【課題を解決するための手段】
【0027】
驚くべきことに、キラル化合物も包含して中でも、ブルー相を示し、式Gの1種類以上の化合物を含むメソゲン媒体で、許容可能な高い透明点を有するか、および/または、温度および/またはUV負荷、特に後者に対する電圧保持率の安定性が更に高い媒体を実現できることが見出された。
【0028】
【化13】
L
01およびL
02は、互いに独立に、HまたはFであり、好ましくは、L
01はFであり、および/または、L
02はFであり、
X
0は、F、CF
3またはCN、好ましくはCF
3またはCN、最も好ましくはCNであり、
R
0はアルキルで、該アルキルは直鎖状または分岐状で、無置換であるか、F、ClまたはCN、好ましくはFで一置換または多置換されており、ただし、1個以上のCH
2基は、それぞれの場合で互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、−NR
01−、−SiR
01R
02−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY
01=CY
02−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
Y
01およびY
02は、それぞれ互いに独立に、F、ClまたはCNであるか、あるいは、それらの一方はHでもよく、および
R
01およびR
02は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルである。
【0029】
同時に、得られる媒体は、高い値の積(Δε×Δn)、好適に低い粘度および深部温度での良好な安定性を特徴とする。
【0030】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式G−1〜G−3の群から選択される1種類以上の化合物を含む。
【0031】
【化14】
式中、パラメータは、上で式Gにおいて与えられる意味を有し、R
0は、好ましくは、n−アルキル、最も好ましくは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0032】
好ましくは、本発明によるメソゲン媒体は、式EおよびHの群から選択される1種類以上の化合物を追加的に含む。
【0033】
【化15】
式中、
L
01〜L
03は、互いに独立に、HまたはFであり、好ましくは、L
01はFであり、および/または、L
02はFであり、
Z
0は、−COO−または−CF
2O−であり、
R
0は、直鎖状または分岐状のアルキルで、無置換またはF、ClまたはCN、好ましくはFで一置換もしくは多置換されており、1個以上のCH
2基は、それぞれの場合で互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、−NR
01−、−SiR
01R
02−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY
01=CY
02−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
Y
01およびY
02は、互いに独立に、F、ClまたはCNであり、あるいは代わりに、これらの一方はHでもよく、および
R
01およびR
02は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルである。
【0034】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式E−Iの1種類以上の化合物を含む。
【0035】
【化16】
式中、R
0は、上で式Eに与える意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0036】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、サブ式E−I−1〜E−I−4、好ましくは式E−I−1の化合物の群から選択される式E−Iの1種類以上の化合物を含む。
【0037】
【化17】
式中、R
0は、上で式E−Iに与える意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0038】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、サブ式E−I−1a〜E−I−1c、好ましくは式E−I−1cの化合物の群から好ましくは選択される式E−I−1の1種類以上の化合物を含む。
【0039】
【化18】
式中、R
0は、上で式E−I−1に与える意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0040】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、サブ式E−I−2a〜E−I−2c、好ましくは式E−I−2cの化合物の群から好ましくは選択される式E−I−2の1種類以上の化合物を含む。
【0041】
【化19】
式中、R
0は、上で式E−I−2に与える意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0042】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、サブ式E−I−3a〜E−I−3c、好ましくは式E−I−3cの化合物の群から好ましくは選択される式E−I−3の1種類以上の化合物を含む。
【0043】
【化20】
式中、R
0は、上で式E−I−3に与える意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0044】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、サブ式E−I−4a〜E−I−4c、好ましくは式E−I−4cの化合物の群から好ましくは選択される式E−I−4の1種類以上の化合物を含む。
【0045】
【化21】
式中、R
0は、上で式E−I−4に与える意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0046】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式E−IIの1種類以上の化合物を含む。
【0047】
【化22】
式中、R
0は、上で式Eに与える意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0048】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、サブ式E−II−1〜E−II−4、好ましくは式E−II−3の化合物の群から選択される式E−IIの1種類以上の化合物を含む。
【0049】
【化23】
式中、R
0は、上で式E−IIに与える意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0050】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、サブ式E−II−1a〜E−II−1c、好ましくは式E−II−1bの化合物の群から好ましくは選択される式E−II−1の1種類以上の化合物を含む。
【0051】
【化24】
式中、R
0は、上で式E−II−1に与える意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0052】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、サブ式E−II−2a〜E−II−2c、好ましくは式E−II−2bの化合物の群から好ましくは選択される式E−II−2の1種類以上の化合物を含む。
【0053】
【化25】
式中、R
0は、上で式E−II−2に与える意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0054】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、サブ式E−II−3a〜E−II−3c、好ましくは式E−II−3bの化合物の群から好ましくは選択される式E−II−3の1種類以上の化合物を含む。
【0055】
【化26】
式中、R
0は、上で式E−II−3に与える意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、サブ式E−II−4a〜E−II−4c、好ましくは式E−II−4bの化合物の群から好ましくは選択される式E−II−4の1種類以上の化合物を含む。
【0057】
【化27】
式中、R
0は、上で式E−II−4に与える意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0058】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式H−Iの1種類以上の化合物を含む。
【0059】
【化28】
式中、R
0は、上で式Hに与える意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0060】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式H−I−1の1種類以上の化合物を含む。
【0061】
【化29】
式中、R
0は、上で式Hに与える意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくは、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0062】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式M−IおよびM−IIの化合物の群から選択される1種類以上の化合物を含む。
【0063】
【化30】
式中、
L
0は、HまたはF、好ましくはFであり、
R
0は、直鎖状または分岐状のアルキルで、無置換またはF、ClまたはCN、好ましくはFで一置換もしくは多置換されており、1個以上のCH
2基は、それぞれの場合で互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、−NR
01−、−SiR
01R
02−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY
01=CY
02−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
Y
01およびY
02は、互いに独立に、F、ClまたはCNであり、あるいは代わりに、これらの一方はHでもよく、
R
01およびR
02は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルである。
【0064】
本発明の更に好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式M−Iで、好ましくは式M−Iのサブ式M−I−1およびM−I−2の化合物の群より選択され、好ましくは式M−I−2の1種類以上の化合物を含む。
【0065】
【化31】
式中、R
0は上で式M−Iにおいて与えられる意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくはエチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0066】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式M−I−1で、好ましくは式M−I−1のサブ式M−I−1a〜M−I−1cの化合物の群より選択され、好ましくは式M−I−1aおよび/またはM−I−1b、好ましくは式M−I−1bの1種類以上の化合物を含む。
【0067】
【化32】
式中、R
0は上で式M−I−1において与えられる意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくはエチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0068】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式M−I−2で、好ましくは式M−I−2のサブ式M−I−2a〜M−I−2cの化合物の群より選択され、好ましくは式M−I−2aおよび/またはM−I−2b、好ましくは式M−I−2bの1種類以上の化合物を含む。
【0069】
【化33】
式中、R
0は、上で式M−I−2において与えられる意味を有する。
【0070】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式M−IIで、好ましくは式M−IIのサブ式M−II−1およびM−II−2の化合物の群より選択され、好ましくは式M−II−2の1種類以上の化合物を含む。
【0071】
【化34】
式中、R
0は上で式M−IIにおいて与えられる意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくはエチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0072】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式M−II−1で、好ましくは式M−II−1のサブ式M−II−1a〜M−II−1cの化合物の群より選択され、好ましくは式M−II−1aおよび/またはM−II−1b、好ましくは式M−II−1bの1種類以上の化合物を含む。
【0073】
【化35】
式中、R
0は、上で式M−II−1において与えられる意味を有する。
【0074】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式M−II−2で、好ましくは式M−II−2のサブ式M−II−2a〜M−II−2cの化合物の群より選択され、好ましくは式M−II−2aおよび/またはM−II−2b、好ましくは式M−II−2bの1種類以上の化合物を含む。
【0075】
【化36】
式中、R
0は、上で式M−II−2において与えられる意味を有する。
【0076】
更に、式M−Iおよび/またはM−II、または、それらのそれぞれの好ましいサブ式の1種類の化合物または複数種類の化合物に加え、式IおよびIIの化合物の群より選択される1種類以上の化合物を含むメソゲン媒体で、キラル化合物も包含して中でも、許容可能な高い透明点、および/または、温度および/またはUV負荷、特に後者に対する電圧保持率の更に高い安定性を実現できることが見出された。
【0077】
【化37】
式中、
L
1はHまたはF、好ましくはFであり、
L
21〜L
23は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、好ましくは、L
21およびL
22の両者がFであるか、および/または、L
23がFであり、
R
1およびR
2は、それぞれ互いに独立にアルキルで、該アルキルは直鎖状または分岐状で、好ましくは1〜20個のC原子を有しており、無置換であるか、F、ClまたはCN、好ましくはFで一置換または多置換されており、ただし、1個以上のCH
2基は、それぞれの場合で互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、−NR
01−、−SiR
01R
02−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY
01=CY
01−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、好ましくは、1〜9個のC原子、好ましくは2〜5個のC原子を有するn−アルキル、n−アルコキシ、2〜9個のC原子、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキル、または、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニルまたはハロゲン化アルコキシ、好ましくは、一フッ化、二フッ化またはオリゴフッ化アルキル、アルケニルまたはアルコキシ、特に好ましくはn−アルキル、n−アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキルであり、
Y
01およびY
02は、それぞれ互いに独立に、F、ClまたはCNであるか、あるいは、それらの一方はHでもよく、
R
01およびR
02は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルである。
【0078】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、式IIIの1種類以上の化合物を追加的に含む。
【0079】
【化38】
式中、
R
3は、上で式IにおいてR
1に与えられる意味の1つを有する。
【0080】
好ましくは、本発明による媒体は、式IVおよびVの化合物の群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含む。
【0081】
【化39】
式中、
R
4およびR
5は、それぞれ互いに独立にアルキルで、該アルキルは直鎖状または分岐状で、好ましくは1〜20個のC原子を有しており、無置換であるか、F、ClまたはCN、好ましくはFで一置換または多置換されており、ただし、1個以上のCH
2基は、それぞれの場合で互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、好ましくは、1〜9個のC原子、好ましくは2〜5個のC原子を有するn−アルキル、n−アルコキシ、2〜9個のC原子、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキル、最も好ましくは、n−アルキル、n−アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキルであり、
L
5はHまたはF、好ましくはFであり、
【0082】
【化40】
nおよびmは、互いに独立に0または1であり、好ましくは、mは1である。
【0083】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式Iで、好ましくは式Iのサブ式I−1およびI−2の化合物の群より選択され、好ましくは式I−2の1種類以上の化合物を含む。
【0084】
【化41】
式中、R
1は上で式Iにおいて与えられる意味を有し、好ましくはn−アルキル、最も好ましくはエチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルである。
【0085】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式IIIの1種類以上の化合物、好ましくは、R
2が上で式IIIにおいて与えられる意味を有し、より好ましくはn−アルキル、より好ましくはエチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシル、最も好ましくはn−ブチルである化合物を含む。
【0086】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式IIで、好ましくは式IIのサブ式II−1〜II−8の化合物の群より選択され、好ましくは式II−1〜II−4、最も好ましくは式II−3の1種類以上の化合物を含む。
【0087】
【化42】
式中、R
2は上で式IIにおいて与えられる意味を有し、好ましくは、n−ブチルまたはn−ペンチルである。
【0088】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式IVで、好ましくは式IVのサブ式IV−1〜IV−4の化合物の群より選択され、好ましくは式IV−2の1種類以上の化合物を含む。
【0089】
【化43】
式中、R
4は上で式IVにおいて与えられる意味を有する。
【0090】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、式Vで、好ましくは式Vのサブ式V−1およびV−2の化合物の群より選択される1種類以上の化合物、好ましくは、式V−1の1種類以上の化合物と、式V−2の1種類以上の化合物とを含む。
【0091】
【化44】
式中、R
5は、上で式Vにおいて与えられる意味を有する。
【0092】
本出願において、アルキルまたはアルコキシ基、即ち、末端CH
2基が−O−で置き換えられているアルキルは、直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。それは、好ましくは、直鎖状で、1、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有しており、従って、好ましくは、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、またはオクトキシであり、更には、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0093】
オキサアルキル、即ち、1つの非末端のCH
2基が−O−で置き換えられているアルキル基は、好ましくは、例えば、直鎖状の2−オキサプロピル(即ちメトキシメチル)、2−(即ちエトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち2−メトキシエチル)、2−、3−、または4−オキサペンチル、2−、3−、4−、または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルまたは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0094】
アルケニル基、即ち、1つ以上のCH
2基が−CH=CH−で置き換えられたアルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。それは、好ましくは、直鎖状で、2〜10個の炭素原子を有し、従って、好ましくは、ビニル、プロパ−1−、またはプロパ−2−エチル、ブタ−1−、2−またはブタ−3−エニル、ペンタ−1−、2−、3−またはペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、2−、3−、4−またはヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、2−、3−、4−、5−またはヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、2−、3−、4−、5−、6−またはオクタ−7−エニル、ノナ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−またはノナ−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−またはデカ−9−エニルである。
【0095】
特に好ましいアルケニル基は、C
2−C
7−1E−アルケニル、C
4−C
7−3E−アルケニル、C
5−C
7−4−アルケニル、C
6−C
7−5−アルケニルおよびC
7−6−アルケニルであり、特に、C
2−C
7−1E−アルケニル、C
4−C
7−3E−アルケニルおよびC
5−C
7−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。C原子の数が5個までの基が、一般に好ましい。
【0096】
1つのCH
2基が−O−基で置き換えられており、1つが−CO−で置き換えられているアルキル基の中では、これらの基は隣接していることが好ましい。よって、これらの基は、カルボニルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を共に形成する。好ましくは、そのようなアルキル基は直鎖状で、2〜6個のC原子を有する。
【0097】
従って、それらは、好ましくは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、または4−(メトキシカルボニル)ブチルである。
【0098】
2つ以上のCH
2基が−O−および/または−COO−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状でも分岐状でも構わない。それは、好ましくは、直鎖状で3〜12個のC原子を有する。従って、それは、好ましくは、ビス−カルボキシ−メチル、2,2−ビス−カルボキシ−エチル、3,3−ビス−カルボキシ−プロピル、4,4−ビス−カルボキシ−ブチル、5,5−ビス−カルボキシ−ペンチル、6,6−ビス−カルボキシ−ヘキシル、7,7−ビス−カルボキシ−ヘプチル、8,8−ビス−カルボキシ−オクチル、9,9−ビス−カルボキシ−ノニル、10,10−ビス−カルボキシ−デシル、ビス−(メトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(メトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(メトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(メトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(メトキシカルボニル)−ペンチル、6,6−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘキシル、7,7−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘプチル、8,8−ビス−(メトキシカルボニル)−オクチル、ビス−(エトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(エトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(エトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(エトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(エトキシカルボニル)−ヘキシルである。
【0099】
CNまたはCF
3によって一置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは直鎖状である。CNまたはCF
3による置換は所望の位置でよい。
【0100】
ハロゲンによって少なくとも一置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは直鎖状である。ハロゲンは好ましくはFまたはClであり、多置換の場合、好ましくはFである。得られる基は、ペルフルオロ化された基も含む。一置換の場合、FまたはCl置換は何れの所望の箇所でも構わないが、好ましくはω−位である。末端F置換の直鎖状基の特に好ましい例は、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルである。しかしながら、Fの他の位置が除外されている訳ではない。
【0101】
ハロゲンはF、Cl、BrおよびIを意味し、好ましくはFまたはClで、最も好ましくはFである。
【0102】
R
1、R
5、R、R’およびR”のそれぞれは、極性でも非極性基でも構わない。極性基の場合、それは、好ましくは、CN、SF
5、ハロゲン、OCH
3、SCN、COR
5、COOR
5またはモノ、オリゴまたはポリフッ化された1〜4個のC原子のアルキルまたはアルコキシ基より選ばれる。R
5は、1〜4個のC原子、好ましくは1〜3個のC原子のフッ化されたアルキルでよい。特に好ましい極性基は、F、Cl、CN、OCH
3、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、CHF
2、CH
2F、OCF
3、OCHF
2、OCH
2F、C
2F
5およびOC
2F
5から選ばれ、特に、F、Cl、CN、CF
3、OCHF
2およびOCF
3である。非極性基の場合、それは、好ましくは、15個までのC原子のアルキルまたは2〜15個のC原子のアルコキシである。
【0103】
R
1〜R
5のそれぞれは、アキラルまたはキラル基でよい。キラル基の場合、それは、好ましくは、式I
*である。
【0104】
【化45】
式中、
Q
1は、1〜9個のC原子のアルキレンまたはアルキレン−オキシ基または単結合であり、
Q
2は、1〜10個のC原子のアルキルまたはアルコキシ基で、無置換またはF、Cl、BrまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、酸素原子が互いに直接結合しないように、1つ以上の隣接していないCH
2基を、それぞれ互いに独立に、−C≡C−、−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−または−CO−S−で置き換えることもでき、
Q
3は、F、Cl、Br、CNまたはQ
2で定義されるアルキルまたはアルコキシ基であるがQ
2とは異なる。
【0105】
式I
*のQ
1がアルキレン−オキシ基の場合、O原子は、好ましくは、キラルC原子に隣接している。
【0106】
式I
*の好ましいキラル基は、2−アルキル、2−アルコキシ、2−メチルアルキル、2−メチルアルコキシ、2−フルオロアルキル、2−フルオロアルコキシ、2−(2−エチン)−アルキル、2−(2−エチン)−アルコキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−アルキルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−アルコキシである。
【0107】
特に好ましいキラル基I
*は、例えば、2−ブチル(即ち、1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、特には、2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロロプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチルバレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、2−フルオロメチルオクチルオキシである。非常に好ましくは、2−ヘキシル、2−オクチル、2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシル、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシである。
【0108】
加えて、例えば、結晶化する傾向が低減されるため、アキラルな分岐したアルキル基を含む化合物はしばしば重要な場合がある。このタイプの分岐した基は、一般に、1つより多くは鎖の枝を含んでいない。好ましいアキラルな分岐した基は、イソプロピル、イソブチル(即ち、メチルプロピル)、イソペンチル(即ち、3−メチルブチル)、イソプロポキシ、2−メチル−プロポキシおよび3−メチルブトキシである。
【0109】
好ましくは、本発明による液晶媒体は、1個または2個以上の反応性基(それぞれ、重合性基である。)をそれぞれ含む1種類以上の反応性化合物(それぞれ、重合性化合物である。)を含む。マトリクスまたはネットワークの形態を有していてもよいポリマーを形成することで、メソゲン材料は、好ましくは、ブルー相において安定化されるので、本発明による液晶媒体が、好ましくは、1種類以上の反応性化合物を含むことは明らかである。
【0110】
ディスプレイ用途で使用するには、それ自身が純粋なブルー相(BP:blue phase)を示す典型的な材料の温度範囲は、一般に、十分には広くない。そのような材料は、典型的には、ある程度の小さな温度範囲のみ、例えば約3〜4℃の幅でブルー相を有する。よって、そのような材料をディスプレイなどの実用的な用途に適するようにするには、ブルー相の温度範囲を広げる追加の安定化が必要となる。
【0111】
ポリマーを形成してブルー相を安定化するには、配合されたブルー相ホスト混合物を、適切なキラルドーパント(1種類以上の適切なキラル化合物)と、1種類以上の反応性化合物、好ましくは、反応性メソゲン化合物(RM:reactive mesogen)と好適に混合する。結果として生じる混合物をLCセル、即ち、それぞれのディスプレイパネルに充填する。次いで、混合物がブルー相となる特定の温度にLCセル/パネルを保持し、例えば、特定の温度でブルー相を観察できるまでLCセル/パネルを加熱または冷却する。重合工程全体の間、この温度を維持する。典型的には、重合工程は、典型的には中圧水銀蒸気ランプのUV照射で制御される。標準的な条件は、例えば、380nmの波長で180秒間3mW/cm
2を使用する。LC材料への損傷を回避するために、適切な光学フィルターを追加して使用できる。
【0112】
以下に、得られるポリマー安定化ブルー相(BP:blue phase)を安定化するための基準を簡単に説明する。
【0113】
ポリマー安定化の優れた品位を確保することは、ディスプレイ用途においてPS−BPを使用する上で極めて重要である。ポリマー安定化の品位は、いくつかの基準で判断される。光学的な検査により、良好な重合が保証される。試験用セル/パネル中に観察される欠陥および/または曇りは、いずれも、準最適なポリマー安定化の指標である。種々の負荷/ストレス条件下における電気光学的な検査により、PS−BPの長期的な安定性が保証される。典型的なディスプレイのパラメータは、いわゆるメモリ効果(ME:memory effect)である。メモリ効果は、1回以上のスイッチ・サイクルを実行後に残存透過を正規化した測定として、スイッチオンについてのコントラスト比と、スイッチオフについてのコントラスト比との比として定義される。このメモリ効果の値が1.0であることが、優れたポリマー安定化の指標である。このメモリ効果の値が1.1以上であることは、ブルー相の安定化が不十分であることを示す。
【0114】
本発明は、更に、式IおよびIIおよび任意にIIIの化合物の群より選択される1種類以上の化合物と、キラルドーパントと、式Pの1種類以上の化合物とを含むLC媒体に関する。
【0115】
【化46】
式中、個々の基は以下の意味を有する:
P
a、P
bは、それぞれ互いに独立に、重合性基を表し、
Sp
a、Sp
bは、それぞれ互いに独立に、スペーサー基を表し、
s1、s2は、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、
n1、n2は、それぞれ互いに独立に、0または1、好ましくは0を表し、
Q
1は、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−(CO)O−、−O(CO)−、−(CH
2)
4−、−CH
2CH
2−、−CF
2−CF
2−、−CF
2−CH
2−、−CH
2−CF
2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−(CH
2)
3O−、−O(CH
2)
3−、−CH=CF−、−C≡C−、−O−、−CH
2−、−(CH
2)
3−、−CF
2−、好ましくは−CF
2O−を表し、
Z
61、Z
62、Z
1、Z
4は、単結合、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−(CO)O−、−O(CO)−、−(CH
2)
4−、−CH
2CH
2−、−CF
2−CF
2−、−CF
2−CH
2−、−CH
2−CF
2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−(CH
2)
3O−、−O(CH
2)
3−、−CH=CF−、−C≡C−、−O−、−CH
2−、−(CH
2)
3−、−CF
2−、ただし、Z
1およびQ
1またはZ
2およびQ
1は、同時には、−CF
2O−および−OCF
2−より選択される基を表さず、
A
1、A
2、A
3、A
4は、それぞれ互いに独立に、以下の群より選択される2価基を表し:
a)トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレンおよび1,4’−ビシクロヘキシレンから成る群(ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はFで置き換えられていてもよい。)、
b)1,4−フェニレンおよび1,3−フェニレンから成る群(ただし加えて、1個または2個のCH基はNで置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はLで置き換えられていてもよい。)、
c)テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、テトラヒドロフラン−2,5−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、チオフェン−2,5−ジイルおよびセレノフェン−2,5−ジイルから成る群(また、それぞれの基は、Lで一置換または多置換されていてもよい。)、
d)飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和で、置換されていてもよく、5〜20個の環C原子を有する多環式基(加えて、1個以上の該基は、ヘテロ原子で置き換えられていてもよい。)から成る群であって、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、
【0116】
【化47】
からなる群(ただし加えて、これらの基における1個以上のH原子はLで置き換えられていてもよく、および/または、1個以上の二重結合は単結合で置き換えられていてもよく、および/または、1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよい。)より選択され、
Lは、それぞれの出現において同一または異なって、F、Cl、CN、SCN、SF
5、または、直鎖状または分岐状で、それぞれの場合でフッ素化されていてもよく、1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを表し、
R
0、R
00は、それぞれ互いに独立に、H、F、または、直鎖状または分岐状で1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個以上のH原子はFで置き換えられていても良く、
Mは、−O−、−S−、−CH
2−、−CHY
1−または−CY
1Y
2−を表し、および
Y
1およびY
2は、それぞれ互いに独立に、R
0に対して上で示される意味の1つを有するか、または、ClまたはCNを表すか、あるいは、基Y
1およびY
2の一方は、−OCF
3、好ましくは、H、F、Cl、CNまたはCF
3を表す。
【0117】
その上、本発明は、式Pの1種類以上の化合物を単独で、または、それぞれの混合物からの1種類以上の更なる重合性化合物と組み合わせて重合することで得ることができるポリマー安定化システムと、そのような安定化されたシステムを、ブルー相を有する電気光学的ディスプレイにおいて使用することとに関する。
【0118】
本発明により好ましく使用される式Pの化合物は、以下の式から成る群より選択される。
【0119】
【化48】
【0120】
【化49】
【0121】
【化50】
式中、Lは、それぞれの出現において同一または異なって、上および下で示される意味の1つを有し、rは、0、1、2、3または4を表し、sは、0、1、2または3を表し、nは、1および24の間、好ましくは1および12の間、非常に特に好ましくは2および8の間の整数を表し、ただし、単結合または二重結合の末端において基が述べられていない場合、それは、末端CH
3またはCH
2基である。
【0122】
式P1〜P24において、
【0123】
【化51】
は、好ましくは、以下の式から成る群より選択される基を表す。
【0124】
【化52】
特に好ましくは、
【0125】
【化53】
である。
【0126】
基A
2−Q−A
3は、好ましくは、下式の基を表す。
【0127】
【化54】
式中、少なくとも1個の環は、少なくとも1個の基L、即ち、Fで置換されており、ここでは、rは、それぞれの場合で独立に、好ましくは、0、1または2である。
【0128】
式Pおよびそれのサブ式の化合物におけるP
aおよびP
bは、好ましくは、アクリレートまたはメタクリレート、更には、フルオロアクリレートを表す。式Iおよびそれのサブ式の化合物におけるSp
aおよびSp
bは、好ましくは、−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−、−(CH
2)
p1−O−CO−および−(CH
2)
p1−O−CO−O−およびそれらの鏡像から成る群より選択される基を表し、式中、p1は、1〜12、好ましくは、1〜6からの整数、特に好ましくは、1、2または3を表し、ただし、これらの基は、O原子が直接隣り合わないようにして、P
aまたはP
bに連結されている。
【0129】
式Pの化合物の中でも、以下のものが特に好ましい。
【0130】
・基P
aおよびP
bは、ビニルオキシ、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、クロロアクリレート、オキセタンおよびエポキシド基から成る群より選択され、特に好ましくは、アクリレートまたはメタクリレート基である。
【0131】
・基Sp
aおよびSp
bは、−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−、−(CH
2)
p1−O−CO−および−(CH
2)
p1−O−CO−O−およびそれらの鏡像体から成る群より選択され、式中、p1は1〜12、好ましくは1〜6の整数、特に好ましくは、1、2または3を表し、ただし、これらの基は、O原子が直接隣接しないようにしてP
aまたはP
bに連結されている。
【0132】
本発明の好ましい実施形態により好ましく使用される式Pの化合物は、正確に2個の環、好ましくは6員環を含むもの(n1=n2=0)である。以下の式の化合物の群より選択される化合物が特に好ましい。
【0133】
【化55】
【0134】
【化56】
式中、P
a、P
b、Sp
a、Sp
b、s1およびs2は、上で式Pにおいて定義される通りで、好ましくは、Sp
a/bはアルキレン−(CH
2)
n−(式中、nは、好ましくは、3、4、5、6または7である。)であり、P
a/bはメタクリレート部分構造またはアクリレート部分構造である。式Pa、Pb、Pc、Pd、Pe、Pf、Pg、PhおよびPiの群より選択される化合物、特に式Paの化合物の使用が特に好ましい。
【0135】
部分構造「A
2−Q
1−A
3」は、好ましくは、下式の部分構造である。
【0136】
【化57】
式中、好ましくは、2個のフェニレン環の少なくとも一方は、Hと異なる少なくとも1個のLで置換されており、式中、rは、それぞれの環に対して独立で、好ましくは、rは、それぞれの環に対して、0、1または2である。
【0137】
式Pならびにそれのそれぞれのサブ式の化合物については、好ましくは、
P
aおよびP
bは、それぞれ互いに独立に、アクリレートまたはメタクリレートであるが、また、フルオロアクリレートでもあり、
Sp
aおよびSp
bは、それぞれ互いに独立に、−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−、−O−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−CO−、−CO−O−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−CO−O−または−(CH
2)
p1−O−CO−O−であり、式中、p1は1〜12、好ましくは1〜6の整数、特に好ましくは、1、2または3であり、ただし、これらの部分構造は、O原子が互いに直接連結しないようにしてP
aまたはP
bと連結されている。
【0138】
以下の式Pの化合物の使用が特に好ましい。
【0139】
・P
aおよびP
bは、ビニルオキシ、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、クロロアクリレート、オキセタンまたはエポキシ基、特に好ましくは、アクリレートまたはメタクリレートである。
【0140】
・Sp
aおよびSp
bは、−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−、−O−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−CO−、−CO−O−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−CO−O−または−(CH
2)
p1−O−CO−O−であり、式中、p1は1〜12、好ましくは1〜6の整数、特に好ましくは、1、2または3であり、ただし、これらの部分構造は、O原子が互いに直接連結しないようにしてP
aまたはP
bと連結されている。
【0141】
本発明によるポリマー安定化ディスプレイを製造するために、電圧を印加しながらLCディスプレイの基板間のLC媒体中において、重合性化合物をその場での重合により重合または架橋(1つの化合物が2個以上の重合性基を含有する場合)する。重合は1つの工程で行うことができる。材料、即ち、キラル化合物およびポリマー前駆体を含むメソゲン混合物がブルー相である温度において、重合を行うことが好ましい。
【0142】
適切で好ましい重合方法は、例えば、熱または光重合で、好ましくは光重合であり、特にはUV光重合である。また、ここに1種類以上の開始剤を加えることもできる。重合の適切な条件および開始剤の適切なタイプおよび量は当業者に既知であり、文献に記載されている。例えば、商業的に入手可能な光開始剤Irgacure651(登録商標)、Irgacure184(登録商標)、Irgacure907(登録商標)、Irgacure369(登録商標)またはDarocure1173(登録商標)(Ciba社)がフリーラジカル重合に適する。開始剤を使用する場合、開始剤の比率は、好ましくは0.001〜5重量%、特に好ましくは0.001〜1重量%である。
【0143】
また、本発明による重合性化合物は開始剤を使用しない重合にも適し、このことは、例えば、材料費がより低く、特に、開始剤またはそれの分解生成物の残存し得る量によるLC媒体の汚染が少ないなどの特筆すべき利点を伴う。よって、開始剤を添加することなく重合を行うこともできる。よって、好ましい実施形態において、LC媒体は重合開始剤を含まない。
【0144】
また、例えば、保存または輸送中におけるRMの好ましくない自発的な重合を防止するために、重合性成分またはLC媒体は1種類以上の安定剤を含んでも構わない。安定剤の適切なタイプおよび量は当業者に既知であり、文献に記載されている。例えば、Irganox(登録商標)シリーズ(Ciba社)からの商業的に入手可能な安定剤、例えば、Irganox(登録商標)1076などが特に適切である。安定剤を使用する場合、安定剤の割合は、RMまたは重合性成分の総量を基礎として、好ましくは10〜10,000ppmの範囲内、特に好ましくは50〜2,000ppmの範囲内、最も好ましくは0.2%または約0.2%である。
【0145】
本発明により好ましく使用される式Pの重合性化合物は個別に重合できるが、また、2種類以上の本発明による重合性化合物を含む混合物、または、1種類以上の本発明による重合性化合物と、1種類以上の更なる重合性化合物(コモノマー)とを含む混合物を重合することも可能であり、コモノマーは、好ましくは、メソゲン性または液晶性である。そのような混合物を重合する場合、コポリマーが形成される。2種類以上の本発明による化合物の混合物、または、1種類以上の本発明による化合物と、1種類以上の更なる重合性化合物とを含む混合物が好ましくは使用される。本発明は、更に、上述および下述の重合性混合物に関する。重合性化合物およびコモノマーはメソゲン性または非メソゲン性であり、好ましくは、メソゲン性または液晶性である。
【0146】
本発明によるポリマー安定化ディスプレイ用のポリマー前駆体における使用に適切で好ましいコモノマーは、例えば、以下の式より選択される。
【0147】
【化58】
【0148】
【化59】
【0149】
【化60】
【0150】
【化61】
式中、パラメータは以下の意味を有する:
P
1およびP
2は、それぞれ互いに独立に、好ましくは、P
aに対して、上および下で与えられる意味の1つを有する重合性基であり、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、オキセタン、ビニルオキシまたはエポキシ基が特に好ましく、
Sp
1およびSp
2は、それぞれ互いに独立に、単結合またはスペーサー(好ましくは、Sp
aに対して、上および下で与えられる意味の1つを有する。)であり、−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−、−(CH
2)
p1−CO−O−または−(CH
2)
p1−O−CO−O−が特に好ましく、式中、p1は1〜12の整数であり、ただし、最後に述べた基は、O原子を介して隣接する環に連結しており、
ただし、あるいは、また、化合物に存在するP
1−Sp
1−およびP
2−Sp
2−の少なくとも1つがR
aaでないことを条件として、1個以上のP
1−Sp
1−およびP
2−Sp
2−はR
aaでもよく、
R
aaは、H、F、Cl、CN、または、1〜25個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル(ただし、1個以上の隣接していないCH
2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、それぞれ互いに独立に、C(R
0)=C(R
00)−、−C≡C−、−N(R
0)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし、また、1個以上のH原子は、F、Cl、CNまたはP
1−Sp
1−で置き換えられていてもよい。)であり、直鎖状または分岐状で一フッ素化または多フッ素化されていてもよく1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルオキシ(ただし、アルケニルおよびアルキニル基は少なくとも2個のC原子を有し、分岐状の基は少なくとも3個のC原子を有する。)が特に好ましく、
R
0、R
00は、それぞれの出現において互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルであり、
R
yおよびR
zは、それぞれ互いに独立に、H、F、CH
3またはCF
3であり、
Z
1は、−O−、−CO−、−C(R
yR
z)−または−CF
2CF
2−であり、
Z
2およびZ
3は、それぞれ互いに独立に、−CO−O−、−O−CO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−または−(CH
2)
n−であり、ただし、nは、2、3または4であり、
Lは、それぞれの出現において互いに独立に、F、Cl、CN、SCN、SF
5、または、直鎖状または分岐状で一フッ素化または多フッ素化されていてもよく1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、好ましくは、Fであり、
L’およびL”は、それぞれ互いに独立に、H、FまたはClであり、
rは、0、1、2、3または4であり、
sは、0、1、2または3であり、
tは、0、1または2であり、および
xは、0または1である。
【0151】
メソゲン媒体がブルー相である温度で動作可能であるか、および/または動作する本発明によるディスプレイにおいて使用するために適切で好ましいコモノマーは、例えば、一反応性化合物の群より選択され、一反応性化合物は、1〜9重量%、特に好ましくは4〜7重量%の範囲内の濃度で、ポリマー安定化システムの前駆体中に存在する。好ましい一反応性化合物は、1個以上のP
1−Sp
1−およびP
2−Sp
2−が基R
aaである式M1〜M29の化合物で、化合物は1個のみの反応性基を有する。
【0152】
特に好ましい一反応性化合物は、以下の式の化合物である。
【0153】
【化62】
式中、P
1、Sp
1およびR
aaは、それぞれ上で与えられる意味を有する。
【0154】
これらの中でも、下式の化合物が特に好ましい。
【0155】
【化63】
式中、
nは整数であり、好ましくは、1〜16、好ましくは2〜8の範囲内の偶数の整数であり、
mは、1〜15、好ましくは2〜7の範囲内の整数である。
【0156】
LC媒体またはそこに存在する重合性または重合された成分が、以下の式の1種類以上の化合物を含む上および下に記載される通りのLC媒体、LCディスプレイ、方法または使用が特に好ましい。
【0157】
【化64】
式中、P
a、P
b、Sp
a、Sp
b、s1、s2およびLは、上および下で示される意味を有し、rは、0、1、2、3または4を表し、Z
2およびZ
3は、それぞれ互いに独立に、−CF
2−O−または−O−CF
2−を表し、好ましくは、Z
2は−CF
2−O−であり、Z
3は−O−CF
2−であるか、または、その逆であり、最も好ましくは、Z
2は−CF
2−O−で、Z
3はis−O−CF
2−である。
【0158】
式Gの化合物は、専門家に既知の通常の方法により入手できる。例えば出発材料は以下のタイプの化合物でよく、それれは商業的に入手可能であるか、刊行された方法により入手できるかのいずいれかである。
【0159】
好ましくは、本発明による液晶媒体は、式Gの化合物を含み、好ましくは主にこれらからなり、最も好ましくは完全にこれらからなる成分Aを含有する。
【0160】
本出願における「含む」とは、組成の文意において、参照される存在物、例えば媒体または成分が、問題となっている1種類以上の化合物を、好ましくは10%以上の総濃度、最も好ましくは20%以上含有することを意味する。
【0161】
この文意において、「主に・・・からなる」とは、参照される存在物が、80%以上、好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の問題となっている1種類以上の化合物を含有することを意味する。
【0162】
この文意において、「完全に・・・からなる」とは、参照される存在物が、98%以上、好ましくは99%以上、最も好ましくは100.0%の問題となっている1種類以上の化合物を含有することを意味する。
【0163】
本出願による媒体に含有される本出願による化合物の濃度は、好ましくは0.5%以上〜70%以下の範囲であり、より好ましくは1%以上〜60%以下の範囲であり、最も好ましくは5%以上〜50%以下の範囲である。
【0164】
好ましい実施形態において、本発明によるメソゲン変調媒体は、
・式Gの1種類の化合物またはそれ以上の化合物(好ましくは1重量%〜40重量%の総濃度、より好ましくは1重量%〜30重量%の濃度、最も好ましくは、
・この場合、存在する1種類の化合物のそれぞれについて、1重量%〜20重量%の濃度)と、および/または
・式E−Iの1種類の化合物またはそれ以上の化合物(好ましくは1重量%〜40重量%の総濃度、より好ましくは1重量%〜30重量%の濃度、最も好ましくは、
・この場合、存在する1種類の化合物のそれぞれについて、1重量%〜20重量%の濃度)と、および/または
・式E−IIの1種類の化合物またはそれ以上の化合物(好ましくは1重量%〜25重量%の総濃度、より好ましくは1重量%〜10重量%の濃度、最も好ましくは、
・この場合、存在する1種類の化合物のそれぞれについて、1重量%〜15重量%の濃度)と、および/または
・式M−IおよびM−IIの化合物の群より選択される1種類の化合物またはそれ以上の化合物(好ましくは1重量%〜25重量%の総濃度、より好ましくは1重量%〜20重量%の濃度、最も好ましくは、
・この場合、存在する1種類の化合物のそれぞれについて、1重量%〜10重量%の濃度)と、および/または
・式IおよびIIの化合物の群より選択される1種類の化合物またはそれ以上の化合物(好ましくは、1重量%〜25重量%の濃度)と、および/または
・任意成分として、好ましくは必須成分として、式IVおよびVの化合物の群より選択される1種類以上の化合物と、および/または
・20μm
−1以上のHTPを有する1種類以上のキラル化合物(好ましくは、1重量%〜20重量%の濃度)と、および
・任意成分として、好ましくは必須成分として、反応性化合物を含み、好ましくは反応性メソゲン(これらは重合すると、ブルー相の相範囲を安定化できるか、好ましくは安定化し、および/または、電気光学的効果の温度依存性を低下できるか、好ましくは低下し、好ましくは5%以上〜15%以下、好ましくは7%以上〜12%以下、最も好ましくは8%以上〜11%以下の範囲内の濃度で)を含むポリマー前駆体と
を含む。
【0165】
本願において、他に明言しない限り、
・ホスト混合物の構成要素の濃度は、総ホスト混合物に対して、即ち、キラルドーパント(1種類または多種類)およびポリマー前駆体を除いて与えられ、
・キラルドーパント(1種類または多種類)の濃度は、キラルドーパント(1種類または多種類)を含むが、ポリマー前駆体を除く総ホスト混合物に対して与えられ、
・ポリマー前駆体およびそれの構成要素の濃度は、総ホスト混合物に対して、即ち、ホスト混合物、キラルドーパント(1種類または多種類)およびポリマー前駆体から成る混合物に対して与えられる。
【0166】
本発明の混合物は、好ましくは、式GおよびEおよび任意にHの化合物の群より選択される1種類以上の化合物を、好ましくは、40%以上〜80%以下、好ましくは45%以上〜75%以下、最も好ましくは50%以上〜70%以下の範囲内の総濃度で含む。
【0167】
本発明の混合物は、好ましくは、式IおよびIIおよび任意に式IIIの化合物の群より選択される1種類以上の化合物を、好ましくは、40%以上〜80%以下、好ましくは45%以上〜75%以下、最も好ましくは50%以上〜70%以下の範囲内の総濃度で含む。
【0168】
特に、本発明の混合物は、好ましくは、式Iの1種類以上の化合物を、40%以上〜80%以下、好ましくは45%以上〜75%以下、最も好ましくは50%以上〜70%以下の範囲内の総濃度で含む。
【0169】
この場合、本発明の混合物は式IIの1種類以上の化合物を含み、これらの化合物の総濃度は、好ましくは、1%以上〜15%以下、好ましくは2%以上〜10%以下、最も好ましくは4%以上〜8%以下の範囲内である。
【0170】
この場合、本発明の混合物は式IIIの1種類以上の化合物を含み、これらの化合物の総濃度は、好ましくは、1%以上〜20%以下、好ましくは2%以上〜15%以下、最も好ましくは3%以上〜10%以下の範囲内である。
【0171】
この場合、本発明の混合物は式IVの1種類以上の化合物を含み、これらの化合物の総濃度は、好ましくは、1%以上〜15%以下、好ましくは2%以上〜10%以下、最も好ましくは4%以上〜8%以下の範囲内である。
【0172】
この場合、本発明の混合物は式Vの1種類以上の化合物を含み、これらの化合物の総濃度は、好ましくは、5%以上〜45%以下、好ましくは15%以上〜40%以下、最も好ましくは25%以上〜35%以下の範囲内である。
【0173】
適切なキラル化合物は、20μm
−1以上、好ましくは40μm
−1以上、最も好ましくは60μm
−1以上の螺旋捩れ力の絶対値を有するものである。HTPは、20℃の温度において液晶媒体MLC−6260中で測定される。
【0174】
本発明によるメソゲン媒体は、好ましくは、メソゲン構造を有し、好ましくはそれ自身で1種類以上のメソフェーズ、特に少なくとも1つのコレステリック相を示す1種類以上のキラル化合物を含む。メソゲン媒体に含まれる好ましいキラル化合物は、とりわけ、コレステリル−ノナノエート(CN:cholesteryl−nonanoate)、R/S−811、R/S−1011、R/S−2011、R/S−3011、R/S−4011、R/S−5011、CB−15(メルク社、ダルムスタット市、ドイツ国)などの良く知られているキラルドーパント類である。好ましくは、1種類以上のキラル構造成分および1つ以上のメソゲン基を有するか、キラル構造成分と共にメソゲン基を構成する1種類以上の芳香族または脂環式構造成分を有するキラルドーパントである。より好ましくは、ドイツ国特許第34 25 503号、ドイツ国特許第35 34 777号、ドイツ国特許第35 34 778号、ドイツ国特許第35 34 779号、ドイツ国特許第35 34 780号、ドイツ国特許第43 42 280号、欧州特許第01 038 941号およびドイツ国特許第195 41 820号に開示されるキラル構造成分およびメソゲンキラル化合物であり、参照によりその開示が本出願に組み込まれる。特に好ましくは、欧州特許第01 111 954.2号に開示されるキラルビナフチル誘導体、国際特許出願公開第02/34739号公報に開示されるキラルビナフトール誘導体、国際特許出願公開第02/06265号公報に開示されるキラルTADDOL誘導体、ならびに、国際特許出願公開第02/06196号公報および国際特許出願公開第02/06195号公報に開示される、少なくとも1つのフッ素化されたリンカーおよび1つの末端キラル構造成分または中央キラル構造成分を有するキラルドーパントである。
【0175】
本発明のメソゲン媒体は、約−30℃〜約90℃の範囲、特には約70℃または更に80℃までの特性温度、好ましくは透明点を有する。
【0176】
本発明の混合物は、好ましくは、1種類以上(2種類、3種類、4種類以上)のキラル化合物を、それぞれ1〜25重量%、好ましくは2〜20重量%の範囲内で含有する。合計3〜15重量%の1種類以上のキラル化合物を含有する混合物が特に好ましい。
【0177】
好ましい実施形態を以下に示す:
・媒体は、1種類、2種類、3種類または4種類以上の式G、好ましくは式G−3の化合物を含む、および/または
・媒体は、1種類、2種類、3種類または4種類以上の式Eの化合物を含む、および/または
・媒体は、1種類、2種類、3種類または4種類以上の式Hの化合物を含む、および/または
・媒体は、1種類、2種類、3種類または4種類以上の式I、好ましくは式I−2の化合物を含む、および/または
・媒体は、1種類または2種類以上の式II、好ましくは式II−3の化合物を含む、および/または
・媒体は、1種類以上の式IIIの化合物を含む、および/または
・媒体は、1種類または2種類以上の式IV、好ましくは式IV−2の化合物を含む、および/または
・媒体は、1種類、2種類または3種類以上の式Vの化合物を含む、および/または
・媒体は、1種類、2種類または3種類以上の、好ましくは20μm
−1以上の螺旋捩れ力を有するキラル化合物を含む、および/または
・媒体は、1種類または2種類以上の反応性化合物、好ましくは、1種類または2種類以上の反応性メソゲン化合物(好ましくは式P、好ましくは1種類以上の式Pのサブ式)と、および/または、式M1〜M29の群より選択され、好ましくは式M16−Aおよび/またはM17−A、より好ましくは式M17−A’の1種類以上の反応性メソゲン化合物とを含む。
【0178】
式Gの化合物を比較的少量の割合で、従来の液晶材料、しかしながら特に、式E、H、M、N、I、IIおよびIIIおよび/またはIVおよび/またはVの1種類以上の化合物と混合することで、作動電圧を低下させ、作動温度範囲を広げることが見出された。特に好ましくは、式Iの1種類以上の化合物に加え、式IIIの化合物を1種類以上含む混合物であり、特に、R
3がn−ブチルである式IIIの化合物である。
【0179】
式G、E、H、M、NおよびI〜Vの化合物は、無色で、安定であり、お互いにおよび他の液晶材料と容易に混和する。
【0180】
式G、E、H、M、NおよびIおよびIIおよびIIIの化合物の最適な混合比は、実質的に、所望の特性、式G、E、H、M、NおよびI、IIおよび/またはIIIおよび/またはIVおよび/またはVの化合物の選択、および存在してもよい他の化合物の選択に依存する。上で与えられる範囲内の適切な混合比は、場合に応じて容易に決定できる。
【0181】
多くの場合、本発明による混合物における式G、E、H、M、NおよびIおよびIIおよび任意成分としてIIIおよび/またはIVおよび/またはVの化合物の総量は、重要ではない。したがって、混合物は、各種の特性を最適化する目的で更に1種類以上の成分を含むことができる。しかしながら、式E、H、M、NおよびIおよびIIおよび任意成分としてIIIおよび/またはIVおよび/またはVの化合物の総濃度が高くなると、作動電圧および作動温度範囲において観測される効果が一般に大きくなる。
【0182】
特に好ましい実施形態において、本発明による媒体は、式GおよびEおよび/またはHおよびM−Iおよび/またはM−IIおよび/または式IおよびIIおよび任意成分としてIIIおよび/またはIVおよび/またはVの、それぞれ1種類以上の化合物を含む。式Iの化合物との好ましい相乗効果のため、特に優れた特性となる。特に、式Iおよび式IIおよび/または式IIIの化合物を含む混合物は、低い作動電圧により区別される。
【0183】
本発明による媒体で使用できる式G、E、H、M−I、M−II、I、II〜III、IVおよびVのそれぞれの化合物は、既知であるか、既知の化合物に類似して調製できる。
【0184】
偏光子、電極基板および表面処理電極からの本発明によるMLCディスプレイの構造は、このタイプのディスプレイの従来の構造に対応している。従来構造との用語は、ここでは広範に及び、MLCディスプレイの全ての誘導型および改変型を網羅し、特に、多結晶シリコンTFTまたはMIMに基づくマトリックスディスプレイ素子が挙げられるが、特に好ましくは、一方のみの基体の直上に電極を有する、即ち、IPSディスプレイで使用されているような所謂インターデジタル電極を有するディスプレイであり、好ましくは、確立された構造の1つである。
【0185】
しかしながら、本発明によるディスプレイと、捩れネマチックセルに基づく従来のディスプレイとの間の重大な相違は、液晶層の液晶パラメータの選択にある。
【0186】
本発明による媒体は、それ自身、従来の方法に従い調製される。一般に、成分をお互いに溶解し、温度を上昇すると良好である。適切な添加剤により、本発明による液晶相を、これまで開示されてきた液晶ディスプレイ素子の全てのタイプで使用できるように改変できる。このタイプの添加剤は当業者には既知であり、文献に詳細に記載されている(H.KelkerおよびR.Hatz、Handbook of Liquid Crystals、Verlag Chemie、Weinheim、1980年)。例えば、多色性色素を着色ゲスト−ホスト系の調製のために添加でき、誘電異方性、粘度および/またはネマチック相の配向を改変するために物質を加えることができる。さらに、安定剤および抗酸化剤を加えることもできる。
【0187】
本発明による混合物は、TN、STN、ECBおよびIPS用途および等方性スイッチングモード(ISM:isotropic switching mode)用途に適している。よって、本発明による化合物を少なくとも1種類含む液晶媒体を備える電気光学的装置および電気光的装置の使用は、本発明の対象である。
【0188】
本発明の混合物は、光学的等方状態で作動する装置に、非常に適している。本発明の混合物は、驚くべきことに、それぞれの使用に非常に適していることが見出される。
【0189】
光学的等方状態で作動されるか作動可能な電気光学的装置は、最近、ビデオ、テレビ、およびマルチメディア用途に関して興味が持たれてきている。これは、液晶の物理的特性に基づく電気光学的効果を利用する従来の液晶ディスプレイが、より長いスイッチング時間を示し、前記の用途で好ましくないためである。更に、従来のディスプレイの殆どにおいてコントラストの視野角依存性が大きく、この好ましくない特性を埋め合わせる方法が必要となってきている。
【0190】
等方状態における電気光学的効果を利用する装置に関しては、例えば、ドイツ国特許出願公開第102 17 273号公報に、変調のためのメソゲン制御媒体が作動温度で等方相である光制御(光変調)素子が開示されている。これらの光制御素子は非常に短いスイッチング時間および良好なコントラストの視野角依存性を有している。しかしながら、前記素子の駆動および作動電圧は、いくつかの用途において、非常にしばしば不適当に高い。
【0191】
ドイツ国特許出願102 41 301号には、駆動電圧を著しく低下できる特定の電極構造が開示されている。しかしながら、これらの電極は、光制御素子の製造工程を更に複雑なものとする。
【0192】
更に、例えば、ドイツ国特許出願公開第102 17 273号公報およびドイツ国特許第102 41 301号の両者で開示されている光制御素子は、重大な温度依存性を示す。光学的等方状態の制御媒体における電場により誘発可能な電気光学的効果は、制御媒体の透明点に近い温度で最も顕著となる。この範囲において光制御素子の特性電圧は最低値となり、よって最低の作動電圧が要求される。温度が上昇するにしたがい、特性電圧よって作動電圧は著しく上昇する。この範囲での温度依存性の典型的な値は、単位温度当たり約数ボルトから単位温度当たり約十ボルト以上である。ドイツ国特許第102 41 301号には等方状態で作動可能または作動される装置として各種の電極構造が記載されている一方で、ドイツ国特許出願公開第102 17 273号公報には、等方状態で作動可能または作動される光制御素子中で有益な各種の組成物の等方媒体が開示されている。これらの光制御素子中の閾値電圧の相対温度依存性は、透明点より1℃高い温度で約50%/℃である。その温度依存性は温度の上昇に伴い減少し、透明点より5℃高い温度で約10%/℃となる。しかしながら、電気光学的効果のこの温度依存性は、前記光制御素子を利用するディスプレイの多くの実用用途にとっては、高すぎる。それとは反対に、実用的な使用には、少なくとも数℃、好ましくは約5℃以上、より好ましくは約10℃以上、特には約20℃以上の温度範囲に渡って、作動電圧が作動温度に依存しないことが望ましい。
【0193】
本発明の混合物を使用することは、上記およびドイツ国特許出願公開第102 17 273号公報、ドイツ国特許第102 41 301号およびドイツ国特許第102 536 06号に記載されるような光制御素子中の制御媒体として、前記電気光学的作動の作動電圧における広い温度範囲において、非常に適していることが見出された。この場合、光学的等方状態またはブルー相は、殆ど完全または完全に作動温度に依存しない。
【0194】
この効果は、国際特許出願公開第2004/046 805号公報に記載されているメソゲン制御媒体が少なくとも1つの所謂「ブルー相」を示す場合、更により明らかである。非常に高いキラル捩れを有する液晶は、1つ以上の光学的等方相を有する場合がある。その相がそれぞれのコレステリックピッチを有する場合、これらの相は、十分に広いセル間隔を有するセル中において青色を呈することがある。よって、それらの相は「ブルー相」とも呼ばれる(GrayおよびGoodby、「Smectic Liquid Crystals,Textures and Structures」、Leonhard Hill、米国、カナダ(1984年))。ブルー相を示す液晶の電場の効果は、例えば、H.S.Kitzerow、「The Effect of Electric Fields on Blue Phases」、Mol.Cryst.Liq.Cryst.(1991年)、202巻、51〜83頁に記載されており、これまでにブルー相のこれらのタイプは同定されており、即ちBP I、BP II、およびBP IIIであり、それらは電場のない液晶中で観測されることがある。単一のブルー相または複数のブルー相を示す液晶に電場が印加された場合、更なるブルー相またはブルー相I、IIおよびIIIとは異なる他の相が生じることがあることは特筆すべきことである。
【0195】
本発明の混合物は電気光学的光制御素子中において使用でき、
・1つ以上、特に2つの基板;
・電極アセンブリー;
・光を偏光する1つ以上の素子;および
・前記制御媒体
を備える。
【0196】
ただし、前記光制御素子は、それが駆動状態でない時に制御媒体が光学的等方相である温度において作動されるか(または作動可能)である。
【0197】
本発明の制御媒体は、約−30℃から約90℃の範囲内、特には約70℃〜80℃までの特性温度、好ましくは透明点を有する。
【0198】
光制御素子の作動温度は、好ましくは、制御媒体の特性温度より高く、通常、前記温度は制御媒体がブルー相へ転移する温度であり;一般に、作動温度は前記特性温度より約0.1°〜約50°高い範囲内であり、好ましくは約0.1°〜約10°の範囲である。作動温度は制御媒体のブルー相への転移温度から制御媒体が等方相へ転移する温度、つまり透明点までの範囲内が非常に好ましい。しかしながら、光制御素子は、制御媒体が等方相である温度においても作動させることができる。
【0199】
(本発明の目的のために、用語「特性温度」は以下の通り定義される:
・特性電圧が温度の関数として最小値を有する場合、この最小値の温度を特性温度と表す、
・特性電圧が温度の関数として最小値を有さず、制御媒体が1つ以上のブルー相を有する場合、ブルー相への転移温度を特性温度と表す;1つより多いブルー相が存在する場合は、ブルー相への最も低い転移温度を特性温度と表す、
・特性電圧が温度の関数として最小値を有さず、制御媒体がブルー相を有さない場合、等方相への転移温度を特性温度と表す。)
本発明の文意においては、用語「アルキル」は、本記載および請求項中の他の所で異なった方法で定義されていない限り、直鎖状および分岐状で1〜15個の炭素原子の炭化水素(脂肪族)基を意味する。炭化水素基は無置換でもよく、F、Cl、Br、IまたはCNからなる群より独立に選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0200】
また、誘電体は、当業者に既知で文献に記載される更なる添加剤を含んでもよい。例えば、0〜5%の多色性色素、抗酸化剤または安定剤を添加することができる。
【0201】
Cは結晶層、Sはスメクチック相、ScはスメクチックC相、Nはネマチック相、Iは等方相、およびBPはブルー相を表す。
【0202】
V
xはX%透過の電圧を表す。よって、例えば、V
10は10%透過の電圧を表し、V
100は100%透過の電圧を表す(視野角は板表面に対して垂直)。それぞれのV
maxでV
100の値に対応する作動電圧において、t
on(それぞれのτ
on)はスイッチ−オン時間を表し、t
off(それぞれのτ
off)はスイッチ−オフ時間を表す。t
onは相対透過が10%から90%に変化するための時間であり、t
offは相対透過が90%から10%に変化するための時間である。応答時間は、電気光学的特性と全く同じように、ドイツ国Autronic Melchers社製測定装置DMSで決定する。
【0203】
Δnは光学的異方性を表す。Δεは誘電異方性を表す(Δε=ε
‖−ε
⊥、ただし、ε
‖は分子の長軸に平行な誘電定数を表し、ε
⊥はそれに垂直な誘電定数を表す)。電気光学的データは、他に明示されない限り、20℃における透過の一次最小値(即ち、(d・Δn)値が0.5μm)でのTNセル中で測定される。光学的データは、他に明示されない限り、20℃で測定される。
【0204】
物理的特性を調整するために、本発明による光変調媒体は更に液晶化合物を含むこともできる。その様な化合物は、専門家に既知である。本発明による媒体中でのそれらの濃度は、好ましくは0%〜30%、より好ましくは0%〜20%、最も好ましくは5%〜15%である。
【0205】
好ましくは、本発明の媒体はブルー相の範囲を有するか、1つより多いブルー相が存在する場合は、ブルー相の合わされた範囲を有し、20°以上の幅、好ましくは40°以上、より好ましくは50°以上、最も好ましくは60°以上である。
【0206】
好ましい実施形態において、この相は少なくとも10℃〜30℃の範囲であり、最も好ましくは少なくとも10℃〜40℃であり、最も好ましくは少なくとも0℃〜50℃であり、ただし、少なくともとは、好ましくは、相が下限より下の温度までに渡り、同時に上限の上までに渡ることを意味する。
【0207】
もう1つの好ましい実施形態において、この相は少なくとも20℃〜40℃の範囲であり、最も好ましくは少なくとも30℃〜80℃であり、最も好ましくは少なくとも30℃〜90℃である。この実施形態は、エネルギーを放散し、よってディスプレイを加熱する強力なバックライトを有するディスプレイに特に適している。
【0208】
好ましくは、本発明の媒体は、150以上、より好ましくは200以上、更により好ましくは300以上、最も好ましくは400以上の誘電異方性を有する。特に、本発明の媒体の誘電異方性の値は、好ましくは700以下、より好ましくは550以下、最も好ましくは500以下である。
【0209】
本出願において、誘電的に正の化合物との用語はΔε>1.5の化合物を記載し、誘電的に中性の化合物は−1.5≦Δε≦1.5の化合物であり、誘電的に負の化合物はΔε<−1.5の化合物である。成分に対しても同じである。Δεは1kHzおよび20℃で決定される。化合物の誘電異方性は、ネマチックホスト混合物中のそれぞれの化合物の10%溶液の結果から決定される。これらの試験混合物の容量は、ホメオトロピックおよびホモジニアス配向有する両方のセル中で決定される。セルの両タイプのセル間隔は、ほぼ20μmである。印加される電圧は周波数1kHzの矩形波で、2乗平均平方根値は典型的には0.5V〜1.0Vであるが、それぞれの試験混合物の容量閾値より常に低く選択される。
【0210】
誘電的に正の化合物には、混合物ZLI−4792、誘電的に中性ならびに誘電的に負な化合物には、ZLI−3086が、いずれもドイツ国メルク社製であるが、それぞれ、ホスト混合物として使用される。化合物の誘電体誘電率は、興味ある化合物を加えた時のホスト混合物のそれぞれの値の変化より決定され、興味ある化合物の濃度100%に外挿する。
【0211】
測定温度である20℃でネマチック相を有する化合物はその様に測定され、その他全ては化合物のように扱う。
【0212】
両者について他に明言しない場合、本出願における閾値電圧との用語は光学的閾値を指し、10%相対コントラスト(V
10)で与えられ、飽和電圧との用語は光学的飽和を指し、90%相対コントラスト(V
90)で与えられる。容量閾値電圧(V
0、フレデリクス閾値V
Frとも呼ばれる)は、特に明言されているときのみ使用される。
【0213】
本出願で与えられるパラメータの範囲は、他に明言しない限り、全て限界値を含む。
【0214】
本出願を通して、他に明言しない限り、全ての濃度は質量%で与えられ、それぞれの完全混合物に関し、全ての温度は摂氏(セルシウス)度で与えられ、全ての温度差は摂氏度である。全ての物理的特性は「Merck Liquid Crystals、Physical Properties of Liquid Crystals、Status、1997年11月、メルク社、ドイツ国」に従って決定されたか、されるものであり、他に明言しない限り20℃の温度で与えられる。光学的異方性(Δn)は波長589.3nmで決定される。誘電異方性(Δε)は周波数1kHzで決定される。閾値電圧ならびに他の電気光学的特性は、メルク社、ドイツ国によって調製された試験セルで決定された。Δεを決定するための試験セルは22μmのセル間隔を有していた。電極は1.13m
2の面積の循環ITOおよび保護リングを有するものであった。配向層はホメオトロピック配向(ε
‖)にはレシチンであり、ホモジニアス配向(ε
⊥)には日本合成ゴム社製のポリイミドAL−1054であった。容量は周波数応答分析器Solatron1260により電圧0.3または0.1V
rmsの正弦波を用いて決定した。電気光学的測定で使用した光は白色光であった。使用したセットは、大塚社、日本国より商業的に入手可能な装置であった。特性電圧は垂直観測下で決定した。閾値電圧(V
10)、中間灰色電圧(V
50)および飽和電圧(V
90)は、それぞれ10%、50%および90%相対コントラストで決定した。
【0215】
メソゲン変調材料は、それぞれメルク社の設備で調製された電気光学的試験セルに充填された。試験セルは一方の基体側にインターデジタル電極を有していた。電極の幅は10μm、隣接する電極間隔は10μm、セル間隔も10μmであった。この試験セルを、直交偏光子の間で電気光学的に検討した。
【0216】
低温において、充填されたセルはキラルネマチック混合物に典型的なテクスチャーを示し、電圧を印加しない直交偏光子間で光を透過した。加熱すると、第1温度(T
1)で混合物は光学的に等方的になり、直交偏光子間で暗くなった。これは、この温度で、キラルネマチック相からブルー相への転移を示す。第2温度(T
2)までは、セルは印加電圧下で電気光学的効果を示し、典型的には数十ボルトで光学的透過が最大となる範囲の一定の電圧である。典型的には、高温では、可視的な電気光学的効果に必要な電圧は強く増加し、この第2温度(T
2)でブルー相から等方相への転移を示している。
【0217】
ブルー相において最も有益に電気光学的に混合物を使用できる温度範囲(ΔT(BP))は、T
1〜T
2の範囲として示された。この温度範囲(ΔT(BP))は、本出願の例で与えられる温度範囲である。この温度範囲を超えた温度範囲、即ち、T2より高温でも、作動電圧が著しく上昇する以外は、電気光学的ディスプレイを作動できる。
【0218】
本発明による液晶媒体は更なる添加剤およびキラルドーパントを通常の濃度で含むことができる。これらの更なる構成成分の総濃度は、混合物全体をベースとして0%〜10%、好ましくは0.1%〜6%の範囲である。それぞれ使用される化合物それぞれの濃度は、好ましくは0.1〜3%の範囲である。これらおよび同様の添加剤の濃度は、液晶成分の濃度および本出願の液晶媒体の化合物の値および範囲には考慮されない。
【0219】
本発明により発明された液晶媒体は幾つかの化合物よりなり、好ましくは3〜30種類、より好ましくは5〜20種類、最も好ましくは6〜14種類である。これらの化合物は従来法により混合される。一般則として、より少量で使用される化合物の必要量を、より多量で使用される化合物に溶解する。温度がより高濃度で使用される化合物の透明点より高い場合、溶解の工程の完了を特に容易に観測できる。しかしながら、他の従来法により媒体を調製することも可能で、例えば、いわゆる事前混合法を使用してであり、それは、例えば、化合物の相同または共晶混合または所謂マルチボトルシステムを使用でき、それ自身で使用できる状態にある混合物の構成成分である。
【0220】
適切な添加剤を加えることで、本発明による液晶媒体を、液晶ディスプレイの全ての既知のタイプ中において、またはTN−、TN−AMD、ECB−、VAN−AMDおよび特にPDLD−、NCAP−およびPN−LCDなどの複合系および特にHPDLC中などの液晶媒体を使用することに適切なように改変できる。
【0221】
融点:T(K,N)、T(K,S)またはT(K,I)のそれぞれ、1つのスメクチック相(S
X)からもう1つのスメクチック相(S
Y)への転移温度:T(S
X,S
Y)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移温度T(S,N)、透明点:T(N,I)、適用できる場合、液晶のガラス転移温度:T
g、ならびに本出願を通して任意の他の温度は摂氏度(即ち、セルシウス)で与えられる。
【0222】
式Pおよびそれのサブ式の化合物は、当業者に既知で、例えば、Houben−Weyl、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Thieme−Verlag、Stuttgartなどにおける有機化学の標準的な著作に記載される方法に類似して調製できる。
【0223】
本発明および特に以下の例において、メソゲン化合物の構造を頭文字とも呼ばれる略号を用いて示す。これらの頭文字において、化学式は、下の表A〜Cを使用して次の通り略記される。全ての基C
nH
2n+1、C
mH
2m+1およびC
lH
2l+1またはC
nH
2n−1、C
mH
2m−1およびC
lH
2l−1は、それぞれn、mおよびl個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルケニル、好ましくは1E−アルケニルを、それぞれ表す。表Aには化合物の核構造の環要素に使用されるコードを列記し、一方、表Bには連結基を示す。表Cには、左手または右手の末端基のためのコードの意味を与える。頭文字は、第1のハイフンおよび左手の末端基のためのコードと、それに続く任意要素である連結基と共に環要素のためのコードと、第2のハイフンおよび右手の末端基のためのコードとから構成される。表Dには、それらのそれぞれの略号と共に化合物の構造を図解する。
【0224】
【表1】
【0225】
【表2】
【0226】
【表3】
【0227】
【表4】
表中、nおよびmは、それぞれ整数を表し、3つの点「...」は、この表からの他の略号のためのスペースである。
【0228】
以下の表に、それらのそれぞれの略号と共に、図解される構造を示す。これらは、略号の規則の意味を図解するために示される。それらは、更に、好ましく使用される化合物を表す。
【0229】
【表5】
【0230】
【表6】
【0231】
【表7】
【0232】
【表8】
【0233】
【表9】
【0234】
【表10】
【0235】
【表11】
表中、n(、mおよびl)は、好ましくは、互いに独立に、1〜7、好ましくは2〜6の整数を表す。
【0236】
以下の表、表Eに、本発明によるメソゲン媒体において安定剤として使用できる化合物を図解する。
【0237】
【表12】
【0238】
【表13】
【0239】
【表14】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、表Eからの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
以下の表、表Fに、本発明によるメソゲン媒体においてキラルドーパントとして好ましく使用できる化合物を図解する。
【0240】
【表15】
【0241】
【表16】
本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、表Fからの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0242】
本出願によるメソゲン媒体は、好ましくは、上の表からの化合物から成る群より選択される、2種類以上、好ましくは4種類以上の化合物を含む。
【0243】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、
・表Dからの化合物群より選択される、7種類以上、好ましくは8種類以上の化合物、好ましくは、3種類以上好ましくは4種類以上の異なる式を有する化合物
を含む。