特許第6574593号(P6574593)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6574593CVDリアクタにおける排ガス洗浄装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574593
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】CVDリアクタにおける排ガス洗浄装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20190902BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20190902BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   H01L21/31 B
   H01L21/31 F
   C23C16/44 E
   H01L21/205
【請求項の数】26
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-80976(P2015-80976)
(22)【出願日】2015年4月10日
(65)【公開番号】特開2015-204461(P2015-204461A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2018年3月30日
(31)【優先権主張番号】10 2014 105 294.3
(32)【優先日】2014年4月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502010251
【氏名又は名称】アイクストロン、エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100146950
【弁理士】
【氏名又は名称】南 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・フランケン
(72)【発明者】
【氏名】マルカス・デュッフェル
【審査官】 鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−055293(JP,A)
【文献】 特開平05−267181(JP,A)
【文献】 特開平08−260152(JP,A)
【文献】 特開平09−306851(JP,A)
【文献】 特開平10−057733(JP,A)
【文献】 特開2003−045861(JP,A)
【文献】 特開2003−183832(JP,A)
【文献】 特開2004−071723(JP,A)
【文献】 特開2005−108932(JP,A)
【文献】 特開2008−218663(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0207625(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0304930(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0237063(US,A1)
【文献】 米国特許第07647886(US,B1)
【文献】 特開平05−198515(JP,A)
【文献】 特開2000−243705(JP,A)
【文献】 特開2006−190977(JP,A)
【文献】 特開平11−302852(JP,A)
【文献】 特開2005−191391(JP,A)
【文献】 特開2006−314869(JP,A)
【文献】 特開2007−069135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/31
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に異なるプロセスステップにおいて、リアクタ(3)内に相互に異なるプロセスガスが供給可能であり、およびリアクタ(3)が排ガス配管(5)を有し、相互に異なるプロセスステップにおいて、相互に異なる排ガスが排ガス配管(5)を介してリアクタ(3)から排出可能である、該リアクタ(3)を有する装置であって、
第1の排ガス装置(10)が弁装置(11、21)により排ガス配管(5)と流動結合可能且つ排ガス配管(5)から切離し可能な該第1の排ガス装置(10)と、相互に異なるプロセスステップの第1のプロセスステップにおいて発生された排ガスを処理するための第1の洗浄機構(18)と、弁装置(11、21)と第1の洗浄機構(18)との間に配置された、第1の均衡ガスを供給するための第1のガス供給装置(12)と、第1の排ガス装置(10)内の第1の全圧(PF)を決定するための第1の圧力センサ(13)とを有し、および
第2の排ガス装置(20)が弁装置(11、21)により排ガス配管(5)と流動結合可能且つ排ガス配管(5)から切離し可能な該第2の排ガス装置(20)と、相互に異なるプロセスステップの第2のプロセスステップにおいて発生された排ガスを処理するための第2の洗浄機構(28)と、弁装置(11、21)と第2の洗浄機構(28)との間に配置された、第2の均衡ガスを供給するための第2のガス供給装置(22)と、第2の排ガス装置(20)内の第2の全圧(PT)を決定するための第2の圧力センサ(23)とを有する、リアクタ(3)を有する装置において、
制御装置(9)が設けられ、制御装置(9)の制御変数は第1の排ガス装置(10)内の全圧(PF)と第2の排ガス装置(20)内の全圧(PT)との間の圧力差であり、および制御装置(9)は、少なくとも弁装置(11、21)を切り換えるときに前記圧力差がほぼ0に制御されているように設計され、両方の排ガス装置(10、20)が、排ガス配管(5)と流動結合する、リアクタ(3)を有する装置。
【請求項2】
相互に異なるプロセスステップにおいて、リアクタ(3)内に相互に異なるプロセスガスが供給され、およびリアクタ(3)において、相互に異なるプロセスステップにおいて相互に異なる排ガスが排ガス配管(5)を介してリアクタ(3)から排出可能である、該リアクタ(3)を、特にデータ記憶装置内に記憶されている制御プログラムとして運転する方法であって、
この場合、第1のプロセスステップにおいて、第1の排ガス装置(10)が弁装置(11、21)により排ガス配管(5)と流動結合され且つ少なくとも1つの第2の排ガス装置(20)が排ガス配管(5)から切り離され、この場合、第1の排ガスが第1の排ガス装置(10)の第1の洗浄機構(18)により処理され、および特に第1の質量流量制御器(12′)を有する第1のガス供給装置(12)により弁装置(11、21)と第1の洗浄機構(18)との間に第1の均衡ガスが供給され且つ第1の圧力センサ(13)により第1の排ガス装置(10)内の全圧(PF)が決定され、
この場合、第2のプロセスステップにおいて、第2の排ガス装置(20)が弁装置(11、21)により排ガス配管(5)と流動結合され且つ少なくとも1つの第1の排ガス装置(10)が排ガス配管(5)から切り離され、この場合、第2の排ガスが第2の排ガス装置(20)の第2の洗浄機構(28)により処理され、および特に第2の質量流量制御器(22′)を有する第2のガス供給装置(22)により弁装置(11、21)と第2の洗浄機構(28)との間に第2の均衡ガスが供給され且つ第2の圧力センサ(23)により第2の排ガス装置(20)内の全圧(PT)が決定される、リアクタ(3)の運転方法において、
制御装置(9)により、少なくとも弁装置(11、21)を切り換えるときに第1の排ガス装置(10)内の全圧(PF)と第2の排ガス装置(20)内の全圧(PT)との間の圧力差がほぼ0に制御され、両方の排ガス装置(10、20)が、排ガス配管(5)と流動結合する、リアクタ(3)の運転方法。
【請求項3】
第1または第2の均衡ガスがそれぞれ、不活性ガス、特に窒素であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
制御装置(9)の操作部が、質量流量制御器(12′、22′)、および/またはポンプ(16、26)の上流側に配置された1つまたは複数の絞り弁(15、25)であることを特徴とする請求項1または3に記載の装置。
【請求項5】
第1の洗浄機構(18)がフィルタであり、および/または第2の洗浄機構(28)が冷却トラップであることを特徴とする請求項1、3ないし4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
プロセスステップ特に第1のプロセスステップが、リアクタ(3)内に特に水素化物特にNH3が供給される基板成膜ステップであることを特徴とする、方法の経過を制御するための制御装置を有する請求項1、3ないし5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
プロセスステップ特に第2のプロセスステップが、リアクタ(3)内に洗浄ガス特にハロゲンを含むガス特にCl2が供給される洗浄ステップであることを特徴とする、方法の経過を制御するための制御装置を有する請求項1、3ないし6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
弁装置(11、21、31)により排ガス配管(5)と流動結合可能且つ排ガス配管(5)から切離し可能な、第3の洗浄機構(38)を有する第3の排ガス装置(30)であって、特に第3の質量流量制御器(32′)を有する、第3の均衡ガスを供給するためのガス供給装置(32)と、および第3の排ガス装置(30)内の全圧を決定するための第3の圧力センサ(33)とを有し、この場合、制御装置(9)が、第3の排ガス装置(30)内の全圧を、第1または第2の排ガス装置(10、20)内の全圧に対して制御する、該第3の排ガス装置(30)を特徴とする請求項1、3ないし7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
全ての排ガス装置(10、20、30)がそれぞれ1つの絞り弁(15、25、35)を有すること、および/または少なくとも1つの排ガス装置(10、20、30)が絞り弁(15、25、35)を有さないことを特徴とする請求項1、3ないし8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
弁装置(11、21、31)が、個別に切換可能な2つないし3つの個別弁(11、21、31)を有し、個別弁(11、21、31)は、上流側で排ガス配管(5)と、および下流側で排ガス装置(10、20、30)と結合されていることを特徴とする請求項1、3ないし9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
圧力センサ(13、23、33)が、洗浄機構(18、28、38)の上流側に、特にガス供給装置(12、22、32)と洗浄機構(18、28、38)との間に配置されていることを特徴とする請求項1、3ないし10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
排ガス装置(10、20、30)内の全圧を決定するための、洗浄機構(18、28、38)の下流側に配置された他の圧力センサ(13′、23′、33′)を特徴とする請求項1、3ないし11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
排ガス装置(10、20、30)の各々が、流動方向においてそれぞれの真空ポンプ(16、26、36)の後方に配置されたガス洗浄(17、27、37)を有することを特徴とする請求項1、3ないし12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
第1のプロセスステップの間に、制御装置(9)により、圧力センサ(4)によって決定されたプロセスチャンバ圧力(PR)が特に絞り弁(15)の位置の変化により目標値に保持されること、第1のプロセスステップから第2のプロセスステップへ切り換える前に、第1の排ガス装置(10)の全圧(PF)および第2の排ガス装置(20)の全圧(PT)がそれぞれ同じ目標値に制御されること、両方の排ガス装置(10、20)内の全圧(PF、PT)が安定したのちに、はじめに、第2の排ガス装置(20)を排ガス配管(5)と結合する弁装置の遮断弁(21)が開放され、それに続いて、第1の排ガス装置(10)を排ガス配管(5)と結合する弁装置の遮断弁(11)が閉鎖されること、およびその後に、制御装置(9)が、圧力センサ(4)により決定されたプロセスチャンバ圧力(PR)を、絞り弁(25)の位置の変化によって目標値に制御することを特徴とする方法の経過を制御するための制御装置を有する請求項1、3ないし13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
第1または第2の均衡ガスがそれぞれ、不活性ガス、特に窒素であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項16】
制御装置(9)の操作部が、質量流量制御器(12′、22′)、および/またはポンプ(16、26)の上流側に配置された1つまたは複数の絞り弁(15、25)であることを特徴とする請求項2または15に記載の方法。
【請求項17】
第1の洗浄機構(18)がフィルタであり、および/または第2の洗浄機構(28)が冷却トラップであることを特徴とする請求項2、15または16に記載の方法。
【請求項18】
プロセスステップ特に第1のプロセスステップが、リアクタ(3)内に特に水素化物特にNH3が供給される基板成膜ステップであることを特徴とする請求項2、15ないし17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
プロセスステップ特に第2のプロセスステップが、リアクタ(3)内に洗浄ガス特にハロゲンを含むガス特にCl2が供給される洗浄ステップであることを特徴とする請求項2、15ないし18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
弁装置(11、21、31)により排ガス配管(5)と流動結合可能且つ排ガス配管(5)から切離し可能な、第3の洗浄機構(38)を有する第3の排ガス装置(30)であって、特に第3の質量流量制御器(32′)を有する、第3の均衡ガスを供給するためのガス供給装置(32)と、および第3の排ガス装置(30)内の全圧を決定するための第3の圧力センサ(33)とを有し、この場合、制御装置(9)が、第3の排ガス装置(30)内の全圧を、第1または第2の排ガス装置(10、20)内の全圧に対して制御する請求項2、15ないし19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
全ての排ガス装置(10、20、30)がそれぞれ1つの絞り弁(15、25、35)を有すること、および/または少なくとも1つの排ガス装置(10、20、30)が絞り弁(15、25、35)を有さないことを特徴とする請求項2、15ないし20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
弁装置(11、21、31)が、個別に切換可能な2つないし3つの個別弁(11、21、31)を有し、個別弁(11、21、31)は、上流側で排ガス配管(5)と、および下流側で排ガス装置(10、20、30)と結合されていることを特徴とする請求項2、15ないし21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
圧力センサ(13、23、33)が、洗浄機構(18、28、38)の上流側に、特にガス供給装置(12、22、32)と洗浄機構(18、28、38)との間に配置されていることを特徴とする請求項2、15ないし22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
排ガス装置(10、20、30)内の全圧を決定するための、洗浄機構(18、28、38)の下流側に配置された他の圧力センサ(13′、23′、33′)を特徴とする請求項2、15ないし23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
排ガス装置(10、20、30)の各々が、流動方向においてそれぞれの真空ポンプ(16、26、36)の後方に配置されたガス洗浄(17、27、37)を有することを特徴とする請求項2、15ないし24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
第1のプロセスステップの間に、制御装置(9)により、圧力センサ(4)によって決定されたプロセスチャンバ圧力(PR)が特に絞り弁(15)の位置の変化により目標値に保持されること、第1のプロセスステップから第2のプロセスステップへ切り換える前に、第1の排ガス装置(10)の全圧(PF)および第2の排ガス装置(20)の全圧(PT)がそれぞれ同じ目標値に制御されること、両方の排ガス装置(10、20)内の全圧(PF、PT)が安定したのちに、はじめに、第2の排ガス装置(20)を排ガス配管(5)と結合する弁装置の遮断弁(21)が開放され、それに続いて、第1の排ガス装置(10)を排ガス配管(5)と結合する弁装置の遮断弁(11)が閉鎖されること、およびその後に、制御装置(9)が、圧力センサ(4)により決定されたプロセスチャンバ圧力(PR)を、絞り弁(25)の位置の変化によって目標値に制御することを特徴とする請求項2、15ないし25のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CVDリアクタにおける排ガス洗浄装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
相互に異なるプロセスステップにおいて相互に異なるプロセスガスがリアクタ内に供給可能な該リアクタを有する装置ないしは相互に異なるプロセスステップにおいて相互に異なるプロセスガスがリアクタ内に供給される方法が、従来技術から既知である。即ち、特許文献1は、相互に異なるプロセスステップにおいて複数のガス源から相互に異なるプロセスガスが供給されるプロセスチャンバを有する。プロセスガスはガス入口機構を介してプロセスチャンバ内に流入する。プロセスチャンバ内において、加熱されたサセプタ上に、成膜されるべき基板が存在する。この場合、プロセスガスは特に熱分解により分解し且つ層および排ガスを形成する。排ガスは排ガス配管を介してプロセスチャンバから流出し且つ排ガス洗浄装置である第1の排ガス装置内において洗浄される。第2のプロセスガス、例えばプロセスガスに寄生する被膜がそれにより壁から剥離されるべき洗浄ガスを使用するとき、同様に排ガス洗浄装置である第2の排ガス装置が使用される。両方の排ガス洗浄装置は相互に異なる洗浄機構を有し、洗浄機構においてそれぞれ1つの排ガスまたは反応生成物がフィルタリングされる。
【0003】
2つの排ガス装置を有する装置が特許文献2に記載されている。両方の排ガス装置の各々は、ポンプと、およびスクラブ洗浄装置の形のガス洗浄と、を有する。この装置において、両方の排ガス装置内にすすぎガスが供給可能である。
【0004】
特許文献3から、それぞれ冷却トラップおよび圧力制御弁を有する、相互に並列に配置された2つの排ガス装置が使用される装置ないしは方法が既知である。
【0005】
2つのポンプおよび共通の洗浄装置を有する、排ガス洗浄装置の配置を特許文献4もまた記載する。
【0006】
特許文献5は、CVDプロセスを実行するためのプロセスチャンバ装置を記載し、この場合、排ガス配管内に質量流量制御器を介してバラストガスが供給可能であり、一定に保持されたポンプ装置の吸込能力において、バラストガスによりプロセスチャンバ内の全圧が変化ないしは制御可能である。
【0007】
CVDリアクタの運転において、ガス入口機構を介して、プロセスガスがCVDリアクタのプロセスチャンバ内に供給される。プロセスガスは相互に反応する個別ガスから構成可能である。例えば、プロセスガスは金属有機III成分およびIII水素化物を有してもよい。例えば、プロセスチャンバ内に金属有機ガリウム化合物、金属有機インジウム化合物または金属有機アルミニウム化合物が供給されてもよい。III−V層を堆積させるために、さらに、水素化物、例えばアルシン、ホスフィンまたはアンモニアが供給される。化学反応生成物は、プロセスチャンバ内の加熱されたサセプタ上に存在する基板上に、好ましくは単結晶の層を形成する。ガス状反応生成物または分解されなかったプロセスガスが、排ガス配管を介して、ガス気密リアクタの内部に存在するプロセスチャンバから排出される。成長ステップの間においては、第1の洗浄機構例えば粒子フィルタを有する第1の排ガス装置が排ガス配管と結合されている。粒子フィルタ内において、プロセスチャンバ内またはガス流出配管内においてプロセスガス相互の反応により形成された粒子がフィルタリングされる。堆積プロセスの間には、1つまたは複数の基板上にのみ層が形成されるだけではない。プロセスチャンバの壁上および特に加熱されたサセプタの表面の、基板により覆われていない場所上にもまた寄生被膜が形成される。基板がプロセスチャンバから取り除かれたのちに、成膜ステップ後に実行される洗浄ステップにおいて、洗浄ガスがプロセスチャンバ内に導入される。典型的には、洗浄ガスは塩素である。洗浄ガスにより、プロセスチャンバの壁またはサセプタの表面上の寄生被膜が除去される。排ガス配管を介して、洗浄ガスと被膜との間の反応生成物例えば塩化ガリウムのみならずClもまた流動する。フィルタ内における洗浄ガスと残渣との反応を回避させるために、ないしは洗浄ガスを排ガス流れから切り離すために、弁装置により第1の排ガス装置が排ガス配管から切り離される。弁装置により、その中に第2の洗浄機構が配置されている第2の排ガス装置が、排ガス配管と結合される。洗浄ガスを凍結させるために、例えば77°Kに冷却された冷却トラップが使用されてもよい。このような方法ないしはこのような装置において、弁装置により、第1の排ガス装置または第2の排ガス装置が選択的に排ガス配管と結合される。しかしながら、切換のときに交差流れが発生することがある。これは、堆積プロセスにおいてプロセスガスの洗浄のために使用される例えば塩素ガスが排ガス洗浄装置内に流入すること、ないしは洗浄ガスの凍結のために使用されるNHが排ガス洗浄装置内に流入することを意味する。いずれの場合もClがNHと反応してNHClが形成され、これにより、洗浄機構の使用寿命が低下することになる。このような相互汚染は、従来技術に付属する装置において、弁装置を切り換えるとき、安全上の理由から、両方の遮断弁が短時間同時に開放され、これにより、それぞれの排ガス装置が排ガス配管と結合されたときに発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7647886B2号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0207625A1号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0304930A1号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2013/0237063A1号明細書
【特許文献5】米国特許第4817557号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、CVD装置の排ガス洗浄装置ないしは方法を使用上有利なように改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、はじめに、相互に異なるプロセスステップにおいて、リアクタ内に相互に異なるプロセスガスが供給可能であり、およびリアクタが排ガス配管を有し、相互に異なるプロセスステップにおいて、相互に異なる排ガスが排ガス配管を介してリアクタから排出可能である、該リアクタを有する装置であって、第1の排ガス装置が弁装置により排ガス配管と流動結合可能且つ排ガス配管から切離し可能な該第1の排ガス装置と、相互に異なるプロセスステップの第1のプロセスステップにおいて発生された排ガスを処理するための第1の洗浄機構と、弁装置と第1の洗浄機構との間に配置された、第1の均衡ガスを供給するための第1のガス供給装置と、第1の排ガス装置内の第1の全圧を決定するための第1の圧力センサおよび特に均衡ガスの質量流量を調節するための第1の質量流量制御器と、および第2の排ガス装置が弁装置により排ガス配管と流動結合可能且つ排ガス配管から切離し可能な該第2の排ガス装置と、相互に異なるプロセスステップの第2のプロセスステップにおいて発生された排ガスを処理するための第2の洗浄機構と、弁装置と第2の洗浄機構との間に配置された、第2の均衡ガスを供給するための第2のガス供給装置と、第2の排ガス装置内の第2の全圧を決定するための第2の圧力センサおよび特に第2の均衡ガスの質量流量を調節するための第2の質量流量制御器とを有する、リアクタを有する装置において、制御装置が設けられ、制御装置の制御変数は第1の排ガス装置内の全圧と第2の排ガス装置内の全圧との間の圧力差であり、および制御装置は、はじめに弁装置を切り換えるときに前記圧力差がほぼ0に制御されるように設計されている、リアクタを有する装置により解決される。
【0011】
この課題は、さらに、相互に異なるプロセスステップにおいて、リアクタ内に相互に異なるプロセスガスが供給され、およびリアクタにおいて、相互に異なるプロセスステップにおいて相互に異なる排ガスが排ガス配管を介してリアクタから排出可能である、該リアクタの運転方法、ないしはデータ記憶装置内に記憶されている制御プログラムであって、この場合、第1のプロセスステップにおいて、第1の排ガス装置が弁装置により排ガス配管と流動結合され且つ少なくとも1つの第2の排ガス装置が排ガス配管から切り離され、この場合、第1の排ガスが第1の排ガス装置の第1の洗浄機構により処理され、および特に第1の質量流量制御器を有する第1のガス供給装置により弁装置と第1の洗浄機構との間に第1の均衡ガスが供給され且つ第1の圧力センサにより第1の排ガス装置内の全圧が決定され、この場合、第2のプロセスステップにおいて、第2の排ガス装置が弁装置により排ガス配管と流動結合され且つ少なくとも1つの第1の排ガス装置が排ガス配管から切り離され、この場合、第2の排ガスが第2の排ガス装置の第2の洗浄機構により処理され、および特に第2の質量流量制御器を有する第2のガス供給装置により弁装置と第2の洗浄機構との間に第2の均衡ガスが供給され且つ第2の圧力センサにより第2の排ガス装置内の全圧が決定される、リアクタの運転方法ないしは制御プログラムにおいて、制御装置により、はじめに弁装置を切り換える間に第1の排ガス装置内の全圧と第2の排ガス装置内の全圧との間の圧力差がほぼ0に制御される、リアクタの運転方法ないしは制御プログラムにより解決される。本発明の好ましい変更態様において、プロセスチャンバ内の全圧がそれにより決定可能な圧力センサが設けられている。さらに少なくとも1つの真空ポンプが設けられ、真空ポンプにより、排ガス装置のいずれかを介してプロセスチャンバを真空にすることが可能である。少なくとも1つの真空ポンプの上流側に絞り弁が存在する。絞り弁はサーボモータを有し、サーボモータは制御装置により駆動される。サーボモータにより、絞り弁の開口断面、したがってポンプ能力が変化可能である。プロセスステップの間に、圧力センサにより測定されたプロセスチャンバ内部の全圧は、例えば絞り弁の位置を目標値に変化させることにより制御される。しかしながら、プロセスチャンバ内の全圧の制御のために、ここではバラストガスとして作動する均衡ガスの質量流量が使用されてもよい。上記の方法は、少なくとも1つのプロセスステップから次のプロセスステップへの切換の間に使用される。切換過程の開始時に、絞り弁の位置の変化により、および/または両方の排ガス装置内への均衡ガスないしはバラストガスの質量流量の変化により、そのときの全圧が同じ値に制御される。これは、一方の排ガス装置が遮断弁の開放により排ガス配管と結合され且つ他方の排ガス装置が遮断弁の閉鎖により排ガス配管から切り離される運転時点の間に行われる。両方の排ガス装置内の全圧が安定したのち、それまで閉鎖されていた遮断弁が開放され、これにより、両方の排ガス装置が排ガス配管と流動結合されている。同じ値に保持された、両方の排ガス装置内の全圧により、従来技術において問題となった交差流れが抑制される。しかしながら、それにもかかわらず、いかなる時点においても全ての遮断弁が閉鎖されていないので、プロセスチャンバは絶えず吸引されることが保証されている。例えば第2の排ガス装置の遮断弁の開放直後に、第1の排ガス装置の遮断弁が閉鎖される。それに続くプロセスステップにおいて、プロセスチャンバ内の全圧を目標値に保持するために、制御装置は、再び、プロセスチャンバ内の全圧を決定する圧力センサと協働する。遮断弁は一般に100%気密ではないので、特に第1および/または第2の均衡ガスの質量流量の変化により、両方の排ガス装置内の全圧間の圧力差はプロセスステップの間においてもできるだけ一定に保持される。排ガス配管から切り離されている排ガス装置において、供給される均衡ガスの質量流量の変化により圧力制御が行われる。均衡ガスは不活性ガス例えば窒素であることが好ましい。水素または適切な希ガスが使用されてもよい。供給は、弁装置とそれぞれの洗浄機構との間に位置する排ガス機構の領域内において行われる。この領域内において、全圧の決定もまた行われることが好ましい。洗浄機構は粒子フィルタであってもよい。しかしながら、冷却トラップであってもよい。第1の洗浄機構が粒子フィルタであり且つ第2の洗浄機構が塩素を凍結させるための冷却トラップであることが好ましい。洗浄機構の下流側に、同様に、圧力センサが配置されていてもよい。この圧力センサは洗浄機構内の圧力低下により低減された全圧を測定する。1つまたは複数の排ガス装置の各々は絞り弁を有していてもよく、絞り弁により、流動方向において絞り弁の後方に配置された真空ポンプのポンプ能力を制御可能である。排ガス装置の内部の全圧を制御するために、絞り弁が一定弁位置に保持されてもよい。この結果、ポンプは一定排出能力で作動する。しかしながら、全圧をそれぞれの絞り弁により制御し且つ一定バラスト流量を排ガス装置内に供給することもまた可能である。本発明の好ましい変更態様において、切換過程の開始時に、排ガス配管から切り離されているが切換過程の終了時には排ガス配管と結合されるべき排ガス装置内への均衡ガス流量が、切換過程の開始時に排ガス配管と結合されているが切換過程の終了後には排ガス配管から切り離される排ガス装置を介して流動するガス流量に対応する値に上昇される。両方の排ガス装置はそれぞれ1つの絞り弁を有し、絞り弁によりプロセスチャンバ内の全圧が調節可能である。このとき、両方のこれらの絞り弁は、閉鎖された遮断弁を開放する直前においてはほぼ同じ弁位置を有する。したがって、それまで閉鎖されていた遮断弁が開放され且つそれまで開放されていた遮断弁が閉鎖されたのちは、このとき排ガス配管と結合された排ガス装置内への均衡ガス流量のみが低減されるだけでよく、これは、絞り弁の調節よりもより急速に実行可能である。これは、遮断弁が閉鎖されたとき、プロセスチャンバの内部のきわめて僅かな圧力上昇をもたらす。排ガス装置の内部における全圧の制御は、圧力センサと、および質量流量制御器を介して均衡ガスの質量流量を変化させる制御装置とによる全圧の決定によって行われる。本発明の一変更態様において、1つの真空ポンプのみが存在し、その真空ポンプに2つまたは複数の排ガス装置が接続されているように設計されていてもよい。さらに、排ガス装置の各々が個々に真空ポンプを有するように設計されていてもよく、この場合、真空ポンプは洗浄機構の上流側または下流側に配置されていてもよい。しかしながら、いずれの場合も、全圧決定は、弁装置のすぐ下流側において行われ、これにより、弁装置の全ての弁の開放位置においていかなる交差流れも発生しない。2つまたは複数の排ガス装置の各々は、弁装置の一部である個別の遮断弁を有してもよい。遮断弁の上流側において、排ガス装置はリアクタの排ガス配管と結合されている。スクラブ洗浄装置の形の少なくとも1つのガス洗浄が設けられていることが好ましい。複数の真空ポンプまたは1つの真空ポンプから流出する各ガス流れを洗浄する共通のスクラブ洗浄装置が設けられていてもよい。しかしながら、排ガス装置の各々がそれぞれ個別の付属スクラブ洗浄装置を有するように設計されていてもよい。さらに、各排ガス装置が絞り弁を有するように設計されていてもよい。しかしながら、少なくとも1つの排ガス装置が調節可能な絞り弁を有さず、一定絞りのみを有し、これにより、この排ガスシステムの内部の全圧が均衡ガスを介してのみ調節されるように設計されていてもよい。
【0012】
本発明の実施例が以下に添付図面により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、相互に並列に配置された排ガス洗浄装置10、20を有する第1の実施例をブロック回路図として示す。
図2図2は、相互に並列に配置された3つの排ガス洗浄装置10、20、30を有する図1に類似の図を示す。
図3図3は、それぞれ1つの絞り弁15、25の下流側に共通の真空ポンプ16が配置された第3の実施例の、図1に類似の図を示す。
図4図4は、洗浄機構18、28が真空ポンプ16、26の下流側に配置された、本発明の第4の実施例を示す。
図5図5は、調節可能な1つの絞り弁15のみが設けられ且つ排ガス洗浄装置20内に一定絞り25が位置する、第5の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施例は、CVD成長プロセスを実行したときに発生される種々の排ガスを洗浄するための排ガス洗浄装置を記載する。CVD成長プロセスはリアクタ3内において行われる。リアクタ3は外部に対してガス気密をなすように閉鎖されたハウジングであり、ハウジング内にガス入口機構6が存在する。シャワヘッド状に形成されたガス入口機構6はガス流出開口を有し、ガス流出開口を介して、ガス源1、2、2′から供給されたプロセスガスがプロセスチャンバ内に流入し、プロセスチャンバの底部は加熱されたサセプタ7により形成される。サセプタ7上に、1つまたは複数の基板8、例えばIII−V基板またはIV基板例えばケイ素基板が位置する。基板8上に、III−V層、例えばヒ化ガリウム層、ヒ化インジウム層、リン化インジウム層または亜硝酸ガリウム層が堆積される。プロセスチャンバの内部に、ガリウム、インジウム、アルミニウム、リン、ヒ素および/または窒素を含む層が堆積されることはきわめて一般的である。層は、さらに、添加剤が配量されていてもよい。金属有機化合物または水化物例えばNHの形のプロセスガスが使用される。プロセスガスはキャリヤガスと共にガス入口機構を介してプロセスチャンバ内に導入される。キャリヤガスとして、水素、窒素または希ガスが使用されてもよい。
【0015】
1つまたは複数の異なる組成を有する層が基板8上に堆積し且つ基板8がプロセスチャンバから取り除かれたのちに、プロセスチャンバは洗浄されなければならない。このために、洗浄ガスがプロセスチャンバ内に供給される。典型的な洗浄ガスは塩素である。洗浄ガスはキャリヤガスと共にプロセスチャンバ内に供給される。塩素が使用されたとき、キャリヤガスとして、特に窒素が使用される。
【0016】
プロセスガスまたは排ガスは排ガス配管5を介してリアクタ3から排出される。排ガス配管の内部ないしはプロセスチャンバの内部の全圧Pを測定するために、排ガス配管5内に圧力センサ4が存在する。排ガス配管5は第1の排ガス装置10の第1の遮断弁11に分岐する。排ガス装置10は、粒子フィルタの形の洗浄機構18を有する排ガス洗浄装置である。第1の遮断弁11のすぐ下流側に、均衡ガス例えばNを供給するためのガス供給位置12が存在する。均衡ガスの質量流量は質量流量制御器12′を介して制御可能である。遮断弁11のすぐ下流側に、即ち洗浄機構18と遮断弁11との間に圧力センサ13が存在し、圧力センサ13により、排ガス装置10の内部の全圧Pが測定可能である。全圧Pは遮断弁11のすぐ下流側の全圧であることが好ましい。
【0017】
第2の圧力センサ13′により、洗浄機構18の下流側の全圧P′が測定可能である。
【0018】
洗浄機構18の下流側に調節可能な絞り弁15が存在し、絞り弁15により、絞り弁15の下流側に配置された真空ポンプ16の吸込能力が調節可能である。真空ポンプ16の下流側にガス洗浄のためのスクラブ洗浄装置17が存在する。
【0019】
排ガス配管5はさらに第2の排ガス装置20に分岐し、第2の排ガス装置20は、第1の排ガス装置10に類似の構造を有する。第2の排ガス装置20は、第2の遮断弁21と、および遮断弁21のすぐ下流側に配置された、第2の均衡ガスを供給するための第2の供給位置22を有し、第2の均衡ガスの質量流量は第2の質量流量制御器22′を介して調節される。第2の圧力センサ23により、第2の遮断弁21のすぐ下流側の全圧Pが決定される。遮断弁11とは独立に操作可能な遮断弁21により、第2の排ガス装置20は、排ガス配管5と結合可能または排ガス配管5から切離し可能である。
【0020】
第2の排ガス装置20は冷却トラップの形の第2の洗浄機構28を有し、冷却トラップは、洗浄ガスを凍結させるために77°Kに冷却可能である。排ガス装置20の内部の全圧Pを決定するために、第2の洗浄機構28の下流側に他の圧力センサ23′が位置する。
【0021】
第2の真空ポンプ26のポンプ能力を調節するために、第2の真空ポンプ26の上流側に調節可能な絞り弁25が存在する。第2の真空ポンプの下流側に第2のスクラブ洗浄装置27が存在する。
【0022】
堆積プロセスの間に第2の遮断弁21が閉鎖され且つ第1の遮断弁11が開放され、これにより、特にNHを含む排ガスは、排ガス配管5を介して第1の排ガス洗浄装置10内に流入する。排ガス流れ内に存在する粒子は粒子フィルタ18内においてフィルタリングされる。分解されなかった残留ガスは真空ポンプ16内を通過してガス洗浄17内に到達する。堆積プロセスの間に、両方の圧力センサ13、23は、第1の排ガス装置10および第2の排ガス装置20内の全圧に関する圧力値を制御装置9に提供する。制御装置9は、さらに、プロセスチャンバの内部の全圧Pを圧力センサから受け取る。絞り弁15の絞りフラップの位置を変化させることにより、プロセスチャンバ内の全圧が目標値に保持される。
【0023】
堆積プロセスののちに切換過程が行われる。切換過程は、遮断弁11の遮断により第1の排ガス装置10を排ガス配管5から切り離し且つ遮断弁21の開放により第2の排ガス装置20を排ガス配管5と結合することを目的とする。
【0024】
切換過程の開始時に、圧力制御のガイド変数が変化される。プロセスチャンバ内の全圧Pの代わりに、このとき、第1の排ガス装置内の全圧Pが一定値に保持される。これは、質量流量制御器12′により供給される均衡ガスの質量流量の変化により、または絞り弁15の絞りフラップの位置の変化により行われる。
【0025】
切換過程の開始時に、供給位置22において質量流量制御器22′により第2の排ガス装置20内に供給される均衡ガスの質量流量が、第1の排ガス装置10の絞り弁15を介して流動する質量流量に対応する値に設定される。これは、均衡流量が小さいとき、ほぼリアクタ3のプロセスチャンバ内を流動する質量流量である。第2の排ガス装置20内における全圧Pは、このとき、第1の排ガス装置10の全圧Pに制御される。言い換えると、両方の排ガス装置10、20内の全圧P、Pは同じ値に制御される。
【0026】
両方の排ガス装置10、20内の全圧P、Pが安定したとき直ちに、遮断弁21は開放可能である。弁21が完全に開放されたとき直ちに、第1の排ガス装置10の遮断弁11が閉鎖される。したがって、きわめて短時間の間、両方の排ガス装置10、20は排ガス配管5と流動結合されている。両側の全圧が同一であることにより、交差流れは最小にされる。
【0027】
第1の排ガス装置の第1の遮断弁11の閉鎖と共に、供給位置22において第2の排ガス装置20内に供給される均衡ガスの質量流量は最小に低減されるので、弁装置を切り換えたとき、即ち第2の遮断弁21を開放し且つ第1の遮断弁11を閉鎖したとき、両方の絞り弁15、25の位置はほぼ同じである。
【0028】
圧力が同じなので切り換えたときに交差流れは発生しない。プロセスチャンバの洗浄において使用される塩素は冷却トラップ28内において凍結される。洗浄ステップの間、供給位置12における第1の排ガス装置内への均衡ガスの供給を介して、第1の排ガス装置10内の全圧が第2の排ガス装置20内の全圧に保持される。
【0029】
切換プロセスの終了後、制御装置9はガイド変数として再びプロセスチャンバ内の全圧を受け取り、これにより、圧力制御器4により決定された圧力Pが絞り弁25の制御のために使用される。この場合もまた、絞り弁25を一定値に保持し且つ均衡ガスの質量流量の変化を介して圧力制御を実行することが可能である。
【0030】
洗浄ステップの終了後に再び切換過程が行われ、この切換過程において、はじめに、作動している排ガス装置20の内部における全圧が一定値に制御され且つ作動していない排ガス装置10の全圧が同じ全圧に制御される。圧力の安定、即ち両方の排ガス装置10、20内に同じ全圧が作用している状態に到達したのちに、作動していない排ガス装置の遮断弁11が開放され、およびこれが開放されたとき直ちに、作動している排ガス装置20の遮断弁21が閉鎖される。それに続いて、再び、プロセスチャンバの内部における全圧の制御への切換が行われる。
【0031】
作動していない排ガス装置内において、供給位置22または12において供給される均衡流れの質量流量が最小値に保持される。しかしながら、それにもかかわらず、制御装置9により、作動していない排ガス装置の内部における全圧が作動している排ガス装置内の全圧の値に保持される。
【0032】
図2に示された第2の実施例においては、図1に示された実施形態が、その構造がほぼ第1の排ガス洗浄装置10の構造に対応する第3の排ガス洗浄装置30だけ補足されている。第3の排ガス装置30は、遮断弁11、21に並列に配置された第3の遮断弁31を有する。供給位置32において、第3の質量流量制御器32′により質量流量が制御されて、第3の均衡ガスが排ガス装置30内に供給される。第3の洗浄機構38として、第3の排ガス装置30は粒子フィルタを有する。粒子フィルタ38の上流側に、第3の排ガス装置の内部における全圧を決定するための第3の圧力センサ33が存在する。第3の圧力センサ33は、その値を制御装置に提供し、制御装置は、一方で、排ガス装置30の内部の全圧が他の2つの排ガス装置10、20の全圧に対応するように第3の質量流量制御器32′を操作する。
【0033】
洗浄機構38の下流側に他の圧力センサ33′が存在する。洗浄機構38の下流側に、さらに、第3の真空ポンプ36のポンプ能力を決定する第3の絞り弁35が存在する。第3の絞り弁35もまた調節可能である。第3の真空ポンプ36の下流側に第3のスクラブ洗浄装置37が存在する。
【0034】
図3に示された第3の実施例においては、1つの真空ポンプ16のみが使用されることが第1の実施例と異なっている。ただ1つの真空ポンプ16は2つの絞り弁15、25の下流側に配置されている。真空ポンプ16の下流側に共通のスクラブ洗浄装置17が存在する。
【0035】
図4に示された第4の実施例においては、真空ポンプ16、26は洗浄機構18、28の上流側に存在するが、ガス供給位置12、22の下流側に存在する。真空ポンプ16、26は、この場合、一定ポンプ能力でポンピングする。遮断弁11、21の下流側の圧力は、この場合、両方の均衡ガスの質量流量の変化により調節される。
【0036】
図4に示された実施例は、真空ポンプ16の上流側または真空ポンプ26の上流側で、しかも全圧PまたはPが測定される測定位置の下流側に絞り弁11、21が配置され、絞り弁11、21を用いて制御装置9により全圧が制御可能なように修正されてもよい。
【0037】
図5に示された実施例においては、ただ1つの真空ポンプ16の上流側に調節可能な1つの絞り弁15のみが使用される。この絞り弁15を用いて、ほぼ第1の排ガス装置10内の全圧のみが調節可能である。第2の排ガス装置20は一定値に調節された絞り弁25を有する。特に排ガス配管5から切り離された排ガス装置内の全圧を調節可能にするために、この場合もまた、供給位置12、22内に、制御装置9により制御された均衡ガスが供給される。
【0038】
上記の説明は、少なくとも下記の特徴の組み合わせによってそれぞれ独立に従来技術の変更態様を形成する、全て本出願により含まれる発明の説明に使用される。即ち、これらの特徴とは次のものである。
【0039】
相互に異なるプロセスステップにおいて、リアクタ3内に相互に異なるプロセスガスが供給可能であり、およびリアクタ3が排ガス配管5を有し、相互に異なるプロセスステップにおいて、相互に異なる排ガスが排ガス配管5を介してリアクタ3から排出可能であり、
第1の排ガス装置10が弁装置11、21により排ガス配管5と流動結合可能且つ排ガス配管5から切離し可能な該第1の排ガス装置10と、相互に異なるプロセスステップの第1のプロセスステップにおいて発生された排ガスを処理するための第1の洗浄機構18と、弁装置11、21と第1の洗浄機構18との間に配置された、第1の均衡ガスを供給するための第1のガス供給装置12と、第1の排ガス装置10内の第1の全圧Pを決定するための第1の圧力センサ13と、および
第2の排ガス装置20が弁装置11、21により排ガス配管5と流動結合可能且つ排ガス配管5から切離し可能な該第2の排ガス装置20と、相互に異なるプロセスステップの第2のプロセスステップにおいて発生された排ガスを処理するための第2の洗浄機構28と、弁装置11、21と第2の洗浄機構28との間に配置された、第2の均衡ガスを供給するための第2のガス供給装置22と、第2の排ガス装置20内の第2の全圧Pを決定するための第2の圧力センサ23とを有し、
制御装置9が設けられ、制御装置9の制御変数は第1の排ガス装置10内の全圧Pと第2の排ガス装置20内の全圧Pとの間の圧力差であり、および制御装置9は、少なくとも弁装置11、21を切り換えるときに前記圧力差がほぼ0に制御されているように設計されていることを特徴とする装置。
【0040】
相互に異なるプロセスステップにおいて、リアクタ3内に相互に異なるプロセスガスが供給され、およびリアクタ3において、相互に異なるプロセスステップにおいて相互に異なる排ガスが排ガス配管5を介してリアクタ3から排出可能である、該リアクタ3を運転するために、
この場合、第1のプロセスステップにおいて、第1の排ガス装置10が弁装置11、21により排ガス配管5と流動結合され且つ少なくとも1つの第2の排ガス装置20が排ガス配管5から切り離され、この場合、第1の排ガスが第1の排ガス装置10の第1の洗浄機構18により処理され、および特に第1の質量流量制御器12′を有する第1のガス供給装置12により弁装置11、21と第1の洗浄機構18との間に第1の均衡ガスが供給され且つ第1の圧力センサ13により第1の排ガス装置10内の全圧Pが決定され、
この場合、第2のプロセスステップにおいて、第2の排ガス装置20が弁装置11、21により排ガス配管5と流動結合され且つ少なくとも1つの第1の排ガス装置10が排ガス配管5から切り離され、この場合、第2の排ガスが第2の排ガス装置20の第2の洗浄機構28により処理され、および特に第2の質量流量制御器22′を有する第2のガス供給装置22により弁装置11、21と第2の洗浄機構28との間に第2の均衡ガスが供給され且つ第2の圧力センサ23により第2の排ガス装置20内の全圧Pが決定されて、
制御装置9により、少なくとも弁装置11、21を切り換えるときに第1の排ガス装置10内の全圧Pと第2の排ガス装置20内の全圧Pとの間の圧力差がほぼ0に制御されていることを特徴とする方法または制御プログラム。
【0041】
第1または第2の均衡ガスがそれぞれ、不活性ガス、特に窒素であることを特徴とする装置または方法。
【0042】
制御装置9の操作部が、質量流量制御器12′、22′、および/またはポンプ16、26の上流側に配置された1つまたは複数の絞り弁15、25であることを特徴とする装置または方法。
【0043】
第1の洗浄機構18がフィルタであり、および/または第2の洗浄機構28が冷却トラップであることを特徴とする装置または方法。
【0044】
プロセスステップ特に第1のプロセスステップが、リアクタ3内に特に水素化物特にNHが供給される基板成膜ステップであることを特徴とする、方法の経過を制御するための制御装置。
【0045】
プロセスステップ特に第2のプロセスステップが、リアクタ3内に洗浄ガス特にハロゲンを含むガス特にClが供給される洗浄ステップであることを特徴とする制御装置。
【0046】
弁装置11、21、31により排ガス配管5と流動結合可能且つ排ガス配管5から切離し可能な、第3の洗浄機構38を有する第3の排ガス装置30であって、特に第3の質量流量制御器32′を有する、第3の均衡ガスを供給するためのガス供給装置32と、および第3の排ガス装置30内の全圧を決定するための第3の圧力センサ33とを有し、この場合、制御装置9が、第3の排ガス装置30内の全圧を、第1または第2の排ガス装置10、20内の全圧に対して制御する、該第3の排ガス装置30を特徴とする装置または方法。
【0047】
全ての排ガス装置10、20、30がそれぞれ1つの絞り弁15、25、35を有すること、および/または少なくとも1つの排ガス装置10、20、30が絞り弁15、25、35を有さないこと、を特徴とする装置または方法。
【0048】
弁装置11、21、31が、個別に切換可能な2つないし3つの個別弁11、21、31を有し、個別弁11、21、31は、上流側で排ガス配管5と、および下流側で排ガス装置10、20、30と結合されていることを特徴とする装置または方法。
【0049】
圧力センサ13、23、33が、洗浄機構18、28、38の上流側に、特にガス供給装置12、22、32と洗浄機構18、28、38との間に配置されていることを特徴とする装置または方法。
【0050】
排ガス装置10、20、30内の全圧を決定するための、洗浄機構18、28、38の下流側に配置された他の圧力センサ13′、23′、33′を特徴とする装置または方法。
【0051】
排ガス装置10、20、30の各々が、流動方向においてそれぞれの真空ポンプ16、26、36の後方に配置されたガス洗浄17、27、37を有することを特徴とする装置または方法。
【0052】
第1のプロセスステップの間に、制御装置9により、圧力センサ4によって決定されたプロセスチャンバ圧力Pが特に絞り弁15の位置の変化により目標値に保持されること、第1のプロセスステップから第2のプロセスステップへ切り換える前に、第1の排ガス装置10の全圧Pおよび第2の排ガス装置20の全圧Pがそれぞれ同じ目標値に制御されること、両方の排ガス装置10、20内の全圧P、Pが安定したのちに、はじめに、第2の排ガス装置20を排ガス配管5と結合する弁装置の遮断弁21が開放され、それに続いて、第1の排ガス装置10を排ガス配管5と結合する弁装置の遮断弁11が閉鎖されること、およびその後に、制御装置9が、圧力センサ4により決定されたプロセスチャンバ圧力Pを、絞り弁25の位置の変化によって目標値に制御すること、を特徴とする、方法の経過を制御するための制御装置。
【0053】
開示された全ての特徴は(それ自身はもとより、相互の組合せにおいても)発明の進歩性を有している。したがって、付属の/添付の優先権資料の開示内容(先行出願のコピー)もまた、これらの資料の特徴を本出願の特許請求の範囲内に組み込むことを目的としてもまた、その内容が全て本出願の開示内に含められるものである。従属請求項は、特にこれらの請求項に基づいて部分出願を可能にするために、それらの特徴により、独自に発明力のある従来技術の変更態様を示している。
【符号の説明】
【0054】
1 ガス源
2 ガス源
2′ ガス源
3 リアクタ
4 圧力センサ
5 排ガス配管
6 ガス入口機構
7 サセプタ
8 基板
9 制御装置
10 排ガス洗浄装置
11 遮断弁/弁装置
12 ガス供給装置
12′ 質量流量制御器
13 圧力センサ
13′ 圧力センサ
15 絞り弁
16 真空ポンプ
17 ガス洗浄/スクラブ洗浄装置
18 フィルタ/洗浄機構
20 排ガス洗浄装置
21 遮断弁/弁装置
22 ガス供給装置
22′ 質量流量制御器
23 圧力センサ
23′ 圧力センサ
25 一定絞り/絞り弁
26 真空ポンプ
27 ガス洗浄/スクラブ洗浄装置
28 冷却トラップ/洗浄機構
30 排ガス洗浄装置
31 遮断弁/弁装置
32 ガス供給装置
32′ 質量流量制御器
33 圧力センサ
33′ 圧力センサ
35 絞り弁
36 真空ポンプ
37 ガス洗浄/スクラブ洗浄装置
38 フィルタ/洗浄機構
第1の全圧
プロセスチャンバ圧力
第2の全圧
図1
図2
図3
図4
図5