特許第6573679号(P6573679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友精化株式会社の特許一覧

特許6573679エポキシ樹脂組成物、その製造方法、及び該組成物の用途
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573679
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂組成物、その製造方法、及び該組成物の用途
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20190902BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20190902BHJP
   C08G 59/30 20060101ALI20190902BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20190902BHJP
   C08K 3/38 20060101ALI20190902BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20190902BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20190902BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20190902BHJP
   C08G 59/42 20060101ALI20190902BHJP
   C08G 59/50 20060101ALI20190902BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20190902BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   C08L63/00 C
   C08K3/36
   C08G59/30
   C08K3/22
   C08K3/38
   C08K3/26
   C08K3/34
   C08K3/013
   C08G59/42
   C08G59/50
   H01L23/30 R
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-551917(P2017-551917)
(86)(22)【出願日】2016年11月17日
(86)【国際出願番号】JP2016084031
(87)【国際公開番号】WO2017086368
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2019年2月26日
(31)【優先権主張番号】特願2015-226054(P2015-226054)
(32)【優先日】2015年11月18日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-30414(P2016-30414)
(32)【優先日】2016年2月19日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 矩章
(72)【発明者】
【氏名】針▲崎▼ 良太
(72)【発明者】
【氏名】山本 勝政
(72)【発明者】
【氏名】根本 修克
【審査官】 横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−505945(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/041325(WO,A1)
【文献】 特開2010−215858(JP,A)
【文献】 特表2009−544785(JP,A)
【文献】 特開2012−001668(JP,A)
【文献】 特開2003−321482(JP,A)
【文献】 特表2004−527602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08G 59/00−59/72
C08K 3/00−13/08
H01L 23/29
H01L 23/31
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
〔式中、Xは、炭化水素環から2個の水素原子を除いて得られる2価の基、又は式(2):
【化2】
(式中、Yは、結合手、C1〜6のアルキレン基、酸素原子(−O−)又は−S(O)−を示す。mは0、1又は2を示す。)で表される2価の基を示し、
は同一又は異なって、C1〜18のアルキル基、C2〜9のアルケニル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、これらの基は、一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子で置換されていてもよく、
は同一又は異なって、C1〜18のアルキレン基を示し、この基は、ケイ素原子に直接結合した炭素原子を除く一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子で置換されていてもよく、
は同一又は異なって、水素原子、C1〜18のアルキル基、C2〜9のアルケニル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、これらの基は、一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子で置換されていてもよい。〕
で表されるエポキシ樹脂、及びフィラーを含有する
電子デバイスにおける、半導体封止材、液状封止材、ポッティング材、シール材、プリント基板材料又は複合材料のための、
エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
硬化剤を含有する請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記硬化剤が、酸無水物系硬化剤及びアミン系硬化剤からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
前記フィラーが、アルミナ、炭酸カルシウム、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状溶融シリカ、窒化ホウ素、及びタルクからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1、2又は3に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物もしくは請求項5に記載の硬化物の製造方法であって、前記式(1)で表されるエポキシ樹脂及び前記フィラーを混合する工程を含む、製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物もしくは請求項5に記載の硬化物が用いられている半導体封止材、液状封止材、ポッティング材、シール材、プリント基板材料又は複合材料。
【請求項8】
半導体封止材、液状封止材、ポッティング材、シール材、プリント基板材料又は複合材料を製造するための請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物、その製造方法、及び該組成物の用途等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タブレット端末などの電子機器の高性能化、小型化及び薄型化に伴い、半導体の大容量化及び高速化、並びに半導体パッケージの小型化及び薄型化が強く求められている。半導体のパッケージングについても、小型化及び多ピン化に適したボール・グリッド・アレイ(BGA)及びチップ・サイズ・パッケージ(CSP)などの実装技術が用いられてきている。
【0003】
一方、BGA及びCSPにおいては、パッケージ及び基板とそれらの間に介挿される半田ボールとの接触面積が小さいため、熱的負荷等により接触不良を生じやすい。そのため、パッケージと基板との間に液状封止材が充填され、これらの負荷を軽減している。今後、さらなる電子機器の小型化要求に伴い、これらのギャップサイズはより狭くなり、狭いギャップの間に液状封止材を充填するために、液状封止材の低粘度化が求められている。
【0004】
一般的に、液状封止材は、Bis−A型又はBis−F型の液状エポキシ樹脂、及び無機フィラーから構成される。しかしながら、無機フィラーを高充填することで、粘度が大幅に増加し成形性が悪化してしまう。そこで、希釈剤としてトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤を添加し液状封止材の粘度を低減させる方法が用いられている。その他、高級アルコールグリシジルエーテル化合物やグリコールグリシジルエーテル化合物(特許文献1)などの低粘度のエポキシ樹脂を添加する方法が用いられている。
【0005】
近年、電子デバイスの高性能化及び軽薄短小化に伴い、伝送信号の高周波化が進んでいる。この高周波化に伴い、プリント配線板及び半導体封止材に使用する材料に対して、高周波領域での低誘電率化が強く求められている。エポキシ樹脂は、電気絶縁性及び耐熱性に関しては要求性能を満たしているが、エポキシ基と活性水素との反応により極性の高いヒドロキシル基が発生することにより比誘電率が高くなり、充分な電気特性(低誘電率等)が得られていない。
【0006】
また、基板材料に用いられる銅配線において、伝送信号の高周波化に対応した低粗度の銅箔及び銅メッキの開発が進んでいる。しかし、銅配線の粗度が小さいと銅とエポキシ樹脂のアンカー効果が低下して接着強度を確保し難い。そのため、粗度が低くアンカー効果が小さい銅配線に対して、十分な接着性を有するエポキシ樹脂が求められている。
【0007】
さらに、様々な環境で過酷な条件下に曝されることで硬化物が吸湿し、その結果硬化物の種々の特性が低下してしまうため、エポキシ樹脂を含む液状封止材の硬化物は吸水率が低いことが望まれている。
【0008】
ところで、特許文献2には、ケイ素原子を含むエポキシ樹脂及び硬化剤により硬化物が得られることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−162585号公報
【特許文献2】英国特許第1123960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、エポキシ樹脂の粘度を低減させるために、従来のエポキシ樹脂に希釈剤として有機溶剤を添加してエポキシ樹脂組成物を調製した場合、当該組成物を液状封止材に使用すると、ボイド発生や硬化物中に有機溶剤が残存するなどの不具合を生じる。また、特許文献1に記載されているような低粘度のエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物は流動特性が未だ十分でなく、さらには、得られる硬化物は金属への接着性、吸水特性、電気特性などの点で性能が不充分であった。
【0011】
そこで、本発明は、希釈剤(有機溶剤)を使用しなくても充分な低粘度が達成できるエポキシ樹脂組成物、及びその製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、好ましくは、硬化したときに、優れた電気特性(特に低誘電率及び低誘電正接)、金属への高い接着強度、及び優れた吸水特性が達成できるエポキシ樹脂組成物及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記の課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、ケイ素原子を含むエポキシ樹脂とフィラーとを含有するエポキシ樹脂組成物が、希釈剤(有機溶剤)を使用しなくても低粘度なエポキシ樹脂組成物を得られることを見出した。この知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、例えば下記に示す所定のエポキシ樹脂及びフィラーを含有するエポキシ樹脂組成物、その製造方法、並びにその用途を包含する。
【0014】
項1 式(1):
【0015】
【化1】
【0016】
〔式中、Xは、炭化水素環から2個の水素原子を除いて得られる2価の基、又は式(2):
【0017】
【化2】
【0018】
(式中、Yは、結合手、C1〜6のアルキレン基、酸素原子(−O−)、又は−S(O)−を示す。mは0、1又は2を示す。)で表される2価の基を示し、
は同一又は異なって、C1〜18のアルキル基、C2〜9のアルケニル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、これらの基は、一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子で置換されていてもよく、
は同一又は異なって、C1〜18のアルキレン基を示し、この基は、ケイ素原子に直接結合した炭素原子を除く一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子で置換されていてもよく、
は同一又は異なって、水素原子、C1〜18のアルキル基、C2〜9のアルケニル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、これらの基は、一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子で置換されていてもよい。〕
で表されるエポキシ樹脂及びフィラーを含有するエポキシ樹脂組成物。
【0019】
項2 硬化剤を含有する項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0020】
項3 前記硬化剤が、酸無水物系硬化剤及びアミン系硬化剤からなる群より選択される少なくとも1種である項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0021】
項4 前記フィラーが、アルミナ、炭酸カルシウム、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状溶融シリカ、窒化ホウ素、及びタルクからなる群より選択される少なくとも1種である項1、2又は3に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0022】
項5 項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
【0023】
項6 項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物もしくは項5に記載の硬化物の製造方法であって、前記式(1)で表されるエポキシ樹脂及び前記フィラーを混合する工程を含む、製造方法。
【0024】
項7 項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物もしくは項5に記載の硬化物が用いられている半導体封止材、液状封止材、ポッティング材、シール材、プリント基板材料又は複合材料。
【0025】
項8 半導体封止材、液状封止材、ポッティング材、シール材、プリント基板材料又は複合材料の用途に用いられる項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0026】
項9 半導体封止材、液状封止材、ポッティング材、シール材、プリント基板材料又は複合材料を製造するための項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の使用。
【発明の効果】
【0027】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、ケイ素原子を含む上記式(1)で表されるエポキシ樹脂を含有するため、低粘度で流動性に優れており、その硬化物は優れた電気特性、金属への高い接着強度、及び優れた吸水特性を有している。そのため、本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば、半導体封止材、液状封止材、ポッティング材、シール材、プリント基板材料、複合材料等の広範な用途に好適に用いることができる。
【0028】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、それ自体が低粘度であるため、希釈剤として例えばトルエン、メチルエチルケトンなどの有機溶剤を使用する必要がない。そのため、有機溶剤に起因するボイド発生や硬化物中への有機溶剤の残存などの問題を回避できる。
【0029】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、従来のビスフェノール型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルを含むエポキシ樹脂組成物などと比べて、極めて低い粘度を有し、かつ、金属への優れた接着強度を有している。
【0030】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、特に、半導体封止材、アンダーフィル材などの液状封止材に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書において、ある成分を「を含む」又は「を含有する」という表現には、当該成分を含みさらに他の成分を含んでいてもよい意味のほか、当該成分のみを含む意味の「のみからなる」、及び当該成分を必須として含む意味の「本質的にからなる」の概念も包含される。
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0033】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記式(1)で表されるエポキシ樹脂、及びフィラーを含有することを特徴とする。
【0034】
本発明で用いるエポキシ樹脂は、式(1)で表される構造を有している。式(1)において、Rは同一又は異なって、C1〜18のアルキル基、C2〜9のアルケニル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、これらの基は、一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子で置換されていてもよい。当該一部の炭素原子は、ケイ素原子に直接結合していない炭素原子であることが好ましい。また、当該置換されていてもよい一部の炭素原子は、1又は複数(例えば2、3、4、5、又は6)個の炭素原子であり得、好ましくは1個の炭素原子である。なお、合成の簡便さの観点等から同一ケイ素原子に結合したRは同一であることが好ましく、全てのRが同一であることがより好ましい。
【0035】
で示されるC1〜18のアルキル基としては、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。好ましくはC1〜10のアルキル基であり、より好ましくはC1〜6のアルキル基であり、さらに好ましくはC1〜3のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0036】
で示されるC2〜9のアルケニル基としては、直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基等が挙げられる。好ましくはC2〜4のアルケニル基である。
【0037】
で示されるシクロアルキル基としては、3〜8員環のシクロアルキル基が挙げられ、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0038】
で示されるアリール基としては、単環又は二環のアリール基が挙げられ、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。好ましくはフェニル基である。
【0039】
で示されるアラルキル基としては、アリール基(特にフェニル基)で置換されたC1〜4のアルキル基が挙げられ、例えば、ベンジル基、α−フェネチル基、β−フェネチル基、β−メチルフェネチル基等が挙げられる。
【0040】
として、好ましくはC1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0041】
式(1)において、Rは同一又は異なって、水素原子、C1〜18のアルキル基、C2〜9のアルケニル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、これらの基は、一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子で置換されていてもよい。当該一部の炭素原子は、エポキシ環に直接結合していない炭素原子であることが好ましい。また、当該置換されていてもよい一部の炭素原子は、1又は複数(例えば2、3、4、5、又は6)個の炭素原子であり得、好ましくは1個の炭素原子である。
【0042】
で示されるC1〜18のアルキル基、C2〜9のアルケニル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基としてはそれぞれ、上記Rで示される対応する置換基と同様の基が挙げられる。
【0043】
として、好ましくは水素原子、C1〜3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0044】
式(1)において、Rは同一又は異なって、C1〜18のアルキレン基を示す。当該アルキレン基は、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基であり、好ましくは直鎖状のアルキレン基である。また、好ましくはC2〜18のアルキレン基であり、より好ましくはC2〜10のアルキレン基であり、さらに好ましくはC2〜8のアルキレン基であり、さらにより好ましくはC2〜6のアルキレン基であり、特に好ましくはC2〜5のアルキレン基である。より具体的には、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、ジメチレン基(−CHCH−)、トリメチレン基(−CHCHCH−)、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基等が挙げられる。
【0045】
前記C1〜18のアルキレン基は、一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子(好ましくは酸素原子)で置換されていてもよい。当該一部の炭素原子は、ケイ素原子及びエポキシ環のいずれにも直接結合していない炭素原子であることが好ましい。また、当該置換されていてもよい一部の炭素原子は、1又は複数(例えば2、3、4、5、又は6)個の炭素原子であり得、好ましくは1個の炭素原子である。
【0046】
当該基としては、Rのケイ素原子に結合する側を(*)とした場合に、例えば、(*)−C2〜9アルキレン−O−C1〜8アルキレン−、好ましくは(*)−C2〜4アルキレン−O−C1〜3アルキレン−、より好ましくは(*)−C2〜4アルキレン−O−C1〜2アルキレン−、特に好ましくは(*)−C3アルキレン−O−メチレン−が挙げられる。
【0047】
具体的には、例えば、(*)−(CH−O−CH−、(*)−(CH−O−CH−、(*)−(CH−O−(CH−、(*)−(CH−O−(CH−などが挙げられ、これらの中でも(*)−(CH−O−CH−が好ましい。
【0048】
式(1)において、Xで示される炭化水素環から2個の水素原子を除いて得られる2価の基の「炭化水素環」としては、単環若しくは多環(特に2又は3環)の脂肪族炭化水素環又は単環若しくは多環の芳香族炭化水素環が挙げられる。例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、テトラリン環、デカヒドロナフタレン環、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロナフタレン環、ノルボルネン環、アダマンタン環、ベンゼン環、トルエン環、キシレン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ピレン環、トリフェニレン環等が挙げられる。好ましくはシクロヘキサン環、ベンゼン環である。Xで示される2価の基として、好ましくはシクロヘキサン−1,4−ジイル基、1,4−フェニレン基が挙げられ、より好ましくは1,4−フェニレン基である。
【0049】
式(2)において、Yで示されるC1〜6のアルキレン基としては、鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、ジメチレン基(−CHCH−)、トリメチレン基(−CHCHCH−)等が挙げられる。
【0050】
Yは好ましくは、結合手、酸素原子、メチレン基、ジメチルメチレン基、−S−、−SO−であり、より好ましくは、結合手、ジメチルメチレン基、酸素原子、−SO−である。
【0051】
式(2)で表される2価の基のうち好ましくは、式(2a):
【0052】
【化3】
【0053】
(式中、Yは前記に同じ。)
で表される基である。
【0054】
式(2a)において、Yが結合手、ジメチルメチレン基、酸素原子、又は−SO−である基が好ましい。
【0055】
上記式(1)で表されるエポキシ樹脂のうち好ましくは、式(1a):
【0056】
【化4】
【0057】
(式中、R、R、及びXは前記に同じ。)
で表される化合物である。
【0058】
式(1a)で表される化合物の中でも、Xが1,4−フェニレン基又は式(2a)で表される基(好ましくは1,4−フェニレン基)であり、Rが同一又は異なって(好ましくは同一で)C1〜3のアルキル基(特にメチル基)であり、Rが同一又は異なって(好ましくは同一で)C2〜6のアルキレン基、(*)−(CH−O−CH−、(*)−(CH−O−CH−、(*)−(CH−O−(CH−、又は(*)−(CH−O−(CH−である化合物が好ましい。なお、上記同様、(*)はRのケイ素原子に結合する側を示す。
【0059】
上記式(1a)で表されるエポキシ樹脂のうち、さらに好ましくは、式(1b):
【0060】
【化5】
【0061】
(式中、R及びXは前記に同じ。)
又は式(1c):
【0062】
【化6】
【0063】
(式中、R及びXは前記に同じ。)
で表される化合物である。
【0064】
式(1b)又は(1c)において、Rが同一又は異なって(好ましくは同一で)C1〜3のアルキル基(特にメチル基)であり、Xが1,4−フェニレン基又は式(2a)で表される基が好ましい。
【0065】
式(1)で表されるエポキシ樹脂(式(1a)、(1b)又は(1c)で表されるエポキシ樹脂を包含する)は、公知の方法に、例えば、特許文献2等の記載に基づいて又は準じて製造することができる。具体例の1つとして、次の反応式により製造することができる。
【0066】
【化7】
【0067】
(式中、R2Aは、C2〜18のアルケニル基であり、この基は、一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子で置換されていてもよい。R、R、R、及びXは前記に同じ。)
【0068】
2Aで示されるC2〜18のアルケニル基としては、直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基であり、直鎖状が好ましい。具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノルボルネニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。好ましくはC2〜10アルケニル基であり、より好ましくはC2〜8のアルケニル基であり、さらに好ましくはC2〜6のアルケニル基であり、特に好ましくはビニル基、アリル基又はブテニル基である。なお、炭素原子間の二重結合位置に関しては、当該アルケニル基は、α−アルケニル基であることが好ましい。
【0069】
これらのC2〜18のアルケニル基は、一部の炭素原子が、酸素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子(好ましくは酸素原子)で置換されていてもよい。当該一部の炭素原子は、エポキシ環に直接結合していない炭素原子であることが好ましい。また、当該置換されてもよい一部の炭素原子は、1又は複数(例えば2、3、4、5、又は6)個の炭素原子であり得、好ましくは1個の炭素原子である。当該基としては、例えば、C2〜9アルケニル−O−C1〜8アルキレン−、好ましくはC2〜4アルケニル−O−C1〜3アルキレン−、より好ましくはC2〜4アルケニル−O−C1〜2アルキレン−、特に好ましくはC3アルケニル−O−CH−が挙げられる。より具体的には、例えば、CH=CH−O−CH−、CH=CH−CH−O−CH−、CH=CH−CH−O−(CH−、CH=CH−(CH−O−(CH−などが挙げられ、これらの中でもCH=CH−CH−O−CH−(アリルオキシメチル基)が好ましい。
【0070】
式(4)で表される化合物としては、具体的には、例えば、1,3−ブタジエンモノエポキシド、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセン、アリルグリシジルエーテルなどが好ましく挙げられる。
【0071】
式(1)で表されるエポキシ樹脂は、式(3)で表される化合物と式(4)で表される化合物をヒドロシリル化反応させて製造することができる。ヒドロシリル化反応は、通常、触媒の存在下、溶媒の存在下又は溶媒の非存在下で実施することができる。
【0072】
ヒドロシリル化反応に用いられる触媒は、公知の触媒でよく、例えば、白金カーボン、塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体等の白金系触媒;トリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム等のロジウム系触媒;ビス(シクロオクタジエニル)ジクロロイリジウム等のイリジウム系触媒が挙げられる。上記の触媒は溶媒和物(例えば、水和物、アルコール和物等)の形態であってもよく、また使用する際に触媒をアルコール(例えば、エタノール等)に溶解して溶液の形態で用いることもできる。なお、触媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0073】
触媒の使用量は、触媒としての有効量でよく特に限定されない。通常、上記式(3)で表される化合物と式(4)で表される化合物との合計量100質量部に対して 0.00001〜20質量部、好ましくは0.0005〜5質量部である。
【0074】
前記ヒドロシリル化反応は溶媒を用いなくても進行するが、溶媒を用いることにより穏和な条件で反応を行うことができる。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒などが挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0075】
式(4)で表される化合物の使用量は、式(3)で表される化合物中のSi−H基1モルに対して、通常、0.5〜2モル、好ましくは0.6〜1.5モル、さらに好ましくは0.8〜1.2モルである。
【0076】
反応温度は、通常20℃〜150℃、好ましくは50℃〜120℃であり、反応時間は、通常1時間〜24時間程度である。
【0077】
反応終了後、反応液から溶媒を留去するなど、公知の単離手法を用いることにより、式(1)で表されるエポキシ樹脂を得ることができる。
【0078】
本発明のエポキシ樹脂組成物における、式(1)で表されるエポキシ樹脂の含有量は、特に制限はされない。好ましくは1〜99質量%であり、より好ましくは1〜50質量%であり、さらに好ましくは2〜40質量%、よりさらに好ましくは3〜30質量%、特に好ましくは5〜20質量%である。
【0079】
本発明のエポキシ樹脂組成物はフィラーを含有する。該フィラーとしては、組成物及び硬化物において必要とされる流動性、耐熱性、低熱膨張性、機械特性、硬度、耐擦傷性及び接着性などを考慮し、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0080】
本発明に使用するフィラーとしては、例えば、シリカ(より具体的には結晶性シリカ、溶融シリカ、球状溶融シリカ等)、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウム、酸化インジウム、アルミナ、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、スズドープ酸化インジウム(ITO)などの無機化合物が挙げられる。また、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、亜鉛、ステンレスなどの金属が挙げられる。また、モンモリロナイト、タルク、マイカ、ベーマイト、カオリン、スメクタイト、ゾノライト、バーキュライト、セリサイトなどの鉱物が挙げられる。その他のフィラーとしては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブなどの炭素化合物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物;ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスバルーンなどの各種ガラスなどを挙げることができる。また、フィラーは粉体をそのまま使用してもよく、樹脂中に分散させたものを用いてもよい。
【0081】
これらの中でも、アルミナ、炭酸カルシウム、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状溶融シリカ、窒化ホウ素、タルクが好ましい。
【0082】
本発明の式(1)で表されるエポキシ樹脂がケイ素原子を含むことから、フィラーはケイ素原子を含有するフィラー(例えばシリカ、より具体的には結晶性シリカ、溶融シリカ、及び球状溶融シリカ等)であることが好ましい。本発明の式(1)で表されるエポキシ樹脂とケイ素原子を含有するフィラーとを組み合わせることにより、両者間の優れた相溶性により、より優れた低粘度及び高流動特性を発現することができる。
【0083】
用いる前記フィラーの平均粒子径は、通常、0.05〜50μm、好ましくは0.1〜30μm、より好ましくは0.1〜20μmである。なお、平均粒子径は公知の方法で測定できる。例えば、アルミナ、炭酸カルシウム、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状溶融シリカ、窒化ホウ素、又はタルクであれば、レーザー回折散乱法により測定する。
【0084】
また、これらのフィラーは、必要に応じて表面をカップリング剤で処理したものを用いてもよい。
【0085】
本発明の樹脂組成物中のフィラーの配合割合は、フィラーの種類に応じて適宜選択することができる。本発明の樹脂組成物中のエポキシ樹脂量とフィラー量の質量比は、1:1〜10が好ましく、1:2〜9がより好ましく、1:6〜8.5がさらに好ましい。なお、この場合のエポキシ樹脂量は、本発明の樹脂組成物が式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を含む場合は、全てのエポキシ樹脂を合計した量(全エポキシ樹脂量)である。また、該エポキシ樹脂組成物(フィラーを含む)の全質量に対し、フィラーの配合割合は、好ましくは1〜99質量%であり、より好ましくは40〜95質量%、さらに好ましくは50〜95質量%、よりさらに好ましくは60〜95質量%である。
【0086】
本発明においてフィラーの分散剤を用いることができる。フィラーの分散剤として、ポリカルボン酸系の分散剤;シランカップリング剤;チタネート系カップリング剤;変性シリコーンオイル等のシリコーン系分散剤;有機共重合体系の分散剤等が挙げられる。本発明の樹脂組成物に上記分散剤を配合する場合の好ましい配合割合は、本発明の樹脂組成物の全質量に対して0.001〜30質量%、より好ましくは0.05〜5質量%である。
【0087】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を含有していてもよい。該エポキシ樹脂としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロ型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等を用いることができる。これらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0088】
前記式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を配合する場合、その配合割合は本発明の効果を発揮できる範囲であればよい。この場合、本発明のエポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂の全質量に対し、式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂の配合割合は、例えば、99質量%以下であり、好ましくは95〜5質量%であり、式(1)で表されるエポキシ樹脂の配合割合は、例えば、1質量%以上であり、好ましくは5〜100質量%である。また、式(1)で表されるエポキシ樹脂と、式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂との配合比率は、質量比で、例えば100:0〜1:99であり、好ましくは100:0〜5:95であり、より好ましくは100:0〜10:90である。
【0089】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化剤を含んでいてもよい。前記硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応して硬化物を得ることができるものであれば特に限定はなく、下記が挙げられる。
【0090】
前記硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤、アミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、メルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤などが挙げられる。
【0091】
アミン系硬化剤として、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの鎖状脂肪族アミン;イソフォロンジアミン、メンセンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタンなどの脂環式アミン;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジエチルトルエンジアミン、ジアミノジエチルジフェニルメタンなどの芳香族アミン;ベンジルジメチルアミン、トリエチレンジアミン、ピペリジン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、DBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7)、DBN(1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5)、などの第二級及び三級アミン等が挙げられる。
【0092】
アミド系硬化剤として、例えば、ジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂(ポリアミノアミド等)等が挙げられる。
【0093】
酸無水物系硬化剤として、例えば、無水マレイン酸、ドデセニル無水コハク酸などの脂肪族酸無水物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの芳香族酸無水物;無水メチルナジック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などの脂環式酸無水物等が挙げられる。
【0094】
フェノール系硬化剤として、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビフェニル型ノボラック樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、フェノールビフェニレン樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ベンゾオキサジン環を有する化合物等が挙げられる。
【0095】
メルカプタン系硬化剤として、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、ポリサルファイドポリマー等が挙げられる。
【0096】
イソシアネート系硬化剤として、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0097】
硬化剤は、単独で用いてもよく、また、求める特性に応じて使い分けることが可能であり、2種以上を併用してもよい。
【0098】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでいてもよい。特に、硬化促進剤は、硬化剤と併用することで、硬化反応速度を高めたり、あるいは得られる硬化物の強度を高めることができる。前記硬化促進剤としては、エポキシ樹脂と反応して硬化物を得ることができるものであれば特に限定されない。
【0099】
前記硬化促進剤として、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール化合物;ジシアンジアミド及びその誘導体;DBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7)、DBN(1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5)、2,4,6−トリス( ジメチルアミノメチル) フェノールなどの第三級アミン;リン系化合物等が挙げられる。
これらの中でも、流動性の観点から、硬化剤としては酸無水物系硬化剤、及びアミン系硬化剤が好ましい。また、硬化促進剤としては、第三級アミン、イミダゾール化合物、及びリン系化合物が好ましい。
【0100】
硬化促進剤は単独で用いてもよく、また、求める特性に応じて使い分けることが可能であり、2種以上を併用してもよい。
【0101】
前記硬化剤の配合量は特に限定されない。例えば全エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量あたり、硬化剤中の反応性官能基当量が0.1〜5当量となる配合量とすることが好ましい。より好ましくは0.3〜3当量であり、さらに好ましくは0.5〜2当量である。
【0102】
前記硬化促進剤の配合量は特に限定されない。例えば全エポキシ樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部を配合することが好ましい。より好ましくは、0.1〜5質量部であり、さらに好ましくは0.5〜3質量部である。
【0103】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の目的や効果を損なわない範囲で、必要に応じて添加剤を含有してもよい。
【0104】
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、無機蛍光体、滑剤、紫外線吸収剤、熱光安定剤、帯電防止剤、重合禁止剤、消泡剤、溶剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定性改良剤、オゾン老化防止剤、増粘剤、可塑剤、放射線遮断剤、核剤、カップリング剤、導電性付与剤、リン系過酸化物分解剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤等が挙げられる。
【0105】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、式(1)で表されるエポキシ樹脂及びフィラー、さらに必要に応じて他の成分を混合することにより製造することができる。混合方法は、均一に混合できる方法であれば特に限定はない。本発明のエポキシ樹脂組成物は、溶剤(例えば、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等)を添加することなく調製したとしても粘度が低いものであるが、必要に応じ、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で溶剤を添加してもよい。
【0106】
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化することにより硬化物(すなわち、当該エポキシ樹脂組成物を硬化した物)を得ることができる。硬化の方法は、特に限定されず、例えば、該組成物を加熱硬化することで実施できる。硬化温度は、通常室温〜200℃であり、硬化時間は、組成液によって異なり、通常30分〜1週間まで幅広く設定することができる。
【0107】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、式(1)で表されるエポキシ樹脂を含むため、Bis−A型エポキシ樹脂等の一般的なエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物と比較して、低粘度であり流動性に優れている。本発明のエポキシ樹脂組成物の粘度は、フィラーの含有量、他の成分の種類や含有量等により調整することができ、用途に応じて変動させることができ、通常、500Pa・s程度以下、好ましくは1〜300Pa・s程度、より好ましくは1〜100Pa・s、さらに好ましくは1〜30Pa・s程度である。前記粘度は、レオメーター(例えばAR2000ex、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用い、直径60mmパラレルプレートにて、せん断速度10/s、25℃で測定した時の値である。
【0108】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、銅、アルミニウム等の金属に対し高い接着強度を有する。さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物は、その硬化物が優れた電気特性(低誘電率及び低誘電正接)を保持し、かつ優れた吸水特性を有している。
【0109】
そのため、本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば、半導体封止材、液状封止材、アンダーフィル材、ポッティング材、シール材、プリント基板材料、複合材料等の用途に好適に用いることができる。中でも、半導体液状封止材や半導体素子と基板との間のギャップを封止するアンダーフィル材として好適である。
【0110】
また、本発明には、当該エポキシ樹脂組成物又はその硬化物が用いられた半導体封止材、液状封止材、ポッティング材、シール材、プリント基板材料、及び複合材も包含される。
【実施例】
【0111】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0112】
製造例1(エポキシ樹脂Aの製造)
攪拌機、温度計及び冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、アリルグリシジルエーテル(ネオアリルG、ダイソー(株)製)5.9g、ヘキサクロロ白金酸六水和物の2wt%エタノール溶液0.06g、及びトルエン100gを仕込み、液温を70℃まで昇温させた後、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン5.0gをゆっくりと滴下し、その後、90℃で4時間攪拌した。トルエンを濃縮後、無色透明液体(エポキシ樹脂A)11.0gを取得した。
【0113】
製造例2(エポキシ樹脂Bの製造)
攪拌機、温度計及び冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、1,2−エポキシ−5−ヘキセン(東京化成工業(株)製)7.9g、ヘキサクロロ白金酸六水和物の2wt%エタノール溶液0.15g、及びトルエン80gを仕込み、液温を70℃まで昇温させた後、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン7.8gをゆっくりと滴下し、その後、90℃で7時間攪拌した。トルエンを濃縮後、無色透明液体(エポキシ樹脂B)16.1gを取得した。
【0114】
実施例1〜5、比較例1〜7
表1及び表2に記載した配合量の各成分をカップに秤量し、自転・公転ミキサー(ARE−310、(株)シンキー社製)を用いて2000rpmで5分間混合し、その後、2200rpmで5分間脱泡することでエポキシ樹脂組成物を調製した。
【0115】
表1及び表2中の各成分は以下の通りである。なお、表1及び表2の各成分の数値は、質量部を示す。
・エポキシ樹脂C:ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(エポライト400P、共栄社化学(株)製)
・エポキシ樹脂D:Bis−A型エポキシ樹脂(グレード828、三菱化学(株)製)
・硬化剤A:4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30(MH−700、新日本理化(株)製)
・硬化剤B:ジエチルトルエンジアミン(エタキュア100、Albemarle社製)
・硬化促進剤A:2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ、三菱化学(株)製)
・硬化促進剤B:DBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7)(東京化成工業(株)製)
・フィラーA:球状溶融シリカ(MSR−5100、(株)龍森製)平均粒子径17.8μm
・フィラーB:アルミナ(AS−40、昭和電工(株)製)平均粒子径12μm
【0116】
試験例1
(1)粘度
実施例1〜5及び比較例1〜7で得られた各エポキシ樹脂組成物を、レオメーター(AR2000ex、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)(直径60mmパラレルプレート)を用いて25℃での粘度を測定した。せん断速度10/s時の測定結果を粘度とした。
【0117】
(2)アルミニウムに対する引張せん断接着強度
実施例1〜5及び比較例1〜7で得られた各エポキシ樹脂組成物を、接着部が12.5×25mmの長方形になるようにアルミニウム板(サイズ2×25×100mm)に塗布し、もう一枚のアルミニウム板を貼り合わせ、100℃で1時間、120℃で2時間、150℃で2時間加熱して硬化させ、引張せん断試験片とした。
【0118】
得られた試験片を、引張試験機(AGS−X、島津製作所(株)製)を用いて、つかみ具間距離100mm、試験速度5mm/minの条件で引張せん断接着試験を行い、最大破断強度の測定値と接着面積から、引張せん断接着強度を算出した。その結果を表1及び表2に示す。
【0119】
(3)銅に対する引張せん断接着強度
実施例1〜5及び比較例1〜7で得られた各エポキシ樹脂組成物を、接着部が12.5×25mmの長方形になるように無酸素銅板(サイズ2×25×100mm)に塗布し、もう一枚のアルミニウム板を貼り合わせ、100℃で1時間、120℃で2時間、150℃で2時間加熱して硬化させ、引張せん断試験片とした。
【0120】
得られた試験片を、引張試験機(AGS−X、島津製作所(株)製)を用いて、つかみ具間距離100mm、試験速度5mm/minの条件で引張せん断接着試験を行い、最大破断強度の測定値と接着面積から、引張せん断接着強度を算出した。その結果を表1及び表2に示す。
【0121】
(4)吸水特性(吸水率)
実施例1〜5及び比較例1〜7で得られた各エポキシ樹脂組成物を樹脂製モールド(厚さ2mm)に流し込み、100℃で1時間、120℃で2時間、150℃で2時間加熱して硬化させ、幅20mm×長さ30mm×厚さ2mmのサイズに切り出し、吸水率測定用試験片とした。試験片を乾燥後、23℃の水中に24時間浸漬し、吸水率を浸漬前後の質量変化により算出した。
【0122】
吸水率(%)=(浸漬後の質量―浸漬前の質量)/浸漬前の質量×100
【0123】
(5)電気特性(比誘電率、誘電正接)
実施例1〜5及び比較例1〜7で得られた各エポキシ樹脂組成物を樹脂製モールド(厚さ2mm)に流し込み、100℃で1時間、120℃で2時間、150℃で2時間加熱して硬化させ、幅20mm×長さ30mm×厚さ2mmのサイズに切り出し、誘電率測定用試験片とした。
【0124】
得られた試験片を、PTFEで校正した誘電率測定装置(インピーダンスアナライザー、アジレント(株)製)を用いて、比誘電率(1GHz)及び誘電正接(1GHz)を測定した。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
表1及び表2に示すように、本発明にかかるエポキシ樹脂を単独で用いている各実施例、および各比較例を比較すると、各実施例のエポキシ樹脂組成物は低粘度であり、優れた接着性を有している。
【0128】
一方で、一般的に用いられるエポキシ樹脂であるエポキシ樹脂Cを含む比較例のエポキシ樹脂組成物は、低粘度であるが、アルミニウムや銅に対する接着性に乏しく、加えて吸水率や電気特性も劣っている。
【0129】
また、他の一般的に用いられるエポキシ樹脂であるエポキシ樹脂Dを含む比較例のエポキシ樹脂組成物は、良好な接着性を示すものの、比較的高い粘度を示し、狭ギャップ間の充填の際に困難である。
【0130】
さらに、エポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂を混合した組成物を用いた実施例2および比較例2を比較すると、実施例2記載のエポキシ樹脂組成物は、多量のフィラーを配合しても低粘度であるが、比較例2記載のエポキシ樹脂組成物は比較的高い粘度を示している。