(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
試料液に浸漬した金製または白金製の検知極と銀/塩化銀製の対極との間に所定の印加電圧を順次与えて、前記検知極と対極との間に流れる酸化還元電流から、試料液の全残留塩素濃度を求める残留塩素測定方法であって、
前記試料液は、次亜塩素酸若しくはその塩と、スルファミン酸若しくはその塩と、ベンゾトリアゾールまたはその塩を含む水であり、
前記所定の印加電圧を、下記の前処理ステップと、その後に続く下記の測定ステップを行うように設定し、下記の測定ステップのステップB3において得られる酸化還元電流を測定電流とし、該測定電流に基づき、前記試料液の全残留塩素濃度を求めることを特徴とする残留塩素測定方法。
[前処理ステップ]
下記ステップA1を行った後に続けて、下記ステップA2及びステップA3を1回以上行うステップ。
ステップA1:印加電圧Va1(但し、Va1=−0.5〜−2.0V)を時間Ta1印加するステップ。
ステップA2:印加電圧Va2(但し、Va2=0.5〜2.0V)を時間Ta2印加するステップ。
ステップA3:ステップA2の後に続けて、印加電圧Va3(但し、Va3=−0.5〜−2.0V)を時間Ta3印加するステップ。
[測定ステップ]
下記ステップB1〜ステップB3を1回以上行うステップ。
ステップB1:印加電圧Vb1(但し、Vb1=0.5〜2.0V)を時間Tb1(但し、Tb1≦Ta2)印加するステップ。
ステップB2:ステップB1の後に続けて、印加電圧Vb2(但し、Vb2=0〜−2.0V、かつ、Vb2≠0V)を時間Tb2(但し、Tb2≦Ta1、Tb2≦Ta3)印加するステップ。
ステップB3:ステップB2の後に続けて、印加電圧Vb3(但し、Vb3=−0.5〜0.2V)を、電圧を一定に保持して印加するステップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポーラログラフ法による残留塩素濃度測定は、連続測定や自動化に適した方法である。しかし、本発明者らが確認したところ、ベンゾトリアゾール等が含まれる水の場合、ポーラログラフ法により残留塩素濃度を測定しようとしても、充分な電流出力が得られなかった。
本発明者らが検討したところ、ベンゾトリアゾール等が含まれる水の場合、検知極の表面が瞬時にベンゾトリアゾール等の被膜により被覆されてしまい、検知極における残留塩素の反応を阻害していることが分った。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、ベンゾトリアゾール等が含まれる水の全残留塩素濃度を求めることが可能な、ポーラログラフ法の残留塩素測定装置および残留塩素測定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]試料液に浸漬される金製または白金製の検知極、及び銀/塩化銀製の対極と、
前記検知極と対極との間に、印加電圧を与える加電圧機構と、
前記検知極と対極との間に流れる酸化還元電流を測定する電流計と、
前記加電圧機構を制御すると共に、前記電流計で測定した酸化還元電流を取り込む演算制御装置とを具備し、
前記演算制御装置は、下記の前処理ステップと、その後に続く下記の測定ステップを行うように前記加電圧機構を制御すると共に、下記の測定ステップのステップB3において前記電流計で得られた酸化還元電流を測定電流として取り込み、該測定電流に基づき、前記試料液の全残留塩素濃度を求めることを特徴とする残留塩素測定装置。
[前処理ステップ]
下記ステップA1を行った後に続けて、下記ステップA2及びステップA3を1回以上行うステップ。
ステップA1:印加電圧V
a1(但し、V
a1=−0.5〜−2.0V)を時間T
a1印加するステップ。
ステップA2:印加電圧V
a2(但し、V
a2=0.5〜2.0V)を時間T
a2印加するステップ。
ステップA3:ステップA2の後に続けて、印加電圧V
a3(但し、V
a3=−0.5〜−2.0V)を時間T
a3印加するステップ。
[測定ステップ]
下記ステップB1〜ステップB3を1回以上行うステップ。
ステップB1:印加電圧V
b1(但し、V
b1=0.5〜2.0V)を時間T
b1(但し、T
b1≦T
a2)印加するステップ。
ステップB2:ステップB1の後に続けて、印加電圧V
b2(但し、V
b2=0〜−2.0V、かつ、V
b2≠0V)を時間T
b2(但し、T
b2≦T
a1、T
b2≦T
a3)印加するステップ。
ステップB3:ステップB2の後に続けて、印加電圧V
b3(但し、V
b3=−0.5〜0.2V)を、電圧を一定に保持して印加するステップ。
[2]前記時間T
a1は0.1〜3.0秒であり、前記時間T
a2は0.1〜3.0秒であり、前記時間T
a3は0.1〜3.0秒であり、前記時間T
b1は0.01〜1.0秒であり、前記時間T
b2は0.01〜1.0秒である[1]に記載の残留塩素測定装置。
[3]試料液に浸漬した金製または白金製の検知極と銀/塩化銀製の対極との間に所定の印加電圧を順次与えて、前記検知極と対極との間に流れる酸化還元電流から、試料液の全残留塩素濃度を求める残留塩素測定方法であって、
前記所定の印加電圧を、下記の前処理ステップと、その後に続く下記の測定ステップを行うように設定し、下記の測定ステップのステップB3において得られる酸化還元電流を測定電流とし、該測定電流に基づき、前記試料液の全残留塩素濃度を求めることを特徴とする残留塩素測定方法。
[前処理ステップ]
下記ステップA1を行った後に続けて、下記ステップA2及びステップA3を1回以上行うステップ。
ステップA1:印加電圧V
a1(但し、V
a1=−0.5〜−2.0V)を時間T
a1印加するステップ。
ステップA2:印加電圧V
a2(但し、V
a2=0.5〜2.0V)を時間T
a2印加するステップ。
ステップA3:ステップA2の後に続けて、印加電圧V
a3(但し、V
a3=−0.5〜−2.0V)を時間T
a3印加するステップ。
[測定ステップ]
下記ステップB1〜ステップB3を1回以上行うステップ。
ステップB1:印加電圧V
b1(但し、V
b1=0.5〜2.0V)を時間T
b1(但し、T
b1≦T
a2)印加するステップ。
ステップB2:ステップB1の後に続けて、印加電圧V
b2(但し、V
b2=0〜−2.0V、かつ、V
b2≠0V)を時間T
b2(但し、T
b2≦T
a1、T
b2≦T
a3)印加するステップ。
ステップB3:ステップB2の後に続けて、印加電圧V
b3(但し、V
b3=−0.5〜0.2V)を、電圧を一定に保持して印加するステップ。
[4]前記時間T
a1は0.1〜3.0秒であり、前記時間T
a2は0.1〜3.0秒であり、前記時間T
a3は0.1〜3.0秒であり、前記時間T
b1は0.01〜1.0秒であり、前記時間T
b2は0.01〜1.0秒である[3]に記載の残留塩素測定方法。
[5]前記試料液は、次亜塩素酸若しくはその塩と、スルファミン酸若しくはその塩を含む水である[3]または[4]に記載の残留塩素測定方法。
[6]前記試料液は、ベンゾトリアゾールまたはその塩を含む[5]に記載の残留塩素測定方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の残留塩素測定装置および残留塩素測定方法によれば、ベンゾトリアゾール等が含まれる水の全残留塩素濃度を求めることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<残留塩素測定装置の構成>
図1に示すように、本実施形態の残留塩素測定装置は、センサ10とポテンショスタット20と演算制御装置30とから構成されている。
センサ10は、試料液容器40内の試料液41に浸漬された検知極11と対極12を有している。検知極11は金製または白金製である。また、対極12は銀/塩化銀製である。
本発明において測定される酸化還元電流は、被還元物質が拡散層と呼ばれる層の中において、濃度勾配による自然拡散によってのみ検知極表面に運ばれ、その表面で還元されるときに流れる拡散電流である。
【0012】
センサ10としては、公知の適宜の構造のものを採用することができる。すなわち、センサ10における検知極11と対極12の具体的構造や配置は、適宜選択できる。また、センサ10は、検知極11を有する部分と対極12を有する部分が分離して別体とされた構造でもよい。また、試料液容器40は、適宜フローセル等に変更できる。
センサ10は、検知極11と対極12に加えて、さらに参照極を有していてもよい。なお、参照極がない場合、対極12が参照極の役割を兼ねる。
センサ10はまた、温度補正のための温度センサを有していることが好ましい。温度補正は、酸化還元電流測定の温度依存性を考慮して、基準温度(例えば25℃)における酸化還元電流に換算することを意味する。
【0013】
ポテンショスタット20は、検知極11と対極12との間に、所定の印加電圧を与える加電圧機構と、加電圧機構により印加電圧を付与した際に、検知極11と対極12との間に流れる酸化還元電流を測定する電流計を有している。
ポテンショスタット20が検知極11と対極12との間に印加する所定の印加電圧は、演算制御装置30によって制御されている。
【0014】
演算制御装置30は、本実施形態の残留塩素測定装置が本発明の残留塩素測定方法を実行するように、ポテンショスタット20の加電圧機構を制御すると共に、ポテンショスタット20の電流計で測定した酸化還元電流を取り込むようになっている。
すなわち、演算制御装置30の制御の下、本実施形態の残留塩素測定装置は、以下に説明する前処理ステップと、この前処理ステップに続く測定ステップを行うようになっている。そして、演算制御装置30は、測定ステップの特定のタイミングで得られる酸化還元電流を測定電流として取り込み、この測定電流に基づき、試料液41の全残留塩素濃度を求めるようになっている。
【0015】
<残留塩素測定方法>
本発明の残留塩素測定方法は、試料液に浸漬した金製または白金製の検知極と銀/塩化銀製の対極との間に所定の印加電圧を順次与えて、検知極と対極との間に流れる酸化還元電流から、試料液の全残留塩素濃度を求める方法である。
所定の印加電圧は、下記の前処理ステップと、その後に続く下記の測定ステップを行うように設定される。本発明の残留塩素測定方法は、測定ステップのステップB3における酸化還元電流を測定電流とし、この測定電流に基づき、試料液の全残留塩素濃度を求めるようになっている。
【0016】
[試料液]
本発明の残留塩素測定方法によれば、試料液が次亜塩素酸若しくはその塩と、スルファミン酸若しくはその塩を含む水である場合に、全残留塩素濃度を求められる。また、試料液が、次亜塩素酸若しくはその塩と、スルファミン酸若しくはその塩に加えて、さらに、ベンゾトリアゾールまたはその塩を含む場合も、全残留塩素濃度を求められる。
【0017】
次亜塩素酸の塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウムなどを挙げることができる。次亜塩素酸及びこれらの次亜塩素酸塩は、1種が単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
スルファミン酸の塩としては、スルファミン酸ナトリウム、スルファミン酸カリウム、スルファミン酸カルシウム、スルファミン酸ストロンチウム、スルファミン酸バリウム、スルファミン酸鉄、スルファミン酸亜鉛などを挙げることができる。スルファミン酸及びこれらのスルファミン酸塩は、1種が単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
【0018】
例えば、次亜塩素酸イオンとスルファミン酸は、下記の式(1)、(2)のように反応して、N−モノクロロスルファミン酸イオン又はN,N−ジクロロスルファミン酸イオンを形成して塩素系酸化剤の有効成分を安定化する。
HClO+H
2NSO
3−→HClNSO
3−+H
2O ・・・(1)
2HClO+H
2NSO
3−→Cl
2NSO
3−+2H
2O ・・・(2)
次亜塩素酸若しくはその塩と、スルファミン酸若しくはその塩を含む水としては、冷却水、紙パルププロセス水、集塵水、スクラバー水、噴水などの各種水が挙げられる。
【0019】
ベンゾトリアゾール(化学名:1、2、3−ベンゾトリアゾール)の塩としては、1、2、3−ベンゾトリアゾールナトリウム塩、1、2、3−ベンゾトリアゾールカリウム塩などを挙げることができる。
ベンゾトリアゾールまたはその塩(以下、これらを総称して、「ベンゾトリアゾール類」という。)は、1種が単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
ベンゾトリアゾール類は、次亜塩素酸若しくはその塩の安定化剤として添加されたものであっても、配管等の防錆剤・防食剤として添加されたものであってもよい。
【0020】
[前処理ステップ]
前処理ステップは、下記ステップA1を行った後に続けて、下記ステップA2及びステップA3を1回以上行うステップである。
ステップA1:印加電圧V
a1(但し、V
a1=−0.5〜−2.0V)を時間T
a1印加するステップ。
ステップA2:印加電圧V
a2(但し、V
a2=0.5〜2.0V)を時間T
a2印加するステップ。
ステップA3:ステップA2の後に続けて、印加電圧V
a3(但し、V
a3=−0.5〜−2.0V)を時間T
a3印加するステップ。
【0021】
ステップA1の印加電圧V
a1は−0.5〜−2.0Vであり、−0.8〜−2.0Vであることが好ましく、−0.8〜−1.8Vであることがより好ましい。印加電圧V
a1は、ステップA1の間一定に保持してもよいし、所定の範囲内で変化させてもよい。
印加電圧V
a1を印加することにより、測定ステップや保管中に検知極表面に形成された酸化被膜を除去できる。印加電圧V
a1の絶対値が小さすぎると酸化被膜を除去できず、大きすぎると被膜がとれた後電気分解が進み、水素ガス等が発生する問題が生じる。
ステップA1を行う時間T
a1は0.1〜3.0秒間であることが好ましく、0.5〜3.0秒間であることがより好ましく、0.8〜2.0秒間であることがさらに好ましい。時間T
a1が好ましい下限値以上であれば、形成された酸化被膜を除去しやすい。時間T
a1が好ましい上限値以下であれば、ベンゾトリアゾール類の被膜形成を抑制しやすい。
【0022】
ステップA2は、ステップA1またはステップA3の後に続けて行う。ステップA2の印加電圧V
a2は0.5〜2.0Vであり、0.8〜2.0Vであることが好ましく、0.8〜1.5Vであることがより好ましい。印加電圧V
a2は、ステップA2の間一定に保持してもよいし、所定の範囲内で変化させてもよい。
印加電圧V
a2を印加することにより、ステップA1、またはステップA3の間に検知極表面に形成されたベンゾトリアゾール類の被膜を除去できる。印加電圧V
a2の絶対値が小さすぎるとベンゾトリアゾール類の被膜を除去できず、大きすぎると酸化被膜が生成してしまう。
ステップA2を行う時間T
a2は0.1〜3.0秒間であることが好ましく、0.1〜2.0秒間であることがより好ましく、0.8〜1.5秒間であることがさらに好ましい。時間T
a2が好ましい下限値以上であれば、ベンゾトリアゾール類の被膜を除去しやすい。時間T
a2が好ましい上限値以下であれば、酸化被膜が再度形成されることを抑制しやすい。
【0023】
ステップA3はステップA2の後に続けて行う。ステップA3の印加電圧V
a3は−0.5〜−2.0Vであり、−0.8〜−2.0Vであることが好ましく、−0.8〜−1.5Vであることがより好ましい。印加電圧V
a3は、ステップA3の間一定に保持してもよいし、所定の範囲内で変化させてもよい。また、印加電圧V
a3は、印加電圧V
a1と同じでも異なっていてもよい。但し、ステップA1で一度酸化被膜を除去しているので、印加電圧V
a3の絶対値は、印加電圧V
a1の絶対値以下とすることが好ましい。
印加電圧V
a3を印加することにより、ステップA2の間に検知極表面に形成された酸化被膜を除去できる。印加電圧V
a3の絶対値が小さすぎると酸化被膜を除去できず、大きすぎると被膜がとれた後電気分解が進み、水素ガス等が発生する問題が生じる。
【0024】
ステップA3を行う時間T
a3は0.1〜3.0秒間であることが好ましく、0.1〜2.0秒間であることがより好ましく、0.5〜1.5秒間であることがさらに好ましい。時間T
a3が好ましい下限値以上であれば、形成された酸化被膜を除去しやすい。時間T
a3が好ましい上限値以下であれば、ベンゾトリアゾール類の被膜が再度形成されることを抑制しやすい。ステップA1で一度酸化被膜を除去しているので、時間T
a3は、時間T
a1以下とすることが好ましい。
【0025】
前処理ステップにおいて、ステップA2及びステップA3を続けて行う回数は1回以上であり、2回以下であることが好ましい。ステップA2及びステップA3を続けて行う回数が1回の場合の前処理ステップは、ステップA1、ステップA2、及びステップA3をこの順に続けて行うステップである。ステップA2及びステップA3を続けて行う回数が2回の場合の前処理ステップは、ステップA1、ステップA2、ステップA3、ステップA2、及びステップA3をこの順に続けて行うステップである。
【0026】
本発明者らが検討した結果、ステップA1を行わずにステップA2から開始すると、たとえ、ステップA2及びステップA3を複数回繰り返したとしても、その後の測定ステップで測定を繰り返す毎に残余電流が上昇することが分った。すなわち、まずは、酸化被膜を除去することが必要であることが分かった。
【0027】
[測定ステップ]
測定ステップは、下記ステップB1〜ステップB3を1回以上行うステップである。なお、ステップB2の印加電圧V
b2と、ステップB3の印加電圧V
b3の範囲は、一部重なっているので、印加電圧V
b2と印加電圧V
b3は同じでもよい。また、ステップB2終了時の印加電圧V
b2と印加電圧V
b3が同じでもよい。すなわち、ステップB2からステップB3への移行のタイミングは、明確でなくともよい。
ステップB1:印加電圧V
b1(但し、V
b1=0.5〜2.0V)を時間T
b1(但し、T
b1≦T
a2)印加するステップ。
ステップB2:ステップB1の後に続けて、印加電圧V
b2(但し、V
b2=0〜−2.0V、かつ、V
b2≠0V)を時間T
b2(但し、T
b2≦T
a1、T
b2≦T
a3)印加するステップ。
ステップB3:ステップB2の後に続けて、印加電圧V
b3(但し、V
b3=−0.5〜0.2V)を、電圧を一定に保持して印加するステップ。
【0028】
ステップB1の印加電圧V
b1は0.5〜2.0Vであり、0.8〜2.0Vであることが好ましく、0.8〜1.5Vであることがより好ましい。印加電圧V
b1は、ステップB1の間一定に保持してもよいし、所定の範囲内で変化させてもよい。また、印加電圧V
b1は、印加電圧V
a2と同じでも異なっていてもよい。但し、ステップA2で一度酸化被膜を除去しているので、印加電圧V
b1の絶対値は、印加電圧V
a2の絶対値以下とすることが好ましい。
印加電圧V
b1を印加することにより、前処理工程の最後に行われたステップA3の間や、前回の測定ステップまでの間に検知極表面に形成されたベンゾトリアゾール類の被膜を除去できる。印加電圧V
b1の絶対値が小さすぎるとベンゾトリアゾール類の被膜を除去できず、大きすぎると酸化被膜が生成してしまう。
【0029】
ステップB1を行う時間T
b1はステップA2を行う時間T
a2以下である。ステップA2においてベンゾトリアゾール類の被膜をしっかりと除去しているので、短い時間でもステップB3における酸化還元電流測定に支障がない程度に除去でき、また、長くしすぎると、酸化被膜が形成されてしまうからである。
ステップB1を行う時間T
b1は、0.01〜1.0秒間であることが好ましく、0.05〜1.0秒間であることがより好ましく、0.2〜0.8秒間であることがさらに好ましい。
【0030】
ステップB2は、ステップB1の後に続けて行う。ステップB2の印加電圧V
b2は0〜−2.0V、かつ、V
b2≠0Vである。すなわち、絶対値が2.0V以下である負の電圧である。印加電圧V
b2は、−0.5〜−2.0Vであることが好ましく、−0.8〜−1.5Vであることがより好ましい。印加電圧V
b2は、ステップB2の間一定に保持してもよいし、所定の範囲内で変化させてもよい。また、印加電圧V
b2は、印加電圧V
a1、V
a3と同じでも異なっていてもよい。但し、ステップA1、A3で一度酸化被膜を除去しているので、印加電圧V
b2の絶対値は、印加電圧V
a1、V
a3の絶対値以下とすることが好ましい。
印加電圧V
b2を印加することにより、ステップB1の間に検知極表面に形成された酸化被膜を除去できる。印加電圧V
b2の絶対値が小さすぎると酸化被膜を除去できず、大きすぎると被膜がとれた後電気分解が進み、水素ガス等が発生する問題が生じる。
【0031】
ステップB2を行う時間T
b2は、ステップA1を行う時間T
a1以下である。また、ステップA3を行う時間T
a3以下である。ステップA1、A3において酸化被膜をしっかりと除去しているので、短い時間でもステップB3における酸化還元電流測定に支障がない程度に除去でき、また、長くしすぎると、ベンゾトリアゾール類の被膜が形成されてしまうからである。
ステップB2を行う時間T
b2は0.01〜1.0秒間であることが好ましく、0.01〜0.5秒間であることがより好ましく、0.05〜0.4秒間であることがさらに好ましい。時間T
b2が好ましい下限値以上であれば、酸化被膜を除去しやすい。時間T
b2が好ましい上限値以下であれば、ベンゾトリアゾール類の被膜が再度形成されることを抑制しやすい。
【0032】
ステップB3はステップB2の後に続けて行う。ステップB3の印加電圧V
b3は−0.5〜0.2Vであり、−0.45〜0.18Vであることが好ましく、−0.4〜0.15Vであることがより好ましい。ステップB3の間、印加電圧V
b3は変化させず、一定に保持しなければならない。このステップB3で測定電流を取得するからである。
ステップB3における酸化還元電流を測定電流とする。本実施形態の残留塩素測定装置では、演算制御装置30が、ステップB3においてポテンショスタット20の電流計で測定した酸化還元電流を測定電流として取り込む。
【0033】
ステップB3を行う時間T
b3は、予め定めた所定の時間でもよいし、ポテンショスタット20の電流計で測定した酸化還元電流が安定し、測定電流の取り込みが終了するまでの時間としてもよい。酸化還元電流が安定したか否かは、例えば、所定時間内の変動幅が、予め定めた所定の変動幅以下となったか否か等で判断することができる。
時間T
b3を予め定めた所定の時間とする場合、その時間は、0.01〜3.0秒間であることが好ましく、0.1〜3.0秒間であることがより好ましく、0.1〜2.0秒間であることがさらに好ましい。時間T
b3が好ましい下限値以上であれば、酸化還元電流が充分に安定する。時間T
b3が好ましい上限値以下であれば、短時間で測定を終了することができる。
【0034】
ステップB3における測定電流の取り込みは、酸化還元電流が安定しやすいステップB3の後半に行うことが好ましい。
また、測定電流の取り込みは1回だけでなく、複数回行い、平均をとることが好ましい。例えば、ステップB3の後半に複数回取り込み、平均をとることが好ましい。平均をとることにより、データのばらつきを抑制することができる。
なお、印加電圧V
b2と印加電圧V
b3が同じ等であって、ステップB2からステップB3への移行のタイミングが明確でない場合は、便宜上、測定電流の取り込み開始をもって、ステップB3が開始したとみなしてもよい。
【0035】
本発明の残留塩素測定方法では、測定電流に基づいて試料液の全残留塩素濃度(遊離残留塩素濃度と結合残留塩素濃度の合計)を求める。具体的には、予め求めた検量線において、測定電流に対応する全残留塩素濃度を試料液の全残留塩素濃度とする。
検量線は、ゼロ水によるゼロ校正と、全残留塩素濃度がDPD法などにより特定されたスパン液によるスパン校正によって求められる。すなわち、ゼロ水とスパン液の各々について、全残留塩素濃度と測定電流のデータを得ることにより検量線を作成できる。
なお、ゼロ水は、例えば水道水を放置したり活性炭で処理したりすることにより、残留塩素を除去した水である。
【0036】
本実施形態の残留塩素測定装置では、演算制御装置30が、検量線を予め記憶するようになっている。または検量線を作成するためのゼロ水とスパン液のデータを予め記憶することにより、適宜検量線を求められるようになっている。そして、測定電流を取り込むと、予め記憶していた検量線または記憶したデータから求めた検量線において、測定電流に対応する全残留塩素濃度を求め、これを試料液41の全残留塩素濃度として出力するようになっている。
【0037】
測定ステップにおいて、ステップB1〜ステップB3の回数は1回以上であり、5回以下繰り返すことが好ましく、2〜5回繰り返すことがより好ましく、3〜4回繰り返すことがさらに好ましい。繰り返しの回数が多すぎると、繰り返しの都度酸化被膜とベンゾトリアゾール類の被膜が蓄積され、その影響が大きくなるので好ましくない。
ステップB1〜ステップB3を一回行う毎に、測定電流が得られる。ステップB1〜ステップB3を複数回繰り返した場合は、各回で得られた測定電流の平均値から全残留塩素濃度を求めることが好ましい。
また、平均ではなく、何れかの回における測定電流から全残留塩素濃度を求める場合、2〜5回目の何れかの測定電流から全残留塩素濃度を求めることが好ましく、3〜4回目の何れかの測定電流から全残留塩素濃度を求めることがより好ましい。
【0038】
本発明者らが検討した結果、前処理ステップを行わないと、測定ステップで安定した測定電流を得ることができなかった。また、前処理ステップを行っても、前処理ステップ終了後直ちに測定ステップを開始しなかった場合、測定が困難であった。すなわち、測定ステップは、前処理ステップに続けて行う必要がある。
【0039】
本発明の残留塩素測定装置及び残留塩素測定方法では、前処理ステップで、比較的長い時間のステップA1〜A3を行うので、酸化被膜とベンゾトリアゾール類の被膜をしっかりと除去することができる。これらの被膜は、除去後、直ちに再形成が始まる。しかし、測定ステップで比較的短時間のステップB1とステップB2を行うことにより、ステップB3における測定電流の取得に支障がない程度まで酸化被膜とベンゾトリアゾール類の被膜を除去でき、ベンゾトリアゾール類が存在する水でも、全残留塩素濃度に応じた測定電流を得られるものと考えられる。
【実施例】
【0040】
<試料液の調製>
以下の実施例および実験例で用いた試料液は、以下の試薬や原液等を用いて調製した。
脱塩素水:水道水を25℃の恒温水槽に入れて24時間攪拌し、塩素分を揮発させた水。
活性炭濾過水:水道水を活性炭で処理した水。
次亜塩素酸ナトリウム原液:全残留塩素濃度約12%の次亜塩素酸ナトリウム溶液。
スルファミン酸ナトリウム(粉末)。
BTA原液:ベンゾトリアゾール(化学名:1、2、3−ベンゾトリアゾール)の1000mg/L水溶液。
BTA希釈溶液:BTA原液を、ベンゾトリアゾール濃度が5mg/Lとなるように、脱塩素水で希釈した溶液。
【0041】
[DBt−0]
ジクロロスルファミン酸を種々の濃度で含み、ベンゾトリアゾールを含まない4種の試料液を調製した。
すなわち、スルファミン酸ナトリウムと次亜塩素酸ナトリウム原液を、スルファミン酸ナトリウム1モルに対する有効塩素濃度が2モルとなるように、かつ、全残留塩素濃度が約8mg/Lとなるように、脱塩素水に溶解し、DBt−0(8mg/L)を得た。
また、DBt−0(8mg/L)と脱塩素水を体積比3:1で混合してDBt−0(6mg/L)を、DBt−0(8mg/L)と脱塩素水を体積比1:1で混合してDBt−0(4mg/L)を、DBt−0(8mg/L)と脱塩素水を体積比1:3で混合してDBt−0(2mg/L)を、各々得た。
【0042】
[MBt−0]
モノクロロスルファミン酸を種々の濃度で含み、ベンゾトリアゾールを含まない4種の試料液を調製した。
すなわち、スルファミン酸ナトリウムと次亜塩素酸ナトリウム原液を、スルファミン酸ナトリウム1モルに対する有効塩素濃度が1モルとなるように、かつ、全残留塩素濃度が約8mg/Lとなるように、脱塩素水に溶解し、MBt−0(8mg/L)を得た。
また、MBt−0(8mg/L)と脱塩素水を体積比3:1で混合してMBt−0(6mg/L)を、MBt−0(8mg/L)と脱塩素水を体積比1:1で混合してMBt−0(4mg/L)を、MBt−0(8mg/L)と脱塩素水を体積比1:3で混合してMBt−0(2mg/L)を、各々得た。
【0043】
[DBt−5]
ジクロロスルファミン酸を種々の濃度で含み、ベンゾトリアゾールを5mg/L含む4種の試料液を調製した。
すなわち、スルファミン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム原液、及びベンゾトリアゾール原液を、スルファミン酸ナトリウム1モルに対する有効塩素濃度が2モルとなるように、全残留塩素濃度が約8mg/Lとなるように、かつ、ベンゾトリアゾール含有量が5mg/Lとなるように、脱塩素水に溶解し、DBt−5(8mg/L)を得た。
また、DBt−5(8mg/L)とBTA希釈溶液を体積比3:1で混合してDBt−5(6mg/L)を、DBt−5(8mg/L)とBTA希釈溶液を体積比1:1で混合してDBt−5(4mg/L)を、DBt−5(8mg/L)とBTA希釈溶液を体積比1:3で混合してDBt−5(2mg/L)を、各々得た。
【0044】
[MBt−5]
モノクロロスルファミン酸を種々の濃度で含み、ベンゾトリアゾールを5mg/L含む4種の試料液を調製した。
すなわち、スルファミン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム原液、及びベンゾトリアゾール原液を、スルファミン酸ナトリウム1モルに対する有効塩素濃度が1モルとなるように、全残留塩素濃度が約8mg/Lとなるように、かつ、ベンゾトリアゾール含有量が5mg/Lとなるように、脱塩素水に溶解し、MBt−5(8mg/L)を得た。
また、MBt−5(8mg/L)とBTA希釈溶液を体積比3:1で混合してMBt−5(6mg/L)を、MBt−5(8mg/L)とBTA希釈溶液を体積比1:1で混合してMBt−5(4mg/L)を、MBt−5(8mg/L)とBTA希釈溶液を体積比1:3で混合してMBt−5(2mg/L)を、各々得た。
【0045】
[DBt−2(8mg/L)]
ジクロロスルファミン酸を全残留塩素濃度が約8mg/Lとなるように含み、ベンゾトリアゾールを2mg/L含む試料液を調製した。
すなわち、スルファミン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム原液、及びベンゾトリアゾール原液を、スルファミン酸ナトリウム1モルに対する有効塩素濃度が2モルとなるように、全残留塩素濃度が約8mg/Lとなるように、かつ、ベンゾトリアゾール含有量が2mg/Lとなるように、脱塩素水に溶解し、DBt−2(8mg/L)を得た。
【0046】
[DBt−0.5(8mg/L)]
ジクロロスルファミン酸を全残留塩素濃度が約8mg/Lとなるように含み、ベンゾトリアゾールを0.5mg/L含む試料液を調製した。
すなわち、スルファミン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム原液、及びベンゾトリアゾール原液を、スルファミン酸ナトリウム1モルに対する有効塩素濃度が2モルとなるように、全残留塩素濃度が約8mg/Lとなるように、かつ、ベンゾトリアゾール含有量が0.5mg/Lとなるように、脱塩素水に溶解し、DBt−0.5(8mg/L)を得た。
【0047】
<全残留塩素濃度の測定>
各試料液の全残留塩素濃度は、上水試験方法2011年版「30.3 ジエチル−p−フェニレンジアミンによる吸光光度法」の(14)標準塩素水に記載された「よう素滴定法」(以下「DPD法」という。)に従って求めた。具体的には以下のように測定した。
(a)DPD試薬の作製
N,N−ジエチル−フェニレンジアミン硫酸塩1.0gと無水硫酸ナトリウム24gを混合して、DPD(N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン)試薬を作製した。
(b)リン酸緩衝液(pH=6.5)の調製
0.2mol/Lリン酸二水素カリウム100mLに0.2mol/L水酸化ナトリウム溶液35.4mLを加え、これにtrans−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸−水和物0.13gを溶解し、リン酸緩衝液(pH=6.5)を調製した。
(c)全残留塩素濃度の測定
リン酸緩衝液2.5mLを共栓付き容器50mLに採り、これにDPD試薬0.5gを加え、次いで試料液とイオン交換水を加えて全量を50mLとして、混和した。
得られた混和溶液50mLに、ヨウ化カリウム約0.5gを加えて溶解した。次にヨウ化カリウム添加後の溶液の約3mLを吸収セルに採り、光電分光光度計を用いて、ヨウ化カリウム添加後2分後における波長528nmにおける吸光度を測定し、予め作成した検量線から、全残留塩素濃度を求めた。
【0048】
<実施例>
本発明の残留塩素測定装置を用いて、各試料液を対象として、本発明の残留塩素測定方法を実施した。
センサ10としては、検知極11が0.1×3mmの金電極、対極12が銀/塩化銀であるものを使用した。
【0049】
図2に示すように、前処理ステップAは、以下の条件のステップA1を行った後に続けて、以下の条件のステップA2及びステップA3を1回行うステップとした。
ステップA1:印加電圧V
a1=−1Vを1秒間印加するステップ。
ステップA2:印加電圧V
a2=1Vを1秒間印加するステップ。
ステップA3:ステップA2の後に続けて、印加電圧V
a3=−1Vを1秒間印加するステップ。
【0050】
また、測定ステップBは、以下の条件のステップB1〜ステップB3を、B−1〜B−5の5回繰り返して行うステップとした。また、ステップB3の開始後0.25〜0.50秒の間、酸化還元電流を5mS毎に50回取り込み、その平均を測定電流とした。
ステップB1:印加電圧V
b1=1Vを0.5秒間印加するステップ。
ステップB2:ステップB1の後に続けて、印加電圧V
b2=−1Vを0.2秒間印加するステップ。
ステップB3:ステップB2の後に続けて、印加電圧V
b3=0Vを0.5秒間印加するステップ。
【0051】
DBt−0、DBt−5、MBt−0、及びMBt−5(各々4種)と脱塩素水とBTA希釈溶液を試料液として、本発明の残留塩素測定方法を実施した結果を、
図3〜7に示す。
なお、
図3〜7において、全残留塩素濃度が0mg/Lのデータは、脱塩素水またはBTA希釈溶液を試料液としたデータである。
【0052】
また、全残留塩素濃度が約2mg/L、約4mg/L、約6mg/L、約8mg/Lのデータは、DBt−0(白抜き菱形のプロット)がDBt−0の4種の各々を試料液としたデータであり、DBt−5(黒塗り三角のプロット)がDBt−5の4種の各々を試料液としたデータである。また、MBt−0(白抜き四角のプロット)がMBt−0の4種の各々を試料液としたデータであり、MBt−5(黒塗り丸のプロット)がMBt−5の4種の各々を試料液としたデータである。
【0053】
各試料液について、B−1で得られた測定電流を
図3に示す。また、B−1で得られた測定電流とB−2で得られた測定電流の平均値を
図4に示す。また、B−1で得られた測定電流、B−2で得られた測定電流、及びB−3で得られた測定電流の平均値を
図5に示す。また、B−1で得られた測定電流からB−4で得られた測定電流までの平均値を
図6に示す。また、B−1で得られた測定電流からB−5で得られた測定電流までの平均値を
図7に示す。
【0054】
図3〜7に示すように、本発明の残留塩素測定方法によれば、ベンゾトリアゾールを含有していても、充分な測定電流が得られることが分った。
また、モノクロロスルファミン酸溶液とジクロロスルファミン酸溶液との場合で、測定電流に大きい差はないことが分った。
【0055】
また、測定ステップのステップB1〜ステップB3を複数回繰り返し、得られた測定電流を平均すると、ベンゾトリアゾールを含有することによる測定電流への影響が小さくなることが分った。特に、
図5、
図6に示すように、3〜4回繰り返した際に得られる測定電流の平均値とすると、ベンゾトリアゾールを含有することによる測定電流への影響が極めて小さくなることが分った。
図7に示すように、5回繰り返した際に得られる測定電流の平均値とすると、ベンゾトリアゾールを含有することによる測定電流への影響が若干出てくる。これは、B−5のステップでは、B−4ステップ迄に形成された酸化被膜とベンゾトリアゾール類の被膜が、蓄積されてきたためと考えられる。
【0056】
<実験例>
活性炭濾過水、DBt−0(8mg/L)、DBt−0.5(8mg/L)、及びDBt−2(8mg/L)を試料液として、印加電圧と酸化還元電流との関係を示すポーラログラムを調べた。印加電圧の掃引速度は50mV/分とした。検知極としては、直径2mmの金電極を用い、線速度で約100cm/sが得られる程度の回転を与えた。対極は銀/塩化銀である。
【0057】
結果を
図8に示す。
図8に示すように、本発明の方法を用いないと、ベンゾトリアゾールが0.5mg/L含まれるだけで、残留塩素濃度に対応した酸化還元電流が極端に小さくなり、ベンゾトリアゾールが2mg/L含まれると、印加電圧0Vにおける電流が、活性炭濾過水と殆ど同じになることがわかった。