特許第6575941号(P6575941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6575941フェヌグリーク含有加工香辛料及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6575941
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】フェヌグリーク含有加工香辛料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/10 20160101AFI20190909BHJP
   A23L 23/00 20160101ALI20190909BHJP
【FI】
   A23L27/10 C
   A23L23/00
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-72080(P2015-72080)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-189737(P2016-189737A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2018年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】713011603
【氏名又は名称】ハウス食品株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000111487
【氏名又は名称】ハウス食品グループ本社株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100179925
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 真紀
(72)【発明者】
【氏名】岩畑 慎一
(72)【発明者】
【氏名】青▲柳▼ 守紘
(72)【発明者】
【氏名】里見 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】鴨井 享宏
【審査官】 田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−093118(JP,A)
【文献】 特開昭55−102371(JP,A)
【文献】 特開2000−236844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の香辛料を含有する加工香辛料であって、
(a)未粉砕のフェヌグリークを加熱処理し、粉砕処理し、次いで密閉容器中で熟成処理して調製された加工フェヌグリークと、ここで前記密閉容器は1500fmol/m2/s/Pa以下の酸素透過度を有する材料で構成されており、
(b)(a)とは別に用意されたフェヌグリーク以外の他の香辛料と
を含む加工香辛料。
【請求項2】
(a)の加工フェヌグリークが、50℃以上80℃未満で3週間以上7週間以下熟成処理されたものである、請求項1に記載の加工香辛料。
【請求項3】
(b)の他の香辛料が、オールスパイス、フェンネル、唐辛子、ターメリック、陳皮、クミン、アサノミ、ケシノミ、ゴマ、ショウガ、オレンジピール、コリアンダー、タラゴン、スペアミント、セージ、チャイブ、タイム、サボリー、サンショウ、チャービル、バジル、パセリ、パプリカ、コショウ及びカルダモンから選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の加工香辛料。
【請求項4】
(b)の他の香辛料が、フェンネル、ターメリック、陳皮、クミン、コリアンダー、コショウ及びカルダモンから選ばれる2種以上を混合することにより用意されたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加工香辛料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の加工香辛料を含む食品。
【請求項6】
2種以上の香辛料を含有する食品であって、
(a)未粉砕のフェヌグリークを加熱処理し、粉砕処理し、次いで密閉容器中で熟成処理して調製された加工フェヌグリークと、ここで前記密閉容器は1500fmol/m2/s/Pa以下の酸素透過度を有する材料で構成されており、
(b)(a)とは別に用意されたフェヌグリーク以外の他の香辛料と
を含む食品。
【請求項7】
カレー、シチュー、ハヤシ又はハッシュドビーフである請求項5又は6に記載の食品。
【請求項8】
2種以上の香辛料を含有する加工香辛料の製造方法であって、
(a)未粉砕のフェヌグリークを加熱処理し、粉砕処理し、次いで密閉容器中で熟成処理することにより加工フェヌグリークを調製する工程、ここで前記密閉容器は1500fmol/m2/s/Pa以下の酸素透過度を有する材料で構成されており、
(b)工程(a)とは別にフェヌグリーク以外の他の香辛料を用意する工程、及び
(c)工程(a)で得られた加工フェヌグリークと工程(b)で得られた他の香辛料とを混合する工程
を含む加工香辛料の製造方法。
【請求項9】
工程(a)の熟成処理を、50℃以上80℃未満で3週間以上7週間以下の条件で行う、請求項8に記載の加工香辛料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェヌグリークを含む加工香辛料及びその製造方法に関する。また本発明は、本発明の加工香辛料を含む食品にも関する。
【背景技術】
【0002】
複数の香辛料原料を含むカレーパウダー等の混合香辛料は、カレー等の食品の香りや風味を決定付ける重要な構成要素である。カレーパウダー等の混合香辛料は、複数の香辛料が混合されて製造される。特公昭56−54142号公報には、2種以上の原料香辛料を粉砕、混合後、水分含量が上昇しない略密閉状態下で温度35〜60℃の条件で熟成させることを特徴とする調合粉末香辛料の短期熟成方法が記載されている。特開2000−316518号公報には、フェヌグリーク等の粉末を70〜130℃の達温で予備加熱した粉末とそれ以外のカレー用香辛料粉末とを混合し、40〜50℃で90〜100時間熟成させることを特徴とするカレー用調合粉末香辛料の製造方法が記載されている。また、通気性のある袋に入れて熟成させることを特徴とするカレー用調合粉末香辛料の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭56−54142号公報
【特許文献2】特開2000−316518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、数多くある香辛料の中からフェヌグリークに着目し、フェヌグリークを加熱処理し、粉砕処理し、次いで通気性の低い密閉容器中で熟成処理を行うと、甘さと香ばしさのある鼻を突き刺すような強い香りとコクが付与されることを見出した。しかし、従来の混合香辛料の製造方法に開示されるように、フェヌグリークと他の香辛料とを一緒に熟成させると、他の香辛料が劣化して好ましくない風味が付与されてしまうことが分かった。またフェヌグリークを熟成処理する際に通気性の高い包材であると、油の焼けた臭いが強く生じてしまうことが分った。そこで本発明は、フェヌグリークを含む加工香辛料において、甘さと香ばしさのある鼻を突き刺すような強い香りとコクが付与され、かつ他の香辛料が好ましい風味を有する加工香辛料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を行った。その結果、フェヌグリークを他の香辛料とは別に密閉条件下で熟成処理することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、2種以上の香辛料を含有する加工香辛料であって、
(a)未粉砕のフェヌグリークを加熱処理し、粉砕処理し、次いで密閉容器中で熟成処理して調製された加工フェヌグリークと、ここで前記密閉容器は1500fmol/m2/s/Pa以下の酸素透過度を有する材料で構成されており、
(b)(a)とは別に用意されたフェヌグリーク以外の他の香辛料と
を含む加工香辛料に関する。
また本発明は、前記加工香辛料を含む食品に関する。
さらに本発明は、2種以上の香辛料を含有する食品であって、
(a)未粉砕のフェヌグリークを加熱処理し、粉砕処理し、次いで密閉容器中で熟成処理して調製された加工フェヌグリークと、ここで前記密閉容器は1500fmol/m2/s/Pa以下の酸素透過度を有する材料で構成されており、
(b)(a)とは別に用意されたフェヌグリーク以外の他の香辛料と
を含む食品に関する。
さらに本発明は、2種以上の香辛料を含有する加工香辛料の製造方法であって、
(a)未粉砕のフェヌグリークを加熱処理し、粉砕処理し、次いで密閉容器中で熟成処理することにより加工フェヌグリークを調製する工程、ここで前記密閉容器は1500fmol/m2/s/Pa以下の酸素透過度を有する材料で構成されており、
(b)工程(a)とは別にフェヌグリーク以外の他の香辛料を用意する工程、及び
(c)工程(a)で得られた加工フェヌグリークと工程(b)で得られた他の香辛料とを混合する工程
を含む加工香辛料の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、異味及び異臭がなく、フェヌグリークの甘さと香ばしさのある鼻を突き刺すような強い香りを有し、かつ強いコクを感じることができ、しかもフェヌグリーク以外の他の香辛料が好ましい風味を有する、フェヌグリークを含有する加工香辛料又は食品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(a)加工フェヌグリーク
本発明の加工フェヌグリークは、未粉砕のフェヌグリークを加熱処理し、粉砕処理し、次いで密閉容器中で熟成処理を行うことにより調製する。
加熱処理は、フェヌグリークシードを砕くことなく子葉が種皮で覆われたホールの状態で行う。加熱処理は、フェヌグリークの温度が130℃以上200℃以下に達するまで、目的とする風味に合わせ任意に行うことが出来る。例えば、繊細で軽い香ばしい香りを求める場合は130℃以上で130℃に近い温度まで、強烈で強い香ばしい香りを求める場合には200℃に近い温度まで加熱させる。加熱処理は、上記条件を満たせばどのような加熱媒体により行ってもよく、例えば、オーブン、直火型釜、ハイブリッド釜、オイル式釜、蒸気式釜及び加熱水蒸気等の加熱媒体を使用することができる。
上記のようにフェヌグリークを加熱処理した後、粉砕処理を行う。粉砕処理はどのような装置を用いて行ってもよく、例えばスタンプミル及びハンマーミル等の装置を用いることができる。粉砕後の粒度は限定されず、例えば900μm以下、750μm以下又は350μm以下の粒度とすることができる。ここで、粒度は、JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」に定義されるふるい分け法によって測定した、試験用ふるいの目開きで表したものをいう。
【0008】
本発明においては、加熱処理し、粉砕処理したフェヌグリークを、密閉容器に入れて熟成させる。熟成処理は、実質的に酸素を透過しない密閉条件下で行う。例えば、酸素透過度が1500fmol/m2/s/Pa以下、好ましくは50fmol/m2/s/Pa以下、さらに好ましくは10fmol/m2/s/Pa以下の材料で構成された密閉容器を用いることにより行う。なお、本発明において、酸素透過度はJIS規格 K7126により定義されるものをいう。上記酸素透過度を満たす容器としては、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム、エチレンビニルアルコール(EVOH)フィルム、シリカ蒸着PETフィルム、アルミ蒸着PETフィルム、アルミナ蒸着PETフィルム、ポリビニルアルコール(PVA)コート延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム及びアルミ箔等の材料で構成された包材を用いることができる。
熟成処理は、上記密閉容器中で、好ましくは50℃以上80℃未満の温度、より好ましくは55℃以上75℃以下の温度で、好ましくは3週間以上7週間以下、より好ましくは4週間以上6週間以下の期間行う。本発明者らは、フェヌグリークを酸素が透過しない密閉条件下でこのように熟成させることにより、加熱処理により生じた異味及び異臭をなくすことができ、かつ酸化臭を生じさせずに、甘さと香ばしさのある鼻を突き刺すような所望の強い香りを付与することができることを見出した。
また、フェヌグリークの熟成処理は、他の香辛料とは別に行う。フェヌグリークと他の香辛料とを混合して上記熟成処理条件で一緒に熟成させると、他の香辛料からモノテルペン類や油脂による劣化臭が生じ、結果として得られる加工香辛料の香りが好ましくないものとなってしまう。
【0009】
(b)他の香辛料
フェヌグリーク以外の他の香辛料としては、特に限定されず、オールスパイス、フェンネル、唐辛子、ターメリック、陳皮、クミン、アサノミ、ケシノミ、ゴマ、ショウガ、オレンジピール、コリアンダー、タラゴン、スペアミント、セージ、チャイブ、タイム、サボリー、サンショウ、チャービル、バジル、パセリ、パプリカ、コショウ及びカルダモンから選択される1種以上の香辛料が挙げられる。これらは市販のものをそのまま用いてもよく、あるいは加工フェヌグリークと混合する前に予め加工処理したものを用いてもよい。加工処理は、用いる香辛料の種類に応じて適宜加熱及び熟成処理等を行えばよい。他の香辛料の熟成処理については、好ましくは50℃未満の温度で行う。また、2種以上の香辛料を混合して熟成処理したものを用いてもよい。
本発明においては、他の香辛料として、フェンネル、ターメリック、陳皮、クミン、コリアンダー、コショウ及びカルダモンから選ばれる2種以上を混合したものを用いてもよいし、混合後熟成したものを用いてもよい。このようにして調製した他の香辛料と、上記加工フェヌグリークとを混合した加工香辛料は、カレーパウダーとして用いることができる。
【0010】
加工フェヌグリークと他の香辛料の配合比は、目的とする加工香辛料の香りや風味に応じて適宜調整することができる。例えば、加工香辛料の合計重量に対する加工フェヌグリークの重量が、0.1重量%以上99重量%以下、好ましくは0.5重量%以上95重量%以下となるように配合することができる。
本発明は、上記のようにして調製された加工香辛料を含む食品にも関する。また本発明は、上記のようにして調製された加工フェヌグリークと、これとは別に用意されたフェヌグリーク以外の他の香辛料とを含む食品にも関する。本発明の食品は、調味料や加工食品を含む食品全般を含む。例えば、カレー、シチュー、ハヤシ、ハッシュドビーフ、インスタントラーメン、スープ、醤油、各種ソース、パスタソース、うどんつゆ、おでんつゆ、ドレッシング、カレーフィリング、カレーパン及びスナック菓子等や、これらに添加するための液体調味料及び粉末調味料が挙げられる。好ましくは、本発明の食品は、カレー、シチュー、ハヤシ又はハッシュドビーフである。加工食品としては、レトルト食品及びチルド食品等の工業製品を含む。これらの食品に含まれる本発明の加工香辛料又は加工フェヌグリークは、目的に応じて任意の含有量とすることができる。例えば、食品中の本発明の加工香辛料又は加工フェヌグリークが、0.01重量%以上90重量%以下、好ましくは0.01重量%以上20重量%以下となるように含めることができる。
【実施例】
【0011】
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
未粉砕のフェヌグリークをオーブンで160℃の温度に達する(以下、達温という)まで加熱して焙煎した。焙煎後のフェヌグリークをスタンプミルで750μm以下の粒度(目開き750μmパス)となる粒度まで粉砕後、酸素透過度が7.5fmol/m2/s/Paのアルミ蒸着PETフィルムのパウチに充填密閉し、60℃の環境下で5週間熟成処理を行って加工フェヌグリークを得た。
上記の加工フェヌグリーク95gと粉砕したフェンネル5gとを混合し、加工香辛料を調製した。
(実施例2、3)
フェヌグリークの加熱処理の際の達温を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様に加工香辛料を調製した。
(実施例4、5)
フェヌグリークの熟成処理の温度及び期間を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様に加工香辛料を調製した。
(実施例6)
フェヌグリークの熟成処理を、酸素透過度1375fmol/m2/s/PaのPETフィルムの包材で行ったこと以外は、実施例1と同様に加工香辛料を調製した。
(実施例7、8)
フェヌグリークを粉砕する際の粒度を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様に加工香辛料を調製した。
【0012】
上記のようにして得られた加工香辛料について、訓練され、本評価に同意したパネル10人により、下記の基準を用いて官能評価を行った。結果を表1に示す。
[評価基準]
○:フェヌグリークの甘さと香ばしさのある鼻を突き刺すような強い香りがあり、十分なコクを感じ、かつ、フェンネルが好ましい風味を有する。
△:フェヌグリークの甘さと香ばしさのある鼻を突き刺すような香りがあり、コクを感じ、かつ、フェンネルが好ましい風味を有する。
×:フェヌグリークの甘さと香ばしさのある鼻を突き刺すような香りが弱く、コクを感じない、若しくは焦げ臭を感じる。または、フェンネルが好ましい風味を有しない。
【表1】
【0013】
(比較例1)
フェヌグリークの熟成処理を酸素透過度14800fmol/m2/s/Paのポリエチレン(PE)フィルムの包材で行ったこと以外は、実施例1と同様に加工香辛料を調製した。得られた加工香辛料は、油の焼けた臭いが強く、フェヌグリークの甘さと香ばしさのある鼻を突き刺すような香りが弱く、コクを感じなかった。
(比較例2)
フェヌグリークの加熱処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に加工香辛料を調製した。得られた加工香辛料は、フェヌグリークの甘さと香ばしさのある鼻を突き刺すような香りがなく、コクを感じなかった。
(比較例3)
加熱処理後のフェヌグリークを粉砕しなかったこと以外は、実施例1と同様に加工香辛料を調製した。得られた加工香辛料は、フェヌグリークの甘さと香ばしさのある鼻を突き刺すような香りが弱く、コクを感じなかった。
(比較例4)
未粉砕のフェヌグリークを実施例1と同様に加熱処理及び粉砕処理した。粉砕したフェヌグリーク95gと、粉砕したフェンネル5gとを、共に酸素透過度が7.5fmol/m2/s/Paのアルミ蒸着PETフィルムのパウチに充填密閉し、60℃の環境下で5週間熟成処理を行った。得られた加工香辛料は、モノテルペン類の劣化臭が生じ、フェヌグリークの甘さと香ばしさのある鼻を突き刺すような香りがなく、コクも感じられなかった。
【0014】
【表2】
【0015】
(実施例9 カレーパウダー)
実施例1と同様にして加工フェヌグリークを調製し、この加工フェヌグリーク4g、オールスパイス4g、唐辛子4g、カルダモン5g、コリアンダー35g、クミン10g、ショウガ4g、黒コショウ4g及びターメリック20gを混合し、カレーパウダーを得た。得られたカレーパウダーは、フェヌグリークの甘さと香ばしさのある刺激的な鼻を突き刺すような強い香りと共に良好な香辛料の風味を有し、強いコクを有するものであった。
(実施例10 レトルトカレー)
実施例1と同様にして加工フェヌグリークを調製し、この加工フェヌグリーク、ターメリック、コリアンダー、唐辛子、及びクミンを、1:2:2:1:2の重量比で混合し、加工香辛料を得た。
ラード33.5gと小麦粉37gを120℃になるまで炒めた。そこに上記加工香辛料8gを加え、3分間炒めた。次に、グラニュー糖6.5g、食塩7.5g、グルタミン酸ナトリウム6.5g、核酸調味料0.7g、カラメル色素0.3g、水600gを加えて撹拌し、カレーソースを作った。前記カレーソース200gをレトルトパウチに入れ、120℃で60分間殺菌処理を行い、レトルトカレーソースを得た。このレトルトカレーソースは、フェヌグリークの甘さと香ばしさのある刺激的な鼻を突き刺すような強い香りと共に良好な香辛料の風味を有し、強いコクを有するものであった。
(実施例11 ルウカレー)
ラード33.5gと小麦粉37gを120℃になるまで炒めた。そこに実施例10で調製した加工香辛料8gを加え、3分間炒めた。次に、グラニュー糖6.5g、食塩7.5g、グルタミン酸ナトリウム6.5g、核酸調味料0.7g、カラメル色素0.3gを入れ、90℃で30分間加熱混合した後、60℃まで冷却し、これを80重量部トレイに充填した。次に、これを−10℃、12分間の条件で冷却処理を施して固化し、固形カレールウを得た。得られたルウで作ったカレーは、フェヌグリークの甘さと香ばしさのある刺激的な鼻を突き刺すような強い香りと共に良好な香辛料の風味を有し、強いコクを有するものであった。
(実施例12 ルウカレー)
フェンネル5g、ターメリック30g、陳皮10g、クミン5g、コリアンダー30g、コショウ10g、およびカルダモン1gを混合し、スパイスミックスを調整した。そこに、実施例1と同様にして調製した加工フェヌグリーク9gを添加し、加工香辛料を得た。この加工香辛料8gを用いた以外は、実施例11と同様に固形カレールウを調整した。得られたルウで作ったカレーは、フェヌグリークの甘さと香ばしさのある刺激的な鼻を突き刺すような強い香りと共に良好な香辛料の風味を有し、強いコクを有するものであった。
(実施例13 水系ルウカレー)
水25.7g、食塩6.6g、菜種油3.8g、水あめ10.4g、麦芽糖20.8g、グルタミン酸ナトリウム1g、オニオンペースト0.9g、粉末野菜7.4g、乳原料0.8g、カラメル色素0.8g、その他の調味料1.8g、実施例10で調製した加工香辛料2gを撹拌混合しながら混合物の温度が95℃に達するまで加熱調理し、70℃まで冷却後、アルコール2.0g、コーンスターチ16.1gを加え撹拌混合し、柔軟性のある容器に充填密閉し、カレールウを得た。得られたルウで作ったカレーは、フェヌグリークの甘さと香ばしさのある刺激的な鼻を突き刺すような強い香りと共に良好な香辛料の風味を有し、強いコクを有するものであった。