【実施例】
【0032】
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
まず、実施例1〜3及び比較例1、2では、スピンエッチング工程におけるスピン回転数を変えて、スピン回転数の変化とエッチングムラとの関係を調査した。
【0034】
(実施例1)
まず、レーザーマーキング工程を経て表面にレーザーマークドットを有するシリコンウェーハを複数枚準備した。次に、準備したシリコンウェーハのそれぞれに対して、
図1に示したようなエッチング装置1を用いて本発明におけるスピンエッチング工程を枚葉式で実施した。
【0035】
実施例1のスピンエッチング工程では、シリコンウェーハのスピン回転数を300rpmとし、酸エッチング液の粘度を6.0mPa・sとした。
【0036】
(実施例2)
シリコンウェーハのスピン回転数を800rpmとして、本発明におけるスピンエッチング工程を枚葉式で実施したこと以外、実施例1と同様に枚葉式でシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、酸エッチング液の粘度は実施例1と同様に6.0mPa・sとした。
【0037】
(実施例3)
シリコンウェーハのスピン回転数を1000rpmとして、本発明におけるスピンエッチング工程を枚葉式で実施したこと以外、実施例1と同様に枚葉式でシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、酸エッチング液の粘度は実施例1と同様に6.0mPa・sとした。
【0038】
(比較例1)
シリコンウェーハのスピン回転数を1200rpmとして、スピンエッチング工程を枚葉式で実施したこと以外、実施例1と同様に枚葉式でシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、酸エッチング液の粘度は実施例1と同様に6.0mPa・sとした。
【0039】
(比較例2)
シリコンウェーハのスピン回転数を2000rpmとして、スピンエッチング工程を枚葉式で実施したこと以外、実施例1と同様に枚葉式でシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、酸エッチング液の粘度は実施例1と同様に6.0mPa・sとした。
【0040】
実施例1及び比較例2では、エッチング後のウェーハのレーザーマークドット付近のスジ状のエッチングムラをレーザー顕微鏡で観察した。実施例1及び比較例2の観察写真を、それぞれ、
図2、
図3に示す。これらから分かるように、スピン回転数を1000rpm以下とした実施例1(
図2)では、スピン回転数を1000rpmより大きくした比較例2(
図3)に比べて、スジ状のエッチングムラの発生が緩和されていた。
【0041】
また、
図4に、実施例1〜3及び比較例1、2のエッチング後のウェーハのレーザーマークドット付近のエッチングムラのスジの深さ(高低差)を示す。高低差はレーザー顕微鏡のクロスセクション測定で測定した。
図4から分かるように、スピン回転数が1000rpmを超えると、スジの深さが急増した。即ち、比較例1、2では、両面研磨工程における研磨取り代を、実施例1〜3より余分に大きくしなければならない結果となった。
【0042】
以下の実施例4、5及び比較例3〜5では、スピンエッチング工程における酸エッチング液の粘度を変えて、粘度の変化とエッチングムラとの関係を調査した。
【0043】
(実施例4)
シリコンウェーハのスピン回転数を300rpmとし、酸エッチング液の粘度を5.5mPa・sとして、その他条件は実施例1と同様としてスピンエッチング工程を実施した。
【0044】
(実施例5)
酸エッチング液の粘度を6.0mPa・sとしたこと以外、実施例4と同様にシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、シリコンウェーハのスピン回転数は実施例4と同様、300rpmであった。このように、実施例5は実施例1と同じ条件とした。
【0045】
(比較例3)
酸エッチング液の粘度を6.4mPa・sとしたこと以外、実施例4と同様にシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、シリコンウェーハのスピン回転数は実施例4と同様、300rpmであった。
【0046】
(比較例4)
酸エッチング液の粘度を7.0mPa・sとしたこと以外、実施例4と同様にシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、シリコンウェーハのスピン回転数は実施例4と同様、300rpmであった。
【0047】
(比較例5)
酸エッチング液の粘度を8.4mPa・sとしたこと以外、実施例4と同様にシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、シリコンウェーハのスピン回転数は実施例4と同様、300rpmであった。
【0048】
実施例5及び比較例5において、エッチング後のウェーハのレーザーマークドット付近のスジ状のエッチングムラをレーザー顕微鏡で観察した。実施例5の観察写真を
図5に示す。比較例5の観察写真を
図6に示す。
図5(実施例5)と
図6(比較例5)を比較すると、酸エッチング液の粘度を6.0mPa・s以下とした実施例5では、粘度を6.0mPa・sより大きくした比較例5に比べて、スジ状のエッチングムラの発生が緩和されたことが分かる。
【0049】
また、
図7に、実施例4、5、及び比較例3〜5のエッチング後のウェーハのレーザーマークドット付近のエッチングムラのスジの深さ(高低差)を示す。高低差はレーザー顕微鏡のクロスセクション測定で測定した。
図7から分かるように、粘度が6.0mPa・sを超えると、スジの深さが急増した。
【0050】
また、
図8に、実施例4、5及び比較例3〜5のエッチング後のウェーハに必要となった後工程における両面研磨取り代を示す。
図8から分かるように、粘度が6.0mPa・sを超えると、エッチングムラの高低差が大きいため、両面研磨で必要な取り代が増加してしまった。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。