(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態として示した複合機冷却装置を使用した空調システムの説明図である。
【0024】
図1の空調システム1は、複合機冷却装置2、熱源機器3、外部冷却配管4a、4b、複合機用冷却配管5a、5b、配管コンセント6a、6bを備えている。空調システム1は、床12と、床12から立ち上る壁13で区切られた、複合機11が設置された室の内部、すなわち室内7の温度を調整する。空調システム1は、室内7と、複合機11が設置された室の外部、すなわち室外10を跨いで設置されている。室内7には冷房空気8が供給され、人体や複合機11などによって温められた空気9が排出されている。ここで、室外10は、上記のように、複合機11が設置された室の外部を意味するものであり、建築構造物の屋外に限定するものではない。すなわち、室外10は、建築構造物内の、複合機11が設置された室とは別の室であってもよい。
【0025】
複合機冷却装置2は、後述の第1、2、3の実施形態、及び第3の実施形態の変形例として示した複合機冷却装置20、40、60、80のいずれかであり、室内7に設置されて、複合機11自体を、あるいはその排熱を冷却する。後述のように、複合機冷却装置20、40、60、80は、複合機11の排熱を室内7に排気させずにその場で回収するように、構成されている。
図1中には1台の複合機冷却装置2が記載されているが、複合機冷却装置2は複数台存在してもよいし、その各々が異なる複合機冷却装置20、40、60、80であってもよい。
【0026】
複合機冷却装置2は図示しない熱回収ユニットを備えており、熱回収ユニットには、室外10、すなわち、床12または壁13の外部から導入された、冷却媒体が循環する複合機用冷却配管5a、5bが接続されている。複合機用冷却配管5a、5bは入力管5aと出力管5bを備えており、各々の一端が、複合機冷却装置2の熱回収ユニットに接続されている。入力管5aと出力管5bの他端は、後述する配管コンセント6a、6bに接続されている。
【0027】
室内7と室外10の境界には、配管コンセント6a、6bが設置されている。配管コンセント6a、6bの各々は、例えば内部に弁部が設置された管状に形成されており、一端が室内7に露出し、他端が室外10に露出して、弁部が開放状態にある時には、室内7と室外10が配管コンセント6a、6bを通して連通するように、設置されている。配管コンセント6a、6bは入力コンセント6aと出力コンセント6bを備えている。入力コンセント6aの、室内7側の端部は、複合機用冷却配管の入力管5aに接続されている。出力コンセント6bの、室内7側の端部は、複合機用冷却配管の出力管5bに接続されている。
【0028】
配管コンセント6a、6bの、室外10側の端部の各々は、外部冷却配管4a、4bの一端に接続されている。外部冷却配管4a、4bは入力管4aと出力管4bを備えている。入力管4aと出力管4bの一端は、それぞれ、入力コンセント6a、出力コンセント6bの、室外10側の端部に接続されている。入力管4aと出力管4bの各々の他端は、後述する熱源機器3に接続されている。入力管4aと入力コンセント6a、出力管4bと出力コンセント6bは、それぞれ、一体となっていてもよい。すなわち、外部冷却配管4a、4bの端部が配管コンセント6a、6bとして室内7に露出して、複合機用冷却配管5a、5bに接続されるように設置されてもよい。
【0029】
熱源機器3は、床12または壁13の外部に設置されて、冷却配管の他端が接続されて、前記冷却媒体を冷却する。すなわち、熱源機器3は、室外10に設置されて、冷却媒体を熱交換により冷却するものであり、熱源機器3には、外部冷却配管の入力管4aと出力管4bの各々の他端が接続されている。
【0030】
上記のような構成により、熱源機器3、外部冷却配管の入力管4a、入力コンセント6a、複合機用冷却配管の入力管5a、複合機冷却装置2の熱回収ユニット、複合機用冷却配管の出力管5b、出力コンセント6b、外部冷却配管の出力管4bは、冷却媒体が循環する循環経路を形成する。すなわち、熱源機器3によって冷却された冷却媒体は、外部冷却配管の入力管4a、入力コンセント6a、複合機用冷却配管の入力管5aを介して複合機冷却装置2に入力される。複合機冷却装置2は、入力された冷却媒体により、複合機11を冷却する。複合機11の冷却により熱を回収した冷却媒体は、複合機冷却装置2から出力され、複合機用冷却配管の出力管5b、出力コンセント6b、外部冷却配管の出力管4bを介して、熱源機器3に供給される。熱源機器3は供給された、熱を回収した冷却媒体を冷却して、再び複合機冷却装置2に供給する。
【0031】
冷却媒体としては、水や冷媒(フロンなど)が使用可能であるが、これに限られない。
【0032】
上記のような空調システム1においては、複合機冷却装置2が複合機11の排熱を室内7に排気させずにその場で回収するため、複合機冷却装置2が設置されず、複合機11の熱がそのまま室内に排熱されるシステムよりも冷却効率が良い。また、熱源機器3は、室外10に設置されているため、熱源機器3からの排熱も室内の空調へ作用しない。室内の空調が、電子機器からの排熱を空気で撹拌して除去する、全空気方式による空調と比較して、供給空気8の温度を過剰に低くする必要がなく、これにより、供給空気8の冷却に要するエネルギーや搬送動力の低減が可能である。
【0033】
次に、
図2〜4を用いて、第1の実施形態として示した複合機冷却装置20を説明する。複合機冷却装置20は、
図1を用いて説明した上記の空調システム1において、複合機冷却装置2として使用することが可能である。
【0034】
図2(a)は、第1の実施形態として示した複合機冷却装置20の設置状況を示す、説明図である。複合機冷却装置20は、箱体21、熱回収ユニット27、及び、
図4に示される排気ユニット28を備えている。
【0035】
箱体21は、複合機11を囲うように設置されている。具体的には、箱体21は、前面パネル22a、左右の側面パネル22b、上部背面パネル22c、
図3(b)に示される下部背面パネル22d、上面パネル22e、及びフレーム23を備えている。上部背面パネル22cと下部背面パネル22dは一枚の背面パネルを形成している。複合機11は、箱体21の内部に、その前面と前面パネル22aが、各側面と側面パネル22bが、背面と上部及び下部背面パネル22c、22dが、及び、上面と上面パネル22eが対向するように、設置されている。箱体21の底面はパネルを有しておらず、開放されている。すなわち、箱体21は、5つの面からなる立体であり、複合機11は床上に直接設置されている。
【0036】
フレーム23は、金属、例えばアルミニウムを、押し出し成形して加工した部材を組み合わせることで、作製されているが、これに限られず、木材を切削することで作製されてもよい。前面パネル22a、左右の側面パネル22b、下部背面パネル22d、上面パネル22eは、その一辺が蝶番25によって、フレーム23に接続されている。これらのパネル22a、22b、22d、22eの、蝶番25によってフレーム23に接続された辺とは反対側の辺には、把手24が接続されている。これにより、前面パネル22a、左右の側面パネル22b、下部背面パネル22d、上面パネル22eの各々は、それぞれ開放して、複合機11を外部に露出させることが可能となっている。
図2(b)は、前面パネル22aを開いた状態を示すものである。
【0037】
これらのパネル22a、22b、22d、22eの、把手24が接続されている辺の裏側には、磁石などの図示しない係止部材が設置されている。この係止部材は、フレーム23の対応する位置に同様に設置された係止部材と連携して、各パネル22a、22b、22d、22eが閉じられているときに、閉止状態を維持させる。
【0038】
フレーム23の底部には、脚部26が固定されている。複合機冷却装置20を床の上に設置した場合に、フレーム23の底面と床面との間には、脚部26の長さ相応の隙間31が形成される。複合機冷却装置20の外部、すなわち室内空間と、箱体21の内部空間は、この隙間31によって連通している。
【0039】
図3は、複合機冷却装置20の、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。上記のように、上部背面パネル22cと下部背面パネル22dは一枚の背面パネルを形成しており、下部背面パネル22dはフレーム23に対して開閉可能に接続されている。上部背面パネル22cはフレーム23に固定されている。上部背面パネル22cの中央部分は開口部を有し、この開口部を塞ぐように、2基の排気ユニット28が設置されている。
【0040】
図4は、
図3(b)のA−A´断面図である。熱回収ユニット27が、箱体21の上部に設置され、熱回収ユニット27に併設されて、箱体21内部の空気を外部に排気する、排気ユニット28が設置されている。より具体的には、排気ユニット28が、上部背面パネル22cの開口部を塞ぐように、箱体21の内側に設置されており、排気ユニット28の更に内側には、排気ユニット28と重ねられるように、排気ユニット28と同程度の面積を有する熱回収ユニット27が設置されている。熱回収ユニット27と、排気ユニット28は、固定部材29と、ボルト・ナット30により、箱体21に締め付けられて固定されている。
【0041】
熱回収ユニット27としては、例えば、ドロンカップ型の熱回収装置が使用可能である。すなわち、熱回収ユニット27は、溝が掘られた金属板を貼りあわせて作製された、内部に溝を有するプレートを、間隔をあけて複数枚配置して構成され、冷却媒体が溝を通過することにより、プレート間を通過する空気を冷却するような構造の物を使用している。他の構造の熱回収装置を使用してもよいことは、いうまでもない。
【0042】
熱回収ユニット27には、
図1に示されるように、床12または壁13の外部から導入された、冷却媒体が循環する冷却配管、すなわち、複合機用冷却配管5a、5bが接続されている。熱回収ユニット27は、複合機用冷却配管の入力管5aから入力される、熱源機器3によって冷却された冷却媒体によって、熱回収ユニット27を通過する空気を冷却する。空気の冷却により熱を回収し、温度が上昇した冷却媒体は、複合機用冷却配管の出力管5bから出力される。
【0043】
排気ユニット28は、例えば、排気ファンであってよい。排気ユニット28は、箱体21の内部の空気を、箱体21の外部に送出する。
【0044】
次に、上記の複合機冷却装置20の作用、効果について説明する。
【0045】
複合機冷却装置20の、箱体21の内部に設置された複合機11が作動すると、複合機11の発熱部位近辺の温度が上昇する。
【0046】
温度が上昇した空気は、箱体21の上方へ移動し、箱体21の内部の、特に上部の温度が上昇する。
【0047】
ここで、排気ユニット28が作動すると、排気ユニット28は箱体21の上部に設けられているため、箱体21の内部の、特に上部の温度が高い部分から、箱体21の外部への、空気の流れが生じる。
【0048】
このとき、熱回収ユニット27が排気ユニット28に併設されているため、箱体21の外部へ排出される、温度が高い空気は、内部を冷却媒体が流れることによって冷却された熱回収ユニット27を通過する。これにより、箱体21の内部の空気が外部へ排出されるときには、例えば室温程度の温度に冷却されている。
【0049】
箱体21の底部に設けられた隙間31を介して、外部へ排出された空気と同じ量の、外部の室温の空気が、箱体21の内部に供給される。
【0050】
このように、複合機11の排熱は一旦箱体21の中、特に上部に隔離され、熱回収ユニット27によって冷却されながら排気ユニット28によって箱体21外部へ排出される。すなわち、発熱部位が複数あるとしても、その各々からの排熱は箱体21に集められ、熱回収ユニット27に接触し、室内に排気される前に除去されるため、冷却の効率が良い。
【0051】
また、室内に排出する空気の温度は、室温程度に冷却されている。そのため、複合機11が室内の温度を上昇させる要因とはなりにくく、また、室内の人体が、複合機11の発熱の影響を受けることが少なくなる。これにより、室内に供給する冷房空気の温度を上げることが可能である。したがって、省エネルギーを実現することができる。
【0052】
また、熱回収ユニット27は複合機11の内部、あるいは筐体外部に直接接触させて設置するものではなく、箱体21が複合機11を囲むように配置すればよい。したがって、複合機冷却装置20の設置が容易である。
【0053】
また、排気ユニット28を排気ファンとした場合には、箱体21から外部に排出される空気の量は、ファンの風量を調整することで、簡単に制御可能である。したがって、熱回収量の制御が容易である。
【0054】
また、複合機11は箱体21によって囲われているため、箱体21が複合機11の作動音を緩和することができる。
【0055】
また、箱体21の前面パネル22a、左右の側面パネル22b、下部背面パネル22d、上面パネル22eの各々は、開閉することが可能であり、複合機11のほぼ全ての面を、箱体21の外部に露出させることが可能である。これにより、印刷物の取り出し、給紙補給、紙詰まり対応などの、通常利用時や運用時における利用者の利便性の低下を抑えることができる。
【0056】
次に、
図5を用いて、第2の実施形態として示した複合機冷却装置40を説明する。複合機冷却装置40は、
図1を用いて説明した上記の空調システム1において、複合機冷却装置2として使用することが可能である。
【0057】
図5は、本発明の第2の実施形態として示した複合機冷却装置40の、(a)は上面図、(b)は正面図である。複合機冷却装置40は、複合機に対向させて設置された、内部に前記冷却媒体を冷却させて、前記複合機を放射冷却する放射パネル41を備えている。
【0058】
放射パネル41は、例えばアルミニウムなどの、熱伝導率の高い金属板を2枚貼りあわせることによって、構成されている。一方の金属板の表面には、溝が、つづら折り状に複数回往復するように形成されている。溝の両端部41b、41cは、金属板の側辺まで延びて終端している。この溝部が形成された表面上に、他方の金属板を貼りあわせることで、放射パネル41の側辺の端部41bから放射パネル41の内部を通って他の端部41cで終端する内部経路41aが形成されている。
【0059】
内部経路41aの各端部41b、41cには、プラグ42、43が固定されている。プラグ42、43の各々には、
図1に示されるような、床12または壁13の外部から導入された、冷却媒体が循環する冷却配管、すなわち、複合機用冷却配管の入力管5aと複合機用冷却配管の出力管5bが接続される。
【0060】
放射パネル41は、例えば一般に市販されているパーティションなどに固定されている。本第2の実施形態においては、背面壁部材44の各々に1枚ずつ、計2枚の放射パネル41が設置されている。隣接して結合された2枚の背面壁部材44の両側辺に、背面壁部材44に直交するように、側面壁部材45が結合されている。
【0061】
この、背面壁部材44と、側面壁部材45によって囲まれた空間に、複合機11が、その背面が背面壁部材44と、両側面が側面壁部材45の各々と対向するように、配置される。複合機11からの排熱が行われる排気口と同程度の高さに、放射パネル41は設置されている。放射パネル41は、複合機11の排気口を十分に覆う程度に大きな面積を有する。
【0062】
放射パネル41は、
図1に示される複合機用冷却配管の入力管5aから入力される、熱源機器3によって冷却された冷却媒体が、内部経路41aを通過することによって冷却され、放射パネル41からの放射と対流成分で、複合機11からの排熱を除去する。冷却媒体は、複合機用冷却配管の出力管5bへ出力される。
【0063】
次に、上記の複合機冷却装置40の作用、効果について説明する。
【0064】
複合機11が作動すると、複合機11の排気口を中心とした、発熱部位近辺の温度が上昇する。
【0065】
複合機冷却装置40が作動すると、放射パネル41の内部を冷却媒体が流れることによって、放射パネル41が冷却される。
【0066】
放射パネル41からの放射と対流成分で、複合機11からの排熱が除去される。
【0067】
このように、面積の広い放射パネル41により、複合機11の発熱部位を万遍なく冷却することができるため、冷却の効率が良い。
【0068】
また、放射パネル41は複合機11の内部、あるいは複合機11の筐体外部に直接接触させて設置するものではなく、既に複合機11の周囲に設置してあるパーティションや、複合機11背面の壁に設置すればよいため、複合機冷却装置40の設置が容易である。
【0069】
また、複合機11は室内に露出された状態で設置されるため、利用者の利便性を損なうことがない。
【0070】
次に、
図6、7を用いて、第3の実施形態として示した複合機冷却装置60を説明する。複合機冷却装置60は、
図1を用いて説明した上記の空調システム1において、複合機冷却装置2として使用することが可能である。
【0071】
図6は、本発明の第3の実施形態として示した複合機冷却装置60の、(a)は上面図、(b)は一部断面視した正面図である。複合機冷却装置60は、錐体61、熱回収ユニット64、及び、排気ユニット65を備えている。
【0072】
錐体61は、フレーム62と面部63を備えている。フレーム62は、アルミニウムなどの金属で形成されているが、木材などで形成されてもよい。フレーム62は、それぞれが4本の棒部材によって形成されて、中央が開口している、上側矩形部62a、下側矩形部62bを備えている。上側矩形部62aは、下側矩形部62bよりも小さくなるように形成されている。上側矩形部62aと下側矩形部62bは、各々の中心が略同一鉛直線上にあるように、かつ、各々が平行になるように、位置している。
【0073】
上側矩形部62aと下側矩形部62bの各々の対応する位置にある頂点はそれぞれ、連結棒部材62cによって接続されている。また、上側矩形部62aの長辺の中間点と、下側矩形部62bの長辺の中間点も、連結棒部材62cによって接続されている。
【0074】
上側矩形部62aと下側矩形部62bの各々の対応する位置の棒部材と、該棒部材の端点となる頂点に接続する連結棒部材62cによって囲われた、フレーム62の台形形状の側面には、面部材が貼られて面部63が形成されている。面部63の材質は、ポリエステル、フッ素フィルム、硝子、プラスチック、木材が挙げられるが、これに限られない。フレーム62の上側矩形部62a、下側矩形部62bには、面部材は貼られておらず、それぞれ、上側開口部61aと、図示されない下側開口部を形成している。このように、フレーム62と面部63により、錐体61は、中空の、上端が切断された、略四角錐形状を有している。
【0075】
錐体61の上側開口部61aには、2基の排気ユニット65が、横方向に並べて設置されている。上側開口部61aは、排気ユニット65を2基並べた程度の大きさに形成されており、これにより、上側開口部61aは2基の排気ユニット65によって塞がれている。
【0076】
2基の排気ユニット65の各々の下側には、排気ユニット65と重ねられるように、排気ユニット65と同程度の面積を有する熱回収ユニット64が設置されている。排気ユニット65は、図示しない固定部材と、ボルト・ナットなどにより、上側矩形部62aに固定されている。これにより、熱回収ユニット64が錐体61の内側上端近傍に設置されている。
【0077】
排気ユニット65と熱回収ユニット64は、上記の第1の実施形態に記載したような、
図4に示される排気ユニット28や熱回収ユニット27と同様の物であってよい。排気ユニット65は、錐体61内部の空気を、上側開口部61aを介して外部に排出する。熱回収ユニット64には、
図1に示されるような、床12または壁13の外部から導入された、冷却媒体が循環する冷却配管、すなわち、複合機用冷却配管5a、5bが接続されている。熱回収ユニット64は、複合機用冷却配管の入力管5aから入力される、熱源機器3によって冷却された冷却媒体によって、熱回収ユニット64を通過する空気を冷却する。空気の冷却により温度が上昇した冷却媒体は、複合機用冷却配管の出力管5bから出力される。
【0078】
複合機冷却装置60は、
図7に示すように、複合機11の上方に、錐体61の開放された下面、すなわち下側開口部61bが複合機11を覆うように設置されており、これにより、熱回収ユニット64は複合機11の上方に位置している。下側開口部61bは、複合機11よりも十分に大きく形成されている。錐体61の下面は、パーティション66などによって支えられている。
【0079】
次に、上記の複合機冷却装置60の作用、効果について説明する。
【0080】
複合機冷却装置60の、錐体61の下方に設置された複合機11が作動すると、複合機11の発熱部位近辺の温度が上昇し、室温以上となる。
【0081】
温度が上昇した空気は、上方へ移動し、錐体61の下側開口部61b内に収容される。
【0082】
下側開口部61b内に収容された空気は、面部63の内側を辿りながら更に上昇し、熱回収ユニット64に接近する。
【0083】
複合機冷却装置60の排気ユニット65が稼働することで、熱回収ユニット64に接近した空気は、熱回収ユニット64内を通過し、これにより例えば室温程度の温度に冷却されて、錐体61の外部、すなわち室内に排出される。
【0084】
このように、複合機11の発熱部位が複数あるとしても、各発熱部位からの排熱は錐体61内に集められ、順次、熱回収ユニット64によって冷却されて、錐体61外部に排出されるため、冷却の効率が良い。
【0085】
また、室内に排出する空気の温度は、室温程度に冷却されている。そのため、複合機11が室内の温度を上昇させる要因とはなりにくく、また、室内の人体が、複合機11の発熱の影響を受けることが少なくなる。これにより、室内に供給する冷房空気の温度を上げることが可能である。したがって、省エネルギーを実現することができる。
【0086】
また、錐体61は複合機11の内部、あるいは複合機11の筐体外部に直接接触させて設置するものではなく、既に複合機11の周囲に設置してあるパーティション66などを利用して、複合機11の上部に設置すればよいため、複合機冷却装置60の設置が容易である。
【0087】
また、排気ユニット65を排気ファンとした場合には、錐体61の上側開口部61aから外部に排出される空気の量は、ファンの風量を調整することで、簡単に制御可能である。したがって、熱回収量の制御が容易である。
【0088】
また、複合機11は室内に露出された状態で設置されているため、利用者の利便性を損なうことがない。
【0089】
次に、
図8、9を用いて、第3の実施形態として示した複合機冷却装置の変形例を説明する。この変形例である複合機冷却装置80は、
図1を用いて説明した上記の空調システム1において、複合機冷却装置2として使用することが可能である。
【0090】
図8は、本発明の第3の実施形態の変形例として示した複合機冷却装置80の、(a)は上面図、(b)は一部断面視した正面図である。複合機冷却装置80の、上記第3の実施形態として示した複合機冷却装置60との相違は、複合機冷却装置80の錐体81は上部が開口していないことと、排気ユニット65を有さないことである。
【0091】
具体的には、錐体81は、フレーム82と面部83を備えている。フレーム82は、4本の棒部材によって形成されて、中央が開口している、下側矩形部82bを備えている。下側矩形部82bの各頂点、及び、下側矩形部82bの長辺の中間点には、連結棒部材82cの一端が接続されている。連結棒部材82cの他端は、下側矩形部82bの中心の鉛直上方向に位置する、錐体81の頂点82aにおいて、互いに接続されている。
【0092】
下側矩形部82bの各棒部材と、連結棒部材82cによって囲われた、フレーム82の側面には、面部材が貼られて面部83が形成されている。フレーム82の下側矩形部82bには、面部材は貼られておらず、図示されない下側開口部を形成している。このように、フレーム82と面部83により、錐体81は、中空の四角錐形状を有している。
【0093】
錐体81の内側上端近傍、すなわち頂点82a近傍には、2基の熱回収ユニット84が、横方向に並べて設置されている。
【0094】
頂点82a近傍のフレーム82内側には、複数の棒状部材85の、各々の一端が、Cリンクとアイナットなどによって接続されている。棒状部材85の他端は下を向くように、棒状部材85は設置されている。熱回収ユニット84の上面には、棒状部材85に対応するように、複数の棒状部材86が設置されている。棒状部材86の、各々の一端は、Cリンクとアイナットなどによって、熱回収ユニット84に接続されている。棒状部材86は、棒状部材86の他端が上を向くように設置されている。棒状部材85、86の他端には、それぞれ、雄ネジ部が形成されており、対応する棒状部材85、86の他端同士が、ターンバックル87により締結されることにより、熱回収ユニット84は錐体81内部に固定されている。
【0095】
熱回収ユニット84の、頂点82aまでの高さは、ターンバックル87によって調整することができる。後述のように、錐体81の頂点82a近傍には、複合機11の排熱が滞留する。熱回収ユニット84の高さは、錐体81の上部に冷却されない空気が滞留し続けない程度に高く、設定するのが望ましい。
【0096】
熱回収ユニット84は、上記の第1の実施形態に記載したような、
図4に示される熱回収ユニット27と同様の物であってよい。熱回収ユニット84には、
図1に示されるような、床12または壁13の外部から導入された、冷却媒体が循環する冷却配管、すなわち、
図1に示されるような、複合機用冷却配管5a、5bが接続されている。熱回収ユニット84は、複合機用冷却配管の入力管5aから入力される、熱源機器3によって冷却された冷却媒体によって、熱回収ユニット84を通過する空気を冷却する。空気の冷却により温度が上昇した冷却媒体は、複合機用冷却配管の出力管5bから出力される。
【0097】
複合機冷却装置80は、
図9に示すように、複合機11の上方に、錐体81の開放された下面、すなわち下側開口部81bが複合機11を覆うように設置されており、これにより、熱回収ユニット84は複合機11の上方に位置している。下側開口部81bは、複合機11よりも十分に大きく形成されている。錐体81の下面は、パーティション86などによって支えられている。
【0098】
次に、上記の複合機冷却装置80の作用、効果について説明する。
【0099】
複合機冷却装置80の、錐体81の下方に設置された複合機11が作動すると、複合機11の発熱部位近辺の温度が上昇し、室温以上となる。
【0100】
温度が上昇した空気は、上方へ移動し、錐体81の下側開口部81b内に収容される。
【0101】
下側開口部81b内に収容された空気は、面部83の内側を辿りながら更に上昇し、錐体81の上部に滞留する。
【0102】
錐体81の上部に滞留した空気は、熱回収ユニット84に接触し、これにより例えば室温程度の温度に冷却され、複合機11に向かって下降する。温度が上昇した空気の上方への移動と、冷却された空気の下降により自然対流が発生し、排熱が除去される。
【0103】
このように、複合機11の発熱部位が複数あるとしても、各発熱部位からの排熱は錐体81内に集められ、順次、熱回収ユニット84によって冷却されて、錐体81外部に排出されるため、冷却の効率が良い。
【0104】
また、室内に排出する空気の温度は、室温程度に冷却されている。そのため、複合機11が室内の温度を上昇させる要因とはなりにくく、また、室内の人体が、複合機11の発熱の影響を受けることが少なくなる。これにより、室内に供給する冷房空気の温度を上げることが可能である。また、排気ユニットを使用しない構成であるため、排気ユニットを稼働させる動力が不要である。したがって、省エネルギーを実現することができる。
【0105】
また、錐体81は複合機11の内部、あるいは複合機11の筐体外部に直接接触させて設置するものではなく、既に複合機11の周囲に設置してあるパーティション86などを利用して、複合機11の上部に設置すればよいため、複合機冷却装置80の設置が容易である。
【0106】
また、複合機11は室内に露出された状態で設置されているため、利用者の利便性を損なうことがない。
【0107】
なお、上記の第1の実施形態において、箱体21の、上面パネル22e以外の各パネルには、常に外部に開放された状態にある開口部を設けてもよい。例えば、この開口部を、前面パネル22aの、印刷物が排出される排紙部に相当する位置に設けてもよい。これにより、複合機冷却装置20を設置しない場合と同様に容易に、開口部から印刷物を取り出すことができる。この開口部を箱体21の上部に設けないようにすることで、箱体21の上部に上昇した排熱を外部に漏らすことを防ぐことができる。
【0108】
また、上記の第1の実施形態において、
図2に示されるように、箱体21の各パネルは、蝶番25によって開閉可能にフレーム23に固定されているが、これに替えて、各パネルの裏側の各端辺に磁石を固定して、フレーム23の対応する場所に同様に固定された磁石との磁力により、パネルをフレーム23に取り外し可能に固定しても構わない。これにより、メンテナンスなどの長時間にわたってパネルを開放するような場合の利便性が向上する。複数のパネルのうちの一部が、蝶番によって開閉可能に固定され、他が磁力によって取り外し可能に固定されてもよい。
【0109】
また、上記の第2の実施形態において、
図5に示されるように、複合機11の背面には、2枚の背面壁部材44が位置しており、その各々に1枚の放射パネル41が設置してあるが、背面壁部材44や放射パネル41の枚数はこの構成に限られず、複合機11の大きさや排熱量によって決めてもよい。例えば、複合機11が小型の場合は、背面壁部材44を1枚設置し、これに1枚の放射パネル41を設置しても構わない。背面壁部材44を3枚以上使用してもよいし、1枚の背面壁部材44に複数の放射パネル41を設置しても構わない。
【0110】
また、上記の第2の実施形態において、放射パネル41は背面壁部材44に設置されているが、側面壁部材45に設置して、側面からの排熱を除去するようにしてもよい。
【0111】
また、上記の第2の実施形態において、放射パネル41は、一方の表面に溝が形成された金属板を2枚貼りあわせることによって形成されているが、これに限られない。例えば、アルミニウムなどの板に金属や樹脂製の配管を取り付けることによって、形成されていてもよい。
【0112】
また、上記の第3の実施形態、及びその変形例において、
図6〜9に示される錐体61、81は、水平方向の断面形状が矩形である四角錐の形状をしているが、断面形状は矩形に限られず、複合機11の設置環境に合わせるように、他の形状を有してもよい。
【0113】
また、上記の第1、2、3の実施形態、及び変形例は、互いに組み合わせて使用しても構わない。例えば、第3の実施形態及び変形例において、
図7、9に示されるパーティション66、86に、第2の実施形態で使用した放射パネル41を設置してもよい。
【0114】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であればこれから様々な変形及び均等な実施の形態が可能であることが理解できるであろう。
【0115】
よって、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形や改良形態も本発明に含まれる。