特許第6573575号(P6573575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6573575-凹部の埋め込み方法 図000003
  • 特許6573575-凹部の埋め込み方法 図000004
  • 特許6573575-凹部の埋め込み方法 図000005
  • 特許6573575-凹部の埋め込み方法 図000006
  • 特許6573575-凹部の埋め込み方法 図000007
  • 特許6573575-凹部の埋め込み方法 図000008
  • 特許6573575-凹部の埋め込み方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573575
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】凹部の埋め込み方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/318 20060101AFI20190902BHJP
   C23C 16/34 20060101ALI20190902BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20190902BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20190902BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20190902BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   H01L21/318 B
   C23C16/34
   C23C16/455
   H01L21/285 C
   H01L21/28 301R
   H01L21/31 C
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-92452(P2016-92452)
(22)【出願日】2016年5月2日
(65)【公開番号】特開2017-201653(P2017-201653A)
(43)【公開日】2017年11月9日
【審査請求日】2018年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099944
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 宏志
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−104695(JP,A)
【文献】 特開2013−135154(JP,A)
【文献】 特開平10−287979(JP,A)
【文献】 特開平07−142463(JP,A)
【文献】 特表2013−520028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/318
C23C 16/34
C23C 16/455
H01L 21/28
H01L 21/285
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹部が形成された被処理基板に対し、成膜しようとする窒化膜を構成する元素を含有する成膜原料ガスを吸着させる成膜原料ガス吸着工程と、前記吸着された成膜原料ガスを、窒化ガスを活性化することにより生成された窒化種により窒化させる窒化工程とを繰り返して凹部内に窒化膜を形成し、凹部を埋め込む凹部の埋め込み方法であって、
前記窒化膜を形成する期間の少なくとも一部を、被処理基板の表面に吸着可能な高分子材料を気相状態で供給し、前記凹部の上部に吸着させて、前記成膜原料ガスの吸着を阻害させ、前記凹部の底部から窒化膜を成長させるボトムアップ成長期間とすることを特徴とする凹部の埋め込み方法。
【請求項2】
前記窒化膜を形成する最初の期間を、前記高分子材料を供給せずに、前記成膜原料ガス吸着工程と、前記窒化工程を繰り返してコンフォーマルな窒化膜を形成するコンフォーマル窒化膜形成期間とし、その後の期間を前記ボトムアップ成長期間とすることを特徴とする請求項1に記載の凹部の埋め込み方法。
【請求項3】
前記ボトムアップ成長期間は、前記成膜原料ガス吸着工程、前記窒化工程、および前記高分子材料を前記凹部の上部に吸着させる高分子材料吸着工程をこの順に繰り返すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の凹部の埋め込み方法。
【請求項4】
被処理基板の表面に形成された凹部に窒化膜を形成し、凹部を埋め込む凹部の埋め込み方法であって、
成膜しようとする窒化膜を構成する元素を含有する成膜原料ガスを吸着させる成膜原料ガス吸着工程と、前記吸着された成膜原料ガスを、窒化ガスを活性化することにより生成された窒化種により窒化させる窒化工程とを繰り返して凹部内にコンフォーマルな窒化膜を形成する第1段階と、
前記成膜原料ガス吸着工程と、前記窒化工程と、被処理基板の表面に吸着可能な高分子材料を気相状態で供給し、前記凹部の上部に吸着させる高分子材料吸着工程とを、この順に繰り返し、前記成膜原料ガスの吸着を阻害させ前記凹部の底部から窒化膜を成長させる第2段階と
を有することを特徴とする凹部の埋め込み方法。
【請求項5】
前記第2段階の後、前記成膜原料ガス吸着工程と、前記窒化工程とを繰り返してコンフォーマルな窒化膜を形成する第3段階をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の凹部の埋め込み方法。
【請求項6】
前記高分子材料は、前記窒化工程によって被処理基板表面に形成されるNH基に吸着することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の凹部の埋め込み方法。
【請求項7】
前記高分子材料は、エーテル結合を有する高分子材料であることを特徴とする請求項6に記載の凹部の埋め込み方法。
【請求項8】
前記エーテル結合を有する高分子材料は、グリム、ジグリム、およびトリグリムから選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項7に記載の凹部の埋め込み方法。
【請求項9】
前記成膜原料ガスはSiを含有し、前記窒化膜はシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の凹部の埋め込み方法。
【請求項10】
前記成膜原料ガスは、ジクロロシラン、モノクロロシラン、トリクロロシラン、シリコンテトラクロライド、およびヘキサクロロジシランからなる群から選択された少なくとも一種であることを特徴とする請求項9に記載の凹部の埋め込み方法。
【請求項11】
前記窒化ガスとしてNHガスを用いることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の凹部の埋め込み方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹部に対して窒化膜を埋め込む凹部の埋め込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造シーケンスにおいては、シリコンウエハに代表される半導体ウエハに対して絶縁膜としてシリコン窒化膜(SiN膜)等の窒化膜を成膜する成膜処理が存在する。このようなSiN膜の成膜処理には、化学蒸着法(CVD法)が用いられている。
【0003】
トレンチ内にCVD法によりSiN膜(CVD−SiN)を埋め込む場合には、ボイドやシームが発生することがあるが、その場合には、ボイドやシームが発生した箇所までエッチバックして再度CVD法によりSiN膜を形成する手法がとられていた。
【0004】
しかしながら、近時、デバイスの微細化が進み、CVD−SiNではステップカバレッジが十分ではなく、上記手法によってもボイドやシームの発生を抑制することが困難になりつつある。
【0005】
CVD法よりも良好なステップカバレッジで膜形成が可能な技術として原子層堆積法(ALD法)が知られており(例えば特許文献1)、微細トレンチ内にSiN膜を埋め込む際にもALD法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−351689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、デバイスの微細化がさらに進み、ALD法によってもSiN膜をボイドやシームを防止しつつ埋め込むことが困難になりつつある。
【0008】
したがって、本発明は、微細な凹部にボイドやシームを生じずに窒化膜を埋め込むことができる凹部の埋め込み方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点は、表面に凹部が形成された被処理基板に対し、成膜しようとする窒化膜を構成する元素を含有する成膜原料ガスを吸着させる成膜原料ガス吸着工程と、前記吸着された成膜原料ガスを、窒化ガスを活性化することにより生成された窒化種により窒化させる窒化工程とを繰り返して凹部内に窒化膜を形成し、凹部を埋め込む凹部の埋め込み方法であって、前記窒化膜を形成する期間の少なくとも一部を、被処理基板の表面に吸着可能な高分子材料を気相状態で供給し、前記凹部の上部に吸着させて、前記成膜原料ガスの吸着を阻害させ、前記凹部の底部から窒化膜を成長させるボトムアップ成長期間とすることを特徴とする凹部の埋め込み方法を提供する。
【0010】
前記窒化膜を形成する最初の期間を、前記高分子材料を供給せずに、前記成膜原料ガス吸着工程と、前記窒化工程を繰り返してコンフォーマルな窒化膜を形成するコンフォーマル窒化膜形成期間とし、その後の期間を前記ボトムアップ成長期間とすることができる。前記ボトムアップ成長期間は、前記成膜原料ガス吸着工程、前記窒化工程、および前記高分子材料を前記凹部の上部に吸着させる高分子材料吸着工程をこの順に繰り返すことにより行うことができる。
【0011】
本発明の第2の観点は、被処理基板の表面に形成された凹部に窒化膜を形成し、凹部を埋め込む凹部の埋め込み方法であって、成膜しようとする窒化膜を構成する元素を含有する成膜原料ガスを吸着させる成膜原料ガス吸着工程と、前記吸着された成膜原料ガスを、窒化ガスを活性化することにより生成された窒化種により窒化させる窒化工程とを繰り返して凹部内にコンフォーマルな窒化膜を形成する第1段階と、前記成膜原料ガス吸着工程と、前記窒化工程と、被処理基板の表面に吸着可能な高分子材料を気相状態で供給し、前記凹部の上部に吸着させる高分子材料吸着工程とを、この順に繰り返し、前記成膜原料ガスの吸着を阻害させ前記凹部の底部から窒化膜を成長させる第2段階とを有することを特徴とする凹部の埋め込み方法を提供する。
【0012】
前記第2段階の後、前記成膜原料ガス吸着工程と、前記窒化工程とを繰り返してコンフォーマルな窒化膜を形成する第3段階をさらに有してもよい。
【0013】
上記第1の観点および第2の観点において、前記高分子材料は、前記窒化工程によって被処理基板表面に形成されるNH基に吸着するものを用いることができる。このような高分子材料としては、エーテル結合を有する高分子材料を挙げることができ、前記エーテル結合を有する高分子材料として、グリム、ジグリム、およびトリグリムから選択された少なくとも1種を用いることができる。
【0014】
前記成膜原料ガスはSiを含有するものとし、前記窒化膜としてシリコン窒化膜とすることができる。前記成膜原料ガスとしては、ジクロロシラン、モノクロロシラン、トリクロロシラン、シリコンテトラクロライド、およびヘキサクロロジシランからなる群から選択された少なくとも一種を用いることができる。
【0015】
前記窒化ガスとしてNHガスを用いることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、窒化膜を形成する期間の少なくとも一部を、被処理基板の表面に吸着可能な高分子材料を気相状態で供給し、前記凹部の上部に吸着させて、前記成膜原料ガスの吸着を阻害させ、前記凹部の底部から窒化膜を成長させるボトムアップ成長期間とするので、微細な凹部にボイドやシームを生じずに窒化膜を埋め込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】NH基に吸着可能な高分子材料としてジグリムを用いた場合の状態を模式的に示す図である。
図2】凹部を埋め込む際に、コンフォーマルなSiN膜を成膜した後に、高分子材料を用いた手法によりSiN膜を成膜する場合を説明するための図である。
図3】本発明の一実施形態に係る凹部の埋め込み方法を説明するための工程断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る凹部の埋め込み方法のうち、高分子材料を用いた第2段階の埋め込みの際のシーケンスを説明するための図である。
図5】高分子材料を用いたSiNのボトムアップ成長のメカニズムを説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態に係る凹部の埋め込み方法を実施するための成膜装置の第1例を概略的に示す水平断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る凹部の埋め込み方法を実施するための成膜装置の第2例を概略的に示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本発明においては、被処理基板の凹部にALD法により窒化膜を埋め込む。本実施形態では窒化膜としてシリコン窒化膜(SiN膜)を例にとって説明する。
【0019】
<本実施形態における凹部の埋め込み方法の概略>
本実施形態では、被処理基板に形成されたトレンチやホール等の凹部に対し、ALD法によってSiN膜を埋め込む。
【0020】
ALD法によりSiN膜を成膜する場合には、一般的に、成膜原料ガス(Siプリカーサ)としては、ジクロロシラン(DCS;SiHCl)等を用い、窒化の際にはNHガス等の窒化ガスをプラズマ等により活性化されて生成された窒化種を用いて、Siプリカーサの吸着→窒化種による窒化→Siプリカーサの吸着→・・・・・を繰り返す。この際、Siプリカーサの吸着および窒化種による窒化により、表面のダングリングボンドにはNH基が結合されているため、Siプリカーサは、表面に存在するNH基のHとClがリガンド交換し化学吸着する。
【0021】
このとき、単純なALD法による成膜では、コンフォーマルに膜成長が生じ、凹部に埋め込んだSiN膜の内部にシームやボイドが生じる。このようなシームやボイドを抑制するためには、凹部の上部におけるSiプリカーサの吸着を阻害させ、凹部の底部におけるSiプリカーサの吸着のみを促進させることが有効である。
【0022】
そこで、本実施形態では、表面に存在する基、すなわちNH基に吸着可能な高分子材料を用いて、被処理基板に形成された凹部の上部のみSiプリカーサの吸着を阻害する。つまり、高分子材料が表面に存在するNH基に吸着すると、その吸着部分は次に供給されるSiプリカーサの吸着が阻害される。一方、このような高分子材料は、高分子なるがゆえに凹部の底部には到達し難く、底部ではSiプリカーサの吸着阻害効果を発揮し難いため、凹部の上部のみSiプリカーサの吸着阻害効果を発揮するのである。
【0023】
したがって、Siプリカーサの吸着→窒化種による窒化→Siプリカーサの吸着→・・・・・を繰り返してSiN膜を成膜する際に、上記のような高分子材料を気相状態で供給することにより、凹部上部へのSiプリカーサの吸着を阻害し、凹部の底部に選択的にSiプリカーサを吸着させて、底部からSiNを成長させることができる。そして、ある程度成膜が進んだところで高分子材料の供給を停止することにより、凹部内の全体がSiN膜で埋め込まれる。このため、微細な凹部の間口を塞ぐことが防止され、内部にシームやボイドが形成されることなくSiN膜を埋め込むことができる。
【0024】
NH基に吸着可能な高分子材料としては、エーテル結合を有する高分子材料を挙げることができる。エーテル結合を有する高分子材料は、その中に含まれる酸素と、被処理基板の表面のNH基との間で水素結合が生じ、被処理基板に吸着される。
【0025】
エーテル結合を有する高分子材料としては、以下の(1)式で示すグリム(1,2ジメトキシエタン(C10))、(2)式で示すジグリム(ジエチレングリコールジメチルエーテル(C14))、(3)式で示すトリグリム(トリエチレングリコールジメチルエーテル(C18))を好適に用いることができる。これらの中では、分子量が比較的大きく、イオン半径およびC−O−Cの結合角から計算した分子の大きさが1.2nm程度であり、かつ適度の蒸気圧を有するジグリムが特に好ましい。
【0026】
【化1】
【0027】
図1にNH基に吸着可能な高分子材料としてジグリムを用いた場合の状態を模式的に示す。図1に示すように、凹部を有する被処理基板の表面のダングリングボンドにNH基を結合させた状態で、ジグリムを気相状態で供給することにより、ジグリム中の酸素が弱い陰性(δ)を帯び、NH基の水素が弱い陽性(δ)を帯びて、これらが水素結合する。これにより、凹部の上部のNH基の一部にジグリム分子が吸着した状態となる。これにより、凹部の上部ではSiプリカーサの吸着が阻害される。一方、ジグリムは分子が大きいため、微細な凹部(例えば幅10nmのトレンチや径が10nmのホール)において、底部への供給が妨げられ、底部ではSiプリカーサの吸着阻害は生じ難くなる。
【0028】
ジグリム等のNH基に吸着可能な高分子材料の供給タイミングは、特に限定されないが、凹部の上部へのSiプリカーサの吸着を阻害して、凹部の底部からSiN膜を成膜させる観点からは、窒化処理後、Siプリカーサの供給前に高分子材料を供給することが好ましい。具体的には、Siプリカーサを供給した後窒化処理を行って、表面のダングリングボンドにNH基が結合された状態とし、その後、高分子材料の供給、Siプリカーサの供給、窒化処理を行う。すなわち、Siプリカーサの吸着→窒化処理→高分子材料の吸着→Siプリカーサの吸着→窒化処理→高分子材料の吸着→Siプリカーサの吸着→・・・・・・を繰り返すことが好ましい。
【0029】
また、凹部底部へのジグリム等の高分子材料の到達をより確実に抑制するためには、凹部の間口をより狭くしてから高分子材料を供給することが好ましい。そのためには、図2(a)に示すように、最初、凹部2が形成された被処理基板1に対し、高分子材料を用いずにコンフォーマルにSiN膜3を形成して凹部2の間口を狭くし、その後、図2の(b)に示すように、ジグリム等の高分子材料4を凹部2の上部に吸着させた状態で成膜を行えばよい。これにより高分子材料の底部への到達が確実に抑制され、図2(c)に示すように、SiN膜3を底部からV字状に成長させることができる。
【0030】
<本実施形態の凹部の埋め込み方法の具体例>
以下、本実施形態の凹部の埋め込み方法の具体例について、図3の工程断面図を参照して説明する。
【0031】
最初に、絶縁膜11を有し、絶縁膜11に微細凹部として微細トレンチ12が形成され、微細トレンチ12の内壁にライナー膜13が形成された半導体ウエハ(以下単にウエハと記す)Wを準備し(図3(a))、SiN膜の形成を開始する。
【0032】
成膜の初期には、微細トレンチ12の間口が狭くなっていないため、高分子材料を利用した埋め込みに先立って、第1段階として、コンフォーマルなSiN膜の成膜を行い、図3(b)に示すように、初期埋め込み層としてコンフォーマルSiN膜21が形成される。
【0033】
コンフォーマルSiN膜21の形成は、上述したように、Siプリカーサを供給してSiプリカーサを吸着させる工程と、窒化種により窒化する工程とを交互に繰り返すことにより行われる。このときの温度は150〜600℃の範囲、圧力は13〜665Paの範囲が好ましい。
【0034】
Siプリカーサとしては、Clを含有したものが好ましく、ジクロロシラン(DCS;SiHCl)を好適に用いることができる。DCSの他、モノクロロシラン(MCS;SiHCl)、トリクロロシラン(TCS;SiHCl)、シリコンテトラクロライド(STC;SiCl)、ヘキサクロロジシラン(HCD;SiCl)等を用いることができる。
【0035】
また、窒化処理の際の窒化ガスとしては、NHガスを好適に用いることができる。NHガスにHガスを加えてもよい。また、NガスとHガスを用いてもよい。さらにArガスのような不活性ガスを加えてもよい。いずれの場合も、これらのガスをプラズマ生成手段等により活性化する。これにより、窒化種を生成する。このときのプラズマ生成手段は特に限定されない。また、プラズマ生成手段に限定されず、窒化に適用可能な窒化種が生成可能な活性化手段であればよい。
【0036】
Siプリカーサの吸着と窒化処理との間には、不活性ガスによるパージ等の残留ガス除去処理が行われる。
【0037】
コンフォーマルSiN膜21がある程度の厚さになり、微細トレンチ12の間口が狭くなってきた時点、例えば間口が2〜8nm程度になった時点で、本実施形態の埋め込み方法による第2段階の埋め込みに移行し、コンフォーマルSiN膜21の上に、第2段階の埋め込み層として、図3(c)に示すようなV字状のボトムアップSiN膜22を成膜する。
【0038】
この第2段階の埋め込みにおいては、図4に示すように、Siプリカーサ(例えばDCS)を供給して吸着させる工程(ステップS1)、窒化ガス(例えばNH)を用いた窒化種による窒化処理を行う工程(ステップS2)、NH基に吸着可能な高分子材料(例えばジグリム)を供給して吸着させる工程(ステップS3)をこの順で複数回繰り返す。
【0039】
ステップS1およびステップS2を行うことにより、微細トレンチ12の内面およびトレンチ12が存在しない部分の表面のダングリングボンドにNH基が結合した状態となっており、その後ステップ3の高分子材料(例えばジグリム)の供給を行うことにより、図5に示すように、微細トレンチ12内面の上部およびトレンチ12が存在しない部分の表面に存在するNH基に高分子材料14が吸着する。このとき、微細トレンチ12の間口が狭くなっているので、分子の大きさが大きい高分子材料14は、微細トレンチ12の底部まで到達し難く、微細トレンチ12の底部のNH基には高分子材料14はほとんど吸着しない。このため、微細トレンチ12の上部では、高分子材料14の存在により次に供給されるSiプリカーサ15の吸着が妨げられ、SiN膜の成膜は抑制されるが、高分子材料14がほとんど吸着しない微細トレンチ12の底部では、次に供給されるSiプリカーサ15の吸着が妨げられず、SiN膜の成膜が進行する。
【0040】
すなわち、微細トレンチ12の上部ではSiプリカーサの吸着量が少なく成膜が阻害されるのに対し、微細トレンチ12の底部にはSiプリカーサが吸着され、成膜が進行する。したがって、微細トレンチ12の底部からSiNをボトムアップ成長させることができる。このため、微細トレンチ12の間口が閉塞することなく、コンフォーマルSiN膜21上に、図3(c)に示すようなV字状のボトムアップSiN膜22が形成される。
【0041】
なお、微細トレンチ12の形状によっては、第1段階を省略して、成膜初期段階から第2段階の埋め込みを行ってもよい。
【0042】
このようにしてボトムアップSiN膜22による埋め込みがある程度進んだところで、高分子材料の供給を停止して、Siプリカーサの供給および窒化処理を継続することにより、ボトムアップ成膜の際に残存した中央のV字状溝22aを埋めるようにコンフォーマルSiN膜23が形成され、微細トレンチ12へのSiN膜の埋め込みが完了する(図3(d))。
【0043】
このように、本実施形態では、微細トレンチ内の底部からSiNを成長させ、ボトムアップ成膜することができるので、CVD法や通常のALD法では困難であった、シームやボイドを存在させずに微細トレンチにSiN膜を埋め込むことが可能になる。
【0044】
<成膜装置>
次に、上記実施形態に係る凹部の埋め込み方法を実施するための成膜装置の例について説明する。
【0045】
(成膜装置の第1例)
図6は本発明の一実施形態に係る凹部の埋め込み方法を実施するための成膜装置の第1例を概略的に示す断面図である。
【0046】
本例の成膜装置100は、平行平板電極に高周波電界を形成することによりプラズマを形成しつつALD法によりSiN膜を成膜する枚葉式成膜装置として構成される。
【0047】
この成膜装置100は、略円筒状の処理容器31を有している。処理容器31の底部には、ウエハWを載置するウエハ載置台32が設けられている。ウエハ載置台32内には、ウエハWを加熱するための加熱ヒータ33が設けられている。ウエハ載置台32は導電体部分を有しており、平行平板電極の下部電極として機能する。
【0048】
処理容器31の天壁には、絶縁部材34を介して平行平板電極の上部電極としても機能するシャワーヘッド35が設けられている。シャワーヘッド35は内部にガス拡散空間36が設けられており、シャワーヘッド35の下面には多数のガス吐出孔37が形成されている。処理容器31の天壁中央には、ガス導入孔38が形成されており、このガス導入孔38を介してガス拡散空間36にガスが導入され、ガス吐出孔37から処理容器31内にガスが吐出されるようになっている。
【0049】
シャワーヘッド35には、整合器39aを介してプラズマを生成するための高周波電源39が接続されている。高周波電源39からシャワーヘッド35に高周波電力が供給されることにより、シャワーヘッド35とウエハ載置台32との間に高周波電界が形成され、それにより処理容器31内にプラズマが生成される。
【0050】
成膜装置100は、上記ガス導入孔38からシャワーヘッド35にガスを供給するためのガス供給機構40を有している。ガス供給機構40は、Siプリカーサ、例えばDCSガスを供給するSiプリカーサ供給源41と、窒化ガス、例えばNHガスを供給する窒化ガス供給源42と、高分子材料、例えばジグリムを供給する高分子材料供給源43と、不活性ガス、例えばArガスを供給する不活性ガス供給源44とを有し、さらに、これらにそれぞれ接続する第1配管45、第2配管46、第3配管47、第4配管48と、これら配管が合流する合流配管49とを有している。合流配管49は、シャワーヘッド35のガス導入部38に接続されている。
【0051】
第1配管45には、開閉バルブ45aおよびマスフローコントローラのような流量制御器45bが設けられており、第2配管46には、開閉バルブ46aおよび流量制御器46bが設けられており、第3配管47には、開閉バルブ47aおよび流量制御器47bが設けられており、第4配管48には、開閉バルブ48aおよび流量制御器48bが設けられている。
【0052】
処理容器31の側壁下部には、排気口50が設けられており、排気口50には排気配管51が接続されている。排気配管51には、処理容器31内の圧力を制御するための自動圧力制御バルブ(APC)52と、真空ポンプ53とが接続されている。そして、真空ポンプ53により処理容器31内が排気され、成膜処理中、自動圧力制御バルブ(APC)52の開度を調整することにより処理容器31内の圧力が調整される。
【0053】
また、処理容器31の側壁の排気口50の反対側には、隣接する真空搬送室(図示せず)に対してウエハWを搬入出するための搬入出口54およびそれを開閉するためのゲートバルブ55が設けられている。
【0054】
成膜装置100は、さらに制御部56を有している。制御部56は、成膜装置100の各構成部、例えばバルブ類、流量制御器であるマスフローコントローラ、ヒータ電源、高周波電源等を制御する、CPUを有する主制御部と、キーボードやマウス等の入力装置、出力装置、表示装置、記憶装置とを有している。制御部56の主制御部は、記憶装置に処理レシピが記憶された記憶媒体をセットすることにより、記憶媒体から呼び出された処理レシピに基づいて成膜装置100に所定の動作を実行させる。
【0055】
次に、以上のように構成される成膜装置100により、被処理基板に形成された微細トレンチ等の微細凹部内にSiN膜を成膜する際の動作について説明する。以下の処理動作は制御部56における記憶部の記憶媒体に記憶された処理レシピに基づいて実行される。
【0056】
まず、処理容器31内を所定の圧力に調整した後、ゲートバルブ55を開放して、搬送手段(図示せず)によって搬入出口54を介して隣接する真空搬送室(図示せず)からウエハWを搬入し、ウエハ載置台32上に載置させる。搬送手段を処理容器31から退避させた後、ゲートバルブ55を閉じる。
【0057】
この状態で、パージガスとして不活性ガス、例えばArガスを処理容器31内に供給し、真空ポンプ53により排気しつつ自動圧力制御バルブ(APC)52により処理容器31内を0.1〜5Torr(13.3〜667Pa)程度の圧力に調整し、ヒータ33によりウエハWを150〜600℃の範囲の所定温度に制御する。
【0058】
上述の第1段階のコンフォーマルSiN膜を行う場合には、不活性ガスを流したまま、開閉バルブ45aおよび開閉バルブ46aの操作により、Siプリカーサ、例えばDCSガスの供給と、窒化ガス、例えばNHガスの供給とを繰り返すとともに、NHガスの供給に同期して高周波電源39から高周波電力を印加する。これにより、Siプリカーサの吸着と、窒化種による窒化処理とを交互に繰り返して第1段階のコンフォーマルSiN膜を微細凹部内に成膜する。
【0059】
上記第1段階により微細凹部の間口を所定の幅まで狭めた後、または微細凹部の初期の幅が狭い場合は初期段階から、上述した本実施形態の第2段階の埋め込みを行う。第2段階では、不活性ガスを流したまま、開閉バルブ45a、開閉バルブ46a、および開閉バルブ47aの操作により、Siプリカーサ、例えばDCSガスの供給と、窒化ガス、例えばNHガスの供給と、高分子材料、例えばジグリムの供給とをこの順で繰り返し行うとともに、NHガスの供給に同期して高周波電源39から高周波電力を印加する。これにより、Siプリカーサの吸着と、窒化種による窒化処理と、高分子材料の吸着とが交互に繰り返し行われ、第2段階のSiN膜が成膜される。
【0060】
この際に、上述したように、ジグリム等の高分子材料は、間口の狭い凹部の上部に吸着するが、分子が大きいため底部には到達し難い。このためSiプリカーサは凹部の上部において吸着が妨げられ、凹部の底部からSiNをボトムアップ成長させてV字状にSiN膜を成膜することができる。このため、凹部の間口が閉塞することがなく、シームやボイドを存在させずに凹部を埋め込むことができる。
【0061】
その後、開閉バルブ47aを閉じて高分子材料の供給を停止し、第1段階の操作と同様の操作で、Siプリカーサの吸着と、窒化種による窒化処理とによる成膜を行ってV字状溝を埋める。
【0062】
微細凹部の埋め込みが終了したら、処理容器31内の圧力調整を行い、ゲートバルブ55を開放して、搬送手段(図示せず)によって搬入出口54を介して隣接する真空搬送室(図示せず)へウエハWを搬出する。
【0063】
(成膜装置の第2例)
図7は本発明の一実施形態に係る凹部の埋め込み方法を実施するための成膜装置の第2例を概略的に示す水平断面図である。
【0064】
本例の成膜装置200は、円筒状をなす処理容器61を有しており、処理容器61内には、複数枚、例えば、5枚のウエハWを載置するターンテーブル62が設けられている。ターンテーブル62は、例えば時計回りに回転される。
【0065】
処理容器61の周壁には、隣接する真空搬送室(図示せず)からウエハWを搬入出するための搬入出口63が設けられており、搬入出口63はゲートバルブ64により開閉されるようになっている。
処理容器61内の搬入出口63に対応する部分は搬入出部65となっており、この搬入出部65において、ターンテーブル62上へのウエハWの搬入およびターンテーブル62上のウエハWの搬出が行われる。
【0066】
処理容器61内は、ターンテーブル62の回転領域に沿って、搬入出部65を除いて6つのエリアに分かれている。すなわち、搬入出部65側から、時計回りに設けられた、第1処理エリア71、第2処理エリア72、および第3処理エリア73、ならびに搬入出部65と第1処理エリア71との間、第1処理エリア71と第2処理エリア72との間、第2処理エリア72と第3処理エリア73との間にそれぞれ設けられた、第1分離エリア81、第2分離エリア82、および第3分離エリア83に分かれている。そして、ターンテーブル62が回転することによって、ウエハWはこれら6つのエリアを順番に通過する。第1〜第3分離エリア81〜83は、第1〜第3処理エリア71〜73のガス雰囲気を分離する機能を有している。
【0067】
第1処理エリア71、第2処理エリア72、および第3処理エリア73には、それぞれターンテーブル62上のウエハWに処理ガスを吐出する第1処理ガスノズル74、第2処理ガスノズル75、および第3処理ガスノズル76が処理容器61の径方向に沿って放射状に設けられている。
【0068】
また、第3処理エリアには、第3処理ガスノズル76から吐出された処理ガスをプラズマ化するためのプラズマ生成機構77が設けられている。プラズマ生成機構77は、例えば、ターンテーブル62上のウエハの通過領域を含む空間を囲繞するように設けられ、高周波透過部材で形成された筐体と、筐体の上に形成された高周波アンテナとを有し、高周波アンテナに高周波電力が供給されることにより、筐体内の空間へ誘導結合プラズマが生成され、第3処理ガスノズル76から供給された処理ガスがプラズマ化される。
【0069】
また、第1分離エリア81、第2分離エリア82、および第3分離エリアには、それぞれターンテーブル62上のウエハWに不活性ガスを吐出する第1不活性ガスノズル84、第2不活性ガスノズル85、および第3不活性ガスノズル86が処理容器61の径方向に沿って放射状に設けられている。そして、これらノズルから不活性ガスが吐出されることにより、ガス雰囲気が分離されるとともに、ウエハWに残留したガスが除去される。
【0070】
処理容器61の底部には、3つの排気口87、88および89が形成されている。これら排気口87、88および89を介して処理容器61内が排気される。
【0071】
成膜装置200においては、第1処理ガスノズル74から気相状の高分子材料、例えばジグリムが供給され、第2処理ガスノズル75からSiプリカーサ、例えばDCSガスが供給され、第3処理ガスノズル76から窒化ガス、例えばNHガスが供給される。したがって、第1処理エリア71は高分子材料供給エリアとなり、第2処理エリア72はSiプリカーサ供給エリアとなり、第3処理エリア73は窒化エリアとなる。
【0072】
成膜装置200は制御部90を有している。制御部90は、第1の例の成膜装置100の制御部56と同様に構成されている。
【0073】
なお、図7では、高分子材料供給源、Siプリカーサ供給源、窒化ガス供給源、不活性ガス供給源、これらに接続された配管、および流量制御器、開閉バルブ等を省略しているが、これらは成膜装置100と同様に設けられている。また、ターンテーブル62内には加熱装置が設けられている。さらに、排気口87、88、89には排気管が接続され、排気管には圧力調整バルブおよび真空ポンプを有する排気機構が設けられている。
【0074】
次に、以上のように構成される成膜装置200により、被処理基板に形成された微細トレンチ等の微細凹部内にSiN膜を成膜する際の動作について説明する。以下の処理動作は制御部90における記憶部の記憶媒体に記憶された処理レシピに基づいて実行される。
【0075】
最初に、処理容器61内を所定の圧力に調整した後、ゲートバルブ64を開放して、搬送手段(図示せず)によって搬入出口63を介して隣接する搬送室(図示せず)から複数枚、例えば5枚のウエハWを、順次搬入し、ターンテーブル62上に載置する。そして、排気機構により、処理容器61内を0.1〜5Torr(13〜667Pa)に調圧する。そしてターンテーブル62は加熱装置(図示せず)により加熱され、ターンテーブル62を介してウエハWが150〜600℃の所定温度に加熱される。
【0076】
上述の第1段階のコンフォーマルSiN膜を行う場合には、第1処理ガスノズル74からの高分子材料の供給は行わず、第2処理ガスノズル75からSiプリカーサ、例えばDCSガスを吐出し、第3処理ガスノズル76から窒化ガス、例えばNHガスを吐出してこれをプラズマ生成機構77によりプラズマ化することにより窒化種を生成する。そして、第1〜第3不活性ガスノズル84〜86から不活性ガスを吐出した状態で、ターンテーブル62を回転させる。これにより、ウエハWにはSiプリカーサ、不活性ガス、窒化種、および不活性ガスが順次供給され、ALD法を基本とした成膜手法により第1段階のコンフォーマルSiN膜が微細凹内に成膜される。
【0077】
上記第1段階により微細凹部の間口を所定の幅まで狭めた後、または微細凹部の初期の幅が狭い場合は初期段階から、上述した本実施形態の第2段階の埋め込みを行う。第2段階では、第1処理ガスノズル74から高分子材料、例えばジグリムを吐出し、第2処理ガスノズル75からSiプリカーサ、例えばDCSガスを吐出し、第3処理ガスノズル76から窒化ガス、例えばNHガスを吐出してプラズマ生成機構77によりプラズマ化することにより窒化種を生成する。そして、第1〜第3不活性ガスノズル84〜86から不活性ガスを吐出した状態で、ターンテーブル62を回転させる。これにより、表面にNH基を有するウエハWに対し、高分子材料、不活性ガス、Siプリカーサ、不活性ガス、窒化種、および不活性ガスが順次供給され、ウエハW上では、Siプリカーサの吸着と、窒化種による窒化処理と、高分子材料の吸着とが交互に繰り返し行われ、第2段階のSiN膜が成膜される。
【0078】
この際に、上述したように、ジグリム等の高分子材料は、間口の狭い凹部の上部に吸着するが、分子が大きいため底部には到達し難い。このためSiプリカーサは凹部の上部において吸着が妨げられ、凹部の底部からSiNをボトムアップ成長させてV字状にSiN膜を成膜することができる。このため、凹部の間口が閉塞することがなく、シームやボイドを存在させずに凹部を埋め込むことができる。
【0079】
その後、高分子材料の供給を停止し、第1段階の操作と同様の操作で、Siプリカーサの吸着と、窒化種による窒化処理とによる成膜を行ってV字状溝を埋める。
【0080】
微細凹部の埋め込みが終了したら、処理容器61内の圧力調整を行い、ゲートバルブ64を開放して、搬送手段(図示せず)によって搬入出口63を介して隣接する真空搬送室(図示せず)へウエハWを搬出する。
【0081】
<他の適用>
以上、本発明の実施形態について説明したが、この発明は、上記の実施形態に限定されることはなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0082】
例えば、上記実施形態では、Siプリカーサと、窒化種と、高分子材料を用いてシリコン窒化膜を形成する場合を例にとって説明したが、これに限らず、例えば、TiClガスのようなTiプリカーサと、窒化種と、高分子材料を用いてTiN膜を形成する場合や、BClガスのようなBプリカーサと、窒化種と、高分子材料を用いてBN膜を成膜する場合や、WClガスのようなWプリカーサと、窒化種と、高分子材料を用いてWN膜を成膜する場合等、他の窒化膜を埋め込む場合にも適用することができる。
【0083】
また、成膜装置についても例示したものに限らず、種々の成膜装置を用いることができる。
【符号の説明】
【0084】
1;被処理基板
2;凹部
3;SiN膜
4,14;高分子材料
11;絶縁膜
12;微細トレンチ
13;ライナー膜
15;Siプリカーサ
21,23;コンフォーマルSiN膜
22;ボトムアップSiN膜
22a;V字溝
31;処理容器
32;ウエハ載置台
33;ヒータ
35;シャワーヘッド
39;高周波電源
40;ガス供給機構
41;Siプリカーサ供給源
42;窒化ガス供給源
43;高分子材料供給源
44;不活性ガス供給源
51;排気配管
52;自動圧力制御バルブ(APC)
53;真空ポンプ
56;制御部
61;処理容器
62;ターンテーブル
65;搬入出部
71;第1処理エリア(高分子材料供給エリア)
72;第2処理エリア(Siプリカーサ供給エリア)
73;第3処理エリア(窒化エリア)
77;プラズマ生成機構
100,200;成膜装置
W;半導体ウエハ(被処理基板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7