(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6575246
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】通信光可視化モジュール用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
G02B 6/46 20060101AFI20190909BHJP
G02B 6/36 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
G02B6/46
G02B6/36
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-176640(P2015-176640)
(22)【出願日】2015年9月8日
(65)【公開番号】特開2017-53938(P2017-53938A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 香菜子
(72)【発明者】
【氏名】大越 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲朗
【審査官】
山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−013331(JP,A)
【文献】
特開2012−208049(JP,A)
【文献】
特開2007−256762(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0290751(US,A1)
【文献】
中国実用新案第202693881(CN,U)
【文献】
韓国登録実用新案第20−0380996(KR,Y1)
【文献】
実開昭62−046763(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/46,6/36
F16C 11/04−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信路における通信状況の目視確認を目的として光通信路を通じて伝送される通信光を可視化するための通信光可視化モジュールに取り付けられる通信光可視化モジュール用アタッチメントであって、
前記通信光可視化モジュールに着脱自在に取り付けられるアタッチメント本体と、
前記アタッチメント本体に回転自在に装着されると共に前記アタッチメント本体を回転させるときの回転軸となる角型シャフトが挿入される回転機構と、
を備えていることを特徴とする通信光可視化モジュール用アタッチメント。
【請求項2】
前記アタッチメント本体は、前記通信光可視化モジュールの取り付けをガイドするガイド部と、前記ガイド部に形成されると共に前記通信光可視化モジュールを固定するツメ部と、を有している請求項1に記載の通信光可視化モジュール用アタッチメント。
【請求項3】
前記アタッチメント本体は、ポリプロピレン樹脂からなる請求項1又は2に記載の通信光可視化モジュール用アタッチメント。
【請求項4】
前記回転機構は、前記アタッチメント本体を回転させるときに所定の角度毎に回転抵抗を発生させる請求項1から3の何れか一項に記載の通信光可視化モジュール用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信路における通信状況の目視確認を目的として光通信路を通じて伝送される通信光を可視化するための通信光可視化モジュールに取り付けられる通信光可視化モジュール用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光通信関連設備においては、光通信路における通信状況(例えば、光通信路が使用中であるか否か)の目視確認を目的として光通信路を通じて伝送される通信光を可視化するための通信光可視化モジュールが採用されている。
【0003】
通信光可視化モジュールは、例えば、SCコネクタやLCコネクタ等の光コネクタが嵌挿されて光接続される複数の通信光可視化アダプタと、複数の通信光可視化アダプタが整列されて収容される筐体と、を備えている。
【0004】
通信光可視化モジュールを光通信関連設備で使用する場合は、例えば、通信光可視化モジュールをパッチパネルに取り付けてサーバラックに纏めて収容することにより、通信光可視化モジュールを高密度に実装することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−145676号公報
【特許文献2】特開2010−231082号公報
【特許文献3】特開2011−013359号公報
【特許文献4】特開2011−013360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年、光通信関連設備の既存空間を有効活用する観点から、サーバラックの他にも光成端箱や光キャビネットに通信光可視化モジュールを収容したいという要望がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、通信光可視化モジュールを光成端箱や光キャビネット等の既存空間に収容することが可能な通信光可視化モジュール用アタッチメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光通信路における通信状況の目視確認を目的として光通信路を通じて伝送される通信光を可視化するための通信光可視化モジュールに取り付けられる通信光可視化モジュール用アタッチメントであって、前記通信光可視化モジュールに着脱自在に取り付けられるアタッチメント本体と、前記アタッチメント本体に装着されると共に前記アタッチメント本体を回転させるときの回転軸となる角型シャフトが挿入される角型ベアリングと、を備えている通信光可視化モジュール用アタッチメントである。
【0009】
前記アタッチメント本体は、前記通信光可視化モジュールの取り付けをガイドするガイド部と、前記ガイド部に形成されると共に前記通信光可視化モジュールを固定するツメ部と、を有していることが望ましい。
【0010】
前記アタッチメント本体は、ポリプロピレン樹脂からなることが望ましい。
【0011】
前記角型ベアリングは、前記アタッチメント本体を回転させるときに所定の角度毎に回転抵抗を発生させることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通信光可視化モジュールを光成端箱や光キャビネット等の既存空間に収容することが可能な通信光可視化モジュール用アタッチメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係る通信光可視化モジュール用アタッチメントの構造を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る通信光可視化モジュール用アタッチメントの使用方法を説明する図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る通信光可視化モジュール用アタッチメントの使用方法を説明する図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る通信光可視化モジュール用アタッチメントの使用方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に順って説明する。
【0015】
図1から
図4に示す通り、本発明の実施の形態に係る通信光可視化モジュール用アタッチメント100は、光通信路における通信状況の目視確認を目的として光通信路を通じて伝送される通信光を可視化するための通信光可視化モジュール101に取り付けられる。
【0016】
通信光可視化モジュール101は、例えば、SCコネクタやLCコネクタ等の光コネクタ(不図示)が嵌挿されて光接続される複数の通信光可視化アダプタ102と、複数の通信光可視化アダプタ102が整列されて収容される筐体103と、を有している。
【0017】
通信光可視化アダプタ102は、光通信路(例えば、光ファイバ)の端部に取り付けられる光コネクタが嵌挿される嵌挿口104と、光コネクタが嵌挿口104に嵌挿されて自身と光接続されるときに光通信路を通じて伝送される通信光の一部が取り出される光取出孔105と、を有している。
【0018】
嵌挿口104は、光コネクタの規格(例えば、JIS)に準拠する形状に形成されている。光取出孔105は、光通信路における通信状況の目視確認を行うときに嵌挿される通信光検知器の受光部の形状と合致する形状に形成されている。
【0019】
なお、光取出孔105は、通信光可視化モジュール101の内部の伝送損失発生部(例えば、光軸ズレ部)が位置するように設けられており、この伝送損失発生部を通じて取り出される通信光の一部を通信光可視化アダプタ102の内部から外部に向けて導光するものである。
【0020】
筐体103は、複数の通信光可視化アダプタ102が一面(図示前面)に沿って整列されて配置されると共に光通信路の余長が収容されるケース106と、ケース106の一面(図示上面)を覆ってケース106を封止する上蓋107と、を有している。
【0021】
ケース106と上蓋107は、光通信路における通信状況の目視確認を行うときの通信光検知器の誤作動を防止すべく、光通信路を通じて伝送される通信光の他、屋外の太陽光や室内の蛍光灯等の外光を透過させない材料で形成されている。
【0022】
これは、光通信路における通信状況の目視確認を行うときは、光通信路を通じて伝送される通信光の一部を取り出す必要があるが、光通信路における伝送損失を低減する観点から、通信光の取り出しに伴う損失を出来る限り低減することが望ましいため、通信光の取り出しに伴う損失を低減しても、光通信路における通信状況の目視確認を確実に行えるように、屋外の太陽光や室内の蛍光灯等の外光が通信光検知器の受光部に到達することを防止する必要があるからである。
【0023】
なお、筐体103は、光取出孔105を閉塞させたり開放させたりするための保護蓋(不図示)を更に有していても構わないが、後述の通り、通信光可視化モジュール用アタッチメント100を使用して通信光可視化モジュール101を多段に積載して収容することにより、下段に配置される通信光可視化モジュール101の光取出孔105が上段に配置される通信光可視化モジュール101で覆われて保護されるため、最上段に配置される通信光可視化モジュール101のみに保護蓋を取り付ければ十分である。
【0024】
さて、本発明の実施の形態に係る通信光可視化モジュール用アタッチメント100は、通信光可視化モジュール101に着脱自在に取り付けられるアタッチメント本体108と、アタッチメント本体108に装着されると共にアタッチメント本体108を回転させるときの回転軸となる角型シャフト109が挿入される角型ベアリング110と、を備えている。
【0025】
アタッチメント本体108は、角型ベアリング110が装着される基部111と、基部111の両端側から平行して延在されると共に通信光可視化モジュール101を挟持するための一対の側部112と、一対の側部112が延在される方向に沿って基部111の底側から水平に延在されると共に通信光可視化モジュール101を支持するための底部113と、を有している。
【0026】
また、アタッチメント本体108は、一対の側部112の相互に対向する側面に形成されると共に通信光可視化モジュール101の取り付けをガイドするガイド部114と、ガイド部114に形成されると共に通信光可視化モジュール101を固定するツメ部115と、を有している。
【0027】
ガイド部114は、一対の側部112が延在する方向に沿って突出する凸部からなり、ツメ部115は、一対の側部112の先端側に位置するガイド部114の端部に形成されている。これらに対応するように、通信光可視化モジュール101は、ガイド部114を受け入れるための溝部116と、ツメ部115を係合させるための穴部117と、を更に有している。
【0028】
更に、アタッチメント本体108は、ポリプロピレン樹脂からなることが望ましい。ポリプロピレン(PP)樹脂は、筐体103の材料であるポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、又はポリカーボネート(PC)樹脂等と比較して柔らかいため、アタッチメント本体108がポリプロピレン樹脂からなることにより、通信光可視化モジュール101とアタッチメント本体108との着脱が容易となる。
【0029】
角型シャフト109は、例えば、断面が四角形状の棒状体からなり、その棒状体の下端は、光成端箱や光キャビネット等に固定されている。また、角型ベアリング110は、例えば、外周面が八角形状のナットからなり、そのナットは、アタッチメント本体108の基部111に回転自在に装着されている。
【0030】
更に、角型ベアリング110は、アタッチメント本体108を回転させるときに所定の角度毎に回転抵抗を発生させることが望ましい。これにより、通信光可視化モジュール101がそれに接続される光通信路の重みで不用意に回転されることを防止することができる。所定の角度毎に回転抵抗を発生させる機構としては、例えば、ラチェット機構が挙げられる。
【0031】
通信光可視化モジュール101を光通信関連設備で使用する場合は、ガイド部114と溝部116とを一致させながら通信光可視化モジュール用アタッチメント100を通信光可視化モジュール101にスライドさせて取り付け、その角型ベアリング110を光成端箱や光キャビネット等の既存空間に設けられる角型シャフト109に挿入することにより、通信光可視化モジュール101を光成端箱や光キャビネット等の既存空間に多段に積載して収容することが可能となる。
【0032】
そして、光通信路における通信状況の目視確認を行う場合は、通信状況の目視確認を行いたい光通信路に接続される通信光可視化アダプタ102が収容される通信光可視化モジュール101を角型シャフト109を回転軸として回転させて他の通信光可視化モジュール101と位置ズレさせることにより、通信状況の目視確認を行いたい光通信路に接続される通信光可視化アダプタ102の光取出孔105を露出させると共に、その光取出孔105に通信光検知器の受光部を嵌挿することにより、通信状況の目視確認を行いたい光通信路における通信状況を確認することが可能となる。
【0033】
また、アタッチメント本体108を既存の通信光可視化モジュール101に取り付け可能な形状に形成することにより、既存の通信光可視化モジュール101をそのまま光成端箱や光キャビネット等の既存空間に収容することが可能となる。
【0034】
以上の通り、本発明によれば、通信光可視化モジュール101を光成端箱や光キャビネット等の既存空間に収容することが可能な通信光可視化モジュール用アタッチメント100を提供することができる。
【符号の説明】
【0035】
100 通信光可視化モジュール用アタッチメント
101 通信光可視化モジュール
102 通信光可視化アダプタ
103 筐体
105 光取出孔
106 ケース
107 上蓋
108 アタッチメント本体
109 角型シャフト
110 角型ベアリング
111 基部
112 側部
113 底部
114 ガイド部
115 ツメ部
116 溝部
117 穴部