特許第6574632号(P6574632)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574632
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】表示ドライバ
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20190902BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20190902BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 670Q
   G09G3/20 623E
   G09G3/20 641S
   G09G3/20 623C
   G09G3/20 631W
   G01R31/28 U
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-151321(P2015-151321)
(22)【出願日】2015年7月30日
(65)【公開番号】特開2017-32726(P2017-32726A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147728
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 信司
(72)【発明者】
【氏名】中西 勇一
【審査官】 西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−126435(JP,A)
【文献】 特開2004−198908(JP,A)
【文献】 特開2004−328627(JP,A)
【文献】 特開平07−260857(JP,A)
【文献】 特開2010−096785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 − 3/38
G02F 1/133
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号に応じて表示デバイスを駆動する複数の駆動電圧を出力する表示ドライバであって、
テスト対象とする前記駆動電圧の出力チャネル数を指定するチャネル数指定情報、及びテスト対象とする輝度階調数を指定する階調数指定情報記憶ている記憶部と、
テスト信号の入力により、前記記憶部に記憶されている前記チャネル数指定情報及び前記階調数指定情報に基づいて、前記階調数指定情報前記輝度階調数各階調を示すテストデータ片を、階調毎に、前記チャネル数指定情報前記出力チャネル数の数生成するテストデータ生成部と、
各々が前記映像信号に基づく各画素の輝度階調を示す画素データ片と、生成された前記テストデータ片とのうちの一方を選択するデータセレクタと、
前記画素データ片と前記テストデータ片とのうちで前記データセレクタによって選択された方を階調電圧に変換し、前記階調電圧を有する前記駆動電圧を出力する電圧変換出力部と、を有することを特徴とする表示ドライバ。
【請求項2】
前記テストデータ生成部は、生成した前記テストデータ片の各々を前記チャネル数指定情報にて示される前記出力チャネル数毎に前記データセレクタに送出することを特徴とする請求項1記載の表示ドライバ。
【請求項3】
前記テストデータ生成部は、前記出力チャネル数毎に前記出力チャネル数の前記テストデータ片の各々を互いに異なるタイミングで前記データセレクタに送出することを特徴とする請求項2記載の表示ドライバ。
【請求項4】
前記テストデータ生成部は、前記出力チャネル数毎に前記テストデータ片を前記データセレクタに送出し終える度にレディ信号を外部出力することを特徴とする請求項2又は3記載の表示ドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号に応じて表示デバイスを駆動する表示ドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置としての例えば液晶表示装置には、液晶表示パネルと、映像信号に基づく各画素の輝度レベルに対応した階調電圧を液晶表示パネルに供給する表示ドライバとが設けられている。このような表示ドライバに対する製品出荷前のテストの1つとして、1水平応差ライン分の各画素に対応した階調電圧の各々が、階調毎にその階調に対応した適切な電圧値を有しているか否かをテストする階調テストが行われる。
【0003】
なお、当該階調テストでは、テスタが送出したテストデータによって表示ドライバを動作させ、この際、表示ドライバの各出力チャネルを介して出力された階調電圧の各々をテスタで測定する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−65538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなテスト方法によると、テスタ側で用意しなければならないテストデータのパターン数は、輝度階調数×出力チャネル数の結果となる。よって、液晶表示装置の大画面化及び高精細化に伴い、テスタ側で用意するテストデータのパターン数は膨大になる。また、テスト対象となる表示ドライバの仕様により、テスト対象とする出力チャネル数及び輝度階調数等が異なっている為、表示ドライバの仕様毎に専用のテストデータを用意する必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、製品出荷前のテストを容易化することが可能な表示ドライバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示デバイスのドライバは、映像信号に応じて表示デバイスを駆動する複数の駆動電圧を出力する表示ドライバであって、テスト対象とする前記駆動電圧の出力チャネル数を指定するチャネル数指定情報、及びテスト対象とする輝度階調数を指定する階調数指定情報記憶ている記憶部と、テスト信号の入力により、前記記憶部に記憶されている前記チャネル数指定情報及び前記階調数指定情報に基づいて、前記階調数指定情報前記輝度階調数各階調を示すテストデータ片を、階調毎に、前記チャネル数指定情報前記出力チャネル数の数生成するテストデータ生成部と、各々が前記映像信号に基づく各画素の輝度階調を示す画素データ片と、生成された前記テストデータ片とのうちの一方を選択するデータセレクタと、前記画素データ片と前記テストデータ片とのうちで前記データセレクタによって選択された方を階調電圧に変換し、前記階調電圧を有する前記駆動電圧を出力する電圧変換出力部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る表示ドライバによれば、テスト時には、当該表示ドライバに記憶されている階調数指定情報及びチャネル数指定情報に基づき、この表示ドライバの仕様(輝度階調数、出力チャネル数)に対応したテストデータが当該表示ドライバ内で自動生成される。従って、テスタ側において表示ドライバの各種仕様に対応した専用のテストデータを用意する必要がなくなり、製品出荷前のテストを容易化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る表示ドライバを含む表示装置100の概略構成を示す図である。
図2】データドライバ13の内部構成を示すブロック図である。
図3】階調テストの概要を示すタイムチャートである。
図4】第1及び第2の階調テスト工程GT1及びGT2各々でのテスト動作を示すタイムチャートである。
図5】テスタ200と、テスト対象となるデータドライバ13との接続形態を示す図である。
図6】データドライバ13の内部構成の他の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る表示ドライバを含む表示装置100の概略構成を示す図である。図1において、表示デバイス20は、例えば液晶又は有機ELパネル等からなる。表示デバイス20には、2次元画面の水平方向に伸張するm個(mは2以上の自然数)の水平走査ラインS1〜Smと、2次元画面の垂直方向に伸張するn個(nは2以上の自然数)のデータラインD1〜Dnとが形成されている。水平走査ライン及びデータラインの各交叉部には、画素を担う表示セルが形成されている。尚、表示デバイス20の水平走査ラインS1〜Smは走査ドライバ12と接続されており、データラインD1〜Dnはデータドライバ13と接続されている。
【0012】
駆動制御部11は、映像信号VD中から水平同期信号を検出して走査ドライバ12に供給する。また、駆動制御部11は、映像信号VDに基づき各画素の輝度レベルを例えば8ビットの輝度階調で表す画素データPDの系列を生成してデータドライバ13に供給する。
【0013】
走査ドライバ12は、駆動制御部11から供給された水平同期信号に同期したタイミングで、水平走査パルスを表示デバイス20の水平走査ラインS1〜Smの各々に順次印加する。
【0014】
データドライバ13は、半導体IC(integrated circuit)チップに形成されている。データドライバ13は、この半導体ICチップの外部から供給されたテスト信号TESが通常モードを示す場合には、駆動制御部11から供給された画素データPDを1水平走査ライン分、つまりn個毎に、各画素データPDにて示される輝度階調に対応した階調電圧を有する画素駆動電圧G1〜Gnに変換する。そして、データドライバ13は、当該画素駆動電圧G1〜Gnを表示デバイス20のデータラインD1〜Dnに印加する。すなわち、データドライバ13は、n個の出力チャネルを介して画素駆動電圧G1〜Gnを表示デバイス20のデータラインD1〜Dnに夫々供給する。
【0015】
一方、テスト信号TESがテストモードを示す場合には、データドライバ13は、自己故障診断テスト(後述する)を実行する。尚、自己故障診断テストでは、データドライバ13は、外部から供給された極性切替信号POLに基づき階調電圧の極性を正極から負極、又は負極から正極に変更する。また、この自己故障診断テストにおいて、データドライバ13は、外部から供給されたデータロード信号LNに応じて、テストデータ(後述する)に基づいて生成された画素駆動電圧G1〜Gnを出力する。
【0016】
図2は、データドライバ13の内部構成を示すブロック図である。図2において、レジスタ130には、テスト対象とする出力チャネルの数を指定するチャネル数指定情報CN、及びテスト対象とする輝度階調数を指定する階調数指定情報GNが予め記憶されている。
【0017】
例えば、画素駆動電圧G1〜Gnに夫々対応したn個の出力チャネルを全てテスト対象とする場合には、"n"を示すチャネル数指定情報CNを予めレジスタ130に記憶しておく。一方、輝度階調数として階調数K(Kは2以上の整数)で表される第1〜第Kの各階調をテスト対象とする場合には、"K"を示す階調数指定情報GNを予めレジスタ130に記憶しておく。例えば画素データ片が8ビットで256階調の輝度を表す場合には"256"、また、画素データ片が6ビットで64階調の輝度を表す場合には、"64"を示す階調数指定情報GNを予めレジスタ130に記憶しておく。
【0018】
レジスタ130は、上記のように記憶されているチャネル数指定情報CN及び階調数指定情報GNをテストデータ生成部131に供給する。
【0019】
テストデータ生成部131は、テスト信号TESがテストモードを示す例えば論理レベル1の状態にある場合には、チャネル数指定情報CN及び階調数指定情報GNに基づき、テスト用データとして画素毎の輝度階調を表すテストデータTDの系列を生成し、当該テストデータTDの系列をデータセレクタ132に送出する。
【0020】
すなわち、テストデータ生成部131は、階調数Kを指定する階調数指定情報GNに基づき、第1〜第Kの階調に夫々対応した、図3に示す第1〜第Kの階調テスト工程GT1〜GT(K)を順に実行する。例えば、階調数Kが"256"を示す場合、テストデータ生成部131は、第1〜第256の階調テスト工程GT1〜GT256を順に実行する。また、例えば階調数Kが"64"を示す場合、テストデータ生成部131は、第1〜第64の階調テスト工程GT1〜GT64を順に実行する。
【0021】
テストデータ生成部131は、第1〜第Kの階調テスト工程GT1〜GT(K)の各々において、その階調の値を表すテストデータTDを、チャネル数指定情報CNにて指定された出力チャネル数の分だけ繰り返し生成し、生成されたテストデータTDの系列をデータセレクタ132に送出する。
【0022】
すなわち、テストデータ生成部131は、階調数指定情報(GN)にて指定されている階調数に基づく各階調を表すテストデータ片(TD)を、階調毎に、上記したチャネル数指定情報(CN)にて指定されている出力チャネル数の分だけ生成する。
【0023】
更に、テストデータ生成部131は、第1〜第Kの階調テスト工程GT1〜GT(K)の各々において、テストデータTDを送出している期間に亘り、テストデータの送出が完了していないことを表す論理レベル0のレディ信号RDYを外部に出力する。そして、第1〜第Kの階調テスト工程GT1〜GT(K)の各々で、テストデータTDを全て送出し終える度に、テストデータ生成部131は、所定期間に亘り論理レベル1となるレディ信号RDYを外部に出力する。
【0024】
尚、テストデータ生成部131は、テスト信号TESが通常モードを示す場合には動作停止状態となる。
【0025】
データセレクタ132は、テストデータ生成部131から送出されたテストデータTDによる系列と、駆動制御部11から供給された画素データPDの系列とのうちから、テスト信号TESに応じた方を選択し、これをデータ取込部133に供給する。すなわち、データセレクタ132は、テスト信号TESが通常モードを示す場合には駆動制御部11から供給された画素データPDの系列を選択し、選択した画素データPDの系列をデータ取込部133に供給する。一方、テスト信号TESがテストモードを示す場合には、データセレクタ132は、テストデータTDの系列を選択し、選択したテストデータTDの系列をデータ取込部133に供給する。
【0026】
データ取込部133は、データセレクタ132から供給された画素データPDの系列又はテストデータTDの系列を順次取り込む。データ取込部133は、1水平走査ライン分のn個、つまり全出力チャネル分の画素データPD又はテストデータTDの取り込みが完了する度に、取り込んだn個のデータ片(PD又はTD)を画素データR1〜Rnとしてデータラッチ部134に供給する。
【0027】
データラッチ部134は、テスト信号TESが通常モードを示す場合には、画素データR1〜Rnを夫々異なるタイミングで取り込み、夫々を取り込んだタイミングで画素データQ1〜Qnとして階調電圧変換部133に供給する。また、テスト信号TESがテストモードを示す場合には、データラッチ部134は、外部供給されたデータロード信号LNに応じて、画素データR1〜Rnを夫々異なるタイミングで取り込み、夫々を取り込んだタイミングで画素データQ1〜Qnとして階調電圧変換部133に供給する
階調電圧変換部133は、データラッチ部134から供給された画素データQ1〜Qnを、その画素データQによって示される輝度階調に対応した正極性の電圧値を有する正極性の階調電圧P1〜Pnに変換する。更に、階調電圧変換部133は、これら画素データQ1〜Qnの各々を、その画素データQによって示される輝度階調に対応した負極性の電圧値を有する負極性の階調電圧N1〜Nnに変換する。
【0028】
階調電圧変換部133は、正極性の階調電圧P1〜Pn及び負極性の階調電圧N1〜Nnを極性切替部136に供給する。
【0029】
極性切替部136は、テスト信号TESが通常モードを示す場合には、正極性の階調電圧P1〜Pnと、負極性の階調電圧N1〜Nnとを所定の周期にて交互に選択し、選択した方を階調電圧A1〜Anとして出力部137に供給する。一方、テスト信号TESがテストモードを示す場合には、極性切替部136は、外部供給された極性切替信号POLに応じて正極性の階調電圧P1〜Pnと、負極性の階調電圧N1〜Nnとのうちの一方を選択し、選択した方を階調電圧A1〜Anとして出力部137に供給する。
【0030】
出力部137は、階調電圧A1〜Anを夫々個別に増幅して得られた画素駆動電圧G1〜Gnを送出する。
【0031】
以下に、製造後、製品出荷前のデータドライバ13に対して実施される階調テストについて説明する。尚、当該階調テストを実施するにあたり、図5に示すように、テスタ200をテスト対象となるデータドライバ13に接続する。
【0032】
テスタ200は、先ず、図3に示すように、テストモードを示す論理レベル1のテスト信号TESをデータドライバ13に供給する。テスト信号TESに応じて、テストデータ生成部131は、レジスタ130に記憶されているチャネル数指定情報CN及び階調数指定情報GNに基づきテストデータTDの系列を生成する。すなわち、テストデータ生成部131は、階調数指定情報GNにて指定された階調数Kに対応した、図3に示す第1〜第Kの階調テスト工程GT1〜GT(K)の各々で、その階調の値を表すテストデータTDを、レジスタ130に記憶されているチャネル数指定情報CNにて指定された出力チャネル数の分だけ繰り返し生成する。
【0033】
例えば、データドライバ13の全ての出力チャネル数である"n"を示すチャネル数指定情報CNが供給された場合、テストデータ生成部131は、例えば第1の階調テスト工程GT1では、図4に示すように、第1階調を8ビットのデータ[00]hで表すテストデータTDがn個だけ連続する系列を生成し、データセレクタ132に送出する。また、例えば第2の階調テスト工程GT2では、テストデータ生成部131は、図4に示すように、第2階調を8ビットのデータ[01]hで表すテストデータTDがn個だけ連続する系列を生成し、データセレクタ132に送出する。
【0034】
この間、データセレクタ132は、テストモードを示す論理レベル1のテスト信号TESに応じて、テストデータTDの系列を順次、データ取込133に供給する。よって、第1〜第Kの階調テスト工程GT1〜GT(K)の各々において、データ取込133は、n個のテストデータTDの系列を取り込み、画素データR1〜Rnとしてデータラッチ部134に供給する。
【0035】
更に、テストデータ生成部131は、階調テスト工程GT1〜GT(K)の各々において、例えば図4に示すように、n個のテストデータTDの系列を送出している期間中は論理レベル0、送出を完了したら所定の期間TPの間だけ論理レベル1となるレディ信号RDYをテスタ200に供給する。
【0036】
テスタ200は、階調テスト工程GT1〜GT(K)の各々において、図4に示すように、レディ信号RDYが論理レベル0から論理レベル1に遷移したら、論理レベル0の状態から論理レベル1に遷移するデータロード信号LNをデータドライバ13に供給する。更に、テスタ200は、レディ信号RDYが論理レベル1の状態にある期間TPを第1の期間TSP1と、それに後続する第2の期間TSP2とに分割した際の期間TSP1では論理レベル0を有し、期間TSP2では論理レベル1を有する極性切替信号POLをデータドライバ13に供給する。
【0037】
よって、例えば第1の階調テスト工程GT1では、データドライバ13は、図4に示すように、データロード信号LNに応じて、テストデータTDにて示される第1階調([00]h)に対応した階調電圧値を有するn個の画素駆動電圧G1〜Gnを出力する。この際、データドライバ13は、極性切替信号POLに基づき、図4に示す期間TSP1では正極性の階調電圧を有する画素駆動電圧G1〜Gnを出力し、期間TSP2では負極性の階調電圧を有する画素駆動電圧G1〜Gnを出力する。
【0038】
そこで、テスタ200は、第1の階調テスト工程GT1の期間TSP1内において、第1〜第nの出力チャネルに夫々対応した正極性の画素駆動電圧G1〜Gnを取り込み、出力チャネル毎に、画素駆動電圧Gの電圧値が第1階調([00]h)に対応した適正な正極性の階調電圧値を有するか否かを判定する。そして、引き続きテスタ200は、期間TSP2内において、第1〜第nの出力チャネルに夫々対応した負極性の画素駆動電圧G1〜Gnを取り込み、出力チャネル毎に、画素駆動電圧Gの電圧値が第1階調([00]h)に対応した適正な負極性の階調電圧値を有するか否かを判定する。
【0039】
テスタ200及びデータドライバ13は、上記した第1の階調テスト工程GT1と同様な動作を、階調テスト工程GT2〜GT(K)の各々において繰り返し実行する。
【0040】
よって、上記した第1〜第Kの階調テスト工程GT1〜GT(K)にて、データドライバ13の各出力チャネルに対して個別に、第1〜第Kの各階調に対応した適正な正極性及び負極性の階調電圧値を有する画素駆動電圧Gが得られたか否かを判定する階調テストが為される。
【0041】
このように、データドライバ13では、外部供給されたテスト信号TESに応じて、当該データドライバ13内に形成されているテストデータ生成部131が自動的に各階調を表すテストデータを生成し、このテストデータに基づき階調テストを実行する。これにより、テスタ200側においてテストデータを用意しておく必要がなくなるので、テスト容易化が図られる。
【0042】
更に、データドライバ13には、階調テストを実施する際のテスト対象として、輝度階調数を指定する階調数指定情報GN、及び画素駆動電圧の出力チャネル数を指定するチャネル数指定情報CNを記憶するレジスタ130が設けられている。テストデータ生成部131は、テストモードを示すテスト信号TESに応じて、先ず、レジスタ130から階調数指定情報GN及びチャネル数指定情報CNを読み出す。そして、テストデータ生成部131は、この階調数指定情報GNにて指定された輝度階調数に基づく各階調を示すテストデータ片(TD)を、階調毎に、チャネル数指定情報CNにて指定されている出力チャネル数の数だけ自動生成する。
【0043】
例えば、階調数指定情報GNにて指定された輝度階調数が"256"、チャネル数指定情報CNにて指定された出力チャネル数が"1440"である場合、テストデータ生成部131は、第1〜第256の階調テスト工程GT1〜GT256の各々で、その階調を表すテストデータTDが1440個だけ連続するテストデータ片の系列を生成する。また、例えば階調数指定情報GNにて指定された輝度階調数が"64"、チャネル数指定情報CNにて指定された出力チャネル数が"960"である場合、テストデータ生成部131は、第1〜第64の階調テスト工程GT1〜GT64の各々で、その階調を表すテストデータTDが960個だけ連続するテストデータ片の系列を生成する。
【0044】
よって、上記した構成によれば、テスト対象とする出力チャネル数及び輝度階調数を指定する情報(CN、GN)をレジスタ130に記憶しておけば、テストモード時において、データドライバ13の仕様(輝度階調数、出力チャネル数)に対応したテストデータが、当該データドライバ13内で自動生成される。従って、データドライバの仕様(輝度階調数、出力チャネル数)に対応した専用のテストデータを用意する必要がなくなるので、製品出荷前のテストを容易化することが可能となる。
【0045】
尚、上記実施例では、1水平走査ライン分、つまり出力チャネル数分のテストデータTDの系列をデータセレクタ132を介してシリアル形態にてデータ取込部133に供給するようにしている。しかしながら、出力チャネル数分のテストデータTDをデータ取込部133を介さずにパラレル形態にてデータラッチ部134に供給するようにしても良い。
【0046】
図6は、かかる点に鑑みて為されたデータドライバ13の内部構成の他の一例を示すブロック図である。
【0047】
尚、図6に示す構成では、図2に示すテストデータ生成部131に代えてテストデータ生成部141を採用し、図2に示すデータセレクタ132に代えてデータセレクタ142を採用している。この際、図6に示されるレジスタ130、データラッチ部134、階調電圧変換部135、極性切替部136及び出力部137各々の動作については、図2に示されるものと同一である。
【0048】
図6において、データ取込部133は、駆動制御部11から供給された画素データPDの系列を順次取り込む。データ取込部133は、1水平走査ライン分のn個の画素データPDの取り込みが完了する度に、取り込んだn個のデータ片(PD)を画素データR1〜Rnとしてデータセレクタ142に供給する。
【0049】
テストデータ生成部141は、テスト信号TESがテストモードを示す場合には、レジスタ130に記憶されているチャネル数指定情報CN及び階調数指定情報GNに基づき、テスト用データとして輝度階調を表すテストデータを生成する。尚、チャネル数指定情報CN及び階調数指定情報GNに基づくテストデータの生成動作については、上記したテストデータ生成部131での動作と同様である。テストデータ生成部141は、生成したテストデータを、チャネル数指定情報CNにて指定された出力チャネル数、例えばn個毎にテストデータTD1〜TDnとしてデータセレクタ142に供給する。この際、テストデータ生成部141は、テストデータTD1〜TDnの各々を互いに異なるタイミングでデータセレクタ142に送出する。
【0050】
これにより、テストデータTD1〜TDnの供給に伴いデータセレクタ142内に流れ込む動作電流のタイミングが時間的に分散されるので、当該動作電流が同時に流れ込むことによって発生するノイズを抑制することが可能となる。
【0051】
ここで、テストデータ生成部141は、出力チャネル数(例えばn個)毎に、その出力チャネル数のテストデータTD1〜TDnを送出している期間中は論理レベル0、テストデータTD1〜TDnを送出し終えると論理レベル1を有するレディ信号RDYを外部に出力する。
【0052】
尚、テストデータ生成部131は、テスト信号TESが通常モードを示す場合には動作停止状態となる。
【0053】
データセレクタ142は、テストデータ生成部141から送出されたテストデータTD1〜TDnと、データ取込部133から供給された画素データR1〜Rnとのうちから、テスト信号TESに応じた方を選択し、選択した方をデータラッチ部134に供給する。すなわち、データセレクタ142は、テスト信号TESが通常モードを示す場合には画素データR1〜Rnを選択してデータラッチ部134に供給する。一方、テスト信号TESがテストモードを示す場合にはデータセレクタ142は、テストデータTD1〜TDnを選択してデータラッチ部134に供給する。
【0054】
このように、図6に示す構成では、テストデータ生成部141は、チャネル数指定情報CNにて指定された出力チャネル数分の複数のテストデータTDをパラレル形態にて生成するようにしている。
【0055】
よって、図6に示す構成を採用した場合には、図2に示す構成を採用した場合に必要となる、データ取込部133へのシリアル形態でのテストデータの転送期間、及びデータ取込部133でのデータ取込期間が不要となる。従って、図6に示す構成を採用した場合には、図2に示す構成を採用した場合に比べて階調テストに費やされるテスト期間を短縮することが可能となる。
【0056】
また、上記実施例では、記憶部としてのレジスタ130に、チャネル数指定情報CN及び階調数指定情報GNを記憶しているが、これらチャネル数指定情報CN及び階調数指定情報GNをヒューズ型PROM(Programmable Read Only Memory)等の不揮発性の記憶部に記憶しておくようにしても良い。
【0057】
要するに、映像信号(VD)に応じて表示デバイス(20)を駆動する複数の駆動電圧(G1〜Gn)を出力する表示ドライバ(13)として、以下の記憶部(130)、テストデータ生成部(131、141)、データセレクタ(132、142)及び電圧変換出力部(135、137)を有するものであれば良いのである。
【0058】
つまり、記憶部には、テスト対象とする出力チャネル数を指定するチャネル数指定情報(CN)、及びテスト対象とする輝度階調数を指定する階調数指定情報(GN)が記憶されている。テストデータ生成部は、テスト信号(TES)に応じて、記憶部に記憶されている階調数指定情報にて指定されている輝度階調数に基づく各階調を示すテストデータ片(TD)を、階調毎に、チャネル数指定情報にて指定されている出力チャネル数の数だけ生成する。データセレクタは、各々が映像信号に基づく各画素の輝度階調を示す画素データ片(PD)と、上記したテストデータ片とのうちの一方を選択する。電圧変換出力部は、データセレクタによって選択された方を階調電圧に変換し、当該階調電圧を有する駆動電圧を出力する。
【0059】
よって、かかる構成によれば、テストモード時には、表示ドライバに設けられている記憶部に記憶されている階調数指定情報及びチャネル数指定情報に基づき、この表示ドライバの仕様(輝度階調数、出力チャネル数)に対応したテストデータが、当該表示ドライバ内で自動生成される。従って、表示ドライバの各種仕様に対応した専用のテストデータを用意する必要がなくなるので、製品出荷前のテストを容易化することが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
13 データドライバ
20 表示デバイス
100 表示装置
130 レジスタ
131、141 テストデータ生成部
132、142 データセレクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6