特許第6572863号(P6572863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572863
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】シリコンウェーハの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20190902BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20190902BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   H01L21/306 M
   B23K26/00 B
   H01L21/304 643A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-204484(P2016-204484)
(22)【出願日】2016年10月18日
(65)【公開番号】特開2018-67601(P2018-67601A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2018年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】大西 邦明
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−198906(JP,A)
【文献】 特開2006−120819(JP,A)
【文献】 特開平09−306897(JP,A)
【文献】 特表2004−503081(JP,A)
【文献】 特開2007−053178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304−21/3063、21/308、
21/465−21/467、
B23K 26/00−26/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンウェーハの表面又は裏面に供給ノズルを通して酸エッチング液を供給しながら、前記シリコンウェーハを回転させることで、前記酸エッチング液の供給範囲を前記シリコンウェーハの表面又は裏面の全面に拡大して酸エッチングを行うスピンエッチング工程を含むシリコンウェーハの製造方法であって、
前記スピンエッチング工程において、前記シリコンウェーハのスピン回転数を1000rpm以下とし、かつ、粘度が6.0mPa・s以下の前記酸エッチング液を用い
前記スピンエッチング工程を、前記シリコンウェーハの表面又は裏面にレーザーによりマークを刻印するレーザーマーキング工程の後に行うことを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。
【請求項2】
前記酸エッチング液として、弗酸、硝酸、及び硫酸を含む混合液、又は、これに酢酸を加えた混合液を用いることを特徴とする請求項1に記載のシリコンウェーハの製造方法。
【請求項3】
前記酸エッチング液として、弗酸を1〜10質量%、硝酸を25〜50質量%、酢酸を0〜15質量%、硫酸を5〜25質量%の範囲で含む混合液を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコンウェーハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェーハの製造工程において、単結晶インゴットの状態から薄くスライスされたウェーハは、面取り加工と研削加工を経て平坦化を行い、レーザーマーク加工でウェーハの固有番号を印字するのが一般的である。この際、ウェーハ表裏面には加工に起因する大小様々なキズや加工歪みが導入され、これらが後工程で顕在化すると重大な品質上の問題になり得る。
【0003】
そこで、通常はレーザーマーク加工後にエッチングを行い、キズや加工歪を除去する。エッチング方法としては複数のウェーハの表裏面を同時に処理するバッチ方式や枚葉でウェーハの表面と裏面を順に処理するスピンエッチング方式が知られている(特許文献1参照)。また目的に応じて酸エッチング液で処理する場合とアルカリエッチング液で処理する場合の2通りの手段がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−53178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、レーザーマーク加工後に、スピンエッチング方式による酸エッチングを行った場合、エッチング液の流れに沿ってレーザーマークドットからウェーハの外周部に向けて、図9のレーザー顕微鏡写真に示すようなスジ状のエッチングムラが生じてしまう。このスジ状のエッチングムラは、高低差が数μmあるため、ウェーハの平坦度を出すためには、後工程の両面研磨(DSP)における取り代を必要以上に増やさなければならないという問題が生じる。
【0006】
本発明は前述のような問題に鑑みてなされたもので、レーザーマークドット付近のエッチングムラを低減することが可能なシリコンウェーハの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、シリコンウェーハの表面又は裏面に供給ノズルを通して酸エッチング液を供給しながら、前記シリコンウェーハを回転させることで、前記酸エッチング液の供給範囲を前記シリコンウェーハの表面又は裏面の全面に拡大して酸エッチングを行うスピンエッチング工程を含むシリコンウェーハの製造方法であって、前記スピンエッチング工程において、前記シリコンウェーハのスピン回転数を1000rpm以下とし、かつ、粘度が6.0mPa・s以下の前記酸エッチング液を用いることを特徴とするシリコンウェーハの製造方法を提供する。
【0008】
本発明のように、スピン回転数を1000rpm以下と小さく設定し、かつ、粘度が6.0mPa・s以下と小さい酸エッチング液を用いることで、レーザーマークドット付近に生じるスジ状のエッチングムラを低減することができる。その結果、後工程の両面研磨工程等における取り代を最小限に抑えることができる。
【0009】
このとき、前記酸エッチング液として、弗酸、硝酸、及び硫酸を含む混合液、又は、これに酢酸を加えた混合液を用いることができる。
【0010】
粘度が6.0mPa・s以下の酸エッチング液としては、上記のような混合液を用いることができる。
【0011】
また、前記酸エッチング液として、弗酸を1〜10質量%、硝酸を25〜50質量%、酢酸を0〜15質量%、硫酸を5〜25質量%の範囲で含む混合液を用いることができる。
【0012】
粘度が6.0mPa・s以下の酸エッチング液としては、上記のような割合で酸を混合した混合液を用いることができる。
【0013】
またこのとき、前記スピンエッチング工程を、前記シリコンウェーハの表面又は裏面にレーザーによりマークを刻印するレーザーマーキング工程の後に行うことができる。
【0014】
本発明におけるスピンエッチング工程は、レーザーマーキング工程で刻印されたレーザーマークドット付近のスジ状のエッチングムラを小さく抑制するのに有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシリコンウェーハの製造方法であれば、エッチングムラを低減することができ、特に、レーザーマークドット付近のエッチングムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明におけるスピンエッチング工程の一実施形態を示す概略図である。
図2】実施例1のエッチング後のウェーハのスジ状のエッチングムラを観察した写真である。
図3】比較例2のエッチング後のウェーハのスジ状のエッチングムラを観察した写真である。
図4】実施例1〜3及び比較例1、2のエッチング後のウェーハのエッチングムラのスジの深さ(高低差)を示すグラフである。
図5】実施例5のエッチング後のウェーハのスジ状のエッチングムラを観察した写真である。
図6】比較例5のエッチング後のウェーハのスジ状のエッチングムラを観察した写真である。
図7】実施例4、5及び比較例3〜5のエッチング後のウェーハのエッチングムラのスジの深さ(高低差)を示すグラフである。
図8】実施例4、5及び比較例3〜5のエッチング後のウェーハに必要な両面研磨取り代を示すグラフである。
図9】レーザーマークドットからウェーハの外周部に向けて発生したスジ状のエッチングムラの一例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
上記のように、酸エッチング液を用いたスピンエッチングでは、エッチング液の流れに沿ってレーザーマークドットからウェーハの外周部に向けて、スジ状のエッチングムラが生じてしまい、後工程の両面研磨等における取り代を必要以上に増やす要因となるという問題があった。
【0019】
そこで、本発明者がこのような問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下のような知見が得られた。即ち、本発明者は、レーザーマークドット付近のスジ状のエッチングムラの発生は、流体としての酸エッチング液がレーザーマークドット上を流れる際のキャビティ流れが一因であることを発見した。これは、酸エッチング液がレーザーマークドット上を流れる際、レーザーマークドットから酸エッチング液が流れ出る方向に沿ってキャビティ後流が生じ、そこにエッチングムラが生じると考えられる。
【0020】
そして、本発明者はスピン回転数が大きいとエッチング液の平均流速が増大し、レーザーマークドットに生じるエッチングムラが強調されることを発見した。また、流体の運動はナビエ・ストークス方程式から導かれるレイノルズ数で定性的振る舞いを考察できるが、本発明者は、酸エッチング液のレイノルズ数を大きく、即ち、液粘度を小さくすることでキャビティ後流によるエッチングムラの生成が緩和され、逆に、酸エッチング液のレイノルズ数を小さく、即ち、液粘度を大きくするとエッチングムラが生成されやすくなることを確認した。
【0021】
そこで、本発明者は、スピン回転数及び酸エッチング液の粘度の好適な範囲を鋭意検討し、スピンエッチング方式ではスピン回転数を1000rpm以下とし、かつ、酸エッチング液の粘度を6.0mPa・s以下とすることが、レーザーマークドット付近のスジ状のエッチングムラの発生を抑制できる条件であることを発見した。
【0022】
以下、本発明のシリコンウェーハの製造方法について説明する。本発明のシリコンウェーハの製造方法は、シリコンウェーハの表面又は裏面に供給ノズルを通して酸エッチング液を供給しながら、シリコンウェーハを回転させることで、酸エッチング液の供給範囲をシリコンウェーハの表面又は裏面の全面に拡大して酸エッチングを行うスピンエッチング工程を含む。このようなスピンエッチング工程は、例えば、シリコンウェーハの表面又は裏面にレーザーによりマークを刻印するレーザーマーキング工程の後に行われる。なお、これらの工程以外にも、シリコン単結晶インゴットを薄くスライスしてシリコンウェーハを作製するスライス工程、シリコンウェーハの面取り工程、研削工程、研磨工程などの工程を含んでいてもよい。
【0023】
本発明では、上記のスピンエッチング工程において、シリコンウェーハのスピン回転数を1000rpm以下とし、かつ、粘度が6.0mPa・s以下の酸エッチング液を用いる。このようなスピンエッチング工程について、図1を参照してより具体的に説明する。
【0024】
スピンエッチング工程では、例えば、図1のようなエッチング装置1を用いることができる。エッチング装置1では、エッチングされるシリコンウェーハWが、表面又は裏面を上にして真空吸着ステージ2の中心に水平に設置され、真空源9に連結した真空吸着ステージ2上に真空吸着で保持される。真空吸着ステージ2はステージ下方にある図示しないθ軸モータ及びθスピンドル等による回転ユニットによって真空吸着ステージ2の中心を回転軸として図1のθ方向に回転する。このとき、本発明では、上記のようにシリコンウェーハWのスピン回転数を1000rpm以下とする。スピン回転数を1000rpm以下とすることで、酸エッチング液8の平均流速を小さく抑え、キャビティ後流によるエッチングムラの生成が緩和される。
【0025】
また、スピン回転数を、1000rpm以下であり、かつ、300rpm以上とすることが好ましい。スピン回転数を300rpm以上として酸エッチング液8を供給すれば、酸エッチング液8がウェーハ全面に確実に拡散するため、ウェーハのエッチング取り代の面内分布が均一となる。
【0026】
続いて、真空吸着ステージ2の上方にある供給ノズル3に給液源6から、粘度が6.0mPa・s以下の酸エッチング液8を供給し、真空吸着ステージ2上に保持され回転しているシリコンウェーハW上に酸エッチング液8を供給する。酸エッチング液8の粘度が6.0mPa・sを超えるとレーザーマークドットに生じるエッチングムラの高低差が極度に大きくなり、後工程の両面研磨工程での研磨取り代を必要以上に大きくしなければならなくなるが、粘度が6.0mPa・s以下であれば、エッチングムラの高低差を小さく抑えることができ、研磨取り代を最小限に抑えることができる。さらに、酸エッチング液8の粘度は6.0mPa・s以下であり、かつ、5.0mPa・s以上とすることが好ましい。酸エッチング液8の粘度が5.0mPa・s以上であれば、酸エッチング液8とシリコンウェーハ1との反応効率がより向上し、高いエッチング速度を得られる。
【0027】
粘度が6.0mPa・s以下の酸エッチング液8としては、特に限定されることはないが、弗酸、硝酸、及び硫酸を含む混合液、又は、弗酸、硝酸、及び硫酸に加えて、酢酸も加えた混合液を用いることができる。また、特に限定されることはないが、このような混合液が、弗酸を1〜10質量%、硝酸を25〜50質量%、酢酸を0〜15質量%、硫酸を5〜25質量%の範囲で含むものであれば、粘度が6.0mPa・s以下となる。この場合、酸の質量%が合計100%に満たない残部は水である。
【0028】
また、酸エッチング液8を供給している間、供給ノズル3は、図1中の矢印4で示すようにシリコンウェーハWの中心を通ってシリコンウェーハWの径方向に直線往復運動するのが一般的である。
【0029】
シリコンウェーハW上に供給された酸エッチング液8は、シリコンウェーハWの回転によってシリコンウェーハW上を外周方向に向かって移動し、シリコンウェーハWの外周部から液滴5となって排出される。
【0030】
酸エッチング液によるスピンエッチングが終了したら給液源6からの酸エッチング液8の供給を停止し、供給ノズル3に給水源7から水を供給し、真空吸着ステージ2上に保持され回転しているシリコンウェーハW上に水を供給する。シリコンウェーハW上に供給された水は、シリコンウェーハWの回転によってシリコンウェーハW上を外周方向に向かって移動し、シリコンウェーハW上に残留する酸エッチング液8を水に置換しながらシリコンウェーハWの外周部から液滴となって排出される。
【0031】
その後、給水源7からの水の供給を停止し、シリコンウェーハWを高速回転させることでシリコンウェーハW上の水をすべて飛散させ、乾燥したシリコンウェーハWを得る。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
まず、実施例1〜3及び比較例1、2では、スピンエッチング工程におけるスピン回転数を変えて、スピン回転数の変化とエッチングムラとの関係を調査した。
【0034】
(実施例1)
まず、レーザーマーキング工程を経て表面にレーザーマークドットを有するシリコンウェーハを複数枚準備した。次に、準備したシリコンウェーハのそれぞれに対して、図1に示したようなエッチング装置1を用いて本発明におけるスピンエッチング工程を枚葉式で実施した。
【0035】
実施例1のスピンエッチング工程では、シリコンウェーハのスピン回転数を300rpmとし、酸エッチング液の粘度を6.0mPa・sとした。
【0036】
(実施例2)
シリコンウェーハのスピン回転数を800rpmとして、本発明におけるスピンエッチング工程を枚葉式で実施したこと以外、実施例1と同様に枚葉式でシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、酸エッチング液の粘度は実施例1と同様に6.0mPa・sとした。
【0037】
(実施例3)
シリコンウェーハのスピン回転数を1000rpmとして、本発明におけるスピンエッチング工程を枚葉式で実施したこと以外、実施例1と同様に枚葉式でシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、酸エッチング液の粘度は実施例1と同様に6.0mPa・sとした。
【0038】
(比較例1)
シリコンウェーハのスピン回転数を1200rpmとして、スピンエッチング工程を枚葉式で実施したこと以外、実施例1と同様に枚葉式でシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、酸エッチング液の粘度は実施例1と同様に6.0mPa・sとした。
【0039】
(比較例2)
シリコンウェーハのスピン回転数を2000rpmとして、スピンエッチング工程を枚葉式で実施したこと以外、実施例1と同様に枚葉式でシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、酸エッチング液の粘度は実施例1と同様に6.0mPa・sとした。
【0040】
実施例1及び比較例2では、エッチング後のウェーハのレーザーマークドット付近のスジ状のエッチングムラをレーザー顕微鏡で観察した。実施例1及び比較例2の観察写真を、それぞれ、図2図3に示す。これらから分かるように、スピン回転数を1000rpm以下とした実施例1(図2)では、スピン回転数を1000rpmより大きくした比較例2(図3)に比べて、スジ状のエッチングムラの発生が緩和されていた。
【0041】
また、図4に、実施例1〜3及び比較例1、2のエッチング後のウェーハのレーザーマークドット付近のエッチングムラのスジの深さ(高低差)を示す。高低差はレーザー顕微鏡のクロスセクション測定で測定した。図4から分かるように、スピン回転数が1000rpmを超えると、スジの深さが急増した。即ち、比較例1、2では、両面研磨工程における研磨取り代を、実施例1〜3より余分に大きくしなければならない結果となった。
【0042】
以下の実施例4、5及び比較例3〜5では、スピンエッチング工程における酸エッチング液の粘度を変えて、粘度の変化とエッチングムラとの関係を調査した。
【0043】
(実施例4)
シリコンウェーハのスピン回転数を300rpmとし、酸エッチング液の粘度を5.5mPa・sとして、その他条件は実施例1と同様としてスピンエッチング工程を実施した。
【0044】
(実施例5)
酸エッチング液の粘度を6.0mPa・sとしたこと以外、実施例4と同様にシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、シリコンウェーハのスピン回転数は実施例4と同様、300rpmであった。このように、実施例5は実施例1と同じ条件とした。
【0045】
(比較例3)
酸エッチング液の粘度を6.4mPa・sとしたこと以外、実施例4と同様にシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、シリコンウェーハのスピン回転数は実施例4と同様、300rpmであった。
【0046】
(比較例4)
酸エッチング液の粘度を7.0mPa・sとしたこと以外、実施例4と同様にシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、シリコンウェーハのスピン回転数は実施例4と同様、300rpmであった。
【0047】
(比較例5)
酸エッチング液の粘度を8.4mPa・sとしたこと以外、実施例4と同様にシリコンウェーハにスピンエッチング工程を施した。このとき、シリコンウェーハのスピン回転数は実施例4と同様、300rpmであった。
【0048】
実施例5及び比較例5において、エッチング後のウェーハのレーザーマークドット付近のスジ状のエッチングムラをレーザー顕微鏡で観察した。実施例5の観察写真を図5に示す。比較例5の観察写真を図6に示す。図5(実施例5)と図6(比較例5)を比較すると、酸エッチング液の粘度を6.0mPa・s以下とした実施例5では、粘度を6.0mPa・sより大きくした比較例5に比べて、スジ状のエッチングムラの発生が緩和されたことが分かる。
【0049】
また、図7に、実施例4、5、及び比較例3〜5のエッチング後のウェーハのレーザーマークドット付近のエッチングムラのスジの深さ(高低差)を示す。高低差はレーザー顕微鏡のクロスセクション測定で測定した。図7から分かるように、粘度が6.0mPa・sを超えると、スジの深さが急増した。
【0050】
また、図8に、実施例4、5及び比較例3〜5のエッチング後のウェーハに必要となった後工程における両面研磨取り代を示す。図8から分かるように、粘度が6.0mPa・sを超えると、エッチングムラの高低差が大きいため、両面研磨で必要な取り代が増加してしまった。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0052】
1…エッチング装置、 2…真空吸着ステージ、 3…供給ノズル、 4…矢印、
5…液滴、 6…給液源、 7…給水源、 8…酸エッチング液、
9…真空源、 W…シリコンウェーハ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9