(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
イソブチレン及び/又はtert−ブチルアルコールと酸素とからメタクロレインを得る第一反応器と、メタクロレイン及び酸素を反応させてメタクリル酸を得る第二反応器と、
前記第一反応器及び前記第二反応器を接続する第一ラインと、
前記第一ラインに接続され、前記第一ラインに酸素を15質量%以上含む流を供給する第二ラインと、
前記第一ラインに接続され、前記第一ラインにメタクロレインを含む流を供給する第三ラインと、を備え、
前記第二ラインが第一の加熱手段を有し、
前記第一ライン及び前記第三ラインの接続部が、前記第一反応器と、前記第一ライン及び前記第二ラインの接続部との間に配置されており、
前記第三ラインが第二の加熱手段を有し、
前記第一の加熱手段は、前記第一ライン及び前記第二ラインの前記接続部に供給される前記流の温度が180℃以上となるように、前記流を加熱する手段であり、
前記第二の加熱手段は、前記第一ライン及び前記第三ラインの前記接続部に供給される前記流の温度が180℃以上となるように、前記流を加熱する手段である、メタクリル酸の製造装置。
イソブチレン及び/又はtert−ブチルアルコールと酸素とを含む流(F10)を、第一反応器に供給して反応させ、前記第一反応器からメタクロレインを含む流(F11)を得る工程と、
流(F11)に、メタクロレインを含む流(F23)を混合した後、酸素を15質量%以上含む流(F22)を混合して、流(F21)を得る工程と、
流(F21)を第二反応器に供給して反応させ、前記第二反応器からメタクリル酸を含む流(F30)を得る工程と、を含み、
流(F23)は、前記第二反応器からのリサイクル流であり、
流(F11)に混合する前に、流(F22)は180℃以上に加熱され、流(F23)は180℃以上に加熱される、メタクリル酸の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、イソブチレンとは2−メチルプロペンを指す。
【0012】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係るメタクリル酸の製造装置100について説明する。
図1は、本実施形態のメタクリル酸の製造装置の一例を示す図である。
【0013】
この製造装置100は、イソブチレン及び/又はTBAと酸素とを含むガスの供給源(S0)、酸素を15質量%以上含む流の供給源(S1)、第一反応器10、第二反応器20、加熱手段22a及び23a、ガスミキサー50b、コンプレッサー55並びに分離手段60を備える。
【0014】
第一反応器10は、イソブチレン及び/又はTBAと酸素とからメタクロレインを得る反応器である。第一反応器10は、容器内に触媒が充填された反応器であることが好適である。第一反応器10は、容器内に触媒を充填した固定床反応装置であることができる。流の向きに制限はなく、アップフローでもダウンフローでもよい。イソブチレン及び/又はTBAと酸素とからメタクロレインを合成する反応に用いられる触媒の例は、モリブデン及びビスマスを含む金属酸化物である。
【0015】
イソブチレンと酸素とからメタクロレインを得る場合、イソブチレンと酸素とが反応して、これによりメタクロレインが生成する。イソブチレンに代えてTBAを用いることも可能である。TBAと酸素とからメタクロレインを得る場合、TBAの脱水反応によりイソブチレンが生成し、生成したイソブチレンと酸素とが反応してメタクロレインが生成するものと考えられる。イソブチレンに代えてTBAを用いることができる理由は、第一反応器10内では、イソブチレンの酸化反応が律速となることにあると考えられる。イソブチレンとTBAとは、併用することもできる。
【0016】
第一反応器10の入口には、イソブチレン及び/又はTBAと酸素とを含むガスの供給源(S0)がラインL10を介して接続されている。
【0017】
第一反応器10の出口には、第一ラインL21が接続されている。また、第一ラインL21は、第二反応器20の入口に接続されている。すなわち、第一反応器10と第二反応器20とは、第一ラインL21により接続されている。第一ラインL21は、第一反応器10の出口から得られる流を、第二反応器20に供給するラインである。
【0018】
第一ラインL21には、酸素を15質量%以上含む流の供給源(S1)が、コンプレッサー55及び第二ラインL22を介して接続されている。第二ラインL22は、第一ラインL21に酸素を15質量%以上含む流(F22)を供給するラインである。第一ラインL21はガスミキサー50bを備え、第二ラインL22はガスミキサー50bに接続されている。
【0019】
第二ラインL22は、加熱手段22aを有している。加熱手段22aの例は、熱交換器である。
【0020】
加熱手段22aは、流(F22)を加熱する手段である。加熱手段22aは、製造装置内への析出物の付着の観点から、第一ラインL21と第二ラインL22との接続部50b
mに供給される流(F22)の温度が、好ましくは180℃以上、より好ましくは185℃以上、更に好ましくは190℃以上となるように、流(F22)を加熱する。接続部50b
mに供給される流(F22)の温度は、例えば、290℃以下、260℃以下、又は220℃以下であってもよい。接続部50b
mに供給される流(F22)の温度は、180〜290℃であることが好ましく、185〜260℃であることがより好ましく、190〜220℃であることが更に好ましい。
【0021】
第一ラインL21の第一反応器10とガスミキサー50bとの間の位置には、メタクロレインを含むリサイクル流(F23)を第一ラインL21に供給する第三ラインL23が接続されている。すなわち、第一ラインL21及び第三ラインL23の接続部23bは、第一反応器10と、第一ラインL21及び第二ラインL22の接続部50b
mとの間に配置されている。ここで、第三ラインL23は、後述の分離手段60と接続されている。
【0022】
第三ラインL23は、加熱手段23aを有している。加熱手段23aの例は、熱交換器である。
【0023】
加熱手段23aは、流(F23)を加熱する手段である。加熱手段23aは、製造装置内への析出物の付着の観点から、第一ラインL21と第三ラインL23との接続部23bに供給される流(F23)の温度が、好ましくは180℃以上、より好ましくは185℃以上、更に好ましくは190℃以上となるように、流(F23)を加熱する。接続部23bに供給される流(F23)の温度は、例えば、285℃以下、250℃以下、又は220℃以下であってもよい。接続部23bに供給される流(F23)の温度は、180〜285℃であることが好ましく、185〜250℃であることがより好ましく、190〜220℃であることが更に好ましい。
【0024】
第二反応器20は、メタクロレイン及び酸素を反応させてメタクリル酸を得る反応器である。第二反応器20は、容器内に触媒が充填された反応器であることが好適である。第二反応器20は、容器内に触媒を充填した固定床反応装置であることができる。流の向きに限定はなく、アップフローでもダウンフローでもよい。メタクロレイン及び酸素からメタクリル酸を合成する反応に用いられる触媒の例は、リン及びモリブデンを含むヘテロポリ酸化合物である。
【0025】
第二反応器20は、ラインL30を介して分離手段60に接続されている。
【0026】
分離手段60は、第一の出口から一酸化炭素、軽質成分及び酸素を含む流(F35)を、第二の出口からメタクリル酸及び重質成分を含む流(F31)を、第三の出口からメタクロレインを含む流(F23)を、それぞれ排出する。第一の出口にはラインL35が、第二の出口にはラインL31が、第三の出口には第三ラインL23が、それぞれ接続されている。上述のとおり、第三ラインL23は、第一ラインL21に接続されている。
【0027】
分離手段60としては、例えば、蒸留塔、抽出塔及びこれらの組み合わせが挙げられる。分離手段60が、1つの蒸留塔からなる場合、ラインL35は蒸留塔の上部に、ラインL31は蒸留塔の下部に、第三ラインL23は蒸留塔の側面に、それぞれ設けられることが好ましい。
【0028】
続いて、本実施形態に係るメタクリル酸の製造方法について説明する。
【0029】
(供給源)
イソブチレン及び/又はTBAと酸素とを含むガスの供給源(S0)としてのイソブチレン及び/又はTBAと酸素とを含む流(F10)を用意する。また、酸素を15質量%以上含む流の供給源(S1)としての酸素を15質量%以上含む流(F22)を準備する。
【0030】
流(F10)は、イソブチレン、TBA及び酸素以外の成分を含んでいてもよい。イソブチレン、TBA及び酸素以外の成分としては、例えば、イソプレン等のC5オレフィン類、イソブタン、1−ブテン、2−ブテン(シス, トランス)、プロパン、プロピレン、n−ブタン、メチル−tert−ブチルエーテル、メタノール、ジメチルエーテル、ブタジエン、プロパジエン、ジイソブチレン、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、水及びアルゴンが挙げられる。
【0031】
流(F10)中のイソブチレン及び/又はTBAの濃度は、イソブチレン及びTBAの濃度の合計で、例えば、1質量%以上、2質量%以上、又は4質量%以上である。流(F10)中のイソブチレン及びTBAの濃度の合計は、例えば、21質量%以下、19質量%以下、又は17質量%以下である。流(F10)中のイソブチレン及びTBAの濃度の合計は、好ましくは1〜21質量%であり、より好ましくは2〜19質量%であり、更に好ましくは4〜17質量%である。
【0032】
流(F10)中の酸素濃度は、例えば、7質量%以上、8質量%以上、又は10質量%以上である。流(F10)中の酸素濃度は、例えば、24質量%以下、23質量%以下、又は21質量%以下である。流(F10)中の酸素濃度は、好ましくは7〜24質量%であり、より好ましくは8〜23質量%であり、更に好ましくは10〜21質量%である。
【0033】
流(F22)中の酸素の濃度は、15質量%以上である。流(F22)中の酸素の濃度は、好ましくは16質量%以上であり、より好ましくは17質量%以上であり、更に好ましくは20質量%以上である。流(F22)中の酸素の濃度の上限は、例えば、35質量%とすることができる。流(F22)中の酸素の濃度は、例えば、30質量%以下であってもよく、25質量%以下であってもよい。流(F22)中の酸素濃度は、好ましくは16〜35質量%であり、より好ましくは17〜30質量%であり、更に好ましくは18〜25質量%である。
【0034】
(反応工程)
流(F10)を第一反応器10に供給し、第一反応器10において流(F10)中のイソブチレン及び酸素を反応させる。イソブチレン及び酸素の反応により得たメタクロレインを含む流(F11)は、第一ラインL21より排出させる。
【0035】
第一反応器10の反応温度は、300〜400℃とすることができる。第一反応器10の反応圧力は、0.004〜0.6MPaG(ゲージ圧)とすることができる。
【0036】
第一反応器10から排出された流(F11)には、第三ラインL23を介してメタクロレインを含むリサイクル流(F23)を混合した後、第二ラインL22を介して、酸素を15質量%以上含む流(F22)を混合する。これにより、得られた流(F21)を、第一ラインL21を介して第二反応器20に供給する。
【0037】
流(F23)及び流(F22)は、それぞれ、流(F11)に混合する前に、加熱手段23a及び22aにより加熱される。加熱後の流(F23)及び流(F22)の好ましい温度範囲は上述のとおりである。
【0038】
流(F23)中のメタクロレインの濃度は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、更に好ましくは7質量%以上である。(F23)中のメタクロレインの濃度は、好ましくは32質量%以下であり、より好ましくは23質量%以下であり、更に好ましくは16質量%以下である。流(F23)中のメタクロレインの濃度は、0.1〜32質量%であってもよく、3〜23質量%であってもよく、7〜16質量%であってもよい。流(F23)は、メタクロレイン以外の成分を含んでいてもよい。メタクロレイン以外の化合物としては、例えば、窒素、水及び二酸化炭素が挙げられる。
【0039】
第二反応器20では、流(F21)中のメタクロレイン及び酸素を反応させてメタクリル酸を得ると共に、ラインL30を介してメタクリル酸を含む流(F30)を排出させる。
【0040】
流(F30)は、通常、未反応のメタクロレインを含む。流(F30)は、メタクリル酸及びメタクロレイン以外の成分を含み得る。このような成分としては、例えば、アクリル酸、アクロレイン、一酸化炭素、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、ジアセチル、イソフタル酸、イソ酪酸、メチルフルフラール、酢酸及びプロピオン酸が挙げられる。
【0041】
第二反応器20の反応温度は、200〜350℃とすることができる。第二反応器20における反応圧力は、例えば0.01〜0.3MPaGである。
【0042】
(分離工程及びリサイクル工程)
第二反応器20を出た流(F30)は、ラインL30を介して分離手段60に供する。分離手段60で流を分離し、ラインL35から一酸化炭素、軽質成分及び酸素を含む流(F35)を、ラインL31からメタクリル酸及び重質成分を含む流(F31)を、第三ラインL23からメタクロレインを含む流(F23)を、それぞれ抜き出す。
【0043】
メタクロレインを含む流(F23)は、第三ラインL23を介して第一ラインL21にリサイクルされる。
【0044】
メタクリル酸の製造装置100は、イソブチレン及び/又はTBAと酸素とからメタクロレインを得る第一反応器10と、メタクロレイン及び酸素を反応させてメタクリル酸を得る第二反応器20と、第一反応器10及び第二反応器20を接続する第一ラインL21と、第一ラインL21に接続され、第一ラインL21に酸素を15質量%以上含む流(F22)を供給する第二ラインL22と、を備え、第二ラインL22が加熱手段22aを有する。これにより、製造装置内への析出物の付着が抑制される。このような装置において、製造装置内への析出物の付着が抑制される理由を発明者らは以下のように推測している。
【0045】
第一反応器10の出口のガスには、重質成分が含まれ、温度が低下すると、これが凝縮して析出し、製造装置内に付着するものと考えられる。これに対して、第二ラインL22が加熱手段22aを有すると、第一ラインL21と第二ラインL22との接続部50b
mにおける温度低下を防ぎ易いことから、重質成分の凝縮を低減でき、製造装置内への析出物の付着を抑制できると考えられる。
【0046】
また、メタクリル酸の製造装置100は、第一ラインL21に接続され、第一ラインL21にメタクロレインを含む流(F23)を供給する第三ラインL23を備え、第一ラインL21及び第三ラインL23の接続部23bが、第一反応器10と、第一ラインL21及び第二ラインL22の接続部50b
mとの間に配置されており、第三ラインL23が加熱手段23aを有する。これにより、製造装置内への析出物の付着が更に抑制される。このような装置によれば、酸素を15質量%以上含む流(F22)が混合されるより前に、第一ラインL21内の流の温度を高めることができることから、接続部50b
mにおける析出物の付着を更に抑制できると考えられる。
【0047】
本発明は、上記実施形態に限られず、様々な変形態様が可能である。
【0048】
例えば、第一反応器10及び第二反応器20は、それぞれ、複数の単位反応器を直列又は並列に接続したものであることができる。また、各ラインに、更に、蒸留塔、抽出塔等の分離精製手段を追加してもよい。
【0049】
ガスミキサー50bは、省略することもできる。この場合、第二ラインL22は、第一ラインL21の配管に直接接続されることができる。
【0050】
また、第三ラインL23はあってもなくてもよい。メタクリル酸の製造装置100において、第三ラインL23は分離手段60に接続されているが、第三ラインL23は分離手段60に接続されていなくてもよい。すなわち、第三ラインL23を介して第一ラインL21に供給される流は、リサイクル流でなくてもよい。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0052】
(実施例1)
図1に示すメタクリル酸の製造装置100と同様の装置を用いてメタクリル酸を得た。第一反応器10としては内径18mmのガラス製反応管を用い、MoBi系の複合酸化物触媒を9.0g充填した。第一反応器10内にイソブチレン/酸素/窒素/スチーム=1/2.2/6.2/2.0(モル比)の混合ガス(イソブチレンを16.67質量%、酸素を20.95質量%、窒素を51.67質量%、スチームを10.71質量%含む混合ガス)を88.7mL/分(STP基準)の流量で供給し、第一反応器の反応温度は350℃、第一反応器10の出口圧力は16kPaGとした。第一反応器10の出口における流の組成及び流量、接続部50b
mに供給される流(F22)及び接続部23bに供給される流(F23)の組成及び流量、並びに第二反応器20入口における流の流量及び組成を表1に示す。2段反応器の未反応メタクロレインをリサイクルすることを想定した組成にて流(F23)から表1に示す組成比にてメタクロレインを含むガスを供給した。第二ラインL22及び第三ラインL23の一部に石英砂を充填し、石英砂充填箇所に熱電対を設置し、テープヒーターを巻き、任意の温度に調整できるようにした。この部位を加熱手段22a及び23aとする。
【0053】
【表1】
【0054】
表中の略号は、下記化合物を示す。
IB:イソブチレン
MACR:メタクロレイン
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
ACD:酢酸
LB:軽質成分
HB:重質成分
【0055】
ガスミキサー50bとしては、3mmΦのアルミナボールを充填した配管を用いた。第一反応器10の出口における流(F11)の温度(第一反応器10の出口温度)は、285℃であった。接続部50b
mに供給される流(F22)の温度(流(F22)の供給温度)は200℃とし、接続部23bに供給される流(F23)の温度(流(F23)の供給温度)は200℃とした。ガスミキサー50b内の温度は250℃であった。10時間反応を継続したところ、第一反応器10の出口圧力は16kPaGのままであった。また、ガスミキサー50b内のアルミナボールを目視で観察することで、析出物の付着の有無を確認した。析出物の付着状態を下記の基準に従って評価したところ、評価結果は「A」であった。
A:析出物の付着は全く又はほとんど認められなかった。
B:析出物の付着はうっすらとしか認められなかった。
C:析出物がはっきりと認められた。
D:析出物が著しく認められた。
【0056】
(比較例1)
第二ラインL22が加熱手段22aを有しないこと、及び第三ラインL23が加熱手段23aを有せず、第三ラインL23内の流の温度を70℃に保持したこと以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸を製造した。第一反応器10の出口温度は285℃であり、流(F22)の供給温度は30℃であり、流(F23)の供給温度は70℃であった。ガスミキサー50b内の温度は196℃であった。5時間反応を行った時点で第一反応器10の出口圧力は16kPaGから24kPaGまで上昇した。また、ガスミキサー50b内のアルミナボールへの析出物の付着状態を実施例1と同様に評価したところ、評価結果は「D」であった。
【0057】
(比較例2)
第二ラインL22が加熱手段22aを有しないこと以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸を製造した。第一反応器10の出口温度は285℃であり、流(F22)の供給温度は30℃であった。流(F23)の供給温度は200℃とした。ガスミキサー50b内の温度は223℃であった。10時間反応を行った時点で第一反応器10の出口圧力は16kPaGから24kPaGまで上昇した。また、ガスミキサー50b内のアルミナボールへの析出物の付着状態を実施例1と同様に評価したところ、評価結果は「C」であった。
【0058】
(実施例2)
第三ラインL23が加熱手段23aを有せず、第三ラインL23内の流の温度を70℃に保持したこと、及び加熱手段22aにおける加熱温度を変更したこと以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸を製造した。第一反応器10の出口温度は285℃であった。流(F22)の供給温度は290℃とした。流(F23)の供給温度は70℃であり、ガスミキサー50b内の温度は241℃であった。10時間反応を行った時点で、第一反応器10の出口圧力は16kPaGのままであった。また、ガスミキサー50b内のアルミナボールへの析出物の付着状態を実施例1と同様に評価したところ、評価結果は「B」であった。
【0059】
(実施例3)
加熱手段22aにおける加熱温度を変更したこと以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸を製造した。第一反応器10の出口温度は285℃であった。流(F22)の供給温度は290℃とし、流(F23)の供給温度は200℃とした。ガスミキサー50b内の温度は267℃であった。10時間反応を行った時点で、第一反応器10の出口圧力は16kPaGのままであった。また、ガスミキサー50b内のアルミナボールへの析出物の付着状態を実施例1と同様に評価したところ、評価結果は「A」であった。
【0060】
結果のまとめを、表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
以上のとおり、本実施形態のメタクリル酸の製造装置によれば、製造装置内への析出物の付着が抑制できることを確認した。
【解決手段】イソブチレン及び/又はTBAと酸素とからメタクロレインを得る第一反応器と、メタクロレイン及び酸素を反応させてメタクリル酸を得る第二反応器と、第一反応器及び第二反応器を接続する第一ラインと、第一ラインに接続され、第一ラインに酸素を15質量%以上含む流を供給する第二ラインと、を備え、第二ラインが加熱手段を有する、メタクリル酸の製造装置。