特許第6574404号(P6574404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574404
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】ヒートシンク構造
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   F28D15/02 101N
   F28D15/02 101A
   F28D15/02 101H
   F28D15/02 L
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-131802(P2016-131802)
(22)【出願日】2016年7月1日
(65)【公開番号】特開2018-4164(P2018-4164A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2017年2月1日
【審判番号】不服2018-10256(P2018-10256/J1)
【審判請求日】2018年7月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 義勝
(72)【発明者】
【氏名】青木 博史
(72)【発明者】
【氏名】川畑 賢也
【合議体】
【審判長】 紀本 孝
【審判官】 藤原 直欣
【審判官】 大屋 静男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−106793(JP,A)
【文献】 特開平8−86578(JP,A)
【文献】 特開平10−267571(JP,A)
【文献】 特開2005−32771(JP,A)
【文献】 特開2003−68957(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0297355(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/058966(WO,A1)
【文献】 特開2000−161878(JP,A)
【文献】 特開2010−92977(JP,A)
【文献】 特開2003−336976(JP,A)
【文献】 特開2012−141082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/02
H01L 23/34-23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発熱体上に載置されることで該複数の発熱体と熱的に接続され、前記複数の発熱体と熱的に接続する受熱部以外の平面部が、放熱部として機能する平面型ヒートパイプと、管状ヒートパイプと、を備え、該平面型ヒートパイプの放熱部として機能する、該平面型ヒートパイプの平面状である周縁部に、該管状ヒートパイプの一方の端部が受熱部として熱的に接続されたヒートシンク構造であり、
前記管状ヒートパイプの受熱部が、扁平加工されており、平面視において平面型ヒートパイプに沿って延在し、
前記管状ヒートパイプの放熱部に放熱フィンが設けられ、
前記管状ヒートパイプは、平面視において前記複数の発熱体と重なり合わない部位に位置し、前記放熱フィンと前記平面型ヒートパイプとの間に送風ファンが配置され、前記送風ファンの冷却風により、前記放熱フィンと前記平面型ヒートパイプが冷却されるヒートシンク構造。
【請求項2】
前記管状ヒートパイプが、前記平面型ヒートパイプよりも前記複数の発熱体の方向に配置される請求項1に記載のヒートシンク構造。
【請求項3】
前記複数の発熱体のうち、高さ方向の寸法が小さい前記発熱体と前記平面型ヒートパイプとの間に熱伝導性部材が挿入されている請求項1または2に記載のヒートシンク構造。
【請求項4】
前記放熱フィン及び/または前記管状ヒートパイプの放熱部が、送風ファンの冷却風により冷却される請求項1乃至のいずれか1項に記載のヒートシンク構造。
【請求項5】
前記平面型ヒートパイプに付勢部材が設けられ、該付勢部材が、前記発熱体の支持部材に固定される請求項1乃至4のいずれか1項に記載のヒートシンク構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭小な内部空間、例えば、厚さ方向の寸法が小さい内部空間に設置された複数の発熱体に対する冷却性能に優れたヒートシンク構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気・電子機器に搭載されている半導体素子等の電子部品は、高機能化に伴う高密度搭載等により、発熱量が増大し、近年、その冷却がより重要となっている。また、電気・電子機器の小型化、薄型化等により、電気・電子機器の筐体の内部空間が、ますます、狭小化している。狭小化した内部空間に設置された電子部品の冷却手段として、平面型ヒートパイプが使用されることがある。
【0003】
厚さ方向の寸法が小さい内部空間に設置された電子部品の冷却構造として、筐体内に設けられた第1の発熱体と、筐体内に設けられたヒートシンクと、第1の押圧部材と、第1の発熱体に対向した第1の部分と第1の発熱体から外れた第2の部分とを有し、第1の押圧部材の押圧で撓む平板状の第1のヒートパイプと、第1のヒートパイプの第2の部分と、ヒートシンクとに接続された管状のコンテナを有する第2のヒートパイプを備えた冷却構造が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、特許文献1では、筐体内に第2の発熱体が設けられている場合、平板状の第1のヒートパイプに加えて、さらに、第2の発熱体に対向した第1の部分と、第2の発熱体から外れて第2のヒートパイプに接続された第2の部分とを有した平板状の第3のヒートパイプを備えるものである。
【0005】
しかし、特許文献1では、押圧部材の押圧で平板状のヒートパイプを撓ませる、つまり、平面に対して鉛直方向に変形させるので、コンテナの厚さの薄い平板状のヒートパイプでは、その内部空間、特に、厚さ方向の空間が閉塞または狭小化して、ヒートパイプとしての機能である熱輸送特性が損なわれるという問題があった。
【0006】
また、特許文献1では、複数の発熱体を冷却する場合に、それぞれの発熱体に、相互に別体である平板状のヒートパイプが接続され、該平板状のヒートパイプを、それぞれ、管状のコンテナを有する、メインのヒートパイプである第2のヒートパイプに接続される必要がある。よって、発熱体の位置に応じて、平板状のヒートパイプの寸法を調整しなければならず、部品点数が増大すると共に、構造が複雑化するという問題があった。
【0007】
また、特許文献1では、それぞれの発熱体に、相互に別体である平板状のヒートパイプが接続されているので、複数の発熱体の発熱量が異なると、特に、大きな発熱量を有する発熱体が十分に冷却されない場合がある、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−106793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記事情に鑑み、本発明は、平面型ヒートパイプの内部空間の閉塞や狭小化を確実に防止することで、優れた熱輸送特性を有しつつ、簡易な構成にて、狭小化した内部空間に設置された複数の発熱体の冷却を均一化できるヒートシンク構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様は、複数の発熱体上に載置されることで該複数の発熱体と熱的に接続される平面型ヒートパイプと、管状ヒートパイプと、を備え、該平面型ヒートパイプの放熱部が該管状ヒートパイプの受熱部熱的に接続されたヒートシンク構造であって、前記管状ヒートパイプの受熱部が、扁平加工されており、平面視において平面型ヒートパイプに沿って延在しているヒートシンク構造である。
【0011】
上記態様では、平面型ヒートパイプは、複数の発熱体上に載置されることで、該複数の発熱体と熱的に接続され、また、発熱体に固定されている。上記態様では、平面型ヒートパイプのうち、発熱体が熱的に接続された部位が、受熱部として機能する。また、平面型ヒートパイプのうち、管状ヒートパイプが熱的に接続された部位は、放熱部として機能する。管状ヒートパイプのうち、平面型ヒートパイプが熱的に接続された部位は、受熱部として機能する。また、上記態様では、平面型ヒートパイプに複数の発熱体が熱的に接続されるので、複数の発熱体は、1つの平面型ヒートパイプ、すなわち、同じ平面型ヒートパイプに熱的に接続される。
【0012】
本発明の態様は、前記管状ヒートパイプの放熱部に、熱交換手段が設けられているヒートシンク構造である。
【0013】
本発明の態様は、前記熱交換手段が、放熱フィンを有するヒートシンク構造である。
【0014】
本発明の態様は、前記熱交換手段及び/または管状ヒートパイプの放熱部が、送風ファンの冷却風により冷却されるヒートシンク構造である。
【0015】
本発明の態様は、前記平面型ヒートパイプに付勢部材が設けられ、該付勢部材が、前記発熱体の支持部材に固定されるヒートシンク構造である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の態様によれば、平面型ヒートパイプは、複数の発熱体上に載置されることで、該複数の発熱体と熱的に接続されるので、平面型ヒートパイプの内部空間の閉塞や狭小化を確実に防止でき、結果、優れた熱輸送特性を発揮することができる。
【0017】
また、本発明の態様によれば、複数の発熱体が1つの平面型ヒートパイプに熱的に接続されるので、平面型ヒートパイプの部品点数を低減できると共に、構造を簡素化できる。また、本発明の態様によれば、複数の発熱体が1つの平面型ヒートパイプに熱的に接続され、該平面型ヒートパイプが、所定方向に優れた熱輸送特性を有する管状ヒートパイプに熱的に接続されているので、複数の発熱体の発熱量が異なっても、平面型ヒートパイプが各発熱体を均熱化でき、ひいては、各発熱体の冷却を均一化できる。さらに、本発明の態様によれば、発熱体は平面型ヒートパイプに熱的に接続されるので、狭小な内部空間、例えば、厚さ方向の寸法が小さい内部空間に設置された発熱体でも、確実に冷却できる。
【0018】
本発明の態様によれば、管状ヒートパイプの放熱部に熱交換手段が設けられていることにより、管状ヒートパイプの放熱特性が向上し、狭小な内部空間に設置された発熱体でも確実に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態例に係るヒートシンク構造の側面視の説明図である。
図2】本発明の第1実施形態例に係るヒートシンク構造の平面視の説明図である。
図3】本発明の第2実施形態例に係るヒートシンク構造の平面視の説明図である。
図4】本発明の第3実施形態例に係るヒートシンク構造の側面視の説明図である。
図5】(a)図は、本発明の第4実施形態例に係るヒートシンク構造の側面視の説明図、(b)図は、本発明の第4実施形態例に係るヒートシンク構造の平面視の説明図である。
図6】(a)図は、本発明の第5実施形態例に係るヒートシンク構造の側面視の説明図、(b)図は、本発明の第5実施形態例に係るヒートシンク構造の平面視の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンク構造について、図面を用いながら説明する。図1、2に示すように、第1実施形態例に係るヒートシンク構造1は、平面型ヒートパイプ10と、平面型ヒートパイプ10と熱的に接続された管状ヒートパイプ12と、を備えている。ヒートシンク構造1では、平面型ヒートパイプ10の平面型コンテナ11と管状ヒートパイプ12の管状コンテナ13とが直接接することで、平面型ヒートパイプ10と管状ヒートパイプ12とが、熱的に接続されている。
【0021】
また、平面型ヒートパイプ10には、基板102に実装された複数の発熱体(図1では、2つの発熱体、第1の発熱体100と第2の発熱体101)が、熱的に接続されている。すなわち、第1の発熱体100、第2の発熱体101が、同じ平面型ヒートパイプ10に熱的に接続されている。従って、第1の発熱体100、第2の発熱体101が、平面型ヒートパイプ10を介して熱的に接続されている。平面型ヒートパイプ10のうち、第1の発熱体100、第2の発熱体101が熱的に接続された部位が、平面型ヒートパイプ10の受熱部として機能する。
【0022】
また、平面型ヒートパイプ10は、第1の発熱体100、第2の発熱体101に載置されることで第1の発熱体100、第2の発熱体101と熱的に接続され、また、固定されている。
【0023】
なお、ヒートシンク構造1では、第1の発熱体100、第2の発熱体101に直接接するように、平面型ヒートパイプ10が載置されていてもよく、図示しない熱伝導グリースを平面型ヒートパイプ10と第1の発熱体100、第2の発熱体101との間に挿入してもよい。
【0024】
図1、2に示すように、平面型ヒートパイプ10のうち、第1の発熱体100、第2の発熱体101が熱的に接続された部位から所定距離離れた平面型ヒートパイプ10の周縁部に、管状ヒートパイプ12の一方の端部14が熱的に接続されている。ヒートシンク構造1では、1つの管状ヒートパイプ12が、平面型ヒートパイプ10の周縁部に熱的に接続されている。平面型ヒートパイプ10のうち、管状ヒートパイプ12の一方の端部14が熱的に接続された部位が、平面型ヒートパイプ10の放熱部として機能する。
【0025】
平面型ヒートパイプ10と管状ヒートパイプ12とを熱的に接続する方法は、特に限定されず、例えば、平面型ヒートパイプ10の平面型コンテナ11に、管状ヒートパイプ12の管状コンテナ13を、はんだ付け、かしめ等により固定することで、平面型ヒートパイプ10と管状ヒートパイプ12とを熱的に接続することができる。
【0026】
平面型ヒートパイプ10に熱的に接続された管状ヒートパイプ12の一方の端部14が、管状ヒートパイプ12の受熱部として機能する。一方で、管状ヒートパイプ12のうち、一方の端部14以外の部位、すなわち、中央部15と他方の端部16は、平面型ヒートパイプ10と接していない。このうち、管状ヒートパイプ12の他方の端部16が、管状ヒートパイプ12の放熱部として機能する。なお、管状ヒートパイプ12には、平面型ヒートパイプ10と異なり、発熱体は接続されない。なお、管状ヒートパイプ12は、図1、2に示すように、曲げ加工してもよく、直線状の形状にて使用してもよい。また、管状ヒートパイプ12は、熱的接続性を向上させるために、一部または全体を扁平加工してもよい。
【0027】
ヒートシンク構造1では、管状ヒートパイプ12の他方の端部16(すなわち、管状ヒートパイプ12の放熱部)に、熱交換手段として、放熱フィン17が取り付けられている。また、放熱フィン17と平面型ヒートパイプ10との間には、送風ファン103が配置されている。送風ファン103からの冷却風が放熱フィン17へ供給される。
【0028】
ヒートシンク構造1では、複数の放熱フィン17が管状ヒートパイプ12の他方の端部16に取り付けられることで、管状ヒートパイプ12の放熱部から外部環境へ、円滑に熱が放出される。また、放熱フィン17と平面型ヒートパイプ10との間に送風ファン103が配置されていることにより、送風ファン103が稼働することで、放熱フィン17へ冷却風が供給されるだけでなく、平面型ヒートパイプ10から放熱フィン17の方向へ気流が生じて、この気流が、平面型ヒートパイプ10を冷却する冷却風としても機能する。
【0029】
平面型ヒートパイプ10は、平面型コンテナ11と、平面型コンテナ11の内部空間に封入された作動流体(図示せず)と、平面型コンテナ11の内部空間に設けられたウィック構造体(図示せず)とを有している。また、管状ヒートパイプ12は、管状コンテナ13と、管状コンテナ13の内部空間に封入された作動流体(図示せず)と、管状コンテナ13の内部空間に設けられたウィック構造体(図示せず)とを有している。
【0030】
平面型コンテナ11及び管状コンテナ13の材料としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス、チタン等を挙げることができる。また、作動流体としては、平面型コンテナ11及び管状コンテナ13の材料との適合性に応じて、適宜選択可能であり、例えば、水、代替フロン、フロリナート等のフルオロカーボン類、シクロペンタン等を挙げることができる。
【0031】
ウィック構造体としては、銅粉等の金属粉の焼結体、金属メッシュ、ワイヤ、平面型コンテナ11及び管状コンテナ13の内面に形成されたグルーブ等を挙げることができる。
【0032】
冷却対象である発熱体としては、特に限定されないが、基板102(例えば、電子機器に内蔵された回路基板)に実装された中央演算処理装置、グラフィックチップ(GPU、VGA)、メモリー、コンデンサ、電源等を挙げることができる。
【0033】
次に、ヒートシンク構造1の冷却作用の仕組みについて説明する。平面型ヒートパイプ10の受熱部が、第1の発熱体100、第2の発熱体101から受熱すると、平面型ヒートパイプ10の受熱部から、管状ヒートパイプ12の一方の端部14と接続された平面型ヒートパイプ10の放熱部へ、第1の発熱体100、第2の発熱体101からの熱が輸送される。平面型ヒートパイプ10の受熱部以外の平面部が、平面型ヒートパイプ10の放熱部として機能する。平面型ヒートパイプ10の受熱部から放熱部へ輸送された熱の一部は、平面型ヒートパイプ10の放熱部から管状ヒートパイプ12の一方の端部14、すなわち、管状ヒートパイプ12の受熱部へ伝達される。管状ヒートパイプ12の受熱部へ伝達された熱は、管状ヒートパイプ12の他方の端部16、すなわち、管状ヒートパイプ12の放熱部へ輸送され、管状ヒートパイプ12の放熱部から放熱フィン17を介して外部環境へ放出される。
【0034】
つまり、平面型ヒートパイプ10が受熱した第1の発熱体100と第2の発熱体101の熱は、管状ヒートパイプ12によって、放熱フィン17の部位まで輸送されることで、外部環境へ円滑に放出できる。
【0035】
ヒートシンク構造1では、第1の発熱体100及び第2の発熱体101上に載置される状態で、第1の発熱体100及び第2の発熱体101と熱的に接続されるので、平面型ヒートパイプの内部空間の閉塞や狭小化を確実に防止でき、ひいては、優れた熱輸送特性を発揮して、複数の発熱体を確実に冷却することができる。
【0036】
また、ヒートシンク構造1では、複数の発熱体(第1の発熱体100及び第2の発熱体101)が1つの平面型ヒートパイプ10に熱的に接続されるので、平面型ヒートパイプ10の部品点数を低減できるとともに、ヒートシンク構造1を簡素化できる。また、ヒートシンク構造1では、複数の発熱体が1つの平面型ヒートパイプ10に熱的に接続され、平面型ヒートパイプ10が、放熱フィン17の設置部位へ熱を輸送する管状ヒートパイプ12に熱的に接続されているので、複数の発熱体の発熱量が異なっても、平面型ヒートパイプ10が各発熱体を均熱化でき、ひいては、各発熱体の冷却を均一化できる。さらに、ヒートシンク構造1では、各発熱体は平面型ヒートパイプに熱的に接続されるので、狭小な内部空間、例えば、厚さ方向の寸法が小さい内部空間に設置された発熱体でも、確実に冷却できる。
【0037】
次に、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンク構造について、図面を用いながら説明する。本発明の第1実施形態例に係るヒートシンク構造と同じ構成要素については同じ符号を用いて説明する。
【0038】
第1実施形態例に係るヒートシンク構造1では、平面型ヒートパイプ10の周縁部に、管状ヒートパイプ12が1つ、熱的に接続されていたが、これに代えて、第2実施形態例に係るヒートシンク構造2では、図3に示すように、平面型ヒートパイプ10の周縁部に、2つの管状ヒートパイプ12、12’が熱的に接続されている。
【0039】
ヒートシンク構造2では、平面型ヒートパイプ10の周縁部のうち、所定の1箇所に管状ヒートパイプ12が熱的に接続されているだけでなく、管状ヒートパイプ12に対向する平面型ヒートパイプ10の周縁部の位置に、他の管状ヒートパイプ12’が熱的に接続されている。なお、他の管状ヒートパイプ12’の放熱部にも、管状ヒートパイプ12の放熱部と同様に、放熱フィン17が設けられている。
【0040】
平面型ヒートパイプ10の周縁部に、2つの管状ヒートパイプ12が熱的に接続されていても、ヒートシンク構造1と同様に、複数の発熱体を確実に冷却することができる。すなわち、平面型ヒートパイプ10に熱的に接続される管状ヒートパイプ12の数量は、1つでも複数でも、特に限定されず、発熱体の発熱量や発熱体の数量等、使用状況に応じて、適宜選択可能である。
【0041】
次に、本発明の第3実施形態例に係るヒートシンク構造について、図面を用いながら説明する。本発明の第1、第2実施形態例に係るヒートシンク構造と同じ構成要素については同じ符号を用いて説明する。
【0042】
第1実施形態例に係るヒートシンク構造1では、各発熱体(第1の発熱体100、第2の発熱体101)に直接接するまたは熱伝導グリースを介して、平面型ヒートパイプ10が熱的に接続されていたが、これに代えて、第3実施形態例に係るヒートシンク構造3では、図4に示すように、平面型ヒートパイプ10と発熱体との間に熱伝導性部材18が挿入されている。なお、ヒートシンク構造3では、第1の発熱体100、第2の発熱体101に加えて、第3の発熱体104が、すなわち、3つの発熱体が、基板102に実装されている。
【0043】
上記態様は、第1の発熱体100、第2の発熱体101及び第3の発熱体104の高さ方向の寸法が、相互に異なる場合に、特に、有効である。すなわち、高さ方向の寸法が小さい発熱体(図4では、第2の発熱体101及び第3の発熱体104)と平面型ヒートパイプ10との間に熱伝導性部材18を挿入して、高さ方向の寸法が最も大きい発熱体(図4では、第1の発熱体100)と略同じ高さとする。これにより、平面型ヒートパイプ10に撓み等の変形を施すことなく、複数の発熱体(第1の発熱体100、第2の発熱体101、第3の発熱体104)と平面型ヒートパイプ10とを熱的に接続できる。
【0044】
熱伝導性部材18としては、例えば、熱伝導シート等を挙げることができる。なお、図4では、第1の発熱体100と平面型ヒートパイプ10の接触面に、熱伝導性を向上させるために熱伝導グリース19が塗布されている。
【0045】
次に、本発明の第4実施形態例に係るヒートシンク構造について、図面を用いながら説明する。本発明の第1、第2、第3実施形態例に係るヒートシンク構造と同じ構成要素については同じ符号を用いて説明する。
【0046】
図5(a)、(b)に示すように、第4実施形態例に係るヒートシンク構造4では、平面型ヒートパイプ10の発熱体側の面(裏面)に、さらに付勢部材20が設けられている。平面型ヒートパイプ10の裏面に付勢部材20が設けられていることにより、平面型ヒートパイプ10の撓み等の変形を防止しつつ、平面型ヒートパイプ10を第1の発熱体100及び第2の発熱体101方向へ付勢させることができる。よって、平面型ヒートパイプ10と第1の発熱体100及び第2の発熱体101との熱的接続性が向上し、また、平面型ヒートパイプ10を確実に基板102に固定することができる。なお、管状ヒートパイプ12は、平面型ヒートパイプ10の発熱体側ではない面(表面)に取り付けられている。
【0047】
ヒートシンク構造4では、平面型ヒートパイプ10の裏面に2つの付勢部材20が設けられている。それぞれの付勢部材20は、相互に対向するように、平面型ヒートパイプ10の周縁部に配置されている。また、2つの付勢部材20間に、各発熱体(第1の発熱体100及び第2の発熱体101)が配置されている。従って、全ての発熱体に対して、基板102側へ付勢された状態の平面型ヒートパイプ10が、熱的に接続されている。付勢部材20は、第1の発熱体100及び第2の発熱体101が実装された基板102に固定される。
【0048】
付勢部材20は、平面型ヒートパイプ10の裏面と面接触した状態で取り付けられる第1の平坦部20−1と、基板102に面接触した状態で取り付けられる第2の平坦部20−2と、第1の平坦部20−1と第2の平坦部20−2とを繋ぐ連結部20−3と、を有している。連結部20−3が、付勢作用を発揮する。
【0049】
第1の平坦部20−1の平面型ヒートパイプ10裏面への取り付け手段は、特に限定されず、例えば、はんだ付け等を挙げることができる。第2の平坦部20−2の基板102への固定手段は、特に限定されず、ヒートシンク構造4では、第2の平坦部20−2は、ねじ21によって基板102に固定されている。すなわち、第2の平坦部20−2には、ねじ21を挿通する貫通孔(図示せず)が設けられ、基板102にはねじ穴(図示せず)が設けられ、ねじ21を貫通孔に挿通してねじ穴に螺合することで、付勢部材20は基板102に固定される。
【0050】
付勢部材20としては、例えば、金属製の板バネやコイル等のバネ部材が挙げられる。
【0051】
次に、本発明の第5実施形態例に係るヒートシンク構造について、図面を用いながら説明する。本発明の第1、第2、第3、第4実施形態例に係るヒートシンク構造と同じ構成要素については同じ符号を用いて説明する。
【0052】
第4実施形態例に係るヒートシンク構造4では、全ての発熱体に対して、基板102側へ付勢された状態の平面型ヒートパイプ10が、熱的に接続されていたが、これに代えて、第5実施形態例に係るヒートシンク構造5では、図6(a)、(b)に示すように、複数の発熱体(図6では、第1の発熱体100と第2の発熱体101の2つの発熱体)のうち、一部の発熱体(図6では、第1の発熱体100)に対してのみ、基板102側へ付勢された状態の平面型ヒートパイプ10が、熱的に接続されている。また、平面型ヒートパイプ10には、ねじ21を挿通する貫通孔22が設けられ、付勢部材20にも、ねじ21を挿通する貫通孔(図示せず)が設けられている。基板102には、ねじ穴(図示せず)が設けられている。ねじ21を、平面型ヒートパイプ10の貫通孔22と付勢部材20の貫通孔にそれぞれ挿通して、基板102のねじ穴に螺合することで、平面型ヒートパイプ10と付勢部材20は基板102に固定されている。
【0053】
また、図6(b)に示すように、ヒートシンク構造5では、2つの付勢部材20間に、第1の発熱体100は配置されているが、第2の発熱体101は配置されていない。第2の発熱体101に対しては、平面型ヒートパイプ10のうち、基板102方向へ付勢されていない部位が、熱的に接続されている。また、第2の発熱体101には、平面型ヒートパイプ10との間に、熱伝導シート等の熱伝導性部材18が挿入され、熱伝導性部材18の有する緩衝機能によって、平面型ヒートパイプ10が第1の発熱体100の方向へ付勢されてもいる。
【0054】
上記態様でも、平面型ヒートパイプ10の撓み等の変形を防止しつつ、平面型ヒートパイプ10と第1の発熱体100との熱的接続性が向上し、また、平面型ヒートパイプ10を確実に基板102に固定できる。
【0055】
次に、本発明の他の実施形態例について説明する。上記各実施形態例では、管状ヒートパイプの放熱部に熱交換手段として放熱フィンが設けられていたが、使用状況に応じて、熱交換手段を設けなくてもよい。また、上記各実施形態例では、放熱フィン近傍に送風ファンが設置されていたが、使用状況に応じて、送風ファンを設置しなくてもよい。
【0056】
第1、第4実施形態例に係るヒートシンク構造では、各発熱体に直接接して、または熱伝導グリースを介して、平面型ヒートパイプが載置されていたが、発熱体と平面型ヒートパイプとの間に熱伝導性部材を配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のヒートシンク構造は、優れた熱輸送特性を有しつつ、簡易な構成にて、狭小化した内部空間に設置された複数の発熱体の冷却を均一化できるので、例えば、厚さ方向の寸法の小さい空間に、複数設置された発熱体を冷却する分野で、利用価値が高い。
【符号の説明】
【0058】
1、2、3、4、5 ヒートシンク構造
10 平面型ヒートパイプ
12 管状ヒートパイプ
17 放熱フィン
20 付勢部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6