特許第6572947号(P6572947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6572947レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572947
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20190902BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20190902BHJP
   C08F 20/18 20060101ALI20190902BHJP
   C08F 12/22 20060101ALI20190902BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   G03F7/004 501
   G03F7/004 503A
   G03F7/039 601
   C08F20/18
   C08F12/22
   G03F7/20 501
   G03F7/20 521
【請求項の数】10
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-164049(P2017-164049)
(22)【出願日】2017年8月29日
(62)【分割の表示】特願2013-112703(P2013-112703)の分割
【原出願日】2013年5月29日
(65)【公開番号】特開2018-18087(P2018-18087A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2017年8月31日
(31)【優先権主張番号】特願2012-124114(P2012-124114)
(32)【優先日】2012年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】杉原 昌子
(72)【発明者】
【氏名】河村 麻貴
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−167781(JP,A)
【文献】 特開2008−151953(JP,A)
【文献】 特開2011−209681(JP,A)
【文献】 特開2002−148801(JP,A)
【文献】 特開2003−156849(JP,A)
【文献】 特開2011−232648(JP,A)
【文献】 特開2005−266799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸の作用によりアルカリ水溶液への溶解性が増大する樹脂、ノボラック樹脂(但し、フェノールノボラック型エポキシ樹脂を除く。)、酸発生剤、式(I)で表される化合物及び溶剤を含むレジスト組成物であって、
溶剤の含有量は、レジスト組成物の総量に対して、40〜75質量%であるレジスト組成物。
[式(I)中、環W1は、環を構成する原子として窒素原子を有する複素環、あるいは、置換又は無置換のアミノ基を有するベンゼン環を表す。
1は、フェニル基又はナフチル基を表す。
nは、2又は3を表す。]
【請求項2】
環W1は、環を構成する原子として窒素原子を有する複素環である請求項1記載のレジスト組成物。
【請求項3】
酸の作用によりアルカリ水溶液への溶解性が増大する樹脂は、式(a1−1)又は式(a1−2)で表される構造単位を有する樹脂である請求項1又は2記載のレジスト組成物。
[式(a1−1)中、
a1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表すか、Ra1及びRa2は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を表し、Ra3は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表す。
a4は、水素原子又はメチル基を表す。]
[式(a1−2)中、
a1’及びRa2’は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Ra3’は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、Ra1’は、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Ra2’及びRa3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を表す。該炭素数1〜20の炭化水素基、該炭素数1〜12の炭化水素基及び該2価の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わってもよい。
a5は、水素原子又はメチル基を表す。
a6は、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
mは、0〜4の整数を表す。mが2以上のとき、複数のRa6は互いに同一でも異なっていてもよい。]
【請求項4】
酸発生剤は、式(b1)又は式(b3)で表される化合物である請求項1〜3いずれか1項に記載のレジスト組成物。
[式(b1)及び式(b3)中、Rb1は、フッ素原子を有してもよい炭素数1〜18の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されてもよい。
b3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアルコキシ基を表す。
環Wb1は、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素環又は置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族複素環を表す。]
【請求項5】
酸発生剤は、式(b1)で表される化合物である請求項4記載のレジスト組成物。
【請求項6】
環Wb1はナフタレン環である請求項4又は5に記載のレジスト組成物。
【請求項7】
酸の作用によりアルカリ水溶液への溶解性が増大する樹脂、ノボラック樹脂(但し、フェノールノボラック型エポキシ樹脂を除く。)、酸発生剤、式(I)で表される化合物及び溶剤を含む、
膜厚3〜150μmのレジストフィルムを製造するためのレジスト組成物。
[式(I)中、環W1は、環を構成する原子として窒素原子を有する複素環、あるいは、置換又は無置換のアミノ基を有するベンゼン環を表す。
1は、フェニル基又はナフチル基を表す。
nは、2又は3を表す。]
【請求項8】
酸発生剤は、式(b1)又は式(b3)で表される化合物である請求項7に記載のレジスト組成物。
[式(b1)及び式(b3)中、Rb1は、フッ素原子を有してもよい炭素数1〜18の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されてもよい。
b3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアルコキシ基を表す。
環Wb1は、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素環又は置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族複素環を表す。]
【請求項9】
環Wb1はナフタレン環である請求項8記載のレジスト組成物。
【請求項10】
(1)請求項1〜9のいずれか1項記載のレジスト組成物を基板に塗布する工程;
(2)塗布後のレジスト組成物を乾燥して組成物層を形成する工程;
(3)組成物層に露光する工程;
(4)露光後の組成物層を現像する工程;
を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップの多ピン薄膜実装において、接続用端子(バンプ)である高さ4〜150μm程度の突起電極は、フォトリソグラフィ技術によって基板上に配置される。このようなバンプの形成に用いられるレジスト組成物として、例えば、特許文献1には、クエンチャーとしてアミン化合物を含有するレジスト組成物が記載されている。また、特許文献2には、酸拡散制御剤として含窒素複素環式化合物を含有するレジスト組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−249993号公報
【特許文献2】特開2007−272087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、優れた形状のレジストパターンを製造できるレジスト組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
〔1〕酸の作用によりアルカリ水溶液への溶解性が増大する樹脂、酸発生剤、式(I)で表される化合物及び溶剤を含むレジスト組成物であって、
溶剤の含有量が、レジスト組成物の総量に対して、40〜75質量%であるレジスト組成物。
[式(I)中、環Wは、環を構成する原子として窒素原子を有する複素環、あるいは、置換又は無置換のアミノ基を有するベンゼン環を表す。
は、フェニル基又はナフチル基を表す。
nは、2又は3を表す。]
〔2〕環Wは、環を構成する原子として窒素原子を有する複素環である〔1〕記載のレジスト組成物。
〔3〕前記樹脂は、式(a1−1)又は式(a1−2)で表される構造単位を有する樹脂である〔1〕又は〔2〕記載のレジスト組成物。
[式(a1−1)中、
a1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表すか、Ra1及びRa2は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成し、Ra3は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表す。
a4は、水素原子又はメチル基を表す。]
[式(a1−2)中、
a1’及びRa2’は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Ra3’は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、Ra1’は、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Ra2’及びRa3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を表す。該炭素数1〜20の炭化水素基、該炭素数1〜12の炭化水素基及び該2価の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わってもよい。
a5は、水素原子又はメチル基を表す。
a6は、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
mは、0〜4の整数を表す。mが2以上のとき、複数のRa6は互いに同一でも異なっていてもよい。]
〔4〕 酸発生剤は、式(b1)又は式(b3)で表される化合物である〔1〕〜〔3〕いずれか1つに記載のレジスト組成物。
[式(b1)及び式(b3)中、Rb1は、フッ素原子を有してもよい炭素数1〜18の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されてもよい。
b3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアルコキシ基を表す。
環Wb1は、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素環又は置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族複素環を表す。]
〔5〕 酸発生剤は、式(b1)で表される化合物である〔4〕記載のレジスト組成物。
〔6〕 環Wb1はナフタレン環である[1]〜[4]のいずれか1つに記載のレジスト組成物。
〔7〕 酸の作用によりアルカリ水溶液への溶解性が増大する樹脂、酸発生剤、式(I)で表される化合物及び溶剤を含む、
膜厚3〜150μmのレジストフィルムを製造するためのレジスト組成物。
[式(I)中、環Wは、環を構成する原子として窒素原子を有する複素環、あるいは、置換又は無置換のアミノ基を有するベンゼン環を表す。
は、フェニル基又はナフチル基を表す。
nは、2又は3を表す。]
〔8〕 酸発生剤は、式(b1)又は式(b3)で表される化合物である〔7〕に記載のレジスト組成物。
[式(b1)及び式(b3)中、Rb1は、フッ素原子を有してもよい炭素数1〜18の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されてもよい。
b3は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアルコキシ基を表す。
環Wb1は、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素環又は置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族複素環を表す。]
〔9〕 環Wb1はナフタレン環である〔7〕または〔8〕記載のレジスト組成物。
〔10〕 (1)〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載のレジスト組成物を基板に塗布する工程;
(2)塗布後のレジスト組成物を乾燥して組成物層を形成する工程;
(3)組成物層に露光する工程;
(4)露光後の組成物層を現像する工程;
を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明のレジスト組成物によれば、優れた形状のレジストパターンを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ラインアンドスペースパターンの断面形状の模式図を表す。図1(a)は、トップ形状及び裾形状が矩形に近く良好な断面を表し、図1(b)はトップ形状が丸い断面を表し、図1(c)はT−トップ形状である断面を表す。
図2】コンタクトホールパターンの断面形状の模式図を表す。図2(d)はトップ形状及び裾形状が矩形に近く良好な断面を表し、図2(e)は、裾形状が丸い断面を表す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のレジスト組成物は、樹脂(A)と、酸発生剤(B)と、式(I)で表される化合物(以下「化合物(I)」という場合がある。)と、溶剤(D)とを含む。
【0009】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一種」を意味する。「(メタ)アクリル酸」等の表記も同様の意味を表す。
【0010】
<樹脂(A)>
本発明のレジスト組成物は、樹脂(A)として、酸の作用によりアルカリ水溶液への溶解性が増大する樹脂(以下「樹脂(A1)」という場合がある。)を含む。
【0011】
「酸の作用によりアルカリ水溶液への溶解性が増大する」とは、酸との接触によりアルカリ水溶液への溶解性が増大することを意味する。酸との接触前ではアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸との接触後にアルカリ水溶液に可溶となることが好ましい。このような樹脂としては、酸不安定基を有する構造単位(以下「構造単位(a1)」という場合がある。)が好ましい。
【0012】
「酸不安定基」とは、脱離基を有し、酸との接触により脱離基が脱離して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する基を意味する。酸不安定基としては、例えば、式(1)で表される基、式(2)で表される基等が挙げられる。
[式(1)中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表すか、Ra1及びRa2は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を表し、Ra3は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表す。*は結合手を表す。]
【0013】
[式(2)中、Ra1’及びRa2’は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Ra3’は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、Ra1’は、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Ra2’及びRa3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を表す。該炭素数1〜20の炭化水素基、該炭素数1〜12の炭化水素基及び該2価の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わってもよい。*は結合手を表す。]
【0014】
a1〜Ra3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
a1〜Ra3の脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、下記の基(*は結合手を表す。)等が挙げられる。
a1〜Ra3の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜16である。
【0015】
a1及びRa2が互いに結合して2価の炭化水素基を形成する場合の−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)としては、例えば、下記の基が挙げられる。該2価の炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜12である。*は−O−との結合手を表す。
【0016】
式(1)で表される基としては、例えば、1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)においてRa1、Ra2及びRa3のいずれもがアルキル基である基、好ましくはtert−ブトキシカルボニル基)、2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2が結合してアダマンチル基を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)等が挙げられる。
【0017】
式(2)で表される基のRa1’〜Ra3’の炭化水素基としては、アルキル基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基等、並びに、これらが組合わせられた基が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等の多環式の脂環式炭化水素基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
アルキル基と脂環式炭化水素基とが組合わせられた基としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基、イソボルニル基及び2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基等が挙げられる。
アルキル基と芳香族炭化水素基とが組合わせられた基としては、例えばアラルキル基であり、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
a2'及びRa3'が互いに結合して形成する2価の炭化水素基としては、例えば、Ra1'〜Ra3'の炭化水素基から水素原子を1個取り去った基が挙げられる。
a1'及びRa2'のうち少なくとも1つは水素原子が好ましい。
【0018】
式(2)で表される基の具体例としては、例えば、以下の基が挙げられる。
【0019】
<構造単位(a1)>
構造単位(a1)を導くモノマーは、酸不安定基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマーが好ましく、式(1)で表される基及び/又は式(2)で表される基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマーがより好ましい。
樹脂(A1)は、構造単位(a1)の1種のみを有していてもよく、複数種を有していてもよい。
【0020】
構造単位(a1)としては、式(a1−1)で表される構造単位(以下「構造単位(a1−1)」という場合がある。)及び式(a1−2)で表される構造単位(以下「構造単位(a1−2)」という場合がある。)が好ましい。
[式(a1−1)及び式(a1−2)中、
a1、Ra2、Ra3、Ra1’a2’及びRa3’は、それぞれ上記と同じ意味を表す。
a4及びRa5は、互いに独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a6は、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
mは、0〜4の整数を表す。mが2以上のとき、複数のRa6は互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0021】
式(a1−2)において、Ra1’は、好ましくは、水素原子である。
a2’は、好ましくは炭素数1〜12の炭化水素基であり、より好ましくはメチル基及びエチル基である。
a3’の炭化水素基は、好ましくは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基又はこれらが組合わせされた基であり、より好ましくは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式脂肪族炭化水素基又は炭素数7〜18のアラルキル基である。前記アルキル基及び前記脂環式炭化水素基は無置換が好ましい。前記芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、その置換基としては炭素数6〜10のアリールオキシ基が好ましい。
a5は、水素原子が好ましい。
a6は、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
mは、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
【0022】
構造単位(a1−1)としては、例えば、式(a1−1−1)〜式(a1−1−17)のいずれかで表される構造単位が挙げられる。
【0023】
【0024】
構造単位(a1−2)を導くモノマーとしては、例えば、式(a1−2−1)〜式(a1−2−8)のいずれかで表されるモノマーが挙げられる。

【0025】
樹脂(A1)が構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を有する場合、これらの合計含有割合は、樹脂(A1)の全構造単位に対して、10〜95モル%が好ましく、15〜90モル%がより好ましく、20〜85モル%がさらに好ましく、20〜60モル%が特に好ましい。
【0026】
<酸不安定基を有さない構造単位>
樹脂(A1)は、構造単位(a1)に加え、酸不安定基を有さない構造単位(以下「構造単位(a2)」という場合がある。)を有していてもよい。樹脂(A1)は、構造単位(a2)の1種のみを有していてもよく、複数種を有していてもよい。
樹脂(A1)が構造単位(a2)を有する場合、構造単位(a1)と構造単位(a2)との含有比〔構造単位(a1):構造単位(a2)〕はモル基準で、好ましくは10:90〜80:20であり、より好ましくは20:80〜60:40である。
【0027】
構造単位(a2)としては、たとえば、式(a2−1)〜式(a2−3)のいずれかで表される構造単位(以下、式番号に応じて「構造単位(a2−1)」等という場合がある。)が挙げられる。
[式(a2−1)、式(a2−2)及び式(a2−3)中、
a7、Ra8及びRa9は、互いに独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a10は、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
m’は0〜4の整数を表す。m’が2以上のとき、複数のRa10は互いに同一でも異なっていてもよい。
a11は、炭素数1〜10の1級の炭化水素基又は2級炭化水素基を表す。
a12は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
a1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。ただし、酸素原子と結合する炭素原子は、第一炭素原子又は第二炭素原子である。
nは、1〜30の整数を表す。nが2以上のとき、複数のLa1は互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0028】
a10またはRa12で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
a10で示されるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基及びプロパン−2,2−ジイル基; プロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−2,4−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基;等が挙げられる。
a11で示される炭化水素基として、アルキル基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプタン基、オクタン基、ノナン基、デカン基、芳香族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、アラルキル基;ベンジル基等が挙げられる。
【0029】
a7は、水素原子が好ましい。
a10は、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
m’は、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
a11は、炭素数1〜6の1級または2級のアルキル基が好ましい。
a1は、炭素数2〜4のアルカンジイル基が好ましく、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基がより好ましく、エタン−1,2−ジイル基がさらに好ましい。
nは、1〜10の整数が好ましい。
【0030】
構造単位(a2−1)としては、式(a2−1−1)、式(a2−1−2)、式(a2−1−3)又は式(a2−1−4)で表される構造単位が好ましい。また、構造単位(a2−1)を導くモノマーは、例えば、特開2010−204634号公報に記載されている。
【0031】
構造単位(a2−2)を導くモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
アダマンチル(メタ)アクリレート等の多環式(メタ)アクリル酸エステル;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;が挙げられる。
【0032】
構造単位(a2−3)を導くモノマーとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノプロピルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0033】
さらに、構造単位(a2)を導くモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−イソプロポキシスチレン等が挙げられる。
【0034】
樹脂(A1)が有する構造単位の組み合わせとしては、式(A1−1)〜式(A1-19)で表されるものが挙げられる。
【0035】
【0036】
樹脂(A1)は、好ましくは構造単位(a1)と構造単位(a2)とを有する樹脂であり、より好ましくは、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)と構造単位(a2)とを有する樹脂である。
樹脂(A1)は、上述したモノマーを公知の重合法(例えばラジカル重合法)で重合することにより製造できる。
更に、後述するアルカリ可溶性樹脂やビニルオキシ化合物と上記重合により得られた樹脂とを反応させることにより得られる樹脂も、樹脂(A1)として用いてよい。
該樹脂は、例えば、構造単位(a1−2)及び/又は構造単位(a2−1)を導くモノマーを重合し、該重合により得られた樹脂と、後述するノボラック樹脂と、1分子中に少なくとも2個以上のビニルオキシ基を含有する化合物とを反応させて得ることができる。
該樹脂としては、例えば、特開2008−134515号公報、特開2008−46594号公報記載の樹脂が挙げられる。
1分子中に少なくとも2個以上のビニルオキシ基を含有する化合物としては、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。
上記重合により得られた樹脂とノボラック樹脂との使用量比は質量基準で、好ましくは30:70〜70:30である。
1分子中に少なくとも2個以上のビニルオキシ基を含有する化合物の使用量は、重合により得られた樹脂及びノボラック樹脂の合計100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜10質量部である。
【0037】
樹脂(A1)の重量平均分子量は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上であり、好ましくは600,000以下、より好ましくは500,000以下である。
樹脂(A1)は、構造単位(a1−2)及び/又は構造単位(a2−1)を導くモノマーを重合し、該重合により得られた樹脂と、後述するノボラック樹脂と、1分子中に少なくとも2個以上のビニルオキシ基を含有する化合物とを反応させて得られた樹脂である場合、その重量平均分子量は、好ましくは5,000以上、より好ましくは10,000以上であり、また好ましくは300,000以下、より好ましくは200,000以下である。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものである。この分析の詳細な分析条件は、本願の実施例に記載する。
【0038】
<樹脂(A2)>
本発明のレジスト組成物は、樹脂(A)として、さらに樹脂(A1)とは異なる樹脂(以下「樹脂(A2)」という場合がある。)を含んでいてもよい。
樹脂(A2)は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂とは、酸性基を含有し、アルカリ現像液に可溶な樹脂である。酸性基は、例えば、カルボキシ基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基である。
アルカリ可溶性樹脂としては、レジスト分野で公知のアルカリ可溶性樹脂が挙げられ、例えば、ノボラック樹脂や、構造単位(a2−1)を有し構造単位(a1)を有しない樹脂等が挙げられる。好ましくは、ノボラック樹脂である。
【0039】
ノボラック樹脂とは、フェノール化合物とアルデヒドとを触媒の存在下に縮合させて得られる樹脂である。フェノール化合物としては、例えば、フェノール;o−、m−又はp−クレゾール;2,3−、2,5−、3,4−又は3,5−キシレノール;2,3,5−トリメチルフェノール;2−、3−又は4−tert−ブチルフェノール;2−tert−ブチル−4−又は5−メチルフェノール;2−、4−又は5−メチルレゾルシノール;2−、3−又は4−メトキシフェノール;2,3−、2,5−又は3,5−ジメトキシフェノール;2−メトキシレゾルシノール;4−t−ブチルカテコール;2−、3−又は4−エチルフェノール;2,5−又は3,5−ジエチルフェノール;2,3,5−トリエチルフェノール;2−ナフトール;1,3−、1,5−又は1,7−ジヒドロキシナフタレン;キシレノールとヒドロキシベンズアルデヒドとの縮合により得られるポリヒドロキシトリフェニルメタン系化合物等が挙げられる。これらのフェノール化合物は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、フェノール化合物としては、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、3−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノールが好ましい。
【0040】
アルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、アクロレイン又はクロトンアルデヒドのような脂肪族アルデヒド類;シクロヘキサンアルデヒド、シクロペンタンアルデヒド、フルフラール又はフリルアクロレイン等の脂環式アルデヒド類;ベンズアルデヒド、o−、m−もしくはp−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、2,4−、2,5−、3,4−もしくは3,5−ジメチルベンズアルデヒド又はo−、m−もしくはp−ヒドロキシベンズアルデヒドのような芳香族アルデヒド類;フェニルアセトアルデヒド又はケイ皮アルデヒドのような芳香脂肪族アルデヒド類等が挙げられる。これらのアルデヒドも、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらのアルデヒドのなかでは、工業的に入手しやすいことから、ホルムアルデヒドが好ましい。
【0041】
フェノール化合物とアルデヒドとの縮合に用いられる触媒の例としては、塩酸、硫酸、過塩素酸又は燐酸のような無機酸;蟻酸、酢酸、蓚酸、トリクロロ酢酸又はp−トルエンスルホン酸のような有機酸;酢酸亜鉛、塩化亜鉛又は酢酸マグネシウムのような二価金属塩等が挙げられる。これらの触媒は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。かかる触媒の使用量は、例えば、アルデヒド1モルに対して0.01〜1モルである。
【0042】
フェノール化合物とアルデヒドとの縮合反応は、常法に従って行うことができる。該縮合反応は、例えば、フェノール化合物とアルデヒドとを混合した後、60〜120℃の温度で2〜30時間程度反応させることにより行うことができる。当該縮合反応は溶媒の存在下で行ってもよい。当該縮合反応における溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等が挙げられる。反応終了後、例えば、必要に応じて反応混合物に水に不溶な溶媒を加え、反応混合物を水で洗浄した後、濃縮することにより、ノボラック樹脂を取り出すことができる。
【0043】
樹脂(A)の含有量は、固形分の総量に対して、好ましくは80質量%以上99質量%以下である。
尚、本明細書において「固形分」とは、本発明のレジスト組成物から溶剤(D)を除いた成分の合計を意味する。固形分及び本発明のレジスト組成物に含まれる各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定することができる。
樹脂(A1)の含有量は、樹脂(A)の総量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは100質量%以下である。
【0044】
<酸発生剤(B)>
酸発生剤(B)は、非イオン系とイオン系とに分類されるが、いずれでもよい。
非イオン系酸発生剤としては、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2−ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、N−スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン4−スルホネート)、及びスルホン類(例えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が挙げられる。イオン系酸発生剤としては、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えばジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩)等が挙げられる。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、及びスルホニルメチドアニオン等が挙げられる。
【0045】
酸発生剤(B)としては、例えば特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放射線によって酸を発生する化合物を使用できる。
【0046】
非イオン系酸発生剤としては、式(B1)で表される基を有する化合物が好ましい。
[式(B1)中、
b1は、フッ素原子を有してもよい炭素数1〜18の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されてもよい。]
【0047】
炭素数1〜18の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜18のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンチル基などの炭素数3〜18の脂環式炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基などの炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が挙げられる。
上記炭化水素基としては、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10の芳香族炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
該炭化水素基に含まれるメチレン基が酸素原子又はカルボニル基で置換された基としては、例えば、式(Y1)〜式(Y12)で表される基が挙げられる。好ましくは、式(Y7)〜式(Y9)で表される基であり、より好ましくは、式(Y9)で表される基である。
【0048】
フッ素原子を有する炭素数1〜18の炭化水素基としては、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フルオロブチル基、フルオロペンチル基、フルオロヘキシル基、フルオロヘプチル基、フルオロオクチル基、フルオロノニル基、フルオロデシル基等の炭素数1〜18のフルオロアルキル基;シクロフルオロプロピル基、シクロフルオロブチル基、シクロフルオロペンチル基、シクロフルオロヘキシル基、シクロフルオロヘプチル、シクロフルオロオクチル基、フルオロアダマンチル基などの炭素数3〜18の脂環式炭化水素基;フルオロフェニル基、フルオロナフチル基、フルオロアントリル基、等のアリール基などの炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0049】
フッ素原子を有する炭素数1〜18の炭化水素基としては、好ましくは、フッ素原子を有する炭素数1〜10のアルキル基又はフッ素原子を有する芳香族炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜8のペルフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基である。
【0050】
式(B1)で表される基を有する化合物としては、例えば、式(b1)〜式(b4)のいずれかで表される化合物が挙げられ、好ましくは式(b1)、式(b2)又は式(b3)で表される化合物であり、より好ましくは式(b1)又は式(b3)で表される化合物であり、さらに好ましくは、式(b1)で表される化合物である。
[式(b1)〜式(b4)中、Rb1は、上記と同じ意味を表す。
b2、Rb3及びRb4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアルコキシ基を表す。
環Wb1は、置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素環、又は置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族複素環を表す。]
【0051】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
【0052】
炭素数6〜14の芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環が挙げられる。
芳香族複素環としては、環を構成する原子数が6〜14の環が好ましく、例えば、下記の環が挙げられる。
環Wb1が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
環Wb1は、好ましくは、ナフタレン環であり、より好ましくは無置換のナフタレン環である。
【0053】
式(b1)で表される化合物としては、式(b5)〜式(b8)のいずれかで表される化合物が好ましく、式(b5)で表される化合物がより好ましい。
[式(b5)〜式(b8)中、Rb1は、上記と同じ意味を表す。
b5、Rb6及びRb7は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。]
【0054】
式(b1)で表される化合物としては、例えば、式(b1−1)〜式(b1−11)のいずれかで表される化合物が挙げられる。好ましくは式(b1−5)〜式(b1−11)のいずれかで表される化合物であり、より好ましくは、式(b1−6)又は式(b1−7)で表される化合物である。
【0055】
式(b2)で表される化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0056】
式(b3)で表される化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0057】
式(b4)で表される化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0058】
イオン系酸発生剤としては、式(b9)又は式(b10)で表される化合物が好ましい。
[式(b9)及び式(b10)中、
b1及びAb2は、互いに独立に、酸素原子又は硫黄原子を表す。
b8、Rb9、Rb10及びRb11は、互いに独立に、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表す。
X1及びX2は、有機アニオンを表す。]
【0059】
炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
炭素数6〜12の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
b8、Rb9、Rb10及びRb11は、それぞれ、好ましくは炭素数6〜12の芳香族化合物であり、より好ましくはフェニル基である。
【0060】
X1及びX2としては、スルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが挙げられる。好ましくはスルホン酸アニオンであり、式(b11)で表されるスルホン酸アニオンが好ましい。
[式(b11)中、Rb12は、フッ素原子を有してもよい炭素数1〜18の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されてもよい。]
b12としては、式(B1)中のRb1と同様の基が挙げられる。
【0061】
式(b9)で表される化合物として、例えば、下記の化合物が挙げられる。
【0062】
式(b10)で表される化合物として、例えば、下記の化合物が挙げられる。
【0063】
酸発生剤(B)は、公知の方法により合成することができ、市販もされている。
酸発生剤(B)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下である。
【0064】
<化合物(I)>
化合物(I)は、式(I)で表される化合物である。
[式(I)中、環Wは、環を構成する原子として窒素原子を有する複素環、あるいは、置換又は無置換のアミノ基を有するベンゼン環を表す。
は、フェニル基又はナフチル基を表す。
nは、2又は3を表す。]
【0065】
前記の置換又は無置換のアミノ基は、−NRで表され、R及びRは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を表す。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基の単環式の脂環式炭化水素基;及び、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基などの多環式の脂環式炭化水素基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
【0066】
環を構成する原子に窒素原子を含む複素環は、芳香環でも非芳香環でもよく、窒素原子とともに他のヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子)を有していてもよい。該複素環が有する窒素原子の数は、例えば、1〜3個である。該複素環としては、例えば、式(Y13)〜式(Y28)のいずれかで表される環が挙げられる。
【0067】
環Wは、好ましくは環を構成する原子として窒素原子を有する複素環であり、より好ましくは、環を構成する原子として1つ若しくは2つの窒素原子を有する5員または6員の芳香族複素環であり、更に好ましくは式(Y20)〜式(Y25)のいずれかで表される環である。環Wにより表される上記複素環及び上記ベンゼン環は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基又は水酸基を置換基として有していてよい。
【0068】
化合物(I)として、例えば、式(I−1)〜式(I−11)のいずれかで表される化合物が挙げられる。好ましくは式(I−2)〜式(I−8)のいずれかで表される化合物である。

【0069】
化合物(I)は、公知の方法により合成することができ、市販もされている。
化合物(I)の含有量は、固形分の総量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、好ましくは4質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
【0070】
<溶剤(D)>
溶剤(D)は、本発明のレジスト組成物に含まれる成分を溶解するものであれば、特に限定されず、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノン等のケトン類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類等、及びこれらの混合溶剤が挙げられる。
溶剤(D)の含有率は、本発明のレジスト組成物の総量に対して、一般に40質量%以上75質量%以下であり、好ましくは45質量%以上70質量%以下、より好ましくは50質量%以上68質量%以下である。
溶剤(D)の含有率が上記範囲内であると、レジストパターンを製造する際に、厚み3〜150μm程度の組成物層を形成しやすい。
【0071】
<その他の成分(以下「その他の成分(F)」という場合がある)>
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、その他の成分(F)を含有していてもよい。その他の成分(F)に特に限定はなく、レジスト分野で公知の添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤及び染料等が挙げられる。
その他の成分(F)を用いる場合、その含有量は、その他の成分(F)の種類に応じて適宜選択する。
【0072】
<本発明のレジスト組成物の製造方法>
本発明のレジスト組成物は、樹脂(A)及び酸発生剤(B)、化合物(I)及び溶剤(D)並びに、必要に応じて用いられるその他の成分(F)を混合することにより調製できる。混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、樹脂の種類や溶剤(D)への溶解度等に応じて、10〜40℃の範囲で適宜選択できる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間の範囲で適宜選択できる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合等を用いることができる。各成分を混合した後は、孔径0.11〜50μm程度のフィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0073】
<レジストパターンの製造方法>
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本発明のレジスト組成物を基板に塗布する工程、
(2)塗布後のレジスト組成物を乾燥して組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程及び
(4)露光後の組成物層を現像する工程
を含む。
【0074】
工程(1)における本発明のレジスト組成物の基板上への塗布は、スピンコーター等、通常、当該分野で用いられている塗布装置によって行うことができる。基板としては、例えば、シリコンウェハ等が挙げられ、基板上には予め半導体素子(例えば、トランジスタ、ダイオード等)等が形成されていてもよい。本発明のレジスト組成物をパンブ形成に用いる場合、基板としては、さらに導電材料が積層されているものが好ましい。導電材料としては、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)及び銀(Ag)からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属、又は当該群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む合金が挙げられる。好ましくは、銅又は銅を含む合金である。
これらの基板は予め洗浄したり、反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜の形成には、市販の有機反射防止膜用組成物を用いることができる。
【0075】
工程(2)では、塗布後の組成物を乾燥することにより、溶剤が除去され、基板上に組成物層が形成される。乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いた加熱乾燥(いわゆるプリベーク)、減圧装置を用いた減圧乾燥、或いはこれらの手段を組み合わせて行われる。この場合の温度は、50〜200℃程度が好ましい。また、圧力は、1〜1.0×10Pa程度が好ましい。
工程(2)で得られた組成物層の膜厚が3μm〜150μmであることが好ましい。より好ましくは4μm〜100μmである。
【0076】
工程(3)では、好ましくは、露光機を用いて組成物層に露光する。この際、通常、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光機の露光光源としては、製造しようとするレジストパターンの解像度に応じて選択すればよいが、波長345〜436nmの光を放射する光源が好ましく、g線(波長:436nm)、h線(波長:405nm)又はi線(波長:365nm)がより好ましい。
【0077】
工程(3)の後、露光後の組成物層を加熱する工程(いわゆるポストエキスポジャーベーク)を加えてもよい。好ましくは、加熱装置により現像する工程である。加熱装置としては、ホットプレート等が挙げられる。加熱温度としては、通常、50〜200℃、好ましくは、60〜120℃である。加熱時間としては、通常、40〜400秒、好ましくは、50〜350秒である。
【0078】
工程(4)は、好ましくは、露光後の組成物層を現像装置により現像する。前記加熱工程を行う場合は、加熱後の組成物層を現像する。現像には、通常、アルカリ現像液が利用される。該アルカリ現像液としては例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。
現像後、超純水等でリンス処理を行い、さらに基板及びレジストパターン上に残存している水分を除去することが好ましい。
【0079】
<用途>
上述の樹脂(A1)と、酸発生剤(B)と、化合物(I)と、溶剤(D)とを含むレジスト組成物は、厚膜のレジストフィルムの製造に有用である。
膜厚3〜150μmのレジストフィルムを製造するための該レジスト組成物は、本発明の1つである。
更に、本発明のレジスト組成物はバンプの製造に有用である。
バンプは、レジスト組成物を用いて製造する場合、通常、以下の手順より形成することができる。
まず、半導体素子等が形成されたウェハ上に、導電材料(シードメタル)を積層して導電層を形成した後、該導電層上に本発明のレジスト組成物によりレジストパターンを形成する。次いで、該レジストパターンを鋳型として、メッキにより電極材料(例えば、Cu、Ni、はんだ等)を堆積させた後、レジストパターンと、レジストパターンの下に残存する導電層をエッチング等により除去することにより、バンプを形成することができる。導電層を除去した後、必要に応じて、熱処理によって電極材料を溶融させたものをバンプとしてもよい。
【0080】
本発明のレジスト組成物は、特に優れた形状のレジストパターンを製造できるため、バンプの製造に有用である。
【実施例】
【0081】
実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す「%」及び「部」は、特記しないかぎり質量基準である。
樹脂の重量平均分子量は、下記の分析条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた値である。
装置 :HLC−8120GPC型(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3 + guardcolumn(東ソー(株)製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー(株)製)
【0082】
合成例1[樹脂A1−1の合成]
攪拌器、還流冷却管、温度計を備えた四つ口フラスコに、ジオキサン118部を仕込み77℃まで昇温した。そこへメタクリル酸tert−ブチル42.7部、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(共栄社化学(株)製ライトエステル130MA)29.8部、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール45.2部、アゾビスイソブチロニトリル0.4部をジオキサン59部に溶解した溶液を1時間かけて滴下した。その後さらに77℃で10時間撹拌を継続した。冷却後メタノール130部、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート92部で希釈し、水1440部に注ぎ沈殿を得た。得られた沈殿をプロピレングリコールメチルエーテルアセテート184部で溶解し、メタノール423ぶ及び水918部の混合溶媒に注ぎ沈殿を得た。得られた沈殿をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解後、濃縮を行い、樹脂A1−1のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液206部(固形分40%)を得た。樹脂A1−1の重量平均分子量は1.10×10であった。樹脂A1−1は、下記の構造単位を有する。
【0083】
合成例2[樹脂A1−2の合成]
ポリビニルフェノール(日本曹達(株)製「VP−15000」)20部をメチルイソブチルケトン240部に溶解し、エバポレーターで濃縮した。還流冷却管、攪拌器、温度計を備えた四つ口フラスコに、濃縮後の樹脂溶液及びp−トルエンスルホン酸2水和物0.003部を仕込み、20〜25℃に保持したまま、エチルビニルエーテル5.05部を10分間かけて滴下した。混合液を、同温度を保持したまま、2時間攪拌を継続した後、メチルイソブチルケトン200部で希釈しイオン交換水で分液洗浄を5回行った。洗浄終了後の有機層を、エバポレーターを用いて45部まで濃縮を行ったのち、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150部を加えて、再度濃縮を行い、樹脂A1−2のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液78部(固形分29%)を得た。樹脂A1−2の重量平均分子量は2.21×10、エトキシエチル基の導入率は38.5%であった。樹脂A1−2は、下記の構造単位を有する。
【0084】
合成例3[ノボラック樹脂A2−1の合成]
攪拌器、還流冷却管、温度計を備えた四つ口フラスコに、2,5−キシレノール413.5部、サリチルアルデヒド103.4部、p−トルエンスルホン酸20.1部、メタノール826.9部を仕込み、還流状態まで昇温し、4時間保温した。冷却後メチルイソブチルケトン1320部を仕込み常圧で1075部留去した。そこにm−クレゾール762.7部と2−tert−ブチル−5−メチルフェノール29.0部を加え65℃まで昇温し、37%ホルマリン678部を滴下終了時に87℃になるように温調しながら1.5時間かけて滴下した。87℃で10時間保温した後メチルイソブチルケトン1115部を加え、イオン交換水で3回分液水洗を行った。得られた樹脂液にメチルイソブチルケトン500部を加えて全量が3435部になるまで減圧濃縮を行った。得られた樹脂液にメチルイソブチルケトン3796部とn−ヘプタン4990部を加え60℃に昇温して1時間攪拌した後、分液を行い下層の樹脂液をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3500部で希釈し、濃縮を行い、ノボラック樹脂A2−1のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液1690部(固形分43%)を得た。ノボラック樹脂A2−1の重量平均分子量は7×10であった。
【0085】
実施例1〜7、比較例1〜3
(レジスト組成物の調製)
表1に示す成分の各々を該表に示す質量部(樹脂の質量部は固形分としての質量部を表す)で混合して溶剤(溶剤の質量部は組成物全体に含まれる溶剤の質量部を表す)に溶解させた後、孔径0.5μmのフッ素樹脂製フィルターでろ過して、レジスト組成物を調製した。

【0086】
【表1】
【0087】
本明細書において、表に示す各符号は以下の材料を表す。
<樹脂>
A1−1:樹脂A1−1
A1−2:樹脂A1−2
A2−1:ノボラック樹脂A2−1
【0088】
<酸発生剤>
B1:N−ヒドロキシナフタルイミドトリフラート;商品名「NAI−105」(みどり化学(株)製)
B2:イルガキュア(登録商標) PAG−103(BASFジャパン(株)製)
【0089】
<クエンチャー>
I1:2,4,5−トリフェニルイミダゾール (東京化成工業(株)製)
I2:4,5−ジフェニルイミダゾール (東京化成工業(株)製)
I3:2,6−ジフェニルピリジン (東京化成工業(株)製)
C1:N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン (アルドリッチ社製)
C2:2−フェニルイミダゾール (東京化成工業(株)製)
【0090】
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0091】
<界面活性剤>
ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レ・ダウコーニング(株)製) 0.0019部
【0092】
(レジストパターンの製造)
4インチのシリコンウェハ上に銅が蒸着された基板に上記のレジスト組成物をプリベーク後の膜厚が5μmとなるようにスピンコートした。
その後、ダイレクトホットプレートで、表1の「PB」欄に示す温度で180秒間プリベークして組成物層を形成した。
次いで、該組成物層に、i−線ステッパー〔(株)ニコン製の“NSR 1755i7A”、NA=0.5〕を用い、露光量を段階的に変化させて1:1ラインアンドスペースパターンを形成するためのマスクを介して露光した。
露光後、ホットプレートにて表1の「PEB」欄に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行うことにより、レジストパターンを得た。
得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、線幅3μmのラインアンドスペースパターンのライン幅とスペース幅とが1:1となる露光量を実効感度とした。
【0093】
レジスト膜の表面形状:プリベーク後、得られたレジスト膜を目視にて観察し、塗布ムラがあるものを×、塗布ムラがないものを○と判断した。その結果を表2に示す。
【0094】
形状評価:実効感度において得られた3μmのラインアンドスペースパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、トップ形状及び裾形状が矩形に近く良好なもの[図1(a)]を○、トップ形状が丸いもの[図1(b)]及びT−トップ形状のもの[図1(c)]を×として判断した。その結果を表2に示す。
【0095】
解像度評価:実効感度において得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、解像できたラインアンドスペースパターンの線幅の最小値を測定した。
【0096】
保存安定性:調製後のレジスト組成物を40℃で2週間保存した後、該レジスト組成物から上記条件でレジストパターンを形成して評価を行った。調製直後のレジスト組成物による評価結果と比較して、解像度及びパターン形状に変化が認められず、かつ実効感度の変化率が10%未満であったものを○、解像度又はパターン形状に変化が認められるか、実効感度の変化率が10%以上であったものを×とした。その結果を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】
実施例8〜10及び比較例4
(レジスト組成物の調製)
表3に示す質量部(樹脂の質量部は固形分としての質量部を表す)の各成分と、ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レ・ダウコーニング(株)製)0.0017部とを混合して溶剤(溶剤の質量部は組成物全体に含まれる溶剤の質量部を表す)に溶解させた後、孔径5μmのフッ素樹脂製フィルターでろ過して、レジスト組成物を調製した。各成分を示す符号は上記と同じ意味を表す。

【0099】
【表3】
【0100】
上記のレジストパターンの製造において、プリベーク後の膜厚が20μmとなるようにスピンコートする以外は同じ操作を行い、レジストパターンを製造した。
得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、線幅20μmのラインアンドスペースパターンのライン幅とスペース幅とが1:1となる露光量を実効感度とした。
【0101】
レジスト膜の表面形状:プリベーク後、得られたレジスト膜を目視にて観察し、塗布ムラがあるものを×、塗布ムラがないものを○と判断した。その結果を表4に示す。
【0102】
形状評価:実効感度において得られた20μmのラインアンドスペースパターンにおいて、上記と同様に評価を行った。その結果を表4に示す。
解像度評価:実効感度において得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、解像できたラインアンドスペースパターンの線幅の最小値を解像度として求めた。その結果を表4に示す。
保存安定性:調製後のレジスト組成物を40℃で2週間保存した後、該レジスト組成物から上記条件でレジストパターンを形成して評価を行った。調製直後のレジスト組成物による評価結果と比較して、パターン形状に変化が認められず、かつ実効感度の変化率が10%未満であったものを○、パターン形状に変化が認められるか、実効感度の変化率が10%以上であったものを×とした。その結果を表4に示す。
【0103】
【表4】
【0104】
実施例11、12及び比較例5及び6
(レジスト組成物の調製)
表5に示す質量部(樹脂の質量部は固形分としての質量部を表す)の各成分と、ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レ・ダウコーニング(株)製)0.0014部とを混合して溶剤(溶剤の質量部は組成物全体に含まれる溶剤の質量部を表す)に溶解させた後、孔径15μmのフッ素樹脂製フィルターでろ過して、レジスト組成物を調製した。各成分を示す符号は上記と同じ意味を表す。


【0105】
【表5】
【0106】
(レジストパターンの製造)
4インチのシリコンウェハ上に銅が蒸着された基板に上記のレジスト組成物をプリベーク後の膜厚が50μmとなるようにスピンコートした。その後、ダイレクトホットプレートで、表5の「PB」欄に示す温度で300秒間プリベークして組成物層を形成した。次いで、該組成物層に、i−線ステッパー〔(株)ニコン製の“NSR 1755i7A”、NA=0.5〕を用い、露光量を段階的に変化させてコンタクトホールパターン(ホール径;50μm、ピッチ;100μm)を形成するためのマスクを介してを露光した。
露光後、ホットプレートにて表5の「PEB」欄に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行うことにより、レジストパターンを得た。
得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、コンタクトホールパターンのホール径が50μmとなる露光量を実効感度とした。
【0107】
レジスト膜の表面形状:プリベーク後、得られたレジスト膜を目視にて観察し、塗布ムラがあるものを×、塗布ムラがないものを○と判断した。その結果を表6に示す。
【0108】
形状評価:実効感度において得られたホール径50μmのコンタクトホールパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、トップ形状及び裾形状が矩形に近く良好なもの[図2(d)]を○、裾形状が丸いもの[図2(e)]を×として判断した。その結果を表6に示す。
解像度評価:実効感度において得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、解像できたラインアンドスペースパターンの線幅の最小値を解像度として求めた。その結果を表4に示す。
保存安定性:調製後のレジスト組成物を40℃で2週間保存した後、該レジスト組成物から上記条件でレジストパターンを形成して評価を行った。調製直後のレジスト組成物による評価結果と比較して、パターン形状に変化が認められず、かつ実効感度の変化率が10%未満であったものを○、パターン形状に変化が認められるか、実効感度の変化率が10%以上であったものを×とした。その結果を表6に示す。
【0109】
【表6】
【0110】
上記の結果から、本発明のレジスト組成物によれば、表面形状が良い厚膜のフィルムを作成することができ、優れた形状のレジストパターンが得られ、さらに優れた保存安定性をも示すことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明のレジスト組成物は、優れた形状のレジストパターンを製造することができる。
図1
図2