特許第6573892号(P6573892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6573892移送チャンバガスパージ装置、電子デバイス処理システム、及びパージ方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573892
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】移送チャンバガスパージ装置、電子デバイス処理システム、及びパージ方法。
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20190902BHJP
   H01L 21/04 20060101ALI20190902BHJP
   C23C 14/02 20060101ALI20190902BHJP
   C23C 16/02 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   H01L21/04
   C23C14/02 Z
   C23C16/02
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-545241(P2016-545241)
(86)(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公表番号】特表2016-535940(P2016-535940A)
(43)【公表日】2016年11月17日
(86)【国際出願番号】US2014057753
(87)【国際公開番号】WO2015048470
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年8月1日
(31)【優先権主張番号】61/884,637
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】エング, エドワード
(72)【発明者】
【氏名】エンゲルハート, エリック エー.
(72)【発明者】
【氏名】モーリ, トラヴィス
(72)【発明者】
【氏名】マジュムダール, アヤン
(72)【発明者】
【氏名】ホンカム, スティーヴ エス.
【審査官】 杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−216710(JP,A)
【文献】 特開平11−145241(JP,A)
【文献】 特開平05−275519(JP,A)
【文献】 実開平02−138420(JP,U)
【文献】 特開平07−230959(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2006−0135447(KR,A)
【文献】 特開2007−142284(JP,A)
【文献】 特開2013−069818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
C23C 14/02
C23C 16/02
H01L 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送チャンバを備え、
前記移送チャンバは、移送ロボットの少なくとも一部分を包含するよう適合しており、
前記移送チャンバは、側壁と、チャンバリッドと、チャンバフロアとによって少なくとも部分的に形成されており、
前記チャンバリッドは、前記移送チャンバにパージガスを供給するため分散された複数のチャンバ入口を有し、
前記移送チャンバが、第1の処理チャンバおよび第2の処理チャンバに結合されており、
前記分散された複数のチャンバ入口は、前記第1の処理チャンバで処理された基板が移送される第1の経路の上方に位置付けられる第1の主チャンバ入口と、前記第2の処理チャンバで処理された基板が移送される第2の経路の上方に位置付けられる第2の主チャンバ入口と、前記第1の主チャンバ入口と前記第2の主チャンバ入口の間に配設される副チャンバ入口と、を含み、前記第1および第2の主チャンバ入口と、前記副チャンバ入口と、は個別に制御可能である、移送チャンバガスパージ装置。
【請求項2】
前記第1の主チャンバ入口及び前記第2の主チャンバ入口と、前記副チャンバ入口とは、流量制御アセンブリに結合される、請求項1に記載の移送チャンバガスパージ装置。
【請求項3】
前記分散された複数のチャンバ入口は、少なくとも4つの主チャンバ入口を備える、請求項1に記載の移送チャンバガスパージ装置。
【請求項4】
前記移送チャンバに結合された処理チャンバをさらに備え、前記分散された複数のチャンバ入口は、基板が前記処理チャンバを出て行く際の前記基板の経路の上方に位置付けられた、主チャンバ入口を備える、請求項1に記載の移送チャンバガスパージ装置。
【請求項5】
前記チャンバリッドに形成された複数の視認窓をさらに備える、請求項1に記載の移送チャンバガスパージ装置。
【請求項6】
前記分散された複数のチャンバ入口のうちの少なくともいくつかは、拡散要素を備える、請求項1に記載の移送チャンバパージガス装置。
【請求項7】
前記第1の主チャンバ入口及び前記第2の主チャンバ入口と、前記副チャンバ入口とは、前記移送チャンバ内へのそれらの入口部のそれぞれにおいて異なる入口流積を有する、請求項1に記載の移送チャンバパージガス装置。
【請求項8】
記移送チャンバからパージガスを排気するために前記チャンバフロアに提供された分散された複数のチャンバ出口をさらに備える、請求項1に記載の移送チャンバパージガス装置。
【請求項9】
記移送チャンバからパージガスを排気するために前記チャンバフロアに提供された分散された複数のチャンバ出口をさらに備え、前記分散された複数のチャンバ出口のうちの少なくともいくつかは、前記分散された複数のチャンバ入口のうちの少なくともいくつかと、垂直方向に一直線になっている、請求項1に記載の移送チャンバパージガス装置。
【請求項10】
側壁と、チャンバリッドと、チャンバフロアとを有するメインフレームハウジングによって少なくとも部分的に形成された、移送チャンバであって、前記移送チャンバが、第1の処理チャンバおよび第2の処理チャンバに結合されている、移送チャンバと、
記移送チャンバにパージガスを供給するために前記チャンバリッドに分散された複数のチャンバ入口であって、前記分散された複数のチャンバ入口は、前記第1の処理チャンバで処理された基板が移送される第1の経路の上方に位置付けられる第1の主チャンバ入口と、前記第2の処理チャンバで処理された基板が移送される第2の経路の上方に位置付けられる第2の主チャンバ入口と、前記第1の主チャンバ入口と前記第2の主チャンバ入口の間に配設される副チャンバ入口と、を含み、前記第1および第2の主チャンバ入口と、前記副チャンバ入口と、は個別に制御可能である、複数のチャンバ入口と、
記移送チャンバからパージガスを排気するために前記チャンバフロアに提供された複数のチャンバ出口と、を備える、電子デバイス処理システム。
【請求項11】
移送チャンバをパージする方法であって、
チャンバリッドと、側壁と、チャンバフロアとによって少なくとも部分的に形成された移送チャンバであって、前記移送チャンバからアクセスされるチャンバに出し入れするように基板を搬送するよう適合したロボットの少なくとも一部分を包含し、前記移送チャンバが、第1の処理チャンバおよび第2の処理チャンバに結合されている、移送チャンバを提供することと、
前記チャンバリッドに分散された複数のチャンバ入口を通るパージガスの流入によって、前記移送チャンバからのパージングを行うことと、を含み、前記分散された複数のチャンバ入口は、前記第1の処理チャンバで処理された基板が移送される第1の経路の上方に位置付けられる第1の主チャンバ入口と、前記第2の処理チャンバで処理された基板が移送される第2の経路の上方に位置付けられる第2の主チャンバ入口と、前記第1の主チャンバ入口と前記第2の主チャンバ入口の間に配設される副チャンバ入口と、を含み、前記第1の主チャンバ入口および第2の主チャンバ入口と、前記副チャンバ入口と、は個別に制御可能であり、前記移送チャンバからのパージングを行うことは更に、前記基板の上方に実質的に層状の前記パージガスの流れを提供することを含む、方法。
【請求項12】
前記パージすることは更に、前記フロアに分散された複数のチャンバ出口を通じて、前記パージガスを排気することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記移送チャンバからのパージングを行うことは更に、複数の拡散要素を通る前記パージガスの流入を含む、請求項11に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、あらゆる目的のために参照により本書に組み込まれている、2013年9月30日に出願された「移送チャンバガスパージ装置、システム、及び方法(TRANSFER CHAMBER GAS PURGE APPARATUS, SYSTEMS, AND METHODS)」と題する米国仮特許出願第61/884,637号(代理人整理番号20841USAL)に、優先権を主張する。
【0002】
本発明は、電子デバイス製造に関し、より具体的には、移送チャンバガス供給装置、システム、及びその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来型の電子デバイス製造システムは、ガス抜き、洗浄又は予洗浄、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、又は原子層堆積といった堆積、コーティング、酸化、窒化、エッチング(プラズマエッチング等)などのような、任意の数のプロセスを実施するよう適合している、一又は複数の処理チャンバを含みうる。基板がファクトリインターフェースへの出入りを可能にするために、一又は複数のロードロックチャンバが提供されうる。これらの処理チャンバ及びロードロックチャンバの各々は、例えば、複数の処理チャンバが一移送チャンバの周辺に分布していることがある、クラスタツールに含まれうる。移送ロボットは、移送チャンバの中に収納されて、様々な処理チャンバ及びロードロックに出し入れするように、一又は複数のエンドエフェクタ上で基板を搬送しうる。従来的に、移送チャンバと処理チャンバ及びロードロックチャンバの各々との間に、スリットバルブ開口が提供される。移送ロボットの一又は複数のエンドエフェクタ(例えばブレード)は、スリットバルブ開口を通過して、基板(例えばシリコンウエハ、ガラスプレートなど)を、処理チャンバ又はロードロックチャンバの中に提供された支持体(例えばペデスタル又はリフトピン)内に載置しうるか、又は支持体から取り出しうる。
【0004】
基板が処理チャンバの中に適切に配置されると、スリットバルブは閉じてよく、基板の処理が始まりうる。処理の一部として、システム内の構成要素の動きにより粒子が形成されうる。かかる粒子が処理された基板上に留まると、このことは基板の品質に影響を与えうる。粒子を最小限にするために、従来のシステムは、移送チャンバのパージを実現するための、ロボットの下方にある移送チャンバ内へのガス入口、並びに、同じくロボットの下にある移送チャンバからのガス出口部を含んでいた。しかし、かかるシステムは概して効果がなかった。
【0005】
そのため、改良型の移送チャンバガス流装置、システム、及び方法が求められている。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、移送チャンバガスパージ装置が提供される。移送チャンバガスパージ装置は、移送ロボットの少なくとも一部分を包含するよう適合した移送チャンバであって、側壁と、チャンバリッドと、チャンバフロアとによって少なくとも部分的に形成された移送チャンバを含み、チャンバリッドは、分散された複数のチャンバ入口を有する。
【0007】
別の態様では、電子デバイス処理システムが提供される。電子デバイス処理システムは、側壁、チャンバリッド、及びチャンバフロアを有するメインフレームハウジングと、チャンバリッドに分散された複数のチャンバ入口と、チャンバフロアに分散された複数のチャンバ出口とによって少なくとも部分的に形成された、移送チャンバを含む。
【0008】
別の態様では、移送チャンバをパージする方法が提供される。方法は、チャンバリッドと、側壁と、チャンバフロアとによって少なくとも部分的に形成された移送チャンバであって、移送チャンバからアクセスされるチャンバに出し入れするように基板を搬送するよう適合したロボットの少なくとも一部分を包含する、移送チャンバを提供することと、チャンバリッドに分散された複数の入口を通るパージガスの流入によって、移送チャンバからのパージングを行うこととを、含む。
【0009】
本発明の上記の態様及び他の態様により、多数の他の特徴が提供される。本発明の実施形態の他の特徴及び態様は、以下の詳細説明、付随する特許請求の範囲、及び添付図面から、より網羅的に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】実施形態による、移送チャンバガスパージ装置を含む電子デバイス処理システムの概略上面図を示す。
図1B】実施形態による、移送チャンバガスパージ装置を含む電子デバイス処理システムの部分側面断面図を示す。
図2】実施形態による、拡散要素を含むチャンバ入口の部分側面断面図を示す。
図3】実施形態による、移送チャンバガスパージ装置のチャンバリッドの上面図を示す。
図4A】実施形態による、移送チャンバガスパージ装置の排気アセンブリの底面図である。
図4B】実施形態による、移送チャンバガスパージ装置の排気アセンブリの底部斜視図である。
図5】実施形態による、移送チャンバガスパージ装置の部分断面斜視図を示す。
図6】実施形態による、移送チャンバをパージする方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
既存の電子デバイス製造システムは、粒子を制御するための試行において、移送チャンバの中でパージを使用してきた。詳細には、従来技術のパージシステムは、移送チャンバのフロアに入口及び出口を含んでいた。この種の移送チャンバパージによっていくらかの改善がもたらされたが、システム/ツールの歩留りを更に改善するために、粒子を制御するための追加的な手段が求められている。
【0012】
この問題に対処するために、本発明の実施形態は、改良型の移送チャンバガスパージ装置、システム、及び方法を提供する。一態様では、改良型の移送チャンバガスパージ装置が提供される。移送チャンバガスパージ装置は、一又は複数の基板を運ぶよう適合している移送ロボットの少なくとも一部分を包含するよう適合した、移送チャンバをパージするために役立つ。移送チャンバは、側壁と、チャンバリッドと、チャンバフロアとを含む。チャンバリッドは、そこに分散された複数のチャンバ入口を有する。
【0013】
一又は複数の実施形態では、分散された複数のチャンバ入口の一部又は全部は、流入パージガス流を拡散させるよう適合し、機能する、拡散部材を含みうる。また更に、分散された複数のチャンバ出口がチャンバフロアに含まれうる。更なる実施形態では、分散された複数のチャンバ入口は、主チャンバ入口と副入口とを含みうる。かかる主チャンバ入口及び副入口は、いくつかの実施形態では、個別に制御可能でありうる。ゆえに、特に移送チャンバの、基板(複数可)が移送チャンバを通って移送される時に位置付けられる領域において、改良型の移送チャンバパージが提供される。いくつかの実施形態では、基板(複数可)の上方に層状のパージガス流が提供される。
【0014】
別の態様では、電子デバイス処理システムが提供される。電子デバイス処理システムは、基板を運ぶロボットの少なくとも一部分を包含するよう適合した移送チャンバを含み、移送チャンバは、チャンバリッドと、側壁と、チャンバフロアとを含み、分散された複数のチャンバ入口がチャンバリッドに提供され、かつ、分散された複数のチャンバ出口がチャンバフロアに含まれる。
【0015】
装置の態様、システムの態様、及び方法の態様を含む本発明の様々な態様を図示し、説明する、例示的な実施形態の更なる詳細につき、本書の図1Aから図6を参照して説明する。
【0016】
図1A及び図1Bはそれぞれ、移送チャンバガスパージ装置101を含む電子デバイス処理システム100の例示的な一実施形態の概略上面図及び側面断面図を示している。電子デバイス処理システム100は、ガス抜き、洗浄又は予洗浄、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、又は原子層堆積(ALD)といった堆積、コーティング、酸化、窒化、エッチング(プラズマエッチング等)などのような、一又は複数のプロセスを基板(シリコンを含有するウエハ、プレート、ディスクなど)に付与することによって、基板を処理するよう適合しうる。電子デバイス処理システム100によって、他のプロセスが実施されることもある。
【0017】
図示されている電子デバイス処理システム100は、少なくとも、移送チャンバ103の側壁104と、チャンバリッド106と、チャンバフロア107とによって形成された移送チャンバ103を含む、メインフレームハウジング102を含む。複数の処理チャンバ108A〜108F、及び一又は複数のロードロックチャンバ110A、110Bは、メインフレームハウジング102に機械的に結合されうる。上記以外の数の処理チャンバ及びロードロックチャンバが含まれることもある。移送チャンバ103は、メインフレームハウジング102に結合されている少なくとも2つのチャンバに出し入れするように、一又は複数の基板114を移送するよう構成され、適合している、ロボット112を含む。少なくとも2つのチャンバはロボット112によってアクセス可能であり、ロボット112の少なくとも一部は、移送チャンバ103内に存在する。本書で使用する場合、「移送チャンバ」は、移送チャンバ103からアクセスされるチャンバ(例えば処理チャンバ108A〜108F)に出し入れするように一又は複数の基板114を搬送するよう適合しているロボット112(例えば動作アーム及び取り付けられたエンドエフェクタ112E)の、少なくとも一部分を包含する。電子デバイス処理システム100は、ファクトリインターフェース109にドッキングされた一又は複数の基板キャリア111を有する、ファクトリインターフェース109も含みうる。基板キャリア111は、製造環境の中(例えばツール間)で一又は複数の基板114を運ぶよう適合している。ファクトリインターフェースロボット113(点線の四角で示す)は、一又は複数の実施形態では、ファクトリインターフェース109に含まれてよく、基板キャリア111と一又は複数のロードロックチャンバ110A、110Bと間で基板114を移送する機能を果たしうる。
【0018】
図示されている実施形態では、ロボット112は、移送チャンバ103の内部のアーム112A、112B、112Cと、移送チャンバ103の外部にありうる一又は複数のロボットモータ112Mと、基板113を上に載せて搬送しうる一又は複数のエンドエフェクタ112Eとを、含みうる。エンドエフェクタ112Eは、1つに剛結合されうるか、又は、個別に作動しうる。ロボット112は、例えば、米国特許第5,789,878号、第5,879,127号、第6,267,549号、第6,379,095号、第6,582,175号、及び、第6,722,834号、並びに、米国特許公報第2010/0178147号、第2013/0039726号、第2013/0149076号、第2013/0115028号、及び、第2010/0178146号に記載されているような、任意の好適な構造のものでありうる。他の好適なロボットが使用されることもある。
【0019】
ロボット112は、処理チャンバ108A〜108Fに出し入れするように、かつ、一又は複数のロードロックチャンバ110A、110Bに出し入れするように、基板114を搬送するよう動作可能である。移送は都度、メインフレームハウジング102に形成された、概してスリット形状の開口である、開口115(例えばスリットバルブ開口)を通るものであり、開口115は、ロボット112によって基板114がそれぞれのチャンバ内に載置された後にそれぞれのチャンバを密封するよう、開口115と協働可能な、スリットバルブドア(図示せず)を有しうる。図示されている実施形態では、並列チャンバであるツインチャンバが提供される。しかし、移送チャンバガスパージ装置101は、七角形、六角形、又は八角形のメインフレームハウジングなどに含まれる、径方向にアクセスされる処理チャンバを含むもののような、他の移送チャンバ構成と共に使用されうることを、理解すべきである。他の形状の移送チャンバ103が使用されることもある。
【0020】
上述したように、移送チャンバガスパージ装置101は、ロボット112の少なくとも一部分を包含するよう適合した移送チャンバ103であって、側壁104と、チャンバリッド106と、チャンバフロア107との相互接続によって少なくとも部分的に形成されている、移送チャンバ103を含む。図示されている実施形態では、チャンバリッド106は、主チャンバ入口116Pと副チャンバ入口116Sとを含みうる、チャンバリッド106に分散された複数のチャンバ入口116を有する。チャンバ入口116は、パージガス供給アセンブリ118に結合される。パージガス供給アセンブリ118は、加圧ガス包含容器のようなパージガス源120と、パージガス流を制御するよう適合した一又は複数のバルブ或いは質量流量コントローラを備えうる、流量制御アセンブリ122と、コントローラ123とを含みうる。
【0021】
パージガス供給アセンブリ118は、流量制御アセンブリ122と複数のチャンバ入口116との間に結合されているガス流経路(例えば導管)の集まりでありうる、取り込みマニホールド124も含みうる。取り込みマニホールド124は、主経路124Pと副経路124Sとを含みうる。流量制御アセンブリ122によって、主チャンバ入口116P及び副チャンバ入口116Sへのパージガス流が個別に制御可能になりうるように、主経路124P及び副経路124Sを通るパージガス流は、主チャンバ入口及び副チャンバ入口116P、116Sと流体結合しうる。パージガスは、Nのような不活性ガスを含みうる。他の好適なパージガスが使用されることもある。いくつかの実施形態では、移送チャンバ103は、例えば真空に維持されうる。
【0022】
チャンバリッド106は、移送チャンバ103の最上部にあり、かつ、エンドエフェクタ112E及び支持されている基板114の水平面の概して上方に配置されうる。チャンバリッド106は、取り外し可能であってよく、いくつかの実施形態では側壁104に接続可能でありうる。
【0023】
図示されている実施形態では、チャンバリッド106に分散された複数のチャンバ入口116は、移送チャンバ104内に配置される、少なくとも4つの主チャンバ入口116Pを備える。主チャンバ入口116Pのうちの少なくともいくつかは、基板114が処理チャンバ108A〜108Fのそれぞれを出て行く際の、基板114の移送経路の上方に位置付けられうる。例えば、主チャンバ入口116Pのうちの一又は複数は、移送経路125の上方に位置付けられうる。この様態では、パージガスは、基板114を覆うように下向きに流れ、基板114が処理チャンバ108A〜108Fのそれぞれを出て行く際に、パージガス流で基板114を包み込む。
【0024】
同様に、主チャンバ入口116Pは、一又は複数の基板114がロードロックチャンバ110A、110Bから移送チャンバ103内に入る際に、一又は複数の基板114のロードロック移送経路125LLの上方に位置付けられうる。図1A及び図1Bに示すツイン移送チャンバ構成では、分散された複数のチャンバ入口116の位置付けは、基板114が処理チャンバ108A〜108Fから出て行く際に、より良いパージガス流を提供することに役立ちうる。
【0025】
移送チャンバガスパージ装置101の分散された複数のチャンバ入口116は、少なくとも4つの副チャンバ入口116Sを含みうる。副チャンバ入口116Sのうちの少なくともいくつかは、主チャンバ入口116Pのそれぞれの間に配設されうる。例えば、副チャンバ入口116Sは、開口115の間、又は、ロードロックチャンバ110A、110Bへの開口の間に配置されている移送チャンバ容積をパージするよう配設されうる。図示されているように、任意の主入口又は副入口116Cが、移送チャンバ103の物理的中心に、又はその近辺に、提供されうる。いくつかの実施形態では、複数の視認窓128(いくつかを番号表示している)がチャンバリッド106に形成されうる。視認窓128は、ガラスパネルのような透明又は半透明のパネルを含んでよく、ロボット112及びその構成要素、並びに基板114が、移送チャンバ103の中で視認されることを可能にしうる。視認窓128は、主チャンバ入口及び副チャンバ入口116P、116Sのそれぞれの間に配設されうる。
【0026】
一又は複数の実施形態では、移送チャンバガスパージ装置101は、複数のチャンバ出口126を含みうる。複数のチャンバ出口126は、チャンバフロア107からの出口部でありうる。しかし、複数のチャンバ出口は、いくつかの実施形態では、側壁104からの(例えば側壁104の下部における)出口部でありうる。図示されている実施形態では、複数のチャンバ出口126は、基板114の下の場所における、移送チャンバ103のチャンバフロア107からの出口部である。複数のチャンバ出口126は、移送チャンバ103を出て行くパージガスをファクトリ排気装置のような排気システムに流すよう適合している、排気マニホールド127と結合しうる。排気マニホールド127は、ロボットモータ112Mの周囲に配設されうる。いくつかの実施形態では、パージプロセス中に移送チャンバ103内に所望のレベルの真空を提供するために、真空ターボポンプのような一又は複数の真空源129が、排気マニホールド127に結合されうる。いくつかの実施形態では、複数のチャンバ出口126のうちの一又は複数の場所は、複数のチャンバ入口116のうちの一又は複数と垂直方向に一直線になるよう位置付けられうる(例えば、主チャンバ入口116Pとチャンバ出口126とを接続する、図1Bの点線の垂直線を参照のこと)。例えば、図示されている実施形態では、4つのチャンバ入口116Pは、4つのチャンバ出口126の垂直方向の真上にある。他の実施形態では、複数のチャンバ出口126のうちの少なくともいくつかは、複数のチャンバ入口116のうちの一又は複数と径方向に並んで位置付けられうる(同一半径に沿って並ぶ)。
【0027】
図示されている実施形態では、チャンバ入口116の少なくとも一部、好ましくは全部(例えば、図示されているチャンバ入口116P、116S、116C)が、拡散要素230を含みうる。拡散要素230を含む例示的なチャンバ入口116Pが、図2に示されている。拡散要素230は、チャンバ入口116Pに結合されている取り込みマニホールド124の主経路124Pの断面積と比較して拡大された正面表面積を有する、多孔性部材を備えうる。図示されている実施形態では、拡散要素230は、多孔性金属ディスクを備えうる。チャンバ入口116Pは、取り込みマニホールド124の主経路124Pからパージガスを受容し、かつ、拡散要素230のエントリ側の拡大されたエントリ領域にパージガスを通すために断面積が広がっている拡散チャンバ232を、少なくとも部分的に形成する、入口本体231を含みうる。パージガスは次いで、拡散要素230を(例えば、拡散要素の開口ポアを通って)通過し、チャンバリッド106内に形成され、かつ拡散要素230の下流に配置されうる、拡張ゾーン234内に移動しうる。拡張ゾーン234の中で、パージガス流は、移送チャンバ104内へと移行する。拡張ゾーン234は、例えば、一又は複数の円錐台形区域、又は一半径範囲を含みうる。図示されている例では、拡張ゾーン234は、異なる円錐角を有する、相互接続された複数の円錐台形区域を含む。その他の、面積を拡大する移行ゾーン構造が使用されることもある。
【0028】
一又は複数の実施形態では、分散された複数のチャンバ入口116は、主チャンバ入口116Pと副チャンバ入口116Sであって、移送チャンバ103へのそれらの入口部のそれぞれにおいて異なる入口流積を有する(図1Bを参照のこと)、主チャンバ入口116Pと副チャンバ入口116Sとを含みうる。詳細には、いくつかの実施形態では、主チャンバ入口116Pのその面積は、副チャンバ入口116Sのその面積よりも大きいことがある。例えば、主チャンバ入口116Pと副チャンバ入口116Sの各々のその面積は、約10cmから約100cmまででありうる。しかし、それ以外のサイズが使用されることもある。また更に、いくつかの実施形態では、副チャンバ入口116Sは、主チャンバ入口116Pとサイズが等しいこともある。
【0029】
従来通り、基板114は、開口115(例えばスリットバルブ開口)を通って、処理チャンバ108A〜108Fに提供され、それらから取り出されうる。チャンバ出口126の下に接続された一又は複数の真空源129(例えば一又は複数のターボポンプ)の操作によって、移送チャンバ103内に一般的なレベルの真空が提供されうる。
【0030】
移送チャンバガスパージ装置101の動作は、コントローラ123から流量制御アセンブリ122への制御信号を介して調整されて、基板114の上方に層状のガス流量パターンを提供しうる。ガス流の調整は、パージガス源120から複数のチャンバ入口116への、パージガスの全体流量を調整することによって行われうる。詳細には、パージガス流の調整は、流量制御アセンブリ122を調整することによって行われうる。流量制御アセンブリ122は、一又は複数のバルブか、質量流量コントローラ(MFC)か、又は他の好適なガス流調整器を備えうる。詳細には、主チャンバ入口と副チャンバ入口116P、116Sに提供されるパージガス流は、例えば流量制御アセンブリ122の流量制御部材(バルブ、MFCなど)を制御することによって、個別に制御されうる。
【0031】
図3は、取り込みマニホールド124と、それに結合された流量制御アセンブリ122とを含む、チャンバリッド106の一例の上面図を示している。チャンバリッド106は、メインフレームハウジング102から取り外し可能であり、かつ、締め具によってメインフレームハウジング102に固定されうる。好適なOリング又は他の密封部材によって、チャンバリッド106の底部とメインフレームハウジング102との間の密封が提供されうる。いくつかの実施形態では、チャンバリッド106は、旋回軸で回転し、かつ、リフトピン336によって持上げられうる。
【0032】
図4A及び4Bは、チャンバフロア107、及び、移送チャンバガスパージ装置101のチャンバフロア107に接続されている部分の、例示的な一実施形態を示している。図示されている実施形態では、チャンバフロア107は、第1部分107Aと、第1部分107Aに結合された第2部分107Bとを含む。第1部分107Aは、メインフレームハウジング102の底部と結合するよう構成され、適合している。チャンバフロア107の第2部分107Bに含まれるチャンバ出口126のそれぞれに結合された排気マニホールド127が、図示されている。
【0033】
図5は、移送チャンバガスパージ装置101の一実施形態の部分断面斜視図を示している。移送チャンバガスパージ装置101は、移送チャンバ103にパージガスを提供する複数のチャンバ入口116を備えた、チャンバリッド106と、移送チャンバ103からパージガスを排気するよう適合した複数のチャンバ出口126(図5では1つしか示されていない)を備えた、チャンバフロア107とを含む。チャンバ入口116は、基板114の上方で移送チャンバ103に入るガスパージ流を提供しうる。パージガス流は、基板114とチャンバリッド106との間で層状になりうる。
【0034】
本発明の一又は複数の実施形態により、移送チャンバ(例えば移送チャンバ103)をパージする方法600が、図6を参照して提供され、説明される。方法600は、602において、チャンバリッド(例えばチャンバリッド106)と、側壁(例えば側壁104)と、チャンバフロア(例えば107)とによって少なくとも部分的に形成された移送チャンバ(例えば移送チャンバ103)であって、移送チャンバからアクセスされるチャンバ(例えば、一又は複数の処理チャンバ108A〜108F又はロードロックチャンバ110A、110Bのうちの任意のもの)に出し入れするように基板(例えば基板114)を搬送するよう適合したロボット(例えばロボット112)の少なくとも一部分を包含する、移送チャンバを提供することを含む。
【0035】
方法600は、604において、チャンバリッド(例えばチャンバリッド106)に分散された複数の入口(例えば分散された複数のチャンバ入口116)を通るパージガスの流入によって、移送チャンバ(例えば移送チャンバ103)からのパージングを行うことを含む。
【0036】
一又は複数の実施形態では、パージすることは更に、606において、チャンバフロア(例えばチャンバフロア107)に提供された、分散された複数のチャンバ出口(例えば分散された複数のチャンバ出口126)を通じて、パージガスを排気することを含みうる。いくつかの実施形態では、移送チャンバからのパージングを行うことは更に、複数の拡散要素(例えば拡散要素230)を通るパージガスの流入を含みうる。移送チャンバ103からのパージングを行うことは更に、いくつかの実施形態では、基板114の上方に実質的に層状のパージガスの流れを提供することを含みうる。基板114の上方で実質的に層状のパージガス流を実現するためのパージガス流の条件は、チャンバリッド106の複数のチャンバ入口116に流体結合された流量制御アセンブリ122を調整することによって満たされうる。パージガス流は、主チャンバ入口(例えば主チャンバ入口116P)と副チャンバ入口(例えば副チャンバ入口116S)とを備えた、分散された複数のチャンバ入口116を提供すること、及び、主チャンバ入口116Pと副チャンバ入口116Sへのパージガスの流れを個別に制御することによって、追加的に制御されうる。例えば、主チャンバ入口(例えば主入口116P)に比較的多くのパージガス流が提供されてよく、副チャンバ入口(例えば副チャンバ入口116S)には比較的少ない流量が提供されうる。更に、パージガス流の調整は、いくつかの実施形態では、移送チャンバ(例えば移送チャンバ103)の中の流量パターンを一様にするために行われうる。
【0037】
前述の説明は、本発明の例示的な実施形態を開示しているにすぎない。本発明の範囲に含まれる、上記で開示された装置、システム、及び方法の修正例が、当業者には容易に自明となろう。したがって、本発明は、その例示的な実施形態に関連して開示されているが、他の実施形態が、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲に含まれることもあると、理解すべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6