(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第一は、基板上に添着された重合性化合物を含有する液晶組成物に300〜400nmにピークを有する光を照射する光照射工程を別個独立する1〜n回備えた液晶表示素子の製造方法であって、
前記の1〜n回の光照射工程のうちk回目の光照射工程(S
k)の光照射条件下で前記重合性化合物を0.3質量%含有する液晶組成物に対して5分間光を照射した後の前記重合性化合物の濃度(C
k)と、0.3質量%との濃度差の単位分あたりの濃度変化量V
kが、以下の式(1)で工程毎に表される場合、以下の式(2)で表される全光照射工程(ΣS
k)における前記重合性化合物の平均反応速度V
aveを0.030〜0.048(質量%/分)に制御することを特徴とする、液晶表示素子の製造方法である。
【0018】
(上記式(1)中、C
kは重合性化合物を0.3質量%含有する液晶組成物に対してk回目の光照射工程(S
k)における光照射条件下で5分間光を照射した後の液晶組成物に含まれる前記重合性化合物の濃度(質量%)を表し、上記式(2)中、V
kは上記式(1)で表され、t
kはk回目の光照射工程における重合性化合物に光を照射する光照射時間(分)を表す。)
これにより、本発明の液晶表示素子の製造方法を用いた液晶表示素子は、VHRの低下を抑制・低減し、プレチルト角の変化による表示不良が無いか、あるいは極めて少なくすることができる。
【0019】
一般に液晶表示素子の製造方法は、液晶組成物を真空注入により一対の(電極)基板間に充填する方法(いわゆる真空注入法)と、一対の(電極)のうち少なくとも一方の(電極)基板上に液晶組成物を滴下する方法(いわゆるODF法)とに大別される。本発明に係る液晶表示素子の製造方法を前者の真空注入法で行う場合、必要により配向膜が設けられた一対の(電極)基板を備えた液晶セルを作製する液晶セル作成工程と、前記液晶セル内に真空注入により前記(電極)基板上に重合性化合物を含有する液晶組成物を添着させて充填する注入工程と、前記(電極)基板上に添着された重合性化合物を含有する液晶組成物に300〜400nmにピークを有する光を照射する光照射工程と、偏光板を貼り合せる工程と、を有することが好ましい。上記製造方法において、必要により注入工程の後、光照射工程を行う前に、液晶組成物が充填した液晶セルを60〜130℃の条件でアニールしてもよい。また、上記光照射工程は、1回以上行い、電圧を印加した状態で光照射工程を1回以上行うことが好ましい。
【0020】
本発明に係る液晶表示素子の製造方法を後者のODF法で行う場合、必要により配向膜が設けられた(電極)基板を一対作製する(電極)基板作成工程と、少なくとも一方の前記(電極)基板の片面の外周部に、接合用シール剤により接合用領域が全周にわたって描写する工程と、前記(電極)基板の片面の前記接合用領域の内側に重合性化合物を含有する液晶組成物を添着させた後、他方の(電極)基板と貼り合せて前記接合用シール剤を硬化させる工程と、前記(電極)基板上に添着された重合性化合物を含有する液晶組成物に300〜400nmにピークを有する光を照射する光照射工程と、偏光板を貼り合せる工程と、を有することが好ましい。また、上記光照射工程は、1回以上行い、電圧を印加した状態で光照射工程を1回以上行うことが好ましい。
【0021】
前記接合用シール剤は、UVまたは熱で硬化する樹脂により硬化することが好ましく、公知の熱硬化型のシール剤を用いることが好ましい。
【0022】
本発明に係る液晶表示素子の製造方法において、基板上に添着された重合性化合物を含有する液晶組成物に300〜400nmにピークを有する光を照射する光照射工程は、1〜n回行い、好ましくは1〜5回、より好ましくは1〜4回、さらに好ましくは1〜3回、特に好ましくは1〜2回行う。
【0023】
光照射工程を、1〜n回行うことで、VHRの低下の原因となる残存モノマー量の低減と所望のプレチルト角を形成することができる。
【0024】
本発明に係る製造方法において、1〜n回行う基板上に添着された重合性化合物を含有する液晶組成物に300〜400nmにピークを有する光を照射する光照射工程は、それぞれ別個独立であり、例えば、1〜n回のうちのk回目(1≦k≦n)の光照射工程を、S
kとし、1〜n回のうちのf回目(1≦f≦n、k≠f)の光照射工程をS
fとする場合、k回目の光照射工程(S
k)における照射条件(照射する光の波長、積算光量または照度、雰囲気など)は、f回目の光照射工程(S
f)における照射条件(照射する光の波長、積算光量または照度、雰囲気など)と同一であっても異なってもよい。また、光照射工程を1回行う場合は、当然のことながら1回の照射条件は独立している。
【0025】
本発明に係る式(1)は、ある光照射工程の光照射条件下において、重合性化合物を0.3質量%含有する液晶組成物に対して5分間光を照射した後の前記重合性化合物の濃度(C
k)と、0.3質量%との濃度差の単位分あたりの濃度変化量を表すものであることから、濃度変化量(V
k)はいわゆる上記ある光照射工程の光照射条件下における重合性化合物の反応性を示す指標を設定しているものである。換言すると、当該ある光照射工程の光照射条件下における重合性化合物の反応性を示す指標を算出するために、液晶組成物に含まれる重合性化合物の濃度を0.3質量%(=基準濃度と設定)とし、5分間の光照射時間を基準とした場合の変化率を設定したものである。例えば、重合性化合物が0.2質量%含む液晶組成物について20℃で300〜400nmにピークを有する光を照射する光照射工程を1〜n回行う液晶表示素子の製造方法においてV
kを測定する場合、当該重合性化合物が0.3質量%含む液晶組成物を調製して、前記重合性化合物含有液晶組成物を1〜k個の一対の(電極)基板間に充填した後、1〜k個の前記重合性化合物含有液晶組成物が充填された一対の(電極)基板それぞれに対して20℃での光照射工程(S
1)〜(S
k)における光照射条件下と同じ条件下で5分後のそれぞれの液晶組成物に含まれる重合性化合物の濃度をC
1、C
2・・・C
kを測定し、それに対応するV
1、V
2・・・V
kを算出する。同様に、例えば、重合性化合物が0.4質量%含む液晶組成物について25℃で300〜400nmにピークを有する光を照射する光照射工程を1〜n回行う液晶表示素子の製造方法においてV
kを測定する場合、当該重合性化合物が0.3質量%含む液晶組成物を調製して、前記重合性化合物含有液晶組成物を1〜k個の一対の(電極)基板間に充填した後、1〜k個の前記重合性化合物含有液晶組成物が充填された一対の(電極)基板それぞれに対して25℃での光照射工程(S
1)〜(S
k)における光照射条件下と同じ条件下で5分後のそれぞれの液晶組成物に含まれる重合性化合物の濃度をC
1、C
2・・・C
kを測定し、それに対応するV
1、V
2・・・V
kを算出する。また、V
kを測定する際の重合性化合物の温度(またはV
kを測定する工程の雰囲気の温度)は、各光照射工程(S
k)における光照射の際の重合性化合物の温度(または対応する光照射工程(S
k)における雰囲気の温度)と同じであることが好ましい。
【0026】
上記V
kを測定する際の照射条件(液晶セル(一対の(電極)基板)、照射する光の波長、積算光量または照度、雰囲気)は、実際の各光照射工程(S
k)における照射条件(液晶セル(一対の(電極)基板)、照射する光の波長、積算光量または照度、雰囲気)と同じであることが好ましい。
【0027】
本発明に係る式(2)において、各光照射工程(S
k)の光照射条件下における重合性化合物の濃度変化率と当該各光照射工程における照射時間と積は、各光照射工程におけるみかけの減少した重合性化合物の濃度を示し、その濃度の全工程における総和は、全光照射工程における“みかけ”の減少した重合性化合物の全濃度を表し、当該全光照射工程における“みかけ”の減少した重合性化合物の濃度を全光照射時間で除すると全光照射工程における“みかけ”の重合性化合物の反応速度が表される。したがって、本発明に係る平均反応速度V
aveは、全光照射工程における“みかけ”の重合性化合物の反応速度が表される。そのため、当該平均反応速度V
aveを特定の範囲に制御することで、プレチルト角の変化による表示不良が無いか、あるいは極めて少なく、かつVHRの低下やそれに起因する表示不良の低減・抑制する液晶表示素子の製造方法の提供することができる。
【0028】
本発明に係る平均反応速度V
ave(質量%/分)の下限値は、0.030以上、0.031以上、0.032以上、0.033以上、0.034以上であることが好ましく、本発明に係る平均反応速度V
aveの上限値は、0.048以下、0.047以下、0.046以下、0.045以下、0.044以下、0.043以下であることが好ましい。また、本発明に係る平均反応速度V
aveは、0.030〜0.048が好ましく、0.032〜0.048がより好ましく、0.032〜0.047がさらに好ましく、0.032〜0.045がよりさらに好ましく、0.033〜0.045がさらにより好ましく、0.033〜0.045が特に好ましい。
【0029】
本発明に係る平均反応速度V
aveの下限値が0.030であると、長時間の光照射によるVHRの低下が起こりにくいというメリットがあり、上限値が0.048であると、プレチルト角の変化による焼き付きが起こりにくいというメリットがある。
【0030】
本発明に係る光照射工程(S
k)における光照射条件は、照射する光が有するピークの波長および/または照射する光の照度を含むことが好ましい。
【0031】
本発明に係る液晶表示素子の製造方法において、重合性化合物に照射する光は、300〜400nmにピークを有する光であり、紫外光が好ましい。本発明に係る光照射工程(S
k)において使用する光は、313nm近傍にピークを有するまたは365nm近傍にピークを有することが好ましく、313nm近傍にピークを有するおよび365nm近傍にピークを有することがより好ましく、313nm近傍にピークを有することが特に好ましい。313nm近傍にピークを有すると、重合性化合物の反応速度が速くなるため、光照射時間が短く済み、長光照射によるVHR低下が起こりにくいというメリットがある。また、必要により公知のカットフィルタで特定の波長や特定の波長以下の光をカットしてもよい。本発明に係る光照射において、300〜350nmの範囲以下の光をカットすることが好ましく、例えば、320nm以下の光をカット、325nm以下の光をカットする態様が挙げられる。
【0032】
これにより、重合性化合物の反応速度を調整しやすいというメリットがある。
【0033】
本発明に係る光照射工程(S
k)において照射する300〜400nmにピークを有する光の照度の下限値は、10mW/cm
2であることが好ましく、20mW/cm
2であることがより好ましく、30mW/cm
2がさらに好ましい。上記照射する光の照度の上限値は、1500mW/cm
2であることが好ましく、1000mW/cm
2であることがより好ましく、800mW/cm
2がさらに好ましい。
【0034】
本発明に係る光照射工程(S
k)において、313nm近傍にピークを有するおよび/または365nm近傍にピークを有する光を照射する光照射条件の場合、本発明に係る光照射工程(S
k)における照射する光(313nm)の照度の下限値は、0.1mW/cm
2であることが好ましく、0.3mW/cm
2であることがより好ましく、2mW/cm
2がさらに好ましい。上記照射する光(313nm)の照度の上限値は、30mW/cm
2であることが好ましく、25mW/cm
2であることがより好ましく、20mW/cm
2がさらに好ましい。
【0035】
照射する光(313nm)の照度の下限値が2mW/cm
2であると、重合性化合物の平均反応速度を0.030〜0.048の範囲に制御できる観点で好ましい。使用する紫外線の照度の上限値が20mW/cm
2であると、光重合性化合物の平均反応速度を0.030〜0.048の範囲に制御できる観点で好ましい。
【0036】
本発明に係る光照射工程(S
k)において、313nm近傍にピークを有するおよび/または365nm近傍にピークを有する光を照射する光照射条件の場合、本発明に係る光照射工程(S
k)における照射する光(365nm)の照度の下限値は、0.1mW/cm
2であることが好ましく0.5mW/cm
2であることがより好ましく、1mW/cm
2がさらに好ましい。上記照射する光(365nm)の照度の上限値は、150mW/cm
2であることが好ましく、130mW/cm
2であることがより好ましく、120mW/cm
2がさらに好ましい。
【0037】
照射する光(365nm)の照度の下限値が1mW/cm
2であると、重合性化合物の平均反応速度を0.030〜0.048の範囲に制御できる観点で好ましい。使用する紫外線の照度の上限値が120mW/cm
2であると、光重合性化合物の平均反応速度を0.030〜0.048の範囲に制御できる観点で好ましい。
【0038】
本発明に係る照射する光の照度の測定方法は特に制限されることはなく、公知の方法や装置で行うことができるが、本明細書における照射する光の照度の測定方法には、313nmの照度にウシオ電機製UVD−S313を、365nmの照度にウシオ電機製UVD−S365を使用している。
【0039】
本発明に係る光照射工程(S
k)における光の照射時間(t
k)は、光照射工程の回数などで適宜定められるが、0.5〜100分であることが好ましい。上記光照射工程における照射時間の下限値は、0.5分であることがより好ましく、1分であることがさらに好ましく、1.5分であることが特に好ましい。上記紫外線の照射時間の上限値は、60分であることがより好ましく、50分であることがさらに好ましく、45分であることが特に好ましい。
【0040】
重合させる工程において強い紫外線を長時間照射する場合、製造装置の大型化、製造効率の低下を招くことになるとともに、紫外線による液晶組成物の劣化等が生じてしまう。一方、紫外線の照射時間を短くすると、残存した重合性化合物によって生じる表示不良のひとつである焼き付きの発生が避けられない。光照射工程が上記の条件であれば、後述にも説明するが、組成物全体における未反応の重合性化合物をあえて残存させて、さらに光照射工程を行うことで残存した未反応の重合性化合物を使用することができる。
【0041】
本発明に係る全光照射工程(ΣS
k)における光の照射時間(Σt
k)は、光照射工程の回数などで適宜定められるが、5〜100分であることが好ましい。上記光照射工程における照射時間の下限値は、5分であることがより好ましく、10分であることがさらに好ましく、15分であることが特に好ましい。上記紫外線の照射時間の上限値は、分であることがより好ましく、70分であることがさらに好ましく、60分であることが特に好ましい。
【0042】
本発明に係る光照射工程(S
k)における雰囲気の温度範囲は、19℃〜63℃であることが好ましく、20℃〜50℃であることがより好ましい。また、光照射工程(S
k)に対応する濃度変化率(V
k)の算出における雰囲気の温度と、当該光照射工程(S
k)における雰囲気の温度とは同一であることが好ましい。すなわち、液晶組成物に含まれる重合性化合物の基準濃度0.3質量%から5分後の減少した濃度(V
k+1)の算出の際の雰囲気(または重合性化合物)の温度と、V
k+1に対応する光照射工程(S
k+1)の雰囲気の温度が同一であることが好ましい。
【0043】
なお、本明細書の紫外線の波長領域は、200〜380nmとし、可視光の波長領域は、380〜780nmとする。
【0044】
本発明に係る光照射工程(S
k)は、紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良いが、無偏光の紫外線を照射することが好ましい。
【0045】
本発明に係る光照射工程(S
k)において、光照射における雰囲気は特に制限されることはなく、大気雰囲気であってもよく、窒素や希ガス雰囲気下であってもよい。
【0046】
本発明に係る光照射工程(S
k)で使用できる照射方式は特に制限されることはなく公知の照射方式を使用することができる。
【0047】
本発明において、重合性化合物に照射する光を発生させるランプとしては、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、蛍光UVランプ、超高圧水銀ランプ、ケミカルランプ、LED光源、エキシマレーザー発生装置等を用いることができ、j線(313nm)、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)などの300nm以上450nm以下の波長を有する活性光線が好ましく使用でき、j線(313nm)の300nm以上400nm以下の波長を有する活性光線が好ましい。
また、必要に応じて長波長カットフィルタ、短波長カットフィルタ、バンドパスフィルタのような分光フィルターを通して照射光を調整してもよく、必要に応じて、紫外線をカットして使用してもよい。
【0048】
さらに、本発明に係る光照射工程(S
k)において照射する紫外線の波長としては、上記の300〜400nm波長の紫外線を含んでさえすればよく、重合性化合物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射してもよい。照射する紫外線などの活性エネルギー線は、複数のスペクトルを有するものが好ましく、複数のスペクトルを有する紫外線が好ましい。複数のスペクトルを有する活性エネルギー線の照射によって、重合性化合物は、その種類ごとに適したスペクトル(波長)の活性エネルギー線によって重合することが可能となり、この場合、液晶分子の配向方向を制御できる重合体がより効率的に形成される。
【0049】
本発明の液晶組成物に含まれる重合性化合物を重合させて液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度が望ましいので、紫外線とは別に、電子線等の活性エネルギー線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法であってもよい。
【0050】
また、重合性化合物含有液晶組成物を2枚の基板間に挟持させた状態で紫外線を照射する場合(重合を行う)場合には、少なくとも照射面側の基板は紫外線に対して適当な透明性が与えられていることが好ましい。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に紫外線を照射して重合させるという手段を用いても良い。
【0051】
本発明に係る液晶表示素子の製造方法において、1〜n回の光照射工程のうち少なくとも1つの光照射工程(S
k)において、電圧を印加した状態で光を照射することが好ましい。
【0052】
重合性化合物を含有する液晶組成物に対して電圧を印加した状態でさらに所定の波長の光を照射することで、残存した重合性化合物由来の重合体により液晶分子の安定したプレチルト角を形成することができる。より詳細に説明すると、光照射工程(S
k)において重合した重合体により重合性化合物を含有する液晶組成物を構成する液晶分子の配向方向を基板に対して特定の方向(例えば、基板に対して垂直方向)に配向させ、必要によりさらに光照射工程で重合した重合体により安定したプレチルト角を形成することで、液晶分子が垂直配向で固定化することができる。これにより、例えば電圧ON時における液晶分子は、フィッシュボーン構造の外側から中心に向かう方向と、平行に配向するため、マルチドメインの液晶表示素子を製造することができる。
【0053】
本発明に係る光照射工程(S
k)において紫外線を照射する際には、交流電圧または直流電圧を印加しながら紫外線を照射することが好ましく、交流電圧を印加しながら紫外線を照射することがより好ましい。
【0054】
前記印加する交流電圧の周波数の下限値は、周波数10Hzであることが好ましく、周波数60Hzであることがより好ましい。また上記印加する交流電圧の周波数の上限値は、10kHzであることが好ましく、周波数1kHzがより好ましい。
【0055】
本発明に係る光照射工程(S
k)において印加する電圧の大きさは、液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。上記光照射工程(S
k)において印加する電圧の大きさの下限値は、好ましくは0.1V、より好ましくは0.2V、さらに好ましくは0.5Vである。上記光照射工程において印加する電圧の大きさの上限値は、好ましくは30V、より好ましくは20V、さらに好ましくは10Vである。
【0056】
本発明に係る光照射工程(S
k)において電圧印加時の重合性化合物を含有する液晶組成物の温度は、室温に近い温度、好ましくは14〜62℃、より好ましくは16〜55℃、さらに好ましくは18〜52℃で重合性化合物含有液晶組成物に電圧を印加することが好ましい。
【0057】
本発明に係る光照射工程において電圧印加時の重合性化合物を含有する液晶組成物は、ネマチック相状態であることが好ましい。
【0058】
電圧を印加した状態で紫外線を照射するため、均一配向の観点で重合性化合物を含有する液晶組成物がネマチック相であることが好ましい。
【0059】
以下、本発明に係る液晶表示素子の製造法における好適な実施形態を説明する。
【0060】
本発明に係る液晶表示素子の製造方法の一形態は、基板上に添着された重合性化合物を含有する液晶組成物に300〜400nmにピークを有する光を照射する光照射工程を1回備えた液晶表示素子の製造方法であって、
1回目の光照射工程(S
1)の光照射条件下で前記重合性化合物を0.3質量%含有する液晶組成物に対して5分間光を照射した後の前記重合性化合物の濃度(C
1)と、0.3質量%との濃度差の単位分あたりの濃度変化量V
1が、以下の式(1−1)で表される場合、
以下の式(2−1)で表される前記1回目の光照射工程(S
1)における前記重合性化合物の平均反応速度V
aveを0.030〜0.048(質量%/分)に制御することである。
【0062】
(上記式(1−1)中、C
1は、1回目の光照射工程(S
1)における光照射条件下での5分後の液晶組成物に含まれる重合性化合物の濃度(質量%)を表し、
上記式(2−1)中、V
1は、上記式(1−1)で表され、t
1は1回目の光照射工程(S
1)における重合性化合物に光を照射する光照射時間(分)を表す。)
光照射工程を1回行う場合、1回の照射工程で所望のプレチルト角を形成することができて工程数を省略することができ、また使用する光の照射装置が1つで済むというメリットがある。
【0063】
本発明に係る光照射工程(S
1)において光、好ましくは紫外線を照射する際には、交流電圧または直流電圧を印加しながら紫外線を照射することが好ましく、交流電圧を印加しながら光(紫外線)を照射することがより好ましい。
【0064】
前記印加する交流電圧の周波数の下限値は、周波数10Hzであることが好ましく、周波数60Hzであることがより好ましい。また上記印加する交流電圧の周波数の上限値は、10kHzであることが好ましく、周波数1kHzがより好ましい。
【0065】
本発明に係る光照射工程(S
1)において印加する電圧の大きさは、液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。上記光照射工程(S
1)において印加する電圧の大きさの下限値は、好ましくは0.1V、より好ましくは0.2V、さらに好ましくは0.5Vである。上記光照射工程において印加する電圧の大きさの上限値は、好ましくは30V、より好ましくは20V、さらに好ましくは10Vである。
【0066】
本発明に係る光照射工程(S
1)において電圧印加時の雰囲気の温度は、室温に近い温度、好ましくは14〜62℃、より好ましくは16〜55℃、さらに好ましくは18〜52℃で重合性化合物含有液晶組成物に電圧を印加することが好ましい。
【0067】
上記光照射工程を1回行う場合、重合性化合物を0.3質量%含有する液晶組成物に対して5分間、光を照射した後の前記重合性化合物の濃度(C
1)と、0.3質量%との濃度差の単位分あたりの濃度変化量V
1を測定する際の5分間光を照射する雰囲気の温度は、光照射工程(S
1)において300〜400nmにピークを有する光を照射する雰囲気の温度と同じことが好ましい。
【0068】
上記光照射工程を1回行う場合、重合性化合物を0.3質量%含有する液晶組成物に対して5分間光を照射した後の前記重合性化合物の濃度(C
1)と、0.3質量%との濃度差の単位分あたりの濃度変化量V
1を測定する際の5分間照射する光の照度は、光照射工程(S
1)において照射する光の照度と同じであることが好ましい。
【0069】
上記光照射工程を1回行う場合、重合性化合物を0.3質量%含有する液晶組成物に対して5分間光を照射した後の前記重合性化合物の濃度(C
1)と、0.3質量%との濃度差の単位分あたりの濃度変化量V
1を測定する際の5分間照射する光は、光照射工程(S
1)において照射する光と同じであることが好ましい。
【0070】
本発明に係る液晶表示素子の製造方法の他の形態は、基板上に添着された重合性化合物を含有する液晶組成物に300〜400nmにピークを有する光を照射する光照射工程を別個独立する2回備えた液晶表示素子の製造方法であって、前記重合性化合物を0.3質量%含有する液晶組成物に対して1回目の光照射工程(S
1)の光照射条件下で5分間光を照射した後の前記重合性化合物の濃度(C
1)と、0.3質量%との濃度差の単位分あたりの濃度変化量V
1が、以下の式(1−1)で表され、前記重合性化合物を0.3質量%含有する液晶組成物に対して2回目の光照射工程(S
2)の光照射条件下で5分間光を照射した後の前記重合性化合物の濃度(C
2)と、0.3質量%との濃度差の単位分あたりの濃度変化量V
2が、以下の式(1−2)で表される場合、以下の式(2−2)で表される前記重合性化合物の平均反応速度V
aveを0.030〜0.048(質量%/分)に制御するものである。
【0072】
(上記式(1−1)および式(1−2)中、C
1は、重合性化合物を0.3質量%含有する液晶組成物に対して1回目の光照射工程(S
1)の光照射条件下で5分間光を照射した後の前記重合性化合物の濃度(質量%)を表し、C
2は、重合性化合物を0.3質量%含有する液晶組成物に対して2回目の光照射工程(S
2)の光照射条件下で5分間光を照射した後の前記重合性化合物の濃度(質量%)を表し、
上記式(2−2)中、V
1およびV
2は、上記式(1−1)および式(1−2)で表される単位分あたりの濃度変化量を表し、t
1、t
2は各工程における重合性化合物に光を照射する光照射時間(分)を表す。)
光照射工程を2回の工程に分けると、1度に処理できる液晶パネルが増えるため、液晶表示素子を大量生産できる観点で好ましい。また、1回目の光照射でプレチルト付与を形成する工程と、2回目の光照射で残存する重合性化合物の濃度を低減する工程とに分けられるので、重合性化合物の残存量の低減や所望のプレチルトの形成の操作を調整しやすい。
【0073】
本発明に係る液晶表示素子の製造方法において、基板上に添着された重合性化合物を含有する液晶組成物に300〜400nmにピークを有する光を照射する光照射工程を別個独立する2回備えた場合、前記第1回目の光照射工程(S
1)において、電圧を印加した状態で300〜400nmにピークを有する光を照射することが好ましい。
【0074】
重合性化合物を含有する液晶組成物に対して電圧を印加した状態で所定の波長の光をまず照射すること、すなわち第1回目の光照射工程(S
1)により、重合性化合物由来の重合体(ポリマー構造体)により液晶分子が所望のプレチルト角を形成し、かつ電圧を印加することなく第2回目の光照射工程(S
2)を行うことで、ポリマー構造体の形状を補強し、かつ残存する重合性化合物を低減することができる。例えば、液晶組成物が電圧無印加時は基板に対して垂直の方向に配向するVA型の液晶表示素子を例にとって説明する。すなわち、電圧を印加した状態で光照射工程(S
1)を行うことで、重合性化合物を含有する液晶組成物を構成する液晶分子が基板に対して特定の配向方向、例えば、電圧印加時には基板に対して水平方向に倣う状態で重合性化合物がポリマー化するため、その後電圧を無印加状態にすると、液晶分子は、重合性化合物がポリマー化したポリマー構造体により、液晶分子が基板に対して垂直方向から少し基板側に傾いた(プレチルト角)状態で固定化することができ、さらに電圧を印加することなく第2回目の光照射工程(S
2)を行うことで、ポリマー構造体の形状を補強し、かつ残存する重合性化合物を低減することができる。これにより、所望のプレチルト角と高いVHR値を実現する液晶表示素子を製造することができる。また、本発明では、重合性化合物の平均反応速度を所定の範囲に制御しているため、第1回目の光照射工程(S
1)および/または第2回目の光照射工程(S
2)で形成されるポリマー構造体の形成速度や形状を制御することができるため、適切なプレチルト角と残存する重合性化合物の量が低減された液晶表示素子を製造することができると考えられる。
【0075】
本発明に係る光照射工程(S
1)において紫外線を照射する際には、交流電圧または直流電圧を印加しながら紫外線を照射することが好ましく、交流電圧を印加しながら紫外線を照射することがより好ましい。
【0076】
前記印加する交流電圧の周波数の下限値は、周波数10Hzであることが好ましく、周波数60Hzであることがより好ましい。また上記印加する交流電圧の周波数の上限値は、10kHzであることが好ましく、周波数1kHzがより好ましい。
【0077】
本発明に係る光照射工程(S
1)において印加する電圧の大きさは、液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。上記光照射工程(S
1)において印加する電圧の大きさの下限値は、好ましくは0.1V、より好ましくは0.2V、さらに好ましくは0.5Vである。上記光照射工程において印加する電圧の大きさの上限値は、好ましくは30V、より好ましくは20V、さらに好ましくは10Vである。
【0078】
本発明に係る液晶表示素子の製造方法において、基板上に添着された重合性化合物を含有する液晶組成物に300〜400nmにピークを有する光を照射する光照射工程を別個独立する2回備えた場合、第1回目の光照射工程(S
1)の後、第2回目の光照射工程(S
2)を備え、前記第2回目の光照射工程(S
2)における光の照射時間t
2は、前記第1回目の光照射工程(S
1)の光照射時間t
1よりも長いことが好ましい。
【0079】
これにより、所定のプレチルト角の形成が可能になる、プレチルト角変化による焼き付きが低減できるというメリットがある。
【0080】
本発明に係る液晶表示素子の製造方法は、光照射工程が1回または2回行うことが好ましい。例えば、照射装置が1つで済むという観点では、1回の光照射工程を行うことが好ましい。一方、液晶分子のプレチルト角の制御のし易さという観点では、2回の光照射工程を行うことが好ましい。液晶分子のプレチルト角の制御のし易さから上述の2回の光照射工程の実施形態がより好ましい。
【0081】
本発明に係る製造方法において、基板上に重合性化合物を含有する液晶組成物を添着する方法は特に制限されることはなく、一対の(電極)基板をスペーサを介して貼りあわせたセルの内部に重合性化合物を含有する液晶組成物を注入することで、(電極)基板上に重合性化合物含有液晶組成物を添着する方法(真空注入法)、一対の(電極)基板の一方の基板および/または両方の基板上に重合性化合物含有液晶組成物を滴下する方法(ODF法)などが挙げられる。また、本発明に係る基板は、(透明)支持基板に対して、必要により電極層(TFTを含む画素電極、共通電極)、配向膜が形成されていることが好ましい。
【0082】
本発明に係る重合性化合物含有液晶組成物を滴下する方法は特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット、液滴吐出装置又はディスペンサー等で行う方法が一般的である。その他の方法としては、ディップ、ロールコーター、スリットコーター、スピンナー等があり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
【0083】
本発明に係る基板は、垂直電界駆動用または横電界駆動用の電極層を有することが好ましい。前記電極層として、液晶表示素子が透過型である場合、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IZTO(Indium Zinc Tin Oxide)等の透明導電性材料などを挙げることができるが、これらに限定されない。また、反射型の液晶表示素子の場合、電極層として、アルミなどの光を反射する材料などを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0084】
本発明に係る基板に電極層を形成する方法は、従来公知の手法を用いることができる。実施の形態に係る液晶表示素子は、互いに対向する一対の透明基板を有しており、少なくとも一方の基板には上記電極層が形成されていることが好ましい。また、前記電極層は、所定のパターン(フィッシュボーン構造)にスリットが形成されていることが好ましく、当該電極層の上には、透明な絶縁膜や平坦化膜などが積層されていてもよい。さらに、前記絶縁膜または前記電極層上には、必要により垂直または水平配向膜がそれぞれ形成されていてもよい。当該配向膜は、ポリイミド膜、ナイロン膜、ポリビニルアルコール膜などの有機高分子膜が用いられることが好ましい。
【0085】
本発明において、一対の基板のうちの少なくとも一方に配向膜が形成されてもよく、または配向膜が形成されていない基板を用いることが好ましい。
【0086】
本発明に係る液晶表示素子は、対向に配置された第1の支持基板および第2の支持基板と、前記第1の支持基板または前記第2の支持基板に設けられる共通電極と、前記第1の支持基板または前記第2の支持基板に設けられ、薄膜トランジスタを有する画素電極と、前記第1の支持基板と第2の支持基板間に設けられる液晶組成物を含有する液晶層と、を有することが好ましい。必要により前記液晶層と当接するように第1の支持基板および/または第2の支持基板の少なくとも一つの支持基板の対向面側に、液晶分子の配向方向を制御する配向膜を設けてもよい。さらに、カラーフィルタを、第1の支持基板または第2の支持基板上に適宜設けてもよく、また前記画素電極や共通電極上にカラーフィルタを設けることができる。また、二枚の偏光板を前記第1の支持基板または第2の支持基版の外側に設けてもよい。
【0087】
本発明に係る支持基板は、ガラス又はプラスチック(アクリル、ポリカーボネート等)の如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、反射型の液晶表示素子への適用を考慮し、シリコンウェハなどの不透明な材料でも良い。また、一対の基板は、周辺領域に配置されたエポキシ系熱硬化性組成物等のシール材及び封止材によって貼り合わされていて、その間には基板間距離を保持するために、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子等の粒状スペーサまたはフォトリソグラフィー法により形成された樹脂からなるスペーサ柱が配置されていてもよい。
【0088】
本発明に係る液晶表示素子が垂直電界駆動の場合は、一対の基板の両方の基板上に電極層を備えていることが好ましい。より詳細には、本発明に係る垂直電界駆動型の液晶表示素子(VA)は、対向に配置された第2の支持基板と、前記第2の支持基板に設けられる共通電極と、前記第1の支持基板に設けられ、薄膜トランジスタを有する画素電極と、前記第1の支持基板と第2の支持基板間に設けられる液晶組成物を含有する液晶層と、を有することが好ましい。
【0089】
そのため、一方の基板は、支持基板と、薄膜トランジスタ(TFT)と、画素電極と、配線(ゲートライン、データバスライン、Cs電極、コンタクトホールなど)とを有し、他方の基板は、支持基板と、共通電極と、カラーフィルタとを有していることが好ましい。また前記画素電極や共通電極上にカラーフィルタを設けてもよい(カラーフィルタオンアレイ)。
【0090】
本発明に係る液晶表示素子が横電界駆動の場合は、一対の基板のうち一方の基板上のみに電極層が形成されていることが好ましく、より詳細には、前記一方の基板は、支持基板と、配線(ゲートライン、データバスライン、Cs電極、コンタクトホールなど)と、薄膜トランジスタ(TFT)と、共通電極と、画素電極とを有していることが好ましい。また、他方の基板は、支持基板と、必要によりカラーフィルタとを有していることが好ましい。
【0091】
本発明に係る光照射工程において、重合性化合物含有液晶組成物を添着する基板は、上記(第1または第2の)支持基板、透明基板、上記の一方の基板、上記の他方の基板のいずれであってもよい。
【0092】
本発明に係るカラーフィルタは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルタの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルタ用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルタ用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
【0093】
前記第1の基板および前記第2の基板を、共通電極や画素電極層が内側となるように対向させることが好ましい。
【0094】
第1の基板と第2の基板との間隔はスペーサを介して、調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。
【0095】
本発明に係る重合性化合物は、以下の一般式(I)
【0097】
(一般式(I)中、R
201、R
202、R
203、R
204、R
205、R
206、R
207、R
208、R
209及びR
210は、それぞれ独立して、P
21−S
21−、フッ素原子に置換されてもよい炭素原子数1から18のアルキル基、フッ素原子に置換されてもよい炭素原子数1から18のアルコキシ基、フッ素原子又は水素原子のいずれかを表し、P
21は重合性基を表し、
S
21は、単結合又は炭素数1〜15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−OCO−又は−COO−で置換されてよく、
n
21は、0、1又は2を表し、
A
21は、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基又はP
21−S
21−で置換されていても良く、
上記一般式(I)の1分子内に少なくとも1以上のP
21−S
21−を有し、
L
21は単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−OC
2H
4O−、−COO−、−OCO−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−(CH
2)
z−COO−、−(CH
2)
z−OCO−、−OCO−(CH
2)
z−、−COO−(CH
2)
z−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、前記式中、zはそれぞれ独立して1〜4の整数を表す。)を表すが、
P
21、S
21、及びA
21が複数存在する場合は、それぞれ同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物を1種又は2種以上であることが好ましい。
【0098】
このような特定の構造の重合性化合物であれば、平均反応速度V
aveを0.030〜0.048(%/分)に容易に制御することができる。
【0099】
本発明に係る一般式(I)で表される化合物は、一般式(IV)で表される重合性化合物であることが好ましい。
【0101】
上記一般式(IV)中、R
7及びR
8は、それぞれ独立して、上記の式(R−1)から式(R−9)のいずれかを表し、X
1からX
8は、それぞれ独立して、トリフルオロメチル基、フッ素原子、水素原子または炭素原子数1〜5のアルコキシ基を表す。
【0102】
上記一般式(IV)中、R
7及びR
8は、それぞれ独立して、メタクリル基またはアクリル基であることが好ましい。
【0103】
前記一般式(IV)で表される化合物は、式(IV−11)〜式(IV−19)からなる群から選択される1種または2種以上であることが更に好ましく、式(IV−11)、式(IV−16)、式(IV−17)であることが特に好ましい。
【0105】
本発明に係る一般式(I)で表される化合物は、具体的には、例えば式(XX−1)から一般式(XX−29)で表される化合物が好ましく、式(XX−1)から式(XX−7)、式(XX−14)から式(XX−29)が更に好ましい。
【0109】
式(XX−1)から一般式(XX−29)中、Sp
xxは炭素原子数1〜8のアルキレン基または−O−(CH
2)
s−(式中、sは1から7の整数を表し、酸素原子は環に結合するものとする。)を表す。
【0110】
式(XX−1)から一般式(XX−29)中、1,4−フェニレン基中の水素原子は、更に、−F、−Cl、−CF
3、−CH
3またはP
21−S
21−のいずれかによって置換されていても良い。
【0111】
また、一般式(I)で表される化合物として、例えば、式(M1)から式(M18)で表される重合性化合物が好ましい。
【0113】
また、式(M19)から式(M34)のような重合性化合物も好ましい。
【0116】
式(M19)から式(M34)中の1,4−フェニレン基及びナフタレン基中の水素原子は、更に、−F、−Cl、−CF
3、−CH
3によって置換されていても良い。
【0117】
また、一般式(I)で表される化合物は、式(M35)〜式(M65)で表される重合性化合物も好ましい。
【0123】
本発明に係る重合性化合物含有液晶組成物において、式(M1)〜式(M65)で表される重合性化合物の液晶組成物全体に対する含有量は、0.01から5質量%含有するが、含有量の下限は0.02質量%が好ましく、0.03質量%が好ましく、0.04質量%が好ましく、0.05質量%が好ましく、0.06質量%が好ましく、0.07質量%が好ましく、0.08質量%が好ましく、0.09質量%が好ましく、0.1質量%が好ましく、0.15質量%が好ましく、0.2質量%が好ましく、0.25質量%が好ましく、0.3質量%が好ましく、0.35質量%が好ましく、0.4質量%が好ましく、0.5質量%が好ましく、0.55質量%が好ましく、含有量の上限は4.5質量%が好ましく、4質量%が好ましく、3.5質量%が好ましく、3質量%が好ましく、2.5質量%が好ましく、2質量%が好ましく、1.5質量%が好ましく、1質量%が好ましく、0.95質量%が好ましく、0.9質量%が好ましく、0.85質量%が好ましく、0.8質量%が好ましく、0.75質量%が好ましく、0.7質量%が好ましく、0.65質量%が好ましく、0.6質量%が好ましく、0.55質量%が好ましい。
【0124】
本発明に係る一般式(I)で表される化合物の好ましい例として、下記式(RM−2−1)〜式(RM−2−52)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0128】
また、上記式(RM−2−1)〜(RM−2−52)で表される重合性モノマーの具体的な含有量としては、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が特に好ましく、0.8質量%以下が最も好ましい。
【0129】
本発明に係る液晶組成物が負の液晶組成物の場合は、20℃における誘電率異方性(Δε)が−2.0から−8.0であるが、−2.1から−6.2が好ましく、−2.2から−5.3がより好ましく、−2.5から−5.0がさらに好ましい。−2.7から−4.8が特に好ましい。
【0130】
本発明に係る液晶組成物が正の液晶組成物の場合は、20℃における誘電率異方性(Δε)が1.5から20であるが、1.5から18.0が好ましく、1.5から15.0がより好ましく、1.5から11がさらに好ましく、1.5から8が特に好ましい。
【0131】
本発明に係る液晶組成物は、20℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.14であるが、0.09から0.13がより好ましく、0.09から0.12が特に好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.13であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.11であることが好ましい。
【0132】
本発明に係る液晶組成物は、20℃における粘度(η)が10から50mPa・sであるが、10から45mPa・sであることが好ましく、10から40mPa・sであることが好ましく、10から35mPa・sであることが好ましく、10から30mPa・sであることが好ましく、10から25mPa・sであることが更に好ましく、10から22mPa・sであることが特に好ましい。
【0133】
本発明に係る液晶組成物は、20℃における回転粘性(γ
1)が50から160mPa・sであるが、55から160mPa・sであることが好ましく、60から160mPa・sであることが好ましく、60から150mPa・sであることが好ましく、60から140mPa・sであることが好ましく、60から130mPa・sであることが好ましく、60から125mPa・sであることが好ましい。
【0134】
本発明に係る液晶組成物は、ネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)が60℃から120℃であるが、70℃から100℃がより好ましく、70℃から85℃が特に好ましい。
【0135】
本発明に係る液晶組成物は、第一の成分として、誘電的にほぼ中性の化合物(Δεの値が−2〜2)の一般式(L)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0136】
前記一般式(L)で表される化合物は、以下の通りである。
【0138】
(式中、R
L1及びR
L2はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
n
L1は0、1、2又は3を表し、
A
L1、A
L2及びA
L3はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
Z
L1及びZ
L2はそれぞれ独立して単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
n
L1が2又は3であってA
L2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、n
L1が2又は3であってZ
L2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)
本発明に係る液晶組成物は、第二の成分として、誘電的に正の化合物(Δεが2より大きい。)の一般式(J)で表される化合物および/または誘電的に負の化合物(Δεの符号が負で、その絶対値が2より大きい。)を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0139】
前記一般式(J)で表される化合物は、以下の通りである。
【0141】
(式中、R
J1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
n
J1は、0、1、2、3又は4を表し、
A
J1、A
J2及びA
J3は、それぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基で置換されていても良く、
Z
J1及びZ
J2は、それぞれ独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
n
J1が2、3又は4であってA
J2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、n
J1が2、3又は4であってZ
J1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
X
J1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
前記一般式(N−1)〜(N−3)で表される化合物からなる群から選択される1種または2種以上は、以下の通りである。
【0143】
(上記式中、R
N11、R
N12、R
N21、R
N22、R
N31及びR
N32は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
A
N11、A
N12、A
N21、A
N22、A
N31及びA
N32は、それぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)及び
(d) 1,4−シクロヘキセニレン基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)、基(c)及び基(d)はそれぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
Z
N11、Z
N12、Z
N21、Z
N22、Z
N31及びZ
N32は、それぞれ独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
X
N21は水素原子又はフッ素原子を表し、
T
N31は−CH
2−又は酸素原子を表し、
n
N11、n
N12、n
N21、n
N22、n
N31及びn
N32はそれぞれ独立して0〜3の整数を表すが、n
N11+n
N12、n
N21+n
N22及びn
N31+n
N32はそれぞれ独立して1、2又は3であり、A
N11〜A
N32、Z
N11〜Z
N32が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)
上記一般式(L)で表される化合物は、以下の式(L−1)〜(L−13)で表される化合物であることが好ましい。
【0145】
(式中、R
L1及びR
L2はそれぞれ独立して、一般式(L)と同じ意味を表し、A
L1及びA
L7はそれぞれ独立して、一般式(L)と同じ意味を表すが、A
L1及びA
L2上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、Z
L1は一般式(L)におけるZ
L2と同じ意味を表し、X
L1及びX
L2はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。)
上記一般式(J)で表される化合物は、以下の式(M−1)〜(M−18)で表される化合物であることが好ましい。
【0148】
(上記式中、X
M11〜X
M186はそれぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子を表し、R
J1〜R
J181はそれぞれ独立し、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X
J11〜X
J181ははフッ素原子、塩素原子又はOCF
3を表し、
A
M81及びA
M82はそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基又は
【0150】
を表すが、1,4−フェニレン基上の水素原子はフッ素原子によって置換されていてもよく、W
M101〜W
M172はそれぞれ独立して、−CH
2−又は−O−を表す。)
上記一般式(J)で表される化合物は、以下の式(K−1)〜(K−6)で表される化合物であることが好ましい。
【0152】
(式中、R
K11は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X
K11〜X
K14はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
K11はフッ素原子又はOCF
3を表す。)
【0154】
(式中、R
K21は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X
K21〜X
K24はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
K21はフッ素原子又はOCF
3を表す。)
【0156】
(式中、R
K31は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X
K31〜X
K36はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
K31はフッ素原子又はOCF
3を表す。)
【0158】
(式中、R
K41は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X
K41〜X
K46はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
K41はフッ素原子又はOCF
3を表し、Z
K41は−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−を表す。)
【0160】
(式中、R
K51は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X
K51〜X
K56はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
K51はフッ素原子又はOCF
3を表し、Z
K51は−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−を表す。)
【0162】
(式中、R
K61は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X
K61〜X
K68はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
K61はフッ素原子又はOCF
3を表し、Z
K61は−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−を表す。)
本発明に係る一般式(N−1)で表される化合物として、下記の一般式(N−1a)〜(N−1g)で表される化合物群を挙げることができる。
【0164】
(式中、R
N11及びR
N12は一般式(N−1)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表し、n
Na12は0又は1を表し、n
Nb11は1又は2を表し、n
Nc11は0又は1を表し、n
Nd11は1又は2を表し、n
Ne11は1又は2を表し、n
Nf12は1又は2を表し、n
Ng11は1又は2を表し、A
Ne11はトランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表し、A
Ng11はトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基又は1,4−フェニレン基を表すが、n
Ng11が1の場合、A
Ng11は1,4−シクロヘキセニレン基を表し、n
Ng11が2の場合、少なくとも1つのA
Ng11は1,4−シクロヘキセニレン基を表し、Z
Ne11は単結合又はエチレン基を表すが、n
Ne11が1の場合、Z
Ne11はエチレン基を表す。n
Ne11が2の場合、少なくとも1つのZ
Ne11はエチレン基を表す。)
本発明に係る一般式(N−2)で表される化合物は、以下の一般式(N−2−1)〜(N−2−3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0166】
(式中、R
N211及びR
N212はそれぞれ独立して、一般式(N−2)におけるR
N21及びR
N22と同じ意味を表す。)
【0168】
(式中、R
N221及びR
N222はそれぞれ独立して、一般式(N−2)におけるR
N21及びR
N22と同じ意味を表す。)
【0170】
(式中、R
N231及びR
N232はそれぞれ独立して、一般式(N−2)におけるR
N21及びR
N22と同じ意味を表す。)
一般式(N−3)で表される化合物は一般式(N−3−2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0172】
(式中、R
N321及びR
N322はそれぞれ独立して、一般式(N−3)におけるR
N31及びR
N32と同じ意味を表す。)
本発明に係る重合性化合物を含有する液晶組成物全体が正の誘電率異方性を示す場合、一般式(I)で表される重合性化合物と、一般式(J)で表される化合物から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上と、一般式(L)で表される化合物と、を含むことが好ましい。
【0173】
本発明に係る重合性化合物を含有する液晶組成物全体のうち、一般式(I)、一般式(J)および一般式(L)で表される化合物のみから構成される成分の占める割合の上限値は、100質量%、99質量%、98質量%、97質量%、96質量%、95質量%、94質量%、93質量%、92質量%、91質量%、90質量%、89質量%、88質量%、87質量%、86質量%、85質量%、84質量%であることが好ましい。
【0174】
また、本発明に係る重合性化合物含有液晶組成物全体のうち、一般式(I)、一般式(J)および一般式(L)で表される化合物のみから構成される成分の占める割合の下限値は、78質量%、80質量%、81質量%、83質量%、85質量%、86質量%、87質量%、88質量%、89質量%、90質量%、91質量%、92質量%、93質量%、94質量%、95質量%、96質量%、97質量%、98質量%、99質量%であることが好ましい。
【0175】
本発明に係る重合性化合物含有液晶組成物全体が負の誘電率異方性を示す場合、一般式(I)で表される重合性化合物と、一般式(N−1)で表される化合物から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上と、一般式(L)で表される化合物と、を含むことが好ましい。
【0176】
本発明に係る重合性化合物含有液晶組成物全体のうち、一般式(I)、一般式(N−1)、および一般式(L)で表される化合物のみから構成される成分の占める割合の上限値は、100質量%、99質量%、98質量%、97質量%、96質量%、95質量%、94質量%、93質量%、92質量%、91質量%、90質量%、89質量%、88質量%、87質量%、86質量%、85質量%、84質量%であることが好ましい。
【0177】
本発明の重合性化合物含有液晶組成物を用いた液晶表示素子は、高速応答という顕著な特徴を有しており、加えて、チルト角が十分に得られ、未反応の重合性化合物がないか、問題にならないほど少なく、電圧保持率(VHR)が高いため、配向不良や表示不良といった不具合がないか、十分に抑制されている。また、チルト角及び重合性化合物の残留量を容易に制御できるため、製造のためのエネルギーコストの最適化及び削減が容易であるため、生産効率の向上と安定した量産に最適である。
【0178】
本発明の重合性化合物含有液晶組成物を用いた液晶表示素子は、特に、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子に有用であり、PSAモード、PSVAモード、VAモード、PS−IPSモード又はPS−FFSモード用液晶表示素子に用いることができる。
【実施例】
【0179】
以下、例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
【0180】
(液晶表示素子の製造方法)
まず、重合性化合物を含有する液晶組成物をセルギャップ3.5μmで垂直配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布した後、前記ポリイミド配向膜をラビング処理したITO付き基板を含む液晶セルに真空注入法で注入し、液晶表示素子を作製した。
【0181】
(V
kの測定)
重合性化合物を含有する液晶組成物を含む液晶セルについて、25℃の大気下、後述するA〜Dの光照射条件で光を5分照射した後の液晶表示素子中の重合性化合物の残留量[質量%]を測定し、式(1)及び式(2)に従い、重合性化合物のV
k及びV
ave[質量%/分]を算出した。その際の重合性化合物の残留量(C
k)の測定方法を説明する。まず液晶表示素子を分解し、液晶組成物、重合物、未反応の重合性化合物を含む溶出成分のアセトニトリル溶液を得た。これを高速液体クロマトグラフで分析し、各成分のピーク面積を測定した。指標とする液晶化合物のピーク面積と未反応の重合性化合物のピーク面積比から、残存する重合性化合物の量を決定した。この値と当初添加した重合性化合物の量から重合性化合物の残留量を決定した。本測定の検出下限は100ppmであった。V
kの測定の際の光照射条件および温度は、対応する各光照射工程(S
k)と同じ条件で行っている。
【0182】
実施例及び比較例に使用した光照射条件A〜Dは、以下の通りである。
【0183】
光照射条件A:高圧水銀灯を用い、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して光を照射した。このとき、中心波長365nmの条件で測定した照度が100mW/cm
2、中心波長313nmの条件で測定した照度が24mW/cm
2であった。
【0184】
光照射条件B:高圧水銀灯を用い、325nm以下の光をカットするフィルターを介して光を照射した。このとき、中心波長365nmの条件で測定した照度が120mW/cm
2、中心波長313nmの条件で測定した照度が18mW/cm
2であった。
【0185】
光照射条件C:蛍光UVランプを用い、光を照射した。このとき、中心波長365nmの条件で測定した照度が2mW/cm
2、中心波長313nmの条件で測定した照度が3mW/cm
2であった。
【0186】
光照射条件D:蛍光UVランプを用い、光を照射した。このとき、中心波長365nmの条件で測定した照度が3mW/cm
2、中心波長313nmの条件で測定した照度が0.3mW/cm
2であった。
【0187】
(光照射工程1回(n=1の場合)の実際の液晶表示素子の製造方法におけるプレチルト角変化量の測定)
25℃の大気下、上記の光照射条件A−Dで、下記表に記載の時間光照射し、プレチルト角の変化による表示不良(焼き付き)評価を行った。光照射時間は重合性化合物の残留量が検出下限以下となるまでとした。まず、液晶表示素子のプレチルト角を測定し、プレチルト角(初期)とした。この液晶表示素子に周波数100Hzで電圧を30V印加しながらバックライトを24時間照射した。その後、プレチルト角を測定し、プレチルト角(試験後)とした。測定したプレチルト角(初期)からプレチルト角(試験後)を引いた値をプレチルト角変化量(=プレチルト角変化の絶対値)[°]とした。プレチルト角は、シンテック製OPTIPROを用いて測定した。
【0188】
プレチルト角変化量は、0[°]に近いほどプレチルト角の変化による表示不良が発生する可能性がより低くなり、0.5[°]以上となると、プレチルト角の変化による表示不良の発生する可能性がより高くなる。
【0189】
(比較例1〜5)
ネマチック液晶相−等方相転移点(T
NI)は74℃、Δn(20℃)は0.11、Δε(20℃)は−3.2、γ
1(20℃)は125mPa・sの負の誘電率異方性を示す液晶組成物を液晶組成物LC−001とした。LC−001は一般式(L−1)、(L−3)、(L−10)、(N−1c)及び(N−1d)からなる組成物である。
【0190】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−2を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Aで15分光照射し、比較例1とした。
【0191】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−3を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Aで15分光照射し、比較例2とした。
【0192】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−3を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Bで15分光照射し、比較例3とした。
【0193】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−4を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Aで5分光照射し、比較例4とした。
【0194】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−4を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Bで15分光照射し、比較例5とした。
【0195】
【化36】
【0196】
【表1】
【0197】
比較例1でのV
aveは0.055[質量%/分]であった。比較例1のプレチルト角変化量は、1.1[°]であった。これらのことから、比較例1は、重合性化合物の反応速度は速いが、プレチルト角変化量が大きいことがわかった。
【0198】
比較例2〜5も比較例1と同様に、重合性化合物の反応速度は速いが、プレチルト角変化量が大きいことがわかった。
【0199】
(実施例1〜6)
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−1を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Aで30分光照射し、実施例1とした。
【0200】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−2を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Bで30分光照射し、実施例2とした。
【0201】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−2を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Cで60分光照射し、実施例3とした。
【0202】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−3を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Cで30分光照射し、実施例4とした。
【0203】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−4を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Cで30分光照射し、実施例5とした。
【0204】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−4を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Dで60分光照射し、実施例6とした。
【0205】
【表2】
【0206】
実施例1でのV
aveは0.042[質量%/分]であった。実施例1のプレチルト角変化量は、0.3[°]であった。これらのことから、実施例1は、重合性化合物の反応速度が適度に速く、プレチルト角変化量が小さいがわかった。
【0207】
実施例2〜6も実施例1と同様に、重合性化合物の反応速度が適度に速く、プレチルト角変化量が小さいがわかった。また、実施例1〜6は十分なプレチルト角が付与されており、十分に高速応答であり、十分にVHRが高いことが確認された。応答速度の測定条件は、Vonは6V、Voffは1V、測定温度は25℃で、測定機器はAUTRONIC−MELCHERS社のDMS703を用いた。
【0208】
(光照射工程2回(n=2の場合)の実際の液晶表示素子の製造方法におけるプレチルト角変化量の測定)
25℃の大気下、電圧を印加しながら1回目の光照射をした後、電圧を印加せずに2回目の光照射をした。1回目及び2回目の光照射工程の光照射条件及び光照射時間は、下記表の通りである。光照射時間は重合性化合物の残留量が検出下限以下となるまでとした。次に、プレチルト角の変化による表示不良(焼き付き)評価を行った。まず、液晶表示素子のプレチルト角を測定し、プレチルト角(初期)とした。この液晶表示素子に周波数100Hzで電圧を30V印加しながらバックライトを24時間照射した。その後、プレチルト角を測定し、プレチルト角(試験後)とした。測定したプレチルト角(初期)からプレチルト角(試験後)を引いた値をプレチルト角変化量(=プレチルト角変化の絶対値)[°]とした。プレチルト角は、シンテック製OPTIPROを用いて測定した。
【0209】
プレチルト角変化量は、0[°]に近いほどプレチルト角の変化による表示不良が発生する可能性がより低くなり、0.5[°]以上となると、プレチルト角の変化による表示不良の発生する可能性がより高くなる。
【0210】
(比較例6)
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−3を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら紫外線照射条件Bで紫外線を600秒照射し、その後光照射条件Cで5分光照射し、比較例6とした。
【0211】
【表3】
【0212】
比較例6も比較例1と同様に、重合性化合物の反応速度は速いが、プレチルト角変化量が大きいことがわかった。
【0213】
(実施例7〜13)
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−2を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Bで1.25分光照射し、その後光照射条件Cで60分光照射し、実施例7とした。
【0214】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−2を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Bで2.5分光照射し、その後光照射条件Cで50分光照射し、実施例8とした。
【0215】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−2を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Bで5分光照射し、その後光照射条件Cで45分光照射し、実施例9とした。
【0216】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−2を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Bで10分光照射し、その後照射条件Cで30分光照射し、実施例10とした。
【0217】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−3を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら照射条件Bで1.25分光照射し、その後照射条件Cで30分光照射し、実施例11とした。
【0218】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−3を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Bで2.5分光照射し、その後光照射条件Cで20分光照射し、実施例12とした。
【0219】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−3を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Bで5分光照射し、その後照射条件Cで10分光照射し、実施例13とした。
【0220】
実施例7〜13も実施例1と同様に、重合性化合物の反応速度が適度に速く、プレチルト角変化量が小さいがわかった。
【0221】
また、実施例7〜13は十分なプレチルト角が付与されており、十分に高速応答であり、十分にVHRが高いことが確認された。応答速度の測定条件は、Vonは6V、Voffは1V、測定温度は25℃で、測定機器はAUTRONIC−MELCHERS社のDMS703を用いた。
【0222】
【表4】
【0223】
【表5】
【0224】
(電圧保持率VHRと光照射時間との関係)
VHRと光照射時間の関係を確認するために、1回の光照射工程で液晶表示素子を評価した。以下評価方法を説明する。120℃1時間加熱した後に、25℃の大気下、下記表に記載の条件で光照射し、VHRを測定した。当該VHRの測定条件は、1V、0.6Hz、60℃である。
【0225】
(比較例7、実施例14〜16)
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−1を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Cで90分光照射し比較例7とした。
【0226】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−2を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Cで60分光照射し実施例14とした。
【0227】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−3を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Cで30分光照射し実施例15とした。
【0228】
液晶組成物LC−001を99.7質量部に対して、重合性化合物RM−4を0.3重量%添加した重合性化合物含有液晶組成物を注入したセルに、周波数100Hzで電圧を10V印加しながら光照射条件Cで30分光照射し実施例16とした。
【0229】
【表6】
【0230】
比較例7でのV
aveは0.029[質量%/分]であった。比較例1のプレチルト角変化量は、0.1[°]であった。比較例1の紫外線照射後のVHRは、71[%]であった。
【0231】
実施例14でのV
aveは0.034[質量%/分]であった。実施例14のプレチルト角変化量は、0.2[°]であった。実施例14の紫外線照射後のVHRは、76[%]であった。
【0232】
実施例15でのV
aveは0.041[質量%/分]であった。実施例15のプレチルト角変化量は、0.1[°]であった。実施例15の紫外線照射後のVHRは、79[%]であった。
【0233】
実施例16でのV
aveは0.047[質量%/分]であった。実施例16のプレチルト角変化量は、0.2[°]であった。実施例16の紫外線照射後のVHRは、80[%]であった。
【0234】
比較例7、実施例14〜実施例16の紫外線照射時間とVHRをプロットしたグラフ(比較例7はcom7と、実施例14〜16はexp14〜16と記載する。)を
図1に示す。
【0235】
図1に示すグラフより、V
aveが大きいほどVHRが高く、V
aveが0.030(質量%/分)より小さくなるとVHRが低い値で飽和することがわかった。このことより、V
aveが適度に大きいと、短い光照射時間で重合性化合物の残留量が検出下限以下になるため、光による液晶組成物の劣化等が生じにくいことがわかった。