される酸化セリウム粒子は、研磨砥粒としての機能を有するものである。酸化セリウム粒子の種類は特に限定されないが、例えば、特開平11−12561号公報や特開2001−35818号公報に記載された方法で製造された酸化セリウム粒子を使用できる。すなわち、硝酸セリウム(IV)アンモニウム水溶液にアルカリを加えて水酸化セリウムゲルを作製し、これをろ過、洗浄、焼成して得られた酸化セリウム粒子、または高純度の炭酸セリウムを粉砕後焼成し、さらに粉砕、分級して得られた酸化セリウム粒子を使用できる。また、特表2010−505735号に記載されているように、液中でセリウム(III)塩を化学的に酸化して得られた酸化セリウム粒子も使用できる。
【0026】
酸化セリウム粒子の平均粒子径は、0.01μm以上0.5μm以下が好ましく、0.03μm以上0.3μm以下がより好ましい。平均粒子径が0.5μmを超えると、被研磨面にスクラッチ等の研磨キズが発生するおそれがある。また、平均粒子径が0.01μm未満であると、研磨速度が低下するおそれがあるばかりでなく、単位体積あたりの表面積の割合が大きいため、表面状態の影響を受けやすく、pHや添加剤の濃度等の条件によっては酸化セリウム粒子が凝集しやすくなる。
【0027】
なお、酸化セリウム粒子は、液中において一次粒子が凝集した凝集粒子(二次粒子)として存在しているので、前記した酸化セリウム粒子の好ましい平均粒子径は、平均二次粒子径で表すものとする。すなわち、酸化セリウム粒子は、平均二次粒子径が0.01μm以上0.5μm以下が好ましく、0.03μm以上0.3μm以下がより好ましい。
平均二次粒子径は、純水などの分散媒中に分散した分散液を用いて、レーザー回折・散乱式などの粒度分布計を使用して測定される。
【0028】
酸化セリウム粒子の含有量(含有割合または濃度)は、研磨剤の全量に対して0.05質量%以上2.0質量%以下が好ましい。特に好ましい含有量は、0.15質量%以上0.5質量%以下である。酸化セリウム粒子の含有量が0.05質量%以上2.0質量%以下の場合には、酸化ケイ素膜に対して十分に高い研磨速度が得られる。また、研磨剤の粘度も高すぎることがなく、取扱い性が良好である。
【0029】
酸化セリウム粒子は、事前に媒体に分散した状態のものを使用してもよい。このとき、媒体としては水が好ましい。
【0030】
(水)
本発明の研磨剤には、酸化セリウム粒子を分散させ、かつ後述する水溶性有機高分子および水溶性ポリアミドを溶解させる媒体として、水が含有される。水の種類については特に限定されないものの、水溶性有機高分子や水溶性ポリアミドへの影響、不純物の混入の防止、pH等への影響を考慮して、純水、超純水、イオン交換水等を用いることが好ましい。
【0031】
(水溶性有機高分子)
本発明の研磨剤に含有される水溶性有機高分子は、カルボン酸基とカルボン酸の塩の少なくとも一方を有するポリマーである。カルボン酸基および/またはカルボン酸の塩を有する水溶性有機高分子として、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等のカルボン酸基を有するモノマーの単独重合体や、当該重合体のカルボン酸基の部分がアンモニウム塩等の塩となっている単独重合体が挙げられる。また、カルボン酸基を有するモノマーと、カルボン酸の塩を有するモノマーとの共重合体や、カルボン酸基を有するモノマーと、カルボン酸の塩を有するモノマーと、カルボン酸のアルキルエステル等の誘導体との共重合体も好ましく用いられる。
【0032】
特に、アクリル酸基またはその塩の基を有するポリマーが好ましい。具体的には、ポリアクリル酸、またはポリアクリル酸のカルボン酸基の少なくとも一部がカルボン酸アンモニウム塩に置換されたポリマー(以下、ポリアクリル酸アンモニウムと称する。)等が挙げられる。本発明の研磨剤がpH調整剤として無機酸を含有する場合には、研磨剤のpHを7以下の範囲に調整するために、特にポリアクリル酸アンモニウムが好ましい。
【0033】
カルボン酸基および/またはカルボン酸の塩を有する水溶性有機高分子の分子量は、1000〜50000の範囲が好ましく、特に2000〜30000の範囲が好ましい。また、水溶性有機高分子の含有量(含有割合または濃度)は、研磨剤の全量に対して0.01質量%以上0.5質量%以下が好ましい。水溶性有機高分子の含有割合が0.01質量%以上0.5質量%以下の場合には、パターン基板の研磨における平坦性が良好であり、かつ酸化ケイ素膜に対して十分な研磨速度が得られる。
【0034】
(水溶性ポリアミド)
本発明の研磨剤に含有される水溶性ポリアミドは、分子中に3級アミノ基および/またはオキシアルキレン鎖を有し、水溶性を有するポリアミドである。
【0035】
本発明の水溶性ポリアミドにおいて、分子中に存在する3級アミノ基および/またはオキシアルキレン鎖により水溶性が付与されている。3級アミノ基は、ポリアミドの主鎖に導入されていてもよいが、側鎖に結合されていてもよく、主鎖と側鎖の両方に結合されていてもよい。また、オキシアルキレン鎖は、ポリアミドの主鎖に導入されていることが好ましい。
【0036】
ポリアミドの主鎖に3級アミノ基を導入するモノマー化合物としては、アミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン等が挙げられる。ポリアミドの側鎖に3級アミノ基を導入するモノマー化合物としては、α−ジメチルアミノ−ε−カプロラクタム等が挙げられる。以下、ポリアミドの主鎖または側鎖に3級アミノ基を導入するモノマー化合物を、アミノ基導入モノマーという。
【0037】
ポリアミドの主鎖にオキシエチレン鎖を導入するモノマー化合物としては、ポリアルキレングリコールの両末端が、ジアミンやジカルボン酸に変性された変性ポリアルキレングリコールが挙げられる。そして、ジアミンに変性されたものとしては、ビスアミノプロピルポリエチレングリコールが挙げられる。ジカルボン酸に変性されたものとしては、ビスカルボキシポリエチレングリコールが挙げられる。
【0038】
両末端がジアミンに変性された変性ポリアルキレングリコールが使用される場合は、それと実質的に当モルのジカルボン酸が使用されることが好ましい。ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。両末端がジカルボン酸に変性された変性ポリアルキレングリコールが使用される場合は、それと実質的に当モルのジアミンが使用されることが好ましい。ジアミンの例としては、ヘキサメチレンジアミン、メチルペンタジアミン、ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン、p−アミノシクロヘキシルメタン等の脂環族ジアミン、メタキシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
【0039】
前記アミノ基導入モノマーおよび前記変性ポリアルキレングリコールを単独で重合して、または共重合して水溶性ポリアミドが得られるが、さらにラクタム類を加えた共重合により得られる水溶性ポリアミドが好ましい。すなわち、前記アミノ基導入モノマーと前記変性ポリアルキレングリコールの少なくとも一方と、ラクタム類とを共重合させることにより得られる水溶性ポリアミドが好ましく、前記アミノ基導入モノマーと前記変性ポリアルキレングリコールとラクタム類とを共重合させることにより得られる水溶性ポリアミドがより好ましい。
【0040】
前記ラクタム類としては、ε−カプロラクタム、プロピオンラクタム、ヘプタンラクタム、カプリルラクタム、ウンデカンラクタム、ラウリルラクタム等が挙げられる。
水溶性ポリアミドは、アミノエチルピペラジンおよび/または変性ポリアルキレングリコールと、ラクタムから得られる共重合体であることが好ましい。
水溶性ポリアミドの市販品としては、例えば、東レ株式会社製の水溶性ナイロン(商品名「AQナイロン」)等が挙げられる。
【0041】
水溶性ポリアミドの含有量(含有割合または濃度)は、研磨剤の全量に対して0.00005質量%以上0.01質量%以下が好ましい。水溶性ポリアミドの含有割合は、0.0001質量%以上0.005質量%以下がより好ましく、0.0005質量%以上0.005質量%以下が特に好ましい。水溶性ポリアミドの含有割合が0.00005質量%以上0.01質量%以下の場合には、酸化ケイ素膜に対して十分に高い研磨速度が得られ、かつパターン基板の研磨における平坦性も良好である。
【0042】
(pH)
本発明の研磨剤のpHは、7以下であることが好ましい。研磨剤のpHが7以下の場合には、酸化ケイ素膜に対する研磨速度の向上、および平坦性の向上の効果が十分に得られ、かつ砥粒である酸化セリウム粒子の分散安定性も良好である。研磨剤のpHは、4以上6.5以下がより好ましく、4.5以上6以下がさらに好ましい。
【0043】
本発明の研磨剤には、pHを7以下の所定の値にするために、pH調整剤として、種々の無機酸または無機酸塩を含有してもよい。無機酸または無機酸塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、およびそれらのアンモニウム塩もしくはカリウム塩等を用いることができる。また、本発明の研磨剤には、pH調整剤として、種々の塩基性化合物を添加してもよい。塩基性化合物は水溶性であることが好ましいが、特に限定されない。塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドやテトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウムヒドロキシド、モノエタノールアミン、エチレンジアミン等の有機アミンなどを用いることができる。
【0044】
本発明の研磨剤には、上記成分以外に、分散剤を含有させることができる。分散剤とは、酸化セリウム粒子を純水等の分散媒中に安定的に分散させるために含有させるものである。分散剤としては、陰イオン性、陽イオン性、ノニオン性、両性の界面活性剤や、陰イオン性、陽イオン性、ノニオン性、両性の高分子化合物が挙げられ、これらの1種または2種以上を含有させることができる。また、本発明の研磨剤には、潤滑剤、粘性付与剤または粘度調節剤、防腐剤等を必要に応じて適宜含有させることができる。
【0045】
本発明の研磨剤は、保管や輸送の利便性のため、酸化セリウム粒子の分散液(以下、分散液αともいう。)と、カルボン酸基および/またはカルボン酸の塩を有する水溶性有機高分子と水溶性ポリアミドを水に溶解させた水溶液(以下、水溶液βともいう。)の2液として別々に準備し、使用時に混合してもよい。なお、この水溶液βが、以下に示す研磨用添加液である。
【0046】
<研磨用添加液>
本発明の研磨用添加液は、酸化セリウム粒子の分散液(前記した分散液α)と混合して研磨剤を調製するための添加液であって、カルボン酸基および/またはカルボン酸の塩を有する水溶性有機高分子と、水溶性ポリアミドと、水を含有し、pHが7以下であることを特徴とする。研磨剤の調製において、この研磨用添加液を用いることで、研磨剤の保管や輸送の利便性を向上させることができる。
【0047】
本発明の研磨用添加液において、含有されるカルボン酸基および/またはカルボン酸の塩を有する水溶性有機高分子、水溶性ポリアミド、水の各成分、および液のpHについては、前記研磨剤に含有される各成分および液のpHについて記載したものと同様である。
【0048】
本発明の研磨用添加液において、カルボン酸基および/またはカルボン酸の塩を有する水溶性有機高分子の含有割合(濃度)は、特に限定されないが、添加液の取り扱いのし易さや、酸化セリウム粒子の分散液との混合のし易さの観点から、添加液の全量に対して0.002質量%以上50質量%以下が好ましい。
【0049】
本発明の研磨用添加液において、水溶性ポリアミドの含有割合(濃度)は、特に限定されないが、添加液の取り扱いのし易さや、酸化セリウム粒子の分散液との混合のし易さの観点から、添加液の全量に対して0.0001質量%以上60質量%以下が好ましい。
【0050】
本発明の研磨用添加液のpHは7以下であることが好ましい。研磨用添加液のpHが7以下の場合には、酸化セリウム粒子の分散液と混合することで、酸化ケイ素膜の研磨速度の向上、およびパターン基板の研磨における平坦性の向上等の効果が十分に得られ、かつ砥粒である酸化セリウム粒子の分散安定性も良好な研磨剤が得られる。研磨用添加液のpHは、4以上6.5以下がより好ましく、4.5以上6以下が特に好ましい。
【0051】
このような研磨用添加液と混合される酸化セリウム粒子の分散液において、液中の酸化セリウム粒子の含有割合(濃度)は、酸化セリウム粒子の分散性および分散液の取り扱いのし易さ等の観点から、0.2質量%以上40質量%以下が好ましい。1質量%以上20質量%以下がより好ましく、5質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
【0052】
本発明の研磨用添加液を、酸化セリウム粒子の分散液と混合することで、酸化ケイ素膜に対する十分に高い平坦性を維持しながら、研磨速度が向上された、前記研磨剤を実現することができる。なお、研磨用添加液と酸化セリウム粒子の分散液との混合においては、研磨用添加液を酸化セリウム粒子の分散液に添加して混合してもよいし、研磨用添加液に酸化セリウム粒子の分散液を添加して混合してもよい。
【0053】
研磨用添加液と酸化セリウム粒子の分散液との混合比率は、特に限定されず、混合後の研磨剤において、水溶性有機高分子および水溶性ポリアミドの含有割合(濃度)が、研磨剤の全量に対して、それぞれ0.01質量%以上0.5質量%以下および0.00005質量%以上0.01質量%以下となればよい。研磨用添加液および酸化セリウム粒子の分散液の混合のし易さの観点からは、研磨用添加液:酸化セリウム粒子の分散液=130:1〜1:130の質量比率で混合することが好ましい。
【0054】
なお、酸化セリウム粒子の分散液(分散液α)と本発明の研磨用添加液(水溶液β)との2液に分け、これらを混合して研磨剤を調製する場合は、分散液αにおける酸化セリウム粒子の含有割合(濃度)、および研磨用添加液(水溶液β)における水溶性有機高分子と水溶性ポリアミドの各濃度を、研磨剤として使用される際の2倍〜100倍の濃度に濃縮して調製し、濃縮された両液を混合した後、研磨剤としての使用時に希釈して所定の濃度にすることができる。より具体的には、例えば、分散液αにおける酸化セリウム粒子の濃度と、研磨用添加液における水溶性有機高分子および水溶性ポリアミドの各濃度を、いずれも10倍にして調製した場合、分散液αを10質量部、研磨用添加液を10質量部、水を80質量部の割合で混合し、10倍に希釈して研磨剤とすることができる。
【0055】
<研磨剤の調製方法>
本発明の研磨剤を調製するには、純水やイオン交換水等の水に前記酸化セリウム粒子を分散させた分散液に、カルボン酸基および/またはカルボン酸の塩を有する水溶性有機高分子および水溶性ポリアミドを加えて混合する方法などが用いられる。混合後、撹拌機等を用いて所定時間撹拌することで、均一な研磨剤が得られる。また、混合後、超音波分散機を用いることで、より良好な分散状態を得ることもできる。
【0056】
本発明の研磨剤は、必ずしも予め構成成分をすべて混合したものとして、研磨の場に供給する必要はない。研磨剤は、研磨の場に供給される際に、研磨成分が混合されて所望の組成になっても良い。
【0057】
本発明の研磨剤は、保管や輸送の利便性のため、酸化セリウム粒子の分散液(分散液α)と、前記した研磨用添加液(水溶液β)の2液として別々に準備し、使用時に混合してもよい。分散液αと水溶液βとの2液に分け、これらを混合して研磨剤を調製する場合は、前記したように、水溶液βにおける水溶性有機高分子や水溶性ポリアミドの濃度を、研磨剤使用時の例えば10倍程度に濃縮しておき、混合後所定の濃度になるように水で希釈してから使用しても良い。
【0058】
<研磨方法>
本発明の実施形態の研磨方法は、前記した研磨剤を供給しながら研磨対象物の被研磨面と研磨パッドとを接触させ、両者の相対運動により研磨を行う方法である。ここで、研磨が行われる被研磨面は、例えば、半導体基板の二酸化ケイ素からなる面を含む表面である。半導体基板としては、前記したSTI用の基板が好ましい例として挙げられる。本発明の研磨方法は、半導体デバイスの製造において、多層配線間の層間絶縁膜の平坦化のための研磨にも有効である。
【0059】
STI用基板における二酸化ケイ素膜としては、テトラエトキシシラン(TEOS)を原料にしてプラズマCVD法で成膜された、いわゆるPE−TEOS膜が挙げられる。また、二酸化ケイ素膜として、高密度プラズマCVD法で成膜された、いわゆるHDP膜も挙げることができる。窒化ケイ素膜としては、シランまたはジクロロシランとアンモニアを原料として、低圧CVD法やプラズマCVD法で成膜したものが挙げられる。
【0060】
本発明の研磨剤を使用し前記した方法で研磨を行うことにより、平坦性を向上できる。平坦性の評価は、例えば、STI用のパターンウェハを用いて行う。STI用のパターンの研磨は、窒化ケイ素膜が露出した時点で停止することが望ましく、パターンウェハの窒化ケイ素膜が削れていないほど、平坦性には有利である。
本発明においては、後述するように、パターンウェハにおいて、研磨前の窒化ケイ素膜の上面から研磨後の凹部の二酸化ケイ素膜の上面までの距離を、平坦性の指標としたが、窒化ケイ素膜の膜厚の減少量を平坦性の指標とすることもできる。
【0061】
本発明の実施形態の研磨方法には、公知の研磨装置を使用できる。
図2は、本発明の研磨方法に使用可能な研磨装置の一例を示す図である。
この研磨装置20は、STI基板のような半導体基板21を保持する研磨ヘッド22と、研磨定盤23と、研磨定盤23の表面に貼り付けられた研磨パッド24と、研磨パッド24に研磨剤25を供給する研磨剤供給配管26とを備えている。研磨剤供給配管26から研磨剤25を供給しながら、研磨ヘッド22に保持された半導体基板21の被研磨面を研磨パッド24に接触させ、研磨ヘッド22と研磨定盤23とを相対的に回転運動させて研磨を行うように構成されている。なお、本発明の実施形態に使用される研磨装置はこのような構造のものに限定されない。
【0062】
研磨ヘッド22は、回転運動だけでなく直線運動をしてもよい。また、研磨定盤23および研磨パッド24は、半導体基板21と同程度またはそれ以下の大きさであってもよい。その場合は、研磨ヘッド22と研磨定盤23とを相対的に移動させることにより、半導体基板21の被研磨面の全面を研磨できるようにすることが好ましい。さらに、研磨定盤23および研磨パッド24は回転運動を行うものでなくてもよく、例えばベルト式で一方向に移動するものであってもよい。
【0063】
このような研磨装置20の研磨条件には特に制限はないが、研磨ヘッド22に荷重をかけて研磨パッド24に押し付けることでより研磨圧力を高め、研磨速度を向上させることができる。研磨圧力は0.5〜50kPa程度が好ましく、研磨速度における半導体基板21の被研磨面内の均一性、平坦性、スクラッチなどの研磨欠陥防止の観点から、3〜40kPa程度がより好ましい。研磨定盤23および研磨ヘッド22の回転数は、50〜500rpm程度が好ましいがこれに限定されない。また、研磨剤25の供給量については、研磨剤の組成や上記各研磨条件等により適宜調整される。
【0064】
研磨パッド24としては、不織布、発泡ポリウレタン、多孔質樹脂、非多孔質樹脂などからなるものを使用することができる。研磨パッド24への研磨剤25の供給を促進し、あるいは研磨パッド24に研磨剤25が一定量溜まるようにするために、研磨パッド24の表面に格子状、同心円状、らせん状などの溝加工を施してもよい。また、必要に応じて、パッドコンディショナーを研磨パッド24の表面に接触させて、研磨パッド24表面のコンディショニングを行いながら研磨してもよい。
【0065】
本発明の研磨方法によれば、半導体デバイスの製造における層間絶縁膜の平坦化やSTI用絶縁膜の平坦化等のCMP処理において、酸化ケイ素(例えば、二酸化ケイ素)からなる被研磨面を高い研磨速度で研磨することができるうえに、高い平坦性を実現することができる。
【実施例】
【0066】
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
例1〜10、例12および例15が実施例であり、例11、例13および例14が比較例である。以下の例において、「%」は、特に断らない限り質量%を意味する。また、特性値は下記の方法により測定し評価した。
【0067】
[pH]
pHは、東亜ディーケーケー社製のpHメータHM−30Rを使用して測定した。
【0068】
[平均二次粒子径]
平均二次粒子径は、レーザー散乱・回折式の粒度分布測定装置(堀場製作所製、装置名:LA−920)を使用して測定した。
【0069】
[研磨特性]
研磨特性は、全自動CMP研磨装置(Applied Materials社製、装置名:Mirra)を用いて測定し評価した。研磨パッドは、2層パッド(Rodel社製、商品名:IC−1400、K−groove)を使用し、研磨パッドのコンディショニングには、ダイヤモンドパッドコンディショナー(スリーエム社製、商品名:A165)を使用した。研磨条件は、研磨圧力を21kPa、研磨定盤の回転数を77rpm、研磨ヘッドの回転数を73rpmとした。また、研磨剤の供給速度は200ミリリットル/分とした。
【0070】
研磨速度の測定のために、研磨対象物(被研磨物)として、8インチシリコンウェハ上に、テトラエトキシシランを原料にプラズマCVDにより二酸化ケイ素膜が成膜された二酸化ケイ素膜付きブランケット基板を用いた。
【0071】
また、研磨の平坦性評価のために、被研磨物として、市販のテスト用STIパターン基板(International SEMATECH社製、商品名:864CMP000)を用いた。
このパターン基板には、8インチシリコンウェハ上に、STIのパターンを模した凹部と凸部のパターンが形成されている。パターンとしては、各部の幅を0.5μm〜500μmの範囲で変えて、凹部と凸部が交互に形成されたライン&スペースパターンと、凹部と凸部の幅の和が100μmで、凸部の幅を10μmから90μmの範囲で変えたストライプパターンのそれぞれが形成されている。そして、凸部上に研磨停止層として形成された窒化ケイ素膜の膜厚は90nmであり、トレンチの深さは350nmである。また、パターン基板の全面は、テトラエトキシシランを原料にしてプラズマCVDで成膜された、膜厚が500nmの二酸化ケイ素膜で覆われている。
【0072】
前記したブランケット基板およびパターン基板上に成膜された二酸化ケイ素膜の膜厚の測定には、KLA−Tencor社の膜厚計UV−1280SEを使用した。ブランケット基板において、二酸化ケイ素膜の研磨前の膜厚と1分間研磨後の膜厚との差を求めることで、研磨速度を算出した。そして、基板の面内49点の研磨速度より得られた前記研磨速度の平均値を求め、二酸化ケイ素膜の研磨速度(オングストローム/分)とした。
【0073】
研磨の平坦性の評価では、前記パターン基板の、凹部と凸部の幅の和が100μmの領域で凸部の幅が70μmのストライプパターンにおいて、窒化ケイ素膜が露出するまで研磨し、さらに30秒間研磨を追加した。そして、研磨後のパターン基板において、凹部と凸部の幅がいずれも50μmのライン&スペースパターンにおける凹部の二酸化ケイ素膜の上面からシリコン層までの距離d、すなわち凹部の二酸化ケイ素膜の膜厚を、前記方法で測定した。そして、この距離dの、基準値d
0との差を求めた。ここで、基準値d
0は、研磨前の窒化ケイ素膜の上面を基準にし、研磨前の窒化ケイ素膜の上面からシリコン層までの距離(この距離は、研磨前の窒化ケイ素膜の膜厚に相当し、90nmである)と、窒化ケイ素膜の下面の中心点と、この中心点から窒化ケイ素膜の下面に対して垂直に下ろした線がトレンチの底面から平行に引いた線と交わった点までの距離との和(350nm)を、基準値とした。こうして算出された前記距離dと基準値d
0との差(d
0−d)は、研磨前の窒化ケイ素膜の上面から研磨後の凹部の二酸化ケイ素膜の上面までの距離であり、この値を平坦性の指標とした。
【0074】
例1
AQナイロンP−95(商品名、東レ株式会社製)(以下、水溶性ポリアミドAと示す。)を、添加液の全量に対する含有割合(濃度)が0.002%になるように純水に加え、さらに分子量5000のポリアクリル酸アンモニウムを濃度が0.106%になるように加えた後、硝酸を加えてpHを5に調整し添加液を得た。この添加液1000gに、平均二次粒子径0.10μmの酸化セリウム粒子を純水に分散させた濃度0.5%の酸化セリウム分散液1000gを加え、撹拌し混合して、研磨剤(1)を得た。
なお、水溶性ポリアミドA、ポリアクリル酸アンモニウムおよび酸化セリウム粒子の研磨剤(1)の全量に対する含有割合(濃度)は、それぞれ0.001%、0.0531%および0.25%になる。
【0075】
例2
水溶性ポリアミドAの代わりに、AQナイロンT−70(商品名、東レ株式会社製)(以下、水溶性ポリアミドBと示す。)を、添加液の全量に対する濃度が0.002%になるように純水に加え、添加液を調製した。それ以外は例1と同様にして、研磨剤(2)を得た。
【0076】
例3
水溶性ポリアミドAの添加液の全量に対する濃度を0.0002%とし、研磨剤の全量に対する濃度を0.0001%にした。それ以外は例1と同様にして、研磨剤(3)を得た。
【0077】
例4
水溶性ポリアミドAの添加液の全量に対する濃度を0.001%とし、研磨剤の全量に対する濃度を0.0005%に変更した。それ以外は例1と同様にして、研磨剤(4)を得た。
【0078】
例5
水溶性ポリアミドAの添加液の全量に対する濃度を0.004%とし、研磨剤の全量に対する濃度を0.002%に変更した。それ以外は例1と同様にして、研磨剤(5)を得た。
【0079】
例6
添加液のpHを4.5に変更した。それ以外は例1と同様にして、研磨剤(6)を得た。
【0080】
例7
硝酸を加えてpHを5に調整した後、KOHを加えてpHを6に調整した。それ以外は例1と同様にして、研磨剤(7)を得た。
【0081】
例8
ポリアクリル酸アンモニウムの添加液の全量に対する濃度を0.0426%とし、研磨剤の全量に対する濃度を、0.0213%に変更した。それ以外は例1と同様にして、研磨剤(8)を得た。
【0082】
例9
ポリアクリル酸アンモニウムの添加液の全量に対する濃度を0.17%とし、研磨剤の全量に対する濃度を0.085%に変更した。それ以外は例1と同様にして、研磨剤(9)を得た。
【0083】
例10
分子量5000のポリアクリル酸アンモニウムの代わりに、分子量5000のポリアクリル酸を使用した。それ以外は例1と同様にして、研磨剤(10)を得た。
【0084】
例11
添加液の調製において、水溶性ポリアミドAを使用しなかった。すなわち、分子量5000のポリアクリル酸アンモニウムを、研磨剤の全量に対する濃度が0.0531%(添加液の全量に対する濃度0.1062%)になるように純水に加えた後、硝酸を加えてpHを5に調整し添加液を得た。それ以外は例1と同様にして、研磨剤(11)を得た。
【0085】
例12
平均二次粒子径0.10μmの酸化セリウム粒子を純水に分散させた酸化セリウム分散液の代わりに、平均二次粒子径0.18μmの酸化セリウム粒子を純水に分散させた酸化セリウム分散液を使用した。それ以外は例1と同様にして、研磨剤(12)を得た。
【0086】
例13
添加液の調製において、水溶性ポリアミドAを使用しなかった。すなわち、分子量5000のポリアクリル酸アンモニウムを、研磨剤の全量に対する濃度が0.0531%(添加液の全量に対する濃度0.1062%)になるように純水に加えた後、硝酸を加えてpHを5に調整し添加液を得た。それ以外は例12と同様にして、研磨剤(13)を得た。
【0087】
例14
AQナイロンP−95(水溶性ポリアミドA)を、添加液の全量に対する含有割合(濃度)が0.002%になるように純水に加え、硝酸を加えてpHを5に調整し添加液を得た。この添加液1000gに、平均二次粒子径0.10μmの酸化セリウム粒子を純水に分散させた濃度0.5%の酸化セリウム分散液1000gを加え、撹拌し混合して、研磨剤(14)を得た。
なお、水溶性ポリアミドA、酸化セリウム粒子の研磨剤(14)の全量に対する含有割合(濃度)は、それぞれ0.001%および0.25%になる。
【0088】
例15
水溶性ポリアミドAの代わりに、AQナイロンP−70(商品名、東レ株式会社製)(以下、水溶性ポリアミドCと示す。)を、添加液の全量に対する濃度が0.002%になるように純水に加え、添加液を調製した。それ以外は例1と同様にして、研磨剤(15)を得た。
【0089】
こうして例1〜15で得られた研磨剤(1)〜(15)の組成およびpHを、表1に示す。
次いで、例1〜15で得られた研磨剤(1)〜(15)の研磨特性(二酸化ケイ素膜の研磨速度、研磨の平坦性)を、それぞれ前記方法で測定した。測定結果を表2および表3に示す。ここで、平均二次粒子径が0.10μmの酸化セリウム粒子が含有された研磨剤(1)〜(11)、(14)および(15)を使用した場合の研磨特性(二酸化ケイ素膜の研磨速度、研磨の平坦性)を表2に、平均二次粒子径が0.18μmの酸化セリウム粒子が含有された研磨剤(12)〜(13)を使用した場合の研磨特性(二酸化ケイ素膜の研磨速度、研磨の平坦性)を表3に、それぞれ示す。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
【表3】
【0093】
表1および表2から、平均二次粒子径0.10μmの酸化セリウム粒子と、ポリアクリル酸またはその塩と、分子中に3級アミノ基および/またはオキシアルキレン鎖を有する水溶性ポリアミドと、水とを含有し、pHが7以下である例1〜10および例15の研磨剤(1)〜(10)および(15)を用いて研磨を行うことで、研磨後のパターン基板の平坦性は十分に良好であり、かつ二酸化ケイ素膜に対する高い研磨速度が得られることがわかる。
【0094】
それに対して、平均二次粒子径0.10μmの酸化セリウム粒子と、ポリアクリル酸塩を含有し、水溶性ポリアミドを含有しない例11の研磨剤(11)を用いた場合には、例1〜10に比べて、二酸化ケイ素膜に対する研磨速度が低下するばかりでなく、パターン基板の平坦性も悪くなることがわかる。
また、平均二次粒子径0.10μmの酸化セリウム粒子と水溶性ポリアミドを含有し、ポリアクリル酸塩を含有しない例14の研磨剤(14)を用いた場合には、例1〜10に比べて、二酸化ケイ素膜に対する研磨速度は高いが、パターン基板の平坦性が非常に悪くなることがわかる。
【0095】
また、表1および表3から、平均二次粒子径0.18μmの酸化セリウム粒子と、ポリアクリル酸塩と、分子中に3級アミノ基および/またはオキシアルキレン鎖を有する水溶性ポリアミドと、水を含有し、pHが7以下である例12の研磨剤(12)を用いて研磨を行うことで、研磨後のパターン基板の平坦性は十分に良好であり、かつ二酸化ケイ素膜に対する高い研磨速度が得られることがわかる。
【0096】
それに対して、平均二次粒子径0.18μmの酸化セリウム粒子と、ポリアクリル酸塩を含有し、水溶性ポリアミドを含有しない例13の研磨剤(13)を用いた場合には、例12に比べて、二酸化ケイ素膜に対する研磨速度が低下するばかりでなく、パターン基板の平坦性も悪くなることがわかる。