(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6575954
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】ダイ対データベースのフォトマスク検査のための自動的な較正サンプルの選択
(51)【国際特許分類】
G03F 1/84 20120101AFI20190909BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20190909BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20190909BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
G03F1/84
G06T1/00 305A
H01L21/66 J
G01N21/956 A
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-567004(P2016-567004)
(86)(22)【出願日】2015年5月5日
(65)【公表番号】特表2017-516142(P2017-516142A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】US2015029309
(87)【国際公開番号】WO2015171654
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2018年4月16日
(31)【優先権主張番号】61/988,908
(32)【優先日】2014年5月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/703,546
(32)【優先日】2015年5月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ フェン
(72)【発明者】
【氏名】パン ガン
【審査官】
長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−189724(JP,A)
【文献】
特表2005−537578(JP,A)
【文献】
特開2013−045070(JP,A)
【文献】
特開2013−045372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/84
G01N 21/956
G06T 1/00
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイ対データベースのレチクル検査方法で使用される基準画像が描画される基となるパラメータを較正するためにレチクルの設計データパターンのサンプルを選択する方法であって、
複数の設計データパターンのサンプルに局所的な2値パターン(LBP)分析を適用して、前記複数の設計データパターンのサンプルのそれぞれに対してp次元のベクトル出力を得るステップと、
ベクトル出力のデータ点の組をM個のグループにクラスタ化するステップと、
クラスタ化されたグループそれぞれから1つのサンプルを選択するステップと、
前記各グループから選択された1つのサンプルのそれぞれに対して評価スコアとして代表性スコア及び多様性スコアを計算するステップと、
前記代表性スコアおよび前記多様性スコアに基づいて前記M個のサンプルの一部を選択するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記複数の設計データパターンのサンプルを無作為に選択するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記設計データパターンのサンプルにおいてゼロのみを含む次元を除去するステップと、
より高速な計算のためにデータ次元を削減するために、主成分分析(PCA)を適用して最上位次元を抽出するステップと、をさらに含み、
前記除去ステップおよび適用ステップによってq次元のベクトル出力が生じ、M個のグループにクラスタ化されるベクトル出力のデータ点が前記q次元のベクトル出力である、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記局所的な2値パターン分析が、合計8個の画素に対して1画素半径の近傍に関して行われることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記局所的な2値パターン分析が、合計16個の画素に対して2画素半径の近傍に関して行われることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
第1の丸めスクリーニングを適用することによって重要でないサンプルを排除するステップ、
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記局所的な2値パターン分析が全ての前記設計データパターンのサンプルに適用されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記局所的な2値パターン分析が、コンピュータアルゴリズムによって無作為に選択された一組のサンプルの前記設計データパターンに適用されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記クラスタ化ステップが平均値シフトクラスタリングを使用することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記評価スコアが、前記クラスタ化ステップで分析されたq−D空間におけるサンプルの局所的な密度に基づいた各サンプルに対する前記代表性スコアであることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記評価スコアが、前記クラスタ化ステップで分析されたq−D空間におけるサンプルの座標の分散に基づいた各組のサンプルに対する前記多様性スコアであることを特徴とする方法。
【請求項12】
複数のコンピュータ可読命令および設計データのデータベースを記憶するように構成されたメモリ素子と、プロセッサと、を備え、前記複数のコンピュータ可読命令は、前記プロセッサに、
前記データベースから取得された複数の較正サンプルに局所的な2値パターン(LBP)分析を適用して前記複数の較正サンプルのそれぞれに対してp次元のベクトル出力を得させ、
前記p次元のデータ点をM個のグループにクラスタ化させ、
クラスタ化されたグループそれぞれから1つのサンプルを選択させ、
前記選択されたサンプルに対する評価スコアとして代表性スコア及び多様性スコアを計算させ、および
前記代表性スコアおよび前記多様性スコアに基づいて前記M個のサンプルの一部を選択させる
ことによって、ダイ対データベースのレチクル検査方法において使用される基準画像が描画される基となるパラメータを較正するために、前記データベースのレチクルの設計データパターンのサンプルを選択させる、
ことを特徴とするコンピュータベースの装置。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータベースの装置であって、
前記プロセッサに、
前記サンプルにおいてゼロのみを含む次元を除去させ、
より高速な計算のためにデータ次元を低減するために、主成分分析(PCA)を適用して最上位次元を抽出させる
ことを特徴とするコンピュータベースの装置。
【請求項14】
請求項12に記載のコンピュータベースの装置であって、
前記プロセッサに、
合計8個の画素に対して1画素半径の近傍に関して前記局所的な2値パターン分析を行わせる
ことを特徴とするコンピュータベースの装置。
【請求項15】
請求項12に記載のコンピュータベースの装置であって、
前記プロセッサに、
合計16個の画素に対して2画素半径の近傍に関して前記局所的な2値パターン分析を行わせる
ことを特徴とするコンピュータベースの装置。
【請求項16】
請求項12に記載のコンピュータベースの装置であって、
前記プロセッサに、
全ての前記較正サンプルに前記局所的な2値パターン分析を適用させる
ことを特徴とするコンピュータベースの装置。
【請求項17】
請求項12に記載のコンピュータベースの装置であって、
前記プロセッサに、一組の無作為に選択されたサンプルの前記設計データに前記局所的な2値パターン分析を適用させることを特徴とするコンピュータベースの装置。
【請求項18】
請求項12に記載のコンピュータベースの装置であって、
前記プロセッサに、平均値シフトクラスタリングを使用してデータクラスタ化させることを特徴とするコンピュータベースの装置。
【請求項19】
請求項12に記載のコンピュータベースの装置であって、
前記プロセッサに、前記クラスタ化ステップで分析されたq次元空間におけるサンプルの局所的な密度に基づいた各サンプルに対する前記代表性スコアを前記評価スコアとして出力させることを特徴とするコンピュータベースの装置。
【請求項20】
請求項12に記載のコンピュータベースの装置であって、
前記プロセッサに、前記クラスタ化ステップで分析されたq次元空間におけるサンプルの座標の分散に基づいた各組のサンプルに対する前記多様性スコアを前記評価スコアとして出力させることを特徴とするコンピュータベースの装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にフォトマスク検査、より詳細にはダイ対データベースのフォトマスク検査、さらにより詳細にはダイ対データベースのフォトマスク検査のための自動的な較正サンプルの選択に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年5月6日に出願された、米国仮特許出願第61/988,908号の利益を主張するものであり、その出願全体を本願に引用して援用する。
【0003】
フォトマスクは、一般に、集積回路の設計と実際のウェーハそのものとの間の中間工程において使用される。フォトマスクは、半導体材料上に像を印刷するための原版として働く。過去は、マスクからウェーハへの像の1:1転写が慣例であった。1:1転写は、マスク像を、ウェーハ面を横切って何回もステップさせて露光する縮小レンズ系を利用する「ステップアンドリピート」システムへ移行した。ステップアンドリピートシステムでは、結果としてフォトマスク上での像面サイズがより大きくなる。倍率がもはや1:1ではないため、フォトマスクは、レチクルと呼ばれることがある。
【0004】
典型的には、設計者が集積回路の回路パターンを完全に電子的に記述することを可能にするコンピュータ支援設計(CAD)システムが使用される。その電子設計データは、パターン発生器が所望のマスクフィーチャを使用し、そのマスクフィーチャをフォトマスク上に印刷するための一組の命令を生成する。次いで、一般に、マスクは、様々なプロセスにさらされ、このプロセスには、フォトマスクにパターンをエッチングすることが含まれ、その後フォトマスクは品質保証検査を行えるようになる。
【0005】
品質保証検査には、例えば、マスクフィーチャが確実に適正な大きさで印刷されるように限界寸法を測定することが含まれる場合がある。また、半導体デバイスは、層ごとに構築されるため、各層に使用されるフォトマスクの像面は、各層がある公差内で確実に互いに「積み重なる」ように検査される場合がある。要するに、欠陥検査は、所定の大きさよりも大きなレチクル欠陥を確実になくすために行われる。欠陥が見つかった場合は、それらの欠陥を修復するか、またはそれらの欠陥が印刷に必要な仕様内にあることを判断しなければならない。
【0006】
ダイ対ダイおよびダイ対データベースは、業界で知られ、使用されている2つのパターン欠陥レチクル検査方法である。ダイ対ダイ検査方法では、どのような不一致も検出するように隣接ユニットのパターンが比較される。したがって、同一のレチクル上の一方のダイをもう一方のダイに対して比較するには、両方のダイが同一の設計を有することが必要となる。検査システムは、検査される領域を走査し、像を収集し、ダイ間の差異を識別するために像を処理する。所定のしきい値を超える差異は、欠陥として検出される。ダイ対ダイ検査が機能するためには全く同一の設計を有する2つ以上のダイが必要であるため、単一ダイのレチクルは、この方法では検査することができない。
【0007】
ダイ対データベースの検査方法では、検査システムは、レチクルから収集された像をデータベースに記憶された描画像と比較する。この方法がうまくいくためには、描画像は、レチクル上の処理されるフィーチャにできるだけ似ていなければならない。したがって、記憶される像は、検査されるレチクルを書くために使用される設計データから描画される。
【0008】
ダイ対データベース検査は、それ自体の性質上、データ描画、画像処理の両方および不良検出に高度なアルゴリズムを必要とするより複雑なプロセスである。また、このダイ対データベース検査は、より多くの処理能力を必要とする。しかしながら、ダイ対データベースの大きな利点の1つは、単一ダイのレチクル、一般にはどのようなレチクルレイアウトに関しても100%検査することができることである。単一ダイのレチクルは、新しいリソグラフィプロセスおよび技法の開発およびデバッグのためのレチクル、複数製品シャトル用レチクル、とりわけサーバチップMPU用レチクルを含む多くの目的に使用される。
【0009】
ダイ対データベースのフォトマスク検査は、基準画像が描画される基となるパラメータを較正するための較正ステップを必要とする。像描画モデルの高い非線形性により、効果的な較正サンプルの選択は、検査の成功にとってきわめて重要である。ダイ対データベースのフォトマスク検査の初回の成功率もきわめて重要である。検査手順の繰返しは、数時間かかることがあるため、初回の失敗は、顧客の製品のスループットに厳しい影響を与える可能性がある。
【0010】
ダイ対データベース検査の失敗の主要因の1つは、準最適な較正結果である。最適な較正結果の実現は、しばしば較正サンプルの選択に大きく依存し、この選択は、典型的には、オペレータによって手動で行われ、オペレータは、選択を適切に行うために相当の実務経験および/または像描画モデルについての深い理解を有していなければならない。一般に、膨大なデータのために、すべてのサンプルの目視検査は実際的ではなく、したがって、オペレータは、典型的には、a)フォトマスクの全板から、小さな一組のサンプル、例えば数10個のサンプルを無作為に選ぶこと、およびb)ステップa)で選ばれたサンプルから、様々な要因に基づいてさらにより小さな一組のサンプル、通常15個未満を選択することによって較正サンプルを選択する。様々な要因には、全板のサンプルの代表性、サンプルパターンの独自性、サンプルパターンの像描画の難しさ、および他の主観的なオペレータの経験が含まれる。
【0011】
オペレータの知識にもかかわらず、プロセスの科学的な評価がないために、較正サンプルは、通常主観的および経験的な方法で選択されている。このことは、検査の失敗につながる較正の失敗を予測不能に引き起こすことがある。さらに、選択は、不完全となる可能性が高い。オペレータは、数100万個の候補から数10個のサンプルを無作為に選び、これによって、オペレータが較正に大きな影響を及ぼす重要なサンプルを見逃しやすくなる。経験の浅いオペレータまたは見慣れないタイプのフォトマスクの場合、較正サンプルの選択は、時間を要し、困難であることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0236083号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、初回の成功率を向上させる、フォトマスク設計データから効果的な較正サンプルを選択するための改善された方法が長年にわたり必要とされている。また、選択を行うために必要な実務経験の量を減らすために手作業の一部に取って代わる自動化された選択方法が長年にわたり必要とされている。さらに、安定したやり方で効果的な較正サンプルを選択する選択方法が長年にわたり必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ダイ対データベースのレチクル検査方法で使用される基準画像が描画される基となるパラメータを較正するために、レチクルの設計データパターンのサンプルを選択する方法を含み、本法は、複数の設計データサンプルに局所的な2値パターン(LBP:local binary pattern)分析を適用して、複数のサンプルのそれぞれに対してp次元のベクトル出力を得るステップと、ベクトル出力のデータ点の組をM個のグループにクラスタ化するステップと、クラスタ化されたグループそれぞれから1つのサンプルを選択するステップと、選択されたサンプルに対する評価スコアを計算するステップと、代表性スコアおよび多様性スコアに基づいてM個のサンプルの一部を選択するステップと、を含む。
【0015】
また、本発明は、複数のコンピュータ可読命令を記憶するように構成されたメモリ素子と、複数のコンピュータ可読命令を実行して、複数のサンプルに対して局所的な2値パターン(LBP)分析を適用し、複数のサンプルのそれぞれに対してp次元のベクトル出力を得、q−Dのデータ点をM個のグループにクラスタ化し、クラスタ化されたグループそれぞれから1つのサンプルを選択し、選択されたサンプルに対して評価スコアを計算し、代表性スコアおよび多様性スコアに基づいてM個のサンプルの一部を選択するように構成されたプロセッサと、を有するコンピュータベースの装置を備える。
【0016】
本発明は、コンピュータービジョンおよび画像処理分野の一連の技法を使用して、効果的な較正サンプルを自動的に選択するためのプロセスを構築する。本プロセスは、LBP分析、抽象的で簡潔な仕方で各サンプルのパターン特徴を効率的に記述する特徴記述方法を含む。LBP分析結果およびさらなる任意選択的な分析に基づいて、本方法は、較正サンプルの選択をすぐに終了し、いかなる中断もなしに較正に入るか、または、各サンプルに対する対応する評価スコアと共に小さな組の較正サンプル候補を提供し、それに続いて手動による選択を行うかのいずれも行う。
【0017】
本発明は、選択プロセス手順を自動化し、オペレータの知識に対する必要条件を最小化し、較正サンプルの選択の完全性および有効性を著しく改善する。これによって、標準化された評価スコアが、主観的で不安定な手作業に取って代わることができ、それによって、製品の堅牢性が改善される。本発明の方法によって検査時間が増加する可能は低く、その結果、検査の初回の成功率が著しく改善される可能性がある。
【0018】
本発明のこれらおよび他の目的、利点ならびに特徴は、図面を考慮して本発明の以下の詳細な説明を考慮することで当業者には一層よく理解されるであろう。
【0019】
本発明の実施形態についてのよりよい理解のために、および本発明の実施形態が実行されるやり方を示すために、次いで添付の図面が純粋に例として参照される。図面では、全体を通して同様の数字が対応する要素または部分を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の例示的な実施形態による、ダイ対データベース計測方法の高レベルの概略流れ図である。
【
図3A】
図2Aのフォトマスクパターンの局所的な2値パターン分析によるヒストグラムである。
【
図3B】
図2Bのフォトマスクパターンの局所的な2値パターン分析によるヒストグラムである。
【
図3C】
図2Cのフォトマスクパターンの局所的な2値パターン分析によるヒストグラムである。
【
図3D】
図2Dのフォトマスクパターンの局所的な2値パターン分析によるヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
初めに、異なる図面の同様の参照文字は、本発明の同一の、または機能的に同様の構造要素を識別することを認識されたい。本発明は、好ましい態様であると現在考えられているものに関して記載されているが、特許請求される本発明は、開示された態様に限定されないことを理解されたい。本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で様々な変形および等価な構成を含むことが意図されている。
【0022】
さらに、本発明は、記載される特定の方法、材料および変形に限定されず、それゆえ様々であってもよいことはもちろんである。また、本願で使用される術語は、特定の態様のみを記載することを目的としており、本発明の範囲を限定することは意図されておらず、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが理解される。
【0023】
別段の規定がない限り、本願で使用される技術的および科学的用語はすべて、本発明が属する当業者に通常理解されるものと同一の意味を有する。本願に記載されるものと同様のもしくは等価のいかなる方法、デバイス、または材料も、本発明の実行またはテストにおいて使用することができるが、好ましい方法、デバイス、および材料について次に記載する。
【0024】
下記の記載では、実施形態は、本発明の例または実施態様である。「一実施形態」、「実施形態」、「ある実施形態」または「一部の実施形態」の様々な出現は、必ずしもすべてが同一の実施形態を指すとは限らない。
【0025】
図1は、本発明の一部の実施形態による、ダイ対データベース方法100の高レベルの概略流れ図である。
【0026】
方法100は、ステップ102を含み、このステップ102は、典型的な2値フォトマスク設計データ全体で利用可能な数100万個のサンプルから大きな組のN個のサンプルを無作為に選ぶステップを含む。(利用可能なサンプルは「数100万個のサンプル」よりも少ない場合もあることは明らかである。)ステップ102は、検査の立上げ中に実行されても、またはオフラインのデータベース準備段階中に実行されてもよい。選択がオフラインのデータベース準備段階中に起きる場合は、方法100によって全データベースを処理することができるため、ステップ102は、任意選択的である。選択が検査立上げ中に起きる場合は、ステップ102は、必須である可能性があり、無作為のサンプル数Nは、数10万にもなり得る。オフラインのデータベース準備中に、2値のフォトマスク設計データの全板で利用可能なN個のサンプルはすべて、自動選択プロセスに入力される。
【0027】
図2A〜
図2Dは、ステップ102でN個のサンプルとして選ばれた例示的なフォトマスクを示す。
図2Aは、暗い領域202および明るい領域204を有するフォトマスク200を示し、
図2Bは、暗い領域212および明るい領域214を有するフォトマスク210を示し、
図2Cは、暗い領域222および明るい領域224を有するフォトマスク220を示し、
図2Dは、暗い領域232および明るい領域234を有するフォトマスク230を示す。
【0028】
方法100のステップ104は、ステップ102で選ばれたN個のサンプルすべてにLBP分析を適用し、各サンプルに対して1つのp次元のベクトル出力を得るステップである。LBPは、テクスチャパタン認識に使用され、局所的な画素値の変化の分布によって画像のパターン特徴を簡潔に表現する。LBP演算子は、各画素の近傍をしきい値処理することによって画像の画素にラベル付けし、その結果を2進数と考える。次いで、これらの2
8=256の異なるラベルのヒストグラムがテクスチャ記述子として使用され得る。
【0029】
LBP演算子は、表記LBP
P、Ru2を有する。下付き添字は、(P,R)近傍において演算子を使用することを表す。上付き添え字u2は、均一なパターンのみを使用すること、および残りのパターンすべてに単一のラベルでラベル付けすることを表わす。LBPラベル付けされた画像f
l(x,y)が得られた後、LBPヒストグラムは、
【数1】
と規定され得て、ここでNは、LBP演算子によって生成された異なるラベルの数であり、I{A}は、Aが真の場合に1、Aが偽の場合に0である。ヒストグラムが比較されることになる画像パッチが異なる大きさを有する場合、ヒストグラムは、一貫性のある記述を得るために正規化されなければならない。すなわち、
【数2】
【0030】
例示的な実施形態では、LBP演算子は、(8,1)近傍において使用される。例示的な実施形態では、LBP演算子は、(16,2)近傍において使用される。どちらの近傍を使用するかは、計算と性能間のトレードオフを秤にかけることによって決定される。LBP分析における何らかの組み込まれた次元削減によって、ステップ104での出力ベクトルの次元(すなわち、p)は、(8,1)および(16,2)近傍に対して、それぞれおよそ60または250となる。
【0031】
図3A〜
図3Dは、それぞれ、ヒストグラムが対応する
図2A〜2Dのフォトマスクのヒストグラムである。具体的には、
図3Aは、
図2Aに示すフォトマスク200に対するLBPヒストグラム300を示し、
図3Bは、
図2Bに示すフォトマスク210に対するLBPヒストグラム310を示し、
図3Cは、
図2Cに示すフォトマスク220に対するヒストグラム320を示し、
図3Dは、
図2Dのフォトマスク230に対するヒストグラム330を示す。
【0032】
例示的な実施形態では、LBP演算子は、スーパーコンピュータにおいてN個のサンプルに対して並列に適用され、N個のp次元ベクトル(pは、およそ60であってもよい)を生成する。
【0033】
また、方法100は、ステップ106を含み、このステップ106は、重要でないサンプルまたは無用のサンプルを排除するために第1の丸めスクリーニングを適用することである。空のサンプル、ほぼ空のサンプル、および/または大きな平坦領域を有するサンプルをスクリーニング除去することによって、ベクトルが残る、合計N’個のサンプルを残す。
【0034】
ステップ106は、LBP値、すなわち正規化されたヒストグラムが[x
1,0,...,0,x
p]に近い値を有するサンプルを排除することによって、重要でないサンプルをスクリーン除去し、ここでx
1+x
p=1である。これらのLBP値は、それらの対応するサンプル画像が、ほぼ、平坦で暗い領域または平坦で明るい領域のみを有することを正確に示している。そのようなサンプルは、較正においてそれほど重要ではなく、排除される必要がある。
【0035】
任意選択で、後続のステップにおいてより高速に計算するために、ステップ108を実施することによってデータの次元を削減することができる。ステップ108は、すべてのサンプルにおいてゼロのみを含む次元を除去し、任意選択で主成分分析(PCA:principal component analysis)を適用して最上位次元を抽出することを含む。要するに、ステップ108は、データセットをq次元ベクトルに削減する。PCAの適用は、計算を著しく低減させることができるが、時々全体の性能に影響することがある。したがって、計算が厳しい問題でない場合は、PCAは、必要ない。
【0036】
PCAは、変化を強調し、データセット中の強いパターンを引き出すために使用される技法である。PCAは、データのある投影によって最も大きな分散が第1の座標(第1主成分と呼ばれる)上に、2番目に大きな分散が第2の座標上に来るなどのように、データを新しい座標系に変換する直交線形変換である。各主成分は、変数を有する相関行列の固有ベクトルの線形結合をとることによって計算される。
【0037】
ステップ108をまとめると、N’個のp−D、すなわち、p次元のベクトルの未使用の次元が削減され、N’個のq−D、すなわち、q次元のベクトルを残す。ここでqは、最上位次元を含む。
【0038】
ステップ110は、平均値シフトクラスタリングを使用して、q−DのデータをM個のグループにクラスタ化することである。次いで、M個のクラスタ中心それぞれの周囲で1つのデータポイントを選択する。q−Dベクトルを平均値シフトクラスタリングする1つの利点は、1つのパラメータ、すなわちq−D空間におけるクラスタの半径のみがあり、したがって、M個のグループが自動的に決定されるということである。クラスタリング半径は、Mがある適度な範囲内になるように繰返し調整される。例示的な実施形態では、Mは、およそ40〜50である。
【0039】
ステップ112は、ステップ110から生じるM個のサンプルに対する代表性スコアを計算することである。例示的な実施形態では、上位5個の代表性スコアを有するサンプルが最初に選択される。次に、q−D空間においてM個のサンプルの中心までの残りのM−5個のサンプルの距離を計算する。次いで、中心から最長の距離を有する15個のサンプルを選択し、10個のサンプルの組に対する組合せをすべて生成する。次いで、5個の最も代表的なサンプルを10個のサンプルの組すべてに加えて、多様性スコアがすべての組に対して計算される。最後に、最も高い多様性スコアを有する組が選択される。この15個のサンプルが較正において使用される。
【0040】
方法100は、較正サンプルの選択をすぐに終了し、較正を出力するか、または、各サンプルに対する対応する評価スコアと共に小さな組の較正サンプル候補を出力し、それに続いて手動による選択を行うかのいずれも行うことができる。
【0041】
本発明は、これらの図または対応する記載に限定されない。例えば、流れは、図示されたそれぞれの囲い枠または状態を通って、あるいは図示され記載された順番の通りに進む必要はない。
【0042】
したがって、本発明の目的は、効果的に得られるが、本発明に対する変形および変更は、当業者には容易に明らかなはずであり、それらの変形は、特許請求される本発明の趣旨および範囲内であることが意図されていることがわかる。前述の記載は、本発明を例示しており、限定していると見なされるべきでないことも理解される。したがって、特許請求される本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、本発明の他の実施形態が可能である。