特許第6572757号(P6572757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572757
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20190902BHJP
【FI】
   H01L33/62
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-234114(P2015-234114)
(22)【出願日】2015年11月30日
(65)【公開番号】特開2017-103311(P2017-103311A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(72)【発明者】
【氏名】武藏 直樹
【審査官】 大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−263754(JP,A)
【文献】 特開2014−207378(JP,A)
【文献】 特開2011−023484(JP,A)
【文献】 特開2006−114635(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0232293(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0153334(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
H01L 21/52
H01L 21/58
H05K 3/32 − 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に導体配線が設けられた支持基板と、
接合部材を介して前記導体配線の上面に配置された発光素子と、
前記支持基板の上面に設けられた枠体であって、上面側から見て、前記発光素子に近接して前記発光素子を取り囲む内側面に複数の凹部を有する枠体と、
を含み、
前記導体配線は、前記発光素子の直下に位置する直下部と、上面側から見て前記直下部から前記複数の凹部のうち一部の凹部の内側に延在する延在部と、を有し、
上面側から見て、前記枠体の前記内側面のうち、前記複数の凹部を構成する側面を除いた内側面は、上面側から見て、前記発光素子と略同一の形状であることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記発光素子は、上面側から見て略矩形状であると共に、互いに対向する2つの第1側面と、互いに対向する2つの第2側面と、を有し、
上面側から見て、前記複数の凹部は、前記延在部が内側に延在し且つ前記2つの第1側面のそれぞれに対向して設けられた第1凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
上面側から見て、前記複数の凹部は、前記延在部が内側に延在せず且つ前記2つの第2側面のそれぞれに対向して設けられた第2凹部を有することを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光素子と前記枠体との間に充填された絶縁性部材を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記導体配線は、前記発光素子のn側又はp側のいずれか一方の電極と電気的に接続された第1導体配線と、前記発光素子の他方の電極と電気的に接続され、かつ前記第1導体配線と分離している第2導体配線と、を含み、
前記第1導体配線は、前記第2導体配線より大きい面積を有しており、
前記延在部は、前記第1導体配線に含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光源として発光ダイオードやレーザーダイオード等の発光素子を搭載した発光装置は、各種の照明や表示装置に利用されている。
【0003】
このような発光装置として、例えば、支持基板の上に導体配線を配置し、当該導体配線と、発光素子の下面に設けた電極とを接合部材を介して電気的に接続するものが知られている。また、発光素子を導体配線上に実装する際の精度を向上させるため、支持基板上であって発光素子の周りに枠体を近接するように設けているものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−114635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような発光素子の周りに枠体が近接して設けられた発光装置では、発光素子と支持基板との接合強度が十分ではなく、例えば繰り返し振動する環境下において使用した場合に、支持基板から発光素子が剥離する虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の実施形態に係る発光装置は、上面に導体配線が設けられた支持基板と、接合部材を介して前記導体配線の上面に配置された発光素子と、前記支持基板の上面に設けられた枠体であって、上面側から見て、前記発光素子に近接して前記発光素子を取り囲む内側面に複数の凹部を有する枠体と、を含み、前記導体配線は、前記発光素子の直下に位置する直下部と、上面側から見て前記直下部から前記複数の凹部のうち一部の凹部の内側に延在する延在部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態に係る発光装置によれば、繰り返し振動する環境下での使用であっても発光素子の剥離を抑制することができる発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態に係る発光装置のうち、発光素子を除いた態様を模式的に示す平面図である
図3図3は、図1のA−A線における模式的な断面図である。
図4図4は、図1のB−B線における模式的な断面図である。
図5図5は、図3のX部における模式的な拡大図であり、第1凹部22の近傍における接合部材50の態様を示す。
図6図6は、図4のY部における模式的な拡大図であり、第2凹部24の近傍における接合部材50の態様を示す。
図7図7は、本発明の第2の実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図である。
図8図8は、図7のC−C線における模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、従来の発光装置において導体配線に発光素子を実装する際に、導体配線上の余剰な接合部材が発光素子の外周の全体から外側に広がるため、発光素子の直下にある接合部材のフラックス成分が十分に揮発せず、発光素子と導体配線との接合強度が十分に得られないことに着眼した。
本発明者らは鋭意検討した結果、支持基板上の導体配線において、発光素子の直下に位置する直下部と、当該直下部から、枠体が有する複数の凹部のうちの一部の凹部の内側まで延在する延在部とを設けることによって、接触不良を抑制し、かつ繰り返し振動する環境下での使用による発光素子の剥離も抑制できることを見出した。
すなわち、余剰な接合部材は支持基板よりも濡れ性の高い延在部に優先的に広がるので、延在部が内側に延在しない凹部と発光素子の側面との間に十分な空間が確保される。この結果、発光素子の直下にある接合部材のフラックス成分が揮発し易くなり、発光素子と導体配線との間の接合強度が向上するため、発光素子の剥離を抑制することができる本発明の発光装置に至ったものである。
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。以下に説明する発光装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、一の実施の形態において説明する内容は、他の実施の形態にも適用可能である。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「横」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る発光装置100を模式的に示す平面図であり、図2は、発光装置100のうち発光素子10を除いた態様を模式的に示す平面図であり、点線で示す部分は、発光素子10が実装される範囲を示している。図3および図4は、それぞれ図1のA−A線およびB−B線における発光装置100を模式的に示す断面図である。図5は、図3のX部における模式的な拡大図であり、第1凹部22の近傍における接合部材50の態様を示している。図6は、図4のY部における模式的な拡大図であり、第2凹部24の近傍における接合部材50の態様を示している。
【0012】
図1に示すように、発光装置100は、支持基板40と、支持基板40の上面に設けられた導体配線30と、導体配線30の上面に配置された発光素子10と、支持基板40の上面であって、上面側から見て発光素子10を取り囲んで設けられた枠体20とを含んでいる。
上面側から見て、枠体20は、複数の凹部21を含んでいる。複数の凹部21は、導体配線30の一部が内側に延在している第1凹部22と、導体配線30が内側に延在してしない第2凹部24とを含んでいる。これによって後述するように、発光装置100の短絡を抑制(以下において、短絡抑制効果と称することがある)し、かつ発光素子10と導体配線30との接合強度を向上させ、繰り返し振動する環境下での使用であっても導体配線30から発光素子10が剥離するのを抑制(以下において、剥離抑制効果と称することがある)することができる。
以下に、各構成部材について詳述する。
【0013】
(発光素子)
発光素子10は、上面側から見た外縁形状が略矩形であると共に、対向する2つの第1側面と、互いに対向する2つの第2側面と、を有し、実装面側である下面にはn側電極およびp側電極がそれぞれ形成されている。発光素子10は、n側電極及びp側電極を介して導体配線30と電気的に接続されている。このような発光素子10としては、当該分野で一般的に用いられている発光素子を用いることができる。例えば、InAlGa1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)の窒化物半導体材料を用いた発光素子が挙げられる。
【0014】
(接合部材50)
接合部材50は、発光素子10の電極を導体配線30の上面に接合するための部材である。接合部材50としては、例えば、Sn−Bi系、Sn−Cu系、Sn−Ag系、Au−Sn系の導電性ペーストが挙げられる。
【0015】
(導体配線30)
図2に示すように、導体配線30は、第1導体配線36と、第1導体配線36と電気的に分離している第2導体配線38とを含む。第1導体配線36は、発光素子10のn側またはp側のいずれか一方の電極と電気的に接続され、第2導体配線38は、発光素子10の他方の電極と電気的に接続されている。第1導体配線36は、発光素子10の直下に位置する直下部32と、当該直下部32から枠体20の複数の凹部21のうち一部の凹部(所謂、第1凸部22)の内側に延在する延在部34から構成されている。第2導体配線38は、直下部32から構成されている。
【0016】
図3に示すように、第1導体配線36の延在部34は、発光素子10の側面12より外側であって第1凹部22の内側まで延在している。さらに図5に示すように、発光素子10の下面には電極14が設けられており、電極14と第1導体配線36とは、接合部材50を介して電気的に接続されている。第1導体配線36が延在部34を有することにより、第1導体配線36に接合部材50が過剰に供給された場合であっても、発光素子10を導体配線30に実装する際、余剰の接合部材50が、上面視で直下部32の周囲(特に、第1導体配線36の直下部と第2導体配線38の直下部との間)にある支持基板40上に広がることなく、支持基板40よりも濡れ性の高い延在部34上に広がる。このため、余剰の接合部材50が第1導体配線36から第2導体配線38へ広がることを防止できる結果、発光装置100の短絡を抑制することができる。
【0017】
また、延在部34は、直下部32から第1凹部22の内部まで延在していれば、曲線を有する形状、矩形状等の任意の形状であってよい。延在部34は、上面側から見て、第1凹部22と同形状であることが好ましい。このような形状であれば、延在部34の面積を大きくすることができ、より多量の余剰な接合部材50が延在部34上へ広がることができるので、短絡抑制効果をより向上させることができる。
【0018】
第1導体配線36は、延在部34を1つだけ有してもよいが、複数有することが好ましい。延在部34を複数有することにより、より多量の余剰な接合部材50が広がることができるので、短絡抑制効果をより向上させることができる。また、延在部34を複数有する場合には、上面側から見て、発光素子10の1つの側面の位置から外側に1つの延在部34が延在してもよく、また1つの側面の位置から外側に複数の延在部34が延在してもよい。
【0019】
図2に示すように、第1導体配線36が延在部34を2つ有している場合、第1導体配線36の延在部34は、発光素子10の側面12のうち対向する2つの側面それぞれの位置において、第1導体配線36の直下部32から外側に延在しているのが好ましい。すなわち、発光素子10は、上面側からみた外縁形状が略矩であるとともに、互いに対向する2つの第1側面と、互いに対向する2つの第2側面と、を有しており、上面側から見て、複数の凹部21は、延在部34が内側に延在し且つ2つの第1側面のそれぞれに対向して設けられた第1凹部22を有する。このように、発光素子10の対向する2つの側面(所謂、第1側面)から外側に延在部34が延在していることにより、延在部34は一箇所に偏ることがない。そして、余剰の接合部材50が、第1導体配線36の左右方向に均等に広がる結果、発光素子10の位置ずれをより抑制することができるため、接触不良の少ない発光装置100とすることができる。
【0020】
延在部34の面積は、第1導体配線36の面積に対して5%以上であることが好ましい。延在部34がこのような大きさであれば、短絡抑制効果を充分に得ることができる。第1導体配線36の面積に対する延在部34の面積は、より好ましくは、10%以上である。ここで「延在部34の面積」とは、延在部34が複数個存在する場合は、複数の延在部34の面積の総面積である。また、「延在部34の面積」とは、上面視して、発光素子10の外側面12よりも外側(すなわち、図2において、発光素子12の実装範囲を示す点線よりも外側)に存在する延在部34の面積をいう。
【0021】
図2に示すように、発光装置100では、第2導体配線38よりも大きい面積を有する第1導体配線36の直下部32から延在部34が延在している。このように、第2導体配線38よりも面積の大きい第1導体配線36に延在部34が含まれることにより、第2導体配線38の直下部32から延在部34が延在する場合に比べて、より多くの量の余剰の接合部材50が延在部34に広がることができるので、短絡抑制効果をより向上させることができる。延在部34は、第1導体配線36に含まれる形態の他に、第1導体配線36と第2導体配線38のそれぞれから延在していてもよい。
【0022】
導体配線30の材料としては、例えば、Cu、Ni、Pd、W、Cr、Ti、Al、Ag、Au、Fe、又はこれらの合金が挙げられる。特に、発光素子10からの光を効率良く反射可能な材料であるAl、Ag又はこれらの合金を最表面に有することが好ましい。
【0023】
(枠体20)
図1に示すように、枠体20は、内側面26と外側面28とを有しており、内側面26に複数の凹部21が形成されている。枠体20の内側面26は、発光素子10の側面12と近接して設けられているため、枠体20が発光素子10を導体配線30の上面に実装する際のガイドとなり、発光素子10の位置ずれを抑制することができる。この結果、接触不良の少ない、電気的に信頼性の高い発光装置100を簡便に得ることができる。また、複数の凹部21を構成する側面を除く枠体20の内側面26の形状は、発光素子10の側面12の形状と略同一であることが好ましく、これにより発光素子10の位置ずれをより抑制することができる。
【0024】
また図2に示すように、複数の凹部21は、導体配線30の延在部34が内側に延在する第1凹部22と、延在部34が内側に延在しない第2凹部24とを、それぞれ少なくとも1つ以上有する。これにより発光装置100は、前述した短絡抑制効果に加えて、剥離抑制効果を有することができる。
【0025】
より具体的には、図4および図6に示すように、第2凹部24に対向する発光素子10の側面(所謂、第2側面)12の下方では、第1導体配線36が発光素子10の側面12よりも外側に延在していない。前述したように、余剰の接合部材50は、上面側から見て直下部32の周囲にある支持基板40上に広がることなく、支持基板40よりも濡れ性の高い延在部34上に優先的に広がる。このため、図6に示すように、第2凹部24に対向する発光素子10の側面12の下方において、余剰な接合部材50は第1導体配線36の直下部32の外縁より外側に広がらない。すなわち、第2凹部24はその内側に導体配線の延在部34が延在していないため、第2凹部24と発光素子10との間には、発光素子10の直下にある接合部材50のフラックス成分が十分に揮発するための空間が存在することになる。この結果、発光素子10の電極14と第1導体配線36との間の接合強度が向上し、それにより発光素子10の剥離抑制効果を得ることができる。
【0026】
また、図1に示すように、複数の凹部21は、延在部が内側に延在せず且つ発光素子10の互いに対向する2つの側面(所謂、第2側面)のそれぞれに対向して設けられた第2凹部24を有しているのが好ましい。このように、発光素子10が有する対向する2つの側面のそれぞれに対向するように第2凹部24を設けることにより、すなわち、発光素子10の側面12に対して第2凹部24を一箇所または一方向に偏ることなく設けることにより、発光素子10の直下にある接合部材50のフラックス成分は、上面側から見て、発光素子10の上下方向から均等に揮発することができる。この結果、発光素子10は、接合部材50による接着剤としての効果を、一箇所または一方向に偏ることなく、上面側から見て上部および下部から均等に受けることができるので、発光装置全体として、剥離抑制効果をより高めることができる。
【0027】
さらに、第2凹部24のそれぞれは、上面側から見て、発光素子10の中心(すなわち、発光素子10が矩形状である場合は、2本の対角線の交点)に対して、略点対称の関係となるように形成することが好ましい。複数の第2凹部24をこのように形成することにより、発光素子10の直下にある接合部材50のフラックス成分は、発光素子10の側面12に対して、一箇所または一方向に偏ることなく均等に揮発することができる。この結果、発光素子10は、接合部材50による接着剤としての効果を、一箇所または一方向に偏ることなく、上面側から見て上部および下部からより均等に受けることができるので、発光装置全体として、剥離抑制効果をさらに高めることができる。
【0028】
また、第2凹部24は、上面側から見て発光素子10の1つの側面に対して複数の第2凹部24が設けられてもよいし、発光素子10の複数の側面のそれぞれに対して第2凹部24が1つずつ設けられてもよい。いずれの形態であっても、延在部34が延在する第1凹部22を少なくとも1つ有することに加えて、延在部34が延在しない第2凹部24を少なくとも1つ有することにより、発光装置100は、短絡抑制効果に加えて、剥離抑制効果を得ることができる。
【0029】
第2凹部24は、導体配線30が延在していなければ、上面側から見て、曲線を有する形状、矩形状等の任意の形状であってよい。第2凹部24は、矩形状であることが好ましい。このような形状であれば、第2凹部24が形成する空間を大きくすることができ、発光素子10の直下にある接合部材50のフラックス成分がより揮発しやすくなるため、剥離抑制効果をより向上させることができる。
【0030】
枠体20は、セラミックや樹脂などで形成することができる。光反射性の高いアルミナが好ましいが、表面に反射膜を形成すればこれに限らない。樹脂であれば、スクリーン印刷等を用いるほか、成形体を支持基板40に接着してもよい。この枠体20は、発光素子10を実装後に取り外すこともできる。
【0031】
(支持基板40)
支持基板40としては、公知の任意の材料を用いてもよい。例えば、ポリフタルアミド、液晶ポリマー、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂、またはエポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂のいずれかを使用することができる。また、セラミックスを使用することもできる。特に、絶縁性、耐熱性及び耐光性に優れ、導体配線30との密着性が良好なエポキシ樹脂が好適に用いられる。なお、ガラス、セラミックス等の無機物等を母材として用いてもよい。支持基板40は光反射性を有していると好ましく、上述の母材に、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の光反射材料を含有していると好ましい。その他、着色剤等を添加してもよい。
【0032】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態に係る発光装置200について、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。発光装置200の各要素について、特段の説明の無いものについては、第1の実施形態の対応する要素と同じ構成を有してもよい。
【0033】
発光装置200は、発光素子10と枠体20との間に充填され、発光素子10の少なくとも側面12を覆う絶縁性部材60を有する点において、第1の実施形態に係る発光装置100と異なる。
【0034】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図であり、図8は、図7のC−C線における模式的な断面図である。図7および図8に示すように、発光装置200は、発光素子10と枠体20との間に充填され、発光素子10の少なくとも側面12を覆う絶縁性部材60を有する。発光装置200は、このような絶縁性部材60を有することにより、発光素子10の側面12が絶縁性部材60により横方向(すなわち、図7における上下左右の方向)から支持されるので、発光装置200を振動する環境で使用した場合であっても、発光素子10の横方向への位置ずれを抑制することができるので、発光素子10に対する剥離抑制効果をより高めることができる。また、このような絶縁性部材60を有することにより、発光素子10は、その側面12において絶縁性部材60と面接触または面接合するため、発光装置200を振動する環境で使用した場合であっても、絶縁性部材60との面接触または面接合により生じる摩擦抵抗または接合力により、発光素子10の縦方向(すなわち、図8における上下の方向)への位置ずれを抑制することができ、発光素子10に対する剥離抑制効果をより高めることができる。
【0035】
絶縁性部材60は、発光素子10の少なくとも側面12を覆うように充填されていれば、発光素子10の剥離抑制効果を高めることができる。発光装置200の絶縁性部材60の形態は、これに限定されない。すなわち、発光素子10の少なくとも側面12を覆うように充填されていれば、発光素子10の上面の全体を覆うように充填されてもよい。絶縁性部材60をこのような形態にすることで、発光素子10の側面および上面は、絶縁性部材60により支持されるため、発光装置200を振動する環境で使用した場合であっても、発光素子10の横方向および縦方向へのずれを抑制することができるので、発光素子10に対する剥離抑制効果をさらに高めることができる。
【0036】
絶縁性部材60に好適な材料としては、樹脂、セラミック、パルプ、ガラスがあり、特に樹脂が好ましい。絶縁性部材60に好適な樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、これらの変性樹脂又はこれらの樹脂を1種以上含むハイブリッド樹脂等などが挙げられる。
【0037】
絶縁性部材60は、透光性材料であってもよいが、発光素子10からの光に対する反射率が60%以上の反射性材料であることが好ましく、70%、80%又は90%以上の反射性材料であることがより好ましい。これにより、絶縁性部材60を透過する光を低減し、発光素子10の発光面からの光取出し効率を高めることができる。反射性材料としては、絶縁性部材60の材料(例えば、樹脂)に、二酸化チタン、二酸化ケイ素などの光反射材を含有しているものが挙げられる。
【0038】
絶縁性部材60は、添加物として、ガラスファイバー、ワラストナイトなどの繊維状フィラー、カーボン等の無機フィラー、放熱性の高い材料(例えば、窒化アルミニウム)を含有させてもよい。これにより、絶縁性部材60の強度、硬度、放熱性を高めることができる。これらの添加物は、例えば、絶縁性部材60の全重量に対して、10〜95重量%程度含有させることが好ましい。
【符号の説明】
【0039】
100、200:発光装置
10:発光素子
12:発光素子の側面
14:電極
20:枠体
21:凹部
22:第1凹部
24:第2凹部
26:枠体の内側面
28:枠体の外側面
30:導体配線
32:直下部
34:延在部
36:第1導体配線
38:第2導体配線
40:支持基板
50:接合部材
60:絶縁性部材
図1
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図8