(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インサート成形する工程の前に、前記切断面に露出された前記導電体コアの表面に前記金属膜を配置する工程を有する請求項1に記載の発光素子載置用基体の製造方法。
前記インサート成形する工程の後に、前記切断面に露出された前記導電体コアの表面に前記金属膜を配置する工程を有する請求項1に記載の発光素子載置用基体の製造方法。
前記配列する工程において、絶縁性スペーサ部材を用いて前記コア部の位置を調整する工程を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光素子載置用基体の製造方法。
前記インサート成形する工程の前に、所定の前記コア部の側面に保護素子を電気的に接続する工程を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光素子載置用基体の製造方法。
前記金型は凸部を有し、前記凸部で前記導電体コアを押さえて金型内の空隙に前記遮光性樹脂組成物を注入して、底面に前記導電体コアが露出された凹部を形成する工程を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光素子載置用基体の製造方法。
前記発光素子は、前記発光素子載置用基体に近い側の面に正負の電極を有しており、前記複数の導電体コアと前記発光素子の正負の電極とがそれぞれ電気的に接続される、請求項14に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する発光素子載置用基体及び発光素子載置用基体の製造方法は、本開示の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示を以下のものに限定しない。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。他の実施形態において説明した構成のうち同一の名称については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を容易にするため、誇張していることがある。
【0009】
本実施形態に係る発光素子載置用基体100の製造方法は、導電体コア12の表面に光反射性の絶縁部材14を有するコア部16を、複数配列する工程と、配列されたコア部を切断して、切断面に導電体コア12及び絶縁部材14が露出された基体準備体40を形成する工程と、基体準備体40を上側金型及び下側金型を含む金型内に装填し、金型に遮光性樹脂組成物を注入してインサート成形する工程を備える。以下、
図1〜8を参照しながら、本実施の形態に係る発光素子載置用基体の製造方法について説明する。
【0010】
(コア部16の配列)
まず、
図2に示すように、円柱状のコア部16を配列する。ここでは、コア部16と略同じ大きさの円柱状の絶縁性スペーサ部材18を用いてコア部16の位置を調整している。本実施形態では、一列に配列された複数(
図2においては2つ)のコア部16で構成されるコア部の組の間に、1つの絶縁性スペーサ部材18が配置された列と、複数の絶縁性スペーサ部材18のみが配置された列が交互に複数配置されている。
【0011】
(コア部16の接着)
上述の配列を繰り返し、
図3に示すようにコア部16及び絶縁性スペーサ部材18の集合体を形成する。隣接する列は接着剤等を用いて互いに接着される。
【0012】
コア部16は、
図1Aに示すように、導電体コア12と、導電体コア12の側面を被覆する光反射性の絶縁部材14を備える。導電体コア12の形状は、円柱状のほか、円柱状以外の四角柱状や六角柱状であってもよい。柱状(棒状)の長さが十分であることが切断により多数の基体準備体を得るために好ましい。導電体コア12の大きさは、搭載される発光素子24のサイズや本実施形態により得られる発光装置200のサイズによって適宜選択可能であるが、例えば、円柱の場合で直径0.1〜2.0mm程度、長さ1〜100cm程度とすることができる。
【0013】
光反射性の絶縁部材14は導電体コア12の側面を被覆するが、例えば導電体コア12の表面全体に、光反射性の絶縁部材14をスプレー塗布し、焼付するという工程を必要回数繰り返すことで導電体コア12の表面全体に形成してもよい。光反射性の絶縁部材14の厚みは、例えば0.01〜0.1mm程度とすることができる。
【0014】
絶縁性スペーサ部材18はその全てが絶縁性材料からなることが好ましい。また、
図1Bに示すように、絶縁性スペーサ部材18は用いるコア部の形状と略同じ大きさおよび略同じ形状であることが好ましい。
【0015】
発光素子載置用基体100は、保護素子50を有していてもよい。保護素子50は、
図9に示すように、所定の2以上のコア部16の側面(柱状の側面)に、2以上の導電体コア12と電気的に接続される状態で接続される。絶縁部材14は、保護素子50と電気的に接続される箇所において除去されている。保護素子50が接続されたコア部16の上に絶縁性スペーサ部材18を重ねて、
図3で説明したのと同様にコア部16及び絶縁性スペーサ部材18の集合体を形成する。保護素子50の配置箇所に合わせて絶縁性スペーサ部材18に凹部を設けてもよい。
【0016】
(基体準備体の形成工程)
図4に示すように、コア部16及び絶縁性スペーサ部材18の集合体を切断し、基体準備体を形成する。このような切断は、コア部16及び絶縁性スペーサ部材18の柱状の中心軸に対して略90°で行うことができる。なお、略90°に限られず、切断面に複数の導電体コアが露出するような所定の角度で切断してもよい。これにより、切断面に導電体コア12及び絶縁部材14が露出される。切断により導電体コア12、絶縁部材14、絶縁性スペーサ部材18が上下面に略面一に配置された平板状の基体準備体40が形成される。切断する方法としては、鋸(丸鋸等)、トムソン刃等によるほか、レーザ加工等によるスライシングがある。コア部16及び絶縁性スペーサ部材18の集合体が保護素子50を有する場合は、保護素子50を避ける箇所で切断する。後述する遮光性樹脂形成工程により、保護素子50は基体内部に埋設される。
【0017】
(金属膜形成工程)
基体準備体40の導電体コア12の露出された所定の領域に、メッキやスパッタ等、または金属箔の貼り付け等によって金属膜22を所定の領域に形成してもよい。本実施形態においては、
図5に示すように1つの導電体コア12の露出面に1つの金属膜22が対応するように配置し形成されている。金属膜22の材料としては、金属膜22が発光素子24又は発光装置の外部と接続端子(コネクタ)等を介して接続されることから、導電性の高いものや、機械的及び電気的な接続性が高いものが好ましい。また、発光素子24が載置される面となる側の金属膜22には、光反射性の高い材料(例えばAg等)を用いることが好ましい。金属膜は全ての導電体コアの露出面に形成しなくてもよく、必要な箇所に形成されていればよい。金属膜22の形成は任意であり、導電体コアの材質や構成によっては形成されなくてもよい。
【0018】
(インサート成形する工程)
表面に金属膜22が形成された
図5に示す基体準備体40を金型内に装填し、金型に遮光性樹脂組成物を注入してインサート成形し、
図6に示すように凹部30を有する発光素子載置用基体100を形成する。上金型は凹部30に対応する凸部を有し、凸部で導電体コア12(または導電体コア上に形成された金属膜22)を押さえて金型内の空隙に遮光性樹脂組成物を注入しその後硬化して、底面に前記導電体コアが露出された凹部を形成する。
【0019】
基体準備体40の接着剤等で固定されたコア部16と絶縁性スペーサ部材18の隙間に遮光性樹脂組成物を流入させ、同時に凸部を有する上金型と下金型からなる金型内の空隙に遮光性樹脂組成物を注入し樹脂を硬化させることで、複数のコア部を遮光性樹脂20によって一体に固定するとともに、遮光性樹脂20で形成される凹部を形成する。外表面の一部である凹部30の底面には、隣接する2つの金属膜22が絶縁部材14及び遮光性樹脂20と共に露出される。インサート成形する前に金属膜22が形成されない場合は導電体コア12が露出される。また、発光素子載置用基体100の裏面(凹部30が形成される面とは反対側の面、下面)にも導電体コア12又は導電体コア12上に形成される金属膜22が露出される。
【0020】
以上のように形成された金属膜付発光素子載置用基体100は、その外表面の一部である上面(凹部の底面)及び/または下面において、導電体コア12及び絶縁部材14が遮光性樹脂20から露出されている。言い換えると、発光素子載置用基体100の発光素子が搭載される側の上面及び下面に外部電極端子もしくは放熱面を設ける場合の下面の所定の領域は、導電体コア12又は金属膜22が露出し、発光素子載置用基体100の上面及び/または下面は導電体コア12、絶縁部材14、遮光性樹脂20によって形成されている。なお、導電体コア12、絶縁部材14、遮光性樹脂20の上面に金属膜22が形成されていてもよい。
なお、インサート成形工程の後で、外表面に露出された導電体コア12の表面に金属膜22を形成してもよい。
【0021】
(発光素子載置工程)
このようにして得られた金属膜付発光素子載置用基体100の凹部30内に発光素子を載置する。本実施形態においては、
図7に示すように、正負一対の電極を一つの面に備える発光素子24を、凹部30内にフリップチップ実装する。この時、一つの金属膜22と一つの発光素子24の正または負の電極がそれぞれ電気的に接続される。発光素子載置用基体100と発光素子24との間の導電接続手段としては、半田や異方性導電ペースト等を用いることができる。
【0022】
(発光素子封止工程)
発光素子24を載置した後、凹部30内に封止材26を充填して封止し、発光装置集合体130を形成する。
【0023】
(個片化工程)
発光装置集合体130を所定の切断線に沿って遮光性樹脂等を切断し、個片化して発光装置200とする。ここでは、凹部の側壁の上面を通る切断線に沿って個片化する。これにより、
図8で示すように凹部を有する発光装置200を得ることができる。切断する方法としては、ダイシング、パンチングなどの方法を用いることができる。
【0024】
以下に、実施の形態の発光装置の各構成部材に適した材料等について説明する。
(コア部)
コア部は少なくとも、導電体コアと、光反射性の絶縁部材を備える。例えば、光反射性の絶縁皮膜付金属コア、光反射性の絶縁皮膜付金属球、あるいは、光反射性の絶縁皮膜付グラファイト球などである。コア部の表面は、遮光性樹脂との接合力を高めるため、細かな凹凸形状を有してもよい。
【0025】
(導電体コア)
導電体コアは、発光装置の電極および/または放熱経路として用いられる部材である。そのため、材料は、電気良導体の金属等を用いることができる。例えば、Cu、Al、Ag、Au、Pt、Pd、Rh等の金属又はそれらの合金、あるいはグラファイト等の炭素素材を用いることができる。導電体コアは、発光素子載置用基体に搭載される発光素子から発せられる光を、例えば70%、好ましくは80%以上反射するものが好ましい。例えば、発光素子が青色系の発光をする場合には、Al、Ag等を用いることが好ましい。
【0026】
導電体コアは、その全体が同じ組成であってもよいし、組成の異なる複数の領域を有していてもよい。例えば、第1の金属部を覆うように第2の金属部をメッキ等により成膜することで2種以上の材料からなる多層構造としてもよい。また、内部に空孔など絶縁材を有してもよいし、撚り線やリッツ線のような異方性導電体でもよい。
【0027】
導電体コアの形状は、例えば、円柱、角柱(多面体)、球(楕円体含む)、円管(円筒)、またはこれらに近似した立体形状や数珠のようなこれらの形状の結合からなる形状があげられる。スルーホールやキャスタレーション等の発光素子載置用基体に設ける構造に応じ、適宜導電体コアの形状は選択される。
【0028】
導電体コアは、その一部が発光素子載置用基体の表面に露出しており、その露出された部分において、ワイヤや半田などの接合部材を用いて発光素子と電気的に接続される。そのため、導電体コアの大きさや形状は、露出部が発光素子との接続に適切な面積及び形であることが好ましい。例えば、発光素子載置用基体の上面及び下面と略面一になるように、導電体コアが露出されていることが好ましい。導電体コアの露出部分を覆うように、後述する金属膜が設けられる場合は、接合部材を介して金属膜と発光素子とが接続される。
【0029】
発光素子載置用基体に載置される発光素子は、導電体コア、光反射性の絶縁部材、遮光性樹脂のいずれと接していてもよい。発光素子が導電体コア上に載置されることにより、発光素子が生じる熱の放熱性を高めることができる。また、半田等の導電性の接合部材を介して導電体コアと発光素子の電極を直接接続することで、ワイヤを必要とせずに発光装置を小型することが可能となる。
【0030】
導電体コアを発光装置の電極として用いるために、1つの発光素子載置用基体に対してコア部が複数設けられる。発光装置の電極として用いるためには最小で2つの導電体コアを発光装置の基体が有していればよい。また、複数の導電体コアを発光装置の電極の一つとして用いてもよい。例えば、隣接して配置された導電体コアの上にわたって発光素子の電極を導電性の接合部材を介して載置してもよい。導電体コアを備えたコア部の並び方を変更することで、発光素子載置用基体内の導電部の配置を適宜変更することができるため、発光素子載置用基体の設計の自由度を高めることができる。
【0031】
導電体コアは、発光素子載置用基体の上面(凹部30の底面)及び下面に露出される。1つの導電体コアが、上面及び下面の2箇所において露出されていてもよく、上面と下面で別々の導電体コアが露出されていてもよい。発光素子が接合されている導電体コアを基体の外部電極端子として用いることで、放熱特性を向上させることができる。
【0032】
導電体コアを電極として用いずに放熱経路として用いる場合には、導電体コアと発光素子とが電気的に接続されていなくてもよく、導電体コアが発光素子載置用基体の表面に露出されていることも必ずしも必要ではない。導電体コアは、発光素子からの熱を外部に放出しやすいように、熱源となる発光素子近傍から発光素子載置用基体の表面近傍まで繋がって配置されていることが好ましい。
【0033】
(光反射性の絶縁部材)
本実施形態において、光反射性の絶縁部材は、導電体コアの側面を被覆する。光反射性の絶縁部材は、単層でもよいし複数の層が積層された構造であってもよい。複数の層が積層される場合には、導電体コアに近い側に熱硬化性樹脂の膜、最外周に接着層を備えると、コア部の集合体を作る際に接着材が不要となるか、または少量で済むため、生産性が良い。
【0034】
光反射性の絶縁部材は例えば導電体コアの側面に、単層膜状あるいは多層膜状で略均一な厚みで形成される。光反射性の絶縁部材の膜厚は、例えば、数μm〜数百μmがあげられる。数十μm程度であれば、絶縁性の確保と、発光装置(発光素子搭載用基体)の小型化を両立することができ、好ましい。光反射性の絶縁部材は、導電体コアの側面に略均一な厚みで形成されていてもよく、一部の厚みが他の箇所よりも厚く形成されていてもよい。
【0035】
発光素子載置用基体の上面(凹部30の底面)及び/又は下面に位置し、外部に露出される導電体コアは、光反射性の絶縁部材からも露出されており、基体の上面及び/又は下面において、光反射性の絶縁部材は導電体コアの周囲に配置されている。複数の導電体コアの間に光反射性の絶縁部材を有することで、複数の導電体コアが互いに絶縁された状態で配置される。
【0036】
光反射性の絶縁部材の材料としては、コストや製造容易性から、樹脂を母材とした材料が好ましい。母材となる樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。具体的には、エポキシ樹脂組成物、シリコーン樹脂組成物、シリコーン変性エポキシ樹脂などの変性エポキシ樹脂組成物;エポキシ変性シリコーン樹脂などの変性シリコーン樹脂組成物;ポリイミド樹脂組成物、変性ポリイミド樹脂組成物;ポリフタルアミド(PPA);ポリカーボネート樹脂;ポリフェニレンサルファイド(PPS);液晶ポリマー(LCP);ABS樹脂;フェノール樹脂;アクリル樹脂;PBT樹脂;ポリプロピレン樹脂(PP);ポリアミド(PA)6、PA66;ポリフェニレンスルファイド樹脂(PPS);ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)等の樹脂が挙げられる。なお、母材の材料は樹脂に限られず、ガラス等の他の材料を用いてもよい。
【0037】
光反射性を付与するために、これらの母材等に、例えば、二酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、各種希土類酸化物(例えば、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム)などの光反射材(粒子状、繊維状など)が添加されてもよい。搭載する発光素子の発光波長に対して反射率が高いことが好ましく、例えば搭載する発光素子からの出射光に対する反射率が440nm〜630nmの領域で平均70%以上となるように設定されることが好ましい。また、440nm〜630nmの領域で、用いる導電体コアよりも平均反射率が高いことが好ましい。
【0038】
光反射性の絶縁部材は、あらかじめ導電体コアの一部を露出するように形成してもよいし、導電体コアの周囲全面を光反射性の絶縁部材で覆い、その後、光反射性の絶縁部材の一部を除去することで導電体コアの表面を絶縁部材から露出させてもよい。後で除去する場合、例えば、光反射性の絶縁部材の母材として熱硬化性樹脂を、遮光性樹脂として熱可塑性樹脂を用いると、薬剤による溶解速度の差を利用し、光反射性の絶縁部材を選択的に薬剤で溶解させることができるので、切削除去のみならず溶解除去が可能となる。
【0039】
(遮光性樹脂)
遮光性樹脂は、複数のコア部を一体に固定する絶縁部材である。
遮光性とは、発光素子からの光(主として可視光)の例えば70%を遮光可能であり、好ましくは90%、さらに好ましくは95%以上を遮光可能であることを意味する。光を反射するものであってもよく、光を吸収するものであってもよい。例えば白色または黒色である。これにより、樹脂母材の光劣化を抑制することができる。
遮光性樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。これらの樹脂には、搭載される発光素子の光に対して遮光性を有するために、光反射材、光吸収材等が添加される。これら添加材は粒子状、繊維状等であってもよい。遮光性樹脂は単一の材料から構成されてもよいし複数の異なる材料から構成されてもよく、また、複数のコア部の間のみならず上部あるいは下部に突出していてもよい。遮光性樹脂組成物は、金型に注入する材料である。
【0040】
発光素子の近傍(特に発光素子に接する、または対向する箇所)に位置する樹脂に照射される光密度は非常に高く、発光装置の駆動とともに樹脂の劣化や変色を引き起こして発光装置の発光効率を低下させるおそれがある。発光素子直下に位置する樹脂を遮光性とすることで、当該樹脂の光劣化を抑制し、発光装置の発光効率を維持することができる。
【0041】
遮光性樹脂の母材となる樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。具体的には、エポキシ樹脂組成物、シリコーン樹脂組成物、シリコーン変性エポキシ樹脂などの変性エポキシ樹脂組成物;エポキシ変性シリコーン樹脂などの変性シリコーン樹脂組成物;ポリイミド樹脂組成物、変性ポリイミド樹脂組成物;ポリフタルアミド(PPA);ポリカーボネート樹脂;ポリフェニレンサルファイド(PPS);液晶ポリマー(LCP);ABS樹脂;フェノール樹脂;アクリル樹脂;PBT樹脂;ポリプロピレン樹脂(PP);ポリアミド(PA)6、PA66;ポリフェニレンスルファイド樹脂(PPS);ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)等の樹脂が挙げられる。
【0042】
これらの樹脂中に、光反射材が添加されることが好ましく、光反射材としては、発光素子からの光を吸収しにくく、かつ母材となる樹脂に対する屈折率差の大きい反射部材(例えばTiO
2,Al
2O
3,ZrO
2,MgO)等の粉末を分散することで、効率よく光を反射させることができる。
【0043】
(金属膜)
発光素子載置用基体の上面及び下面に露出された導電体コアの表面には、選択メッキ等により金属膜が所定の配置に形成されていてもよい。発光素子が載置される側となる発光素子載置用基体の上面側の金属膜は、発光素子からの光に対する反射率が高い金属を用いることが好ましい。また、発光装置の外部電極端子となる発光素子載置用基体の下面側の金属膜は、半田との濡れ性が良好な金属を用いることが好ましい。最表面の金属膜と導電体コアとの密着性を考慮して下地層となる金属膜を有していてもよく、金属膜は多層構造を有していてもよい。
【0044】
金属膜は、導電体コアの表面のみならず、光反射性の絶縁部材や遮光性樹脂の表面に形成されていてもよい。例えば、発光素子の載置部となる少なくとも一つの導電体コアの上に、発光素子載置用基体の表面に露出された導電体コアの表面と、その外側の絶縁部材及び遮光性樹脂の表面にわたって金属膜を設ける。このような金属膜を設けることにより、発光素子からの熱を発光装置の基部の水平方向へ広げることができる。
【0045】
また、金属膜は2以上の導電体コアを電気的に接続する配線層として機能していてもよい。例えば、隣接する導電体コアを繋ぐようにそれぞれの導電体コアの表面と、導電体コアと導電体コアの間に位置する絶縁部材及び遮光性樹脂を金属膜で被覆する。これにより、直列または並列の配線を形成することが可能となり、発光装置の基体の設計自由度が向上する。例えば、複数の発光素子を直列に接続し、駆動電圧を高めて駆動電流を下げることで、電圧低下(電力損失)を抑制し、光源としてのエネルギー効率を高めることができる。
金属膜は、後述する遮光性樹脂の形成後に設けられてもよく、遮光性樹脂の形成前に導電体コアに設けてもよい。
【0046】
(発光素子)
発光素子搭載用基体に搭載可能な発光素子としては、発光ダイオード、レーザダイオード、発光トランジスタ、発光サイリスタなどが挙げられる。
発光素子は、導電体コアの露出面に載置されることが放熱性の面で好ましい。発光素子と導電体コアの間に熱伝導性が良好な絶縁部材あるいは薄い絶縁膜を設けることもある。例えば、サファイヤ基板等の絶縁性基板を用いた発光素子は、導電体コアの露出面にジャンクションアップマウントすることができる。
【0047】
フリップチップ実装(ジャンクションダウンマウントともいう)の場合、発光素子の少なくとも一対の電極のそれぞれが、2以上の導電体コアと電気的に接続されていることが好ましい。発光装置の基部に曲げ応力が加えられた場合、曲げ応力は金属部分ではなく、金属部分より変形しやすい樹脂部分に集中しやすい。よって、フリップチップ実装において、発光素子付近に存在する絶縁部に曲げ応力が集中し、発光素子割れや半田やバンプなどの導電性接続部材の剥離若しくはき裂を引き起こし、ひいては発光素子の不灯を引き起こしやすい。発光素子付近に複数の導電体コアを配置することで、発光装置の基部の発光素子載置部およびその周辺が、複数の光反射性の絶縁部材または遮光性樹脂から成るのでこれらの樹脂部で曲げ応力が分散され、発光素子付近に曲げ応力が集中せず、発光装置の基部への外部からの応力による不灯等の故障の抑制を図ることができる。
【0048】
また、フレームインサートタイプの発光素子載置用基体と比較して、隣接する発光装置筐体間隔が狭いため、発光装置筐体の集合体において、発光素子載置部間隔を狭めることができ、チップマウンターの処理能力を高くして、組立コストを抑制することができる。
【0049】
(絶縁性スペーサ部材)
本実施形態の発光素子載置用基体は、さらに、絶縁性スペーサ部材を備えてもよい。スペーサ部材をコア部とコア部の間に配置することで、コア部間の距離を所定の位置に調整し設定することができる。これにより、発光素子載置用基体または発光装置の設計の自由度を高めることができる。
絶縁性スペーサ部材の材料としては、例えば、上述の光反射性の絶縁部材と同様の材料を用いることができる。樹脂を用いることで、切削、切断(スライシング及び個片化)などを容易に行うことができる。また、形状は、得られる発光素子載置用基体の設計によって適宜定めることができ、例えば、円柱、角柱(多面体)、球(楕円体含む)、円管(円筒)、またはこれらに近似したものがあげられる。また、最外周に接着層を備えてもよい。絶縁性スペーサ部材の表面は、遮光性樹脂との接合力を高めるため、細かな凹凸形状を有してもよい。
絶縁性スペーサ部材は調整したい距離に応じて、角棒や丸棒などの柱状(線状)のほか、球状、あるいはそれらの組合せ形状である数珠状などであってもよく、フィルム状や、ある程度の厚みを持ったシート状であってもよい。保護素子を発光素子載置用基体内部に設ける場合、適宜絶縁性スペーサ部材の所定位置に凹部を設けることができる。
【0050】
(保護素子)
発光装置は、発光素子を過電流による破壊から保護する保護素子を備えることができる。保護素子としては、例えば、ツェナーダイオードやコンデンサなどを用いることができる。片面電極のものであれば、ワイヤレスでフェイスダウン実装できるため好ましい。例えば、導電体コアの側面に接続され、遮光性樹脂に被覆されて発光素子載置用基体内部に設けられることが好ましい。保護素子と導電体コアの接続部分においては、絶縁部材が除去される。これにより、保護素子を発光素子装置用基体内に配置できるので、発光素子からの光が保護素子により吸収または遮蔽されるおそれが減り、発光装置の光取り出し効率を高めることができる。
【0051】
(封止材)
発光装置は、発光素子を外部からの物理的、化学的な劣化要因から保護するための封止材を有していてもよい。封止材は、発光素子を直接的にまたは間接的に被覆するように形成されていればよく、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などを好適に用いることができる。UV−LEDでは、光学ガラスを用いてもよい。
【0052】
(その他の部材)
発光装置は、発光素子からの光の一部を異なる波長の光に変換する波長変換部材や光散乱部材を有していてもよい。例えば、封止材に蛍光体等の波長変換物質を含有させていてもよい。また、遮光性樹脂等の樹脂部材は熱伝導性や熱膨張率などの特性を調節するために適宜選択した材質のフィラーを含有してもよい。