(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0011】
<本発明の特徴>
本発明は、40%以上80%以下の食用油脂を含有するpH5.0以上8.0以下である水中油型乳化ソースにおいて、
1%以上5%未満の卵黄(生換算)、乳化剤、卵黄油、5%以上40%以下の糖アルコール(固形分換算)、及び0.08%以上0.25%以下のコレステロールを含有した、
常温保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクのある風味を呈する水中油型乳化ソースに特徴を有する。
【0012】
<水中油型乳化ソース>
本発明の水中油型乳化ソースは、一般的にソースと称されるもののうち、油脂が油滴として水相中に均一に分散し水中油型に乳化されたソースである。
【0013】
<pH>
本発明の水中油型乳化ソースは、常温(品温15〜25℃)保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクのある風味を呈する水中油型乳化ソースを得るために、pHは5.0以上8.0以下であり、さらにpH5.5以上7.0以下であるとよい。
pH5.0を下回ると、酸味が強く、卵黄由来のコクのある風味や乳化物特有のまろやかさが感じられない。
一方、pH8.0を超えると、乳化が不安定になり、ソース表面に亀裂が生じてしまう。さらに、苦味が強く、卵黄由来のコクのある風味が感じられなくなる。
なお、pHを調整する場合、本発明の効果を損ねない範囲で、クエン酸、乳酸、レモン果汁等の酸剤、又は炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ剤を適宜配合すれば良い。
【0014】
<食用油脂>
本発明に用いる食用油脂は、一般的に食品に用いられるものであれば、いずれのもので良い。
具体的には、例えば、菜種油、ヤシ油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、卵黄油、魚油等の動植物油又はこれらの精製油、あるいはMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的、酵素的処理等を施して得られる油脂等が挙げられる。
【0015】
<食用油脂の含有量>
卵黄の乳化力を利用したコクのある水中油型乳化ソースは、一般的に食用油脂の含有量が40%以上80%以下であることから、本発明に用いる食用油脂の含有量も同様とするとよい。また、本発明においては、常温保存下でのソース表面の亀裂防止の点から、さらに50%以上70%以下であるとよい。
【0016】
<卵黄>
本発明に用いる卵黄は、一般的に食品に用いられるものであれば、いずれのもので良い。
例えば、鶏卵を割卵し卵白と分離させた生卵黄あるいは卵黄液、前記生卵黄あるいは卵黄液にスプレードライやフリーズドライ等の乾燥処理を施した乾燥卵黄、前記生卵黄あるいは卵黄液に砂糖を加えた加糖卵黄、前記生卵黄あるいは卵黄液や加糖卵黄等を凍結した凍結卵黄、その他、脱糖処理、殺菌処理、又は酵素処理(例えば、ホスホリパーゼA、タンパク分解酵素等)を施した処理卵黄等が挙げられる。
また、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で卵白を含んだ全卵も用いることができる。この場合、全卵の卵黄部分が本発明の卵黄に相当する。
【0017】
<卵黄の含有量>
本発明の水中油型乳化ソースは、常温保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクのある風味を呈する水中油型乳化ソースを得るために、卵黄の含有量は、生換算で1%以上5%未満であり、さらに1.5%以上4.8%以下とするとよい。
卵黄の含有量が5%以上であると、卵黄の乳化力により、乳化が良すぎて細かい粒径の乳化物が出来やすく、その結果、逆に卵黄風味の感じられ方が弱くなる。
一方、卵黄の含有量が1%より少ないと、卵黄由来のコクのある風味を呈する水中油型ソースが得られない。
【0018】
<乳化剤>
本発明に用いる乳化剤は、一般的に食品に用いられるものであれば特に限定されず、いずれのものでもよい。
具体的には、例えば、リゾリン脂質、リン脂質、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、又はソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
食用の乳化剤のなかでも、乳化が安定し、ソース表面に亀裂が生じにくく、卵黄由来のコクのある風味が得られやすいことから、水に溶解あるいは分散する乳化剤を用いるとよい。
具体的には、例えば、リゾリン脂質、リン脂質、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられ、非イオン界面活性剤については、親水性親油性バランスを示す指標であるHLB値が10以上のものを用いるとよい。
特に、より優れた乳化安定性あるいは卵黄風味が得られ易いことから、リゾリン脂質、リン脂質を用いるとよく、両面とも優れていることから、卵黄リゾリン脂質を用いると良い。
【0019】
<乳化剤の含有量>
乳化剤の含有量は、十分に乳化状態を保つことのできる程度であればよく、具体的には、例えば、0.1%以上1%以下とすることができ、さらに0.2%以上0.5%以下とすることができる。
【0020】
<食用油脂に対する乳化剤の含有量>
本発明の水中油型乳化ソースは、常温保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクのある風味を呈する水中油型乳化ソースが得られ易いことから、食用油脂に対する乳化剤の含有量は0.15%以上2%以下であるとよく、さらに0.3%以上1%以下であるとよい。
【0021】
<卵黄油>
本発明の水中油型乳化ソースには、常温保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクのある風味を呈する水中油型乳化ソースを得るために、食用油脂として卵黄油を含有することができる。
ここで、卵黄油とは、卵黄液、乾燥卵黄又はこれらの加熱処理物等から得られるトリグリセリドを主成分とする卵黄由来の脂質であり、コレステロールを約1%以上3%以下含有するものである。
【0022】
<卵黄油の含有量>
卵黄油の含有量は、乳化状態を壊さない範囲で卵黄由来のコク向上を目的として用いればよく、具体的には、例えば、0.1%以上10%以下とすることができ、さらに0.5%以上7%以下とすることができる。
【0023】
<糖アルコール>
糖アルコールとは、糖のアルデヒド基及びケトン基を還元してアルコール基とした多価アルコールである。
糖アルコールとしては、例えば、還元澱粉糖化物、又は単糖類が還元されてなるアルジトール、あるいはグリセリン等の多価アルコール等がある。
本発明に用いる糖アルコールの形態は、市販されているものであれば特に限定するものではないが、液体状、粉末状等のものを用いることができる。
【0024】
本発明の水中油型乳化ソースは、常温保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクのある風味を呈する水中油型乳化ソースが得られ易いことから、糖アルコールとして、還元澱粉糖化物と単糖類が還元されてなるアルジトールとを含有するとよい。
還元澱粉糖化物としては、例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、タピオカ澱粉等の澱粉類を分解して得られるデキストリン、マルトデキストリン、水飴等と称される澱粉糖化物に水素を添加して得られる還元物であり、様々な重合度のグルコースを骨格とする糖アルコールの混合糖質である。
還元澱粉糖化物のなかでも、ソースを適度な粘度に保ち、離水を抑制できることから、DE値10以上40以下の澱粉糖化物の還元物を用いるとよい。
ここで、DE値とは、「デキストロースエキュイバレント(Dextrose Equivalent)」の略称であり、澱粉の加水分解の程度を表す指標である。DE値が高い方が加水分解の程度が高く、一方で、DE値が低い方が加水分解の程度が低いことを意味する。
単糖類が還元されてなるアルジトールとしては、例えば、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール等が挙げられ、本発明ではこれらの1種以上を用いるとよく、特に、卵黄由来のコクのある風味が引き立つことから、ソルビトールであるとよい。
【0025】
<糖アルコールの含有量>
本発明の水中油型乳化ソースは、常温保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクのある風味を呈する水中油型乳化ソースを得るために、糖アルコールの含有量は、固形分換算で5%以上40%以下であり、さらに8%以上24%以下とするとよい。
糖アルコールの含有量が40%より多いと、口腔中でべたべたとした舌触りになり、卵黄由来のコクのある風味を呈する水中油型ソースが得られない。
一方、糖アルコールの含有量が5%より少ないと、ソースの粘度が緩くなり、ソース表面に亀裂が生じてしまう。
【0026】
<コレステロール>
本発明では、コレステロールそのものを用いてもよいが、例えば、一般的に食品に用いられるものであれば、いずれのものでもよく、卵黄中、油脂中、又はその他食品素材に含まれるコレステロールをコレステロールとして含有させても良い。
【0027】
<コレステロールの含有量>
本発明の水中油型乳化ソースは、常温保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクのある風味を呈する水中油型乳化ソースを得るために、コレステロールの含有量が0.08%以上0.25%以下であり、さらに0.09%以上0.2%以下とすると良い。
コレステロールの含有量が0.08%より少ないと、卵黄由来のコクのある風味を呈する水中油型乳化ソースが得られず、さらに味の厚みを十分に感じられない。
一方、コレステロールの含有量が0.25%より多いと、乳化が安定せず、ソース表面に亀裂が生じてしまう場合がある。
なお、コレステロールの含有量は、folch法によりソース中のコレステロールを抽出し、ガスクロマトグラフを用いて測定できる。
【0028】
<食用油脂に対するコレステロールの含有量>
本発明の水中油型乳化ソースは、常温保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクのある風味が得られ易いことから、食用油脂に対するコレステロールの含有量は0.1%以上0.5%以下とすることができ、さらに0.15%以上0.35%以下とすることができる。
【0029】
<増粘多糖類>
本発明の水中油型乳化ソースには、増粘多糖類を含有することができる。
本発明に用いる増粘多糖類は、一般的に食品に用いられるものであればいずれのものでもよい。
具体的には、例えば、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、グアガム、ペクチン、寒天、又は澱粉等を挙げることができる。
【0030】
<増粘多糖類の含有量>
本発明の水中油型乳化ソースは、常温保存してもソース表面に亀裂が生じない水中油型乳化ソースが得られ易いことから、増粘多糖類の含有量は、0.2%以下であり、さらに0.1%以下であると良く、本発明は増粘多糖類0%も含まれる。
増粘多糖類の含有量が0.2%より多いと、ぼてぼてとした食感になるだけで、ソース表面の亀裂は改善されない。
【0031】
<水分活性>
水分活性(Aw)とは、食品中の水分が示す蒸気圧とその温度における純水の蒸気圧の比であり、食品中の自由水の割合を表す数値で、食品の保存性を示す指標とされる。
水分活性が低いほど、微生物の増殖が抑えられるため、食品の保存性が高まる。
本発明の水中油型乳化ソースは、レトルト殺菌処理を施さなくても、常温保存できる品位を保つため、水分活性を0.75以上0.94以下になるように調整するとよい(食品衛生小六法 法令I―食品衛生の規格基準)。
【0032】
<粘度>
本発明の水中油型乳化ソースの粘度は、喫食時に乳化物特有のまろやかな口当たりを感じる程度であれば、特に限定するものではないが、具体的には、例えば、10Pa・s以上500Pa・s以下とすることができ、さらに15Pa・s以上400Pa・s以下とすることができる。
なお、粘度の測定は、BH型粘度計で、品温20℃、回転数4rpmの条件で、
粘度が、7.5〜19Pa.sではローターNo.3、
19〜37.5Pa.sではローターNo.4、
37.5〜75Pa.sではローターNo.5、
75〜187.5Pa.sではローターNo.6、
187.5〜750Pa.sではローターNo.7を使用し、測定開始後ローターが2回転した時の示度により求めた値である。
【0033】
<カロリー>
上述のように、本発明の水中油型乳化ソースは、食用油脂を40%以上80%含有することから、当該ソースのカロリーは4kcal/g以上にすることができ、さらに5kcal/g以上にすることができる。
なお、上限は規定するものではないが、8kcal/g以上に設計しようとすると食用油脂を多量に含有させなければならず、油分離が生じやすくなるため、上限は8kcal/gとするとよい。
なお、ソース1gあたりのカロリーは式(1)により算出できる。
式(1)・・・カロリー(kcal/g)=脂質含有量(g/g)×9+タンパク質含有量(g/g)×4+糖質含有量(g/g)×4+食物繊維含有量(g/g)×2+アルコール(g/g)×7
【0034】
<酒精>
本発明の水中油型乳化ソースには、酒精を含有することができる。
本発明に用いる酒精のエタノール濃度は、配合濃度を調整し易いように高濃度がよく、エタノール濃度50%以上の酒精を用いることができ、さらにエタノール濃度60%以上のものを用いることができる。
酒精の種類は、特に限定されず、エタノール濃度50%以上の酒精の他に、ウイスキーやワイン等を用いることができる。
また、酒精の含有量は、乳化状態を壊さない範囲であればよく、具体的には、例えば、0.1%以上5%以下とすることができ、さらに1%以上4%以下とすることができる。
【0035】
<その他原料>
本発明の水中油型乳化ソースは、上述の原料の他に本発明の効果を損なわない範囲でその他の食品素材を適宜選択し含有させることができる。
例えば、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖、醤油、又は味噌等の各種調味料、各種エキス、胡椒等の香辛料、着色料、香料、各種アミノ酸、各種ビタミン、各種ミネラル等が挙げられる。
【0036】
<製造方法>
本発明の水中油型乳化ソースは、例えば、以下のような製造方法で調製することができる。
まず、清水に酒精と砂糖、食塩、醤油等の調味料とを加えたものを均一になるまで混合する。次に、撹拌しながら、卵黄、乳化剤、糖アルコール、卵黄油、増粘多糖類を加えた後、食用油脂を少量ずつ注加し乳化を行う。必要であれば、続いて、コロイドミル等のせん断機を用いて乳化処理を施してもよい。
次に、必要に応じて殺菌処理を行い、pH5.0〜8.0、粘度10〜500Pa・sである、水中油型乳化ソースを調製する。
【0037】
次に、本発明を実施例、比較例及び試験例に基づき、さらに説明する。
なお、本発明はこれに限定するものではない。
【実施例】
【0038】
[実施例1]
配合表1に基づいて、実施例1の水中油型乳化ソースを製造した。
つまり、撹拌タンクに、清水、酒精(70%エタノール水溶液)、醤油を配合し、均一になるまで混合する。次に、撹拌しながら、還元澱粉糖化物(原料糖:DE値15)、ソルビトール、生卵黄、卵黄油(コレステロール含量2.5%)、卵黄リゾリン脂質を加え、均一になるまで混合後、菜種油を少量ずつ注加し乳化を行う。
続いて、コロイドミルを用いて乳化処理し、80℃で20分加熱処理後、30mL容のポリエチレン袋に充填密封し、本発明の水中油型乳化ソースを製造した。
得られた水中油型乳化ソースのコレステロール含有量は0.1%であった。
なお、前記ソースはpH6.0、水分活性0.79、粘度50Pa・s、カロリー6.5kcal/gであった。
【0039】
[配合表1]
菜種油 59%
還元澱粉糖化物(原料糖:DE値15) 10%
ソルビトール 10%
醤油 10%
生卵黄 4%
酒精 2.8%(エタノール2%)
卵黄油 1%(コレステロール0.025%)
卵黄リゾリン脂質 0.2%
清水で 100%
【0040】
[実施例2]
実施例1において、菜種油の含有量を54.6%、卵黄油の含有量を5.4%に変更し、実施例1と同様の製造方法により、実施例2の水中油型乳化ソースを製造した。ソース中のコレステロール含有量は0.2%であった。
【0041】
[実施例3]
実施例1において、菜種油の含有量を59.5%、卵黄油の含有量を0.5%に変更し、実施例1と同様の製造方法により、実施例3の水中油型乳化ソースを製造した。ソース中のコレステロール含有量は0.08であった。
【0042】
[比較例1]
実施例1において、菜種油の含有量を50%、卵黄油の含有量を10%に変更し、実施例1と同様の製造方法により、比較例1の水中油型乳化ソースを製造した。ソース中のコレステロール含有量は0.3であった。
【0043】
[比較例2]
実施例1において、菜種油を添加せず、卵黄油の含有量を60%に変更し、実施例1と同様の製造方法により、比較例2の水中油型乳化ソースを製造した。ソース中のコレステロール含有量は1.6%であった。
【0044】
[比較例3]
実施例1において、卵黄油を添加せず、菜種油の含有量を60%に変更し、実施例1と同様の製造方法により、比較例1の水中油型乳化ソースを製造した。ソース中のコレステロール含有量は0.05%であった。
【0045】
[比較例4]
比較例1において、DE値15の還元澱粉糖化物及び卵黄油を配合せず、卵黄の含有量を5%、ソルビトールの含有量を25%、菜種油の含有量を45%にそれぞれ変更した。さらにキサンタンガム0.5%を配合し、実施例1と同様の製造方法により、比較例4の水中油型乳化ソースを製造した。ソース中のコレステロール含有量は0.07%であった。
【0046】
[試験例1]
卵黄及びコレステロールの含有量、並びに卵黄油添加の有無による、常温保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクのある風味を呈する効果に与える影響について調べた。
つまり、実施例1〜3、比較例1〜4で製した水中油型乳化ソースを品温25℃で2か月間保存後、ソース表面に生じた亀裂の程度を確認した。さらに、喫食して、卵黄由来のコクのある風味について評価した。
なお、いずれの水中油型乳化ソースも、pH6.0であった。
【0047】
評価は、下記の評価基準に従ったものである。
<亀裂の程度について>
A:ソース表面がなめらかで、亀裂が全く見られなかった。
B:ソース表面に若干の亀裂がみられたが、問題のない程度であった。
C:ソース表面に大きく亀裂がみられ、離水が生じていた。
【0048】
<卵黄由来のコクのある風味について>
A:卵黄由来のコクのある風味が非常に強く感じられ、口当たりがまろやかだった。
B:卵黄由来のコクのある風味が感じられた。
C:卵黄由来のコクのある風味が弱く、口当たりが悪かった。
【0049】
[表1]
【0050】
表1の結果より、40%以上80%以下の食用油脂を含有するpH5.0〜8.0である水中油型乳化ソースにおいて、
1%以上5%未満の卵黄(生換算)、乳化剤、卵黄油、5%以上40%以下の糖アルコール(固形分換算)、及び0.08%以上0.25%以下のコレステロールを含有すると、常温保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクのある風味を呈する水中油型乳化ソースが得られることが理解できた(実施例1〜3)
特に、コレステロールの含有量が0.09%以上0.2%であると、本発明の効果が顕著に現れた(実施例1、2)
なお、比較例2で製したソースは、乳化状態を形成できなかったため商品価値がなく、ソース表面の亀裂については評価できなかった。
【0051】
[試験例2]
糖アルコールの含有量及び組み合わせによる、常温保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクのある風味を呈する効果に与える影響について調べた。
つまり、実施例1において、表2記載の糖アルコール及び含有量に変更し、実施例4〜6、比較例5の水中油型乳化ソースを製造した。得られた水中油型乳化ソースを試験例1と同様の方法で評価した。
【0052】
[表2]
【0053】
表2より、40%以上80%以下の食用油脂を含有するpH5.0〜8.0である水中油型乳化ソースにおいて、糖アルコールを合計で5%以上40%(固形分換算)含有しないと、常温保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクを呈する水中油型乳化ソースが得られないことが理解できる(実施例1、4〜6)。
特に、糖アルコールの含有量が8%以上24%であると、本発明の効果が顕著に現れた(実施例1、4、6)。
【0054】
[試験例3]
乳化剤の種類による、常温保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクのある風味を呈する効果に与える影響について調べた。
つまり、実施例1において、表3記載の乳化剤に変更し、実施例7〜10の水中油型乳化ソースを製造した。得られた水中油型乳化ソースを試験例1と同様の方法で評価した。
【0055】
[表3]
【0056】
表3より、40%以上80%以下の食用油脂を含有するpH5.0〜8.0である水中油型乳化ソースにおいて、乳化剤として、リゾリン脂質、リン脂質、ショ糖脂肪酸エステル、又はポリグリセリン脂肪酸エステルのいずれか1種以上を用いた方が、常温保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクのある風味を呈する水中油型乳化ソースが得られ易いことが理解できる(実施例1、7〜10)。
特に、卵黄リゾリン脂質を用いると、本発明の効果が顕著に現れた(実施例1)。
【0057】
[試験例4]
増粘多糖類の配合量及び種類による、常温保存してもソース表面に亀裂が生じず、卵黄由来のコクのある風味を呈する効果に与える影響について調べた。
つまり、比較例1において、菜種油の含有量を45%に変更し、さらに表4記載の増粘多糖類を添加して、実施例11〜13の水中油型乳化ソースを製造した。得られた水中油型乳化ソースを試験例1と同様の方法で評価した。
【0058】
[表4]
【0059】
表4より、40%以上80%以下の食用油脂を含有するpH5.0〜8.0である水中油型乳化ソースにおいて、増粘多糖類を0.5%含有させると、比較例1よりも常温保存してもソース表面に亀裂が生じ難いことが理解できる(実施例11〜13)。
ただし、増粘多糖類を含有しない方が、卵黄由来のコクのある風味を呈しやすいことが理解できる(実施例11〜13)。
特に、増粘多糖類の含有量が0.2%以下である方が、本発明の効果が顕著に現れた(実施例1)。