(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリオール系化合物(b3)が、ポリエステル系ポリオール及び/又はポリエーテル系ポリオールであることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の重量平均分子量が1,000〜100,000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本明細書において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートを、(メタ)アクリロイロキシはアクリロイロキシあるいはメタクリロイロキシを、それぞれ意味するものであり、アクリル系樹脂とは、(メタ)アクリレート系モノマーを1種以上含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
【0016】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、及びウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)を含有するものである。以下、各成分について説明する。
【0017】
〔ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)〕
本発明におけるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)とは、イソシアネート系化合物(a1)、及び水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)を反応させてなるものである。ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0018】
イソシアネート系化合物(a1)は、イソシアヌレート骨格を有する化合物であり、例えば、芳香族系ジイソシアネート、脂肪族系ジイソシアネート、脂環式系ジイソシアネート等のジイソシアネートをイソシアヌレート化したイソシアヌレート骨格を有するイソシアネート系化合物が挙げられる。
【0019】
上記芳香族系ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が挙げられ;上記脂肪族系ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等が挙げられ;上記脂環式系ジイソシアネートとしては、例えば、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0020】
これらの中でも、耐黄変性に優れる点で脂肪族系ジイソシアネートが好ましく、さらに硬化塗膜の耐擦傷性と屈曲性のバランスに優れる点で、脂肪族系ジイソシアネートをイソシアヌレート化したイソシアヌレート骨格を有するイソシアネート系化合物が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化したイソシアヌレート骨格を有するイソシアネート系化合物が特に好ましい。
【0021】
水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、脂肪酸変性−グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、等のエチレン性不飽和基を1つ含有する(メタ)アクリレート系化合物;グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイル−オキシプロピルメタクリレート等のエチレン性不飽和基を2つ含有する(メタ)アクリレート系化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基を3つ以上含有する(メタ)アクリレート系化合物が挙げられる。水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0022】
これらの中でも、反応性および汎用性に優れ、硬化塗膜の耐擦傷性と屈曲性のバランスに優れる点で、エチレン性不飽和基を3つ以上含有する(メタ)アクリレート系化合物が好ましく、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0023】
本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)は、上記のイソシアネート系化合物(a1)のイソシアネート基と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)の水酸基との官能基モル比を調整し、必要に応じてジブチルチンジラウレートなどの触媒を用いて、イソシアネート系化合物(a1)と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)とを反応させて得ることができる。
【0024】
具体的には、イソシアネート系化合物(a1)と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)との反応モル比は、例えば、イソシアネート系化合物(a1)のイソシアネート基が2個で、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)の水酸基が1個である場合は、イソシアネート系化合物(a1):水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)が1:2程度であり、イソシアネート系化合物(a1)のイソシアネート基が3個で、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)の水酸基が1個である場合は、イソシアネート系化合物(a1):水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)が1:3程度である。
【0025】
このイソシアネート系化合物(a1)と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)との付加反応においては、反応系の残存イソシアネート基含有率が0.5重量%以下になる時点で反応を終了させることにより、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)が得られる。
【0026】
かかるイソシアネート系化合物(a1)と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)との反応においては、反応を促進する目的で触媒を用いることも好ましく、かかる触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、トリメチル錫ヒドロキシド、テトラ−n−ブチル錫、ビスアセチルアセトナート亜鉛、ジルコニウムトリス(アセチルアセトネート)エチルアセトアセテート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機金属化合物、オクテン酸錫、ヘキサン酸亜鉛、オクテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、ナフテン酸コバルト、塩化第1錫、塩化第2錫、酢酸カリウム等の金属塩、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等のアミン系触媒、硝酸ビスマス、臭化ビスマス、ヨウ化ビスマス、硫化ビスマス等の他、ジブチルビスマスジラウレート、ジオクチルビスマスジラウレート等の有機ビスマス化合物や、2−エチルヘキサン酸ビスマス塩、ナフテン酸ビスマス塩、イソデカン酸ビスマス塩、ネオデカン酸ビスマス塩、ラウリル酸ビスマス塩、マレイン酸ビスマス塩、ステアリン酸ビスマス塩、オレイン酸ビスマス塩、リノール酸ビスマス塩、酢酸ビスマス塩、ビスマスリビスネオデカノエート、ジサリチル酸ビスマス塩、ジ没食子酸ビスマス塩等の有機酸ビスマス塩等のビスマス系触媒等が挙げられ、中でも、ジブチル錫ジラウレート、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセンが好適である。これらを単独、あるいは2種以上併せて用いることができる。
【0027】
またイソシアネート系化合物(a1)と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)との反応においては、イソシアネート基に対して反応する官能基を有しない有機溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等の有機溶剤を用いることができる。
【0028】
かくして本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)が得られるが、かかるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)のエチレン性不飽和基濃度(mmol/g)は、3mmol/g以上であり、好ましくは3〜10mmol/gであり、特に好ましくは4〜9mmol/g、更に好ましくは5〜8mmol/g、殊に好ましくは5〜7mmol/gである。
かかるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)のエチレン性不飽和基濃度(mmol/g)が低すぎると硬化塗膜の硬度が低下し、耐擦傷性が低下する傾向がある。
【0029】
なお、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)のエチレン性不飽和基濃度は、例えば、下記式(1)で計算することができる。
〔式(1)〕ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)のエチレン性不飽和基濃度(mmol/g)= 水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)のエチレン性不飽和基濃度(mmol/g)×(ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)中の水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)の重量/ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の重量)
【0030】
よって、イソシアネート系化合物(a1)と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)の重量比を変更することでウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)のエチレン性不飽和基濃度は調整することができ、例えば、イソシアネートと水酸基のモル比を一定にした場合は、分子量が大きいイソシアネート系化合物(a1)を使用すれば、得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)のエチレン性不飽和濃度が相対的に下がり、分子量が小さいイソシアネート系化合物(a1)を使用すれば、得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)のエチレン性不飽和基濃度が相対的に上がる。また、分子量が大きくエチレン性不飽和基濃度が高い水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)を使用すれば、得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)のエチレン性不飽和濃度が上がり、分子量が小さくエチレン性不飽和基濃度が低い水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a2)を使用すれば、得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)のエチレン性不飽和濃度は下がる。
【0031】
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の重量平均分子量としては、好ましくは2,000〜100,000、特に好ましくは3,000〜80,000、更に好ましくは5,000〜50,000である。
かかる重量平均分子量が高すぎると粘度が高くなり取り扱いが困難となる傾向があり、かかる重量平均分子量が低すぎると得られる硬化塗膜の屈曲性と硬度のバランスが低下する傾向がある。
【0032】
なお、上記の重量平均分子量とは、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、例えば、高速液体クロマトグラフィー(日本ウォーターズ社製、「Waters2695(本体)」と「Waters2414(検出器)」)に、カラム:ShodexGPCKF−806L(排除限界分子量:2×10
7、分離範囲:100〜2×10
7、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定することができる。
【0033】
〔ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)〕
本発明におけるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)とは、イソシアネート系化合物(b1)、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)、及びポリオール系化合物(b3)を反応させてなるものである。ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0034】
イソシアネート系化合物(b1)は、脂環構造含有イソシアネートであり、例えば、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、水添化キシリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。イソシアネート系化合物(b1)は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0035】
水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、脂肪酸変性−グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基を1つ含有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物;グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイル−オキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基を2つ以上含有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物;が挙げられる。水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0036】
これらの中でも、エチレン性不飽和基を1つ含有する水酸基(メタ)アクリレート系化合物が好ましく、反応性および汎用性に優れる点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
【0037】
ポリオール系化合物(b3)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2,2−ジメチロールヘプタン、トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、水添ビスフェノールA、ヒドロキシアルキル化ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)ジメチルヒダントイン等の低分子量のジオール;ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、(メタ)アクリル系ポリオール、ポリカプロラクトン系ポリオール、ポリシロキサン系ポリオール、ポリウレタン系ポリオール等の高分子量のポリオールが挙げられる。
【0038】
ポリエーテル系ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のオキシアルキレン構造含有ポリエーテル系ポリオールや、これらポリアルキレングリコールのランダム或いはブロック共重合体が挙げられる。
【0039】
これらの中でも、オキシアルキレン構造含有ポリエーテル系ポリオールが好ましく、アルキレン構造の炭素数としては、好ましくは2〜6、特に好ましくは2〜4、更に好ましくは4である。
【0040】
ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物;環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコール、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分による反応物などが挙げられる。
上記多価アルコールとしては、前記の低分子量ジオール等が挙げられる。
上記多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
上記環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
【0041】
ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物;炭酸エステルと多価アルコールとのエステル交換反応物などが挙げられる。
上記多価アルコールとしては、前記の低分子量ジオール等が挙げられ、上記アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート及びジフェニルカーボネートなどが挙げられる。
なお、ポリカーボネート系ポリオールは、分子内にカーボネート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物であればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を有していてもよい。
【0042】
ポリオレフィン系ポリオールとしては、飽和炭化水素骨格としてエチレン、プロピレン、ブテン等のホモポリマーまたはコポリマーを有し、その分子末端に水酸基を有するものが挙げられる。
【0043】
ポリブタジエン系ポリオールとしては、炭化水素骨格としてブタジエンの共重合体を有し、その分子末端に水酸基を有するものが挙げられる。
ポリブタジエン系ポリオールは、その構造中に含まれるエチレン性不飽和基の全部または一部が水素化された水添化ポリブタジエン系ポリオールであってもよい。
【0044】
(メタ)アクリル系ポリオールとしては、(メタ)アクリル酸エステルを重合体又は共重合体の分子内にヒドロキシル基を少なくとも2つ有しているものが挙げられ、かかる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
【0045】
ポリカプロラクトン系ポリオールとしては、多価アルコールのε−カプロラクトン付加物等が挙げられる。
【0046】
ポリシロキサン系ポリオールとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン系ポリオールやメチルフェニルポリシロキサン系ポリオール等が挙げられる。
【0047】
ポリウレタン系ポリオールとしては、例えば、多価イソシアネート系化合物とポリオール系化合物の反応物などが挙げられる。
【0048】
これらポリオール系化合物(b3)の中でも、ポリエステル系ポリオール及び/又はポリエーテル系ポリオールであることが、得られる硬化塗膜が耐擦傷性と屈曲性にバランスよく優れる点で好ましい。
また、水酸基を3個以上含有するポリオール系化合物を用いることが、得られる硬化塗膜が耐擦傷性と屈曲性に更にバランスよく優れる点で好ましく、更には、水酸基が3個以上のポリエステル系ポリオールを用いることが特に好ましい。
【0049】
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の製造法は、通常、上記イソシアネート系化合物(b1)、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)、及びポリオール系化合物(b3)を反応器に一括又は別々に仕込み反応させればよいが、ポリオール系化合物(b3)とイソシアネート系化合物(b1)とを予め反応させて得られる反応生成物に、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)を反応させるのが、反応の安定性や副生成物の低減等の点で有用である。
【0050】
ポリオール系化合物(b3)とイソシアネート系化合物(b1)との反応には、公知の反応手段を用いることができる。その際、例えば、イソシアネート系化合物(b1)中のイソシアネート基:ポリオール系化合物(b3)中の水酸基とのモル比を通常2n:0.1×(2n−2)〜2n:(2n−2)(nは2以上の整数)程度にすることにより、イソシアネート基を残存させた末端イソシアネート基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を得た後、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との付加反応を可能にする。
【0051】
上記ポリオール系化合物(b3)とイソシアネート系化合物(b1)とを予め反応させて得られる反応生成物と、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との付加反応にも、公知の反応手段を用いることができる。
【0052】
反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との反応モル比は、例えば、イソシアネート系化合物(b1)のイソシアネート基が2個で、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)の水酸基が1個である場合は、反応生成物:水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)が1:2〜1:5程度であり、イソシアネート系化合物(b1)のイソシアネート基が3個で、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)の水酸基が1個である場合は、反応生成物:水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)が1:3〜1:10程度である。
この反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との付加反応においては、反応系の残存イソシアネート基含有率が0.5重量%以下になる時点で反応を終了させることにより、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)が得られる。
【0053】
かかるポリオール系化合物(b3)とイソシアネート系化合物(b1)との反応、更にその反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との反応においては、反応を促進する目的で触媒を用いることも好ましく、かかる触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、トリメチル錫ヒドロキシド、テトラ−n−ブチル錫、ビスアセチルアセトナート亜鉛、ジルコニウムトリス(アセチルアセトネート)エチルアセトアセテート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機金属化合物、オクテン酸錫、ヘキサン酸亜鉛、オクテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、ナフテン酸コバルト、塩化第1錫、塩化第2錫、酢酸カリウム等の金属塩、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等のアミン系触媒、硝酸ビスマス、臭化ビスマス、ヨウ化ビスマス、硫化ビスマス等の他、ジブチルビスマスジラウレート、ジオクチルビスマスジラウレート等の有機ビスマス化合物や、2−エチルヘキサン酸ビスマス塩、ナフテン酸ビスマス塩、イソデカン酸ビスマス塩、ネオデカン酸ビスマス塩、ラウリル酸ビスマス塩、マレイン酸ビスマス塩、ステアリン酸ビスマス塩、オレイン酸ビスマス塩、リノール酸ビスマス塩、酢酸ビスマス塩、ビスマスリビスネオデカノエート、ジサリチル酸ビスマス塩、ジ没食子酸ビスマス塩等の有機酸ビスマス塩等のビスマス系触媒等が挙げられ、中でも、ジブチル錫ジラウレート、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセンが好適である。これらを単独であるいは2種以上併せて用いることができる。
【0054】
またポリオール系化合物(b3)とイソシアネート系化合物(b1)との反応、更にその反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との反応においては、イソシアネート基に対して反応する官能基を有しない有機溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等の有機溶剤を用いることができる。
【0055】
また、反応温度は、通常30〜90℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間は、通常2〜10時間、好ましくは3〜8時間である。
【0056】
かくして本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)が得られるが、かかるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)のエチレン性不飽和基濃度(mmol/g)は、
1.5mmol/g以上かつ3mmol/g未満であり、好ましくは
1.5〜2.9
mmol/gであり、特に好ましくは
1.5〜2.7mmol/g、更に好ましくは1.5〜2.5mmol/gである。
かかるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)のエチレン性不飽和基濃度(mmol/g)が高すぎると得られる硬化塗膜の屈曲性が低下する傾向がある。
【0057】
なお、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)のエチレン性不飽和基濃度は、例えば、下記式(2)で計算することができる。
〔式(2)〕ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)のエチレン性不飽和基濃度(mmol/g)= 水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)のエチレン性不飽和基濃度(mmol/g)×(ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)中の水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)の重量/ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の重量)
【0058】
よって、イソシアネート系化合物(b1)、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)及びポリオール系化合物(b3)の重量比を変更することでウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)のエチレン性不飽和基濃度は調整することができ、例えば、イソシアネートと水酸基のモル比を一定にした場合は、分子量が大きいイソシアネート系化合物(b1)を使用すれば、得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)のエチレン性不飽和濃度が相対的に下がり、分子量が小さいイソシアネート系化合物(b1)を使用すれば、得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)のエチレン性不飽和基濃度が相対的に上がる。また、分子量が大きくエチレン性不飽和基濃度が高い水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)を使用すれば、得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)のエチレン性不飽和濃度が上がり、分子量が小さくエチレン性不飽和基濃度が低い水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)を使用すれば、得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)のエチレン性不飽和濃度は下がる。
さらに、分子量が大きいポリオール系化合物(b3)を使用すれば、得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)のエチレン性不飽和濃度が下がり、分子量が小さいポリオール系化合物(b3)を使用すれば、得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)のエチレン性不飽和濃度は上がる。
【0059】
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の重量平均分子量としては、好ましくは1,000〜100,000、特に好ましくは2,000〜30,000、更に好ましくは2,500〜10,000、殊に好ましくは3,000〜5,000である。
かかる重量平均分子量が高すぎると粘度が高く取り扱いが困難になる傾向があり、かかる重量平均分子量が低すぎると得られる硬化塗膜の屈曲性が低下する傾向がある。
【0060】
なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、上記と同様の方法により測定することができる。
【0061】
〔活性エネルギー線硬化性樹脂組成物〕
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、及びウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)を含有し、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)との含有割合(重量比)〔(A)/(B)〕が1以上であり、好ましくは1〜30、特に好ましくは1.5〜20、更に好ましくは2〜10である。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)との含有割合(重量比)〔(A)/(B)〕が小さすぎると、得られる硬化塗膜の硬度や耐擦傷性が低下する傾向がある。
【0062】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、光重合開始剤、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)及び(B)以外のエチレン性不飽和モノマー、アクリル樹脂、表面調整剤、レベリング剤、重合禁止剤等を添加することができ、更には、油、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、安定剤、補強剤、艶消し剤、研削剤、有機微粒子、無機粒子等を配合することも可能である。
【0063】
上記光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類;等が挙げられる。なお、これら光重合開始剤は、単独で用いるか、または2種以上を併用することができる。
【0064】
また、これら光重合開始剤の助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。これらの助剤も単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0065】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、塗工時の粘度を調整するために、希釈のための有機溶剤を使用することも好ましい。かかる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、トルエン、キシレン等の芳香族類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ジアセトンアルコール等が挙げられる。これら上記の有機溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、グリコールエーテル類、ケトン類、アルコール類の中から2種以上を選択して組み合わせることが塗膜外観の点で好ましい。
【0066】
なお、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を製造するにあたり、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)及びウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)、必要に応じてその他成分の混合方法については、特に限定されるものではなく、種々の方法を採用することができる。
【0067】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、各種基材へのトップコート剤やアンカーコート剤など、塗膜形成用の硬化性樹脂組成物として有効に用いられるものである。本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、硬化塗膜とした際に、ウレタン構造特有の塗膜伸張性を維持しつつ、三次元網目構造による塗膜収縮性が備わることから、伸張・収縮性能を持つ塗膜が得られるものであり、そのため、傷に対する復元性として実用性の高い硬化塗膜を形成でき、塗料、インク、コーティング剤、とりわけ最表面用コーティング剤として特に有用である。
以下、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有するコーティング剤について説明する。
【0068】
〔コーティング剤〕
本発明のコーティング剤は、基材に塗工した後(有機溶剤で希釈した組成物を塗工した場合には、さらに乾燥させた後)、活性エネルギー線を照射することにより硬化させることができる。
【0069】
本発明のコーティング剤を塗工する対象である基材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン系樹脂等やそれらの成型品(フィルム、シート、カップ、等)等のプラスチック基材、それらの複合基材、またはガラス繊維や無機物を混合した前記材料の複合基材等、金属(アルミニウム、銅、鉄、SUS、亜鉛、マグネシウム、これらの合金等であり、金属蒸着膜等の金属膜を含む。)や、ガラス等の基材上にプライマー層を設けた基材等が挙げられる。
【0070】
コーティング剤の塗工方法としては、例えば、スプレー、シャワー、ディッピング、ロール、スピン、スクリーン印刷、インクジェット印刷等のようなウェットコーティング法が挙げられ、通常は常温の条件下で基材に塗工することができる。
【0071】
また、本発明のコーティング剤は、上記有機溶剤を用いて、固形分濃度が、通常3〜60重量%、好ましくは5〜40重量%になるように希釈して、塗工することが好ましい。
【0072】
上記有機溶剤による希釈を行なった際の乾燥条件としては、温度が、通常40〜120℃、好ましくは50〜100℃で、乾燥時間が、通常1〜20分、好ましくは2〜10分であればよい。
【0073】
基材上に塗工されたコーティング剤を硬化させる際に使用する活性エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。なお、電子線照射を行う場合は、光重合開始剤を用いなくても硬化し得る。
【0074】
紫外線照射により硬化させる際には、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いて、通常30〜3000mJ/cm
2(好ましくは100〜1500mJ/cm
2)の紫外線を照射することができる。
紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
【0075】
塗工膜厚(硬化後の膜厚)としては、通常、活性エネルギー線硬化性の塗膜として光重合開始剤が均一に反応するべく光線透過を鑑みると、2〜1000μmであり、好ましくは3〜500μmであり、特に好ましくは3〜100μmである。
【0076】
かくして得られる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有するコーティング剤は、屈曲性や耐クラック性に優れた硬化塗膜を形成することができ、例えば、優れた屈曲性が要求されるフレキシブルディスプレイ等の光学用部材の表面コーティング剤や、硬化塗膜に耐クラック性が要求される打ち抜き加工用等のコーティング剤として、特に有用である。
【実施例】
【0077】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。また、水酸基価、エチレン性不飽和基濃度、及び重量平均分子量の
測定は、上記に記載の方法に従って行なった。
【0078】
<製造例1:ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)>
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソシアヌレート骨格を有するヘキサメチレンジイソシアネートの三量体(イソシアネート基含有量:21.0%)を29.3g(0.05モル)、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(水酸基価120mgKOH/g)を70.7g(0.15モル)、重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール0.06g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%以下となった時点で反応を終了し、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)(エチレン性不飽和基濃度6.0mmol/g;重量平均分子量は10,500)70gと、ペンタエリスリトールテトラアクリレート30gの混合物を得た。
【0079】
<製造例2:ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A’−1)>
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)の製造例において、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体29.3g(0.05モル)を、イソホロンジイソシアネート15.8g(0.07モル)に変更した以外は同様にして反応を行い、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A’−1)(エチレン性不飽和基濃度7.3mmol/g;重量平均分子量は1,500)61.5gと、ペンタエリスリトールトリアクリレート6.7g、ペンタエリスリトールテトラアクリレート31.8gの混合物を得た。
かかるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A’−1)は、イソシアヌレート骨格を有さないウレタン(メタ)アクリレート系化合物である。
【0080】
<製造例3::ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A’−2)>
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)の製造例において、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(水酸基価120mgKOH/g)70.7g(0.15モル)を、4−ヒドロキシブチルアクリレート22.1g(0.15モル)に変更した以外は同様にして反応を行い、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A’−2)(エチレン性不飽和基濃度2.9mmol/g;重量平均分子量は3,000)を得た。
かかるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A’−2)は、エチレン性不飽和基濃度が3mmol/g未満のウレタン(メタ)アクリレート系化合物である。
なお、エチレン性不飽和基濃度については、4−ヒドロキシブチルアクリレートのエチレン性不飽和基濃度が6.8mmol/gで、仕込み重量より計算するとウレタン(メタ)アクリレート化合物(A’−2)中に4−ヒドロキシブチルアクリレートは43%含まれることから、6.8×0.43=2.9mmol/gと計算される。
【0081】
<製造例4::ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)>
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート37.5g(0.17モル)、ポリテトラメチレングリコールジオール25.5g(水酸基価167mgKOH/g;水酸基価から計算される分子量672;0.04モル)、ポリエステルトリオール13.4g(水酸基価262mgKOH/g;水酸基価から計算される分子量642;0.02モル)、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、80℃で反応させた。残存イソシアネート基が11%以下となった時点で、2−ヒドロキシエチルアクリレート23.6g(0.2モル)、重合禁止剤としてメトキシフェノール0.04gをさらに仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%以下となった時点で反応を終了し、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)(エチレン性不飽和基濃度2.0mmol/g;重量平均分子量は3,400)を得た。
【0082】
<製造例5::ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−2)>
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート39.9g(0.18モル)、ポリエステルトリオール38.5g(水酸基価262mgKOH/g;水酸基価から計算される分子量642;0.06モル)、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、80℃で反応させた。残存イソシアネート基が9.6%以下となった時点で、2−ヒドロキシエチルアクリレート21.6g(0.18モル)、重合禁止剤としてメトキシフェノール0.04gをさらに仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%以下となった時点で反応を終了し、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−2)(エチレン性不飽和基濃度1.8mmol/g;重量平均分子量は2,100)を得た。
【0083】
<製造例6::ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−3)>
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート32.8g(0.15モル)、ポリテトラメチレングリコールジオール49.6g(水酸基価167mgKOH/g、水酸基価から計算される分子量672;0.07モル)、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、80℃で反応させた。残存イソシアネート基が7.5%以下となった時点で、2−ヒドロキシエチルアクリレート17.6g(0.15モル)、重合禁止剤としてメトキシフェノール0.04gをさらに仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%以下となった時点で反応を終了し、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−3)(エチレン性不飽和基濃度1.5mmol/g;重量平均分子量は2,200)を得た。
【0084】
<製造例7::ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B’−1)>
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)の製造例において、2−ヒドロキシエチルアクリレート23.6g(0.2モル)を、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(水酸基価120mgKOH/g)95g、に変更した以外は同様にして反応を行い、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B’−1)(エチレン性不飽和基濃度4.4mmol/g;重量平均分子量は3,500)137gとペンタエリスリトールテトラアクリレート34gの混合物を得た。
かかるウレタン(メタ)アクリレート形化合物(B’−1)は、エチレン性不飽和基濃度が3mmol/g以上のウレタン(メタ)アクリレート系化合物である。
【0085】
<製造例8::ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B’−2)>
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)の製造例において、イソホロンジイソシアネート37.5g(0.17モル)を、ヘキサメチレンジイソシアネート28.4g(0.17モル)に変更した以外は同様にして反応を行い、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B’−2)(エチレン性不飽和基濃度2.2mmol/g;重量平均分子量は3,300)を得た。
かかるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B’−2)は、脂環構造を含有しないウレタン(メタ)アクリレート系化合物である。
【0086】
<実施例1>
上記で得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)とペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物90部、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)10部、光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン株式会社製;「イルガキュア184」)を4部、希釈溶剤として酢酸エチル100部を均一に混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0087】
<実施例2>
上記で得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)とペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物70部、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)30部、光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン株式会社製;「イルガキュア184」)を4部、希釈溶剤として酢酸エチル100部を均一に混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0088】
<実施例3>
上記で得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)とペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物60部、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)40部、光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン株式会社製;「イルガキュア184」)を4部、希釈溶剤として酢酸エチル100部を均一に混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0089】
<実施例4>
上記で得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)とペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物70部、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−2)30部、光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン株式会社製;「イルガキュア184」)を4部、希釈溶剤として酢酸エチル100部を均一に混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0090】
<実施例5>
上記で得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)とペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物80部、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−3)20部、光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン株式会社製;「イルガキュア184」)を4部、希釈溶剤として酢酸エチル100部を均一に混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0091】
<実施例6>
上記で得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)とペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物70部、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−2)20部、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−3)10部、光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン株式会社製;「イルガキュア184」)を4部、希釈溶剤として酢酸エチル100部を均一に混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0092】
<比較例1>
実施例2において、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)とペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物70部を、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A’−1)とペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物70部に変更した以外は同様にして、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0093】
<比較例2>
実施例2において、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)とペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物70部を、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPHA/DPPA)の混合物(水酸基価48mgKOH/g)70部に変更した以外は同様にして、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0094】
<比較例3>
実施例2において、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)30部を、上記で得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B’−1)とペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物30部に変更した以外は同様にして、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0095】
<比較例4>
実施例2において、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)とペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物70部を、上記で得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A’−2)70部に変更した以外は同様にして、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0096】
<比較例5>
実施例2において、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)30部を、上記で得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B’−2)30部に変更した以外は同様にして、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0097】
<比較例6>
上記で得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)とペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物30部、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)70部、光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン株式会社製;「イルガキュア184」)を4部、希釈溶剤として酢酸エチル100部を均一に混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0098】
<比較例7>
上記で得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)とペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物40部、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)60部、光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン株式会社製;「イルガキュア184」)を4部、希釈溶剤として酢酸エチル100部を均一に混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0099】
<比較例8>
上記で得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)とペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物100部、光開始剤としてイルガキュア184を4部、希釈溶剤として酢酸エチル100部を均一に混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0100】
<比較例9>
上記で得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)100部、光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン株式会社製;「イルガキュア184」)を4部、希釈溶剤として酢酸エチル100部を均一に混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0101】
上記の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、易接着層を設けた厚み125μmPETフィルム上にバーコーターを用いて、乾燥後の膜厚が5μmとなるように塗工し、60℃で3分間乾燥させた。その後、高圧水銀灯ランプ80W、1灯を用いて、18cmの高さから5.1m/minのコンベア速度で2パスの紫外線照射(積算照射量500mJ/cm
2)を行い、硬化塗膜を形成した。
得られた硬化塗膜について、下記の評価を行なった。
【0102】
(鉛筆硬度)
上記硬化塗膜について、JIS K 5600−5−4に準じて鉛筆硬度を測定した。
【0103】
(耐擦傷性)
上記硬化塗膜について、500g又は100gの荷重をかけたスチールウール#0000を硬化塗膜表面で10往復させた後の表面の傷付き度合いを目視により観察し、以下のとおり評価した。
(評価)
◎・・・全く傷が付かないもの
○・・・わずかに傷が付いたもの
△・・・多少傷が付いたもの
×・・・塗膜が傷つきにより白化したもの
【0104】
(屈曲性)
上記硬化塗膜について、JIS K 5600−5−1に準じて、円筒形マンドレル屈曲試験機を用いて屈曲性の評価を行った。評価用硬化塗膜を試験棒に巻き付けた際に、割れ又は剥がれが生じる最大の径(整数値、mm)を測定し、下記のとおり評価した。
(評価)
◎・・・2未満(2mmの径でも割れが生じない)
○・・・2〜3
△・・・4〜5
×・・・6以上
【0105】
(耐カール性)
上記硬化塗膜について、10cm×10cm四方にサンプルを切り出して水平な面に置き、四隅の浮き上がりの平均値を測定し、下記のとおり評価した。
(評価)
◎・・・全く浮きがないもの
○・・・1mm以下の浮きがあるもの
△・・・1mmを超えて5mm以下の浮きがあるもの
×・・・5mmを超える浮きがあるもの
【0106】
【表1】
【0107】
PE3A:ペンタエリスリトールトリアクリレート
PE4A:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物
なお、表中、「−」は配合されていないことを示す。
【0108】
実施例1〜6の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から得られる硬化塗膜は、イソシアヌレート骨格を有しており、エチレン性不飽和基濃度が高いウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)と、脂環構造含有イソシアネート由来であり、エチレン性不飽和基濃度が低いウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)とを含有し、含有割合〔(A)/(B)〕が1以上である組成物から得られるので、耐擦傷性と屈曲性にバランスよく優れ、更にカール性が低く、硬度も高い塗膜であり、屈曲性や耐クラック性に優れた硬化塗膜であることが分かる。
【0109】
一方、比較例1〜9の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から得られる硬化塗膜は、耐擦傷性と屈曲性のいずれか、もしくは双方が不十分であることがわかる。また、比較例1〜4及び6〜9での硬化塗膜はカール性と硬度のいずれかが不十分であることも分かる。