【課題を解決するための手段】
【0019】
3.発明の説明
本発明は、化粧品組成物及び他の局所用又は口腔用の組成物における浸透促進剤としてのカプリロール-アラニンエチルエステルの使用に関する。本発明において、浸透は、透過及び吸収も含むことができる。
【0020】
本発明の一実施形態は、カプリロイルアラニンエチルエステルを浸透促進剤として含む化粧品組成物に関する。これらの組成物は、カプリロール-アラニンエステルを、活性剤と組み合わせて、好ましくは、UVフィルター、抗ざ瘡活性剤、抗老化活性剤、抗炎症剤、毛髪調節剤、制汗剤又は脱臭剤、美白剤、セルフタンニング剤、及びビタミン類と組み合わせて含む。
【0021】
驚くべきことに、カプリロール-アラニンエチルエステルを含む組成物は、不快なべたつき感を伴わずに保湿感触を皮膚に与えると同時に、非常に良好な官能プロファイルをもたらすことが見出された。カプリロール-アラニンエチルエステルはまた、他のN-アシルアミノ酸エステルよりも活性剤の皮膚浸透、特に親水性活性剤の浸透を促進する。
【0022】
化粧品組成物は、全組成物に対して、0.1〜90重量%のカプリロイルアラニンエチルエステルを含むことができ、一般的には、全組成物に対して、1〜30重量%、好ましくは2〜10重量%、より好ましくは2〜5重量%含むであろう。
【0023】
カプリロイルアラニンエチルエステルの角質層に対するハンセン溶解度パラメーター(HSP)距離は、皮膚浸透促進剤として十分な可能性を示すエチルジエチレングリコール及びDMIなどの周知の確立された参考例よりも小さいことがわかった。ハンセン溶解度パラメーターは、分子がRTで液体であり、十分小さいモル体積を有する場合に、角質層中への良好な分配の重要な指標である。
【0024】
浸透促進剤としてカプリロール-アラニンエチルエステルを添加すると、活性剤を含む化粧品組成物に多くの利点がもたらされる。不利な適合特性を有する活性剤を含む製剤の皮膚適合性は、特に、目的とする効果がより早く達成され、且つ/又は所望の組織(層)がより効率的に標的とされ、且つ/又はより低濃度の活性成分を使用することができるので、改善され得る。
【0025】
浸透促進剤自体は、皮膚を介して浸透する程度がDMIより低く、従って、全身的に利用可能である可能性は低い。更に、カプリロイル-アラニンエチルエステルは、皮膚で代謝することができ、その結果、毒性プロファイルの改善に寄与する。
【0026】
更に、カプリロイル-アラニンエチルエステルは、他の皮膚軟化剤と同様の保湿効果を有することがわかり、他の皮膚軟化剤よりも早く吸収されることがわかり、従って、局所用組成物におけるその適用は、心地よい官能プロファイルをもたらす。
【0027】
カプリロール-アラニンエチルエステルは、無臭の液体物質であるため、化粧品組成物及び局所用組成物に極めて容易に組み入れられる。得られた製剤は、非常に良好な物理化学的安定性を有する。極性皮膚軟化剤として、カプリロール-アラニンエチルエステルは有益な可溶化特性を有し、組織上での活性剤の分散及び分布を向上することができる。
【0028】
活性化合物
本発明による製剤は、カプリロール-アラニンエステルを、化粧品的に許容可能な活性化合物と組み合わせて含む。
【0029】
本発明によれば、活性化合物(1種以上の化合物)は、有利には、UVフィルター、抗ざ瘡活性剤、抗老化活性剤、抗炎症剤、毛髪成長調節剤、毛髪又は毛包に効果を有する薬剤、制汗剤又は脱臭剤、美白剤、セルフタンニング剤、ペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、アセチルサリチル酸、アトロピン、アズレン、ヒドロコルチゾン及びそれらの誘導体、例えばヒドロコルチゾン-17-吉草酸エステル、ビタミン類、特に、ビタミンB系及びD系、具体的には、ビタミンB1、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンA及びそれらの誘導体、例えばレチニルパルミタート、ビタミンE又はそれらの誘導体、例えば酢酸トコフェリルなど、ビタミンC及びそれらの誘導体、例えばアスコルビルグルコシドなど、さらに、ナイアシンアミド、パンテノール、ビサボロール ポリドカノール、不飽和脂肪酸、例えば、必須脂肪酸(通常、ビタミンFと呼ばれる)、具体的には、γ-リノレン酸、オレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、及びそれらの誘導体、クロラムフェニコール、カフェイン、プロスタグランジン、チモール、カンファー、スクアレン、植物由来及び動物由来の抽出物又は他の製品、例えば、マツヨイグサ(evening primrose)油、ルリジサ(borage)油又はイナゴマメ(carob bean)油、魚油、タラ肝(cod-liver)油、さらに、セラミド及びセラミド様化合物、香料抽出物、緑茶抽出物、スイレン(water lily)抽出物、カンゾウ(liquorice)抽出物、及びマンサク(witch hazel)、ふけ防止活性化合物(例えば、二硫化セレン、ジンクピリチオン、ピロクトン、オラミン、クリンバゾール、オクトピロックス、ポリドカノール、及びそれらの組み合わせ)、並びに活性化合物複合体、例えばγ-オリザノールと、パントテン酸カルシウム、塩化カルシウム、及び酢酸カルシウムなどのカルシウム塩との活性化合物複合体からなる群より選択することができる。
【0030】
具体的に、本発明による組成物が、内因性及び/又は外因性の皮膚老化の症状の治療及び予防、並びに皮膚及び頭髪への紫外線の有害な影響の治療及び予防に用いられる場合には、1種以上の活性化合物を、NOシンターゼ阻害剤からなる群より選択することもできる。好ましいNOシンターゼ阻害剤としては、ニトロアルギニンがある。
【0031】
1種以上の活性化合物は、更に有利には、カテコール及びカテコールの胆汁酸エステル、並びにカテコール又はカテコールの胆汁酸エステルを含有する植物又は植物の一部に由来する水性抽出物又は有機抽出物、例えば、ツバキ科植物(Theaceae plant family)の葉、具体的には、カメリアシネンシス(Camellia sinensis)種(緑茶)の葉などを含む群より選択される。カテコール類は、水素化フラボン又はアントシアニジンとして解釈される一群の化合物であり、カテコール類としては「カテコール」の誘導体(カテコール、3,3',4',5,7-フラバンペンタオール、2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-クロマン-3,5,7-トリオール)がある。エピカテコール((2R,3R)-3,3',4',5,7-フラバンペンタオール)もまた、本発明において有利な活性化合物である。
【0032】
更に、好ましい活性化合物としては、(-)-カテコール、(+)-カテコール、(-)-カテコールガラート、(-)-ガロカテコールガラート、(+)-エピカテコール、(-)-エピカテコール、(-)-エピカテコールガラート、(-)-エピガロカテコール、及び(-)-エピガロカテコールガラートからなる群からのポリフェノール又はカテコールがある。
【0033】
フラボン及びその誘導体(総称として「フラボン類」と呼ばれる場合が多い)もまた、本発明において有利な活性化合物である。更に有利な活性化合物としては、セリコシド、ピリドキソール、ビタミンK、ビオチン、及び芳香物質がある。
【0034】
好ましくは、活性化合物(1種以上の化合物)は、非常に有利には、親水性活性化合物である、α-ヒドロキシ酸、例えば、乳酸若しくはサリチル酸又はそれらの塩、例えば、乳酸Na、乳酸Ca、又は乳酸TEAなど、尿素、アラントイン、セリン、ソルビトール、グリセロール、乳タンパク質、パンテノール、又はキトサンからなる群より選択することができる。
【0035】
最も好ましくは、活性化合物は、UVフィルター、抗ざ瘡活性剤、抗老化活性剤、抗炎症剤、毛髪成長調節剤、毛髪又は毛包に効果を有する薬剤、制汗剤又は脱臭剤、美白剤、セルフタンニング剤、及びビタミン類から選択される群より選択される。
【0036】
a)UVフィルター
選択された浸透促進剤が、UVフィルターの可溶化を著しく向上させ、それによって、本発明の化粧品組成物のUV保護特性は大きく向上することが研究された。
【0037】
カプリロール-アラニンエチルエステルは、興味深いUVフィルター可溶化特性を有する。エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul T150)などの既知のUVフィルターの溶解度を、通常使用される他の溶媒よりも、高めることが可能であり、例えば、アジピン酸ジブチルにおいて、16重量%に対して23重量%に高めることが可能であり、従って、溶媒中の濃度を増加することが可能になる。このことは、引き続き、官能プロファイルが向上した製剤の設計の利点になり得る。角質層の上層へのより均質な分布及びより良好な浸透も達成することができる。
【0038】
更に、顔料であり、物理的に作用するUVフィルターのUV保護効果も、カプリロール-アラニンエチルエステルを添加することにより向上する。促進剤の良好な拡散特性によって、こうした種類のUVフィルターは、化粧品組成物において、さらに、適用(塗布)後の皮膚上において、分布の均質性が改善される。
【0039】
従って、活性化合物(1種以上の化合物)は、更に非常に有利には、光フィルター活性化合物からなる群より選択することができる。
【0040】
適切な光フィルター活性化合物としては、UV-B及び/又はUV-A領域の紫外(UV)線を吸収する物質がある。これらによれば、有機物質は、紫外線を吸収することができ、吸収されたエネルギーを例えば熱などのより長波長の放射の形態で再び放出することができるものと理解される。有機物質は、油溶性又は水溶性であり得る。適切なUVフィルターは、例えば、2,4,6-トリアリール-1,3,5-トリアジンであり、その中のアリール基は、それぞれの場合において、ヒドロキシル、アルコキシ、特にメトキシ、並びにアルコキシカルボニル、特に、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルより好ましくは選択される、少なくとも1つの置換基を有することができる。p-アミノ安息香酸エステル、桂皮酸エステル、ベンゾフェノン、カンファー誘導体、並びに紫外線を防ぐ顔料、例えば、二酸化チタン、タルク、及び酸化亜鉛がより適する。二酸化チタン系の顔料が特に好ましい。
【0041】
使用することができる油溶性UV-Bフィルターとしては、例えば、下記の物質がある:
3-ベンジリデンカンファー及びそれらの誘導体、例えば、3-(4-メチルベンジリデン)カンファー;4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは、4-(ジメチルアミノ)-安息香酸2-エチルヘキシルエステル、4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-オクチルエステル、及び4-(ジメチルアミノ)安息香酸アミルエステル;桂皮酸エステル、好ましくは、4-メトキシ桂皮酸2-エチルヘキシルエステル、4-メトキシ桂皮酸プロピルエステル、4-メトキシ桂皮酸イソアミルエステル、4-メトキシ桂皮酸イソペンチルエステル、及び2-シアノ-3-フェニル-桂皮酸2-エチルヘキシルエステル(オクトクリレン);サリチル酸エステル、好ましくは、サリチル酸2-エチルヘキシルエステル、サリチル酸4-イソプロピルベンジルエステル、及びサリチル酸ホモメンチルエステル;ベンゾフェノン誘導体、好ましくは、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、及び2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;ベンザルマロン酸エステル、好ましくは、4-メトキシベンザルマロン酸ジ-2-エチルヘキシルエステル;トリアジン誘導体、例えば、2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジン(オクチルトリアゾン)、及びジオクチルブタミドトリアゾンなど;プロパン-1,3-ジオン、例えば、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオンなど。
【0042】
可能な水溶性物質としては、
・2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、並びにそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩、及びグルカモニウム(glucammonium)塩;
・ベンゾフェノンスルホン酸誘導体、好ましくは、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸及びその塩;
・3-ベンジリデンカンファースルホン酸誘導体、例えば、4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸及び2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸、並びにそれらの塩
がある。
【0043】
桂皮酸エステル、好ましくは、4-メトキシ桂皮酸2-エチルヘキシルエステル、4-メトキシ桂皮酸イソペンチルエステル、及び2-シアノ-3-フェニル-桂皮酸2-エチルヘキシルエステル(オクトクリレン)の使用が特に好ましい。
【0044】
ベンゾフェノン誘導体、具体的には、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、及び2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンの使用、及びプロパン-1,3-ジオン、例えば、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオンなどの使用が更に好ましい。
【0045】
可能な通常のUV-Aフィルターとしては、
・ベンゾイルメタン誘導体、例えば1-(4'-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)-プロパン-1,3-ジオン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、又は1-フェニル-3-(4'-イソプロピルフェニル)-プロパン-1,3-ジオンなど;
・ベンゾフェノンのアミノ-ヒドロキシ-置換誘導体、例えば、N,N-ジエチルアミノ-ヒドロキシベンゾイル-n-ヘキシル-ベンゾアートなど
がある。
【0046】
UV-A及びUV-Bフィルターは、当然のことながら、混合物で用いることもできる。
【0047】
更に適切なUVフィルター物質を下記の表に挙げる:
【0048】
【表1】
【0049】
上述の2つの群の第一の日焼け止め物質に加えて、UV線が皮膚に浸透した時に生じる光化学的な細胞の反応連鎖を遮断する、抗酸化型の第二の日焼け止め剤を使用することもできる。典型的な例は、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、トコフェロール(ビタミンE)、及びアスコルビン酸(ビタミンC)におけるUV誘発性の機能変化及び/又は構造変化である。
【0050】
適切な活性剤の更なる群としては、UV光による皮膚損傷に有益な作用を有する抗炎症物質がある。そのような物質としては、例えば、ビサボロール、フィトール、及びフィタントリオール、並びにアセチルサリチル酸があるが、これらに限定されない。
【0051】
本発明による組成物に使用することができる、上述の活性化合物及び活性化合物の組み合わせのリストは、当然のことながら、限定しようとするものではない。活性化合物は、単独で、又は互いの任意の所望の組み合わせで使用することができる。
【0052】
本発明による組成物におけるこのような活性化合物(1種以上の化合物)の量は、組成物の総重量に対して、好ましくは、0.001〜30重量%であり、特に好ましくは、0.05〜20重量%であり、具体的には、1〜10重量%である。
【0053】
b)セルフタンニング剤及び美白剤
更に、カプリロール-アラニンエチルエステルはセルフタンニング剤の均等性を向上させる。浸透促進剤の添加により、セルフタンニング剤及び美白剤をはるかにより均一に塗布することができ、その結果、均質な皮膚日焼け効果又は皮膚美白効果がもたらされる。
【0054】
適切なセルフタンニング剤としては、ピラゾリン-4,5-ジオン誘導体、グルタルアルデヒド、アロキサン、ニンヒドリン、4,4-ジヒドロキシピラゾリン-5-ジオン、及びジヒドロキシアセトンがある。浸透促進剤と共に使用される好ましいセルフタンニング剤としては、ジヒドロキシアセトン(DHA)がある。セルフタンニング剤の量は、化粧品組成物の総重量に対して、0.05〜10重量%、好ましくは、0.1〜5重量%の範囲である。
【0055】
通常、美白剤は、皮膚に浸透し、その機能を拡散させることが必要とされ、その多くが、メラニンの形成を防止し、その結果、皮膚のメラノサイトに作用することが必須であるチロシン阻害剤を含む。美白剤の例としては、アルブチン、フェルラ酸、コウジ酸、クマリン酸、植物抽出物、及びアスコルビン酸(ビタミンC)がある。
【0056】
c)抗ざ瘡活性剤
抗ざ瘡活性剤、例えば、抗炎症剤、抗生物質、レチノイド、抗細菌剤、及び角質溶解剤は、望ましくない副作用を引き起こすことが多い。従って、皮膚上層、脂腺細胞、及び/又は皮膚毛穴への浸透及び分布の向上によって、これらの活性剤の用量を減少することができる場合は、利点となる。
【0057】
浸透促進剤と組み合わせて使用される抗ざ瘡活性剤は、グリコール酸及び乳酸を含むα-ヒドロキシ酸(AHA);β-ヒドロキシ酸、例えば、サリチル酸;過酸化ベンゾイル;ヒドロキシキノリン;硫黄;抗生物質、例えば、テトラサイクリン、ダプゾン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、エリスロマイシン、クリンダマイシンなど;アゼライン酸;レチノイド;イソトレチノイン;トレチノイン、イソトレチノイン、モトレチニド、アダパレン、及びタザロテンを含むビタミンA由来の局所用レチノイド;ニコチンアミド;アラントイン;及び植物抽出物からなる群より選択される。
【0058】
d)抗老化活性剤
抗ざ瘡活性剤として使用される多くの角質溶解剤が、抗老化活性剤としても知られている。特に、α-及びβ-ヒドロキシ酸、並びにレチノイド及びレチノイン酸がある。
【0059】
他の種類の抗老化活性剤としては、ビタミン類、タンパク質加水分解物、ペプチド及び修飾ペプチド、β-グルカン、並びに植物抽出物が含まれる。
【0060】
e)ビタミン類
本発明によれば、使用するのが好ましいビタミンB群のビタミン類、プロビタミン類、又はビタミン前駆体類、或いはそれらの誘導体、及び2-フラノン誘導体としては、特に、下記のものが含まれる:
ビタミンB1、慣用名チアミン、化学名3-[(4'-アミノ-2'-メチル-5'-ピリミジニル)メチル]-5-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチルチアゾリウムクロリド、
ビタミンB2、慣用名リボフラビン、化学名7,8-ジメチル-10-(1-D-リビチル)-ベンゾ[g]プテリジン-2,4(3H,10H)-ジオン。リボフラビンは、例えばホエイ中に遊離型で生じ、他のリボフラビン誘導体は、細菌及び酵母から単離することができる。本発明によれば、同様に適するリボフラビン立体異性体としては、魚粉又は魚の肝臓から単離することができ、D-リビチル基の代わりにD-アラビチル基を有するリキソフラビンがある。
ビタミンB3。化合物ニコチン酸及びニコチンアミド(ナイアシンアミド)がこの名称で挙げられることが多い。本発明によれば、ニコチンアミドが好ましい。
ビタミンB5(パントテン酸及びパンテノール)。パンテノールを使用するのが好ましい。本発明に従って使用することができるパンテノール誘導体としては、具体的には、パンテノールのエステル及びエーテル、並びにカチオン誘導体化パンテノールがある。本発明の更なる好ましい実施形態において、パントテン酸又はパンテノールに加え、2-フラノン誘導体を使用することもできる。特に好ましい誘導体としては、商業的に入手可能な物質でもある、慣用名パントラクトン(Merck)であるジヒドロ-3-ヒドロキシ-4,4-ジメチル-2(3H)フラノン、4-ヒドロキシメチル-ブチロラクトン(Merck)、3,3-ジメチル-2-ヒドロキシ-ブチロラクトン(Aldrich)、及び2,5-ジヒドロ-5-メトキシ-2-フラノン(Merck)があり、すべての立体異性体も明白に含まれる。
これらの化合物は、有利なことに、本発明による皮膚用化粧品に水分補給特性及び皮膚鎮静化特性を与える。
ビタミンB6、これは、一定の物質ではないが、慣用名ピリドキシン、ピリドキサミン、及びピリドキソールで知られている、5-ヒドロキシメチル-2-メチルピリジン-3-オールの誘導体類であると理解される。
ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンH又は「皮膚ビタミン」とも称される。ビオチンは、(3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロチエノール[3,4-d]イミダゾール-4-吉草酸である。
【0061】
本発明によれば、ビタミン類としては、パンテノール、パントラクトン、ニコチンアミド、及びビオチンが特に好ましい。
【0062】
f)毛髪調節剤
毛髪調節剤は下記のものを含む:
-新しい毛周期の成長を誘発し、成長速度を高め、又は毛幹径を増加させる、毛髪成長刺激剤;
-例えば、毛髪量、毛髪の光沢、並びに毛髪の強度及び毛髪の厚さを増加させるような、毛髪に効果を有する薬剤;
-毛包に効果を有する薬剤、及び
-毛髪成長阻害剤。
【0063】
効果的な毛髪調節剤であるためには、通常は毛根まで経皮的及び経毛包的に浸透する必要があり、そのため、浸透促進剤を添加すると、毛髪調節剤の効果は直接高められる。
【0064】
大部分の毛髪調節剤は、脱毛を防止し、遅延させる、毛髪成長刺激活性剤である。毛髪成長刺激活性剤を用いた薬物治療は、多くの場合、ミノキシジル、フィナステリド、デュタステリド、ビカルタミド、フルタミド、プロゲステロン誘導体、又はプレグナン誘導体を含むがこれらに限定されない薬物の使用に関連する。
【0065】
化粧品組成物に使用される他の毛髪成長刺激物質としては、亜鉛及び亜鉛塩、不飽和脂肪酸、プロシアニジンオリゴマー、γ-リノレン酸、ビオチン、胎盤抽出物、パントテン酸及びそれらの誘導体、プロスタグランジン、例えば、ビマトプロスト、メチルアミドジヒドロノルアルファプロスタール(methylamido dihydro noralfaprostal)、及び/又はタフルプロスト;マグネシウム、アラントイン、テオフィリン、並びに大麦、ブドウ種子、リンゴ種子、ノコギリヤシ(saw palmetto)、ウバウルシ、緑茶、プロポリス、エゾウコギ根(eleuthero root)、松樹皮由来の抽出物を含むが、これらに限定されない植物抽出物がある。
【0066】
プリン及びプリン誘導体は、脱毛を減少させることが知られている。
【0067】
例えば、脱毛症の治療のための、既知の頭皮血液循環促進剤としては、アセチルコリン誘導体、ニコチン酸誘導体、コショウ由来の植物抽出物、朝鮮人参(ginseng)由来の植物抽出物、センブリ(swertia herb)由来の植物抽出物を含むが、これらに限定されない。
【0068】
毛包に効果を有する適切な薬剤としては、タウリン及びタウリン誘導体、或いはL-カルニチン又はL-カルニチン誘導体がある。
【0069】
毛髪成長阻害剤は、主に美容上の理由で使用される。それらは、ナイアシンアミド、チアゾリジノン誘導体、プロテインキナーゼC阻害剤、オルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤、トリヒドロキシプリン塩;Pilinhib(登録商標)(BASF Beauty Care Solutions)として販売されている、ダイズタンパク質加水分解物、尿素、サリチル酸、ヤナギ(willow)抽出物、ハマメリス抽出物、アルニカ抽出物、オトギリソウ(hypericum)抽出物、セイヨウシロヤナギ(salix alba)抽出物、及びメントールの組み合わせを含むがこれらに限定されない。
【0070】
g)脱臭剤又は制汗剤
化粧品脱臭剤は、体臭を打ち消し、マスキングし、又は除去する。アポクリン発汗時の皮膚細菌の影響のために、不快な臭気を有する分解産物の形成と共に、体臭が生じる。従って、脱臭剤は、抗微生物剤、臭気吸収剤、及び/又は酵素阻害剤として作用する活性成分を含む。
【0071】
適切な抗微生物剤としては、基本的に、グラム陽性菌に対して効果的なすべての物質であり、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸並びにその塩及びエステル、N-(4-クロロフェニル)-N'-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2'-メチレンビス(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-1,2-プロパンジオール、3-ヨード-2-プロポニルブチルカルバマート、クロルヘキシジン、3,4,4'-トリクロロカルバニリド(TTC)、抗細菌芳香剤、チモール、タイム油、オイゲノール、チョウジ(clove)油、メントール、ミント油、ファルネソール、フェノキシ-エタノール、グリセロールモノカプラート、グリセロールモノカプリラート、グリセロールモノラウラート(GML)、ジグリセロールモノカプラート(DMC)、サリチル酸N-アルキルアミド、例えば、N-オクチルサリチルアミド又はN-デシルサリチルアミドなどがある。
【0072】
適切な酵素阻害剤としては、例えば、エステラーゼ阻害剤がある。これらの阻害剤としては、好ましくは、クエン酸トリアルキル、例えば、クエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチル、具体的には、クエン酸トリエチル(Hydagen(登録商標)CAT)がある。この物質は酵素活性を阻害し、それによって、臭気の発生を低下させる。適切なエステラーゼ阻害剤である他の物質としては、硫酸ステロール又はリン酸ステロール、例えば、ラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロール、及びシトステロールの硫酸エステル又はリン酸エステルなど、ジカルボン酸及びそのエステル、例えば、グルタル酸、グルタル酸モノエチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸、アジピン酸モノエチル、アジピン酸ジエチル、マロン酸、及びマロン酸ジエチルなど、ヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、又は酒石酸ジエチルなど、並びにグリシン酸亜鉛がある。
【0073】
適切な臭気吸収剤とは、臭気発生化合物を吸収し、十分に保持することができる物質である。それらは各構成成分の分圧を低下させ、それにより、各構成成分の拡散速度も減少させる。この過程において重要なことは、香料が弱められないように保持されなくてはならないことである。臭気吸収剤は、細菌に対して効果がない。それらは、例えば、主成分として、リシノール酸の亜鉛錯塩、或いは「保留剤」として当業者に既知の、特定の大部分の臭気中和芳香剤、例えばラダナム若しくはエゴノキ(styrax)の抽出物、又はある種のアビエチン酸誘導体などを含む。臭気マスキング剤としては、芳香剤又は香油があり、その臭気マスキング剤としての機能に加えて、それぞれの香調(fragrance note)を脱臭剤に与える。香油として挙げることができるものは、例えば、天然及び合成の芳香剤の混合物である。天然芳香剤としては、花、茎及び葉、果実、果皮、根、木、ハーブ及び草、針状葉及び枝、並びに樹脂及びバルサムに由来する抽出物がある。また、動物原材料、例えば、ジャコウネコ及びカストリウムなども適する。典型的な合成芳香化合物としては、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、及び炭化水素型の製品がある。エステル型の芳香化合物としては、例えば、酢酸ベンジル、p-tert-ブチルシクロヘキシルアセタート、酢酸リナリル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、アリルシクロヘキシルプロピオナート、プロピオン酸スチラリル、及びサリチル酸ベンジルがある。エーテル類は、例えば、ベンジルエチルエーテルを含み、アルデヒド類は、例えば8〜18個の炭素原子を有する直鎖状アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシ-アセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアール、及びボルゲオナールを含み、ケトン類は、例えば、イオノン及びメチルセドリルケトンを含み、アルコール類は、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、及びテルピネオールを含み、炭化水素類は、主に、テルペン及びバルサムを含む。しかしながら、心地よい香調を共に作り出す、異なる芳香剤の混合物を使用することが好ましい。芳香成分として主に使用される、比較的低揮発性の精油も、香油として適し、例えば、セージ油、カミツレ(camomile)油、チョウジ油、メリッサ油、ミント油、桂皮葉油(cinnamon leaf oil)、シナノキ花油(linden blossom oil)、杜松実(juniper berry)油、ベチベルソウ油、乳香(olibanum)油、ガルバヌム油、ラブダナム油、及びラバンジン油などがある。ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイスアンブレン・フォルテ(boisambrene forte)、アンブロキサン(ambroxan)、インドール、ヘジオン、サンデリス(sandelice)、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコラート、シクロベルタール(cyclovertal)、ラバンジン油、オニサルビア(clary sage)油、ダマスコン、ゼラニウム油バーボン、サリチル酸シクロヘキシル、イソ-E-スーパー(iso-E-super)、フィクソリド(Fixolide) NP、エベルニル、イラルデイン(iraldein)ガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラート(romilat)、イロチル(irotyl)、及びフロラマート(floramat)を単独で又は混合物として使用するのが好ましい。
【0074】
制汗剤
制汗剤は、エクリン汗腺の活性に作用することによって、汗の産生を減少させ、そのため、脇の下の湿気及び体臭が打ち消される。制汗剤の水性製剤又は無水製剤は、通常、収斂性活性成分を含む。
【0075】
収斂性制汗活性成分としては、主に、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、又は亜鉛塩がある。このような適切な発汗抑制(antihydrotic)活性成分としては、例えば、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロヒドラート、アルミニウムジクロロヒドラート、アルミニウムセスキクロロヒドラート、及びそれらの錯体化合物、例えば、1,2-プロピレングリコールとの錯体化合物、アルミニウムヒドロキシアラントイナート、アルミニウムクロリドタルトラート、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドラート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドラート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドラート、及びそれらの錯体化合物、例えば、グリシンなどのアミノ酸との錯体化合物がある。
【0076】
化粧品組成物及び/又は医薬組成物
本発明による浸透促進剤は、化粧品組成物又は他の局所用組成物、好ましくはエマルション型の組成物で使用され、最も好ましくは、カプリロイルアラニンエチルエステルは、W/O型エマルションで浸透促進剤として使用される。これらの化粧品組成物又は他の局所用組成物は、浸透促進剤を、少なくとも1つの成分と組み合わせて含むが、その少なくとも1つの成分は、浸透促進剤とは異なり、且つ、化粧活性化合物、乳化剤、界面活性剤、保存料、香油、増粘剤、ヘアポリマー、ヘア及びスキンコンディショナー、グラフトポリマー、水溶性又は分散性のシリコーン含有ポリマー、ゲル化剤、ケア剤、カラーリング剤、着色剤、染料、顔料、稠度付与剤(agents for imparting consistency)、保湿剤、リオイリング剤(re-oiling agent)、コラーゲン、タンパク質加水解物、脂質、抗酸化剤、消泡剤、帯電防止剤、皮膚軟化剤、及び柔軟剤より選択される。
【0077】
抗酸化剤は、有利には、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びそれらの誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)及びそれらの誘導体、ペプチド、例えば、D,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシン及びそれらの誘導体(例えばアンセリン)、カロチノイド、カロテン(例えば、β-カロテン、リコペン)、及びそれらの誘導体、クロロゲン酸及びそれらの誘導体、リポ酸(liponic acid)及びそれらの誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピル-チオウラシル、及び他のチオール類(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、並びにそれらのグリコシルエステル、N-アセチルエステル、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、アミルエステル、ブチルエステル及びラウリルエステル、パルミトイルエステル、オレイルエステル、γ-リノレイルエステル、コレステリルエステル、及びグリセリルエステル)並びにそれらの塩、ジラウリルチオジプロピオナート、ジステアリルチオジプロピオナート、チオジプロピオン酸、及びそれらの誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド、及び塩)、並びに、極めて低い耐性用量(例えばpmol〜μmol/kg)のスルホキシイミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-及びヘプタ-チオニンスルホキシイミン)、更に、(金属)キレート化剤(例えばα-ヒドロキシ-脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、及びそれらの誘導体、不飽和脂肪酸及びそれらの誘導体(例えば、γ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸及びそれらの誘導体、ユビキノン及びユビキノール並びにそれらの誘導体、ビタミンC及びそれらの誘導体(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルMg、酢酸アスコルビル)、トコフェロール及び誘導体(例えば、酢酸ビタミンE、トコトリエノール)、ビタミンA及び誘導体(ビタミンAパルミタート)、並びにベンゾイン樹脂のコニフェリルベンゾアート、ルチン酸及びそれらの誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデン、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイアック樹脂酸、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びそれらの誘導体、マンノース及びそれらの誘導体、亜鉛及びそれらの誘導体(例えばZnO、ZnSO
4)、セレン及びそれらの誘導体(例えばセレンメチオニン)、並びにスチルベン及びそれらの誘導体(例えばスチルベンオキシド、トランス-スチルベンオキシド)からなる群より選択される。