(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光反射膜の垂直入射される光に対する反射波長帯域は、前記発光素子の発光ピーク波長を含み、かつ前記発光ピーク波長より長波長側が短波長側より広くなっている請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光装置。
前記基体上面の実装領域の中心から仰角50°より大きい前記封止部材の外形は、仰角10°〜50°の曲面より曲率半径の大きい曲面である請求項1〜13のいずれか1項に記載の発光装置。
前記複数の発光装置及び前記発光装置間にそれぞれ配置された光反射部材の上方の光取り出し面側に、前記発光素子が発光する第1の光の少なくとも一部を吸収して吸収した光と異なる波長の光に変換する波長変換部材を備えた請求項16〜18のいずれか1項に記載の集積型発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する発光装置は、技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、一つの実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。
さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の発光装置100の構成を示す概略断面図である。
図1に示されるように、本実施形態は、表面に導体配線102が設けられた基体101と、基体101に載置される発光素子105を有する。発光素子105は、基体101の表面に設けられた少なくとも一対の導体配線102に跨がるように、接続部材103を介してフリップチップ実装されている。発光素子105の光取り出し面側(発光素子105の上面)には光反射膜107が形成されている。この光反射膜107は、発光素子105の上面のほぼ全面に設けられている。また、第1実施形態の発光装置100は、発光素子105および光反射膜107を覆う透光性の封止部材110を備えている。ここで、封止部材110は、封止部材110の中心軸と発光素子105の中心軸とが一致するように配置されていることが好ましい。また、導体配線102の上には、少なくとも発光素子105が電気的に接続される領域を除いて、絶縁部材が設けられていてもよい。
【0012】
光反射膜107は、例えば、発光素子105から放射される光の全光量の70%以上を反射する。これにより、発光素子105から放射される光(本明細書において、第1の光ともいう。)の内、基体101の垂直方向(発光素子105の上面)の成分の多くは光反射膜107により反射され、基体101の水平方向の成分が増加する。第1実施形態の発光装置100は、光反射膜107を備えることにより、バットウイング配光特性を実現している。
ここで、バットウイング配光特性とは、配光角が90°以下の第1領域に配光角が90°のときの強度より大きい強度の第1ピークを有し、配光角が90°以上の第2領域に配光角が90°のときの強度より大きい強度の第2ピークを有するような配光特性を言う。
【0013】
発光素子105および光反射膜107は、透光性の封止部材110により被覆される。封止部材110は、発光素子105等を外部環境から保護するとともに、発光素子105から出力される光を光学的に制御するため、発光素子105を被覆するように基体上に配置される部材である。封止部材110は詳細後述する形状に形成されており、光反射膜107とともに本実施形態の発光装置において、広い配光特性を実現している。
【0014】
封止部材110は、上面視においてその外形が円形もしくは楕円形、または角が半円形となった略矩形となるように形成されることが好ましく、光軸方向の封止部材の高さ(H)が、上面視における封止部材の径(最も短い幅:W
min)の0.5より小さい比率、より好ましくは、0.3より小さい比率で形成されている。尚、楕円形の場合、幅の長さには長径と短径が存在するが、本明細書では短径を最も短い幅W
minとする。また、略矩形には、4つの角がそれぞれ半円形となった略正方形、4つの角がそれぞれ半円形となった略長方形を含む。封止部材110が上面視において略正方形の場合、一辺を最も短い幅W
minとする。封止部材110が上面視において略長方形の場合、短辺を最も短い幅W
minとする。
ここで、封止部材の高さ(H)とは、発光素子105の実装面、すなわち基体101の表面からの高さを指すものとする。
【0015】
第1実施形態の発光装置100において、封止部材110の表面は、発光素子105から出た光を、より広配光にして出射させるために少なくとも一部は曲面で形成されており、封止部材の表面は全体として凸形状である。
具体的には、発光素子105から出た光をより広配光にして出射させるために、基体101の上面における実装領域の中心C1から仰角10°〜50°における前記封止部材の外形を、少なくとも曲面としている。ここで、実装領域の中心C1とは、例えば、発光素子105の平面形状が正方形又は長方形等の矩形であるときは、その矩形の対角線が交わる発光素子の中心点の直下に投影された実装領域中の中心点をいう。尚、透光性基板の上に半導体層が積層され、透光性基板を上にしてフリップチップ実装される発光素子を用いる場合には、発光素子の活性層と基板上面間の距離は極めて近いので、基板における実装領域の中心は、発光素子の活性層の中心ということもできる。
【0016】
第1実施形態の発光装置100において、基体101の上面における実装領域の中心C1から仰角10°〜50°における前記封止部材の外形は、封止部材の最も長い幅W
maxに対する曲率半径rの比(r/W
max)が0.25〜0.50である曲面とすることが好ましく、封止部材の最も長い幅W
maxに対する曲率半径の比が0.30〜0.45である曲面とすることがより好ましい。このように規定される曲面とすることにより、発光素子105の側面から出射される大半の光を当該曲面から広配光にして出射させることができる。実装領域の中心C1から仰角50°を超える部分における封止部材の外形は、
図1に示すように、実質的に平坦な面であってもよいし、例えば、仰角10°〜50°の曲面より曲率半径の大きい曲面であってもよい。また、実装領域の中心C1から仰角50°を超える部分における封止部材の外形において、例えば、中心軸の周りに窪みを有していてもよい。これにより、封止部材の高さを抑え、発光装置を薄型化することができる。また、封止部材110の表面は、面方向が連続して変化する滑らかな凸状の曲面であってもよいし、仰角50°より大きい位置で面方向が不連続に変化する部分を有していてもよい(例えば、仰角50°以下の部分の曲面と仰角50°より大きい部分の平坦面との間に屈曲した角が形成されていてもよい。)。
【0017】
また、第1実施形態の発光装置100において、封止部材110を基体101の上面に平行な方向から側面視した場合に、発光素子の最も長い幅(Lw)に対する封止部材110の最も長い幅W
maxの比(W
max/Lw)が2以上であることが好ましく、より好ましくは、発光素子の最も長い幅Lwに対する封止部材110の最も長い幅W
maxの比(W
max/Lw)を3〜6の範囲とする。発光素子の最も長い幅(Lw)に対する封止部材110の最も長い幅W
maxの比(W
max/Lw)を上記範囲とすると、発光素子105の側面から出射される大半の光を前記曲面から広配光にして出射させることができる。ここで、発光素子の最も長い幅Lwは、例えば、上面視したときの平面形状が正方形又は長方形の矩形の場合では対角線の長さをいう。
【0018】
すなわち、第1実施形態の発光装置100において、発光素子105の発光面に光反射膜107を設けることにより、発光素子105の側面から光を出射させてバットウイング配光特性を実現している。この発光素子105の側面から出射される光は、発光素子105の側面から広がって出射されるため、封止部材110の外表面が発光素子105の側面の近くにあると、発光素子105の側面から出射される多くの光が封止部材110の外表面の下端部から偏って出射されることになり、封止部材の外表面において実装領域の中心C1から仰角10°〜50°の範囲に設けられた曲面から効果的に光を出射することができない。また、封止部材110の外表面が発光素子105の側面から離れすぎると、封止部材110を通過する際の損失が大きくなり、光の取り出し効率を大きくすることができない。そこで、発光素子の最も長い幅(Lw)に対する封止部材110の最も長い幅W
maxの比(W
max/Lw)には上述の範囲とすることが好ましい。
【0019】
以上のように構成された第1実施形態の発光装置100は、光反射膜107が設けられたときの発光素子105の配光特性、発光素子105の外形と封止部材110を上面視したときの基板上での外形等に基づいて、封止部材の長い幅W
maxに対する曲率半径rの比(r/W
max)を上記範囲で適宜設定することにより、発光装置として要求される所望の配光特性を実現することができる。
【0020】
以下、本実施の形態に係る発光装置100の好ましい形態について説明する。
(基体101)
基体101は、発光素子105を載置するための部材である。基体101はその表面に、発光素子105に電力を供給するための導体配線102を有している。
基体101の材料としては、例えば、セラミックス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂が挙げられる。なかでも、低コストと、成型容易性の点から、樹脂を材料として選択することが好ましい。基板の厚みは適宜選択することができ、ロール・ツー・ロール方式で製造可能なフレキシブル基板、あるいはリジット基板のいずれであってもよい。リジット基板は湾曲可能な薄型リジット基板であってもよい。
【0021】
耐熱性及び耐光性に優れた発光装置とするためには、セラミックスを基体101の材料として選択することが好ましい。セラミックスとしては、例えば、アルミナ、ムライト、フォルステライト、ガラスセラミックス、窒化物系(例えば、AlN)、炭化物系(例えば、SiC)等が挙げられる。なかでも、アルミナからなる又はアルミナを主成分とするセラミックスが好ましい。
【0022】
また、基体101を構成する材料に樹脂を用いる場合は、ガラス繊維や、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3等の無機フィラーを樹脂に混合し、機械的強度の向上、熱膨張率の低減、光反射率の向上等を図ることもできる。また、基体101としては、一対の導体配線102を絶縁分離できるものであればよく、金属部材に絶縁層を形成している、いわゆる金属基板を用いてもよい。
【0023】
(導体配線102)
導体配線102は、発光素子105の電極と電気的に接続され、外部からの電流(電力)を供給するための部材である。すなわち、外部から通電させるための電極またはその一部としての役割を担うものである。通常、正と負の少なくとも2つに離間して形成される。
【0024】
導体配線102は、発光素子105の載置面となる基体の、少なくとも上面に形成される。導体配線102の材料は、基体101として用いられる材料や製造方法等によって適宜選択することができる。例えば、基体101の材料としてセラミックスを用いる場合は、導体配線102の材料は、セラミックスシートの焼成温度にも耐え得る高融点を有する材料が好ましく、例えば、タングステン、モリブデンのような高融点の金属を用いるのが好ましい。さらに、その上に鍍金やスパッタリング、蒸着などにより、ニッケル、金、銀など他の金属材料にて被覆してもよい。
【0025】
また、基体101の材料としてガラスエポキシ樹脂を用いる場合は、導体配線102の材料は、加工し易い材料が好ましい。また、射出成型されたエポキシ樹脂を用いる場合には、導体配線102の材料は、打ち抜き加工、エッチング加工、屈曲加工などの加工がし易く、かつ、比較的大きい機械的強度を有する部材が好ましい。具体例としては、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、鉄、ニッケル等の金属、または、鉄−ニッケル合金、りん青銅、鉄入り銅、モリブデン等の金属層やリードフレーム等が挙げられる。また、リードフレームの表面を、リードフレーム本体とは異なる他の金属材料で被覆してもよい。この材料は特に限定されないが、例えば、発光素子からの光に対する反射率の高い材料である銀のみ、あるいは、銀と、銅、金、アルミニウム、ロジウム等との合金、または、これら、銀や各合金を用いた多層膜とすることができる。また、金属材料の被覆方法は、鍍金法の他にスパッタ法や蒸着法などを用いることができる。
【0026】
(接続部材103)
接続部材103は、発光素子105を基体101または導体配線102に固定するための部材である。本実施形態のようにフリップチップ実装の場合は導電性の部材が用いられる。具体的にはAu含有合金、Ag含有合金、Pd含有合金、In含有合金、Pb−Pd含有合金、Au−Ga含有合金、Au−Sn含有合金、Sn含有合金、Sn−Cu含有合金、Sn−Cu−Ag含有合金、Au−Ge含有合金、Au−Si含有合金、Al含有合金、Cu−In含有合金、金属とフラックスの混合物等を挙げることができる。
【0027】
接続部材103としては、液状、ペースト状、固体状(シート状、ブロック状、粉末状、ワイヤ状)のものを用いることができ、組成や基体の形状等に応じて、適宜選択することができる。また、これらの接続部材103は、単一部材で形成してもよく、あるいは、数種のものを組み合わせて用いてもよい。
【0028】
(絶縁部材)
導体配線102は、発光素子105や他材料と電気的に接続する部分以外は絶縁部材で被覆されている事が好ましい。すなわち、
図1に示されるように、基体上には、導体配線102を絶縁被覆するためのレジストが配置されていても良く、絶縁部材はレジストとして機能させることができる。
【0029】
絶縁部材を配置させる場合には、導体配線102の絶縁を行う目的だけでなく、白色系のフィラーを含有させることにより、光の漏れや吸収を防いで、発光装置100の光取り出し効率を上げることもできる。
絶縁部材の材料は、発光素子からの光の吸収が少ない材料であり、絶縁性であれば特に限定されない。例えば、エポキシ、シリコーン、変性シリコーン、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、アクリル、ポリカーボネート、ポリイミド等を用いることができる。
【0030】
(発光素子105)
基体に搭載される発光素子105は、公知のものを利用できる。本実施形態においては、発光素子105として発光ダイオードを用いるのが好ましい。
発光素子105は、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、窒化物系半導体(In
xAl
yGa
1−x−yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いたものを用いることができる。成長基板として透光性のサファイア基板等を用いることができる。また、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどを用いることができる。さらに、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子の組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。
【0031】
半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。発光素子はフリップチップ実装が可能なように、同一面側に正負の電極を有するものであってもよいし、異なる面に正負の電極を有するものであってもよい。
【0032】
本実施形態の発光素子105は、透光性の基板と、その基板の上に積層された半導体層を有する。この半導体層には、順にn型半導体層、活性層、p型半導体層が形成されており、n型半導体層にn型電極が形成されており、p型半導体層にp型電極が形成されている。
【0033】
発光素子105は、
図1に示すように、接続部材103を介して基体101の表面の導体配線102にフリップチップ実装されており、電極の形成された面と反対側の面、すなわち透光性基板の主面が光取り出し面となる。しかしながら、本実施形態においてはこの光取り出し面に光反射膜107を形成するため、発光素子105の側面が実質的な光取り出し面となる。つまり、発光素子105から出射して、発光素子105の主面側に向かった光の一部は光反射膜107で発光素子105内に戻されて、発光素子105内部で反射を繰り返して、発光素子105の側面側から出射される。従って、発光装置100としての配光特性は光反射膜107を透過した光と、発光素子105の側面から出射した光の合成となる。
【0034】
発光素子105は、正と負に絶縁分離された2つの導体配線102に跨るように配置されており、導電性の接続部材103によって電気的に接続され、機械的に固定されている。この発光素子105の実装方法は、半田ペーストを用いた実装方法の他、例えばバンプを用いた実装方法とすることができる。また、発光素子105としては発光素子が樹脂等で封止された小型のパッケージ品を用いることも可能であり、特に形状や構造を限定する物では無い。
【0035】
なお、フリップチップ実装の例で説明したが、発光素子の絶縁性基板側を実装面とし、発光素子の上面に形成された電極とワイヤとを接続する実装形態としてもよい。この場合は発光素子の上面は電極形成面側となり、反射膜は電極形成面側に設けられる。
【0036】
(光反射膜107)
光反射膜107は、発光素子105の光取り出し面に成膜される。光反射膜107の材料としては、金属や白色フィラー含有樹脂でも良く、少なくとも発光素子105が発光する光を反射する材料であれば特に材料は規定されない。
また、誘電体多層膜を用いることで、吸収の少ない反射膜を得ることが出来る。
誘電体多層膜の材料としては金属酸化膜材料や金属窒化膜または酸窒化膜等を用いることが出来る。また、シリコーン樹脂やフッ素樹脂等の有機材を使用する事もでき、特に材料を規定する物では無い。
【0037】
また、誘電体多層膜は、反射帯域の光に対して、
図2に示すように、誘電体多層膜に垂直に入射する光に対する反射率が高く、入射角の絶対値が大きくなると光透過率が高くなるような入射角に依存する反射特性を有している。したがって、第1実施形態の発光装置において、光反射膜107として誘電体多層膜を用いると、発光素子105の側面から出射される光に加え、さらに光反射膜107の上面から光軸に対して大きな角度で出射される光が加わるので、発光装置100から横方向により強い光を出射することが可能になる。これにより、発光装置100から横方向に出射される光の割合が、垂直方向に出射される光に比べてより高い(より強調された)バットウイング配光特性を実現することが可能になる。ここで、本明細書において、光軸とは、発光素子105の発光面に垂直な軸をいう。また、誘電体多層膜は、反射特性(垂直に入射された光に対する反射率及び反射率の入射角依存性等)を、交互に積層する誘電体膜の材料及び積層数等を変更することにより調整することが可能である。したがって、第1実施形態の発光装置において、光反射膜107として誘電体多層膜を用いると、誘電体多層膜の反射特性を発光装置に求められる配光特性に合わせて設計することが可能になり、容易に所望の配光特性を実現することができる。
また、光反射膜107の、特に誘電体多層膜を光反射膜107として用いた場合の、垂直入射される光に対する反射波長帯域は、発光素子105の発光ピーク波長を含み、かつ当該発光ピーク波長より長波長側が短波長側より広くなっていることが好ましい。これは、入射光の光軸からの角度が大きくなるにしたがって、誘電体多層膜の反射波長帯域が短波長側にシフトするためであり、発光ピーク波長に対して長波長側の反射波長帯域を広くすることでより、光軸に対して大きな角度で入射する光に対しても高い反射率を維持することが可能になる。
【0038】
(封止部材110)
封止部材110の材料としては、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂あるいはそれらを混合させた樹脂や、ガラスなどの透光性材料を用いることができる。これらのうち、耐光性および成形のしやすさを考慮して、シリコーン樹脂を選択することが好ましい。
【0039】
なお封止部材110には、光拡散材に加え、着色剤を含有させることもできる。
封止部材110にこれらの部材を含有させる場合、配光特性になるべく影響の与えないものを用いることが好ましい。たとえば、含有させる部材の粒径が0.2μm以下のものであれば、配光特性に与える影響が少ないため好ましい。なお、本明細書中において粒径とは体積平均粒径(メジアン径)であり、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置(MALVERN(マルバーン)社製、製品名:MASTER SIZER(マスターサイザー)3000)により測定することができる。
【0040】
封止部材110は、発光素子105を被覆するように圧縮成型や射出成型によって形成することができる。その他、封止部材110の材料の粘度を最適化して、発光素子105の上に滴下もしくは描画して、材料自体の表面張力によって、形状を制御することも可能である。
【0041】
後者の形成方法による場合には、金型を必要とすることなく、より簡便な方法で封止部材を形成することができる。また、このような形成方法による封止部材の材料の粘度を調整する手段として、その材料本来の粘度の他、上述したような光拡散材、波長変換部材、着色剤を利用して所望の粘度に調整することもできる。
【0042】
以上の第1実施形態の発光装置によれば、
図3に示すような配光特性を有する広配光の発光装置を提供できる。
図3に示す配光特性は、以下のように構成された発光装置の配光特性である。
発光素子として、発光波長が450nmで、大きさが0.6mm×0.6mm×0.15mm(高さ)の発光素子を用いた。
光反射膜として、厚さが46.56nmのNb
2O
5からなる第1誘電体膜と、厚さが75.57nmのSiO
2からなる第2誘電体膜とを交互に5.5ペア積層した誘電体多層膜を用いた。
封止部材は、屈折率が1.5のシリコーン樹脂を以下のような外形になるように形成した。
(1)上面視形状:略円形、
(2)底面の直径:3.23mm、
(3)高さ:0.94mm、
(4)実装領域の中心から仰角0°〜50°の曲面の曲率半径:1.21mm。
尚、
図3に示す配光特性の測定に用いた発光装置において、封止部材の外形は、中心軸の周り(実装領域の中心から50°以上の領域内)に窪みを有していた。
【0043】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の発光モジュール200の断面図である。
第2実施形態の発光モジュール200は、基体401上に第1実施形態と同様に構成された発光装置100が複数設けられ、各発光装置100の間に光反射部材410が配置された集積型発光装置である。また、発光装置100及び光反射部材410の上方の光取り出し面側には、発光素子105の上面と略平行になるように発光素子105からの光を拡散するための光拡散板411及び蛍光体板412が配置されている。蛍光体板412は、発光装置100が発光する光の少なくとも一部を吸収して吸収した光と異なる波長の光に変換する波長変換部材である。
【0044】
従来の集積型発光装置は、一般的に、基体と光拡散板の距離(以後、光学距離:ODともいう)/発光素子間隔(以後Pitchともいう)が小さくなるに従い、光拡散板411の面上で発光素子105間の光量が少なくなり暗部が発生する。
しかしながら、第2実施形態の発光モジュール200は、広配光のバットウイング配光特性を有する複数の発光装置100と、隣接する発光装置100間に配置された光反射部材410を備えることにより、発光素子間の光量を光反射部材410による反射光で補うことができるので、より小さなOD/Pitchであっても光拡散板411の面上での輝度ムラを小さくできる。
【0045】
第2実施形態の発光モジュール200において、光反射部材410の光反射面は、基体401に対して傾斜しており、その傾斜角度θは、各発光装置100の配光特性を考慮して光拡散板411の面上での輝度ムラが小さくなるように設定する。また、複数配置される発光装置100の配光特性は、光拡散板411の面上における輝度むらを抑えかつ薄型の発光モジュール200を実現するために、発光素子の発光面に垂直な方向により規定される光軸とのなす角度が大きい領域での光量が大きくなるような配光特性を有していることが好ましい。
【0046】
例えば、OD/Pitchが0.2以下と小さくなると、発光素子105の発光面を基準にしたときの、光反射部材410へ入射する光は仰角で22゜未満となる。従って低OD/Pitchが0.2以下の場合、光反射部材410による光の反射効率を上げるために、発光装置100の配光特性は、たとえば、基体の上面に対して仰角20゜未満の光量が多くなっていることが好ましい。具体的には、発光強度の第1及び第2ピークが仰角20゜未満の範囲に位置することが好ましい。言い換えると、発光装置100の配光特性は、基体401の垂直方向の配光角を90°としたとき、配光角が90°〜0°の範囲における第1ピークが配光角20゜未満の領域にあり、配光角が90°〜180°の範囲における第2ピークが配光角160°より大きい領域にあることが好ましい。また、配光角20゜未満の光量が全体の光量の30%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上である。
【0047】
(光反射部材410)
光反射部材410は、上述したように、隣接する発光装置100の間に設置される。
材料としては、少なくとも発光装置100からの光を反射する材料であれば特に材料は限定されない。たとえば金属板や白色フィラー含有樹脂を好適に用いることができる。
また、光反射部材の反射面として誘電体多層膜を用いることで、吸収の少ない反射面を得ることも出来る。加えて、膜の設計で反射率を任意に調整出来、また、角度により反射率を制御することも可能となる。
【0048】
光反射部材410の高さおよび基体401の表面に対する光反射面の傾斜角度θについては、任意の値を取ることが可能であり、またその反射面は平面であっても曲面であってもよく、光拡散板411の面上で輝度ムラが小さくなるように最適な傾斜角度θ及び反射面の形状とすることが可能である。光反射部材410の高さは、発光素子間の距離の0.3倍以下、より好ましくは0.2倍以下である事が好ましく、これにより薄型でかつ輝度むらが低減された発光モジュール200を提供することができる。
【0049】
また、使用温度が大きく変わるような環境で使用される発光モジュール200では、光反射部材410と基体401との線膨張係数を近づけることが好ましい。この光反射部材410と基体401間の線膨張係数が大きく違うと、温度変化により発光モジュール200に反りが発生したり、構成部材間、特に発光装置100と光反射部材410間の位置関係がずれたりして所望の光学特性が得られなくなるためである。また、線膨張係数が異なっていても発光モジュール200全体が反らない様に、弾性変形が可能なフィルムを折り曲げたフィルム成形品で光反射部材410を形成してもよい。フィルム成形品で光反射部材410を形成すると、熱膨張係数の違いによる変形を各部分で分散して吸収することができ、発光モジュール200全体が反らないようにできる。
【0050】
また、光反射部材410はそれぞれ個別に成形又は作製するのではなく、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、複数の光反射部材410を一体で成形することにより1つの板状部材410’として構成するようにしてもよい。
図5(a)は、板状部材410’の上面図であり、
図5(b)は、
図5(a)のA−A端面図である。この板状部材410’は、例えば、それぞれ発光装置100が設けられる位置に対応した複数の貫通孔413を有し、各貫通孔413の周りには、光反射部材410が配置される。これにより、板状部材410’が基体401上に載置されたときにその貫通孔413の周りに、基体401の表面に対する傾斜角度がθである光反射面が形成される。発光装置100は、板状部材410’を基体401上に接合した後に、貫通孔413内に実装してもよいし、発光装置100を、基体401上の所定の位置に実装した後に、各発光装置100がそれぞれ対応する貫通孔413内に位置するように、板状部材410’を基体401上に接合するようにしてもよい。
【0051】
この板状部材410’は、金型成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等で形成することができる。また、光反射部材410は、板状部材410’に代えて、基体401上に直接光反射性樹脂を描画する等の方法で形成してもよい。光反射部材410の高さは、発光素子間の距離の0.3倍以下であることが好ましく、たとえば、発光素子間の距離(Pitch)の0.2倍以下であることがより好ましい。
【0052】
以上のように構成された第2実施形態の発光モジュール200は、広配光のバットウイング配光特性を有する複数の発光装置100と隣接する発光装置100間にそれぞれ設けられた光反射部材410を備えているので、薄型で輝度むらの抑制されたバックライト用の光モジュールを提供できる。
【0053】
以上のように構成された第2実施形態の発光モジュール200は、蛍光体板412を備えているので、白色の発光モジュールを構成することができる。第2実施形態の発光モジュール200では、蛍光体板412に代えて、波長変換部材である蛍光体板又は蛍光体層を各発光装置100において、発光素子105と封止部材110の間に、例えば、発光素子105の発光面に接するように設けてもよい。このようにしても、白色の発光モジュールを実現できる。