(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記異常状態推定部は、前記位置情報の時刻が属する時間帯及び前記移動距離に応じて、該時間帯における外出の危険度合いを示す時間帯補正値を算定し、前記外出危険度及び前記移動距離に応じて算定した前記異常状態推定値に該時間帯補正値を加算することによって、前記異常状態推定値を補正する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の見守りシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に例示される従来の見守りシステムは、見守り対象者の属性を考慮せず、位置情報に基づいて各見守り対象者の状態を一律に判断している。しかしながら、見守り対象者の属性によっては、その見守り対象者がその場所に居ることが異常であったり異常でなかったりする可能性がある。
【0007】
例えば、見守り対象者が重度の認知症患者であり、この見守り対象者が外出不可能であるならば、この見守り対象者が自宅外に居ることは一般的には異常である。一方、見守り対象者が軽度の認知症患者であり、この見守り対象者が外出可能であるならば、この見守り対象者が自宅外に居ることは異常であるとは限らない。従来の見守りシステムでは、このような見守り対象者の属性に応じて適切に異常を検知することはできなかった。
【0008】
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、見守り対象者の属性に応じて適切に異常を検知可能な見守りシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0010】
すなわち、本発明の一側面に係る見守りシステムは、見守り対象者の所持する通信装置から該見守り対象者の位置を特定可能な位置情報を取得する位置情報取得部と、取得された前記位置情報に基づいて、前記見守り対象者の自宅からの移動距離を算出する移動距離算出部と、前記見守り対象者の外出能力に関する属性として予め選択された外出タイプに応じて設定された、前記見守り対象者の外出の危険度合いを示す外出危険度、及び算出された前記移動距離に応じて、前記見守り対象者の状態の異常度合いを示す異常状態推定値を算定する異常状態推定部と、算定された前記異常状態推定値が所定値を超えているか否かを判定し、算定された前記異常状態推定値が該所定値を超えていると判定した場合に、前記見守り対象者の異常状態を検知したことを知らせるための異常検知通知を所定の通知先に行う異常検知通知部と、を備える。
【0011】
上記構成では、見守り対象者の所持する通信装置から位置情報が取得され、この位置情報に基づいて、当該見守り対象者の自宅からの移動距離が算出される。また、上記構成では、外出能力に関する属性として外出タイプが用意されており、見守り対象者毎にその外出タイプが予め選択されている。更に、外出タイプには、外出の危険度合いを示す外出危険度が設定されており、その外出危険度と算出した移動距離とに応じて、見守り対象者の状態の異常度合いを示す異常状態推定値が算定される。そして、算定された異常状態推定値に基づいて、見守り対象者の異常状態の検知が行われる。
【0012】
したがって、上記構成によれば、見守り対象者の状態が異常であるか否かを判定する指標となる異常状態推定値は、自宅からの移動距離のみならず、見守り対象者の外出能力に関する属性を考慮して算定される。よって、上記構成によれば、見守り対象者の属性に応じて、当該見守り対象者の異常を適切に検知することができる。
【0013】
なお、見守り対象者の所持する通信装置は、通信可能な機器であれば特に限定されなくてよく、例えば、携帯電話、無線通信機等である。また、位置情報は、見守り対象者(通信装置)の位置を特定可能な情報であれば特に限定されなくてもよく、例えば、GPS測定値、受信信号強度(RSSI)、信号の到達時間(TOA:Time Of Arrival、TDOA:Time Difference Of Arrival)等である。
【0014】
また、上記一側面に係る見守りシステムの別の形態として、前記異常状態推定部は、前記移動距離に応じて定まる移動度と前記外出危険度とを積算することで、前記異常状態推定値を算定してもよい。
【0015】
当該構成によれば、見守り対象者の状態が異常であるか否かを判定する指標となる異常状態推定値は、移動距離に応じて定まる移動度と見守り対象者の外出危険度との積によって表される。そのため、異常状態推定値は、より外出の危険な見守り対象者がより遠い場所へ外出するほど高い値になる。したがって、当該構成によれば、より外出の危険な見守り対象者がより遠い場所へ外出するほどより異常事態であるという状況を異常状態推定値に十分に反映することができ、これによって、見守り対象者の異常を適切に検知することができる。
【0016】
また、上記一側面に係る見守りシステムの別の形態として、前記外出タイプには、予め指定された指定距離に基づいて異常状態推定値を算定する指定距離タイプが含まれてもよい。そして、前記見守り対象者が前記指定距離タイプに選択されている場合には、前記異常状態推定部は、前記見守り対象者の前記移動距離が前記指定距離を超えているか否かの判定に応じて、前記異常状態推定値を算定してもよい。
【0017】
当該構成によれば、見守り対象者の外出能力を示す外出タイプとして、予め指定された距離に基づいて異常状態推定値を算定する指定距離タイプが設けられる。これによって、当該構成によれば、多様な条件で、見守り対象者の異常を検知することができる。
【0018】
また、上記一側面に係る見守りシステムの別の形態として、前記異常状態推定部は、前記位置情報の時刻が属する時間帯及び前記移動距離に応じて、該時間帯における外出の危険度合いを示す時間帯補正値を算定してもよい。そして、当該異常状態推定部は、前記外出危険度及び前記移動距離に応じて算定した前記異常状態推定値に該時間帯補正値を加算することによって、前記異常状態推定値を補正してもよい。
【0019】
当該構成では、見守り対象者の状態が異常であるか否かを判定する指標となる異常状態推定値が、位置情報の時刻が属する時間帯における外出の危険度合いを示す時間帯補正値によって補正される。したがって、当該構成によれば、外出の時間帯を更に考慮して、見守り対象者の異常を検知することができる。
【0020】
そのため、例えば、比較的に外出可能な見守り対象者の見守りを行う場合に、当該構成に係る見守りシステムは、比較的に危険ではない時間帯であれば、当該見守り対象者が自宅から比較的に遠い場所に外出しても異常ではないと判定することができる。一方、当該構成に係る見守りシステムは、比較的に危険な時間帯であれば、当該見守り対象者が自宅から比較的に近い場所に外出しただけでも異常であると判定することができる。
【0021】
なお、比較的に危険な時間帯及び危険ではない時間帯は、実施の形態に応じて適宜選択することができる。例えば、比較的に危険な時間帯として深夜の時間帯を設定し、比較的に危険ではない時間帯として日中の時間帯を設定することができる。
【0022】
また、上記一側面に係る見守りシステムの別の形態として、前記位置情報取得部は、前記見守り対象者が所持する前記通信装置から継続的に複数件の位置情報を取得してもよい。そして、上記見守りシステムは、更に、継続的に取得される前記複数件の前記位置情報と各件の位置情報の時刻とに基づいて、所定距離の範囲内における滞在時間を算出する滞在時間算出部と、前記各件の位置情報により特定される位置を含むエリアの気温を取得する気温取得部と、を備えてもよい。更に、前記異常状態推定部は、算出された前記滞在時間及び取得された前記気温に応じて、前記範囲内に滞在することの危険度合いを示す滞在危険度を算定してもよく、前記外出危険度及び前記移動距離に応じて算定した前記異常状態推定値に該滞在危険度を加算することによって、前記異常状態推定値を補正してもよい。
【0023】
当該構成では、見守り対象者の状態が異常であるか否かを判定する指標となる異常状態推定値が、所定距離の範囲内における滞在時間及び気温に応じた滞在危険度によって補正される。したがって、当該構成によれば、そのエリアに滞在することの危険度を更に考慮して、見守り対象者の異常を検知することができる。そのため、例えば、比較的に外出可能な見守り対象者が自宅から近い場所に滞在している場合に、その場所が高温で滞在に適していないときには、当該構成に係る見守りシステムは、当該見守り対象者がその場所に滞在している状態を異常状態と判定することができる。
【0024】
また、上記一側面に係る見守りシステムの別の形態として、前記異常状態推定部は、前記見守り対象者の自立度合いを示す指標として予め設定された自立度を前記滞在危険度に加算することによって、前記滞在危険度を補正してもよい。
【0025】
当該構成では、滞在時間及び気温に基づいて算定される滞在危険度を、見守り対象者の自立度合いを示す自立度によって補正する。この自立度は、見守り対象者の属性として、例えば、体力的な衰え等を示す指標である。したがって、当該構成によれば、この自立度を考慮することで、見守り対象者が異常事態に遭遇しているか否かを更にきめ細かく判定することができる。
【0026】
また、上記一側面に係る見守りシステムの別の形態として、上記見守りシステムは、前記見守り対象者の自宅に設置された人感センサの測定結果を取得し、取得された前記人感センサの測定結果に基づいて前記見守り対象者が自宅に居ないと判定され、かつ、取得された前記位置情報により特定される位置が前記見守り対象者の自宅内であると判定される場合に、前記見守り対象者が前記通信装置を所持していないことを知らせるための不携帯警報を行う、不携帯警報部を更に備えてもよい。
【0027】
当該構成に係る見守りシステムは、見守り対象者の所持する通信装置から位置情報を取得する。そのため、見守り対象者がその通信装置を携帯していない場合には、見守りシステムは、見守り対象者の位置を特定することができなくなり、これによって、当該見守り対象者の見守りができなくなってしまう。
【0028】
そこで、当該構成では、見守り対象者の自宅に人感センサを設置する。そして、人感センサの測定結果及び通信装置からの位置情報という見守り対象者の存在場所を特定するための2種類の情報の乖離に基づいて、見守り対象者の通信装置の不携帯を検知する。
【0029】
すなわち、当該構成に係る見守りシステムは、人感センサの測定結果により見守り対象者が自宅に居ないと判定されるにも関わらず、通信装置からの位置情報が当該見守り対象者の自宅内を示している場合に、見守り対象者の通信装置の不携帯を検知する。そして、当該構成に係る見守りシステムは、見守り対象者の通信装置の不携帯を検知したときには、そのことを知らせるための警報を行う。
【0030】
したがって、当該構成によれば、通信装置を所持せずに見守り対象者が外出した場合に、そのことを知らせる警報を行うことにより、例えば、当該見守り対象者を見守る者等に対して注意を喚起することができる。よって、当該構成によれば、見守り対象者が通信装置を所持していないことで見守りシステムが見守り対象者の見守りを行うことのできない状況が放置されるのを防止することができる。
【0031】
なお、上記各形態に係る見守りシステムの別の形態として、以上の各構成を実現する情報処理方法であってもよいし、プログラムであってもよいし、このようなプログラムを記録したコンピュータその他装置、機械等が読み取り可能な記憶媒体であってもよい。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的、又は、化学的作用によって蓄積する媒体である。また、上記見守りシステムは、1又は複数の情報処理装置によって実現されてもよい。
【0032】
例えば、本発明の一側面に係る見守り方法は、コンピュータが、見守り対象者の所持する通信装置から該見守り対象者の位置を特定可能な位置情報を取得するステップと、取得された前記位置情報に基づいて、前記見守り対象者の自宅からの移動距離を算出するステップと、前記見守り対象者の外出能力に関する属性として予め選択された外出タイプに応じて設定された、前記見守り対象者の外出の危険度合いを示す外出危険度、及び算出された前記移動距離に応じて、前記見守り対象者の状態の異常度合いを示す異常状態推定値を算定するステップと、算定された前記異常状態推定値が所定値を超えているか否かを判定するステップと、算定された前記異常状態推定値が該所定値を超えていると判定した場合に、前記見守り対象者の異常状態を検知したことを知らせるための異常検知通知を所定の通知先に行うステップと、を実行する情報処理方法である。
【0033】
また、例えば、本発明の一側面に係る見守りプログラムは、コンピュータに、見守り対象者の所持する通信装置から該見守り対象者の位置を特定可能な位置情報を取得するステップと、取得された前記位置情報に基づいて、前記見守り対象者の自宅からの移動距離を算出するステップと、前記見守り対象者の外出能力に関する属性として予め選択された外出タイプに応じて設定された、前記見守り対象者の外出の危険度合いを示す外出危険度、及び算出された前記移動距離に応じて、前記見守り対象者の状態の異常度合いを示す異常状態推定値を算定するステップと、算定された前記異常状態推定値が所定値を超えているか否かを判定するステップと、算定された前記異常状態推定値が該所定値を超えていると判定した場合に、前記見守り対象者の異常状態を検知したことを知らせるための異常検知通知を所定の通知先に行うステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、見守り対象者の属性に応じて適切に異常を検知可能な見守りシステムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。なお、本実施形態において登場するデータを自然言語により説明しているが、より具体的には、コンピュータが認識可能な疑似言語、コマンド、パラメタ、マシン語等で指定される。
【0037】
§1 適用場面
まず、
図1を用いて、本発明が適用される場面について説明する。
図1は、本実施形態に係る見守りシステム1が用いられる場面の一例を示す。本実施形態に係る見守りシステム1は、見守り対象者の位置を監視することで、当該見守り対象者の見守りを行う外部サーバである。そのため、本実施形態に係る見守りシステム1は、見守り対象者の見守りを行う場面で広く利用可能である。
【0038】
具体的には、本実施形態に係る見守りシステム1は、まず、見守り対象者の所持する通信装置2から、当該見守り対象者の位置を特定可能な位置情報を取得する。見守り対象者は、見守りの対象となる人物であり、例えば、高齢者、入院患者、施設入居者、要介護者である。また、位置情報は、見守り対象者(通信装置2)の位置を特定可能な情報であれば特に限定されなくてよく、例えば、GPS測定値、受信信号強度(RSSI)、信号の到達時間等である。
【0039】
本実施形態では、位置情報が受信信号強度である例を説明する。この場合、通信装置2は、見守りシステム1にパケット等のデータを送信するため、1又は複数の無線基地局装置3と通信を行う。無線基地局装置3は、例えば、見守り対象者の自宅、屋外等に設置されている。この無線基地局装置3は、通信装置2からデータを受信すると、そのデータを受信したときの受信信号強度(RSSI)を測定する。そして、無線基地局装置3は、測定した受信信号強度をそのデータに追加し、受信信号強度を追加したデータを中継する。見守りシステム1は、ネットワークを介してこのデータを受信することで、通信装置2から位置情報を取得する。なお、このデータ通信に利用されるネットワークの種類は、通信装置2、無線基地局装置3等の利用可能な通信キャリア(回線)により適宜特定される。
【0040】
次に、本実施形態に係る見守りシステム1は、取得した位置情報に基づいて、見守り対象者の自宅からの移動距離を算出する。本実施形態では、見守りシステム1は、見守り対象者の自宅の位置を予め記憶している(後述するユーザ情報121)。そのため、見守りシステム1は、記憶している見守り対象者の自宅の位置と位置情報の示す位置との間の距離を計算することで、当該見守り対象者の自宅からの移動距離を算出することができる。
【0041】
加えて、本実施形態に係る見守りシステム1では、各見守り対象者に設定可能な外出能力に関する属性として外出タイプが用意されており、その外出タイプに応じて、外出の危険度合いを示す外出危険度が設定されている。各見守り対象者には、予め外出タイプが選択されており、これによって、外出危険度が割り当てられる。本実施形態に係る見守りシステム1は、この外出危険度と算出した移動距離とに応じて、見守り対象者の状態の異常度合いを示す異常状態推定値を算定する。
【0042】
更に、本実施形態に係る見守りシステム1は、算定した異常状態推定値が所定値を超えているか否かを判定する。そして、見守りシステム1は、算定した異常状態推定値が所定値を超えていると判定した場合に、当該見守り対象者の異常状態を検知したことを知らせるための異常検知通知を所定の通知先に行う。当該異常検知通知の通知先は、実施の形態に応じて適宜設定されてよく、例えば、見守り対象者の見守りを行う者の端末等であってもよい。なお、見守り対象者の見守りを行う者とは、例えば、親族、看護師、施設職員、介護者等である。
【0043】
このように、本実施形態に係る見守りシステム1によれば、見守り対象者の状態が異常であるか否かを判定する指標となる異常状態推定値は、自宅からの移動距離のみならず、見守り対象者の外出能力に関する属性を考慮して算定される。したがって、本実施形態によれば、見守り対象者の属性に応じて、当該見守り対象者の異常を適切に検知することができる。
【0044】
§2 構成例
[ハードウェア構成例]
次に、
図2〜
図4を用いて、各装置のハードウェア構成を説明する。
図2は、本実施形態に係る見守りシステム1のハードウェア構成を例示する。
図3は、本実施形態に係る通信装置2のハードウェア構成を例示する。
図4は、本実施形態に係る無線基地局装置3のハードウェア構成を例示する。
【0045】
<見守りシステム>
まず、
図2を用いて、見守りシステム1について説明する。
図2に例示されるように、見守りシステム1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及び、ROM(Read Only Memory)等を含む制御部11、制御部11で実行されるプログラム8等を記憶する記憶部12、ネットワークを介した通信を行うための通信インタフェース13、マウス、キーボード等の入力を行うための入力装置14、ディスプレイ、スピーカ等の出力を行うための出力装置15、及び記憶媒体9に記憶されたプログラムを読み込むためのドライブ16が電気的に接続されたコンピュータである。ただし、
図2では、通信インタフェースは、「通信I/F」と記載されている。
【0046】
なお、見守りシステム1の具体的なハードウェア構成に関して、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換、及び追加が可能である。例えば、制御部11は、複数のプロセッサを含んでもよい。また、見守りシステム1は、例えば、提供されるサービス専用に設計された情報処理装置の他、汎用のサーバ装置等が用いられてもよい。更に、見守りシステム1は、1又は複数台のコンピュータにより実装されてもよい。
【0047】
ここで、記憶部12は、プログラム8を記憶する。このプログラム8は、見守りシステム1に後述する見守り対象者の見守りに関する各処理を実行させるためのプログラムであり、本発明の「プログラム」に相当する。このプログラム8は、記憶媒体9に記録されてもよい。
【0048】
また、記憶媒体9は、コンピュータその他装置、機械等が記録されたプログラム等の情報を読み取り可能なように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積する媒体である。記憶媒体9は、本発明の「記憶媒体」に相当する。なお、
図2は、記憶媒体9の一例として、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)等のディスク型の記憶媒体を例示している。しかしながら、記憶媒体9の種類は、ディスク型に限定される訳ではなく、ディスク型以外であってもよい。ディスク型以外の記憶媒体として、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリを挙げることができる。
【0049】
<通信装置>
次に、
図3を用いて、通信装置2について説明する。
図3に例示されるように、通信装置2は、CPU、RAM、ROM等を含む制御部21、制御部21で実行するプログラム等を記憶する記憶部22、周囲の温度を測定するための温度センサ23、及び無線通信を行うための通信部24が電気的に接続された装置である。温度センサ23は、例えば、熱電対、測温抵抗体等で構成された、通信装置2の周囲の温度を測定するためのセンサである。また、通信部24は、例えば、送信回路、アンテナ等で構成され、見守りシステム1に位置を知らせるための無線通信を行う。この通信部24は、専らデータの送信のみに利用されてもよい。
【0050】
なお、通信装置2の具体的なハードウェア構成に関して、上記見守りシステム1と同様に、実施の形態に応じて適宜構成要素の省略、置換、及び追加が可能である。例えば、温度を測定しなくてもよい場合には、温度センサ23は省略されてもよい。また、例えば、通信装置2の周囲の更なる情報を取得するために、当該通信装置2は、加速度センサ、気圧センサ、方位磁石等を備えてもよい。更に、例えば、通信装置2は、見守り対象者からの応答を取得可能なように、押圧ボタン等の入力装置を備えてもよい。この通信装置2には、例えば、提供されるサービス専用に設計された端末の他、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等が用いられてもよい。
【0051】
<無線基地局装置>
次に、
図4を用いて、無線基地局装置3について説明する。
図4に例示されるように、無線基地局装置3は、CPU、RAM、ROM等を含む制御部31、制御部31で実行するプログラム等を記憶する記憶部32、通信装置2等から受信した信号の受信信号強度を測定する受信信号強度測定部33、及び通信装置2からの無線信号を受信するための通信部34が電気的に接続された基地局装置である。受信信号強度測定部33は、通信部34の受信する無線信号の受信信号強度(RSSI)を測定可能なように適宜構成される。また、通信部34は、例えば、受信回路、アンテナ等で構成され、通信装置2から送信された無線信号(データ)を受信する。更に、通信部34は、インターネット等のネットワークに有線で接続されてよく、通信装置2から受信したデータを有線又は無線で中継する。
【0052】
なお、無線基地局装置3の具体的なハードウェア構成に関して、上記見守りシステム1及び通信装置2と同様に、実施形態に応じて適宜構成要素の省略、置換、及び追加が可能である。この無線基地局装置3には、例えば、提供されるサービス専用に設計された基地局装置の他、汎用の基地局装置等が利用されてもよい。
【0053】
[機能構成例]
次に、
図5〜
図11を用いて、見守りシステム1の機能構成について説明する。
図5は、本実施形態に係る見守りシステム1の機能構成を例示する。本実施形態では、見守りシステム1の制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラム8をRAMに展開する。そして、制御部11は、RAMに展開されたプログラム8をCPUにより解釈及び実行して、各構成要素を制御する。これにより、見守りシステム1は、位置情報取得部111、移動距離算出部112、異常状態推定部113、滞在時間算出部114、気温取得部115、及び異常検知通知部116を備えるコンピュータとして機能する。
【0054】
位置情報取得部111は、見守り対象者の所持する通信装置2から位置情報を取得する。本実施形態では、位置情報取得部111は、ネットワークを介して、通信装置2から送信されるデータに含まれる受信信号強度を位置情報として取得する。移動距離算出部112は、取得された位置情報に基づいて、見守り対象者の自宅からの移動距離を算出する。
【0055】
異常状態推定部113は、見守り対象者の外出能力に関する属性として予め選択された外出タイプに応じて設定された外出危険度と算出された移動距離とに応じて、見守り対象者の状態の異常度合いを示す異常状態推定値を算定する。異常状態推定部113は、例えば、移動距離に応じて定まる移動度と外出危険度とを積算することで、異常状態推定値を算定する。
【0056】
また、本実施形態では、異常状態推定部113は、時間帯補正値及び滞在危険度によって異常状態推定値を補正する。加えて、異常状態推定部113は、自立度によって滞在危険度を補正する。この各補正値のうち滞在危険度を算定するため、滞在時間算出部114は、継続的に取得される複数件の位置情報と各件の位置情報の時刻とに基づいて、所定距離の範囲内における滞在時間を算出する。気温取得部115は、各件の位置情報により特定される位置を含むエリアの気温を取得する。
【0057】
異常検知通知部116は、算定された異常状態推定値が所定値を超えているか否かを判定する。そして、異常検知通知部116は、算定された異常状態推定値が所定値を超えていると判定した場合に、見守り対象者の異常状態を検知したことを知らせるための異常検知通知を所定の通知先に行う。
【0058】
なお、本実施形態では、これらの機能がいずれも汎用のCPUによって実現される例について説明している。しかしながら、これらの機能の一部又は全部が、1又は複数の専用のプロセッサにより実現されてもよい。また、見守りシステム1の機能構成に関して、実施形態に応じて、適宜、機能の省略、置換、及び追加が行われてもよい。例えば、滞在時間及び気温による異常状態推定値の補正を行わない場合には、滞在時間算出部114及び気温取得部115は省略されてもよい。
【0059】
<データ構成例>
次に、本実施形態に係る見守りシステム1の保持するデータの構成例について説明する。
図5に例示されるように、本実施形態では、見守りシステム1は、各見守り対象者の属性を管理し、各見守り対象者に応じた異常状態推定値を算定するために、ユーザ情報121、外出危険度設定情報122、移動度設定情報123、時間帯加重値設定情報124、滞在時間加重値設定情報125、及び気温加重値設定情報126を記憶部12に保持している。以下、各情報について説明する。
【0060】
(ユーザ情報)
まず、
図6を用いて、ユーザ情報121について説明する。
図6は、本実施形態に係るユーザ情報121のデータ構成を例示する。このユーザ情報121は、各見守り対象者(ユーザ)を識別するのに利用される。
【0061】
本実施形態では、ユーザ情報121は、各見守り対象者を識別するための情報である。このユーザ情報121には、ユーザID、外出タイプ、指定距離、緊急連絡先、自宅位置及び自立度が含まれる。なお、
図6で例示されるテーブルにおいて、1行分のデータ(1レコード)が、1ユーザ分のデータに相当する。
【0062】
ユーザIDは、各見守り対象者を識別するための識別子であり、各見守り対象者に対して任意に設定されてよい。
【0063】
外出タイプは、見守り対象者の外出能力を示す属性である。本実施形態では、後述する外出危険度設定情報122に例示されるように、外出タイプには、6種類の属性値が用意される。すなわち、本実施形態では、各見守り対象者を外出能力に応じて6種類のタイプに分けることができる。この外出タイプは、例えば、見守り環境において、対象の見守り対象者が自宅から外出するのを許可するか否かに応じて選択される。本実施形態では、選択された外出タイプの属性値が「type1」に近いほど、その見守り対象者は外出が許可されていることを示す。一方、選択された外出タイプの属性値が「type5」に近いほど、その見守り対象者は外出が許可されていないことを示す。これとは異なり、属性値「typeS」は、外出タイプとして指定距離タイプが選択されていることを示す。外出タイプの属性値は、例えば、見守り対象者のユーザ登録等の際に、予め選択され、指定される。
【0064】
指定距離は、上記外出タイプとして指定距離タイプ(図中の「typeS」)が選択された見守り対象者について、異常状態推定値を算定するための基準となる距離である。
図6のユーザ情報121では、指定距離タイプ以外の属性値が選択されている見守り対象者については、この指定距離の登録は省略されている(図中の「-」)。この指定距離は、例えば、見守り対象者のユーザ登録等の際に、予め指定される。
【0065】
緊急連絡先は、見守り対象者の異常状態を検知した際に、見守りシステム1が異常検知通知を行う通知先である。緊急連絡先として、例えば、見守り対象者の見守りを行う近親者、介護施設等の氏名、電話番号、住所、メールアドレス等が登録される。
【0066】
自宅位置は、見守り対象者の自宅の位置である。この自宅位置は、座標上の1点(緯度経度)で指定されてもよいし、所定範囲、例えば、自宅の座標位置を中心とした所定距離の円の範囲で指定されてもよい。自宅位置を指定する方法は、実施の形態に応じて適宜選択可能である。本実施形態では、この自宅位置は、見守り対象者の移動距離を算出する際に利用される。
【0067】
自立度は、見守り対象者の自立度合いを示す指標である。この自立度は、後述する滞在危険度を補正するために利用される。自立度は、支援、介護などの必要性に応じて設定されてよい。例えば、認知症患者が介護保険サービスを受けるために自治体等で規定されている要介護度を自立度として利用してもよい。この場合、例えば、要支援又は要介護の認定がない見守り対象者には自立度「0」が指定されてもよい。要介護度「要支援1」の見守り対象者には自立度「1」が指定されてもよい。要介護度「要支援2」の見守り対象者には自立度「2」が指定されてもよい。要介護度「要介護1」の見守り対象者には自立度「3」が指定されてもよい。要介護度「要介護2」の見守り対象者には自立度「4」が指定されてもよい。要介護度「要介護3」、「要介護4」及び「要介護5」の見守り対象者には自立度「5」が指定されてもよい。この自立度は、例えば、見守り対象者のユーザ登録等の際に、予め設定される。
【0068】
なお、本実施形態では、異常状態推定値が高いほど異常状態であることを示すため、自立度合いが低いほど、即ち、支援・介護の必要性が高いほど、自立度には高い値が指定される。しかしながら、自立度の指定方法はこのような例に限定されなくてもよく、例えば、異常状態推定値が低いほど異常状態であることを示す場合には、自立度合いが低いほど、即ち、支援・介護の必要性が高いほど、自立度には低い値が指定されてもよい。
【0069】
(外出危険度設定情報)
次に、
図7を用いて、外出危険度設定情報122について説明する。
図7は、本実施形態に係る外出危険度設定情報122のデータ構成を例示する。外出危険度設定情報122は、外出タイプに応じて設定された外出危険度を特定するための設定情報である。外出タイプは、見守り対象者の外出の危険度合いを示す。
【0070】
本実施形態では、異常状態推定値が高いほど異常状態であることを示すため、外出危険度設定情報122は、外出の危険度の高い外出タイプの属性値ほど外出危険度の値が高くなるように設定されている。例えば、単独で外出可能な「type1」の見守り対象者には、外出危険度「1」が割り当てられており、単独での外出が禁止される「type5」の見守り対象者には、外出危険度「5」が割り当てられている。
【0071】
本実施形態では、この「type1」〜「type5」の見守り対象者については、異常状態推定値は、外出危険度と移動距離に応じた移動度との積算によって算出される。一方、指定距離タイプ(「typeS」)の見守り対象者については、異常状態推定値は、移動距離が指定距離を超えているか否かに基づいて算定される。そのため、
図7に例示される外出危険度設定情報122では、移動距離が指定距離を超えている場合の異常状態推定値として外出危険度「20」が設定されており、移動距離が指定距離を超えていない場合の異常状態推定値として外出危険度「3」が設定されている。
【0072】
ただし、外出タイプの属性値と外出危険度の値との対応関係は、このような例に限定されなくてもよい。例えば、異常状態推定値が低いほど異常状態であることを示す場合には、外出危険度設定情報122は、外出の危険度の高い外出タイプの属性値ほど外出危険度の値が低くなるように設定されてもよい。
【0073】
(移動度設定情報)
次に、
図8を用いて、移動度設定情報123について説明する。
図8は、本実施形態に係る移動度設定情報123のデータ構成を例示する。移動度設定情報123は、移動距離に応じて移動度を特定するための設定情報である。移動度は、見守り対象者の自宅から離れている距離の度合いを示す。
【0074】
本実施形態では、異常状態推定値が高いほど異常状態であることを示すため、移動度設定情報123は、移動距離が大きいほど移動度の値が高くなるように設定されている。例えば、0m〜200mの移動距離に対して移動度「1」が割り当てられている。200m〜300mの移動距離対して移動度「2」が割り当てられている。300m〜400mの移動距離に対して移動度「3」が割り当てられている。400m〜500mの移動距離に対して移動度「4」が割り当てられている。500m以上の移動に対して移動度「5」が割り当てられている。
【0075】
ただし、移動距離と移動度の値との対応関係は、このような例に限定されなくてもよい。例えば、異常状態推定値が低いほど異常状態であることを示す場合には、移動度設定情報123は、移動距離が大きいほど移動度の値が低くなるように設定されてもよい。
【0076】
(時間帯加重値設定情報)
次に、
図9を用いて、時間帯加重値設定情報124について説明する。
図9は、本実施形態に係る時間帯加重値設定情報124のデータ構成を例示する。時間帯加重値設定情報124は、見守り対象者の外出の時間帯に応じて時間帯加重値を特定するための設定情報である。本実施形態では、見守り対象者の異常状態を推定する指標となる異常状態推定値は、対象の時間帯における外出の危険度合いを示す時間帯補正値によって補正される。時間帯加重値は、各時間帯の外出の危険度合いを示す加重値であり、その時間帯補正値を算定するために利用される。
【0077】
本実施形態では、異常状態推定値が高いほど異常状態であることを示すため、時間帯加重値設定情報124は、外出の好ましくない時間帯ほど時間帯加重値が高くなるように設定されている。例えば、8時〜12時、12時〜16時、及び16〜20時の時間帯に対して時間帯加重値「1」が割り当てられている。20時〜24時の時間帯に対して時間帯加重値「4」が割り当てられている。24時〜4時の時間帯に対して時間帯加重値「5」が割り当てられている。4時〜8時の時間帯に対して時間帯加重値「3」が割り当てられている。
【0078】
ただし、時間帯と時間帯加重値との対応関係は、このような例に限定されなくてもよい。例えば、異常状態推定値が低いほど異常状態であることを示す場合には、時間帯加重値設定情報124は、外出の好ましくない時間帯ほど時間帯加重値が低くなるように設定されてもよい。
【0079】
(滞在時間加重値設定情報)
次に、
図10を用いて、滞在時間加重値設定情報125について説明する。
図10は、本実施形態に係る滞在時間加重値設定情報125のデータ構成を例示する。滞在時間加重値設定情報125は、見守り対象者が所定距離の範囲内に所定時間以上滞在した場合の滞在時間加重値を特定するための設定情報である。本実施形態では、見守り対象者の異常状態を推定する指標となる異常状態推定値は、所定距離の範囲内に滞在することの危険度合いを示す滞在危険度によって補正される。滞在時間加重値は、滞在範囲の距離及び滞在時間に応じた加重値であり、その滞在危険度を算定するために利用される。
【0080】
本実施形態では、異常状態推定値が高いほど異常状態であることを示すため、滞在時間加重値設定情報125は、滞在が好ましくない状況ほど滞在時間加重値が高くなるように設定されている。例えば、5mの範囲内に30分以上滞在している滞在状況に対して滞在時間加重値「5」が割り当てられている。20mの範囲内に1時間以上滞在している滞在状況に対して滞在時間加重値「3」が割り当てられている。50mの範囲内に1時間以上滞在している滞在状況に対して滞在時間加重値「2」が割り当てられている。
【0081】
ただし、滞在状況と滞在時間加重値との対応関係は、このような例に限定されなくてもよい。例えば、異常状態推定値が低いほど異常状態であることを示す場合には、滞在時間加重値設定情報125は、滞在が好ましくない状況ほど滞在時間加重値が低くなるように設定されてもよい。
【0082】
(気温加重値設定情報)
次に、
図11を用いて、気温加重値設定情報126について説明する。
図11は、本実施形態に係る気温加重値設定情報126のデータ構成を例示する。気温加重値設定情報126は、見守り対象者が存在する位置を含むエリアの気温に応じた気温加重値を特定するための設定情報である。この気温加重値は、気温に応じた加重値であり、滞在時間加重値と同様に滞在危険度を算定するために利用される。
【0083】
本実施形態では、異常状態推定値が高いほど異常状態であることを示すため、気温加重値設定情報126は、滞在が好ましくない気温ほど気温加重値が高くなるように設定されている。例えば、5℃以下の気温に対して気温加重値「4」が割り当てられている。5℃〜10℃の気温に対して気温加重値「3」が割り当てられている。10℃〜18℃の気温に対して気温加重値「2」が割り当てられている。18℃〜25℃の気温に対して気温加重値「1」が割り当てられている。25℃〜28℃の気温に対して気温加重値「3」が割り当てられている。28℃〜31℃の気温に対して気温加重値「4」が割り当てられている。31℃以上の気温に対して気温加重値「5」が割り当てられている。
【0084】
ただし、気温と気温加重値との対応関係は、このような例に限定されなくてもよい。例えば、異常状態推定値が低いほど異常状態であることを示す場合には、気温加重値設定情報126は、滞在が好ましくない気温ほど気温加重値が低くなるように設定されてもよい。
【0085】
(その他)
なお、見守りシステム1の保持するデータの構成は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜設定されてよい。見守りシステム1は、上記以外の情報を保持してもよい。また、上記のいずれかの情報は省略されてもよい。
【0086】
例えば、滞在時間及び気温による異常状態推定値の補正を行わない場合には、滞在時間加重値設定情報125及び気温加重値設定情報126は省略されてよい。また、例えば、時間帯による異常状態推定値の補正を行わない場合には、時間帯加重値設定情報124は省略されてもよい。また、例えば、移動距離の範囲に応じた移動度で移動距離の加重値を決定しない場合には、移動度設定情報123は省略されてもよい。
【0087】
また、
図6〜
図11では、各情報を示すデータは、テーブル形式で表現されている。しかしながら、各情報のデータ形式は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてもよい。各情報は、テーブル形式以外のデータ形式で表現されてもよい。
【0088】
また、各情報を示すデータのレコード構成は、
図6〜
図11の例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜設定されてもよい。例えば、ユーザ情報121のデータは、ログインするためのパスワードを格納するためのフィールド等、上記以外のフィールドを含んでもよい。また、例えば、自立度による補正を行わない場合には、ユーザ情報121のデータから自立度フィールドは省略されてもよい。
【0089】
また、
図6〜
図11の各レコードに格納された値は、本実施形態に係る見守りシステム1の動作を説明するために便宜上に記載したものであり、このような例に限定される訳ではない。各レコードに格納される値は、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。
【0090】
§3 動作例
次に、
図12を用いて、見守りシステム1の動作例を説明する。
図12は、本実施形態に係る見守りシステム1による見守りに関する処理手順を例示する。なお、以下で説明する見守り対象者の見守りに関する処理手順は、本発明の「情報処理方法」に相当する。ただし、以下で説明する見守り対象者の見守りに関する処理手順は一例に過ぎず、各ステップの処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0091】
<ステップS101>
ステップS101では、制御部11は、位置情報取得部111として機能し、見守り対象者の所持する通信装置2から、当該見守り対象者の位置を特定可能な位置情報を取得する。位置情報を取得すると、制御部11は、次のステップS102に処理を進める。
【0092】
なお、本ステップS101において取得される位置情報は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。本実施形態では、位置情報として、受信信号強度(RSSI)が利用される。制御部11は、例えば、次のようにして、位置情報(受信信号強度)を取得する。
【0093】
すなわち、通信装置2は、見守りシステム1に位置を通知するため、1又は複数の無線基地局装置3に対してデータを送信する。本実施形態では、このとき、通信装置2の制御部21は、温度センサ23により周囲の温度を測定し、測定した温度を格納したデータを1又は複数の無線基地局装置3に対して送信する。通信装置2は、このデータ送信を定期又は不定期に行ってもよい。また、通信装置2は、見守りシステム1等の要求に応じて、データ送信を行ってもよい。また、通信装置2は、見守り対象者が通信装置2を操作するのに応じて、データ送信を行ってもよい。
【0094】
通信装置2から送信されたデータを無線基地局装置3が受信すると、当該無線基地局装置3の制御部31は、受信信号強度測定部33により当該データを受信したときの受信信号強度を測定する。そして、制御部31は、測定した受信信号強度を通信装置2から受信したデータに追加し、受信信号強度を追加したデータを中継する。見守りシステム1の制御部11は、ネットワークを介してこの受信信号強度を含むデータを受信することで、位置情報を取得する。
【0095】
なお、本ステップS101により、制御部11は、通信装置2から継続的に複数件の位置情報を取得してもよい。この場合、制御部11は、各件の位置情報を取得する度に、後述するステップS102〜S105までの処理を実行してもよいし、所定件数の位置情報を取得した後に、後述するステップS102〜S105までの処理を実行してもよい。
【0096】
<ステップS102>
次のステップS102では、制御部11は、移動距離算出部112として機能し、ステップS101で取得された位置情報に基づいて、見守り対象者の自宅からの移動距離を算出する。移動距離を算出すると、制御部11は、次のステップS103に処理を進める。
【0097】
見守り対象者の自宅からの移動距離を算出する方法は実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、制御部11は、次のようにして、見守り対象者の移動距離を算出する。
【0098】
まず、制御部11は、ステップS101で取得した位置情報に基づいて、見守り対象者の現在位置を特定する。本実施形態では、位置情報として受信信号強度が利用される。この受信信号強度は、信号を発信する通信装置2と無線基地局装置3との間の距離に応じて変動する。
【0099】
具体的には、通信装置2と無線基地局装置3との間の距離が大きいほど受信信号強度は弱くなり、通信装置2と無線基地局装置3との間の距離が小さいほど受信信号強度は強くなる。そのため、この受信信号強度によって、制御部11は、対象の通信装置2と無線基地局装置3との間の距離を推定することができる。
【0100】
したがって、制御部11は、各無線基地局装置3の位置を予め記憶しておき、その各無線基地局装置3の位置から受信信号強度により推定される距離の範囲を特定することで、通信装置2の存在範囲を推定することができる。特に、制御部11は、複数の無線基地局装置3から取得した受信信号強度を利用することで、公知の三角測量法等に基づいて、通信装置2の位置を推定することができる。制御部11は、このようにして推定した通信装置2の位置を見守り対象者の位置として取り扱うことによって、当該見守り対象者の現在位置を特定することができる。
【0101】
次に、制御部11は、ユーザ情報121を参照し、処理対象の見守り対象者の自宅位置を特定する。そして、制御部11は、特定した現在位置と自宅位置との間の距離を計算することで、処理対象の見守り対象者の自宅からの移動距離を算出することができる。なお、見守り対象者の自宅に無線基地局装置3が配置され、この無線基地局装置3の測定した受信信号強度が取得されている場合、制御部11は、この受信信号強度に基づいて推定される通信装置2と無線基地局装置3との間の距離を移動距離として取り扱ってもよい。
【0102】
<ステップS103>
次のステップS103では、制御部11は、異常状態推定部113として機能し、予め選択された外出タイプに応じて設定された外出危険度とステップS102で算出された移動距離とに基づいて、見守り対象者の異常状態推定値を算定する。異常状態推定値を算定すると、制御部11は、次のステップS104に処理を進める。
【0103】
ここで、外出危険度及び移動距離に応じた異常状態推定値の算定方法は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。異常状態推定値の算定方法は、外出危険度が高く、かつ、移動距離が大きいほど、異常状態推定値が高くなるように、適宜設定される。例えば、制御部11は、外出危険度と移動距離に応じて定まる移動度とを積算することで、異常状態推定値を算定してもよい。また、制御部11は、ステップS102で算出した移動距離が指定距離を超えているか否かの判定に応じて、異常状態推定値を算定してもよい。異常状態推定値の算定方法の一例として、本実施形態では、制御部11は、次のようにして、異常状態推定値を算定する。
【0104】
すなわち、制御部11は、ユーザ情報121を参照して、処理対象の見守り対象者に対して外出タイプの属性値を特定する。続いて、制御部11は、外出危険度設定情報122を参照して、特定した外出タイプの属性値に応じた外出危険度の値を特定する。
【0105】
外出タイプの属性値として「type1」〜「type5」のいずれかが選択されている場合には、制御部11は、移動度設定情報123を参照して、ステップS102で算出した移動距離に対応する移動度の値を特定する。そして、制御部11は、特定した外出危険度の値と移動度の値とを積算することで、異常状態推定値を算定する。すなわち、制御部11は、外出危険度の値と移動度の値との積を異常状態推定値として取り扱う。
【0106】
一方、外出タイプの属性値として「typeS」(指定距離タイプ)が選択されている場合には、制御部11は、ユーザ情報121を参照して、この見守り対象者に指定されている指定距離を特定する。例えば、
図6では、見守り対象者「userB」の指定距離は「300m」に設定されている。そして、制御部11は、ステップS102で算出した移動距離が指定距離を超えているか否かを判定する。
【0107】
ここで、外出危険度設定情報122には、指定距離タイプの異常状態推定値として、第1の値及びこの第1の値よりも大きい第2の値の2種類の値が設定されている。例えば、
図7では、第1の値として「3」が指定され、第2の値として「20」が指定されている。そこで、移動距離が指定距離を超えていないと判定した場合には、制御部11は、外出危険度設定情報122を参照して、比較的低い値に指定された第1の値(「3」)を異常状態推定値として取得する。他方、移動距離が指定距離を超えていると判定した場合には、制御部11は、外出危険度設定情報122を参照して、比較的高い値に指定された第2の値(「20」)を異常状態推定値として取得する。これによって、制御部11は、指定距離タイプに設定された見守り対象者の異常状態推定値を算定することができる。
【0108】
以上により、制御部11は、各外出タイプの見守り対象者について、異常状態推定値を算定することができる。なお、本実施形態では、制御部11は、このようにして算定した異常状態推定値を時間帯補正値及び滞在危険度によって補正する。以下、時間帯補正値及び滞在危険度について説明する。
【0109】
(時間帯補正値)
まず、時間帯補正値について説明する。見守り対象者が外出した場合に、その危険度合いは、見守り対象者が外出する時間帯によって相違するものと想定される。そこで、本実施形態では、制御部11は、見守り対象者が外出した時刻の属する時間帯及び移動距離応じて、その時間帯における外出の危険度合いを示す時間帯補正値を算定する。そして、制御部11は、上記外出危険度及び移動距離に応じて算定した異常状態推定値にこの時間帯補正値を加算することで、上記異常状態推定値を補正する。
【0110】
外出の時間帯及び移動距離に応じた時間帯補正値の算定方法は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。時間帯補正値の算定方法は、外出の危険性の高い時間帯ほど、かつ、移動距離が大きいほど、時間帯補正値が高くなるように、適宜設定される。例えば、制御部11は、次のようにして、時間帯補正値を算定する。
【0111】
すなわち、制御部11は、まず、ステップS101で取得した位置情報の時刻を特定する。例えば、通信装置2から送信されたデータに送信時刻の情報が含まれている場合には、制御部11は、この送信時刻を位置情報の時刻として特定してもよい。また、例えば、制御部11は、ステップS101で通信装置2からデータを受信した時刻を位置情報の時刻として特定してもよい。また、例えば、制御部11は、本ステップS103を処理する時刻を位置情報の時刻として特定してもよい。
【0112】
次に、制御部11は、時間帯加重値設定情報124を参照し、特定した位置情報の時刻の属する時間帯に対応する時間帯加重値を特定する。また、制御部11は、移動度設定情報123を参照して、ステップS102で算出した移動距離に対応する移動度の値を特定する。
【0113】
そして、制御部11は、特定した時間帯加重値と移動度の値とを積算することで、時間帯補正値を算定する。すなわち、制御部11は、時間帯加重値と移動度の値との積を時間帯補正値として取り扱う。制御部11は、このようにして算定した時間帯補正値を、上記外出危険度及び移動距離に応じて算定した異常状態推定値に加算することで、異常状態推定値が見守り対象者の外出する時間帯の危険度を反映するように、上記異常状態推定値を補正することができる。
【0114】
(滞在危険度)
次に、滞在危険度について説明する。見守り対象者が滞在に適さない気温の場所に留まっている場合には、この見守り対象者に危険が迫る可能性が高いと想定される。そこで、本実施形態では、制御部11は、所定距離の範囲内における滞在時間及びその滞在エリアにおける気温に応じて、その範囲内に滞在することの危険度合いを示す滞在危険度を算定する。そして、制御部11は、上記外出危険度及び移動距離に応じて算定した異常状態推定値にこの滞在危険度を加算することで、上記異常状態推定値を補正する。
【0115】
所定距離の範囲内における滞在時間及びその滞在エリアにおける気温に応じた滞在危険度の算定方法は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。滞在危険度の算定方法は、狭い範囲に長く滞在するほど、かつ、その滞在エリアの気温が過酷なほど、滞在危険度が高くなるように、適宜設定される。例えば、制御部11は、次のようにして、滞在危険度を算定する。
【0116】
すなわち、制御部11は、まず、滞在時間算出部114として機能し、ステップS101で取得した複数件の位置情報と各件の位置情報の時刻とに基づいて、所定距離の範囲内における滞在時間を算出する。具体的には、制御部11は、各件の位置情報により特定される位置と時刻とによって、見守り対象者が滞在する範囲の距離と滞在時間とを特定する。そして、制御部11は、滞在時間加重値設定情報125を参照して、特定した滞在範囲の距離及び滞在時間に対応する滞在時間加重値を特定する。滞在時間加重値設定情報125では、狭い範囲に長く滞在するほど値が高くなるように、各滞在時間加重値が設定されている。
【0117】
また、制御部11は、気温取得部115として機能し、ステップS101で取得した各件の位置情報により特定される位置を含む滞在エリアの気温を取得する。本実施形態では、通信装置2から送信されるデータには、温度センサ23によって測定した温度の情報が含まれている。そのため、制御部11は、通信装置2から受信したデータのその情報を参照することで、滞在エリアの気温を取得する。そして、制御部11は、気温加重値設定情報126を参照し、取得した気温に対応する気温加重値を特定する。気温加重値設定情報126では、滞在が過酷な気温ほど、気温加重値が高くなるように設定されている。なお、滞在エリアの気温を取得する方法は、このような例に限定されなくてもよい。例えば、制御部11は、天気予報などの情報を提供するウェブページから滞在エリアの気温を取得してもよい。ただし、見守り対象者の周囲の状況を正確に把握する観点からは、通信装置2の備える温度センサ23の測定した気温を利用するのが好ましい。
【0118】
そして、制御部11は、異常状態推定部113として機能し、特定した滞在時間加重値と気温加重値とを積算することで、滞在危険度を算定する。すなわち、本実施形態では、制御部11は、滞在時間加重値と気温加重値との積を滞在危険度として取り扱う。制御部11は、このようにして算定した滞在危険度を、上記外出危険度及び移動距離に応じて算定した異常状態推定値に加算することで、異常状態推定値が見守り対象者の滞在エリアの危険度を反映するように、上記異常状態推定値を補正することができる。
【0119】
(自立度)
なお、制御部11は、この滞在危険度を自立度によって補正してもよい。すなわち、制御部11は、異常状態推定部113として機能し、ユーザ情報121を参照することで、処理対象の見守り対象者に設定された自立度の値を特定する。そして、制御部11は、上記滞在危険度に特定した自立度の値を加算することによって、滞在危険度が見守り対象者の自立度合いを反映するように、上記滞在危険度を補正することができる。
【0120】
(まとめ)
以上により、制御部11は、本ステップS103において、「(外出危険度×移動度)+(時間帯補正値)+(滞在危険度)+(自立度)」を計算することで、異常状態推定値を算定する。ただし、異常状態推定値の算定方法は、このような例に限定されなくてもよい。例えば、時間帯補正値、滞在危険度、及び自立度のうち少なくともいずれかは省略されてもよい。更に、各項目間の演算は、実施の形態に応じて適宜変更されてよい。例えば、上記異常状態推定値の算定方法では、「外出危険度×移動度」、「時間帯補正値」、「滞在危険度」、及び「自立度」の各項目を加算している。しかしながら、各項目間の演算は、加算に限定されなくてもよく、乗算等であってもよい。また、例えば、「外出危険度」と「移動度」とは乗算するのではなく、加算してもよい。
【0121】
<ステップS104>
次のステップS104では、制御部11は、異常検知通知部116として機能し、ステップS103において算定した異常状態推定値が所定値を超えているか否かを判定する。この判定に利用される所定値は、見守り対象者の異常状態を適切に検知可能なように、実施の形態に応じて適宜設定される。そして、制御部11は、異常状態推定値が所定値を超えていると判定した場合には、次のステップS105に処理を進める。一方、制御部11は、異常状態推定値が所定値を超えていないと判定した場合には、次のステップS105の処理を省略して、本動作例に係る処理を終了する。
【0122】
なお、「異常状態推定値が所定値を超えている」とは、異常状態推定値の示す異常度合いが所定の度合いを超えていることを示す。すなわち、異常状態推定値の値が大きいほど異常度合いが高くなるように異常状態推定値を設定した場合には、制御部11は、異常状態推定値の値が所定の閾値よりも大きいか否かに基づいて、異常状態推定値が所定値を超えているか否かを判定する。一方、異常状態推定値の値が小さいほど異常度合いが高くなるように異常状態推定値を設定した場合には、異常状態推定値の値が所定の閾値よりも小さいか否かに基づいて、異常状態推定値が所定値を超えているか否かを判定する。ここで、異常状態推定値の値が所定の閾値に等しいケースは、いずれのケースに割り当てられてもよい。すなわち、制御部11は、異常状態推定値の値が所定の閾値に等しいケースを異常状態推定値が所定値を超えているケースとして取り扱ってもよいし、異常状態推定値が所定値を超えていないケースとして取り扱ってもよい。
【0123】
<ステップS105>
次のステップS105では、制御部11は、異常検知通知部116として機能し、上記ステップS104において、ステップS103で算定された異常状態推定値が所定値を超えていると判定した場合に、当該見守り対象者の異常状態を検知したことを知らせるための異常検知通知を所定の通知先に行う。これによって、本動作例に係る処理が終了する。
【0124】
なお、所定の通知先及び通知方法は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。制御部11は、見守り対象者の行動を見守る見守り者又は見守り対象者自身に当該異常検知通知を行ってもよい。例えば、制御部11は、ユーザ情報121の緊急連絡先を参照し、その緊急連絡先として登録されている通知先に異常検知通知を行う。例えば、緊急連絡先としてメールアドレス、電話番号等が登録されている場合には、制御部11は、電子メール、ショートメッセージ、プッシュ通知等を利用して、異常検知通知を行ってもよい。
【0125】
また、制御部11は、異常検知通知を複数段階に分けて行ってもよい。この場合、異常状態推定値に応じて利用する通知方法及び/又は通知先が複数種類設定されてよい。これによって、例えば、制御部11は、例えば、異常状態推定値が比較的に低い場合には、見守りシステム1に接続されるディスプレイ、スピーカ等によって異常状態推定値に応じたメッセージを出力することで、見守りシステム1のオペレータ又は見守りを行う者に段階的に注意を喚起してもよい。一方、制御部11は、異常状態推定値が所定値を超えた場合には、上記緊急連絡先に異常検知通知を行うことで、見守り対象者の見守りを行う者に見守り対象者の異常状態に対処するように促してもよい。
【0126】
<作用・効果>
以上のように、本実施形態に係る見守りシステム1は、ステップS101により見守り対象者の所持する通信装置2から位置情報を取得し、ステップS102により、この位置情報に基づいて、当該見守り対象者の自宅からの移動距離を算出する。また、各見守り対象者には、ユーザ情報121において、予め外出タイプが設定されており、外出危険度設定情報122によって、各外出タイプには、外出危険度が設定されている。そこで、本実施形態に係る見守りシステム1は、ステップS103において、ステップS102で算出した移動距離と処理対象の見守り対象者に設定された外出危険度とに応じて、当該見守り対象者の異常状態推定値を算定する。そして、ステップS104及びS105において、本実施形態に係る見守りシステム1は、ステップS103で算定した異常状態推定値に基づいて、見守り対象者の異常状態の検知を行う。
【0127】
したがって、本実施形態によれば、見守り対象者の状態が異常であるか否かを判定する指標となる異常状態推定値は、自宅からの移動距離のみならず、見守り対象者の外出能力に関する属性を考慮して算定される。よって、本実施形態によれば、見守り対象者の属性に応じて、当該見守り対象者の異常を適切に検知することができる。
【0128】
また、本実施形態では、上記ステップS103において、移動距離に応じて定まる移動度と見守り対象者の外出危険度との積によって、見守り対象者の異常状態推定値が算定される。そのため、異常状態推定値は、より外出の危険な見守り対象者がより遠い場所へ外出するほど高い値になる。したがって、本実施形態によれば、より外出の危険な見守り対象者がより遠い場所へ外出するほどより異常事態であるという状況を異常状態推定値に十分に反映することができ、これによって、見守り対象者の異常を適切に検知することができる。
【0129】
また、本実施形態では、ユーザ情報121及び外出危険度設定情報122において、予め指定された指定距離に基づいて異常状態推定値を算定する指定距離タイプ(「typeS」)が設けられる。すなわち、本実施形態によれば、指定距離まで外出を許可する外出タイプ種を設けることができるため、これによって、多様な条件で、見守り対象者の異常を検知することができる。
【0130】
また、本実施形態では、上記ステップS103において、見守り対象者の外出時刻が属する時間帯と移動距離とに応じた時間帯補正値によって、当該見守り対象者の異常状態推定値が補正される。そのため、本実施形態によれば、外出の時間帯を更に考慮して、見守り対象者の異常を検知することができる。したがって、例えば、比較的に外出可能な見守り対象者の見守りを行う場合に、見守りシステム1は、比較的に危険ではない時間帯であれば、当該見守り対象者が自宅から比較的に遠い場所に外出しても異常ではないと判定することができる。一方、見守りシステム1は、比較的に危険な時間帯であれば、当該見守り対象者が自宅から比較的に近い場所に外出しただけでも異常であると判定することができる。
【0131】
また、本実施形態では、上記ステップS103において、所定距離の範囲内における滞在時間及び気温に応じた滞在危険度によって、見守り対象者の異常状態推定値が補正される。そのため、本実施形態によれば、そのエリアに滞在することの危険度を更に考慮して、見守り対象者の異常を検知することができる。したがって、例えば、比較的に外出可能な見守り対象者が自宅から近い場所に滞在している場合に、その場所が高温で滞在に適していないときには、見守りシステム1は、当該見守り対象者がその場所に滞在している状態を異常状態と判定することができる。
【0132】
また、本実施形態では、上記ステップS103において、見守り対象者の自立度合いを示す自立度によって、滞在危険度が補正される。この自立度は、見守り対象者の自立度合いを示す指標であり、例えば、自治体などで規定される要介護度等に相当する。そのため、本実施形態によれば、この自立度を考慮することで、見守り対象者が異常事態に遭遇しているか否かを更にきめ細かく判定することができる。
【0133】
§4 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【0134】
[位置情報]
例えば、上記実施形態では、位置情報は、通信装置2が送信した信号の受信信号強度である。しかしながら、位置情報は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、位置情報は、GPS測定値であってもよい。
【0135】
この場合、通信装置2は、例えば、GPS衛星からのGPS信号に基づいて位置を測定するためのGPS信号受信部を備える。通信装置2は、このGPS信号受信部によってGPS測定値を測定し、通信部24によってGPS測定値を含むデータを送信する。
【0136】
見守りシステム1は、ネットワークを介してこのGPS測定値を含むデータを受信することで、通信装置2から位置情報を取得する。そして、見守りシステム1の制御部11は、上記ステップS102において、GPS測定値の示す位置を見守り対象者の存在する位置として利用する。なお、この場合、無線基地局装置3の受信信号強度測定部33は省略されてもよい。
【0137】
[不携帯警報]
上記実施形態では、見守りシステム1は、通信装置2から取得される位置情報に基づいて、見守り対象者の位置を特定する。そのため、見守り対象者が通信装置2を所持していない場合には、見守りシステム1は、見守り対象者の位置を特定することができなくなり、これによって、当該見守り対象者の見守りができなくなってしまう。そのため、当該見守りシステム1は、以下のような構成によって、見守り対象者が通信装置2を所持しているか否かを判定してもよい。以下、
図13〜
図15を用いて、本変形例について説明する。
【0138】
<構成例>
まず、
図13を用いて、見守り対象者の自宅に配置される無線基地局装置3の変形例について説明する。
図13は、本変形例で利用される無線基地局装置3Aのハードウェア構成を例示する。
図13に例示されるように、見守り対象者の自宅に配置される無線基地局装置3Aは、上記無線基地局装置3の各構成要素に加えて、人感センサ35を備えてもよい。この人感センサ35は、赤外線、超音波等に基づいて、人の所在を検知するためのセンサである。この人感センサ35は、無線基地局装置3Aから独立して設置されてもよい。ただし、システム構成を簡易にする観点から、人感センサ35は、自宅に配置される無線基地局装置3Aに設けられるのが好ましい。
【0139】
次に、
図14を用いて、見守りシステム1の機能構成の変形例について説明する。
図14は、本変形例に係る見守りシステム1Aの機能構成を例示する。
図14に例示されるように、本変形例に係る見守りシステム1Aは、上記見守りシステム1の各機能の他、不携帯警報部117を備えるコンピュータとして機能する。
【0140】
不携帯警報部117は、見守り対象者の自宅に設置された人感センサ35の測定結果を取得する。そして、不携帯警報部117は、取得された人感センサ35の測定結果に基づいて見守り対象者が自宅に居ないと判定され、かつ、取得された位置情報により特定される位置が見守り対象者の自宅内であると判定される場合に、見守り対象者が通信装置2を所持していないことを知らせるための不携帯警報を行う。なお、見守りシステム1Aのハードウェア構成は、上記見守りシステム1と同じでよい。また、本変形例において、上記通信装置2がそのまま利用されてよい。
【0141】
<動作例>
次に、
図15を用いて、本変形例に係る見守りシステム1Aの動作例を説明する。
図15は、本変形例に係る見守りシステム1Aによる不携帯警報に関する処理手順を例示する。この不携帯警報に関する処理手順は、例えば、上記見守りに関する処理手順と並行して実施される。ただし、不携帯警報に関する処理手順の実行タイミングは、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜設定されてよい。不携帯警報に関する処理手順は、上記見守りに関する処理手順とは無関係に実行されてもよい。なお、以下で説明する不携帯警報に関する処理手順は一例に過ぎず、各ステップの処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する不携帯警報に関する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0142】
(ステップS201)
ステップS201では、制御部11は、不携帯警報部117として機能し、人感センサ35の測定結果を取得する。例えば、制御部11は、ネットワークを介して、見守り対象者の自宅に設置された無線基地局装置3Aと通信することで、人感センサ35の測定結果を取得する。人感センサ35の測定結果を取得すると、制御部11は、次のステップS202に処理を進める。
【0143】
(ステップS202)
次のステップS202では、制御部11は、ステップS101で取得した位置情報により通信装置2の位置を特定する。例えば、制御部11は、本ステップS202を処理する直前にステップS102で特定した見守り対象者の位置をそのまま通信装置2の位置として利用してよい。通信装置2の位置を特定すると、制御部11は、次のステップS203に処理を進める。
【0144】
(ステップS203)
次のステップS203では、制御部11は、不携帯警報部117として機能し、ステップS201で取得した人感センサ35の測定結果とステップS202で特定した通信装置2の位置とに基づいて、見守り対象者が通信装置2を携帯しているか否かを判定する。そして、制御部11は、見守り対象者が通信装置2を携帯していないと判定した場合には、次のステップS204に処理を進める。一方、制御部11は、見守り対象者が通信装置2を携帯していると判定した場合には、次のステップS204の処理を省略し、本動作例に係る処理を終了する。
【0145】
なお、見守り対象者が通信装置2を携帯しているか否かの判定は、例えば、次のように行うことができる。制御部11は、ステップS201で取得した人感センサ35の測定結果に基づいて見守り対象者が自宅に居るか否かを判定する。このとき、人感センサ35の測定結果により人が検知されている場合には、制御部11は、見守り対象者が自宅に居ると判定する。一方、人感センサ35の測定結果により人が検知されていない場合には、制御部11は、見守り対象者が自宅に居ないと判定する。
【0146】
また、制御部11は、ステップS202で特定した通信装置2の位置が見守り対象者の自宅内であるか否かを判定する。例えば、ステップS202で特定した通信装置2の位置がユーザ情報121に含まれる自宅位置に適合する場合に、制御部11は、当該通信装置2の位置が見守り対象者の自宅内であると判定する。一方、ステップS202で特定した通信装置2の位置がユーザ情報121に含まれる自宅位置に適合しない場合に、制御部11は、当該通信装置2の位置が見守り対象者の自宅内ではないと判定する。
【0147】
そして、制御部11は、人感センサ35の測定結果に基づいて見守り対象者が自宅に居ないと判定し、かつ、ステップS202で特定した通信装置2の位置が見守り対象者の自宅内であると判定した場合に、見守り対象者は通信装置2を携帯していないと判定することができる。一方、制御部11は、それ以外の場合に、見守り対象者は通信装置2を携帯していると判定することができる。
【0148】
(ステップS204)
次のステップS204では、制御部11は、不携帯警報部117として機能し、人感センサ35の測定結果に基づいて見守り対象者が自宅に居ないと判定され、かつ、位置情報により特定される通信装置2の位置が見守り対象者の自宅内であると判定される場合に、見守り対象者が通信装置2を所持していないことを知らせるための不携帯警報を行う。これによって、本動作例に係る処理が終了する。
【0149】
なお、不携帯警報の通知先及び通知方法は、上記異常検知通知と同様に行われてもよい。例えば、制御部11は、ユーザ情報121の緊急連絡先を参照し、その緊急連絡先として登録されている通知先に不携帯警報を行ってもよい。不携帯警報の通知先及び通知方法は、実施の形態に応じて適宜選択可能である。
【0150】
以上のように、当該変形例では、見守り対象者の自宅に人感センサ35が設置される。見守りシステム1Aは、人感センサ35の測定結果及び通信装置2からの位置情報という見守り対象者の存在場所を特定するための2種類の情報の乖離に基づいて、見守り対象者が通信装置2を携帯しているか否かを判定する。そして、見守りシステム1Aは、見守り対象者が通信装置2を携帯していないことを検知したときには、そのことを知らせるための警報を行う。
【0151】
したがって、本変形例によれば、通信装置2を所持せずに見守り対象者が外出した場合に、そのことを知らせる警報を行うことにより、例えば、当該見守り対象者を見守る者等に対して注意を喚起することができる。よって、本変形例によれば、見守り対象者が通信装置2を所持していないことで見守りシステム1Aが見守り対象者の見守りを行うことのできない状況が放置されるのを防止することができる。
【0152】
なお、ステップS203において、制御部11が、人感センサ35の測定結果に基づいて見守り対象者が自宅に居ると判定し、かつ、ステップS202で特定した通信装置2の位置が見守り対象者の自宅内ではないと判定した場合、見守り対象者以外の人物が見守り対象者の自宅に居ると想定される。そのため、制御部11は、この場合に、見守り対象者以外の人物が見守り対象者の自宅に居ることを知らせるための通知を所定の通知先に行ってもよい。
【0153】
[無線通信]
また、上記通信装置2と無線基地局装置3との間の無線通信の規格は実施の形態に応じて適宜選択されてよいし、複数種類の規格が同時に利用されてもよい。例えば、920MHz帯の通信と2.4GHz帯の通信(ブルートゥース(登録商標))とが併用されてもよい。この場合、920MHz帯の通信と2.4GHz帯の通信とでは、有効な通信距離が相違する。具体的には、920MHz帯の通信の方が、2.4GHz帯の通信よりも長距離間の通信に適している。そのため、このような場合に、2つの通信規格を次のように利用してもよい。
【0154】
すなわち、比較的に近距離の通信が行われる屋内には、2.4GHz帯の通信が可能な無線基地局装置3を配置する一方、屋外には、920MHz帯の通信が可能な無線基地局装置3を配置する。これによって、通信装置2と無線基地局装置3との間で実施されている通信の種類によって、見守り対象者が屋内にいるか屋外にいるかを特定することができる。そのため、例えば、上記人感センサ35を利用した変形例において、制御部11は、通信装置2と無線基地局装置3との間で2.4GHz帯の通信が行われていることに基づいて、通信装置2が見守り対象者の自宅内に存在すると判定してもよい。
【0155】
また、例えば、次のように利用してもよい。すなわち、無線基地局装置3を920MHz帯の通信及び2.4GHz帯の通信を共に可能に構成する。一方、通信装置2は、2.4GHz帯の通信を可能に構成する。そして、通信装置2と無線基地局装置3との間では2.4GHz帯の通信を実施し、無線基地局装置3間の通信は920MHz帯の通信で実施する。
【0156】
これにより、通信装置2は、2.4GHz帯にのみ対応すればよいため、構成を簡単にすることができる。また、2.4GHz帯の通信では920MHz帯よりもアンテナサイズを小さくすることができるため、通信装置2のサイズを小さくすることができる。そのため、通信装置2を常時持ち歩くのに適したサイズにすることができる。