特許第6576961号(P6576961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイクストロン、エスイーの特許一覧

特許6576961CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品
<>
  • 特許6576961-CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品 図000002
  • 特許6576961-CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品 図000003
  • 特許6576961-CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品 図000004
  • 特許6576961-CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品 図000005
  • 特許6576961-CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品 図000006
  • 特許6576961-CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品 図000007
  • 特許6576961-CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品 図000008
  • 特許6576961-CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品 図000009
  • 特許6576961-CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品 図000010
  • 特許6576961-CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品 図000011
  • 特許6576961-CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品 図000012
  • 特許6576961-CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品 図000013
  • 特許6576961-CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品 図000014
  • 特許6576961-CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品 図000015
  • 特許6576961-CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6576961
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】CVD反応炉におけるコーティングされた平坦部品
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/44 20060101AFI20190909BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20190909BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   C23C16/44 Z
   H01L21/31 F
   H01L21/68 N
【請求項の数】26
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-574076(P2016-574076)
(86)(22)【出願日】2015年6月25日
(65)【公表番号】特表2017-522454(P2017-522454A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2015064363
(87)【国際公開番号】WO2016001053
(87)【国際公開日】20160107
【審査請求日】2018年6月13日
(31)【優先権主張番号】102014109327.5
(32)【優先日】2014年7月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502010251
【氏名又は名称】アイクストロン、エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】コルベルク、マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ブリエン、ダニエル
【審査官】 井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−270789(JP,A)
【文献】 特開平10−074705(JP,A)
【文献】 特表2007−527625(JP,A)
【文献】 特開昭50−024075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C16/00−16/56
H01L21/31
H01L21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な部品(11、12)を有するCVD反応炉であって、前記部品(11、12、15、17)は互いに平行に延在しかつ厚さ(d)の分だけ互いに離間している2つの広い面(3、3’)を有し、各広い面(3、3’)の外周縁(5)は丸い縁半径(R)及び丸い縁弧長(α)を具備する丸い縁を形成しつついかなるキンクも無く外周面(4)の縁へと移行し、前記厚さ(d)は広い面の表面と同じ面積をもつ円である均等な表面の円直径(D)よりも小さく、前記部品(11、12、15、17)が、前記広い面(3、3’)及び前記外周面(4)を室温より高いコーティング温度で被覆したコーティング(2)の材料よりも熱膨張係数が大きい材料からなるコア本体(1)を有することにより前記コーティング(2)が室温にて圧縮応力を生じる、前記CVD反応炉において、前記コーティング(2)と前記コア本体(1)の間の応力を低減するために前記丸い縁弧長(α)が90°より大きく、かつ、前記丸い縁は、前記外周面(4)の縁にて該外周面(4)に形成された少なくとも1つの谷部(6)へと続くことを特徴とするCVD反応炉。
【請求項2】
前記コーティングがSiC、TaC又は別の剛体材料であることを特徴とする請求項1に記載のCVD反応炉。
【請求項3】
前記丸い縁半径(R)が最大1mmでありかつ/又は前記コーティング(2)の厚さを超えることを特徴とする請求項1又は2に記載のCVD反応炉。
【請求項4】
前記コア本体(1)がグラファイトからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のCVD反応炉。
【請求項5】
前記コーティング(2)が1000℃以上の温度で適用されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のCVD反応炉。
【請求項6】
前記外周面(4)が、いかなるキンクも無く互いに移行しかつ少なくとも1つの谷部(6)を形成する複数の丸い部分を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のCVD反応炉。
【請求項7】
前記外周面(4)が、断面において円弧のみで形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のCVD反応炉。
【請求項8】
前記部品(11、12)が、サセプタ(12)又は蓋プレート(11)、基板キャリア(17)又は、ガス入口部品(13)のガス出口プレート(15)であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のCVD反応炉。
【請求項9】
前記部品(11、12)が円筒形状であり、かつ少なくとも20cmの直径(D)と、1cm〜3cmの間の厚さ(d)とを具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のCVD反応炉。
【請求項10】
前記部品(11、12)が円筒形状であり、かつ少なくとも30cmの直径(D)と、1cm〜3cmの間の厚さ(d)とを具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のCVD反応炉。
【請求項11】
前記部品(11、12)が円形から逸脱した輪郭を具備することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のCVD反応炉。
【請求項12】
前記部品(11、12、15、17)を通る断面において、前記部品の断面が、少なくとも前記部品の縁の近傍にて互いに平行に延在する2つのラインを具備し、それらは前記部品(11、12、15、17)の前記広い面(3、3’)の縁領域に対応し、これらのラインの末端はいかなるキンクも無く前記丸い縁(5)に対応する弧ラインへと移行し、弧ラインは円弧又はほぼ円弧で延在し、かつ曲がった接続ラインがそれらの弧ラインを互いにキンク無く接続しかつ少なくとも1つの谷部(6)を形成し、前記谷部は、弧ラインの頂点を通る直線に対して後退していることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のCVD反応炉。
【請求項13】
前記外周面(4)が、互いに前後に配置された半径R1、R2、R3を具備する円弧ラインのみの断面を形成することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のCVD反応炉。
【請求項14】
CVD反応炉において用いる平坦な部品であって、前記部品は互いに平行に延在しかつ厚さ(d)の分だけ互いに離間している2つの広い面(3、3’)を有し、各広い面(3、3’)の外周縁(5)は丸い縁半径(R)及び丸い縁弧長(α)を具備する丸い縁を形成しつついかなるキンクも無く外周面(4)の縁へと移行し、前記厚さ(d)は広い面の表面と同じ面積をもつ円である均等な表面の円直径(D)よりも小さく、前記部品(11、12、15、17)が、前記広い面(3、3’)及び前記外周面(4)を室温より高いコーティング温度で被覆したコーティング(2)の材料よりも熱膨張係数が大きい材料からなるコア本体(1)を有することにより前記コーティング(2)が室温にて圧縮応力を生じる、前記部品において、前記コーティング(2)と前記コア本体(1)の間の応力を低減するために前記丸い縁弧長(α)が90°より大きく、かつ、前記丸い縁は、前記外周面(4)の縁にて該外周面(4)に形成された少なくとも1つの谷部(6)へと続くことを特徴とする平坦部品。
【請求項15】
前記コーティングがSiC、TaC又は別の剛体材料であることを特徴とする請求項14に記載の平坦部品。
【請求項16】
前記丸い縁半径(R)が最大1mmでありかつ/又は前記コーティング(2)の厚さを超えることを特徴とする請求項14又は15に記載の平坦部品。
【請求項17】
前記コア本体(1)がグラファイトからなることを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載の平坦部品。
【請求項18】
前記コーティング(2)が1000℃以上の温度で適用されることを特徴とする請求項14〜17のいずれかに記載の平坦部品。
【請求項19】
前記外周面(4)が、いかなるキンクも無く互いに移行しかつ少なくとも1つの谷部(6)を形成する複数の丸い部分を有することを特徴とする請求項14〜18のいずれかに記載の平坦部品。
【請求項20】
前記外周面(4)が、断面において円弧のみで形成されることを特徴とする請求項14〜19のいずれかに記載の平坦部品。
【請求項21】
前記部品(11、12)が、サセプタ(12)又は蓋プレート(11)、基板キャリア(17)又は、ガス入口部品(13)のガス出口プレート(15)であることを特徴とする請求項14〜20のいずれかに記載の平坦部品。
【請求項22】
前記部品(11、12)が円筒形状であり、かつ少なくとも20cmの直径(D)と、1cm〜3cmの間の厚さ(d)とを具備することを特徴とする請求項14〜21のいずれかに記載の平坦部品。
【請求項23】
前記部品(11、12)が円筒形状であり、かつ少なくとも30cmの直径(D)と、1cm〜3cmの間の厚さ(d)とを具備することを特徴とする請求項14〜21のいずれかに記載の平坦部品。
【請求項24】
前記部品(11、12)が円形から逸脱した輪郭を具備することを特徴とする請求項14〜2のいずれかに記載の平坦部品。
【請求項25】
前記部品(11、12、15、17)を通る断面において、前記部品の断面が、少なくとも前記部品の縁の近傍にて互いに平行に延在する2つのラインを具備し、それらは前記部品(11、12、15、17)の前記広い面(3、3’)の縁領域に対応し、これらのラインの末端はいかなるキンクも無く前記丸い縁(5)に対応する弧ラインへと移行し、弧ラインは円弧又はほぼ円弧で延在し、かつ曲がった接続ラインがそれらの弧ラインを互いにキンク無く接続しかつ少なくとも1つの谷部(6)を形成し、前記谷部は、弧ラインの頂点を通る直線に対して後退していることを特徴とする請求項14〜24のいずれかに記載の平坦部品。
【請求項26】
前記外周面(4)が、互いに前後に配置された半径R1、R2、R3を具備する円弧ラインのみの断面を形成することを特徴とする請求項14〜25のいずれかに記載の平坦部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦部品を具備するCVD反応炉又は平坦部品に関する。その部品は、2つの互いに平行に延在しかつ厚みの分だけ互いに離間した好適には同一形状の広い面を有し、その外周面の縁に接続する外周縁は、各々の広い面上に丸い縁半径と丸い縁弧長とを具備する丸い縁となっており、その部品の厚さは、広い面と均等な面である円直径よりも実質的に小さく、その部品は、室温よりも高いコーティング温度にて広い面及び外周面にコーティングされた材料よりも大きな熱膨張係数をもつ材料からなるコア本体を有し、それによりコーティングが室温にて圧縮応力を呈する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ガス入口部品とその中に配置されたサセプタとを具備するCVD反応炉を開示し、サセプタは円形ディスク様形状でありコーティングプロセス中に基板を担持する。
【0003】
特許文献2もまた、2つのディスク状部品と、特にプロセスチャンバカバーと、プロセスチャンバ内でコーティングされるべき基板を収容するためのサセプタとを有するCVD反応炉を開示する。
【0004】
特許文献3の図5は、平坦な円筒部品を具備するキャップを開示する。そのキャップは、コーティングと、互いに反対向きの2つの広い面とを具備する。一方の広い面は外周面へと移行しつつ、90°の丸い弧長を具備する丸い縁を形成する。外周面は、第2の広い面へと移行しつつ、丸い縁と角縁(kinkキンク)を形成する。
【0005】
特許文献4は、CVD装置のサセプタを開示し、外周縁上に延在するビードが外周面へと移行し、丸みのある部分を形成する。
【0006】
特許文献5の図4又は特許文献6は、互いに反対向きの2つの広い面をもつサセプタを開示し、それぞれが丸い縁を形成しつつ外周面へと移行する。外周面は周方向に延在するノッチを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2013/064613号明細書
【特許文献2】国際公開第99/43874号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0183669号公報
【特許文献4】米国特許第5837058号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0205324号公報
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0092439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
基本的に、CVD反応炉のサセプタ又は蓋プレートは、グラファイトから形成される。それらのグラファイト部品は、平坦でディスク状の形状である。それらは、基本的に同一形状の互いに平行に延在する2つの広い面を具備する。円筒本体を有することができる。本体の厚さは、その直径に比べてわずかである。しかしながら、CVD反応炉は、円形輪郭を具備する部品以外に、円形ベース面とは異なるベース面をもつコーティングされた平坦部品を用いることもできる。その場合も同様に、その厚さは直径に比べてかなり小さく、その場合の直径は、その部品の広い面と同じベース面積をもつ円の直径と解釈される。
グラファイト本体は、数μmの厚さをもつ層でコーティングされる。コーティングの層厚は1mm未満である。SiC、TaC若しくは他の炭化物又は剛体材料が、コーティングのために通常用いられる。そのコーティングは、1000℃を超える温度にて適用される。コア本体は、広い面及び外周面に被覆されたコーティングよりも大きな熱膨張係数を有する。コーティングされた部品をコーティング温度から室温に冷却する間、コーティング内に応力が発生する。ここでは、圧縮応力が含まれる。その圧縮応力は、層とコア本体の異なる収縮によるものである。収縮は、部品の重心に向かう方向に生じる。もし均一な本体である場合、それは質量中心である。そうでない場合、それは体積中心である。部品がディスク状の形状であることから、外周縁が重心から比較的離間しているため、最も大きな応力は層中に生じるか又はコーティングとコア本体の界面領域に生じる。圧縮応力はコーティング内部で形成され、それは冷却中にコア本体よりも小さい度合いの収縮を生じさせる。大きな圧縮応力は、コーティング品質に対して長期間の影響を及ぼす可能性がある。
【0009】
従って、本発明の目的は、コーティングをより強固とする手段を設けるであり、特に、いかなるとき(いかなる温度)においてもコーティングに生じる重大な最大応力を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項に記載された本発明により達成される。
【0011】
モデル計算によれば、大きい丸い縁半径は、コーティングとコア本体の界面領域において最大応力を生じることが示されている。このことは、丸い縁により形成されたコーティングの弧において幾何学的に導入される安定性による。弧は、径方向において比較的高い安定性を有する。驚くべきことに、90°以上の弧長をもつ丸い縁は最大応力が好ましくなく低下してしまうことが見い出された。最大応力の好ましくない低下は、丸い縁半径が約1mm又は1mm未満のときも生じる。
【0012】
部品が平坦な円筒形であるという意味で、同一形状の広い面をもつ平坦部品の好適な形態においては、外周面上において丸い縁に続いて、くり抜かれた連続的な谷部がある場合に有利である。この谷部は、連続的に山部に移行することができる。山部は、再び谷部に移行することができる。よって外周面の断面輪郭ラインは、2つの広い面の間において好適には波状に延在する。部品が高温状態でコーティングされるので、冷却状態すなわち室温では大きな応力が生じる。その応力は、部品が1000℃を越える温度に加熱される処理中には消失する。この結果、温度変化毎に、すなわち部品を使用する毎に、負荷変動が生じる。本発明による仕様は、部品の使用寿命に対する頻繁な負荷変動の悪影響を解消するために用いることができる。丸い縁の弧長は90°以上、好適には95°、100°、105°、110°、115°以上、又は120°以上とすることが利点がある。外周面の断面輪郭ラインには全くキンクが無く、むしろ波状の形状を有する。
【0013】
部品の広い面は、滑らかな形状とすることができる。しかしながら、部品の広い面は、円形ディスク状のウェハ又は基板キャリアをそれぞれ収容するための複数の凹部を形成することもできる。サセプタである部品における下方に向いた広い面でさえ、所定の構造を形成することができる。このことは、蓋プレートについても同様である。さらに、部品が、孔を有することもできる。円筒部品の中央孔を設けることができる。孔の内壁も、部品の外周面を形成しており、それは上述した構造とされる。それは丸い縁を有し、その場合、丸い縁半径は1mm又は1mm未満とされる。
【0014】
広い面の表面は、キンク無しで丸い縁を介して外周面へと移行し、その場合、広い面の表面に対応する直線の断面を視たとき、連続的な曲線の弧がキンク無くそれに続く。広い面の表面は、ある程度の滑らかさで弧ラインへと移行し、その弧は、曲がる方向を変えることなく90°以上曲がり、その後、屈曲点で反対向きに曲がる部分へと移行し、その部分は外周面の直線状部分か又は連続的な波状部分のいずれかに移行する。
部品における広い面の縁は、部品の断面において2つの平行なラインに沿って延在する。2つの平行なラインは、広い面の表面に対応し、それらの長さの半分未満、好適には1/4未満だけ互いに離間している。これらのラインの末端は、弧ラインへと移行し、それらの弧ラインは丸い縁に対応する。これらの弧ラインは、好適には、円弧又はほぼ円弧で延在する。これらの弧の周長は、90°以上、好適には少なくとも95°又は少なくとも100°である。弧の第1端は、平行ラインの各一方にキンク無く接続する。弧の第2端は、好適には、反対向きの曲がりの弧部分へと移行し、それにより少なくとも1つの谷部が外周面に形成される。外周面の底部は、第2の弧の頂点を通る仮想ラインに対して後退している。
【0015】
好適には、部品の全周が上述した縁領域断面を有する。丸い部分の弧長が90°以上であることにより、少なくとも縁領域断面にて、丸い連続的な谷部が、部品の広い面の表面の2つの丸い外周縁の間に形成される。部品の厚さは、好適には、表面に均等な円直径よりも、少なくとも5、好適には10のファクタだけ小さい。しかしながら、輪郭が円形から逸脱することも可能である。本発明は、CVD反応炉のコーティングされた部品の外周縁の構造に関し、その部品としては、サセプタ、ポケットに載置されるサセプタの基板ホルダ、プロセスチャンバの蓋プレート、又は、シャワーヘッドのガス出口プレートを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、CVD反応炉と、その中に配置された部品11、12の概略図である。
図2図2は、円筒形状の第1平坦部品12である。
図3図3は、図2のライン3−3による断面である。
図4図4は、第2の実施形態における図3と同様の図である。
図5図5は、図4のV部分の拡大図である。
図6図6は、第3の実施形態における図5と同様の図である。
図7図7は、第4の実施形態における図5と同様の図である。
図8図8は、中央孔8を具備する円形ディスク11の形態の第5の実施形態である。
図9図9は、図8のラインIX−IXに沿った断面である。
図10図10は、ガス出口孔16を具備するコーティングされたガス出口プレート15を形成するガス入口部品13を有するCVD反応炉の図1に類似の概略図である。
図11図11は、図10のXI部分である。
図12図12は、コーティングされた基板キャリア17が配置されるポケットを具備するコーティングされたサセプタ12である。
図13図13は、図12のXIII部分の拡大図である。
図14図14は、図12のXIV部分の拡大図である。
図15図15は、図11、13、14に類似の別の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、CVD反応炉の概略図である。CVD反応炉10は、ガス入口部品13が配置されたハウジングを有し、ガス入口部品によりプロセスガスをCVD反応炉10のプロセスチャンバ内に供給可能である。プロセスチャンバ11はグラファイト部品からなり、中央に孔を有する。グラファイト部品は円形ディスク形状の輪郭を有する。
【0018】
プロセスチャンバ11の蓋プレートの下方に、サセプタ12からなるプロセスチャンバの床が配置されており、サセプタはヒーター14により1000℃を超えるプロセス温度に下方から加熱可能である。サセプタは円形の輪郭をもつグラファイト部品12からなる。サセプタ12の上面は、基板を収容するための凹部を形成した構造を設けられている。
【0019】
それらの輪郭に関して、2つのグラファイト部品11、12は、同一に形成された上面と下面を有する。それらの部品は、概略的に図2又は図8に示されており、図示された丸い縁半径は、明確に示すために、本発明で意図されたものより実質的に大きく示されている。
【0020】
図2に示す部品は、サセプタ12を表している。円形ディスク形状のグラファイト本体1は、1cm〜4cmの厚さdと、20cmを超える、特に30cmを超える直径Dとを有する。グラファイトからなるコア本体1の全表面は、コーティング2を施されている。ここでは、SiC又はTaCからなる50μm〜200μm又は75μm〜150μmの厚さのコーティングを具備する。このコーティングは、コア本体1に対して1000℃を超える温度で適用される。炭化ケイ素又は炭化タンタルはグラファイトよりも熱膨張が小さいので、グラファイトのコア本体1は、図3に示したラインに沿って符号Kで示した重心Mに向かう方向に、コーティング2よりも大きな度合いで収縮する。このことにより、互いに反対向きでかつ同一の輪郭をもつ2つの広い面3を容易に覆うことになる。コーティング部材12の冷却中、外周面4にわずかな収縮も視られる。
【0021】
本発明においては、部材12の外周縁5が、わずかな丸みを設けられている。この丸み半径Rは、コーティングの厚さより大きいが、大きくとも1mmである。
【0022】
図4及び図5に示した実施形態においては、外周縁5が、1mmの丸み半径Rをもつ丸い部分を具備する。丸い縁5の弧長αはここでは90°以上である。丸い縁の弧長αの値はここでは約120°である。この結果、外周面4に対して垂直に作用しかつ収縮に寄与することができる力Kは、表面に対しては垂直に作用せず、むしろ傾斜角をもって作用する。従って、力Kは、それ自身、分力Pと分力Sに分解し、それらは互いに垂直である。コア本体1とコーティング2の界面に対して垂直な分力Sの大きさは、力Kの大きさより小さい。この結果、コーティング内部又はコーティング2とコア本体1の界面における圧縮力を低下させる。
【0023】
丸い縁5の領域では、圧縮応力が丸みのあるコーティング2の内部で形成されるが、それは、コーティング2とコア本体1の界面を介してコア本体1内に垂直に放散されることはできない。弧の幾何学的安定性により、その力はむしろ接線方向に、広い面3又は外周面4のコーティング部分に誘導される。丸み半径Rを1mm未満の値に低減すると、これらの応力が著しく低下することになる。
【0024】
図6に示す実施形態では、グラファイトからなるコア本体1を具備する部品を示しており、それは炭化ケイ素のコーティングを設けられている。外周縁5は、ほぼ180°で丸みを設けられている。この丸い部分は、広い面3の面より上方に超えて延在している。谷部6が2つの丸い縁5の間に形成され、それにより外周面4はそれぞれの広い面3へと移行している。
【0025】
図7に示す実施形態では、外周面4の断面輪郭が波状であり、それにより山部7と谷部6が互いに交互になっている。外周面4は、全くキンク無しに2つの外周縁5の間に延在している。凸状の丸い部分は滑らかな壁を経て凹状の丸い部分へと移行している。これにより、部品の周囲に延在する谷部6と、谷部6同士の間にある山部7が周方向に形成される。
【0026】
図8は、別の実施形態を示す。部品11はここでは蓋プレートであり、中心に孔8を有する。孔8は、外周面4を形成し、それは丸い周縁5を経て広い面3へと移行している。ここでもまた、2つの丸い縁5の間に谷部6が形成されている。
【0027】
本発明は、丸い部分が、外周面4又は広い面3へと圧縮形成を伴って移行すべきである、ないしは、丸い部分が最小値より大きくなってはならないという知見に基づく。この結果、応力補償が得られる。各表面部分3、4、5、6、7が互いに全くキンクを生じずに移行する場合、すなわち、小さい丸み半径をもつ丸み領域の形成により滑らかに移行する場合、さらに利点がある。
【0028】
この実施形態は、円筒形状のグラファイト本体を開示する。しかしながら、本発明はまた、広い面の輪郭が円形から逸脱した平坦なグラファイト本体のようなものにも関連する。その場合もまた、広い面と外周面の間の移行領域の半径は1mm未満とすべきであり、丸い部分は90°以上とすべきである。
【0029】
図10は、シャワーヘッド状に形成されたガス入口部品13を具備するCVD反応炉のプロセスチャンバの別の実施形態を概略的に示している。ガス入口部品は、グラファイトからなり出口孔16を形成した出口プレート15を具備する。ガス出口プレート15の外周面は、図11に示したタイプの断面輪郭を有する。広い面3、3’は、互いに反対側にある2つの広い面3、3’の少なくとも縁部分において互いに平行に延在する。広い面の表面はそこで、いかなるキンクも無く丸い縁5へと移行し、丸い縁は約1mmの丸み半径R、Rを具備する。半径Rをもつ弧部分は、移行点18にてなだらかに接続し、丸い縁5の120°の弧長にいかなるキンクも無く続く。ガス出口プレート15の縁の断面は、2つの広い面3、3’間に延在する中央面に対して対称である。このことは、半径R、Rが同じ大きさであることを意味する。半径Rの弧は、移行点18にて半径Rの丸い縁5に接続する。丸い縁5の頂点を通る仮想線gは、谷部6を跨ぐ。谷部の底は半径Rで形成されている。
【0030】
図10に示したプロセスチャンバは、ヒーター14により下方から加熱可能なサセプタ12を有する。サセプタ12の外周面4は、図11図13図14及び図15の断面図に示したタイプの輪郭を形成可能である。
【0031】
図12は、サセプタの別の実施形態を示し、その場合、基板キャリア17がサセプタ12のポケットに挿入されている。基板キャリア17は、コーティング処理中にガス流により回転駆動され、かつ、ガス流により生成されるガスベアリング上で保持される。図13は、サセプタ12の縁断面を示し、そして図14は、基板キャリア17の縁断面を示す。図13及び図14から明らかなように、外周面4の断面は、互いに前後に配置された3つの弧からなり、半径R、R、Rをもつそれらの弧は、移行点18にて一方から他方へとキンク無く移行する。半径R、Rは約1mmである。半径Rは、最大で0.5mmの厚さのコーティング2で被覆されているコア本体1の厚さdに依存し、実質的に半径R及びRよりも大きくすることができる。部品厚さ13cmの場合、半径Rは、8mmと9mmの間とすることができる。従って、2つの丸い縁5の間の谷部6の断面半径は、好適には、丸い縁半径の5倍以上である。さらに半径Rは、移行点18を形成するように選択され、その場合曲りの方向のみが変化し、輪郭線は、いかなるキンクも無く互いに移行する。
【0032】
図15に示す実施形態は変形例であり、半径R3をもつ反対向きの曲がりの弧が、それぞれ丸い縁5に接続し、そして、直線に沿って延在する平坦な谷部6へと移行し、その場合、平坦な谷部6は、移行点19にて半径Rをもつ凹んだ丸い部分へいかなるキンクも無く移行する。
【0033】
上述したことは、本願に全体として包括される本発明を説明するためのものであり、それらは各々独立して、少なくとも以下の特徴の組み合わせにより、従来技術をさらに発展させるものである。
【0034】
コーティング2とコア本体1の間の応力を低減するために丸い縁の弧長αが90°以上であることを特徴とするCVD反応炉である。
【0035】
コーティング2とコア本体1の間の応力を低減するために丸い縁の弧長αが90°以上であることを特徴とするCVD反応炉の部品である。
【0036】
コーティングがSiC、TaC又は別の剛体材料であることを特徴とするCVD反応炉又は部品である。
【0037】
丸い縁の半径Rが最大1mmでありかつ/又はコーティング2の厚さを超えることを特徴とするCVD反応炉又は部品である。
【0038】
コア本体1がグラファイトからなることを特徴とするCVD反応炉又は部品である。
【0039】
コーティング2が1000℃以上の温度で適用されることを特徴とするCVD反応炉又は部品である。
【0040】
外周面4が、いかなるキンクも無く互いに移行しかつ少なくとも1つの谷部6を形成する複数の丸い部分を有することを特徴とするCVD反応炉又は部品である。
【0041】
外周面4が、断面において円弧のみで形成されることを特徴とするCVD反応炉又は部品である。
【0042】
部品11、12が、サセプタ12又は蓋プレート11、基板キャリア17又は、ガス入口部品13のガス出口プレート15であることを特徴とするCVD反応炉又は部品である。
【0043】
部品11、12が円筒形状であり、かつ特に少なくとも20cm、特に少なくとも30cmの直径Dと、1cm〜3cmの間の厚さdとを具備することを特徴とする前述するいずれかのクレームに記載のCVD反応炉又は部品である。
【0044】
部品11、12が円形から逸脱した輪郭を具備することを特徴とするCVD反応炉又は部品である。
【0045】
部品11、12、15、17を通る断面において、部品の断面が、少なくとも部品の縁の近傍にて互いに平行に延在する2つのラインを具備し、それらは部品11、12、15、17の広い面3、3’の縁領域に対応し、これらのラインの末端はいかなるキンクも無く丸い縁5に対応する弧ラインへと移行し、弧ラインは円弧又はほぼ円弧で延在し、かつ曲がった接続ラインがそれらの弧ラインを互いにキンク無く接続しかつ少なくとも1つの谷部6を形成し、谷部は、弧ラインの頂点を通る直線に対して後退していることを特徴とするCVD反応炉又は部品である。
【0046】
外周面4が、互いに前後に配置された半径R、R、Rを具備する円弧ラインのみの断面を形成することを特徴とするCVD反応炉又は部品である。
【0047】
全ての開示された特徴は、個別であっても互いに組み合わせても本発明に本質的なものである。本発明の開示はまた、付属/添付の優先権書類(基礎出願の複写)の開示内容もまたその全体を、これらの書類の特徴を本願の請求の範囲に含める目的のためにも包含するものである。従属項の特徴は、従来技術の更なる発展である独立した発明を特徴付けるものであり、特にこれらの請求項に基づく分割出願を行うためである。
【符号の説明】
【0048】
1 コア本体
2 コーティング
3 広い面
4 外周面
5 外周縁、丸い縁
6 谷部
7 山部
8 孔
10 CVD反応炉
11 蓋プレート
12 サセプタ
13 ガス入口部品
14 ヒーター
15 ガス出口プレート
16 ガス出口開口
17 基板キャリア
18 移行点
19 移行点
α 弧長
d 厚さ
g 直線
D 円直径
K 力
P 分力
R1、R2、R3 半径
S 分力
M 重心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15