【実施例】
【0035】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0036】
=使用材料=
・セメント:普通ポルトランドセメント(略号NC,住友大阪セメント社製)
・セメント:早強ポルトランドセメント(略号HC,住友大阪セメント社製)
・無機質微粉末:フライアッシュ(略号FA,テクノ中部社製)
・無機質微粉末:石灰石微粉末(略号LP,商品名「タンカルK−400」,旭鉱末社製)
・無機質微粉末:膨張材(略号EX,商品名「スーパーサクスタイプS」,住友大阪セメント社製)
・軽量骨材:人工軽量粗骨材(略号LG,商品名「メサライト中骨材」,メサライト工業社製,吸水率:23.4%)
・軽量骨材:人工軽量細骨材(略号LS,商品名「メサライト細骨材」,メサライト工業社製,吸水率:15.5%)
・混和剤:減水剤(略号AD,商品名「ビスコクリート125」,日本シーカ社製)
・混和剤:増粘剤(略号VA,商品名「メトローズSCH300」,信越化学工業社製)
・混和剤:起泡剤(略号FO,商品名「セルメック」,フローリック社製)
・水
【0037】
<実施例1>
=軽量骨材の粒度分布の調整=
上記の軽量骨材のふるい分けを行って、軽量骨材の粒度分布が下記表1に記載の粒度分布となるように調整した。
【0038】
=セメント混練物の作製=
上記の各使用材料を下記表2に記載の配合で混練してセメント混練物を作製した。
【0039】
=流動性の測定=
作製したセメント混練物を用いて、JIS A 1171に規定する方法でミニスランプフローの測定を行った。測定結果については、下記表2に示す。
【0040】
=単位容積質量の測定=
作製したセメント混練物を所定容積の容器に充填して質量を測定し、測定された質量から容器の質量を差し引いた値を容器の容積(充填したセメント混練物の体積)で除することで単位容積質量を算出した。単位容積質量については下記表2に示す。
【0041】
=圧縮強度の測定=
作製したセメント混練物を直径50mm×高さ100mmの銅製軽量型枠に打ち込み、打ち込み翌日に脱型して材齢7日まで標準養生を行って供試体を作製した。そして、得られた供試体を用いてJIS A 1108に準拠した圧縮強度の測定を行った。測定結果については、下記表2に示す。
【0042】
<実施例2〜5、比較例1〜4>
セメントの配合、又は、水粉体比W/Pを下記表3に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同一の配合でセメント混練物を作製し、同一条件でミニスランプフロー、単位容積質量、圧縮強度の測定を行った。各測定結果については、下記表2に示す。
【0043】
<実施例6〜8、比較例5>
軽量骨材の粒度分布を下記表1に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同一の配合でセメント混練物を作製し、同一条件でミニスランプフロー、単位容積質量、圧縮強度の測定を行った。各測定結果については、下記表3に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
<まとめ>
表2において、実施例1〜5と比較例1〜4とを比較すると、実施例1〜5では、セメント混練物が良好なミニスランプフローを有するものになり、且つ、供試体(セメント硬化体)が良好な圧縮強度を有するものになるが、比較例1〜4では、ミニスランプフロー又は圧縮強度の何れか一方において各実施例よりも良好な結果を得ることができないと認められる。つまり、普通ポルトランドセメントと早強ポルトランドセメントとの配合割合及び水粉体比W/Pを本願発明の範囲とすることで、軽量骨材を使用した場合であっても、セメント混練物が良好な流動性を有するものになると共に、得られるセメント硬化体にも良好な強度を付与することができる。
【0048】
また、表2において、実施例1〜5を比較すると、実施例1,2の方が実施例3〜5よりもセメント混練物のミニスランプフロー及び供試体(セメント硬化体)の圧縮強度が高くなることが認められる。つまり、水粉体比W/Pが本願発明の範囲において普通ポルトランドセメントと早強ポルトランドセメントとの配合割合を実施例1,2のように構成することで、軽量骨材を使用した場合であっても、セメント混練物がより良好な流動性を有するものになると共に、得られるセメント硬化体にもより良好な強度を付与することができる。
【0049】
また、表3において、実施例1,6〜8と比較例5とを比較すると、実施例1,6〜8の方がセメント混練物のミニスランプフロー及び供試体(セメント硬化体)の圧縮強度が高くなることが認められる。また、実施例1,6〜8と比較例6とを比較すると、比較例6のセメント混練物は、ミニスランプフローが高過ぎるため、実施例1,6〜8のセメント混練物より材料分離抵抗性が低下する。つまり、普通ポルトランドセメントと早強ポルトランドセメントとの配合割合及び水粉体比W/Pが本願発明の範囲において軽量骨材の粒度分布を実施例1,6〜8のように構成することで、軽量骨材を使用した場合であっても、セメント混練物が良好な流動性と材料分離抵抗性を有するものになると共に、得られるセメント硬化体にも良好な強度を付与することができる。
【0050】
=ブリーディング率及び膨張率の測定=
なお、実施例1〜8において、ブリーディング率、及び、膨張率をJSEC−F533「PCグラウトのブリーディング率および膨張試験方法(容器法)(案)」で測定した。測定結果としては、各実施例でブリーディング率が0であり、膨張率が材齢7日で収縮を示さなかった。
【0051】
=ポンプ圧送性=
また、実施例1〜8において、ポンプ圧送性をスクイーズポンプおよび40mのフレキシブルホースを用いて確認した。その結果、各実施例でホースを閉塞することなく圧送することができた。