(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板保持部は、前記フレームカバーと前記テープとの剥離時に、前記フレームカバーの内周よりも外側かつ前記フレームよりも内側において、前記テープを前記フレームカバーとは反対側から真空吸着する、請求項1に記載の洗浄装置。
第1基板と第2基板とが接合された重合基板を前記第1基板と前記第2基板とに剥離する剥離装置、および剥離後の前記第1基板の接合面を洗浄する洗浄装置とを備える剥離システムであって、
前記洗浄装置として、請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗浄装置を備える、剥離システム。
フレームに固定されたテープに貼り付けられた基板を、前記テープを介して基板保持部に保持させると共に、フレームカバーを前記フレームと共に前記基板保持部に対し固定させる準備工程と、
前記準備工程の後に、前記基板保持部と共に回転する前記基板に対し洗浄液を供給すると共に前記フレームカバーによって前記フレームを前記洗浄液から保護する洗浄液供給工程と、
前記洗浄液供給工程の後に、前記基板保持部に保持された前記テープと前記フレームカバーとを剥離し、前記基板保持部による前記テープの保持を解除する回収工程とを有し、
前記フレームカバーは、前記基板よりも外側かつ前記フレームよりも内側において前記テープに接触することで、前記テープにおける前記洗浄液の濡れ広がりを規制する環状のリップ部を1つ以上有し、
前記基板保持部は、前記フレームカバーと前記テープとの剥離時に、前記フレームカバーの内周よりも外側かつ前記フレームよりも内側において、前記テープを前記フレームカバーとは反対側から保持し、
前記基板保持部は、前記基板保持部に保持された前記基板よりも外側かつ前記フレームよりも内側に、環状の弾性リング部を有し、
少なくとも1つの前記リップ部は、前記テープを前記弾性リング部に押し込み、前記弾性リング部を弾性変形させる、洗浄方法。
前記基板保持部は、前記フレームカバーと前記テープとの剥離時に、前記フレームカバーの内周よりも外側かつ前記フレームよりも内側において、前記テープを前記フレームカバーとは反対側から真空吸着する、請求項7に記載の洗浄方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向であり、X方向およびY方向は水平方向、Z方向は鉛直方向である。
【0012】
図1は、一実施形態による剥離システムの概略を示す平面図である。
図2は、一実施形態による剥離前の重合基板の平面図である。
図3は、一実施形態による剥離前の重合基板の断面図である。
図4は、
図3の一部拡大図である。
図5は、一実施形態による剥離後の被処理基板の断面図である。
【0013】
剥離システム1は、被処理基板Wと支持基板Sとを接合層Gを介して接合させた重合基板Tを、被処理基板Wと支持基板Sとに剥離する。また、剥離システム1は、剥離後の被処理基板Wの接合面を洗浄し、その接合面に付着した接合剤を除去する。
【0014】
被処理基板Wは、素子、回路、端子などが形成されたものである。素子、回路、端子などが形成される面が接合面とされる。被処理基板Wの接合面とは反対側の面(以下、非接合面ともいう)は接合後に研磨されており、被処理基板Wは薄板化されている。研磨の後、被処理基板Wの非接合面に、表面電極、貫通電極などが形成されていてもよい。尚、被処理基板Wは、複数の基板を積層したものでもよい。
【0015】
支持基板Sは、被処理基板Wと接合され、被処理基板Wを一時的に補強する。支持基板Sは、被処理基板Wの研磨後に、被処理基板Wから剥離される。剥離された支持基板Sは、洗浄された後、別の被処理基板Wと接合されてもよい。
【0016】
接合層Gは、被処理基板Wと支持基板Sとを接合する。接合層Gは、例えば被処理基板Wから支持基板Sに向けて、保護剤層G1、剥離剤層G2、および接着剤層G3をこの順で有する。
【0017】
保護剤層G1は、被処理基板Wの接合面に形成される素子などを保護する。保護剤層G1は、保護剤および保護剤を溶かす有機溶剤からなるコート液を、例えば被処理基板Wの接合面に塗布した後、熱処理することにより形成される。
【0018】
剥離剤層G2は、被処理基板Wと支持基板Sの剥離を円滑に行うためのものである。剥離剤層G2は、剥離剤および剥離剤を溶かす有機溶剤からなるコート液を、例えば保護剤層G1または接着剤層G3に塗布した後、熱処理することにより形成される。剥離剤は、保護剤や接着剤よりも接着力の低いものである。
【0019】
接着剤層G3は、接着剤および接着剤を溶かす有機溶剤からなるコート液を、例えば支持基板Sの接合面に塗布した後、熱処理することにより形成される。接着剤は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれでもよい。
【0020】
重合基板Tは、
図2〜
図4に示すように、フレームFの内周部に固定されるテープPに貼り付けられ、フレームFに保持される。テープPは、フレームFの開口部を覆う。フレームFとしては例えばダイシングフレームが用いられ、テープPとしては例えばダイシングテープが用いられる。
【0021】
重合基板Tは、フレームFに保持された状態で、被処理基板Wと支持基板Sとに剥離される。剥離後の被処理基板Wは、フレームFに保持された状態のまま、洗浄処理に供される。この洗浄処理では、被処理基板Wの接合面に付着する保護剤層G1および剥離剤層G2を除去する。
【0022】
尚、本実施形態では、被処理基板Wが特許請求の範囲に記載の第1基板に、支持基板Sが特許請求の範囲に記載の第2基板に対応するが、第1基板と第2基板とは逆でもよい。第1基板が支持基板Sであり、第2基板が被処理基板Wでもよい。
【0023】
剥離システム1は、
図1に示すように、第1処理ブロック10と、第2処理ブロック20と、制御装置30とを備える。
【0024】
第1処理ブロック10は、重合基板Tまたは剥離後の被処理基板Wに対する処理を行う。第1処理ブロック10は、搬入出ステーション11と、第1搬送装置12と、待機装置13と、剥離装置15と、第1洗浄装置16とを備える。
【0025】
搬入出ステーション11は、外部との間でカセットCt、Cwを搬出入させる。搬入出ステーション11はカセット載置台を有し、このカセット載置台は複数の載置部11a、11bを含む。これらの載置部11a、11bにカセットCt、Cwが載置される。カセットCtは重合基板Tを、カセットCwは剥離後の被処理基板Wをそれぞれ複数収容する。重合基板Tおよび剥離後の被処理基板Wは、フレームFに保持された状態で、カセットCt、Cwに収容される。
【0026】
第1搬送装置12は、重合基板Tまたは剥離後の被処理基板Wを搬送する。第1搬送装置12は、搬送アーム部と、基板保持部とを備える。搬送アーム部は、水平方向に移動自在とされ、鉛直方向に昇降自在とされ、且つ、鉛直軸を中心に旋回自在とされる。基板保持部は、フレームFを保持することによって、重合基板Tまたは剥離後の被処理基板Wを略水平に保持する。第1搬送装置12は、基板保持部によって保持された基板を搬送アーム部によって所望の場所まで搬送する。
【0027】
待機装置13は、処理待ちの重合基板Tを一時的に待機させておく。待機装置13は載置台を含む。この載置台には、重合基板Tが載置される。載置台にはID読取装置が設けられ、ID読取装置は、フレームFのID(Identification)を読み取り、重合基板Tを識別する。
【0028】
剥離装置15は、重合基板Tを被処理基板Wと支持基板Sとに剥離する。重合基板Tは、フレームFに保持された状態で、被処理基板Wと、支持基板Sとに剥離される。剥離後の被処理基板Wは、
図5に示すようにフレームFに保持された状態のままとされる。
【0029】
第1洗浄装置16は、剥離後の被処理基板Wを洗浄する。剥離後の被処理基板Wは、非接合面をテープPに貼り付けた状態で、洗浄される。この洗浄によって、被処理基板Wの接合面に付着する保護剤層G1および剥離剤層G2が除去される。第1洗浄装置16の詳細については、後述する。
【0030】
一方、第2処理ブロック20は、剥離後の支持基板Sに対する処理を行う。第2処理ブロック20は、受渡装置21と、第2洗浄装置22と、第2搬送装置23と、搬出ステーション24とを備える。
【0031】
受渡装置21は、剥離後の支持基板Sを剥離装置15から受け取り、第2洗浄装置22へ渡す。
【0032】
第2洗浄装置22は、剥離後の支持基板Sを洗浄する。第2洗浄装置22としては、例えば特開2013−033925号公報に記載の洗浄装置が用いられる。
【0033】
第2搬送装置23は、洗浄後の支持基板Sを搬出ステーション24に搬送する。第2搬送装置23は、第1搬送装置12と同様に、搬送アーム部と、基板保持部とを備える。第2搬送装置23に備えられる基板保持部は、例えば支持基板Sを下方から支持することによって支持基板Sを略水平に保持する。
【0034】
搬出ステーション24は、外部との間でカセットCsを搬入出させる。搬出ステーション24はカセット載置台を有し、このカセット載置台は複数の載置部24a、24bを有する。これらの載置部24a、24bにカセットCsが載置される。カセットCsは剥離後の支持基板Sを複数収容する。
【0035】
制御装置30は、メモリなどの記録媒体31と、CPU(Central Processing Unit)32などを含むコンピュータで構成され、記録媒体31に記憶されたプログラム(レシピとも呼ばれる)をCPU32に実行させることにより各種処理を実現させる。尚、制御装置30は、本実施形態では第1洗浄装置16とは別に設けられるが、第1洗浄装置16の一部であってもよい。
【0036】
制御装置30のプログラムは、情報記憶媒体に記憶され、情報記憶媒体からインストールされる。情報記憶媒体としては、例えば、ハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどが挙げられる。尚、プログラムは、インターネットを介してサーバからダウンロードされ、インストールされてもよい。
【0037】
次に、
図6を参照して、上記剥離システム1を用いた剥離方法について説明する。
図6は、一実施形態による剥離方法のフローチャートである。ここでは、被処理基板Wに着目して剥離方法を説明する。
【0038】
剥離方法は、搬入工程S11、剥離工程S12、洗浄工程S13、および搬出工程S14などを有する。これらの工程は、制御装置30による制御下で実施される。
【0039】
搬入工程S11では、第1搬送装置12が重合基板Tを載置部11a上のカセットCtから待機装置13に搬送し、次いで、待機装置13から剥離装置15に搬送する。
【0040】
剥離工程S12では、剥離装置15が重合基板Tを被処理基板Wと支持基板Sとに剥離する。重合基板Tは、フレームFに保持された状態で、被処理基板Wと、支持基板Sとに剥離される。剥離後の被処理基板Wは、フレームFに保持された状態のままとされる。剥離後、第1搬送装置12が被処理基板Wを剥離装置15から第1洗浄装置16に搬送する。
【0041】
洗浄工程S13では、第1洗浄装置16が剥離後の被処理基板Wを洗浄する。剥離後の被処理基板Wは、非接合面をテープPに貼り付けた状態で、洗浄される。この洗浄によって、被処理基板Wの接合面に付着する保護剤層G1および剥離剤層G2が除去される。
【0042】
搬出工程S14では、第1搬送装置12が剥離後の被処理基板Wを載置部11b上のカセットCwに搬送する。
【0043】
このようにして、剥離後の被処理基板Wは、第1洗浄装置16において洗浄され、その後、カセットCwに収容される。この間、剥離後の支持基板Sは、第2洗浄装置22において洗浄され、その後、カセットCsに収容される。
【0044】
尚、剥離システム1は、上記構成に限定されない。例えば、剥離システム1は、マウント装置を有してもよい。マウント装置は、フレームFの内周部に固定されたテープPに対し重合基板Tを貼り付ける。剥離システム1の外部ではなく、剥離システム1の内部で、重合基板Tのマウントが行われる。また、剥離システム1は、各種の検査装置を有してもよい。検査装置としては、例えば、洗浄後の被処理基板Wや洗浄後の支持基板Sの残渣の有無を検査する検査装置、洗浄後の被処理基板の素子などの電気特性を検査する検査装置が挙げられる。
【0045】
次に、上記第1洗浄装置16の詳細について説明する。
図7は、一実施形態による第1洗浄装置の被処理基板の下降開始前の側面図である。
図8は、一実施形態による第1洗浄装置の被処理基板の下降完了時の側面図である。
図9は、一実施形態による第1洗浄装置の洗浄液供給時の側面図である。
【0046】
第1洗浄装置16は、不図示の処理容器内に、
図7などに示すように、スピンチャック40、液供給機構50、カップ60、外周カバー65、フレームカバー70、フレームカバー固定機構80、および受渡機構90を備える。処理容器の側面には被処理基板Wの搬入出口が形成され、この搬入出口には開閉シャッタが設けられる。処理容器の天井にはファンフィルタユニットが設けられ、ファンフィルタユニットは処理容器内にダウンフローを形成する。
【0047】
図10は、
図9のX−X線に沿ったスピンチャックなどの断面図である。
図11は、
図10の一部拡大図であって、メカニカルチャックなどの断面図である。
図12は、
図11のXII−XII線に沿ったメカニカルチャックなどの断面図である。
図13は、
図9のXIII−XIII線に沿った磁石ユニットなどの断面図である。
図11および
図13において、点線は、インナーリップ部71aの弾性復元時の状態を示す。
【0048】
スピンチャック40は、処理容器の略中央に設けられる。スピンチャック40は、
図10に示すように、例えば、基板保持部41、シール部42、支柱部45、および回転駆動部46を備える。
【0049】
基板保持部41は、テープPを介して被処理基板Wを保持する。基板保持部41は、
図11に示すように、例えば、インナー保持部41aと、アウター保持部41bと、弾性リング部41cとを有する。
【0050】
インナー保持部41aは、被処理基板Wよりも大きく、テープPを介して被処理基板Wの全体を平坦に保持する。その保持は、例えば真空吸着である。被処理基板Wは、例えばその接合面を上に向けて水平に保持される。
【0051】
インナー保持部41aの材料は、例えばカーボンである。尚、インナー保持部41aの材料は、被処理基板Wを平坦に保持できる程度の硬さの材料であればよく、金属、セラミック、または樹脂などでもよい。
【0052】
アウター保持部41bは、インナー保持部41aに対し分離可能に装着される。尚、アウター保持部41bはインナー保持部41aに対し分離不能に一体に形成されてもよい。
【0053】
アウター保持部41bは、インナー保持部41aを取り囲み、インナー保持部41aよりも外側においてテープPを保持すると共に、テープPを介してフレームFを保持する。その保持は、例えば真空吸着である。
【0054】
アウター保持部41bにおける真空吸着用の吸着穴は、インナー保持部41aにおける真空吸着用の吸着穴と連通している。そのため、アウター保持部41bによる保持と、インナー保持部41aによる保持とは、同時に開始され、同時に終了される。
【0055】
尚、アウター保持部41bにおける真空吸着用の吸着穴と、インナー保持部41aにおける真空吸着用の吸着穴とは、連通していなくてもよい。アウター保持部41bによる保持と、インナー保持部41aによる保持とは順番に開始されてもよく、その順番はどちらが先でもよい。同様に、アウター保持部41bによる保持と、インナー保持部41aによる保持とは順番に終了されてもよく、その順番はどちらが先でもよい。
【0056】
アウター保持部41bにおけるテープPの保持面は、インナー保持部41aにおけるテープPの保持面に対し、同一平面に連続的に設けられる。アウター保持部41bにおけるテープPの保持面には環状溝が形成され、当該環状溝に弾性リング部41cが取り付けられる。
【0057】
アウター保持部41bの材料は、例えば金属である。尚、アウター保持部41bの材料は、弾性リング部41cを弾性変形可能に保持できる程度の硬さの材料であればよく、セラミック、カーボン、または樹脂などでもよい。
【0058】
弾性リング部41cは、ゴムなどの弾性材料で形成されている。基板保持部41に対するフレームカバー70の固定時に、フレームカバー70がテープPを弾性リング部41cに押し込むことで、弾性リング部41cが弾性変形する。弾性リング部41cは、その弾性復元力によってテープPをフレームカバー70に密着させる。
【0059】
シール部42は、基板保持部41における真空吸着用の吸着穴を取り囲み、基板保持部41とフレームFとの間を塞ぐ。吸着穴への外気の流入を抑制でき、吸着力の低下を抑制できる。シール部42は、例えばリップシールなどで構成され、その弾性復元力によってフレームFに密着する。
【0060】
回転駆動部46(
図10参照)は、モータなどで構成され、支柱部45を回転させることにより、基板保持部41を回転させる。
【0061】
液供給機構50は、基板保持部41と共に回転する被処理基板Wに向けて洗浄液を供給する。洗浄液としては、例えば接合剤(例えば剥離剤と保護剤)を溶かす溶剤が用いられる。溶剤は、例えばシンナーなどの有機溶剤である。
【0062】
液供給機構50は、
図10に示すように、例えば、洗浄液ノズル51と、ノズルアーム52と、移動昇降部53とを備える。液供給機構50が特許請求の範囲に記載の液供給部に対応する。
【0063】
洗浄液ノズル51は、例えば2流体ノズルであって、溶剤流量調節バルブ55を介して溶剤供給源56に接続されると共に、ガス流量調節バルブ57を介してガス供給源58に接続される。洗浄液ノズル51は、溶剤供給源56から供給される溶剤と、ガス供給源58から供給されるガスとを混合した洗浄液を被処理基板Wに対し供給する。
【0064】
ノズルアーム52は、水平とされ、洗浄液ノズル51をその吐出口を下に向けて保持する。洗浄液ノズル51の数は、
図10では1つであるが、複数でもよい。ノズルアーム52は、被処理基板Wの径方向に間隔をおいて複数の洗浄液ノズル51を保持してもよい。
【0065】
移動昇降部53は、ノズルアーム52を水平移動させることで、洗浄液ノズル51を待機位置(
図8に示す位置)と液供給位置(
図9に示す位置)との間で水平移動させる。また、移動昇降部53は、ノズルアーム52を昇降させることで、洗浄液ノズル51の高さを調整する。
【0066】
尚、液供給機構50は、不図示のリンス液ノズルをさらに有してよい。リンス液ノズルは、リンス液流量調節バルブを介してリンス液供給源と接続され、リンス液供給源から供給されるリンス液を被処理基板Wに対し供給する。リンス液ノズルは、その吐出口を下に向けてノズルアーム52に保持される。リンス液としては、例えば純水またはIPA(イソプロピルアルコール)が用いられる。
【0067】
また、液供給機構50は、不図示の吸引ノズルをさらに有してよい。吸引ノズルは、被処理基板W上の液体を吸引する。吸引ノズルは、その吸引口を下に向けてノズルアーム52に保持される。
【0068】
カップ60(
図10参照)は、液供給機構50によって供給される洗浄液を回収する。カップ60は、外周部としてのカップ筒部61と、カップ筒部61の底を塞ぐ底部62とを有する。底部62には、カップ60内の液体を排出する排液管63と、カップ60内のガスを排出する排気管64とが接続される。
【0069】
外周カバー65は、カップ60の外周部に沿って、待機位置(
図8に示す位置)と、液飛散防止位置(
図9に示す位置)との間で昇降される。外周カバー65は、待機位置から液飛散防止位置まで引き上げられ、基板保持部41を取り囲み、基板保持部41と共に回転する被処理基板Wからの液滴の飛散を遮る。尚、外周カバー65は、複数設けられてもよい。
【0070】
フレームカバー70は、フレームFに重ねられ、フレームFと共に基板保持部41に対し固定される。フレームカバー70は、基板保持部41に保持された被処理基板Wを取り囲み、被処理基板Wに供給された洗浄液からフレームFを保護する。フレームカバー70は、
図11などに示すように、例えば、液侵入規制部71と、固定リング部72と、固定リングカバー部73とを有する。
【0071】
液侵入規制部71は、基板保持部41に保持された被処理基板Wを取り囲み、被処理基板Wよりも外側かつフレームFよりも内側において、テープPにおける洗浄液の濡れ広がりを規制する。液侵入規制部71は、環状のリップ部71a、71bを有する。
【0072】
リップ部71a、71bは、基板保持部41に保持された被処理基板Wよりも外側かつフレームFよりも内側においてテープPに接触することで、テープPにおける洗浄液の濡れ広がりを規制する。リップ部71a、71bは、例えば同心円状に間隔をおいて配される。
【0073】
以下、リップ部71a、71bのうち、最も内側のリップ部71aをインナーリップ部71aと呼び、インナーリップ部71aよりも外側のリップ部71bをアウターリップ部71bと呼ぶ。
【0074】
インナーリップ部71aは、テープPを介して基板保持部41に押し付けられ、弾性変形される。インナーリップ部71aは、その弾性復元力によってテープPに密着される。その密着力によって、洗浄液の漏れが抑制できる。
【0075】
インナーリップ部71aは、平面視でインナー保持部41aに重なる。インナー保持部41aにテープPを介して保持された被処理基板Wの近傍で、テープP上における洗浄液の濡れ広がりを止めることができる。
【0076】
インナーリップ部71aは、テープPから剥離されると、弾性復元する。弾性復元したインナーリップ部71aは、
図11に点線で示すように、基板保持部41におけるテープPの保持面に対し斜めに傾斜しており、上側から下側に向かうほど径方向内側に傾斜している。また、弾性復元したインナーリップ部71aは、
図11に点線で示すように、アウターリップ部71bよりも下側に突出している。
【0077】
アウターリップ部71bは、テープPを弾性リング部41cに押し込み、弾性リング部41cを弾性変形させる。弾性リング部41cは、その弾性復元力によってテープPをアウターリップ部71bに密着させる。その密着力によって、洗浄液の漏れが抑制できる。
【0078】
アウターリップ部71bは、例えば弾性リング部41cに向けて先鋭状に形成されている。アウターリップ部71bの先端にテープPの密着力が集中するため、洗浄液の漏れがより抑制できる。
【0079】
アウターリップ部71bがテープPから剥離されることで、弾性リング部41cが弾性復元する。弾性復元した弾性リング部41cにおけるテープPの保持面は、アウター保持部41bにおけるテープPの保持面に対し、同一平面に連続的に配されてよい。
【0080】
尚、リップ部の数は特に限定されない。リップ部の数は1つでもよく、例えばインナーリップ部71aのみが設けられてもよい。インナーリップ部71aがテープPを弾性リング部41cに押し込んでもよい。また、リップ部の数は3つ以上でもよく、インナーリップ部71aとアウターリップ部71bとの間、および/またはアウターリップ部71bよりも外側に、リップ部が設けられてもよい。
【0081】
固定リング部72は、フレームFに対し基板保持部41とは反対側から接触する。固定リング部72は、液侵入規制部71よりも硬い材料で形成され、例えばフレームFと同様にステンレス鋼などの金属で形成される。フレームFに対しフレームカバー70を安定的に固定できる。
【0082】
固定リングカバー部73は、洗浄液から固定リング部72を保護すると共に、固定リング部72との間に液侵入規制部71を挟んで固定する。固定リングカバー部73は、液侵入規制部71よりも硬い母材と、当該母材を洗浄液から保護する保護膜とで構成される。保護膜は、洗浄液に対し耐食性を有する材料で形成され、例えばテフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂で形成される。母材は、保護膜の種類に応じて選定され、例えばアルミニウムなどの金属で形成される。
【0083】
固定リングカバー部73は、固定リング部72の他に、フレームカバー固定機構80を洗浄液から保護する。
【0084】
フレームカバー固定機構80(
図7参照)は、フレームカバー70をフレームFと共に基板保持部41に対し固定する。フレームカバー固定機構80が特許請求の範囲に記載のフレームカバー固定部に対応する。フレームカバー固定機構80は、例えばメカニカルチャック81(
図11〜
図12参照)と、磁石ユニット82(
図13参照)とを両方含む。
【0085】
メカニカルチャック81は、
図11に示すように、例えば爪部81aおよび腕部81bを有する。腕部81bは、基板保持部41の下面に取り付けられ、基板保持部41の径方向外方に突出する。腕部81bは、基板保持部41の周方向に間隔をおいて複数(例えば4つ)設けられる。各腕部81bの先端部に、爪部81aが揺動自在に取り付けられる。各爪部81aは、
図12に示すようにフレームカバー70の固定リング部72を上方から押さえることで、フレームカバー70を基板保持部41に対し固定する。フレームカバー70は、フレームFを挟んで、基板保持部41に対し固定される。
【0086】
メカニカルチャック81は、姿勢検知センサ(不図示)をさらに有する。姿勢検知センサは、各爪部81aの姿勢を検知し、その検知結果を制御装置30に送信する。制御装置30は、各爪部81aの姿勢に基づき基板保持部41に対しフレームFおよびフレームカバー70が正常に固定されたか否かを検知する。
【0087】
磁石ユニット82は、
図13に示すように、例えば、磁石82aと、磁石82aによって吸着される吸着体82bとを有する。磁石ユニット82は、基板保持部41に対しフレームカバー70を磁力によって吸着する。フレームカバー70は、フレームFを挟んで、基板保持部41に対し固定される。
【0088】
磁石82aは、例えば基板保持部41に取り付けられる。磁石82aは、基板保持部41の周方向に間隔をおいて複数(例えば8つ)設けられる。磁石82aは、各爪部81aの両側に1つずつ設けられる。尚、磁石82aの数は1つでもよく、磁石82aの形状は環状でもよい。
【0089】
磁石82aは、基板保持部41と共に回転させられる。そのため、磁石82aとしては、永久磁石が用いられる。尚、磁石82aは電磁石であってもよい。電磁石の通電を停止させることで、吸着力を略ゼロにすることができる。
【0090】
吸着体82bは、例えばフレームカバー70に取り付けられる。吸着体82bは、フレームカバー70の周方向に間隔をおいて複数(例えば8つ)設けられる。複数の磁石82aに対応して複数の吸着体82bが設けられる。
【0091】
尚、吸着体82bの数は1つでもよく、吸着体82bの形状は環状でもよい。例えば、固定リング部72が吸着体82bとして用いられてもよい。この場合、固定リング部72の真下に磁石82aが配設されてもよい。
【0092】
吸着体82bは、フレームカバー70と共に回転させられる。吸着体82bは、例えば軟磁性材料で形成される。磁石82aの磁極の向きに関係なく、磁石82aが吸着体82bを吸着できる。よって、磁石82aを基板保持部41に対し取り付ける際に、磁石82aの磁極の向きを管理する手間が省ける。
【0093】
尚、磁石82aと吸着体82bとの配置は逆でもよく、磁石82aがフレームカバー70に取り付けられ、吸着体82bが基板保持部41に取り付けられてもよい。また、吸着体82bは、磁石82aによって吸着されればよく、硬磁性材料で形成されてもよい。つまり、吸着体82bも磁石であってもよく、基板保持部41とフレームカバー70の両方に磁石が取り付けられてもよい。
【0094】
尚、本実施形態のフレームカバー固定機構80は、メカニカルチャック81と、磁石ユニット82とを両方有するが、いずれか一方のみを有してもよい。フレームカバー固定機構80が磁石ユニット82のみを有する場合、上記姿勢検知センサとは別に、基板保持部41に対しフレームFおよびフレームカバー70が正常に固定されたか否かを検知するセンサが設けられる。
【0095】
図14は、
図7のXIV−XIV線に沿った受渡機構などの断面図である。受渡機構90は、
図7に示すように第1搬送装置12から被処理基板Wを受け取り、スピンチャック40に渡す。また、受渡機構90は、
図8に示すようにスピンチャック40から被処理基板Wを受け取り、第1搬送装置12に渡す。
【0096】
受渡機構90は、スピンチャック40に対し、被処理基板Wを受け渡すと共に、フレームカバー70を受け渡す。第1洗浄装置16の内部でフレームカバー70がフレームFに着脱されるので、洗浄時のみフレームFに対しフレームカバー70を被せることができる。また、1つのフレームカバー70を繰り返し使用することができる。
【0097】
受渡機構90は、
図7〜
図9に示すように、例えば、フレーム保持部91と、フレームカバー保持部94と、昇降部97とを有する。
【0098】
フレーム保持部91は、フレームFを保持することで、被処理基板Wを保持する。フレーム保持部91は、例えば、複数のフレーム保持爪92a、92bと、フレーム保持爪開閉機構93とを有する。
【0099】
複数のフレーム保持爪92a、92bは、フレームFの中心線の周りに放射状に配される。複数のフレーム保持爪92a、92bは、径方向内方に閉じることで、フレームFを引掛けて保持する。また、複数のフレーム保持爪92a、92bは、径方向外方に開くことで、フレームFの保持を解除する。
【0100】
フレーム保持爪開閉機構93は、複数のフレーム保持爪92a、92bを径方向に開閉させる。フレーム保持爪開閉機構93は、複数のフレーム保持爪92a、92bに対応する複数のシリンダ93a、93bを有する。
【0101】
尚、本実施形態のフレーム保持部91は、フレームFを引掛けて保持するが、フレームFを吸着して保持してもよい。
【0102】
フレームカバー保持部94は、フレームカバー70を保持する。フレームカバー保持部94は、
図14に示すように、例えば、複数のフレームカバー保持爪95a、95bと、フレームカバー保持爪開閉機構96とを有する。
【0103】
複数のフレームカバー保持爪95a、95bは、フレームカバー70の中心線の周りに放射状に配される。複数のフレームカバー保持爪95a、95bは、径方向内方に閉じることで、フレームカバー70を引掛けて保持する。また、複数のフレームカバー保持爪95a、95bは、径方向外方に開くことで、フレームカバー70の保持を解除する。
【0104】
複数のフレームカバー保持爪95a、95bは、それぞれ、基端部から二股に分岐しており、分岐した各先端部にガイドピンGP(
図14、
図7等参照)を有する。各ガイドピンGPは、フレームカバー70の外周に形成されるガイド溝GG(
図14参照)に差し込まれる。これにより、位置ずれが防止できる。
【0105】
尚、本実施形態の複数のフレームカバー保持爪95a、95bは、それぞれ、基端部から二股に分岐しているが、分岐していなくてもよく、その先端部にガイドピンGPを有してもよい。また、ガイドピンGPとガイド溝GGの配置は逆でもよく、ガイドピンGPがフレームカバー70に配置され、ガイド溝GGがフレームカバー保持爪95a、95bに配置されてもよい。
【0106】
フレームカバー保持爪開閉機構96は、複数のフレームカバー保持爪95a、95bを径方向に開閉させる。フレームカバー保持爪開閉機構96は、複数のフレームカバー保持爪95a、95bに対応する複数のシリンダ96a、96bを有する。
【0107】
尚、本実施形態のフレームカバー保持部94は、フレームカバー70を引掛けて保持するが、フレームカバー70を吸着して保持してもよい。
【0108】
昇降部97は、第1昇降部97a(
図7〜
図9参照)と、第2昇降部97b(
図14参照)とを有する。第1昇降部97aは、フレーム保持部91とフレームカバー保持部94とを同時に基板保持部41に対し昇降させる。第2昇降部97bは、一のフレームカバー保持爪95aに対し他のフレームカバー保持爪95bを相対的に昇降させる。
【0109】
尚、フレームカバー保持爪の数は3つ以上でもよい。第2昇降部97bの数は、フレームカバー保持爪の数よりも1つだけ少ない数でもよいが、その数以上であればよい。
【0110】
制御装置30は、基板保持部41に保持されたテープPとフレームカバー70との剥離時に、先ず第2昇降部97bを作動させ、次いで第1昇降部97aを作動させることで、フレームカバー70の周方向一端部から周方向他端部に向けて順次剥離を行う。
【0111】
次に、
図15などを参照して、上記第1洗浄装置16を用いた洗浄方法について説明する。
図15は、一実施形態による洗浄方法のフローチャートである。
【0112】
洗浄方法は、
図15に示すように、例えば、準備工程S21、洗浄液供給工程S22、リンス液供給工程S23、乾燥工程S24、および回収工程S25を有する。これらの工程は、制御装置30による制御下で実施される。
【0113】
準備工程S21は、剥離後の被処理基板Wを第1搬送装置12から受渡機構90が受け取ったときに開始される。受渡機構90は、フレームFを介して被処理基板Wを保持すると共に、フレームFの上方にフレームカバー70を保持する。
【0114】
準備工程S21では、受渡機構90が被処理基板Wおよびフレームカバー70をスピンチャック40に渡し、液供給機構50などが洗浄液の供給のための準備を行う。
【0115】
具体的には、先ず、昇降部97が、フレーム保持部91およびフレームカバー保持部94を待機位置から受渡位置まで下降させる。これにより、被処理基板Wおよびフレームカバー70が基板保持部41に渡される。また、基板保持部41に対しフレームカバー70が磁石ユニット82の磁力によって吸着される。
【0116】
次いで、基板保持部41がテープPを介して被処理基板Wを保持すると共に、メカニカルチャック81が基板保持部41に対しフレームカバー70を固定する。フレームカバー70は、フレームFを挟んで基板保持部41に対し固定される。
【0117】
インナーリップ部71aは、テープPを介して基板保持部41に押し付けられており、弾性変形されている。また、アウターリップ部71bは、テープPを弾性リング部41cに押し込んでおり、弾性リング部41cを弾性変形させている。弾性リング部41cは、その弾性復元力によってテープPをアウターリップ部71bに密着させている。
【0118】
次いで、昇降部97が、フレーム保持部91およびフレームカバー保持部94を元の待機位置まで上昇させる。
【0119】
その後、移動昇降部53が、洗浄液ノズル51を待機位置から液供給位置まで水平移動される。尚、この動作は、受渡機構90の上昇完了前に開始されてもよい。
【0120】
その後、外周カバー65が、待機位置から液飛散防止位置まで引き上げられる。尚、この動作は、洗浄液ノズル51の移動完了前に開始されてもよい。
【0121】
洗浄液供給工程S22では、洗浄液ノズル51が、被処理基板Wに向けて洗浄液を供給する。このとき、回転駆動部46が、基板保持部41を回転させる。被処理基板Wに供給された洗浄液は、被処理基板Wの回転に伴う遠心力によって濡れ広がる。被処理基板Wの接合面全体が洗浄液の膜で覆われ、被処理基板Wの接合面に付着する接合剤が洗浄液に浸漬される。洗浄液に接合剤が徐々に溶解する。
【0122】
このとき、フレームカバー70は、フレームFと共に基板保持部41に対し固定されている。インナーリップ部71aやアウターリップ部71bは、それぞれ、基板保持部41に保持された被処理基板Wよりも外側かつフレームFよりも内側においてテープPに接触することで、テープPにおける洗浄液の濡れ広がりを規制する。よって、洗浄液からフレームFを保護できる。
【0123】
リンス液供給工程S23では、リンス液ノズルが、被処理基板Wに向けてリンス液(例えばIPA)を供給する。このとき、回転駆動部46が基板保持部41を回転させる。被処理基板Wに供給されたリンス液は、被処理基板Wの回転に伴う遠心力によって濡れ広がる。被処理基板W上の液体をリンス液によって置換または希釈することができる。
【0124】
乾燥工程S24では、回転駆動部46が、基板保持部41を回転させ、被処理基板W上の残液を遠心力によって振り切る。振り切られた液体は、フレームカバー70に沿ってテープPから離れ、フレームカバー70を乗り越え、カップ60に回収される。尚、リンス液供給工程S23の後、乾燥工程S24の前に、移動昇降部53が、洗浄液ノズル51などを液供給位置から待機位置まで移動させておいてもよい。
【0125】
回収工程S25では、乾燥後の被処理基板Wをスピンチャック40から受渡機構90が受け取り、第1搬送装置12に渡す。受渡機構90は、被処理基板Wの他に、フレームカバー70をスピンチャック40から受け取る。
【0126】
具体的には、先ず、昇降部97が、フレーム保持部91およびフレームカバー保持部94を待機位置から受渡位置まで下降させる。この動作は、外周カバー65が液飛散防止位置から待機位置まで下降させられた後に行われてよい。
【0127】
次いで、メカニカルチャック81が基板保持部41に対するフレームカバー70の固定を解除する。このとき、フレームカバー70は、磁石ユニット82によって基板保持部41に対し吸着されている。また、このとき、フレームカバー70は、テープPに付着している。
【0128】
次いで、受渡機構90が、フレームカバー70を保持し、フレームカバー70を基板保持部41に対し僅かに上昇させ、磁石ユニット82による吸着を解除させると共に、フレームカバー70とテープPとを剥離させる。このとき、基板保持部41は、テープPをフレームカバー70とは反対側から保持する。
【0129】
基板保持部41は、上述したように、インナー保持部41aに加えて、アウター保持部41bを有する。インナー保持部41aとアウター保持部41bの両方が、テープPをフレームカバー70とは反対側から保持する。
【0130】
アウター保持部41bは、フレームカバー70の内周よりも外側かつフレームFよりも内側において、テープPをフレームカバー70とは反対側から保持する。フレームカバー70とテープPとの剥離時に、テープPに付着するリップ部71a、71bの近傍において、テープPを固定できる。
【0131】
アウター保持部41bは、フレームカバー70の内周よりも外側かつフレームFよりも内側に、テープPを真空吸着する吸着穴を有する。吸着穴は、平面視において、リップ部71a、71bと重ならない位置に設けられてよく、例えばインナーリップ部71aとアウターリップ部71bとの間に設けられてよい。
【0132】
尚、本実施形態のアウター保持部41bは、テープPの保持に、真空吸着力を利用するが、例えば粘着力や静電気力などを利用してもよい。アウター保持部41bによるテープPの保持は、多種多様であってよい。
【0133】
受渡機構90は、フレームカバー70とテープPとの剥離を、フレームカバー70の周方向一端部から周方向他端部に向けて順次行う。フレームカバー70とテープPとの剥離や磁石ユニット82による吸着の解除が徐々に行われるので、一度に行われる場合よりもフレームカバー70のばたつきが抑制できる。
【0134】
次いで、基板保持部41がテープPの保持を解除し、昇降部97がフレーム保持部91およびフレームカバー保持部94を元の待機位置まで上昇させる。その途中で、フレーム保持部91がフレームFを引掛けて保持する。
【0135】
その後、受渡機構90が被処理基板Wを第1搬送装置12に渡し、回収工程S25が終了する。このとき、フレームカバー70は、受渡機構90に保持され、次回のフレームFの保護に用いられる。
【0136】
以上説明したように、本実施形態の第1洗浄装置16は、フレームカバー70を有する。フレームカバー70は、1つ以上のリップ部(本実施形態では2つのリップ部71a、71b)を有する。リップ部71a、71bは、基板保持部41によって保持された被処理基板Wよりも外側かつフレームFよりも内側においてテープPに接触することで、テープPにおける洗浄液の濡れ広がりを規制する。よって、洗浄液によるフレームFの劣化を抑制できる。
【0137】
本実施形態の基板保持部41は、フレームカバー70とテープPとの剥離時に、フレームカバー70の内周よりも外側かつフレームFよりも内側において、テープPをフレームカバー70とは反対側から保持する。フレームカバー70とテープPとの剥離時に、テープPに付着するリップ部71a、71bの近傍において、テープPを固定できる。この効果は、フレームカバー70とテープPとの密着力が強いほど顕著である。
【0138】
本実施形態の基板保持部41には、シール部42が取り付けられる。シール部42は、基板保持部41における真空吸着用の吸着穴を取り囲み、基板保持部41とフレームFとの間を塞ぐ。よって、吸着穴への外気の流入を抑制でき、吸着力の低下を抑制できる。
【0139】
本実施形態の基板保持部41は、基板保持部41に保持された被処理基板Wよりも外側かつフレームFよりも内側に、環状の弾性リング部41cを有する。アウターリップ部71bは、テープPを弾性リング部41cに押し込み、弾性リング部41cを弾性変形させる。弾性リング部41cの弾性復元力によってテープPをフレームカバー70に密着させることができ、洗浄液の漏れをより抑制することができる。
【0140】
尚、本実施形態では、アウターリップ部71bがテープPを弾性リング部41cに押し込むが、インナーリップ部71aがテープPを弾性リング部41cに押し込んでもよいし、インナーリップ部71aとアウターリップ部71bの両方がそれぞれテープPを弾性リング部41cに押し込んでもよい。いずれの場合も、弾性リング部41cの弾性復元力によってテープPをフレームカバー70に密着させることができる。
【0141】
本実施形態の基板保持部41には、磁石ユニット82の一部が取り付けられる。磁石ユニット82は、フレームカバー70をフレームFと共に基板保持部41に対し吸着する。磁力によってリップ部71a、71bをテープPに密着させることができ、洗浄液の漏れを抑制することができる。
【0142】
以上、洗浄装置などの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0143】
例えば、被処理基板Wの種類は多種多様であってよく、半導体用の基板の他、例えばFPD(フラットパネルディスプレイ)用の基板、フォトマスク用のマスクレチクルの基板などでもよい。
【0144】
図3に示す重合基板Tの接合層Gは、保護剤層G1、剥離剤層G2、および接着剤層G3の3層構造であるが、その構造は特に限定されない。例えば、接合層Gは、接着剤層G3のみの1層構造、または剥離剤層G2および接着剤層G3の2層構造でもよい。2層構造の場合、剥離剤層G2と接着剤層G3の配置は
図3とは逆でもよく、剥離剤層G2が被処理基板Wの側に配され、接着剤層G3が支持基板Sの側に配されてもよい。従って、剥離後の被処理基板Wの接合面に付着する接合剤の種類は特に限定されない。
【0145】
上記実施形態の第1洗浄装置16は、剥離後の被処理基板Wの洗浄に用いられるが、剥離後の支持基板Sの洗浄に用いられてもよい。第1洗浄装置16の用途は特に限定されない。
【0146】
上記実施形態の液供給機構50は、洗浄液ノズル51を水平方向に直線移動させるが、洗浄液ノズル51を水平方向に旋回させてもよい。