特許第6576342号(P6576342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーエルエー−テンカー コーポレイションの特許一覧

特許6576342欠陥を分類するための方法およびウエハ検査ツール
<>
  • 特許6576342-欠陥を分類するための方法およびウエハ検査ツール 図000002
  • 特許6576342-欠陥を分類するための方法およびウエハ検査ツール 図000003
  • 特許6576342-欠陥を分類するための方法およびウエハ検査ツール 図000004
  • 特許6576342-欠陥を分類するための方法およびウエハ検査ツール 図000005
  • 特許6576342-欠陥を分類するための方法およびウエハ検査ツール 図000006
  • 特許6576342-欠陥を分類するための方法およびウエハ検査ツール 図000007
  • 特許6576342-欠陥を分類するための方法およびウエハ検査ツール 図000008
  • 特許6576342-欠陥を分類するための方法およびウエハ検査ツール 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576342
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】欠陥を分類するための方法およびウエハ検査ツール
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20190909BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20190909BHJP
   G01N 21/93 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   H01L21/66 J
   G01N21/956 A
   G01N21/93
【請求項の数】33
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-528142(P2016-528142)
(86)(22)【出願日】2014年11月3日
(65)【公表番号】特表2017-502500(P2017-502500A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】US2014063668
(87)【国際公開番号】WO2015066602
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2017年11月2日
(31)【優先権主張番号】61/899,220
(32)【優先日】2013年11月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/972,418
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/257,921
(32)【優先日】2014年4月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン チエン−フェイ アダム
(72)【発明者】
【氏名】マーハー クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ヒュエット パトリック
(72)【発明者】
【氏名】エヌジー タイ−カン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン ジョン アール サード
【審査官】 綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−047939(JP,A)
【文献】 特開2011−254084(JP,A)
【文献】 特開2009−103508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/93
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ上で検出された欠陥を分類するための方法であって、
ウエハ上で検出された欠陥の分類のための決定木を、前記決定木の中の1つ以上の浮動木を変更することによって作成することであって、前記1つ以上の浮動木は、個別の単位として操作される部分木である、作成することと、
前記ウエハ上で検出された前記欠陥を、前記決定木を前記欠陥に適用することによって分類することと、を含むとともに
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木を並列状に配置することを含み、
前記欠陥の分類は、前記欠陥の各々が2つ以上のクラスにビンニングされているかを判定し、ある欠陥が2つ以上のクラスにビンニングされている場合に、前記欠陥がビンニングされているクラス間で調停を行って、前記欠陥の最終分類を判定することと、前記調停を行う前の前記欠陥の各々が2つ以上のクラスにビンニングされている判定結果を分析することと、を含み、
前記作成及び前記分類は、1つ以上のコンピュータシステムによって行われる、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木を前記決定木の1つのノードから前記決定木の別のノードに切り取り、コピーし、貼り付け、または移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記作成中に前記1つ以上の浮動木のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの集約ノードに折り畳むことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記作成中に前記1つ以上の浮動木のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの集約ノードに折り畳むことを更に含み、前記折り畳みは、前記少なくとも1つの浮動木の中に含まれる全ての葉ノードを前記少なくとも1つの集約ノードに折り畳むことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木のうちの少なくとも1つを、前記少なくとも1つの浮動木が保存されている少なくとも1つのファイルから取り込むことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の浮動木のうちの少なくとも1つは、単一の欠陥クラスのためのビンナーである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の浮動木のうちの第1の浮動木は、第1の欠陥クラスのみのためのビンナーであり、前記1つ以上の浮動木のうちの第2の浮動木は、第2の欠陥クラスのみのためのビンナーであり、前記決定木は、少なくとも前記第1及び第2の欠陥クラスの分類のために作成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木のうちの少なくとも1つを取り込むことと、前記少なくとも1つの取り込まれた浮動木の1つ以上のパラメータを前記ウエハ上で検出された前記欠陥のデータに適合させるように調整することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの取り込まれた浮動木の前記1つ以上のパラメータの調整は、前記少なくとも1つの取り込まれた浮動木を前記欠陥の前記データに適用した結果の不純度及びマージンを最適化することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木をカスケード状に配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木によってビンニングされた欠陥クラスの重大度に基づいて、前記1つ以上の浮動木をカスケード状に配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木によってビンニングされた欠陥クラスの純度に基づいて、前記1つ以上の浮動木をカスケード状に配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木の精度に基づいて、前記1つ以上の浮動木をカスケード状に配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記調停は、前記クラスの重大性、前記クラスの純度、前記クラスの精度、それらの訓練セット中の前記クラスのビンのサイズ、前記欠陥が分類されたクラスの数及び種類の統計的尺度、またはそれらの組み合わせに基づいて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記調停は、前記クラスの優先順位に基づいて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記分類は、自動的に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ウエハ上で検出された欠陥を分類するためのコンピュータ実装方法を実行するためのコンピュータシステム上で実行可能なプログラム命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ実装方法は、
ウエハ上で検出された欠陥の分類のための決定木を、前記決定木の中の1つ以上の浮動木を変更することによって作成することであって、前記1つ以上の浮動木は、個別の単位として操作される部分木である、作成することと、
前記ウエハ上で検出された前記欠陥を、前記決定木を前記欠陥に適用することによって分類することと、を含むとともに
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木を並列状に配置することを含み、
前記欠陥の分類は、前記欠陥の各々が2つ以上のクラスにビンニングされているかを判定し、ある欠陥が2つ以上のクラスにビンニングされている場合に、前記欠陥がビンニングされているクラス間で調停を行って、前記欠陥の最終分類を判定することと、前記調停を行う前の前記欠陥の各々が2つ以上のクラスにビンニングされている判定結果を分析することとを含み、
前記作成及び前記分類は、1つ以上のコンピュータシステムによって行われる、方法。
【請求項18】
ウエハの少なくとも一部を走査し、それにより前記ウエハの前記少なくとも一部からの光に応答して出力を生成するように構成された光学サブシステムと、
コンピュータサブシステムであって、
前記出力に基づいて前記ウエハ上の欠陥を検出することと、
前記欠陥の分類のための決定木を、前記決定木の中の1つ以上の浮動木を変更することによって作成することであって、前記1つ以上の浮動木は、個別の単位として操作される部分木である、作成することと、
前記ウエハ上で検出された前記欠陥を、前記決定木を前記欠陥に適用することによって分類することと、を行うように構成される、コンピュータサブシステムと、を備えるとともに
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木を並列状に配置することを含み、
前記欠陥の分類は、前記欠陥の各々が2つ以上のクラスにビンニングされているかを判定し、ある欠陥が2つ以上のクラスにビンニングされている場合に、前記欠陥がビンニングされているクラス間で調停を行って、前記欠陥の最終分類を判定することと、前記調停を行う前の前記欠陥の各々が2つ以上のクラスにビンニングされている判定結果を分析することとを含む、ウエハ検査ツール。
【請求項19】
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木を前記決定木の1つのノードから前記決定木の別のノードに切り取り、コピーし、貼り付け、または移動させることを含む、請求項18に記載のウエハ検査ツール。
【請求項20】
前記コンピュータサブシステムは、前記作成中に前記1つ以上の浮動木のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの集約ノードに折り畳むことを行うように更に構成される、請求項18に記載のウエハ検査ツール。
【請求項21】
前記コンピュータサブシステムは、前記作成中に前記1つ以上の浮動木のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの集約ノードに折り畳むことを行うように更に構成され、前記折り畳みは、前記少なくとも1つの浮動木の中に含まれる全ての葉ノードを前記少なくとも1つの集約ノードに折り畳むことを含む、請求項18に記載のウエハ検査ツール。
【請求項22】
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木のうちの少なくとも1つを、前記少なくとも1つの浮動木が保存されている少なくとも1つのファイルから取り込むことを含む、請求項18に記載のウエハ検査ツール。
【請求項23】
前記1つ以上の浮動木のうちの少なくとも1つは、単一の欠陥クラスのためのビンナーである、請求項18に記載のウエハ検査ツール。
【請求項24】
前記1つ以上の浮動木のうちの第1の浮動木は、第1の欠陥クラスのみのためのビンナーであり、前記1つ以上の浮動木のうちの第2の浮動木は、第2の欠陥クラスのみのためのビンナーであり、前記決定木は、少なくとも前記第1及び第2の欠陥クラスの分類のために作成される、請求項18に記載のウエハ検査ツール。
【請求項25】
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木のうちの少なくとも1つを取り込むことと、前記少なくとも1つの取り込まれた浮動木の1つ以上のパラメータを前記ウエハ上で検出された前記欠陥のデータに適合させるように調整することとを含む、請求項18に記載のウエハ検査ツール。
【請求項26】
前記少なくとも1つの取り込まれた浮動木の前記1つ以上のパラメータの調整は、前記少なくとも1つの取り込まれた浮動木を前記欠陥の前記データに適用した結果の不純度及びマージンを最適化することを含む、請求項25に記載のウエハ検査ツール。
【請求項27】
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木をカスケード状に配置することを含む、請求項18に記載のウエハ検査ツール。
【請求項28】
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木によってビンニングされた欠陥クラスの重大度に基づいて、前記1つ以上の浮動木をカスケード状に配置することを含む、請求項18に記載のウエハ検査ツール。
【請求項29】
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木によってビンニングされた欠陥クラスの純度に基づいて、前記1つ以上の浮動木をカスケード状に配置することを含む、請求項18に記載のウエハ検査ツール。
【請求項30】
前記1つ以上の浮動木の変更は、前記1つ以上の浮動木の精度に基づいて、前記1つ以上の浮動木をカスケード状に配置することを含む、請求項18に記載のウエハ検査ツール。
【請求項31】
前記調停は、前記クラスの重大性、前記クラスの純度、前記クラスの精度、それらの訓練セット中の前記クラスのビンのサイズ、前記欠陥が分類されたクラスの数及び種類の統計的尺度、またはそれらの組み合わせに基づいて行われる、請求項18に記載のウエハ検査ツール。
【請求項32】
前記調停は、前記クラスの優先順位に基づいて行われる、請求項18に記載のウエハ検査ツール。
【請求項33】
前記分類は、自動的に行われる、請求項18に記載のウエハ検査ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、半導体ウエハ上の欠陥の自動分類のための決定木(ディシジョン・ツリー)構築に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明及び例は、本項への包含の効力によって、先行技術であると認められるものではない。
【0003】
論理及び記憶デバイス等の半導体デバイスの製作は、典型的には、半導体デバイスの様々な特長及び複数のレベルを形成するための多数の半導体製作プロセスを使用して、半導体ウエハ等の基板を加工することを含む。例えば、リソグラフィは、レチクルから半導体ウエハ上に配置されたレジストへパターンを転写することを含む半導体製作プロセスである。半導体製作プロセスの追加的な例としては、化学機械研磨(CMP)、エッチング、堆積、及びイオン注入が挙げられるが、これらに限定されない。複数の半導体デバイスが単一の半導体ウエハ上の配置で製作され、その後、個別の半導体デバイスに分離され得る。
【0004】
検査プロセスは、製造プロセスにおけるより高い歩留まり、故に高い利益を促進するために、ウエハ上の欠陥を検出するための半導体製造プロセス中の様々な工程で使用される。検査は、常に、IC等の半導体デバイスの製作の重要な一部であった。しかしながら、より小さい欠陥がデバイスを故障させ得るため、半導体デバイスの寸法(ディメンジョン)が減少するにつれて、許容される半導体デバイスの製造を成功させるための検査が更に一層重要になっている。
【0005】
半導体欠陥の自動欠陥分類(ADC)は、走査電子顕微鏡(SEM)レビューツールの重要な用途である。この業務を行うために業界で一般的に使用される方法の1つが、決定木である。例えば、本明細書に完全に記載されているかのように参照により組み込まれるChenらの米国特許第8,502,146号は、表面高さ特性を使用する非常に効果的なADCシステムを説明している。2つの効果的な特性を使用する単純な決定木(ディシジョン・ツリー)分類器が4種類の欠陥を区別できる例が、図1に図示されている。具体的には、ルールベース木100において、第1のノード102は、地形的(「地形」)高さに基づいて欠陥を分離している。例えば、ウエハ上で検出された欠陥の地形的高さのヒストグラム104に示されるように、第1のノードの切断線106は、ボイド(空洞)及びキズの欠陥種類を粒子及びコーンの欠陥種類から分離している。ボイド及びキズの欠陥種類は、欠陥サイズに関するヒストグラム110に示されるように、ノード108に送られ得、切断線112は、ボイド欠陥を他の欠陥から分離し、切断線114は、キズ欠陥を他の欠陥から分離し、切断線112と114との間に収まる欠陥は、未決定の欠陥種類のための別のビンに分離され得る。このようにして、ボイドの欠陥種類は、ビン116に入れられ得、キズの欠陥種類は、ビン118に入れられ得、未決定の欠陥種類は、ビン120に入れられ得る。ノード122を使用して、同様の方法で粒子及びコーンの欠陥種類のいくつかの特徴を使用して粒子及びコーン(cone)の欠陥種類を分離することができる。したがって、図1に示す決定ベース木は、分類を、決定木ベースのADCに対して行うことができる一連の容易な論理的工程に分割する。
【0006】
決定木の概念の理解は非常に簡単だが、実際の適用のための決定木分類器の手動での構築は決して単純ではない。従来の決定木モデルには、3つの大きな欠点がある。第一に、決定木の複雑性は、分類される欠陥種類の数とともにかなり急速に増大する。例えば、10超の欠陥種類のための効果的な決定木は、典型的には、10超のレベル及び数百のノードを必要とし、そのため手動で構築および管理するのは極めて困難になる。したがって、直感的には単純な決定木は、ビン数の増加につれて極めて複雑になる。第二に、ある欠陥種類に関する決定木の性能に影響を与えることなく、他の欠陥種類に関する決定木の性能(例えば、精度または純度のいずれか)を調整することは不可能である。同様に、ある欠陥種類を微調整すると他の欠陥種類に影響を与え得るため、決定木は、維持するのが困難である。第三に、各ノードごとに集団が分割されるため、より下位のノードは、種類間の適切な切断線を判定するためには、ますます少ない集団しか有さない。したがって、現在、ADC設定にはいくつかの欠点が存在する。
【0007】
分類器の手動構築の困難に対する1つの明らかな解決策は、分類器をアルゴリズム的に自動的に構築することである。このような自動構築は、実際、人工知能(AI)及びデータマイニングにおける主要な研究分野であり、この分野において発表された業績には、長い歴史がある。最も顕著な例のうちの1つが、分類と回帰木(CART classification and regression trees)であり、これは、ソフトウェア製品としてSalford Systems(カリフォルニア州サンディエゴ)から市販入手可能である。実際は、KLA−Tencor(カリフォルニア州ミルピタス)から市販入手可能なIMPACTソフトウェアが、決定木分類器を自動的に生成できる「スターターツリー」という特長をすでに有している。しかしながら、一部の場合では、自動的な方法によって生成される分類器は、データに過剰適合させることがあり、したがって、一般的に不安定になることがある。その上、得られる分類器は、依然として、全種類を分類する1つの決定木であり、そのため依然として上記の第二及び第三の問題を抱えている。加えて、決定木に基づくADCにより各欠陥を分類する場合、ユーザは、不明の欠陥種類のための余地を残すために余計な労力を費やさなければならない(これは、稀にしか行われない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、上述の不利点のうちの1つ以上を有さない欠陥分類関連用途のための方法及び/またはシステムを開発することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の様々な実施形態の説明は、添付の特許請求の範囲の主題を決して限定するものと解釈されるべきではない。一実施形態は、ウエハ上で検出された欠陥を分類する方法に関する。本方法は、決定木の中の1つ以上の浮動木を変更することによって、ウエハ上で検出された欠陥の分類のための決定木を作成することを含む。1つ以上の浮動木は、個別の単位として操作される部分木である。本方法は、決定木を欠陥に適用することによって、ウエハ上で検出された欠陥を分類することも含む。作成及び分類工程は、1つ以上のコンピュータシステムによって実行される。
【0010】
上述の方法は、本明細書に更に記載されるように行うことができる。加えて、上述の方法は、本明細書に記載の任意の他の方法(複数可)の任意の他の工程(複数可)を含んでもよい。その上、上述の方法は、本明細書に記載の任意のシステムによって行うことができる。
【0011】
別の実施形態は、ウエハ上で検出された欠陥を分類するためのコンピュータ実装方法を実行するためのコンピュータシステム上で実行可能なプログラム命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体に関する。本コンピュータ実装方法は、上述の方法の工程を含む。コンピュータ可読媒体は、本明細書に記載のように更に構成され得る。コンピュータ実装方法の工程は、本明細書に更に記載されるように行うことができる。加えて、プログラム命令を実行可能であるコンピュータ実装方法は、本明細書に記載の任意の他の方法(複数可)の任意の他の工程(複数可)を含んでもよい。
【0012】
追加的な実施形態は、ウエハ検査ツールに関する。本ウエハ検査ツールは、ウエハの少なくとも一部を走査し、それにより該ウエハの該少なくとも一部からの光に応答して出力を生成するように構成された光学サブシステムを含む。本ウエハ検査ツールは、出力に基づいてウエハ上の欠陥を検出するように構成されたコンピュータサブシステムも含む。またコンピュータサブシステムは、決定木の中の1つ以上の浮動木を変更することによって欠陥の分類のための決定木を作成するように構成される。1つ以上の浮動木は、個別の単位として操作される部分木である。加えて、コンピュータサブシステムは、決定木を欠陥に適用することによって、ウエハ上で検出された欠陥を分類するように構成される。本ウエハ検査ツールは、本明細書に記載のように更に構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の他の目的及び利点は、以下の詳細な説明を読み、添付図面を参照することにより明らかになる。
【0014】
図1】当技術分野で現在使用されている決定木分類器の一例を図示する概略図である。
図2】浮動木を含む決定木の一実施形態を図示する概略図である。
図3】浮動木が折り畳まれた、図2に示す決定木の実施形態を図示する概略図である。
図4】複数の浮動木を含む様々な決定木の実施形態を図示する概略図である。
図5】カスケード状に配置された複数の浮動木を含む決定木の一実施形態を図示する概略図である。
図6】並列状に配置された複数の浮動木を含む決定木の一実施形態を図示する概略図である。
図7】本明細書に記載のコンピュータ実装方法のうちの1つ以上を実行するためのコンピュータシステム上で実行可能なプログラム命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体の一実施形態を図示するブロック図である。
図8】ウエハ検査ツールの一実施形態の側面観を図示する概略図である。
【0015】
本発明は、様々な修正及び代替的な形態が可能であるものの、その具体的な実施形態は、例として、図面において示され、本明細書に詳細に説明される。しかしながら、図面及びそれに対する詳細な説明は、開示される特定の形態に本発明を限定することを意図したものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨及び範囲内にある全ての修正、等価物、及び代替物を包含することが意図であることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで図面に目を転じると、図は、縮尺(スケール)に合わせて描かれたものではないことが留意される。特に、図の一部の要素の縮尺は、それらの要素の特徴を強調するために非常に大きく示されている。図は、同一の縮尺に合わせて描かれたものではないことも留意される。同様に構成され得る2つ以上の図に示される要素は、同一の参照番号を使用して表示されている。本明細書中に特に記載がない限り、説明され、示されている任意の要素は、任意の好適な、市販入手可能な要素を含んでもよい。
【0017】
本明細書に記載の実施形態は、一般的に、半導体ウエハの欠陥の自動分類のための決定木を構築する方法及びシステムに関する。本明細書に記載の実施形態を使用すると、半導体ウエハのための決定木に基づく自動欠陥分類器(ADC)の手動構築を単純化し、このような決定木に基づくADCの性能を改善し、このような決定木に基づくADCの微調整及び/または維持の性能を改善し、かつこのような決定木に基づくADCの監視の性能を改善することができる。
【0018】
一実施形態は、ウエハ上で検出された欠陥を分類する方法に関する。方法は、決定木の中の1つ以上の浮動(フローティング:浮遊)木を変更することによって、ウエハ上で検出された欠陥の分類のための決定木を作成することを含む。1つ以上の浮動木は、個別の単位として操作される部分木である。したがって、本明細書に記載の実施形態は、浮動木の概念を導入するが、これは、基本的に、単位として操作することができる、決定木の中の任意の部分木である。浮動木は、ある木の1つのノードからある木の別のノードに切り取り、コピーし、貼り付け、または移動させることができる。このようにして、一実施形態では、1つ以上の浮動木の変更は、決定木の1つのノードから決定木の別のノードに1つ以上の浮動木を切り取り、コピーし、貼り付け、または移動させることを含む。また本明細書に記載の実施形態は、ユーザが浮動木を削除できるように構成してもよい。
【0019】
図2は、浮動木を含む決定木の一実施形態を図示している。特に、図2に示すように、決定木200は、極性に基づいて欠陥を分離するように構成されたノード202を含んでもよい。より具体的には、ノードは、明及び混合極性を有する欠陥を含むビン204と暗極性を有する欠陥を含むビン206とへ欠陥を分離してもよい。図2に示すように、ビン206は、40個の欠陥を含む。次に、ビン204の中に含まれる欠陥は、試験輝度、欠陥の基準(ref.)(または基準(reference))輝度特性(または欠陥に対応する試験画像の輝度及び欠陥検出のために試験画像と比較された基準画像の輝度)に基づいて分離することができる。例えば、図2に示すように、おおむね20の試験輝度、基準輝度を有する欠陥は、20個の欠陥を含むビン208に分離することができる。加えて、他の値の試験輝度、基準輝度を有する欠陥は、ビン210に分離することができる。次に、最近傍(NN)分類器を、ビン210の中に含まれる欠陥に適用することができる。次に、欠陥は、図2に示すように、それぞれ、10個の欠陥及び30個の欠陥を含むビン212及びビン214に分離することができる。更に図2に示すように、決定木の明及び混合極性の欠陥のための部分は、浮動木216として構成され得、これは、本明細書に記載のように更に構成され得る。加えて、決定木の暗極性の欠陥のための部分は、浮動木として構成することができない。したがって、決定木のいくつかの部分は、浮動木になることができる一方で、決定木の他の部分は、浮動木になることができない。
【0020】
別の実施形態では、方法は、作成工程中に1つ以上の浮動木のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの集約ノードに折り畳む(隠される:collasping)ことを含む。本明細書に記載の実施形態は、任意のノードからの部分木を折り畳むか、または展開する能力を提供し得る。加えて、浮動木は、「集約」ノードに折り畳まれ(隠され)てもよく、それにより決定木構築のワークスペースの乱雑さを低減することができる。このようにして、本明細書に記載の実施形態の恩恵は、それを使用すると場所を節約し、決定木構築ユーザインターフェース(UI)における乱雑さを除去できることである。
【0021】
更なる実施形態では、方法は、作成工程中に1つ以上の浮動木のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの集約ノードに折り畳むことを含み、折り畳むことは、その少なくとも1つの浮動木の中に含まれる全ての葉ノードをその少なくとも1つの集約ノードに折り畳むことを含む。例えば、浮動木において、同一のコードに属する浮動木の葉ノード(コード0、未割り当てを含む)は、それが折り畳まれる場合、1つのノードに集約される。
【0022】
このような一実施形態では、図2に示す決定木の浮動木部分は、図3に示すように、折り畳まれてもよい。例えば、図3に示すように、浮動木216は、浮動木の1つの代表的ノード204、ならびに浮動木によって生み出される異なるビンの各々に含まれる欠陥総数300のみを示されるように折り畳まれている。浮動木が折り畳まれているとき、その木がその特定のノードで折り畳まれていることを表すためにプラス記号のアイコン(「+」)がUI中に表示されてもよい。浮動木が折り畳まれている場合、浮動木の全体をUIの中に表示できるようにそれを展開することもできる。一部の場合では、浮動木はロックすることができる。例えば、浮動木は、知的財産保護の目的のため、鍵によってのみそれを展開できるように構成され得る。
【0023】
追加的な実施形態では、1つ以上の浮動木の変更は、1つ以上の浮動木のうちの少なくとも1つを、その少なくとも1つの浮動木が保存されている少なくとも1つのファイルから取り込むことを含む。例えば、浮動木は、ファイルに保存され、取り込まれ、他の決定木で使用され得る。加えて、浮動木は、ファイルから取り込まれ、決定木の任意のノードに取り付けられ得る。
【0024】
一実施形態では、1つ以上の浮動木のうちの少なくとも1つは、単一の欠陥クラスのためのビンナーである。例えば、浮動木の能力を使用して、人は、一度にただ1つの欠陥種類のための決定木を構築し、それを浮動木として記憶することができる。ユーザは、このような木を任意の数(例えば、存在する欠陥種類と同数の木)作成することもできる。このような浮動木は、単一種類ビンナー(SCB)と称され得る。このようにして、浮動木として実装されるSCBを使用して、単一の欠陥種類を分類する(言い換えれば、単一の種類を他の全ての種類から分離する)ことができる。次に、異なるSCBを組み合わせて、多くの欠陥種類を分類できる完全な決定木を形成することができる。このようにして、本明細書に記載のように作成される決定木は、2つ以上の浮動木を含み得る。したがって、決定木は、複数の浮動木を含む分類器であり得る。
【0025】
図4は、2つ以上の浮動木を含む決定木のいくつかの実施形態を図示している。例えば、図4に示すように、決定木400は、ノード402に供給される結果を生み出す浮動木Yを含む。ノード402は、決定木に含まれるノード404に一部の欠陥が送られるように、かつ他の欠陥が浮動木Xに送られるように、欠陥を分類してもよい。またノード404は、10個の欠陥及び20個の欠陥をそれぞれ含むビン406及び408に一部の欠陥が送られる一方で、他の欠陥が浮動木Xに送られるように、欠陥を分離してもよい。
【0026】
別の実施形態では、決定木410は、ウエハ上で検出される欠陥の集団を分離するように構成されるノード412を含む。1つの部分集団は、ノード414に送られてもよく、別の部分集団は、ノード416に送られてもよい。次に、ノード414に送られる部分集団は、それぞれ、10個の欠陥及び20個の欠陥を含むビン418及び420に送られる欠陥に分離されてもよい一方で、他の欠陥は、浮動木Xに送られる。加えて、ノード416に送られる欠陥の部分集団は、浮動木Y及び浮動木Xに送られる欠陥に分離されてもよい。
【0027】
したがって、図4に示すように、決定木は、2つ以上の浮動木を含んでもよい。いずれの決定木に含まれる浮動木も、決定木の中の異なる位置に配置される2つ以上の同一の浮動木及び決定木の中の異なる位置に配置される2つ以上の異なる浮動木を含んでもよい。ユーザは、木を、操作性の最大化のためにUI上で並べ替えることができる。加えて、一部の場合では、決定木を作成することは、新しい浮動木を作成し、新しい浮動木のためのデータソースを選択することを含んでもよい。このようにして、浮動木は、取り込むか、またはゼロから作成することができる。その上、決定木が2つ以上の浮動木を含む場合、それらの複数の浮動木は、参照によって互いに連結されてもよい。本明細書に記載の実施形態は、本明細書に更に記載される木を「隠す/表示する」能力と組み合わせると非常に強力な、冗長性の除去によって、かなり複雑な木を非常に単純に構築及び表示することも可能にする。本明細書に記載の実施形態は、木の維持も単純化する。加えて、本明細書に記載の実施形態は、決定木の循環性を防止するように構成され得る。言い換えれば、実施形態は、閉回路を有する決定木の作成を防止するように構成され得る。本明細書に記載の決定木は、逐次的妨害フィルタリング(nuisance filtering)を提供するようにも構成され得る。
【0028】
図5は、浮動木を使用して完全な決定木を構築する際に行うことができる工程の例を示している。例えば、一実施形態では、1つ以上の浮動木のうちの第1の浮動木は、第1の欠陥クラスのみのためのビンナーであり、1つ以上の浮動木のうちの第2の浮動木は、第2の欠陥クラスのみのためのビンナーであり、決定木は、少なくとも第1及び第2の欠陥クラスの分類のために作成される。このような一実施形態では、決定木の設定は、ボイドの種類の欠陥のためのSCBを構築することを含んでもよい。特に、SCBは、図1に示すように、ボイドの種類の欠陥を他の種類の欠陥から分離するために設定することができる。しかしながら、図1に示す決定木とは異なり、SCBは、ボイドの種類の欠陥を、他の特定の種類を有する他の欠陥から分離することができない。言い換えれば、欠陥をボイドとキズに分離する代わりに、SCBは、単純に欠陥をボイドと他の(未割り当て)欠陥種類に分離することができる。同様の方法で、決定木の設定は、キズの種類の欠陥のためのSCBを構築することを含んでもよい。このような一例では、キズ欠陥のためのSCBは、図1に示すように、キズの種類の欠陥を他の種類の欠陥から分離するために設定することができる。しかしながら、図1に示す決定木とは異なり、SCBは、キズの種類の欠陥を、他の特定の種類を有する他の欠陥から分離することができない。言い換えれば、欠陥をキズとボイドに分離する代わりに、SCBは、単純に欠陥をキズと他の(未割り当て)欠陥種類に分離することができる。次に、決定木の設定は、2つのSCBを新しい分類器に取り付けることを含んでもよい。例えば、図5に示すように、2つの欠陥種類のための決定木500は、ボイドの種類の欠陥のためのSCB502及びキズの種類の欠陥のためのSCB504を含んでもよい。したがって、ボイドの種類の欠陥のためのSCBは、欠陥をボイド欠陥と他の欠陥に分離することができ、他の欠陥は、キズの種類の欠陥のためのSCBに送られてもよく、これは、次に、他の欠陥をキズ欠陥と他の欠陥に分離してもよい。
【0029】
一部の実施形態では、1つ以上の浮動木の変更は、少なくとも1つの浮動木を取り込むことと、少なくとも1つの取り込まれた浮動木の1つ以上のパラメータをウエハ上で検出された欠陥のデータに適合させるように調節することとを含む。例えば、浮動木の能力を使用して、人は、任意のユーザによって容易に利用され得る隆起及びキズ等の一般的な欠陥のためのSCBを事前に構築することができる。加えて、特定の半導体加工層の隆起及びキズ等の半導体製造プロセスにおける多くの一般的な欠陥種類のためのSCBが構築され得る。これらの浮動木は、追加設定なしの(out−of−box)(OOB)ビンナーと称され得る。このようにして、SCBは、OOBビンナーとして保存され得る。したがって、事前に構築されたSCBは、分類器を構築するためのスターターまたは雛形として使用されるOOBになることができる。
【0030】
一実施形態では、少なくとも1つの取り込まれた浮動木の1つ以上のパラメータの調整は、少なくとも1つの取り込まれた浮動木を欠陥のデータに適用した結果の不純度及びマージンを最適化することを含む。例えば、新しいデータセットのためにOOBビンナーを新しい分類器に取り込む場合、OOBの切断線は、新しいデータセットに対してうまく機能しないことがある。このような一例では、キズの種類の欠陥のためのOOBは、ウエハ上のキズの種類の欠陥を他の欠陥から分離するために使用される2つのノード(1つは、地形的高さに関し、1つは、サイズに関する)を含んでいてもよい。2つのノードの切断線は、訓練データの特性ヒストグラムに基づいて決定してもよい。しかしながら、訓練データを生成するために使用されるもの以外のウエハのデータは、訓練データとは異なることがある。その場合、OOBの各ノードにおいて不純度及びマージンの2つの指標を最適化することによって新しいデータまたは所与の訓練セットに適合させるように切断線を自動的に調節することができる方法を開発する。例えば、新しいデータに関する特性ヒストグラムを生成してもよい。第1のノードの切断線(複数可)は、特性値の関数として不純度(IP(x))及びマージン(M(x))を決定することによって、新しいデータに適合させるように調整してもよい。特に、切断線は、記憶されている値に最も合致する不純度及びマージンをもたらす位置に設定することができる。加えて、第2のノード及び/または任意の他のレベル2ノードの切断線(複数可)は、上述のように、特性値の関数として不純度及びマージンを決定することによって、新しいデータに適合させるように調整することができる。したがって、切断線は、OOBに含まれるノードごとに調節することができる。このようにして、方法は、OOBを新しいウエハデータに自動的に適応させることを含んでもよい。
【0031】
異なるSCBを組み合わせて新しい分類器を形成する異なる方法が存在する。例えば、一実施形態では、1つ以上の浮動木の変更は、1つ以上の浮動木をカスケード状に配置することを含む。したがって、本明細書に記載の作成工程は、一度に1つのSCBを構築し、次にそれらのSCBを組み合わせてSCBがカスケード状に構造化された、完全な決定木分類器にすることによって、分類器を構築するための設定手順を含んでもよい。加えて、1つ以上の浮動木の変更は、1つ以上の浮動木によってビンニングされた欠陥クラスの重大度、1つ以上の浮動木によってビンニングされた欠陥クラスの純度、または1つ以上の浮動木の精度に基づいて、1つ以上の浮動木をカスケード状に配置することを含んでもよい。このようにして、新しい分類器を形成する1つの可能な方法は、浮動木をカスケード状に構造化し、SCBをそれらの重大度(これを使用すると、より重大な欠陥を最初にビンニングすることができる)、それらの純度(これを使用すると、ビンニングの誤りを最小限に抑えることができる)、及びそれらの精度に従って順序づけることである。加えて、またはあるいは、本明細書に記載の作成工程は、SCBが複数クラスのビンナーによって置き換えられる、分類器をカスケード状に構築するための設定手順を含んでもよい。
【0032】
このようにして、カスケードの種類の配置を有する決定木は、カスケード状に配置されたSCBのみ、またはカスケード状に配置されたSCBと複数クラスのビンナーとの何らかの組み合わせを含んでもよい。例えば、各浮動木は、1つ以上の欠陥種類を説明することができる。1つの浮動木の中の説明できない種類は、分類することができず、その木の次の木の第1のノードに進み得る。説明される種類の欠陥は、その木からクラスコードを割り当てられ、下位レベルの次の木には配置換えされない。
【0033】
直列構成の浮動木を含む決定木を作成するためのUIでは、OOBとして使用することができる様々なSCBが、UI内の1つのパネルまたはウィンドウに表示されてもよい。全ての木は、このようにして木の名前を示す木ペイン(これは編集可能であってもよい)内に示されてもよく、木は、上述の順序のうちの1つで木ペイン内に示されてもよい。例えば、木は、上から下まで重大度の順序に示されてもよい。ユーザは、木を選択し、木の横の上向きまたは下向きの矢印をクリックすることによって、順序を変更することができる。SCBは、ブリッジ、粒子、SEM不可視(SNV)、隆起、及び広視野(FOV)SNV等の、様々な種類の欠陥のためのSCBを含んでもよい。SCBに加えて、任意の他のOOBが同一のパネルまたはウィンドウ内に表示されてもよい。ユーザは、その後、入手可能なOOBを眺め、もしかしたらそれらをスクロールさせながら見て、決定木の中に含めることを希望するものを特定することができる。ユーザは、パネルまたはウィンドウから、決定木が作成されるメインワークスペースパネルまたはウィンドウへ、OOBをコピー、貼り付け、及び/またはドラッグアンドドロップすることができる。上述の木パネルの中の木を選択すると、選択された木が、より大きなメインワークスペースパネルの中で示されても良い。また、木を選択すると、混同行列及び選択された木を反映するギャラリーが更新されてもよい。各浮動木の混同行列は、任意の好適な方法で機能することができる。また木ペイン内の木は、より大きなメインワークスペースパネルの中で編集するために選択可能であってもよい。OOBは、決定木の中で様々なノードとして使用してもよく、決定木は、ユーザによって作成される任意の他の通常ノードも含んでもよい。
【0034】
別の実施形態では、1つ以上の浮動木の変更は、1つ以上の浮動木を並列状に配置することを含む。このようにして、浮動木を並列状に構造化することによって(これは、「フォレスト」と称され得る)新しい分類器を作成することができ、全ての欠陥は、並列の全てのSCBを通過する。したがって、本明細書に記載の作成工程は、一度に1つのSCBを構築し、次にそれらのSCBを組み合わせてSCBが並列状に構造化された、完全な決定木分類器にすることによって、分類器を構築するための設定手順を含んでもよい。加えて、またはあるいは、本明細書に記載の作成工程は、SCBが複数クラスのビンナーによって置き換えられる、分類器を並列状に構築するための設定手順を含んでもよい。このようにして、並列の種類の配置を有する決定木は、並列に配置されたSCBのみ、または並列に配置されたSCBと複数クラスのビンナーとの何らかの組み合わせを含んでもよい。その上、作成工程は、SCBが「フォレスト」分類器によって置き換えられる、分類器を並列(「フォレスト」)に構築するための設定手順を含んでもよい。
【0035】
浮動木を並列状に配置することは、浮動木の直列構成と比べて、いくつかの利点を提供する。例えば、決定木ノードの直列構成の場合とは異なり、「フォレスト」配置では、1つのノードの純度及び/または精度を微調整することは、いかなる他のノードの入力集団にも影響を与えることはない。加えて、直列構成の場合とは異なり、並列に配置されたいずれのノードも、訓練のために不十分な欠陥集団を有することにはならない。
【0036】
一実施形態では、本明細書に更に記載されるような欠陥の分類は、欠陥の各々が2つ以上のクラスにビンニングされているかを判定することと、ある欠陥が2つ以上のクラスにビンニングされている場合に、その欠陥がビンニングされているクラス間で調停を行って、その欠陥の最終分類を判定することと、を含む。このようにして、所与の欠陥の最終クラスは、それがビンニングされているクラス間での調停に基づいてもよい。別の実施形態では、調停は、クラスの重大性、クラスの純度、クラスの精度、それらの訓練セット中のクラスのビンのサイズ、欠陥が分類されたクラスの数及び種類の統計的尺度、またはそれらの組み合わせに基づいて行われる。このようにして、クラス間の調停は、それらの重大性、それらの純度、それらの精度、訓練セット中のそれらのビンのサイズ、これらの特徴の何らかの組み合わせ、またはそれらがビンニングされていたクラスの数及び種類の何らかの統計的尺度に基づいて行われてもよい。別の実施形態では、調停は、クラスの優先順位に基づいて行われる。
【0037】
図6は、浮動木が並列構成で配置されている、「フォレスト(森)」分類器構造の一実施形態を図示している。特に、図6に示すように、分類器は、任意の種類のノードであり得るノード600を含む。このノードは、欠陥を2つのビン602及び604に分離されてもよい。ビン602及び604の中の欠陥は、それぞれ異なるフォレスト分類器606及び608によって処理されてもよい。特に、ビン602の中の欠陥は、互いに並列に配置されるSCB610、612、及び614に送られてもよい。加えて、ビン604の中の欠陥は、互いに並列に配置されるSCB616及び618に送られてもよい。したがって、ビン602の中の全ての欠陥は、フォレスト分類器606の中の木の各々に送られてもよく、ビン604の中の全ての欠陥は、フォレスト分類器608の中の木の各々に送られてもよい。このようにして、欠陥は、「フォレスト」の中のあらゆる木によって処理されてもよい。一部の場合では、フォレスト分類器は各々、入来する欠陥集団をフォレストの中に含まれる浮動木に分配するように構成された分配器(図示せず)を含んでもよい。
【0038】
各欠陥につき、各SCBは、その欠陥をビンニングするか、またはその欠陥に対して未分類のビンコードを返すことになる。このようにして、フォレスト分類器の各々の中のSCBの各々は、異なる欠陥の部分集団を生み出すことになり、任意の特定の欠陥は、2つ以上の部分集団に含まれてもよい。例えば、SCB610、612、及び614は、それぞれ欠陥部分集団620、622、及び624を生み出してもよい。部分集団620、622、及び624のうちの任意の1つに含まれる任意の欠陥は、これらの部分集団のうちの任意の他のものに含まれてもよい。加えて、SCB616及び618は、それぞれ欠陥部分集団626及び628を生み出してもよい。部分集団626及び628のうちの任意の1つに含まれる任意の欠陥は、これらの部分集団のうちの任意の他のものに含まれてもよい。したがって、複数の木が、矛盾するビンコードを有する欠陥をビンニングすることがあり得る。したがって、図6に示すフォレスト分類器は、2つ以上の部分集団に含まれる任意の欠陥の最終クラスを決定するように構成された調停器を含む。例えば、フォレスト分類器606は、調停ノード630を含み、フォレスト分類器608は、調停ノード632を含む。調停器は、全ての木からの結果を処理し、いかなる矛盾も解決する。例えば、調停器は、フォレスト分類器のSCBに対応するクラスの優先順位に基づいて、欠陥の最終分類を決定してもよく、優先順位は、ユーザによって指定されてもよい。特に、ある欠陥がいくつかの木によっていくつかの矛盾するコードとしてビンニングされている場合、最も高い「優先順位」を有するビンコードが、勝つ。ビンコードの優先順位は、最も高い優先順位が「1」であり、次に「2」等が続く整数として表現されてもよい。絶対に最も低い優先順位を有するビンコードには、「0」の優先順位を割り当ててもよい。本明細書に記載の実施形態は、優先順位が各ビンコードに対して一意的になるように自動的に強制してもよい。例えば、別のビン用のすでに存在する優先順位値をユーザが入力した場合、実施形態は、他のビンの競合する優先順位を自動的に押しのけて(すなわち、インクリメントさせて)その場所をあけてもよい。このようにして、調停器は、任意の数の欠陥を含むいくつかのビン634を生成してもよい。調停器からのビン結果は、クライアントソフトウェアに返されてもよい。
【0039】
浮動木を並列構成で配置することによって決定木を作成するためのUIは、上述した浮動木を直列構成で配置するためのそれと似ていてもよい。
【0040】
浮動木の並列構成は、新しい欠陥種類を取り扱う際に最大の柔軟性を提供し、既存の各ビンナーを他の各ビンナーから隔離する。しかしながら、浮動木の並列構成は、各欠陥がフォレストの中の各SCBを通過しなければならない可能性があるため、それが含まれる決定木を使用したADCの実行時間を、浮動木の直列構成を有する決定木と比較して、増大させ得る。
【0041】
並列「フォレスト」分類器構造については、並列構造化された「フォレスト」分類器の中間(調停前)結果を分析することが可能であり、それにより手動欠陥分類を必要としない強力な分類器監視及び品質評価能力を提供する。加えて、実施形態は、フォレストのビンと未分類欠陥との混合を使用して、分類器の健全性を監視してもよい。例えば、欠陥の集団は、フォレスト配置の中の2つ以上のSCBを通じて送られてもよい。SCBの優先順位づけは、本明細書に記載のように設定してもよい。実施形態は、調停されたコードだけではなく、受け取られた各欠陥の全てのクラスコードを提供してもよい。例えば、実施形態は、フォレストに送られた各欠陥の一覧及び各欠陥が分類されたビンの表示を提供してもよい。この情報は、KLA−Tencorから市販入手可能なKlarity等の他のソフトウェアに送ることができる。加えて、この情報を使用して、2つ以上のクラスコードを有する欠陥の数、及び任意の他のビンによっても捕捉された任意の1つのビンの中の欠陥の総数を決定することができる。このような分類器の監視は、手動分類なしの高感度の分類器監視、及びどのビンに問題があるまたは問題がある可能性があるか示唆する即時フィードバックを提供するので、有利である。
【0042】
本明細書に記載のような決定木の作成は、一部のノードをカスケード状に、及び他のノードを並列状に配置することも含んでもよい。例えば、決定木は、FOVのサイズ(例えば、小、中、及び大)に基づいて欠陥の集団を分離する第1のノードを含んでもよい。このノードによって作成される部分集団の各々は、追加的なノードに送られてもよい。これらの追加的なノードは、欠陥が位置するパターンの種類(例えば、配列及びランダム)に基づいて、部分集団の各々を部分−部分集団に分離してもよい。次に、部分−部分集団の各々は、フォレストの種類の分類器に送られてもよく、その各々の後に調停ロジックが続いてもよい。したがって、調停ロジックの出力は、欠陥の最終ビンを含んでもよい。
【0043】
方法は、決定木を欠陥に適用することによって、ウエハ上で検出された欠陥を分類することも含む。決定木の欠陥への適用は、任意の好適な方法で行うことができる。例えば、ひとたび本明細書に記載の決定木が作成されると、決定木は、任意の他の決定木と同一の方法で使用することができる。加えて、一実施形態では、欠陥の分類は、自動的に行われる。例えば、本明細書に記載の決定木は、任意のADC方法またはシステムで使用することができる。
【0044】
上述した決定木作成及び欠陥分類の工程(並びに任意の他の工程)は、本明細書に更に記載されるように構成され得る1つ以上のコンピュータシステムによって行うことができる。
【0045】
本明細書に記載の実施形態は、半導体欠陥分類用の決定木の作成及び使用のための現在使用されている他の方法及びシステムに比べて、いくつかの利点を有する。例えば、本明細書に記載の実施形態を使用すると、分類器構築のためのUIのワークスペースにおいて乱雑さを除去し、場所を節約することができる。加えて、実施形態は、構築するのがより容易な単一クラスの分類器を提供する。例えば、本明細書に記載の実施形態は、人が一度に1つの欠陥種類について考えることができる直感的な設定を提供することによって、操作性を劇的に改善する。加えて、下位ノードでのデータの断片化がより少ないため、設定はより容易である。その上、概念的に単純な決定木は、UIにおいて実際に単純に見え得る。本明細書に記載の実施形態は、個別のクラスの純度及び精度を他のクラスから独立して微調整する能力も提供する。ユーザは一度に1種類の欠陥を微調整できるため、決定木の維持も、より容易である。その上、本明細書に記載の実施形態は、移植がより容易な単一クラスの分類器を提供する。加えて、本明細書に記載の実施形態では、分類器の構築は、SCBまたはOOBビンナーの組み立て及びそれらをカスケードまたは並列状で構造化することになり得る。SBCのカスケード配置は、カスケードの明示的な構造を通じて、異なる種類の分類優先順位づけも可能にする。SBCの並列配置は、調停ロジックの使用を通じて、異なる種類の分類優先順位づけを可能にする。加えて、並列構造化された(「フォレスト」)分類器の中間(調停前)結果の分析は、手動欠陥分類を必要としない強力な分類器監視及び品質評価能力を可能にする。
【0046】
上述の方法の実施形態の各々は、本明細書に記載の任意の他の方法(複数可)の任意の他の工程(複数可)を含んでもよい。その上、上述の方法の実施形態の各々は、本明細書に記載の任意のシステムによって行うことができる。
【0047】
本明細書に記載の全ての方法は、方法の実施形態の1つ以上の工程の結果を非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶させることを含んでもよい。結果は、本明細書に記載の任意の結果を含んでもよく、当技術分野で公知の任意の方法で記憶させてもよい。記憶媒体としては、本明細書に記載の任意の記憶媒体または当技術分野で公知の任意の他の好適な記憶媒体が挙げられる。結果を記憶させた後、結果は、記憶媒体の中でアクセスし、本明細書に記載の任意の方法またはシステムの実施形態によって使用し、ユーザへの表示のために書式化し、別のソフトウェアモジュール、方法、またはシステム等によって使用することができる。例えば、方法が欠陥を分類した後、方法は、欠陥分類に関する情報を記憶媒体に記憶させることを含んでもよい。
【0048】
追加的な実施形態は、ウエハ上で検出された欠陥を分類するためのコンピュータ実装方法を実行するためのコンピュータシステム上で実行可能なプログラム命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体に関する。このような一実施形態を図7に示す。特に、図7に示すように、非一時的コンピュータ可読媒体700は、コンピュータシステム704上で実行可能なプログラム命令702を含む。コンピュータ実装方法は、上述の方法の工程を含む。プログラム命令を実行可能であるコンピュータ実装方法は、本明細書に記載の任意の他の工程(複数可)を含んでもよい。
【0049】
本明細書に記載の方法等の方法を実装するプログラム命令702は、コンピュータ可読媒体700に記憶させてもよい。コンピュータ可読媒体は、磁気若しくは光学ディスク、磁気テープ、または当技術分野で公知の任意の他の好適な非一時的コンピュータ可読媒体等の記憶媒体であってもよい。
【0050】
プログラム命令は、プロシージャベースの技法、コンポーネントベースの技法、及び/またはオブジェクト指向技法等を含め、様々な方法のうちの任意の方法で実装することができる。例えば、プログラム命令は、所望により、ActiveXコントロール、C++オブジェクト、JavaBeans、Microsoft Foundation Classes(「MFC」)、Matlab、または他の技術若しくは方法を使用して実装することができる。
【0051】
コンピュータシステムは、パーソナルコンピュータシステム、イメージコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク機器、インターネット機器、または他の装置を含め、様々な形態をとり得る。一般的に、用語「コンピュータシステム」は、メモリ媒体から命令を実行する1つ以上のプロセッサを有する任意の装置を包含すると広く定義することができる。コンピュータシステムは、パラレルプロセッサ等の当技術分野で公知の任意の好適なプロセッサも含んでもよい。加えて、コンピュータシステムは、スタンドアローンまたはネットワーク化されたツールとして高速な処理及びソフトウェアを有するコンピュータプラットフォームを含んでもよい。
【0052】
別の実施形態は、ウエハ検査ツールに関する。このようなツールの一実施形態を図8に示す。ウエハ検査ツールは、ウエハの少なくとも一部を走査し、それにより該ウエハの該少なくとも一部からの光に応答して出力を生成するように構成された光学サブシステムを含む。例えば、図8に示すように、ウエハ検査ツールは、光学サブシステム800を含む。
【0053】
図8に示すように、光学サブシステムは、光源804を含む。光源804は、広帯域プラズマ光源等、当技術分野で公知の任意の好適な光源を含んでもよい。光源804は、光をビームスプリッタ806に向けるように構成され、ビームスプリッタ806は、光源804からの光を屈折光学素子808へ反射させるように構成される。屈折光学素子808は、ビームスプリッタ806からの光をウエハ810に集束させるように構成される。ビームスプリッタ806は、50/50ビームスプリッタ等の、任意の好適なビームスプリッタを含んでもよい。屈折光学素子808は、任意の好適な屈折光学素子を含んでもよく、屈折光学素子808は、図8では単一の屈折光学素子として示されているが、1つ以上の屈折光学素子及び/または1つ以上の反射光学素子によって置き換えられてもよい。
【0054】
光源804、ビームスプリッタ806、及び屈折光学素子808は、したがって、光学サブシステムの照明チャネルを形成することができる。照明チャネルは、1つ以上の偏光コンポーネント及び分光フィルタ等の1つ以上のフィルタ等の、任意の他の好適な要素(図8には図示せず)を含んでもよい。図8に示すように、光源、ビームスプリッタ、及び屈折光学素子は、光が通常のまたは実質的に通常の入射角でウエハに向けられるように構成される。しかしながら、光は、任意の他の好適な入射角でウエハに向けられてもよい。
【0055】
光学サブシステムは、任意の好適な方法でウエハにわたって光を走査するように構成され得る。
【0056】
照明によりウエハ810から反射された光は、屈折光学素子808によって集光され、ビームスプリッタ806を通じて検出器812に向けることができる。したがって、屈折光学素子、ビームスプリッタ、及び検出器は、光学サブシステムの検出チャネルを形成することができる。検出器は、電荷結合素子(CCD)等の、当技術分野で公知の任意の好適な撮像検出器を含んでもよい。検出チャネルは、1つ以上の偏光コンポーネント、1つ以上の空間フィルタ、1つ以上の分光フィルタ等の、1つ以上の追加的なコンポーネント(図8に図示せず)も含んでもよい。検出器812は、検出器によって検出された反射光に応答する出力を生成するように構成される。出力は、信号、信号データ、画像、画像データ、及び任意の他の好適な出力を含んでもよい。
【0057】
上述のように、光学サブシステムに含まれる検出器は、ウエハから反射された光を検出するように構成され得る。したがって、光学サブシステムに含まれる検出チャネルは、明視野(BF)チャネルとして構成してもよい。しかしながら、光学サブシステムは、ウエハの照明によりウエハから散乱された光を検出するために使用することができる1つ以上の検出チャネル(図示せず)を含んでもよい。加えて、図8に示す検出チャネルの1つ以上のパラメータは、検出チャネルがウエハから散乱された光を検出するように変更してもよい。このようにして、光学サブシステムは、暗視野(DF)ツール及び/またはBFツールとして構成されてもよい。
【0058】
ウエハ検査ツールは、光学サブシステムに連結されたコンピュータサブシステムも含む。例えば、コンピュータサブシステムは、光学サブシステムの検出器に連結されてもよい。このような一例では、図8に示すように、コンピュータシステム814は、光学サブシステム800の検出器812に(例えば、当技術分野で公知の任意の好適な伝送媒体を含み得る、図8において破線で示される1つ以上の伝送媒体によって)連結される。コンピュータシステムは、任意の好適な方法で検出器に連結されてもよい。コンピュータシステムは、光学サブシステムによって生成された画像(複数可)及びウエハに関する任意の他の情報をコンピュータシステムに送ることができるように、かつ、コンピュータシステムが光学サブシステムに対して本明細書に記載の1つ以上の工程を行う命令を任意に送ることができるように、任意の他の好適な方法で光学サブシステムに連結されてもよい。
【0059】
コンピュータシステム814は、光学サブシステムによって生成される出力に基づいてウエハ上の欠陥を検出するように構成される。コンピュータサブシステムは、ウエハ上の欠陥を任意の好適な方法で検出するように構成され得る。またコンピュータサブシステムは、決定木の中の1つ以上の浮動木を変更することによって欠陥の分類のための決定木を作成するように構成される。1つ以上の浮動木は、個別の単位として操作される部分木である。加えて、コンピュータサブシステムは、決定木を欠陥に適用することによって、ウエハ上で検出された欠陥を分類するように構成される。これらの工程の各々は、本明細書に更に記載されるように行うことができる。加えて、コンピュータサブシステムは、本明細書に記載の任意の他の工程(複数可)を行うように構成され得る。図8に示すウエハ検査ツールは、本明細書に記載のように更に構成され得る。
【0060】
図8は、本明細書に記載のウエハ検査ツールの実施形態に含めることができる、光学サブシステムの1つの構成を一般的に図示するために、本明細書の中で提供されていることが留意される。もちろん、本明細書に記載の光学サブシステムの構成は、市販検査ツールを設計する際に通常行われるように、ツールの性能を最適化するために変更してもよい。加えて、本明細書に記載のウエハ検査ツールは、KLA−Tencor、ミルピタス、カリフォルニア州から市販入手可能な28XX、29XX、及びPuma 9XXX系ツール等の既存の光学サブシステムを使用して実装することができる(例えば、本明細書に記載の機能を既存の検査ツールに追加することによって)。このようなツールの一部については、本明細書に記載の方法をツールのオプション機能として提供してもよい(例えば、ツールの他の機能に追加して)。あるいは、本明細書に記載のウエハ検査ツールは、全く新しいツールを提供するために「ゼロから」設計してもよい。その上、ウエハ検査ツールの光学サブシステムは、欠陥レビューツールの電子ビームサブシステムによって置き換えてもよく、コンピュータサブシステムは、電子ビームサブシステムによって生成される出力を使用して本明細書に記載の方法の工程を行うように構成され得、これには、例えば、電子ビーム画像及び電子ビーム画像において検出された欠陥の特徴(複数可)が含まれてもよい。本明細書に記載のように構成され得る好適な欠陥レビューツールの例としては、KLA−Tencorから市販入手可能なeDR7110ツールが挙げられる。
【0061】
本発明の様々な態様の更なる修正及び代替的な実施形態は、この説明を見れば、当業者には自明であろう。例えば、半導体ウエハ上の欠陥の自動分類のための決定木構築の方法及びシステムが提供されている。したがって、この説明は、例示的のみと解釈されるべきであり、本発明を実施する一般的な方法を当業者に教示することを目的とする。本明細書で示され、記載された本発明の形態は、現在の好ましい実施形態として受け取られるべきであることが理解される。本発明の本説明の恩恵を有した後で当業者には全て自明であるであろうように、本明細書に図示され、記載されているものの代わりの要素及び材料を用いてもよく、部品及びプロセスは、逆転させてもよく、本発明の特定の特長は、独立して利用してもよい。以下の特許請求の範囲に記載されるように、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本明細書に記載の要素に変更を加えてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8