特許第6576786号(P6576786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

<>
  • 特許6576786-ウエーハの研削方法 図000002
  • 特許6576786-ウエーハの研削方法 図000003
  • 特許6576786-ウエーハの研削方法 図000004
  • 特許6576786-ウエーハの研削方法 図000005
  • 特許6576786-ウエーハの研削方法 図000006
  • 特許6576786-ウエーハの研削方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576786
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】ウエーハの研削方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20190909BHJP
   B24B 7/22 20060101ALI20190909BHJP
   B24B 1/00 20060101ALI20190909BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   H01L21/304 631
   B24B7/22 A
   B24B1/00 A
   H01L21/68 N
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-205581(P2015-205581)
(22)【出願日】2015年10月19日
(65)【公開番号】特開2017-79230(P2017-79230A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2018年8月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(72)【発明者】
【氏名】藍 麗華
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−045189(JP,A)
【文献】 特開2008−235380(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/081880(WO,A1)
【文献】 特開2015−126183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 1/00
B24B 7/22
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数のデバイスが形成されたウエーハの裏面を研削するウエーハの研削方法であって、
ウエーハの表面に保護テープを貼着する保護テープ貼着工程と、
ウエーハを平面で支持する支持面を有する支持部材と該支持部材の支持面と対面する平行な押圧面を有する押圧部材とを備えた保護テープ平坦化手段における該支持部材の支持面に保護テープが貼着されたウエーハを支持するウエーハ支持工程と、
少なくとも保護テープを加熱するとともに該保護テープ平坦化手段の支持部材の支持面と押圧部材の押圧面との間で保護テープが貼着されたウエーハをプレスして保護テープを平坦化する保護テープ平坦化工程と、
該保護テープ平坦化工程が実施された保護テープが貼着されたウエーハにおける保護テープ側をチャックテーブルに保持し、ウエーハの裏面を研削する裏面研削工程と、を含み、
該保護テープ平坦化手段の支持部材は、該チャックテーブルが兼用するウエーハの研削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等のウエーハの裏面を研削するウエーハの研削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、IC、LSI等のデバイスが表面に複数個形成された半導体ウエーハは、個々のデバイスに分割される前に裏面を研削装置によって研削して所定の厚さに形成されている。ウエーハの裏面を研削する研削装置は、ウエーハを吸引保持するチャックテーブルと、該チャックテーブル上に吸引保持されたウエーハを研削する研削手段とを具備している。
【0003】
ウエーハの裏面を研削する際には、ウエーハの表面がチャックテーブルに載置されることによって表面に形成されたデバイスに傷が付かないように、ウエーハの表面には保護テープが貼着される。しかるに、保護テープには面内に厚さバラツキがあるため、ウエーハを均一な厚さに研削することができないという問題がある。
【0004】
上記問題を解消するために、ウエーハの表面に貼着された保護テープの表面を旋削して平坦化し、保護テープの厚さバラツキを低減させる技術が下記特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−26380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、上記特許文献1に開示された技術を実施するためには、研削装置に加えて比較的高額で大型の旋削装置を導入する必要があり、設備費が高騰して不経済であるという問題がある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、比較的安価な方法により保護テープの厚さバラツキを低減してウエーハを均一な厚さに研削することができウエーハの研削方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、表面に複数のデバイスが形成されたウエーハの裏面を研削するウエーハの研削方法であって、
ウエーハの表面に保護テープを貼着する保護テープ貼着工程と、
ウエーハを平面で支持する支持面を有する支持部材と該支持部材の支持面と対面する平行な押圧面を有する押圧部材とを備えた保護テープ平坦化手段における該支持部材の支持面に保護テープが貼着されたウエーハを支持するウエーハ支持工程と、
少なくとも保護テープを加熱するとともに該保護テープ平坦化手段の支持部材の支持面と押圧部材の押圧面との間で保護テープが貼着されたウエーハをプレスして保護テープを平坦化する保護テープ平坦化工程と、
該保護テープ平坦化工程が実施された保護テープが貼着されたウエーハにおける保護テープ側をチャックテーブルに保持し、ウエーハの裏面を研削する裏面研削工程と、を含み、
該保護テープ平坦化手段の支持部材は、該チャックテーブルが兼用するウエーハの研削方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるウエーハの研削方法は、ウエーハの表面に保護テープを貼着する保護テープ貼着工程と、ウエーハを平面で支持する支持面を有する支持部材と該支持部材の支持面と対面する平行な押圧面を有する押圧部材とを備えた保護テープ平坦化手段における支持部材の支持面に保護テープが貼着されたウエーハを支持するウエーハ支持工程と、少なくとも保護テープを加熱するとともに保護テープ平坦化手段の支持部材の支持面と押圧部材の押圧面との間で保護テープが貼着されたウエーハをプレスして保護テープを平坦化する保護テープ平坦化工程と、保護テープ平坦化工程が実施された保護テープが貼着されたウエーハにおける保護テープ側をチャックテーブルに保持し、ウエーハの裏面を研削する裏面研削工程とを含み、該保護テープ平坦化手段の支持部材は、該チャックテーブルが兼用するので、裏面研削工程を実施する際には、ウエーハに貼着された保護テープが保護テープ平坦化工程によって平坦化されているため、ウエーハを均一な厚さに研削することができる。そして、保護テープ平坦化工程はウエーハに貼着された保護テープを加熱しつつ支持部材の支持面と押圧部材の押圧面との間でプレスする比較的安価な保護テープ平坦化手段によって実施できるので、設備費が抑制され経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明によるウエーハの研削方法を実施するための研削装置の一実施形態を示す斜視図。
図2】本発明によるウエーハの研削方法によって研削されるウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図。
図3】本発明によるウエーハの研削方法における保護テープ貼着工程の説明図。
図4】本発明によるウエーハの研削方法における保護テープ平坦化工程の一実施形態を示す説明図。
図5】本発明によるウエーハの研削方法を実施するための研削装置の他の実施形態を示す斜視図。
図6】本発明によるウエーハの研削方法における保護テープ平坦化工程の他の実施形態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明によるウエーハの研削方法の好適な実施形態について、添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【0013】
図1には本発明によるウエーハの研削方法を実施するための研削装置の斜視図が示されている。
図示の研削装置1は、略直方体状の装置ハウジング2を具備している。装置ハウジング2の図1において右上端には、静止支持板21が立設されている。この静止支持板21の前面には、上下方向に延びる2対の案内レール22、22および23、23が設けられている。一方の案内レール22、22には粗研削手段としての粗研削ユニット3が上下方向に移動可能に装着されており、他方の案内レール23、23には仕上げ研削手段としての仕上げ研削ユニット4が上下方向に移動可能に装着されている。
【0014】
粗研削ユニット3は、ユニットハウジング31と、該ユニットハウジング31の下端に回転自在に装着されたホイールマウント32と、該ホイールマウント32の下面に装着された粗研削ホイール33と、該ユニットハウジング31の上端に装着されホイールマウント32を矢印32aで示す方向に回転せしめる電動モータ34と、ユニットハウジング31を装着した移動基台35とを具備している。
【0015】
上記移動基台35には被案内レール351、351が設けられており、この被案内レール351、351を上記静止支持板21に設けられた案内レール22、22に移動可能に嵌合することにより、粗研削ユニット3が上下方向に移動可能に支持される。この粗研削ユニット3は、上記移動基台35を案内レール22、22に沿って移動させ粗研削ホイール33を研削送りする研削送り手段36を具備している。研削送り手段36は、上記静止支持板21に案内レール22、22と平行に上下方向に配設され回転可能に支持された雄ねじロッド361と、該雄ねじロッド361を回転駆動するためのパルスモータ362と、上記移動基台35に装着され雄ねじロッド361と螺合する図示しない雌ねじブロックを具備しており、パルスモータ362によって雄ねじロッド361を正転および逆転駆動することにより、粗研削ユニット3を上下方向(後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向)に移動せしめる。
【0016】
上記仕上げ研削ユニット4も粗研削ユニット3と同様に構成されており、ユニットハウジング41と、該ユニットハウジング41の下端に回転自在に装着されたホイールマウント42と、該ホイールマウント42の下面に装着された仕上げ研削ホイール43と、該ユニットハウジング41の上端に装着されホイールマウント42を矢印42aで示す方向に回転せしめる電動モータ44と、ユニットハウジング41を装着した移動基台45とを具備している。
【0017】
上記移動基台45には被案内レール451、451が設けられており、この被案内レール451、451を上記静止支持板21に設けられた案内レール23、23に移動可能に嵌合することにより、仕上げ研削ユニット4が上下方向に移動可能に支持される。この仕上げ研削ユニット4は、上記移動基台45を案内レール23、23に沿って移動させ仕上げ研削ホイール43を研削送りする研削送り手段46を具備している。研削送り手段46は、上記静止支持板21に案内レール23、23と平行に上下方向に配設され回転可能に支持された雄ねじロッド461と、該雄ねじロッド461を回転駆動するためのパルスモータ462と、上記移動基台45に装着され雄ねじロッド461と螺合する図示しない雌ねじブロックを具備しており、パルスモータ462によって雄ねじロッド461を正転および逆転駆動することにより、仕上げ研削ユニット4を上下方向(後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向)に移動せしめる。
【0018】
図示の研削装置1は、上記静止支持板21の前側において装置ハウジング2の上面と略面一となるように配設されたターンテーブル5を具備している。このターンテーブル5は、比較的大径の円盤状に形成されており、図示しない回転駆動機構によって矢印5aで示す方向に適宜回転せしめられる。ターンテーブル5には、図示の実施形態の場合それぞれ120度の間隔をもって3個のチャックテーブル6が水平面内で回転可能に配置されている。このチャックテーブル6は、円盤状の基台61とポーラスセラミック材によって円盤状に形成され吸着保持チャック62とからなっており、吸着保持チャック62の上面が被加工物を平面で支持する支持面となっている。このように構成されたチャックテーブル6の吸着保持チャック62上(支持面)に載置された被加工物を図示しない吸引手段を作動することにより吸引保持する。このように構成されたチャックテーブル6は、図1に示すように図示しない回転駆動機構によって矢印6aで示す方向に回転せしめられる。ターンテーブル5に配設された3個のチャックテーブル6は、ターンテーブル5が適宜回転することにより被加工物搬入・搬出域A、粗研削加工域B、仕上げ研削加工域Cおよび被加工物搬入・搬出域Aに順次移動せしめられる。
【0019】
図示の研削装置1は、被加工物搬入・搬出域Aに対して一方側に配設され研削加工前の被加工物である半導体ウエーハをストックする第1のカセット11と、被加工物搬入・搬出域Aに対して他方側に配設され研削加工後の被加工物である半導体ウエーハをストックする第2のカセット12と、第1のカセット11と被加工物搬入・搬出域Aとの間に配設され被加工物の中心合わせを行う中心合わせ手段13と、被加工物搬入・搬出域Aと第2のカセット12との間に配設され研削加工後の被加工物である半導体ウエーハを洗浄するスピンナー洗浄手段14と、第1のカセット11内に収納された被加工物である半導体ウエーハを中心合わせ手段13に搬出するとともにスピンナー洗浄手段14で洗浄された半導体ウエーハを第2のカセット12に搬送する被加工物搬送手段15を具備している。また、図示の研削装置1は、上記中心合わせ手段13上に載置され中心合わせされた半導体ウエーハを被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6上に搬送する被加工物搬入手段16と、被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6上に載置されている研削加工後の半導体ウエーハをスピンナー洗浄手段14に搬送する被加工物搬出手段17を具備している。なお、被加工物搬入手段16および被加工物搬出手段17は、それぞれ吸引パッド161および171と、該吸引パッド161および171を一端部に支持し基端部を支点として旋回する旋回アーム162および172を具備しており、該吸引パッド161と171の下面(支持面)に半導体ウエーハの裏面を吸引保持するようになっている。また、被加工物搬入手段16および被加工物搬出手段17を構成する旋回アーム162および172は図示しない移動機構によって上下方向に移動せしめられるようになっている。
【0020】
ここで、上記第1のカセット11にストックされる半導体ウエーハについて、図2および図3を参照して説明する。
図2に示す半導体ウエーハ10は、厚みが例えば600μmのシリコンウエーハからなっており、表面10aに複数の分割予定ライン101が格子状に形成されているとともに、該複数の分割予定ライン101によって区画された複数の領域にIC、LSI等のデバイス102が形成されている。このように構成された半導体ウエーハ10の表面10aには、デバイス102を保護するために保護テープPTが貼着される(保護テープ貼着工程)。この保護テープPTは、加熱することによって軟化する合成樹脂シートで形成され、図示の実施形態においては厚さが100μmのポリ塩化ビニル(PVC)からなるシート状基材の表面にアクリル樹脂系の糊が厚さ5μm程度塗布されている。このようにして保護テープ貼着工程が実施され表面に保護テープPTが貼着された半導体ウエーハ10は、裏面を上側にして第1のカセット11に収容される。
【0021】
図1を参照して説明を続けると、図示の研削装置1は、被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6上(支持面)に支持された半導体ウエーハ10に貼着されている保護テープPTを平坦化する保護テープ平坦化手段7を具備している。この保護テープ平坦化手段7は、装置ハウジング2の両側部に対向して配設された一対の支持部材71、71を具備している。この一対の支持部材71、71間には、水平に配設された移動案内部材としての断面が矩形の案内ロッド72が固定されている。案内ロッド72には、滑動ブロック73が摺動可能に配設されている。即ち、滑動ブロック73には案内ロッド72が挿通せしめられる断面が矩形の貫通穴が形成されており、この貫通穴を案内ロッド72に嵌挿することにより、滑動ブロック73は案内ロッド72に摺動可能に支持される。
【0022】
上記滑動ブロック73の前面には上下方向に案内レール731が形成されており、この案内レール731に沿って移動可能に押圧板支持ブロック74が移動可能に配設されている。押圧板支持ブロック74の下面には、被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6の上面である支持面に支持された半導体ウエーハ10に貼着されている保護テープPTに押圧力を作用せしめる押圧部材75が装着されている。この押圧部材75の下面は、上記チャックテーブル6の上面である支持面に対面する平行な押圧面751を有している。また、押圧部材75には、ヒーター750が内蔵されている。なお、上記押圧板支持ブロック74は、案内レール731に嵌合する被案内溝741を備えており、該被案内溝741を案内レール731に嵌合することにより案内レール731に沿って移動可能に支持される。また、押圧板支持ブロック74と滑動ブロック73との間にはエアシリンダ等の押圧作動手段(図示せず)が配設されている。従って、押圧部材75が装着された押圧板支持ブロック74は、図示しない押圧作動手段によって被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6の支持面に垂直な方向に移動せしめられる。
【0023】
図示の保護テープ平坦化手段7は、押圧部材75を装着した押圧板支持ブロック74が配設された滑動ブロック73を案内ロッド72に沿って移動せしめる移動手段76を具備している。移動手段76は、一対の支持部材71、71間に配設された雄ねじロッド761と、該雄ねじロッド761を回転駆動する電動モータ762とからなっている。雄ねじロッド761は、滑動ブロック73に形成された雌ねじ穴732に螺合するとともに、一対の支持部材71、71に回転自在に支持されている。電動モータ762は、一方の支持部材71に配設され、雄ねじロッド761に伝動連結されている。従って、電動モータ762が正転または逆転駆動されると、滑動ブロック73は案内ロッド72に沿って一方向または他方向に移動せしめられる。
【0024】
図示の研削装置1は以上のように構成されており、以下その作用について主に図1を参照して説明する。
上述したように、カセット搬入域に載置された第1のカセット11に収容されている半導体ウエーハ10の裏面を研削するには、被加工物搬送手段15を作動して第1のカセット11に収容されている研削加工前の半導体ウエーハ10を搬出し、中心合わせ手段13上に載置する。中心合わせ手段13に載置された半導体ウエーハ10は、ここで中心合わせが行われる。中心合わせ手段13において中心合わせが行われた半導体ウエーハ10は、被加工物搬入手段16によって被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられているチャックテーブル6の上面である支持面上に載置される。半導体ウエーハ10がチャックテーブル6の支持面上に載置されたならば、図示しない吸引手段を作動することにより、半導体ウエーハ10は保護テープPTを介してチャックテーブル6の支持面上に吸引保持される。
【0025】
被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられているチャックテーブル6上に半導体ウエーハ10を吸引保持したならば、保護テープ平坦化手段7の移動手段を作動して押圧板支持ブロック74に装着された押圧部材75をチャックテーブル6に保持された半導体ウエーハ10の直上に位置付けるとともに、図示しない押圧作動手段を作動して押圧板支持ブロック74を下降し、図4に示すように押圧部材75の押圧面751をチャックテーブル6に保持された半導体ウエーハ10の上面(裏面)に接触し所定の圧力で押圧する。このとき、押圧部材75に内蔵しているヒーター750を作動して半導体ウエーハ10を介して保護テープPTを100℃程度に加熱する。この結果、半導体ウエーハ10に貼着された保護テープPTは、加熱されつつチャックテーブル6の支持面と押圧部材75の押圧面751との間で半導体ウエーハ10を介してプレスされるので、厚さバラツキがあっても平坦化される(保護テープ平坦化工程)。従って、チャックテーブル6は、保護テープ平坦化手段7におけるウエーハを平面で支持する支持面を有する支持部材として機能し、該支持部材を兼用することになる。
【0026】
上述した保護テープ平坦化工程を実施したならば、ターンテーブル5を図示しない回転駆動機構によって矢印5aで示す方向に120度回動せしめて、半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル6を粗研削加工域Bに位置付ける。半導体ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル6は、粗研削加工域Bに位置付けられると図示しない回転駆動機構によって矢印6aで示す方向に回転せしめられる。一方、粗研削ユニット3の粗研削ホイール33は、矢印32aで示す方向に回転せしめられつつ研削送り手段36によって所定量下降する。この結果、チャックテーブル6上の半導体ウエーハ10の裏面(上面)に粗研削加工が施される。なお、この間に被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられた次のチャックテーブル6上には、上述したように保護テープPTが貼着された研削加工前の半導体ウエーハ10が載置され、上記保護テープ平坦化工程が実施される。
【0027】
次に、ターンテーブル5を矢印5aで示す方向に120度回動せしめて、粗研削加工された半導体ウエーハ10を保持しているチャックテーブル6を仕上げ研削加工域Cに位置付け、研削加工前の半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル6を粗研削加工域Bに位置付ける。このようにして、粗研削加工域Bに位置付けられたチャックテーブル6上に保持された粗研削加工前の半導体ウエーハ10の裏面(上面)には粗研削ユニット3によって粗研削加工が施され、仕上げ研削加工域Cに位置付けられたチャックテーブル6上に保持され粗研削加工された半導体ウエーハ10の裏面(上面)には仕上げ研削ユニット4によって仕上げ研削加工が施される。そして、被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6上には、上述したように保護テープPTが貼着された研削加工前の半導体ウエーハ10が載置され、上記保護テープ平坦化工程が実施される。次に、ターンテーブル5を矢印5aで示す方向に120度回動せしめて、仕上げ研削加工された半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル6を被加工物搬入・搬出域Aに位置付け、粗研削加工域Bにおいて粗研削加工された半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル6を仕上げ研削加工域Cに位置付ける。そして、被加工物搬入・搬出域Aにおいて上記保護テープ平坦化工程が実施された研削加工前の半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル6は粗研削加工域Bに位置付けられる。
【0028】
上述したように、粗研削加工域Bおよび仕上げ研削加工域Cを経由して被加工物搬入・搬出域Aに戻ったチャックテーブル6は、ここで仕上げ研削加工された半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。次に、被加工物搬出手段17を作動して仕上げ研削加工された半導体ウエーハ10をスピンナー洗浄手段14に搬送する。スピンナー洗浄手段14に搬送された半導体ウエーハ10は、ここで研削屑が洗浄除去されるとともに、スピン乾燥される。このようにして洗浄およびスピン乾燥された半導体ウエーハ10は、ウエーハ搬送手段15によって第2のカセット12に搬送され収納される。
【0029】
上述した粗研削加工および仕上げ研削加工からなる裏面研削工程を実施する際には、半導体ウエーハ10に貼着された保護テープPTが保護テープ平坦化工程によって平坦化されているので、半導体ウエーハ10を均一な厚さに研削することができる。そして、保護テープ平坦化工程は半導体ウエーハ10に貼着された保護テープPTを加熱しつつチャックテーブル6の支持面と押圧部材75の押圧面751との間でプレスする比較的安価な保護テープ平坦化手段7によって実施できるので、設備費が抑制され経済的である。
【0030】
次に、保護テープ平坦化手段の他の実施形態について、図5を参照して説明する。なお、図5に示す研削装置1は、上記中心合わせ手段13と被加工物搬入・搬出域Aに配設された保護テープ平坦化手段7aを構成する押圧部材77以外は、上記図1に示す研削装置1における保護テープ平坦化手段7を除いた構成と同様であるため、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
図5に示す保護テープ平坦化手段7aは、上記中心合わせ手段13と被加工物搬入・搬出域Aとの間において被加工物搬入手段16を構成する吸引パッド161の移動軌跡上に配設された押圧部材77を具備している。この押圧部材77は、ウエーハを平面で支持する支持面を有する支持部材として機能する上記被加工物搬入手段16の吸引パッド161の下面(支持面)と対面する平行な押圧面771を有しており、ヒーター770が内蔵されている。
【0031】
図5に示す保護テープ平坦化手段7aは以上のように構成されており、以下、保護テープ平坦化手段7aを用いて実施する半導体ウエーハ10に貼着された保護テープPTを平坦化する保護テープ平坦化工程について説明する。
上述したように中心合わせ手段13において中心合わせが行われた保護テープPTが貼着されている半導体ウエーハ10は、被加工物搬入手段16の吸引パッド161の下面(支持面)に吸着された状態で押圧部材77の直上に位置付けられる。次に、被加工物搬入手段16の吸引パッド161を支持する旋回アーム162を図示しない移動機構によって下方に移動し、図6に示すように吸引パッド161に吸着された半導体ウエーハ10に貼着された保護テープPTを押圧部材77上面である押圧面771に接触し所定の圧力で押圧する。このとき、押圧部材77に内蔵しているヒーター770を作動して半導体ウエーハ10に貼着された保護テープPTを100℃程度に加熱する。この結果、半導体ウエーハ10に貼着された保護テープPTは、加熱されつつ吸引パッド161の支持面と押圧部材77の押圧面771との間で半導体ウエーハ10を介してプレスされるので、厚さバラツキがあっても平坦化される(保護テープ平坦化工程)。そして、保護テープ平坦化工程は半導体ウエーハ10に貼着された保護テープPTを加熱しつつ吸引パッド161の支持面と押圧部材77の上面である押圧面771との間でプレスする比較的安価な保護テープ平坦化手段7aによって実施できるので、設備費が抑制され経済的である。
このようにして、保護テープ平坦化工程が実施された半導体ウエーハ10は、被加工物搬入手段16の吸引パッド161に吸着された状態で被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられているチャックテーブル6に搬送される。そして、粗研削加工域Bおよび仕上げ研削加工域Cに順次位置付けられて上述した粗研削加工および仕上げ研削加工が施される。
【0032】
以上のように、図示の実施形態においては、保護テープ平坦化手段7または保護テープ平坦化手段7aを装備した研削装置1を用いて半導体ウエーハ10に貼着された保護テープPTを平坦化する平坦化工程を実施するので、粗研削加工および仕上げ研削加工を実施している際に次の研削加工前の半導体ウエーハ10に貼着された保護テープPTに対して保護テープ平坦化工程を実施することができるため、保護テープ平坦化工程を実施してもトータルの研削時間が長くなることはない。
また、上述した実施形態においては、保護テープ平坦化手段7または保護テープ平坦化手段7aを装備した研削装置1を用いて半導体ウエーハ10に貼着された保護テープPTを平坦化する平坦化工程を実施する例を示したが、研削装置に保護テープ平坦化手段を必ずしも装備する必要はなく、半導体ウエーハ10に貼着された保護テープPTを平坦化するための専用の保護テープ平坦化装置によって平坦化した保護テープPTが貼着された半導体ウエーハ10を上記第1のカセット11にストックするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1:研削装置
2:研削装置の装置ハウジング
3:粗研削ユニット
33:粗研削ホイール
4:仕上げ研削ユニット
43:仕上げ研削ホイール
7,7a:保護テープ平坦化手段
75,77:押圧部材
10:半導体ウエーハ
PT:保護テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6