【実施例】
【0035】
<実験1>麺塊の均し方法との比較
(実施例1−1)
中力粉1700gに酢酸澱粉300gを粉体混合し、食塩96gを水860gに溶解した練水を加え、真空ミキサーにて常圧下で4分間混捏した後、減圧下で8分間混捏し、ドウを作製した。
【0036】
作製したドウを複合して麺帯を作製し、ロール圧延にて2.75mmまで麺帯を圧延した後、9番薄刃のロール切刃にて麺帯を切断し、麺線とした後、約30cmとなるように麺線をカットした。
【0037】
カットした麺線を100℃の沸騰水で11分30秒間ボイルした。
【0038】
ボイルした麺線に対して水洗冷却を1分30秒行い、四角形の冷凍用トレー(底面9.15x13.73cm)に200g充填し、
図1で示したような2本ピンを有する櫛歯(櫛歯間4.5cm)の軸を冷凍用トレーの中央の位置に配置し、麺塊上部から櫛歯のピンを冷凍用トレー内に入れ、2回転して麺塊均した。
【0039】
次いで均した麺塊を
図1で示したような冷凍用トレーの内側に入るように設計した押圧板で徐々に圧力を加えて麺塊を冷凍用トレー全体に押し広げるように押圧した。この時、最終の圧力は70g/cm
2とした。
【0040】
次いで押圧した麺塊を冷凍用トレーごと−35℃のエアブラスト式の凍結庫に入れ30分凍結し、凍結後、冷凍用トレーから冷凍麺塊を取り出し、冷凍麺塊サンプルを作製した。
【0041】
冷凍麺塊サンプルの体積(cm
3)を算出した。算出方法は、麺塊上の凸部(凹んでいない部分)の任意の5点の短辺、長辺、高さを測定し、その平均値をサンプルの短辺、長辺、高さとし、短辺、長辺、高さを掛け合わせ冷凍麺塊サンプルの体積とした。さらに冷凍麺塊サンプル3検体の体積を測定し、平均値を試験区の冷凍麺塊の体積とした。
【0042】
また、冷凍麺塊サンプルの密度(g/cm
3)を算出した。密度は、冷凍麺塊サンプルの重量を算出した冷凍麺塊の体積で割り求めた。さらに体積を求めた冷凍麺塊サンプル3検体の密度の平均値を試験区の冷凍麺塊の密度とした。
【0043】
(比較例1−1)
冷凍用トレーに充填するまでは、実施例1−1の方法と同様に行い、充填した麺塊を通常通り、エアで軽く均した後、実施例1−1と同様に押圧、冷凍し、冷凍麺塊サンプルを作製した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0044】
(比較例1−2)
冷凍用トレーに充填するまでは、実施例1−1の方法と同様に行い、充填した麺塊を通常通り、エアで軽く均した後、特許文献1と同様の方法により、重り200gを載せたプレス板を麺塊の上に載せ3分間、−35℃で凍結した後、プレス板を取り出し、再び27分間−35℃で凍結し、冷凍麺塊サンプルを作製した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0045】
(比較例1−3)
冷凍用トレーに充填するまでは、実施例1−1の方法と同様に行い、充填した麺塊を特許文献2に記載されているように冷凍用トレーの長辺方向及び短辺方向にトレーを振動させた後、施例1−1と同様に押圧、冷凍し、冷凍麺塊サンプルを作製した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0046】
(比較例1−4)
冷凍用トレーに充填するまでは、実施例1−1の方法と同様に行い、充填した麺塊を特許文献3に記載されているように冷凍用トレー中央からトレーの4隅方向へ4つのピンを押し広げるように動かし、麺塊を均した後、実施例1−1と同様に押圧、冷凍し、冷凍麺塊サンプルを作製した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0047】
(比較例1−5)
調理した麺を作製するまでは、実施例1−1の方法と同様に行い、特許文献4に記載されているように水中に冷凍用トレーを置き、そこに麺線を落下させ充填した後、水流により麺塊を均した後、水切りをし、実施例1−1と同様に押圧、冷凍し、冷凍麺塊サンプルを作製した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0048】
各試験区の冷凍麺サンプルを鍋で3分間茹で調理し、麺の食感に影響を及ぼす麺の凹みについて評価した。評価は、3段階で行い、凹みがほとんどなく均質なものを○、やや凹んでいる部分があるものを△、凹んでいる部分が目立つものを×とした。
【0049】
実験1の各試験区の体積、麺密度、麺の凹みについて下記表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
上記の結果より、麺線の方向性を整えて麺線が交錯する部分を極力少なく均した麺塊を作製した後に、麺塊の上部から押圧することで、コンパクトで、麺線の凹みが少なく、調理時の食感が均質な冷凍麺塊を製造できることがわかる。
【0052】
比較例1−2は、密度が一番高くコンパクトであるが麺が大きく凹んでいる部分が目立った。他の比較例においても、密度を高めるために押圧を強くすると麺が凹むことが推測される。
【0053】
<実験2>リテーナの形状について
(実施例2−1)
冷凍用トレーを底面9.15x9.15cm(短辺:長辺=1:1)とする以外は実施例1−1の方法で冷凍麺塊サンプルを作製した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0054】
(実施例2−2)
冷凍用トレーを底面9.15x10.07cm(短辺:長辺=1:1.1)とする以外は実施例1−1の方法で冷凍麺塊サンプルを作製した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0055】
(実施例2−3)
冷凍用トレーを底面9.15x10.98cm(短辺:長辺=1:1.2)とする以外は実施例1−1の方法で冷凍麺塊サンプルを作製した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0056】
(実施例2−4)
冷凍用トレーを底面9.15x11.90cm(短辺:長辺=1:1.3)とする以外は実施例1−1の方法で冷凍麺塊サンプルを作製した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0057】
(実施例2−5)
冷凍用トレーを底面9.15x12.81cm(短辺:長辺=1:1.4)とする以外は実施例1−1の方法で冷凍麺塊サンプルを作製した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0058】
実験2で作製した各試験区の冷凍麺塊サンプルの麺の凹みについて実験1と同様に評価を行った。
【0059】
実験2の各試験区の体積、麺密度、麺の凹みについて下記表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
短辺と長辺の比が近づくほど密度が高くなりコンパクトな冷凍麺塊を作ることが出来ることがわかる。特に短辺と長辺の比が1:1〜1:1.2程度となると麺塊を押圧工程で、全体に押し延ばしやすくなり、密度が高くなるものと考える。
【0062】
<実験3>充填量について
(実施例3−1)
充填量を125gとする以外は実施例2−1の方法で冷凍麺塊を製造した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0063】
(実施例3−2)
充填量を135gとする以外は実施例2−1の方法で冷凍麺塊を製造した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0064】
(実施例3−3)
充填量を150gとする以外は実施例2−1の方法で冷凍麺塊を製造した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0065】
(実施例3−4)
充填量を175gとする以外は実施例2−1の方法で冷凍麺塊を製造した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0066】
(実施例3−5)
充填量を210gとする以外は実施例2−1の方法で冷凍麺塊を製造した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0067】
(実施例3−6)
充填量を220gとする以外は実施例2−1の方法で冷凍麺塊を製造した。また、冷凍麺塊サンプルならびに試験区の体積、密度も実施例1−1と同様に算出した。
【0068】
実験3で作製した各試験区の冷凍麺塊サンプルの麺の凹みについて実験1と同様に評価を行った。
【0069】
実験3の各試験区の体積、麺密度、麺の凹みについて下記表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】
実験3の結果より、冷凍用トレーの面積当たりの充填量が1.5〜2.6g/cm
2の範囲であれば、比較例1−1で示した従来法よりもコンパクトな麺を作ることが出来る。ただし、冷凍用トレーの底面積当たりの充填量が少なくなればなるほど、櫛歯に絡む麺線の数が少なくなり、本発明のコンパクト化する効果が得られにくくなる。逆に冷凍用トレーの底面積当たりの充填量が多くなりすぎると麺線の量が多すぎて櫛歯に麺線が絡み過ぎ、麺線の方向性が整い難しく、本発明のコンパクト化だけでなく麺線の凹みを抑える効果も得られ難くなる。より好ましくは、冷凍用トレーの底面積当たりの充填量が1.8〜2.5g/cm
2である。