特許第6575976号(P6575976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6575976有機光電子素子用組成物、有機光電子素子および表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6575976
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】有機光電子素子用組成物、有機光電子素子および表示装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20190909BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20190909BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20190909BHJP
   G03G 5/06 20060101ALI20190909BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   H05B33/14 B
   C09K11/06 690
   H01L27/32
   G03G5/06 312
   G03G5/06 314Z
   G03G5/06 315C
   G09F9/30 365
【請求項の数】13
【全頁数】79
(21)【出願番号】特願2017-559421(P2017-559421)
(86)(22)【出願日】2016年5月11日
(65)【公表番号】特表2018-524797(P2018-524797A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】KR2016004929
(87)【国際公開番号】WO2016204406
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2017年11月13日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0087776
(32)【優先日】2015年6月19日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0057082
(32)【優先日】2016年5月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リ,サンシン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ギウク
(72)【発明者】
【氏名】カン,ドン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンクォン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ウン ソン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ビョンクァン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,キポ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨンソン
【審査官】 倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−530802(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0131745(KR,A)
【文献】 特開2016−185914(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/024750(WO,A1)
【文献】 特許第6299223(JP,B2)
【文献】 国際公開第2013/122082(WO,A1)
【文献】 特許第5376063(JP,B2)
【文献】 特許第5821635(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L27/32;H05B33/00−33/28;H01L51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1−I、化学式1−IIまたは1−IIIで表される少なくとも1種の第1化合物と、
下記の化学式2−I、化学式2−II、化学式2−III、化学式2−IV、化学式2−Vまたは化学式2−VIで表される少なくとも1種の第2化合物と、
を含む有機光電子素子用組成物;
【化1】
(前記化学式1−I〜1−IIIで、
Zは、それぞれ独立して、N、またはCRであり、
Zのうちの少なくとも1つは、Nであり、
、Ra1〜Ra4、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、重水素、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C3〜C30シクロアルキル基、C2〜C30ヘテロシクロアルキル基、またはC6〜C30アリール基で置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基である)
【化2】
【化3】
(前記化学式2−I〜2−VIで、
〜L、YおよびYは、それぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基であり、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリールアミン基、またはこれらの組み合わせであり、
〜Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のニトリル基、置換もしくは非置換のイソニトリル基、ヒドロキシ基、チオール基、またはこれらの組み合わせであるが、
前記化学式2−IのRまたはRは、置換もしくは非置換のカルバゾリル基ではなく、
〜R31は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基またはこれらの組み合わせであり、
ただし、前記R〜Rはすべてカルバゾリル基ではなく、
nは、0〜5の整数のうちの1つである)
ここで、前記化学式1−I〜1−IIIおよび前記化学式−I〜2−VIの「置換」とは、少なくとも1つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、C1〜C30アミン基、C6〜C30アリールアミン基、ニトロ基、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C3〜C30シクロアルキル基、C2〜C30ヘテロシクロアルキル基、C6〜C30アリール基、C2〜C30ヘテロ環基、C1〜C20アルコキシ基、C1〜C10トリフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する。
【請求項2】
下記の化学式1で表される少なくとも1種の第1化合物と、
下記の化学式2−I、化学式2−II、化学式2−III、化学式2−IV、化学式2−Vまたは化学式2−VIで表される少なくとも1種の第2化合物と、
を含む有機光電子素子用組成物;
【化4】
(前記化学式1で、
〜X12は、それぞれ独立して、N、CまたはCRであり、
〜Xのうちの3つは、Nであり、
〜X12のうちの1つ〜3つは、Nであり、
は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、重水素、C1〜C30アルキル基、またはC6〜C30アリール基で置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基であり、
前記化学式1において、「置換」とは、少なくとも1つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシ基、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C3〜C30シクロアルキル基、C2〜C30ヘテロシクロアルキル基、C6〜C30アリール基またはC2〜C30ヘテロ環基で置換されたことを意味する)
【化5】
【化6】
(前記化学式2−I〜2−VIで、
〜L、YおよびYは、それぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基であり、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリールアミン基、またはこれらの組み合わせであり、
〜Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のニトリル基、置換もしくは非置換のイソニトリル基、ヒドロキシ基、チオール基、またはこれらの組み合わせであるが、
前記化学式2−IのRまたはRは、置換もしくは非置換のカルバゾリル基ではなく、
〜R31は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基またはこれらの組み合わせであり、
ただし、前記R〜Rはすべてカルバゾリル基ではなく、
nは、0〜5の整数のうちの1つであり、
前記化学式2−I〜2−VIにおいて、「置換」とは、少なくとも1つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、C1〜C30アミン基、C6〜C30アリールアミン基、ニトロ基、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C3〜C30シクロアルキル基、C2〜C30ヘテロシクロアルキル基、C6〜C30アリール基、C2〜C30ヘテロ環基、C1〜C20アルコキシ基、C1〜C10トリフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する)
【請求項3】
前記Lは、重水素、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、またはC6〜C30アリール基で置換もしくは非置換のフェニレン基;
重水素、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、またはC6〜C30アリール基で置換もしくは非置換のビフェニレン基;
重水素、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基またはC6〜C30アリール基で置換もしくは非置換のターフェニレン基;または
重水素、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基またはC6〜C30アリール基で置換もしくは非置換のクォーターフェニレン基である、請求項1に記載の有機光電子素子用組成物。
【請求項4】
前記Lは、置換もしくは非置換の下記グループ2に羅列された連結基から選択される、請求項1または2に記載の有機光電子素子用組成物;
【化7】
(前記グループ2で、*は隣接した原子との連結地点である)。
【請求項5】
前記Rは、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基であり、
前記C6〜C30アリール基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のクォーターフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、または置換もしくは非置換のフェナントレニル基である、請求項1または2に記載の有機光電子素子用組成物。
【請求項6】
前記化学式2−I〜2−VIのArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のキノリニル基、置換もしくは非置換のイソキノリニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、またはこれらの組み合わせである、請求項1または2に記載の有機光電子素子用組成物。
【請求項7】
前記化学式2−I〜2−VIのArおよびArは、置換もしくは非置換の下記グループ4に羅列された基から選択される、請求項1または2に記載の有機光電子素子用組成物;
【化8】
(前記グループ4で、*は隣接した原子との連結地点である)。
【請求項8】
前記第1化合物は、下記の化学式1−Iaで表され、
前記第2化合物は、下記の化学式1aまたは2a−1で表される、請求項1に記載の有機光電子素子用組成物;
【化9】
(前記化学式1−Iで、
〜Zは、それぞれ独立して、N、またはCRであり、
〜Zのうちの少なくとも2つは、Nであり、
〜Zのうちの少なくとも2つは、Nであり、
、およびRa1〜Ra4は、それぞれ独立して、水素、または置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基であり、
は、重水素、C1〜C30アルキル基、またはC6〜C30アリール基で置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基である)
【化10】
(前記化学式1aおよび化学式2a−1で、
〜L、YおよびYは、それぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基であり、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、または置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基であり、
〜R、およびR〜R12は、それぞれ独立して、水素、重水素、または置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基であるが、
前記化学式1aのRまたはRは、置換もしくは非置換のカルバゾリル基ではなく、
前記R〜Rは、すべてカルバゾリル基ではな
ここで、前記化学式1−Ia、前記化学式1aおよび前記化学式2a−1の「置換」とは、少なくとも1つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、C1〜C30アミン基、C6〜C30アリールアミン基、ニトロ基、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C3〜C30シクロアルキル基、C2〜C30ヘテロシクロアルキル基、C6〜C30アリール基、C2〜C30ヘテロ環基、C1〜C20アルコキシ基、C1〜C10トリフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する
【請求項9】
燐光ドーパントをさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機光電子素子用組成物。
【請求項10】
互いに向き合うアノードおよびカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に位置する少なくとも1層の有機層と、
を含み、
前記有機層は、請求項1〜のいずれか一項に記載の有機光電子素子用組成物を含む有機光電子素子。
【請求項11】
前記有機層は、発光層を含み、
前記発光層は、前記有機光電子素子用組成物を含む、請求項10に記載の有機光電子素子。
【請求項12】
有機光電子素子は、有機発光素子、有機光電素子、有機太陽電池、有機トランジスター、有機感光体ドラムおよび有機メモリ素子からなる群より選択される、請求項10に記載の有機光電子素子。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか一項に記載の有機光電子素子を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機光電子素子および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機光電子素子(organic optoelectric diode)とは、電気エネルギーと光エネルギーとを相互変換することができる素子である。
【0003】
有機光電子素子は、動作原理に応じて大きく2種類に分けることができる。1つは、光エネルギーにより形成されたエキシトン(exciton)が電子と正孔に分離され、前記電子と正孔がそれぞれ異なる電極に伝達されて電気エネルギーを発生する光電素子であり、他の1つは、電極に電圧または電流を供給して電気エネルギーから光エネルギーを発生する発光素子である。
【0004】
有機光電子素子の例としては、有機光電素子、有機発光素子、有機太陽電池および有機感光体ドラム(organic photo conductor drum)などが挙げられる。
【0005】
このうち、有機発光素子(organic light emitting diode、OLED)は、近年、平板表示装置(flat panel display device)の需要増加に伴って大きく注目されている。前記有機発光素子は、有機発光材料に電流を加えて電気エネルギーを光に変換させる素子であって、通常、陽極(anode)と陰極(cathode)との間に有機層が挿入された構造からなる。
【0006】
長寿命のフルカラーディスプレイの最も大きい問題となっている要素の1つは、青色有機発光素子の寿命である。したがって、長寿命の青色有機発光素子の開発のために多くの研究が進められている。本発明ではこのような問題点を解決するために、長寿命の青色有機発光素子を提供しようとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一実施形態の目的は、高効率および長寿命の特性を実現することができる有機光電子素子用組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の他の実施形態の目的は、前記有機光電子素子用組成物を含む有機光電子素子を提供することにある。
【0009】
本発明のまた他の実施形態の目的は、前記有機光電子素子を含む表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、下記の化学式1で表される少なくとも1種の第1化合物と、下記の化学式2で表される少なくとも1種の第2化合物と、を含む有機光電子素子用組成物を提供する。
【0011】
【化1】
【0012】
前記化学式1で、
〜X12は、それぞれ独立して、N、CまたはCRであり、
〜Xのうちの少なくとも1つは、Nであり、
〜X12のうちの少なくとも1つは、Nであり、
は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキル基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルケニル基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキニル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリールオキシ基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリールチオ基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロアリール基、ヒドロキシ基、チオール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、それぞれ独立して存在したり、隣接したRは互いに連結されて環を形成し、
は、重水素、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C3〜C30シクロアルキル基、C2〜C30ヘテロシクロアルキル基、またはC6〜C30アリール基で置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基であり;
【0013】
【化2】
【0014】
前記化学式2で、
〜L、およびYは、それぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基であり、
Arは、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリールアミン基、またはこれらの組み合わせであり、
〜Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のニトリル基、置換もしくは非置換のイソニトリル基、ヒドロキシ基、チオール基、またはこれらの組み合わせであり、
〜Rは、それぞれ独立して存在したり、隣接した基は互いに連結されて環を形成し、
〜R、およびArのうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、または置換もしくは非置換のカルバゾリル基であるが、
およびRのうちのいずれか1つとRおよびRのうちのいずれか1つが同時に置換もしくは非置換のカルバゾリル基ではなく、
〜Rのうちのいずれか1つが置換のカルバゾリル基である場合、置換基はカルバゾリル基ではなく、
前記化学式1および2の「置換」とは、別途の定義がない限り、少なくとも1つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、C1〜C30アミン基、C6〜C30アリールアミン基、ニトロ基、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C3〜C30シクロアルキル基、C2〜C30ヘテロシクロアルキル基、C6〜C30アリール基、C2〜C30ヘテロ環基、C1〜C20アルコキシ基、C1〜C10トリフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する。
【0015】
本発明の他の実施形態によれば、前記有機光電子素子用組成物を含む有機光電子素子を提供する。
【0016】
本発明のまた他の実施形態によれば、前記有機光電子素子を含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高効率および長寿命の有機光電子素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態に係る有機光電子素子を概略的に示した断面図である。
図2】一実施形態に係る有機光電子素子を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって本発明が制限されず、特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0020】
本明細書で「置換」とは、別途の定義がない限り、置換基または化合物のうちの少なくとも1つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、C1〜C30アミン基、C6〜C30アリールアミン基、ニトロ基、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C3〜C30シクロアルキル基、C2〜C30ヘテロシクロアルキル基、C6〜C30アリール基、C2〜C30ヘテロ環基、C1〜C20アルコキシ基、C1〜C10トリフルオロアルキル基、シアノ基またはこれらの組み合わせで置換されたものを意味する。
【0021】
本発明の一例で「置換」とは、置換基または化合物のうちの少なくとも1つの水素が重水素、C1〜C10アルキル基、C6〜C30アリール基、C2〜C30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせで置換されたものを意味する。
【0022】
また前記置換されたC1〜C30アミン基、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C1〜C10アルキルシリル基、C3〜C30シクロアルキル基、C2〜C30ヘテロシクロアルキル基、C6〜C30アリール基、C2〜C30ヘテロ環基、またはC1〜C20アルコキシ基のうちの隣接した2つの置換基が連結されて融合環を形成することもできる。例えば、前記置換されたC6〜C30アリール基は、隣接した他の置換されたC6〜C30アリール基と連結されて置換もしくは非置換のフルオレン環を形成することができ、前記置換のC6〜C30アリール基は、隣接したC1〜C30アルケニル基などと連結されてトリフェニレン環、ナフタレン環、ピラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環などを形成することができる。
【0023】
本明細書で「ヘテロ」とは、別途の定義がない限り、1つの作用基内にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を1〜3個含有し、残りは炭素であるものを意味する。
【0024】
本明細書で「アルキル(alkyl)基」とは、別途の定義がない限り、脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、いかなる二重結合や三重結合を含んでいない「飽和アルキル(saturated alkyl)基」であってもよい。
【0025】
前記アルキル基は、C1〜C30であるアルキル基であってもよい。より具体的に、アルキル基は、C1〜C20アルキル基またはC1〜C10アルキル基であってもよい。例えば、C1〜C4アルキル基は、アルキル鎖に1〜4個の炭素原子が含まれるものを意味し、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルからなる群より選択されるものを示す。
【0026】
前記アルキル基は、具体的な例を挙げると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを意味する。
【0027】
本明細書で「アリール(aryl)基」とは、炭化水素芳香族モイエティを1つ以上有するグループを総括する概念であり、
炭化水素芳香族モイエティのすべての元素がp−オービタルを有し、これらのp−オービタルが共役(conjugation)を形成している形態、例えばフェニル基、ナフチル基などを含み、
2以上の炭化水素芳香族モイエティがシグマ結合を通じて連結された形態、例えばビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基などを含み、
2以上の炭化水素芳香族モイエティが直接または間接的に融合された非芳香族融合環も含むことができる。例えば、フルオレニル基などが挙げられる。
【0028】
アリール基は、モノサイクリック、ポリサイクリックまたは融合環ポリサイクリック(つまり、炭素原子の隣接した対を共有する環)作用基を含む。
【0029】
本明細書で「ヘテロ環基(heterocyclic group)」とは、ヘテロアリール基を含む上位概念であり、アリール基、シクロアルキル基、これらの融合環またはこれらの組み合わせのような環化合物内に炭素(C)の代わりにN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも1個を含有するものを意味する。前記ヘテロ環基が融合環である場合、前記ヘテロ環基全体またはそれぞれの環ごとにヘテロ原子を1個以上含むことができる。
【0030】
一例として「ヘテロアリール(heteroaryl)基」とは、アリール基内に炭素(C)の代わりにN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有するものを意味する。2以上のヘテロアリール基は、シグマ結合を通じて直接連結されたり、前記C2〜C60ヘテロアリール基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに融合されてもよい。前記ヘテロアリール基が融合環である場合、それぞれの環ごとに前記ヘテロ原子を1〜3個含むことができる。
【0031】
前記ヘテロアリール基は、具体的な例を挙げると、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基などを含むことができる。
【0032】
より具体的に、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基および/または置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のp−ターフェニル基、置換もしくは非置換のm−ターフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、置換もしくは非置換のフラニル基、置換もしくは非置換のチオフェニル基、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサゾリル基、置換もしくは非置換のチアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは非置換のチアジアゾリル基、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のピラジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のベンズイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のキノリニル基、置換もしくは非置換のイソキノリニル基、置換もしくは非置換のキナゾリニル基、置換もしくは非置換のキノキサリニル基、置換もしくは非置換のナフチリジニル基、置換もしくは非置換のベンズオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンズチアジニル基、置換もしくは非置換のアクリジニル基、置換もしくは非置換のフェナジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノキサジニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、置換または非置換のジベンゾフラニル基、または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、またはこれらの組み合わせであってもよいがが、これに制限されない。
【0033】
本明細書で、単一結合とは、炭素または炭素以外のヘテロ原子を経由せずに直接連結される結合を意味し、具体的に、Lが単一結合であるという意味は、Lと連結される置換基が中心コアに直接連結されることを意味する。つまり、本明細書で単一結合とは、炭素を経由するメチレンなどを意味するものではない。
【0034】
本明細書で正孔特性とは、電場(electric field)を加えた時、電子を供与して正孔を形成することができる特性をいい、HOMO準位に応じて伝導特性を有して陽極で形成された正孔の発光層への注入、発光層で形成された正孔の陽極への移動および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0035】
また電子特性とは、電場を加えた時、電子を受けることができる特性をいい、LUMO準位に応じて伝導特性を有して陰極で形成された電子の発光層への注入、発光層で形成された電子の陰極への移動および発光層での移動を容易にする特性を意味する。 以下、本発明の一実施形態に係る有機光電子素子用組成物について説明する。
【0036】
本発明の一実施形態に係る有機光電子素子用組成物は、下記の化学式1で表される少なくとも1種の第1化合物と、下記の化学式2で表される少なくとも1種の第2化合物と、を含むことができる。
【0037】
【化3】
【0038】
前記化学式1で、X〜X12は、それぞれ独立して、N、CまたはCRであり、X〜Xのうちの少なくとも1つは、Nであり、X〜X12のうちの少なくとも1つは、Nであり、Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキル基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルケニル基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキニル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリールオキシ基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリールチオ基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロアリール基、ヒドロキシ基、チオール基、またはこれらの組み合わせであり、Rは、それぞれ独立して存在したり、隣接したRは互いに連結されて環を形成し、
は、重水素、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C3〜C30シクロアルキル基、C2〜C30ヘテロシクロアルキル基、またはC6〜C30アリール基で置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基であり;
【0039】
【化4】
【0040】
前記化学式2で、
〜L、およびYは、それぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基であり、Arは、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリールアミン基、またはこれらの組み合わせであり、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のニトリル基、置換もしくは非置換のイソニトリル基、ヒドロキシ基、チオール基、またはこれらの組み合わせであり、R〜Rは、それぞれ独立して存在したり、隣接した基は互いに連結されて環を形成し、
〜R、およびArのうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、または置換もしくは非置換のカルバゾリル基であるが、
およびRのうちのいずれか1つとRおよびRのうちのいずれか1つが同時に置換もしくは非置換のカルバゾリル基ではなく、
〜Rのうちのいずれか1つが置換のカルバゾリル基である場合、置換基はカルバゾリル基ではなく、
前記化学式1および2の「置換」とは、別途の定義がない限り、少なくとも1つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、C1〜C30アミン基、C6〜C30アリールアミン基、ニトロ基、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C3〜C30シクロアルキル基、C2〜C30ヘテロシクロアルキル基、C6〜C30アリール基、C2〜C30ヘテロ環基、C1〜C20アルコキシ基、C1〜C10トリフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する。
【0041】
本発明の一例で、前記化学式1および2の「置換」とは、少なくとも1つの水素が重水素、C1〜C10アルキル基、C6〜C18アリール基、C2〜C18ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせで置換されたことを意味する。
【0042】
本発明の一実施形態に係る有機光電子素子用組成物は、含窒素ヘテロ環をアリーレンリンカーで連結した化合物を含んで電子注入および電子輸送性に優れた第1化合物と、少なくとも1つのカルバゾリル基を含んで正孔注入および正孔輸送性に優れた第2化合物を共に発光層に用いることによって、駆動電圧を低下させると同時に長寿命および高効率の有機発光素子を実現することができる。
【0043】
前記第1化合物は、連結基Lの両側末端に位置した置換基にそれぞれ少なくとも1つの窒素を含有する環を含むことによって、電場の印加時に電子を受けやすい構造となり、電子注入量が増加して電子輸送特性が相対的に強い特性を有することができる。
【0044】
特に、両側末端の置換基に含まれるNの個数、連結基Lの連結方向および連結されたアリーレン基の個数などにより電荷注入特性、蒸着温度、ガラス転移温度など多様な特性を調節することができる。
【0045】
そのため、前記第1化合物を適用した有機光電子素子の駆動電圧を下げることができ、また効率を改善することができる。
【0046】
本発明の一実施形態による化学式1は、隣接したRが互いに連結されて環を形成するか否かにより、例えば下記の化学式1−I〜化学式1−IIIのうちのいずれか1つで表されてもよい。
【0047】
【化5】
【0048】
【化6】
【0049】
前記化学式1−I〜1−IIIで、Lは前述したとおりであり、Zはそれぞれ独立してN、またはCRであり、Rは前述したとおりであり、Zのうちの少なくとも1つはNであってもよい。
【0050】
両側末端の置換基に含まれるNの個数により電荷注入特性、蒸着温度、ガラス転移温度など多様な特性を調節することができる。具体的に、Nの全体個数を4個以上に調節する場合、電子注入特性で有利な側面がある。例えば、Nの個数はそれぞれ(1つ、3つ)、(2つ、2つ)、(2つ、3つ)、または(3つ、3つ)であってもよく、特にNの個数が(3つ、3つ)である場合、特に注入された電子の安定性、移動度の側面で有利である。
【0051】
、Ra1〜Ra4、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよく、
具体的に、水素、または置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基であってもよく、
より具体的に、水素、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のクォーターフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のピレニル基であってもよい。
【0052】
例えば、重水素、C1〜C10アルキル基、C6〜C12アリール基で置換可能または非置換の下記グループ1に羅列された基から選択されてもよいが、これに限定されない。
【0053】
【化7】
【0054】
前記グループ1で、*は連結地点である。
【0055】
本発明の一実施形態による化学式1のLは、具体的に、重水素、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、またはC6〜C30アリール基で置換もしくは非置換のフェニレン基;重水素、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、またはC6〜C30アリール基で置換もしくは非置換のビフェニレン基;重水素、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、またはC6〜C30アリール基で置換もしくは非置換のターフェニレン基;または重水素、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、またはC6〜C30アリール基で置換もしくは非置換のクォーターフェニレン基であってもよい。
【0056】
特に、連結基Lの連結方向および連結されたアリーレン基の個数により電荷注入特性、蒸着温度、ガラス転移温度など多様な特性を調節することができ、例えば、置換もしくは非置換の下記グループ2に羅列された連結基から選択されてもよいが、これに限定されない。
【0057】
【化8】
【0058】
前記グループ2で、*は隣接した原子との連結地点である。
【0059】
本発明の一例で、前記グループ2に羅列された連結基は、重水素、C1〜C5アルキル基、C6〜C18アリール基、C3〜C12ヘテロアリール基、およびこれらの組み合わせから選択されたいずれか1つでさらに置換されてもよい。
【0060】
具体的に、前記グループ2に羅列された連結基は、重水素、C1〜C5アルキル基、C6〜C18アリール基、およびこれらの組み合わせから選択されたいずれか1つでさらに置換されてもよい。
【0061】
前記Lが前記のような場合、前記化学式1は、Nを含有するヘテロ環を2つ含むダイマー(dimer)形態になることができ、このようなダイマー形態は、Nを含有するヘテロ環を3つ含むトリマー(trimer)形態に比べて置換基の特性により正孔移動度、電子移動度の特性調節が容易であり、物質間の結晶相形成を抑制する効果を期待することができる。
【0062】
特に、前記Lでパラ形態に連結されたモイエティの比率が高いほど、分子自体が堅固になり、これによって電荷移動度を増加させることができる。
【0063】
また、前記Lでメタまたはオルソ形態に連結されたモイエティの比率を調節することによって蒸着温度およびガラス転移温度の調節も可能になる。特に、Lに含まれているアリール基の個数およびヘテロ環に含まれている置換基の種類および方向を調節することによって、LUMOエネルギーのレベルを調節することができるため、電荷の注入特性を所望のとおり調節することができる。
【0064】
本発明の一実施形態で、前記化学式1のX〜X12は、それぞれ独立して、N、CまたはCRであり、X〜Xのうちの3つは、Nであり、X〜X12のうちの1つ〜3つは、Nであり、Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、Lは、重水素、C1〜C30アルキル基、またはC6〜C30アリール基で置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基であり、ここで「置換」とは、別途の定義がない限り、少なくとも1つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシ基、C1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C3〜C30シクロアルキル基、C2〜C30ヘテロシクロアルキル基、C6〜C30アリール基、またはC2〜C30ヘテロ環基で置換されたものであってもよい。
【0065】
具体的に、前記Rは、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基であり、
前記C6〜C30アリール基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のクォーターフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、または置換もしくは非置換のフェナントレニル基であってもよい。
【0066】
前記化学式1で表される第1化合物は、例えば下記グループ3に羅列された化合物であってもよいが、これに限定されない。
【0067】
【化9】
【0068】
【化10】
【0069】
【化11】
【0070】
【化12】
【0071】
【化13】
【0072】
【化14】
【0073】
【化15】
【0074】
【化16】
【0075】
【化17】
【0076】
【化18】
【0077】
【化19】
【0078】
発光層に用いられる前記第1化合物は、電子の輸送および注入特性が強いため、場合によっては材料の結晶性が増加することができる。
【0079】
したがって、第1化合物を単独で用いるよりは正孔輸送および注入特性が強い材料と共に用いることによって、正孔の輸送および注入特性/電子の輸送および注入特性のバランスが取れた材料が有利になり得る。
【0080】
前記正孔輸送および注入特性が強い化合物は、前記化学式2で表される第2化合物であってもよい。
【0081】
前記第2化合物は、少なくとも1つのカルバゾリル基を含んで正孔特性が相対的に強いバイポーラ(bipolar)特性を有する化合物であって、前記第1化合物と共に発光層に用いられて電荷の移動性を高め、安全性を高めることによって、発光効率および寿命特性を顕著に改善させることができる。
【0082】
前記化学式2は、カルバゾリル基の連結位置、連結基の有無、そしてカルバゾリル基の置換基が互いに連結されて融合するか否かにより下記の化学式2−I〜2−VIのうちのいずれか1つで表されてもよい。
【0083】
【化20】
【0084】
【化21】
【0085】
【化22】
【0086】
前記化学式2−I〜2−VIで、L〜L、Y、Ar、およびR〜Rは、前述したとおりであり、
は、Yの定義と同じであり、Arは、Arの定義と同じである。
【0087】
ただし、前記化学式2−IのRまたはRは、置換もしくは非置換のカルバゾリル基ではなく、
〜R31は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基またはこれらの組み合わせであり、
ただし、前記R〜Rは、すべてカルバゾリル基ではなく、
nは、0〜5の整数のうちの1つである。
【0088】
前記化学式2−Iは、2つのカルバゾリル基を連結するフェニレン連結基の有無、そして2つのカルバゾリル基が連結する地点により、例えば下記の化学式1a〜1jのうちのいずれか1つで表されてもよい。
【0089】
【化23】
【0090】
【化24】
【0091】
【化25】
【0092】
前記化学式1a〜1jで、L〜L、Y、Y、Ar、Ar、R〜R、およびR〜Rは、前述したとおりであり、
ただし、RまたはRは、置換もしくは非置換のカルバゾリル基ではなく、
〜Rは、すべてカルバゾリル基ではない。
【0093】
前記化学式2−IIは、トリフェニレン基の連結位置により、例えば下記の化学式2aで表されてもよく、
【0094】
【化26】
【0095】
具体的に、前記化学式2a−1〜2a−3のうちのいずれか1つで表されてもよい。
【0096】
【化27】
【0097】
【化28】
【0098】
前記化学式2a、および2a−1〜2a−3で、L〜L、Y、Ar、R〜R、およびR〜R12は前述したとおりである。
【0099】
前記化学式2−IIIは、トリフェニレン基の連結位置により、例えば下記の化学式3aで表されてもよい。
【0100】
【化29】
【0101】
前記化学式3aで、L〜L、Y、R〜R、およびR13〜R17は前述したとおりである。
【0102】
本発明の一実施形態による化学式2−I〜2−VIのArおよびArは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキル基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルケニル基、置換もしくは非置換のC1〜C30アルキニル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリールオキシ基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリールチオ基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロアリール基、ヒドロキシ基、チオール基、またはこれらの組み合わせであってもよく、
具体的に、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、または置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロアリール基であってもよい。
【0103】
前記ArおよびArが置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基である場合、より具体的に、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、または置換もしくは非置換のフルオレニル基であってもよく、
前記ArおよびArが置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロアリール基である場合、より具体的に、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のキノリニル基、置換もしくは非置換のイソキノリニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であってもよい。
【0104】
本発明の一実施形態による化学式2のYおよびYは、それぞれ独立して、単一結合、置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロアリーレン基またはこれらの組み合わせであってもよく、
具体的に、単一結合、または置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基であってもよい。
【0105】
例えば、前記YおよびYは、それぞれ独立して、単一結合、置換もしくは非置換のフェニレン基、または置換もしくは非置換のビフェニレン基であり、前記ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の下記グループ4に羅列された基から選択されてもよい。
【0106】
【化30】
【0107】
【化31】
【0108】
前記グループ4で、*は隣接した原子との連結地点である。
【0109】
本発明の一実施形態による化学式2のR〜Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のニトリル基、置換もしくは非置換のイソニトリル基、ヒドロキシ基、チオール基であってもよく、
具体的に、水素、フェニル基、o−ビフェニル基、m−ビフェニル基、p−ビフェニル基、ピリジル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などであってもよく、
前記フェニル基、o−ビフェニル基、m−ビフェニル基、p−ビフェニル基、ピリジル基、メチル基、エチル基、プロピル基、およびイソプロピル基は、重水素、C6〜C30アリール基、またはC1〜C30アルキル基でさらに置換されてもよく、置換基同士で連結されて融合環を形成することができる。
【0110】
例えば、R〜Rのうちのいずれか1つがトリフェニルメチル基である場合、トリフェニルメチル基の隣接した2つのフェニル基が連結されてフルオレン環を形成することができる。
【0111】
前記化学式2で表される第2化合物は、例えば下記グループ5に羅列された化合物であってもよいが、これに限定されない。
【0112】
【化32】
【0113】
【化33】
【0114】
【化34】
【0115】
【化35】
【0116】
【化36】
【0117】
【化37】
【0118】
【化38】
【0119】
【化39】
【0120】
【化40】
【0121】
【化41】
【0122】
【化42】
【0123】
【化43】
【0124】
【化44】
【0125】
【化45】
【0126】
一方、正孔特性を有する前記第2化合物と前記第1化合物の比率を調節することによって電荷の移動性を調節することができるという長所がある。
【0127】
前記第2化合物の正孔特性は、第1化合物との関係で相対的に決定されるため、前記化学式2のArおよびArのうちのいずれか1つの位置で置換もしくは非置換のピリジニル基のような弱い電子特性を有する置換基を含むことができる。
【0128】
この場合、前記第2化合物のLUMOエネルギーレベルは、−1.7eV以上であってもよい。
【0129】
具体的に前記第2化合物のLUMOエネルギーレベルは、−1.7〜−0.850eVの範囲であってもよい。
【0130】
また、前記第1化合物と第2化合物は、例えば約1:9〜9:1の重量比で含まれてもよく、具体的に2:8〜8:2、3:7〜7:3、4:6〜6:4、そして5:5の重量比で含まれてもよい。前記範囲で含まれることによってバイポーラ特性がより効果的に具現されて効率と寿命を同時に改善することができる。
【0131】
具体的に、発光層130で前記第1化合物、および前記第2化合物が同時にホストとして含まれてもよく、例えば前記第1化合物は、下記の化学式1−Iaで表され、前記第2化合物は前記化学式1aまたは2a−1で表されてもよい。
【0132】
【化46】
【0133】
前記化学式1−Iで、Z〜Zは、それぞれ独立して、N、またはCRであり、Z〜Zのうちの少なくとも2つは、Nであり、Z〜Zのうちの少なくとも2つは、Nであり、R、Ra1〜Ra4は、それぞれ独立して、水素、または置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基であり、Lは、重水素、C1〜C30アルキル基、またはC6〜C30アリール基で置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基であり;
前記化学式1aおよび化学式2a−1のL〜L、YおよびYは、それぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基であり、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、または置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロ環基であり、R〜R、およびR〜R12は、それぞれ独立して、水素、重水素、または置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基であるが、
前記化学式1aのRまたはRは、置換もしくは非置換のカルバゾリル基ではなく、前記R〜Rはすべてカルバゾリル基ではない。
【0134】
ここで、「置換」とは、前述したとおりである。
【0135】
発光層32は、ホストとして前述した第1化合物と第2化合物以外に1種以上の化合物をさらに含むことができる。例えば、正孔特性に優れたアリールアミン化合物またはアリールアミンカルバゾール化合物などをさらに含むことができる。
【0136】
発光層32は、ドーパントをさらに含むことができる。前記ドーパントは、前記ホストに微量混合されて発光を起こす物質であり、一般に三重項状態以上に励起させる多重項励起(multiple excitation)により発光する金属錯体(metal complex)のような物質を用いることができる。前記ドーパントは、例えば無機、有機、有機−無機化合物であってもよく、1種または2種以上含まれてもよい。
【0137】
前記ドーパントは、赤色、緑色または青色のドーパントであってもよく、例えば燐光ドーパントであってもよい。前記燐光ドーパントの例としては、Ir、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pdまたはこれらの組み合わせを含む有機金属化合物が挙げられる。前記燐光ドーパントは、例えば下記の化学式Zで表される化合物を用いることができるが、これに限定されない。
【0138】
【化47】
【0139】
前記化学式Zで、Mは、金属であり、LおよびXは、互いに同一または異なり、Mと錯化合物を形成するリガンドである。
【0140】
前記Mは、例えばIr、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pdまたはこれらの組み合わせであってもよく、前記LおよびXは、例えばバイデンテートリガンドであってもよい。
【0141】
前記組成物は、有機光電子素子の有機層に適用可能であり、一例として前記組成物は発光層に適用可能である。例えば発光層のホストとして適用可能である。
【0142】
前記組成物は、乾式成膜法または溶液工程で形成されてもよい。前記乾式成膜法は、例えば化学気相蒸着法、スパッタリング、プラズマメッキおよびイオンメッキであってもよく、2以上の化合物を同時に成膜したり蒸着温度が同じ化合物を混合して共に成膜することができる。前記溶液工程は、例えばインクジェット印刷法、スピンコーティング、スリットコーティング、バーコーティングおよび/またはディップコーティングであってもよい。
【0143】
以下、前述した組成物を適用した有機光電子素子について説明する。
【0144】
前記有機光電子素子は、電気エネルギーと光エネルギーを相互変換することができる素子であれば特に限定されず、有機発光素子、有機光電素子、有機太陽電池、有機トランジスター、有機感光体ドラムおよび有機メモリ素子からなる群より選択されたいずれか1つであってもよい。
【0145】
前記有機光電子素子は、互いに向き合うアノードおよびカソードと、前記アノードと前記カソードとの間に位置する少なくとも1層の有機層と、を含むことができ、前記有機層は前述した組成物を含むことができる。
【0146】
ここでは有機光電子素子の一例である有機発光素子を図面を参照して説明する。
【0147】
図1は、本発明の一実施形態に係る有機発光素子を示す断面図である。
【0148】
図1を参照すると、一実施形態に係る有機発光素子100は、互いに向き合うアノード110およびカソード120と、アノード110とカソード120との間に位置する有機層105とを含む。
【0149】
アノード110は、例えば正孔注入が円滑に行われるように仕事関数が高い導電体で作られ、例えば金属、金属酸化物および/または導電性高分子で作られてもよい。アノード110は、例えばニッケル、白金、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金が挙げられ、亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物が挙げられ、ZnOとAlまたはSnOとSbのような金属と酸化物の組み合わせが挙げられ、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3,4−(エチレン−(1,2−ジオキシ)チオフェン)(polyehtylenedioxythiophene:PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などが挙げられるが、これに限定されない。
【0150】
カソード120は、例えば電子注入が円滑に行われるように仕事関数が低い導電体で作られ、例えば金属、金属酸化物および/または導電性高分子で作られてもよい。カソード120は、例えばマグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、鉛、セシウム、バリウムなどのような金属またはこれらの合金;LiF/Al、LiO/Al、LiF/Ca、LiF/AlおよびBaF/Caのような多層構造物質が挙げられるが、これに限定されない。
【0151】
有機層105は、前述した組成物を含む発光層130を含む。
【0152】
図2は、本発明の他の実施形態に係る有機発光素子を示す断面図である。
【0153】
図2を参照すると、本実施形態に係る有機発光素子200は、前述した実施形態と同様に互いに向き合うアノード110およびカソード120と、アノード110とカソード120との間に位置する有機層105とを含む。
【0154】
有機層105は、発光層130と、発光層130とカソード120との間に位置する補助層140とを含む。補助層140は、カソード120と発光層130との間の電荷注入および移動を容易にすることができる。補助層140は、例えば電子輸送層、電子注入層および/または電子輸送補助層であってもよい。
【0155】
図1および図2で有機層105として追加的にアノード110と発光層130との間に位置する少なくとも1層の補助層をさらに含むことができる。
【0156】
前述した有機発光素子は、有機発光表示装置に適用可能である。
【実施例】
【0157】
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載された実施例は、本発明を具体的に例示したり説明するためのものに過ぎず、これによって本発明が制限されてはならない。
【0158】
以下、本発明の合成例および実施例に使用された出発物質および反応物は、特別な言及がない場合、Sigma−Aldrich社またはTCI社で購入した。
【0159】
(第1化合物の合成)
[合成例1:化合物1の合成]
a)中間体1−1の合成
【0160】
【化48】
【0161】
500mLの丸底フラスコに2−(3−ブロモフェニル)−4,5−ジフェニル−1,3,5−トリアジン20g(51.51mmol)をトルエン250mLに溶かす。ジクロロジフェニルホスフィノフェロセンパラジウム0.05当量、ビスピナコラトジボロン1.2当量、酢酸カリウム2当量を入れて窒素大気下で18時間加熱還流させた。反応液を冷却させ、水100mLを入れて有機層を抽出する。有機層を集めて活性炭素を処理後、シリカゲルでろ過した後、濾液を濃縮する。濃縮された残留物を集めてトルエン200mLとアセトン50mLで結晶化して生成物の中間体1−1を19.1gを得た。
【0162】
b)化合物1の合成
【0163】
【化49】
【0164】
500mLの丸底フラスコに前記合成された中間体1−1 19g(43.79mmol)をテトラヒドロフラン200mL、蒸溜水50mLを入れ、2−(3−ブロモフェニル)−4,5−ジフェニル−1,3,5−トリアジン1当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量を入れて窒素大気下で加熱還流する。18時間後に反応液を冷却させ、析出された固体をろ過し、水500mLで洗う。固体をモノクロロベンゼン500mLで再結晶して化合物1を22.41g得た。
【0165】
LC/MS calculated for:C42H28N6 Exact Mass:616.2375 found for:617.24 [M+H]
[合成例2:化合物2の合成]
【0166】
【化50】
【0167】
500mLの丸底フラスコに前記合成された中間体1−1 15g(34.46mmol)と、1,3−ジブロモベンゼン0.5当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量、テトラヒドロフラン200mL、蒸溜水50mLを入れて窒素大気下で加熱還流する。20時間後に反応液を冷却させ、析出された固体をろ過し、水500mLで洗う。固体をジクロロベンゼン400mLで再結晶して化合物2を9.2g得た。
【0168】
LC/MS calculated for:C48H32N6 Exact Mass: 692.2688 found for:693.27 [M+H]
[合成例3:化合物3の合成]
a)中間体3−1の合成
【0169】
【化51】
【0170】
500mLの丸底フラスコに前記合成された中間体1−1 30g(68.92mmol)と、1,3−ジブロモベンゼン1.2当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量、テトラヒドロフラン300mL、蒸溜水100mLを入れて窒素大気下で加熱還流する。18時間後に反応液を冷却させ、反応液をメタノール1Lに懸濁させ、攪拌ろ過した後、水500mLで洗う。固体をジクロロベンゼン400mLで再結晶して中間体3−1を32g得た。
【0171】
b)中間体3−2の合成
【0172】
【化52】
【0173】
500mLの丸底フラスコに前記合成された中間体3−1 32g(68.91mmol)をトルエン350mLに入れ、ジクロロジフェニルホスフィノフェロセンパラジウム0.05当量、ビスピナコラトジボロン1.2当量、酢酸カリウム2当量を入れて窒素大気下で18時間加熱還流させた。反応液を冷却させ、水100mLを入れて有機層を抽出する。有機層を集めて活性炭素を処理後、シリカゲルでろ過した後、濾液を濃縮する。濃縮された残留物を集めてトルエン1Lに加熱して溶かし、活性炭素を処理後、シリカゲルでろ過する。濾液に冷却させて攪拌して固体を析出させる。析出された固体をろ過して中間体3−2を29.96g得た。
【0174】
c)化合物3の合成
【0175】
【化53】
【0176】
500mLの丸底フラスコに前記合成された中間体3−2 15g(29.33mmol)と、前記合成された中間体3−1 1当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量、テトラヒドロフラン200mL、蒸溜水50mLを入れて窒素大気下で加熱還流する。18時間後に反応液を冷却させ、反応液をろ過した後、水500mLで洗う。固体をジクロロベンゼン500mLで再結晶して化合物3を16.01g得た。
【0177】
LC/MS calculated for:C54H36N6 Exact Mass: 768.3001 found for:769.3 [M+H]
[合成例4:化合物100の合成]
a)中間体100−1の合成
【0178】
【化54】
【0179】
500mLの丸底フラスコに前記合成された中間体3−2 15g(29.33mmol)と、1,3−ジブロモベンゼン1.2当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量、テトラヒドロフラン300mL、蒸溜水100mLを入れて窒素大気下で加熱還流する。18時間後に反応液を冷却させ、反応液をメタノール1Lに懸濁させ、攪拌ろ過した後、水500mLで洗う。固体をジクロロベンゼン300mLで再結晶して中間体100−1を12.84g得た。
【0180】
b)化合物100の合成
【0181】
【化55】
【0182】
500mLの丸底フラスコに前記合成された中間体100−1 12g(22.2mmol)と、前記合成された中間体3−2 1.2当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量、テトラヒドロフラン150mL、蒸溜水50mLを入れて窒素大気下で加熱還流する。18時間後に反応液を冷却させ、反応液をメタノール1Lに懸濁させ、攪拌ろ過した後、水500mLで洗う。固体をジクロロベンゼン500mLで再結晶して化合物100を13.3g得た。
【0183】
LC/MS calculated for:C60H40N6 Exact Mass: 844.3314 found for 845.34 [M+H]
[合成例5:化合物4の合成]
a)中間体4−2の合成
【0184】
【化56】
【0185】
500mLの丸底フラスコにシアヌリッククロライド15g(81.34mmol)を無水テトラヒドロフラン200mLに溶かし、窒素大気下で4−ビフェニルマグネシウムブロマイド溶液(0.5Mテトラヒドロフラン)1当量を0℃で滴下し、徐々に常温に上げる。常温で1時間攪拌した後、反応液を氷水500mLに入れて層分離させる。有機層を分離して無水硫酸マグネシウムを処理して濃縮する。濃縮された残留物をテトラヒドロフランとメタノールで再結晶して中間体4−2を17.2g得た。
【0186】
b)中間体4−1の合成
【0187】
【化57】
【0188】
500mLの丸底フラスコに前記合成された中間体4−2 17g(56.26mmol)を入れ、フェニルボロン酸1当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量、テトラヒドロフラン150mL、蒸溜水50mLを入れて窒素大気下で加熱還流する。18時間後に反応液を冷却させ、反応液をメタノール1Lに懸濁させ、攪拌ろ過した後、水500mLで洗って乾燥して中間体4−1を12.57g得た。
【0189】
c)化合物4の合成
【0190】
【化58】
【0191】
500mLの丸底フラスコに前記合成された中間体4−1 12g(34.9mmol)を入れ、前記合成された中間体3−2 1.1当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量、テトラヒドロフラン150mL、蒸溜水50mLを入れて窒素大気下で加熱還流する。18時間後に反応液を冷却させ、反応液をメタノール1Lに懸濁させ、攪拌ろ過した後、水500mLで洗う。生成された固体をジクロロベンゼン500mLで再結晶して化合物4を17.8g得た。
【0192】
LC/MS calculated for:C48H32N6 Exact Mass: 692.2688 found for 692.27 [M+H]
[合成例6:化合物16の合成]
a)中間体16−2の合成
【0193】
【化59】
【0194】
4−ビフェニルマグネシウムブロマイド溶液(0.5Mテトラヒドロフラン)の代わりに3−ビフェニルマグネシウムブロマイド溶液(0.5Mテトラヒドロフラン)を用い、前記合成例4−2と同様な方法で中間体16−2を合成した。
【0195】
b)中間体16−1の合成
【0196】
【化60】
【0197】
中間体4−2の代わりに中間体16−2を用いて前記合成例5の(b)と同様な方法で中間体16−1を合成した。
【0198】
c)化合物16の合成
【0199】
【化61】
【0200】
中間体16−1を用いて前記合成例5の(c)のような方法で化合物16を合成した。
【0201】
LC/MS calculated for:C48H32N6 Exact Mass: 692.2688 found for 692.27 [M+H]
[合成例7:化合物126の合成]
【0202】
【化62】
【0203】
中間体として1,2−ジブロモベンゼンを用いて前記合成例2のような方法で化合物126を合成した。
【0204】
LC/MS calculated for:C48H32N6 Exact Mass: 692.2688, found for 693.28 [M+H]
[合成例8:化合物140の合成]
a)中間体140−1の合成
【0205】
【化63】
【0206】
500mLの丸底フラスコに前記中間体3−2 20g(39.11mmol)を入れ、1,2−ジブロモベンゼン1.1当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量、テトラヒドロフラン200mL、蒸溜水50mLを入れて窒素大気下で加熱還流する。18時間後に反応液を冷却させ、反応液をメタノール500mLに懸濁させ、攪拌ろ過した後、水500mLで洗う。生成された固体をモノクロロベンゼン500mLで再結晶して中間体140−1を18.4g得た。
【0207】
b)化合物140の合成
【0208】
【化64】
【0209】
500mLの丸底フラスコに前記合成された中間体140−1 18g(33.31mmol)を入れ、前記合成された中間体1−1 1.1当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量、テトラヒドロフラン200mL、蒸溜水50mLを入れて窒素大気下で加熱還流する。18時間後に反応液を冷却させ、反応液をメタノール500mLに懸濁させ、攪拌ろ過した後、水500mLで洗う。生成された固体を集めてノルマルヘキサンと酢酸エチル混合溶媒でシリカゲルカラム精製して化合物140を19.2g得た。
【0210】
LC/MS calculated for:C54H36N6 Exact Mass: 768.3001, found for 769.3 [M+H]
[合成例9:化合物113の合成]
a)中間体113−3の合成
【0211】
【化65】
【0212】
500mLの丸底フラスコにベンゾイル酢酸エチル30g(168.37mmol)を入れ、3−クロロフェニルアミジン1.1当量、ナトリウムメトキシド1.2当量をメタノール200mLに入れて6時間加熱還流する。反応液を冷却させ、1N塩酸溶液を入れてpHを5程度に合わせ、塩化メタンで抽出する。抽出された溶液を濃縮して生成された中間体113−4は次の反応にそのまま用いる。
【0213】
500mLの丸底フラスコに前記中間体113−4を入れ、ホスホリルクロライド250mLを入れて5時間加熱還流させる。反応液を冷却させ、氷水1Lに反応液を徐々に加えて攪拌する。水層を塩化メタン500mLで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥して濃縮する。濃縮された残留物をノルマルヘキサンと酢酸エチルを用いてシリカゲルカラムで精製して中間体113−3を39g得た。
【0214】
b)中間体113−2の合成
【0215】
【化66】
【0216】
500mLの丸底フラスコに前記合成された中間体113−3 30g(99.6mmol)を入れ、ビフェニルボロン酸1.2当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量、テトラヒドロフラン250mL、蒸溜水70mLを入れて窒素大気下で加熱還流する。18時間後に反応液を冷却させ、反応液をメタノール500mLに懸濁させ、攪拌ろ過した後、水500mLで洗う。生成された固体を集めてトルエン500mLで加熱再結晶して生成物35.9gを得た。
【0217】
c)中間体113−1の合成
【0218】
【化67】
【0219】
500mLの丸底フラスコに前記合成された中間体113−2 35g(83.5mmol)を入れ、トルエン250mL、ジクロロジフェニルホスフィノフェロセンパラジウム0.05当量、ビスピナコラトジボロン1.2当量、酢酸カリウム2当量を入れて窒素大気下で18時間加熱還流させた。反応液を冷却させ、水100mLを入れて有機層を抽出する。有機層を集めて活性炭素を処理後、シリカゲルでろ過した後、濾液を濃縮する。濃縮された残留物を集めてトルエン1Lに加熱して溶かし、活性炭素を処理後、シリカゲルでろ過する。濾液に冷却させて攪拌して固体を析出させる。析出された固体をろ過して中間体113−1を35.8g得た。
【0220】
d)化合物113の合成
【0221】
【化68】
【0222】
500mLの丸底フラスコに前記合成された113−1 35g(68.6mmol)、2−(3−ブロモフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン1当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量、テトラヒドロフラン250mL、蒸溜水70mLを入れて窒素大気下で加熱還流する。16時間後に反応液を冷却させ、反応液をメタノール500mLに懸濁させ、攪拌ろ過した後、水500mLで洗う。生成された固体を集めてジクロロベンゼン500mLで加熱再結晶して化合物113を32g得た。
【0223】
LC/MS calculated for:C49H33N5 Exact Mass: 691.2736, found for:692.29 [M+H]
[合成例AD−1:化合物119の合成]
a)中間体119−2の合成
【0224】
【化69】
【0225】
前記合成例9の中間体113−2と同様な方法で中間体119−2を合成した。
【0226】
b)中間体119−1の合成
【0227】
【化70】
【0228】
前記合成例9の中間体113−1と同様な方法で中間体119−1を合成した。
【0229】
c)化合物119の合成
【0230】
【化71】
【0231】
前記合成例9の化合物113の合成方法と同様な方法で化合物119を合成した。
【0232】
LC/MS calculated for:C49H33N5 Exact Mass: 691.27 found for:692.33 [M+H]
[合成例AD−2:化合物146の合成]
a)中間体146−6の合成
【0233】
【化72】
【0234】
500mLの丸底フラスコに2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン20gをテトラヒドロフラン/蒸溜水の3/1混合溶液250mLに溶かす。4−クロロフェニルボロン酸1.2当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.05当量、炭酸カリウム3当量を入れて窒素大気下で18時間加熱還流させた。反応終了後、反応液を冷却させ、水100mLを入れて有機層を抽出する。有機層を集めて活性炭素を処理後、シリカゲルでろ過した後、濾液を濃縮する。濃縮された残留物を集めてトルエン200mLとアセトン50mLで結晶化して生成物の中間体146−6を16g得た。
【0235】
b)中間体146−5の合成
【0236】
【化73】
【0237】
500mLの丸底フラスコに前記合成された中間体146−6 15gをジメチルホルムアミド200mLに溶かす。ジクロロジフェニルホスフィノフェロセンパラジウム0.05当量、ビスピナコラトジボロン1.2当量、酢酸カリウム2当量、トリシクロヘキシルホスフィン0.2当量を入れて窒素大気下で18時間加熱還流させた。反応液を冷却させ、反応液を水500mLに入れて懸濁させて固体を生成させて攪拌後にろ過する。ろ過された固体を水100mLで2回洗う。固体を集めてトルエン500mLに加熱して溶かし、活性炭素/シリカゲルでろ過して濾液を濃縮する。濃縮された残留物をノルマルヘキサンと酢酸エチルの5:1(V/V)混合溶液300mLで固体化し、ろ過して生成物146−5を16g得た。
【0238】
c)中間体146−4の合成
【0239】
【化74】
【0240】
250mLの丸底フラスコに前記合成された中間体146−5 16g、テトラヒドロフラン/蒸溜水の3/1(V/V)混合溶液120mL、テトラキストリフェニルパラジウム0.03当量、炭酸カリウム3当量、2−ブロモ−4−クロロアニリン1.1当量を入れて19時間加熱還流する。反応の終了後、反応液を冷却させ、層分離して有機層を分離する。有機層に無水硫酸マグネシウム、活性炭素を入れて攪拌してシリカゲルでろ過する。濾液を濃縮し、濃縮された残留物をノルマルヘキサンと酢酸エチル混合溶液でシリカゲルカラム精製して中間体146−4を13g得た。
【0241】
d)中間体146−3の合成
【0242】
【化75】
【0243】
前記合成された中間体146−4 13gを氷水150mLに懸濁させる。反応液を攪拌して濃硫酸2当量を滴下する。反応液に亜窒酸ナトリウム1.1当量を蒸溜水15mLに溶かして氷水湯煎で徐々に滴下する。滴下後2時間攪拌する。撹拌された溶液を500mL反応器に移してカッパーブロマイド2当量を入れて1時間加熱還流した。反応液を冷却させ、塩化メチレン100mLで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ過濃縮する。濃縮された残留物をノルマルヘキサンと塩化メチレン混合溶液でシリカゲルカラム精製して中間体146−3を11g得た。
【0244】
e)中間体146−2の合成
【0245】
【化76】
【0246】
250mLの丸底フラスコに前記合成された中間体146−3 12gを入れて無水テトラヒドロフラン100mL、トリイソプロピルオキシボロン1.2当量を入れ、窒素大気下でドライアイスアセトン湯煎で温度を低める。2.5ノルマルブチルリチウム溶液を20分間滴下する。滴下後、1時間攪拌し、徐々に常温に温度を上げる。常温で2時間攪拌後、反応液に2ノルマル塩酸溶液を滴下し、2時間攪拌する。反応液を層分離させ、有機層を分離する。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して濃縮する。濃縮された残留物は追加の精製なしに次の反応に用いた。
【0247】
f)中間体146−1の合成
【0248】
【化77】
【0249】
前記合成例146−6の合成例のように4−クロロフェニルボロン酸の代わりに前記合成された中間体146−2を用いて同様な方法で合成して、中間体146−1を8g得た。
【0250】
g)化合物146の合成
【0251】
【化78】
【0252】
前記合成された中間体146−1 8gを250mLの丸底フラスコに入れて1,4−ジオキサン120mLに溶かす。反応液にフェニルボロン酸1.2当量、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.03当量、エスホス0.12当量、セシウムカーボネート3当量を入れて20時間加熱還流した。反応液を冷却させ、酢酸エチル200mL、蒸溜水100mLに入れて層分離させる。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム、活性炭素処理後、ろ過濃縮する。濃縮された残留物をノルマルヘキサンと塩化メチレン混合溶液でシリカゲルカラム精製して化合物146を5g得た。
【0253】
LC/MS calculated for:C48H32N6 Exact Mass: 692.27 found for:693.37 [M+H]
(第2化合物の合成)
[合成例10:化合物B−10の合成]
【0254】
【化79】
【0255】
[第1段階:化合物Jの合成]
窒素環境で前記化合物9−phenyl−3−(4,4,5,5−tetramethyl−1,3,2−dioxaborolan−2−yl)−9H−carbazole(26.96g、81.4mmol)をトルエン/THF 0.2Lに溶かした後、ここに3−bromo−9H−carbazole(23.96g、97.36mmol)とtetrakis(triphenylphosphine)palladium(0.90g、0.8mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム(potassuim carbonate)(28g、203.49mmol)を入れて120℃で12時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れ、ジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSOで水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このように得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して前記化合物J(22.6g、68%)を得た。
【0256】
HRMS(70 eV, EI+):m/z calcd for C30H20N2:408.16, found:408
Elemental Analysis:C, 88 %; H, 5 %
[第2段階:化合物B−10の合成]
窒素環境で前記化合物J(22.42g、54.88mmol)をトルエン0.2Lに溶かした後、ここに2−bromo−4,6−diphenylpyridine(20.43g、65.85mmol)とNaOtBu(7.92g、82.32mmol)、Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0)(1.65g、1.65mmol)、Tri−tert−butylphosphine(1.78g、4.39mmol)を入れて120℃で12時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSOで水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このように得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して前記化合物B−10(28.10g、80%)を得た。
【0257】
HRMS(70 eV, EI+):m/z calcd for C47H31N3:637.25, found:637
Elemental Analysis:C,89%;H,5%
[合成例11:化合物B−31の合成]
【0258】
【化80】
【0259】
窒素環境で前記化合物phenylcarbazolyl bromide(9.97g、30.95mmol)をトルエン0.2Lに溶かした後、ここにphenylcarbazolylboronic acid(9.78g、34.05mmol)とtetrakis(triphenylphosphine)palladium(1.07g、0.93mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム(12.83g、92.86mmol)を入れて120℃で12時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSOで水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このように得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して前記化合物B−31(13.8g、92%)を得た。
【0260】
HRMS(70 eV, EI+):m/z calcd for C36H24N2:484.19, found:484
Elemental Analysis:C,89%;H,5%
[合成例12:化合物B−34の合成]
【0261】
【化81】
【0262】
窒素環境で前記化合物triphenylcarbazolyl bromide(14.62g、30.95mmol)をトルエン0.2Lに溶かした後、ここにphenylcarbazolylboronic acid(9.78g、34.05mmol)とtetrakis(triphenylphosphine)palladium(1.07g、0.93mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム(12.83g、92.86mmol)を入れて120℃で12時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSOで水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このように得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して前記化合物B−34(16.7g、85%)を得た。
【0263】
HRMS(70 eV, EI+):m/z calcd for C47H29N2:621.23, found:621
Elemental Analysis:C,91%;H,5%
[合成例13:化合物B−43の合成]
【0264】
【化82】
【0265】
窒素環境で前記化合物Biphenylcarbazolyl bromide(12.33g、30.95mmol)をトルエン0.2Lに溶かした後、ここにbiphenylcarbazolylboronic acid(12.37g、34.05mmol)とtetrakis(triphenylphosphine)palladium(1.07g、0.93mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム(12.83g、92.86mmol)を入れて120℃で12時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSOで水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このように得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物B−43(18.7g、92%)を得た。
【0266】
HRMS(70 eV, EI+):m/z calcd for C48H32N2:636.26, found:636
Elemental Analysis:C, 91 %; H, 5 %
[合成例14:化合物B−114の合成]
【0267】
【化83】
【0268】
窒素環境で4−bromo−1,1':4',1''−terphenyl(15g、48.5mmol)をトルエン0.2Lに溶かした後、ここに化合物J(20g、48.5mmol)とNaOtBu(6g、58.2mmol)、Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0)(0.439g、0.48mmol)、Tri−tert−butylphosphine(0.388g、1.92mmol)を入れて120℃で12時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSOで水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このように得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して前記化合物B−114(25g、80%)を得た。
【0269】
HRMS(70 eV, EI+):m/z calcd for C48H32N2:636.2565, found:636
Elemental Analysis:C,95%;H,5%
[合成例15:化合物B−116の合成]
【0270】
【化84】
【0271】
[第1段階:中間体aの合成]
3−bromo−N−phenyl carbazole43.2g(134.2mmol)とフェニルボロン酸18g(147.6mmol)を用いて化合物B−31の合成法と同様な方法を用いて中間体aを32g(75%)合成した。
【0272】
[第2段階:中間体bの合成]
化合物1 34.4g(107.6mmol)を500mLのジクロロメタンに溶かした後、N−ブロモスクシンイミド19.2g(107.6mmol)を入れた後、常温で8時間攪拌して中間体bを35g(82%)得た。
【0273】
[第3段階:中間体cの合成]
3−Bromocarbazole17.65g(71.74mmol)と4−Iodobiphenyl22g(78.91mmol)を用いて化合物B−114と同様な合成法を用いて中間体cを15g(53%)得た。
【0274】
[第4段階:中間体dの合成]
中間体c 20.1g(50.5mmol)とBis(pinacolato)diboron19.2g(75.8mmol)を用いて中間体1−5の合成法と同様な方法を用いて中間体dを20g(89%)得た。
【0275】
[第5段階:化合物B−116の合成]
中間体b 13g(33.1mmol)と中間体d 16.2g(36.4mmol)を用いて化合物B−31と同様な合成法を用いて化合物B−116を18g(84%)得た。
【0276】
HRMS(70 eV, EI+):m/z calcd for C48H32N2:636.2565, found:636
Elemental Analysis:C, 90 %; H, 5 %
[合成例16:化合物B−118の合成]
【0277】
【化85】
【0278】
[第1段階:中間体eの合成]
中間体c 43.2g(108.4mmol)とフェニルボロン酸14.5g(119mmol)を用いて前記合成例11の化合物B−31の合成法と同様な方法を用いて中間体 eを33g(77%)得た。
【0279】
[第2段階:中間体fの合成]
中間体e 29.8g(75.28mmol)とN−ブロモスクシンイミド14g(75.28mmol)を用いて前記合成例15の中間体bの合成法と同様な方法を用いて中間体fを29g(81%)得た。
【0280】
[第3段階:化合物B−118の合成]
N−Phenylcarbazoe−3−yl−boronic acid9.7g(33.65mmol)と中間体f 16g(33.65mmol)を用いて前記合成例11の化合物B−31の合成法と同様な合成法を用いて化合物B−118を17g(79%)得た。
【0281】
HRMS(70 eV, EI+):m/z calcd for C48H32N2:636.2565, found:636
Elemental Analysis:C,90%;H,5%
[合成例17:化合物B−111の合成]
合成例15の中間体cおよび中間体dを出発物質として用いて合成例10の第1段階の製造方法と同様な方法で化合物B−111を合成した。
【0282】
[合成例18:化合物B−156の合成]
合成例15の第1段階で3−ブロモ−N−フェニルカルバゾールの代わりに1,3−dibromo−N−フェニルカルバゾールを用いて合成例15の第1段階および第2段階反応を通じて、下記中間体hを合成した。
【0283】
以降、合成例13の出発物質であるビフェニルカルバゾリルブロマイドの代わりに中間体hを用い、合成例13と同様な方法で化合物B−156を合成した。
【0284】
【化86】
【0285】
[合成例19:化合物C−10の合成]
【0286】
【化87】
【0287】
フェニルカルバゾリルボロン酸(phenylcarbazolyl boronicacid)10g(34.83mmol)、前記中間体g11.77g(38.31mmol)および炭酸カリウム14.44g(104.49mmol)、テトラキス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.80g(0.7mmol)をトルエン140ml、蒸溜水50mlに懸濁させた後、12時間還流攪拌した。次に、ジクロロメタンと蒸溜水で抽出して有機層をシリカゲルフィルターする。次に、有機溶液を除去し、ヘキサン:ジクロロメタン=7:3(v/v)でシリカゲルカラムして生成物固体をジクロロメタンとn−ヘキサンで再結晶して化合物C−10を14.4g(収率:88%)得た。
【0288】
HRMS(70 eV, EI+):m/z calcd for C36H23N:469.18, found:469
Elemental Analysis:C,92%;H,5%
(有機発光素子の製作)
[実施例1]
ITO(Indium tin oxide)が1500Åの厚さに薄膜コーティングされたガラス基板を蒸溜水超音波で洗浄した。蒸溜水洗浄が終わると、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノールなどの溶剤で超音波洗浄して乾燥させた後、プラズマ洗浄機に移送させた後、酸素プラズマを用いて前記基板を10分間洗浄した後、真空蒸着機で基板を移送した。このように準備されたITO透明電極を陽極として用いてITO基板上部に化合物Aを真空蒸着して700Åの厚さの正孔注入層を形成し、前記注入層上部に化合物Bを50Åの厚さに蒸着した後、化合物Cを1020Åの厚さに蒸着して正孔輸送層を形成した。正孔輸送層上部に合成例1の化合物1および合成例10の化合物B−10を同時にホストとして用い、ドーパントとしてトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)[Ir(ppy)]を10wt%にドーピングして真空蒸着で400Åの厚さの発光層を形成した。ここで化合物1と化合物B−10は3:7重量比で用いられており、下記の実施例の場合、別途に比率を記述した。次に、前記発光層上部に化合物DとLiqを同時に1:1比率で真空蒸着して300Åの厚さの電子輸送層を形成し、前記電子輸送層上部に15ÅのLiqと1200ÅのAlを順次に真空蒸着して陰極を形成することによって有機発光素子を製作した。
【0289】
前記有機発光素子は、5層の有機薄膜層を有する構造からなっており、具体的に次の通りである。
【0290】
ITO/化合物A(700Å)/化合物B(50Å)/化合物C(1020Å)/EML[化合物1:B−10:Ir(ppy)=27wt%:63wt%:10wt%](400Å)/化合物D:Liq(300Å)/Liq(15Å)/Al(1200Å)の構造で製作した。
化合物A:N4,N4’−diphenyl−N4,N4’−bis(9−phenyl−9H−carbazol−3−yl)biphenyl−4,4’−diamine
化合物B:1,4,5,8,9,11−hexaazatriphenylene−hexacarbonitrile(HAT−CN),
化合物C:N−(biphenyl−4−yl)−9,9−dimethyl−N−(4−(9−phenyl−9H−carbazol−3−yl)phenyl)−9H−fluoren−2−amine
化合物D:8−(4−(4,6−di(naphthalen−2−yl)−1,3,5−triazin−2−yl)phenyl)quinoline
[実施例2]
化合物1と化合物B−111を3:7の重量比に用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0291】
[実施例3]
化合物2と化合物B−43を5:5の重量比に用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0292】
[実施例4]
化合物126と化合物B−43を4:6比率で用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0293】
[実施例5]
化合物113と化合物B−43を5:5比率で用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0294】
[実施例6]
化合物16と化合物B−43を3:7比率で用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0295】
[実施例7]
化合物16と化合物B−111を3:7比率で用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0296】
[実施例8]
化合物16と化合物B−118を3:7比率で用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0297】
[実施例9]
化合物16と化合物B−116を3:7比率で用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0298】
[実施例10]
化合物4と化合物B−43を3:7比率で用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0299】
[実施例11]
化合物4と化合物B−156を3:7比率で用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0300】
[実施例12]
化合物16と化合物C−10を3:7比率で用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0301】
[実施例AD−1]
化合物119と化合物B−43を3:7比率で用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0302】
[実施例AD−2]
化合物146と化合物B−43を3:7比率で用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0303】
[比較例1]
化合物1を単独ホストとして用い、実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0304】
[比較例2〜比較例12]
下記表1に記載された通り、第1ホストまたは第2ホストのうちの1種だけを単独ホストとして用い、前記実施例1と同様な方法で素子を製作して比較例2〜比較例12の素子を製作した。
【0305】
[比較例13]
化合物B−43と下記比較例化合物Iをホストとして5:5の比率で用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0306】
[比較例化合物I]
【0307】
【化88】
【0308】
[比較例14]
化合物1とmCP(1,3−Bis(N−carbazolyl)benzene)をホストとして5:5の比率で用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0309】
[比較例15]
化合物B−43と下記比較例化合物IIをホストとして5:5の比率で用いて実施例1と同様な方法で素子を製作した。
【0310】
[比較例化合物II]
【0311】
【化89】
【0312】
(評価1:発光効率および寿命上昇効果の確認)
前記実施例1〜12、および比較例1〜14による有機発光素子の発光効率および寿命特性を評価した。具体的な測定方法は下記のとおりであり、その結果は表1に示した。
【0313】
(1)電圧変化に応じた電流密度の変化測定
製造された有機発光素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら電流−電圧計(Keithley 2400)を用いて単位素子に流れる電流値を測定し、測定された電流値を面積で割って結果を得た。
【0314】
(2)電圧変化に応じた輝度の変化測定
製造された有機発光素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら輝度計(Minolta Cs−1000A)を用いてその時の輝度を測定して結果を得た。
【0315】
(3)発光効率の測定
前記(1)および(2)から測定された輝度と電流密度および電圧を用いて同一の電流密度(10mA/cm)の電流効率(cd/A)を計算した。
【0316】
(4)寿命の測定
製造された有機発光素子に対してPolarOnyx寿命測定システムを用いて実施例1〜12および比較例1〜比較例14の素子を初期輝度(cd/m)を5000cd/mに発光させ、時間経過による輝度の減少を測定して初期輝度に比べて90%に輝度が減少した時点をT90寿命と測定した。
【0317】
【表1】
【0318】
表1を参照すると、本発明による第1ホストと第2ホストの組み合わせのホストの場合、単独ホストが使用された場合より発光効率および寿命が顕著に上昇した効果を確認することができる。比較例の素子より最小1.5倍以上、最大6倍以上寿命が向上したことを確認することができた。
【0319】
(評価2:駆動電圧減少効果の確認)
(5)駆動電圧の測定
電流−電圧計(Keithley 2400)を用いて15mA/cmで各素子の駆動電圧を測定し、その結果は表2に示した。
【0320】
【表2】
【0321】
表2を参照すると、本発明の組み合わせのホスト素子は、比較例化合物I、比較例化合物II、またはmCPなどのような知られたホストとの組み合わせのホストに比べて駆動電圧の面で顕著に優れた効果が確認される。
【0322】
本発明は、前記実施例に限定されず、互いに異なる多様な形態に製造することができ、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施できることを理解できるはずである。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的ものではないことを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0323】
100、200…有機発光素子
105…有機層
110…アノード
120…カソード
130…発光層
140…補助層
図1
図2