(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロアルカン、スチレンあるいはこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種からなるエチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合して得られる重合体100質量部に対して、融点が70℃以下の酸化防止剤が0.005〜0.5質量部、溶剤が5質量部以下となるように、前記酸化防止剤を、前記エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合前又は重合中に、溶剤に溶解させることなく直接触媒系又は重合系に添加する工程を備えることを特徴とする安定化されたポリマーの製造方法。
上記融点が70℃以下の酸化防止剤が、下記一般式(1)、又は、一般式(2)で表される化合物のうちの少なくとも一種を含む請求項1〜
3のうちいずれか一項記載の安定化されたポリマーの製造方法。
(式中、R
1及びR
2は、各々独立して、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子6〜40のアリール基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数3〜25の複素環含有基、又はこれらの組み合わせの何れかを表し、R
1とR
2は結合して、5,5−ジアルキル−1,3,2−ジオキサホスホリナンを形成してもよく、
R
3は、直接結合、炭素原子数1〜40のアルキリデン基、炭素原子数6〜40のアリーレン基を表し、
bは、1〜4の整数を表し、
bが1の場合、Tは、水素原子、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数6〜40のアリール基を表し、
bが2の場合、Tは、炭素原子数1〜40のアルキリデン基、炭素原子数6〜40のアリーレン基、−O−を表し、
bが3の場合、Tは、炭素原子数1〜40のアルカントリイル基を表し、
bが4の場合、Tは、炭素原子数1〜40のアルカンテトライル基を表し、
上記アルキル基、アルキリデン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基中のメチレン基は、>C=O、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−NR
4−、ホスフィン、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスファイト、ホスホラン、ホスホネート又はこれらの組み合わせで置き換わっていてもよく、これらの基は分岐を有するものであってもよい。
R
4は、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
(式中、R
5およびR
6は、各々独立して、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数6〜40のアリール基を表す。)
【背景技術】
【0002】
エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合して得られる重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等を挙げることができるが、これらは熱や光に対する安定性に乏しく、高温環境や強い光に曝されると容易に酸化/劣化し、プラスチック製品として必要な寿命が得られない。この酸化劣化を防止するために、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン化合物、ヒンダードアミン化合物、紫外線吸収剤、酸捕捉剤等の樹脂添加剤を添加することが一般的に行われている。
【0003】
上記安定剤のうち、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及びチオエーテル系酸化防止剤は、ポリオレフィン等のエチレン性不飽和結合を有するモノマーから得られる重合体に対して優れた熱安定化効果を付与することができる酸化防止剤として知られており、造粒装置を用いて重合体に酸化防止剤を配合することによって、長期の安定化が図られてきた。
【0004】
しかし、造粒装置を用いる配合方法は、重合体と酸化防止剤の溶融混練時に重合体に熱履歴がかかり、重合体の分子量低下等の物性低下を避けることができなかった。また、酸化防止剤の分散不良に対応するために、重合体の安定化に必要な配合量以上に添加する必要があり、経済的に不利であった。
【0005】
そこで、重合体の溶融混練による酸化防止剤の配合工程を省略すべく、モノマーの重合前または重合中に安定剤を添加する方法の研究が進められている。
例えば、特許文献1において、ポリオレフィンの酸化防止剤として、テトラキス(3,(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル)メタンなどのフェノール系酸化防止剤は、重合触媒の重合活性を阻害することが知られており、チーグラー触媒を担持する塩化マグネシウムに対して、エーテル化合物で錯体形成させてからフェノール系酸化防止剤を添加して重合する方法が提案されている。
【0006】
特許文献2において、有機亜リン酸エステル、ジ亜リン酸エステル、ホスホン酸エステル及びジホスホン酸エステルの中から選ばれる少なくとも1種以上の酸化防止剤の存在下でα−オレフィンを重合する方法が提案されている。
特許文献3において、チタン触媒を使用してフェノール系酸化防止剤の存在下、オレフィンモノマーを重合する方法が提案されており、ヒンダードアミン光安定剤、有機ホスフィット及びホスホナイト、及び含リン有機アミドから選択される1種以上の樹脂添加剤を重合時に加えることが提案されている。
特許文献4において、オレフィンポリマーの重合ゾーンにおいて、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物とリン(III)エステルを添加する方法が提案されている。
特許文献5において、フェノール系化合物および/又はホスファイト系酸化防止剤を含有した溶剤を用いて環状オレフィンを重合する製造方法が提案されている。
【0007】
本発明者等は、特許文献6〜8において、フェノール系酸化防止剤を有機アルミニウム化合物でマスキングして、アルミニウムのアリロキシドにしたものを添加してオレフィンモノマーを重合する製造方法を提案している。
【0008】
尚、特許文献9〜12において、ビスフェノールスルフィドのアルキルメルカプトカルボン酸のモノエステル体化合物、そのジエステル体化合物、およびチオジアルキルカルボン酸ジアルキルエステル化合物は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ナイロン6、ナイロン66、エチレン−酢酸ビニル共重合体、石油樹脂、クマロン樹脂等の種々の合成樹脂に対して優れた安定化効果を付与することが記載されている。しかし、オレフィン系モノマーの重合時に添加する手法については記載がなく、押出機を用いて溶融混練して成形する方法のみしか記載されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1記載の方法は触媒の処置が煩雑であるため、より簡便で触媒作用を制限しない重合体の安定化方法が求められていた。また、特許文献2〜5記載の製造方法は、ヘプタン又はヘキサンなどの溶剤に酸化防止剤を溶解させてからオレフィンモノマーの重合時に添加する手法を採用している。この酸化防止剤を添加する際に用いた溶剤が重合体に残留して、重合体の成形加工時に発泡する場合があった。また、残留溶剤による臭気によって作業環境を損ねる場合があった。そのため、重合体を乾燥する工程が必要になり、経済的に不利であった。酸化防止剤の添加に伴う粉塵の発生が作業環境の悪化をもたらす場合もあった。
【0011】
特許文献6〜8に記載の製造方法は、フェノール系酸化防止剤をマスキング処理してアルミニウムアリロキシドにしたものを用いる方法であるが、溶剤を用いて配合するため得られる重合体に溶剤が残留し、押出機による造粒時に発泡する場合があった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合体に充分な安定化効果を付与しながら、得られる重合体の溶剤残留量を抑制し、発泡の発生を防止することができ、かつ、粉塵の発生が抑制された安定化ポリマーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合前又は重合中に、触媒系又は重合系に融点が70℃以下の酸化防止剤を添加する工程を備えることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明の安定化されたポリマーの製造方法は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロアルカン、スチレンあるいはこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種からなるエチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合して得られる重合体100質量部に対して、融点が70℃以下の酸化防止剤が0.005〜0.5質量部、溶剤が5質量部以下となるように、前記酸化防止剤を、前記エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合前又は重合中に、溶剤に溶解させることなく直接触媒系又は重合系に添加する工程を備えるものである。
【0017】
また、前記溶剤がミネラルオイル、脂肪族系溶剤、芳香族系溶剤又はこれらの混合物から選択されるものであることが好ましい。
【0018】
さらに、本発明の安定化されたポリマーの製造方法においては、重合が、気相重合又はバルク重合で行われることが好ましい。
【0019】
さらに、前記融点が70℃以下の酸化防止剤が、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を少なくとも1種含むことが好ましい。
(式中、R
1及びR
2は、各々独立して、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子6〜40のアリール基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数3〜25の複素環含有基、又はこれらの組み合わせの何れかを表し、R
1とR
2は結合して、5,5−ジアルキル−1,3,2−ジオキサホスホリナンを形成してもよく、
R
3は、直接結合、炭素原子数1〜40のアルキリデン基、炭素原子数6〜40のアリーレン基を表し、
bは、1〜4の整数を表し、
bが1の場合、Tは、水素原子、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数6〜40のアリール基を表し、
bが2の場合、Tは、炭素原子数1〜40のアルキリデン基、炭素原子数6〜40のアリーレン基、−O−を表し、
bが3の場合、Tは、炭素原子数1〜40のアルカントリイル基を表し、
bが4の場合、Tは、炭素原子数1〜40のアルカンテトライル基を表し、
上記アルキル基、アルキリデン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基中のメチレン基は、>C=O、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−NR
4−、ホスフィン、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスファイト、ホスホラン、ホスホネート又はこれらの組み合わせで置き換わっていてもよく、これらの基は分岐を有するものであってもよい。
R
4は、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
(式中、R
5およびR
6は、各々独立して、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数6〜40のアリール基を表す。)
【0020】
本発明において用いられる酸化防止剤が、前記一般式(1)中のR
1、及びR
2が炭素原子数8〜17のアルキル基で表される化合物を含むものが、本発明の効果が顕著であるので好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の安定化されたポリマーの製造方法によって、優れた熱安定化効果を付与された重合体が得られ、得られた重合体の乾燥工程が不要になることから生産性の向上が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の安定化されたポリマーの製造方法について、好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明の安定化されたポリマーの製造方法は、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合して得られる重合体100質量部に対して、融点が70℃以下の酸化防止剤が0.005〜0.5質量部配合されるように、前記酸化防止剤を、エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合前又は重合中に、触媒系又は重合系に添加する工程を備えるものである。
【0023】
まず、本発明で使用される融点が70℃以下の酸化防止剤について説明する。
本発明における融点が70℃以下の酸化防止剤とは、フェノール系酸化防止剤、又は、リン系酸化防止剤において融点が70℃以下である化合物を表す。
本発明においては、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を少なくとも一種含むことが好ましい。
(式中、R
1及びR
2は、各々独立して、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子6〜40のアリール基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数3〜25の複素環含有基、又はこれらの組み合わせの何れかを表し、R
1とR
2は結合して、5,5−ジアルキル−1,3,2−ジオキサホスホリナンを形成してもよく、
R
3は、直接結合、炭素原子数1〜40のアルキリデン基、炭素原子数6〜40のアリーレン基を表し、
bは、1〜4の整数を表し、
bが1の場合、Tは、水素原子、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数6〜40のアリール基を表し、
bが2の場合、Tは、炭素原子数1〜40のアルキリデン基、炭素原子数6〜40のアリーレン基、−O−を表し、
bが3の場合、Tは、炭素原子数1〜40のアルカントリイル基を表し、
bが4の場合、Tは、炭素原子数1〜40のアルカンテトライル基を表す。)
(式中、R
5およびR
6は、各々独立して、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数6〜40のアリール基を表す。)
【0024】
上記一般式(1)中の、R
1、R
2及びTで表される炭素原子数1〜40のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、シクロプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、iso−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、tert−ペンチル、シクロペンチル、4−エチル−2−メチルへプチル、ヘキシル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,4−ジメチルヘキシル、シクロヘキシル、1,2,4−トリメチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、iso−ヘプチル、tert−ヘプチル、1−オクチル、iso−オクチル、tert−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、イコシル、アダマンチル、ノルボルニル等が挙げられる。
【0025】
一般式(1)中の、R
1、R
2及びTで表される炭素原子数6〜40のアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−iso−プロピルフェニル、4−iso−プロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−iso−ブチルフェニル、4−tert−ブチル−フェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、4−ステアリルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、2,5−ジ−tert−ブチルフェニル、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、2,4−ジ−tert−ペンチルフェニル、2,5−ジ−tert−アミルフェニル、2,5−ジ−tert−オクチルフェニル、2,4−ジクミルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、(1,1’−ビフェニル)−4−イル、2,4,5−トリメチルフェニル、フェロセニル等が挙げられる。
【0026】
一般式(1)中のR
1及びR
2で表される炭素原子数7〜40のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、1−メチル−1−フェニルエチル、2−フェニル−プロパン−2−イル、1−ナフチルメチル、9−アントラセニルメチル、フルオレニル、インデニル、9−フルオレニルメチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェネチル、スチリル、シンアミル等が挙げられる。
【0027】
一般式(1)中のR
3及びTで表される炭素原子数1〜40のアルキリデン基としては、上記炭素原子数1〜40のアルキル基で例示した基から、水素原子を1個引き抜いた基等が挙げられる。
【0028】
一般式(1)中のR
3及びTで表される炭素原子数6〜40のアリーレン基としては、上記炭素原子数6〜40のアリール基で例示した基において、芳香族の水素原子を1個引き抜いた基等が挙げられる。
【0029】
一般式(1)中のTで表される炭素原子数1〜40のアルカントリイル基としては、上記炭素原子数1〜40のアルキル基で例示した基から、水素原子を2個引き抜いた基等が挙げられる。
【0030】
一般式(1)中のTで表される炭素原子数1〜40のアルカンテトライル基としては、上記炭素原子数1〜40のアルキル基で例示した基から、水素原子を3個引き抜いた基等が挙げられる。
【0031】
一般式(2)中のR
5及びR
6で表される炭素原子数1〜40のアルキル基としては、一般式(1)中の炭素原子数1〜40のアルキル基と同じものが挙げられる。
【0032】
一般式(2)中のR
5及びR
6で表される炭素原子数6〜40のアリール基としては、一般式(1)中の炭素原子数6〜40のアリール基と同じものが挙げられる。
【0033】
本発明においては、アルキル基、アリールアルキル基、アルキリデン基、アルカントリイル基、および、アルカンテトライル基中のメチレン基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
【0034】
上記置換基としては、例えば、ビニル、アリル、アクリル、メタクリル等のエチレン性不飽和基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル、2−クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4−トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;アミノ、エチルアミノ、メチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、tert−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、リン酸基またはカルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基の塩等が挙げられる。本発明においては、各置換基は特に断らない限り、さらに置換基を有してもよい。
【0035】
本発明においては、アリール基、アリールアルキル基、アリーレン基における芳香族の水素原子は置換されていてもよい。
【0036】
上記置換基としては、例えば、ビニル、アリル、アクリル、メタクリル等のエチレン性不飽和基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル、2−クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4−トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、tert−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、ホスフィン、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスファイト、ホスホラン、ホスホネート等のリン化合物またはカルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、ホスフィン、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスファイト、ホスホラン、ホスホネート等のリン化合物の塩等が挙げられ、これらの基はさらに置換されるものであってもよい。
【0037】
本発明における融点が70℃以下の酸化防止剤の具体的な化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2−エチルヘキシル)フェニルホスファイト、2−エチルヘキシルジフェニルホスファイト、2−エチルヘキシルジフェニルホスファイト、トリオクチルホスファイト、イソデシルジフェニルホスファイト、ジイソデシルホスファイト、トリイソデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジトリデシルフェニルホスファイト、トリ(イソトリデシル)ホスファイト、(1−メチルエチリデン)ジ−4,1−フェニレン−テトラC12−15アルキルエステルリン酸、テトライソデシルビスフェノールAジホスファイト、オキシビス(メチルエチリレン)テトラジフェニルジホスファイト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト、ジデシルペンタエリスリトールジホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル)ブタン、トリス(ジプロピレングリコール)ホスファイト、ペンタエリスリトールテトラキス(フェニルトリデシルホスファイト)、2−フェノキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン、2,4−ビス(ドデシルチオメチル)−6−メチルフェノール、2,4−ビス(オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール、1,1−ジチオビスオクタデカンを挙げることができ、中でも、トリアルキルホスファイトが好ましい。
【0038】
本発明の製造方法において、上記融点が70℃以下の酸化防止剤の配合量は、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合して得られる重合体100質量部に対して、0.005〜0.5質量部、より好ましくは、0.01〜0.2質量部である。0.005質量部より少ないと、上記重合体に付与する熱安定化効果が不十分になる場合があり、0.5質量部を超えると、得られる重合体を成形した成形品の表面から、酸化防止剤がブリードアウトする場合がある。
尚、重合体に含まれる酸化防止剤の配合量を上記範囲内に調整する方法としては、予備実験によりエチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合活性を確認して、酸化防止剤の添加量を調整することによって、酸化防止剤の配合量を上記範囲内に調整することができる。
【0039】
本発明の製造方法において、上記エチレン性不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロアルカン、スチレンあるいはこれらの誘導体等を挙げることができ、本発明において用いられるエチレン性不飽和モノマーは1種であってもよく、2種以上であってもよいが、エチレン又はα−オレフィンの組合せであるものが好ましい。
【0040】
本発明の製造方法によって得られる重合体は、上記エチレン性不飽和モノマーの単独重合、又は、エチレン性不飽和モノマーを含む共重合によって得られるものであり、例えば、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体等のポリプロピレン、エチレン重合体の高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、シクロオレフィン等を挙げることができる。
【0041】
また、本発明の製造方法によって得られる重合体は、上記エチレン性不飽和モノマーと他のモノマーの共重合体であってもよく、非共役ジエンモノマーを含む共重合体であってもよい。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等のハロゲン含有樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレン及び/又はα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等)、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタム及びポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド樹脂、ポリカーボネート、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂などの熱可塑性樹脂、及びこれらの混合物、又は、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。さらに、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム等を挙げることができる。
【0042】
エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合反応を行う方法としては、通常用いられる方法を採用することができる。例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ガソリン留分、水素化ジーゼル留分などの不活性溶剤の存在下に液相で重合を行う方法、液化したモノマー自体を媒体とする重合方法、液相が実質的に存在しない条件下、窒素等の不活性ガス雰囲気中など気相で重合を行う方法、又はこれらを2種以上組み合わせた重合方法も使用可能である。また、重合は、回分式、連続式のいずれでもよく、一段重合法又は多段重合法であってもよい。
本発明の製造方法において好ましい重合方法は、使用する溶剤量が少ない重合方法として気相重合又はバルク重合を挙げることができる。
【0043】
エチレン性不飽和結合を有するモノマーに、融点70℃以下の酸化防止剤を配合する方法としては、例えば、エチレン性不飽和モノマーの重合が、二段階で重合反応を行う場合、1段階目の重合前、1段階目の重合中、1段階目の重合後二段階目の重合前、又は、二段階目の重合中のいずれかの時期において、エチレン性不飽和モノマーを反応させる重合槽に、融点70℃以下の酸化防止剤を添加する方法を挙げることができる。また、融点70℃以下の酸化防止剤を重合槽に直接添加してもよく、溶剤と予め混合してから添加するものであってもよい。
【0044】
上記融点70℃以下の酸化防止剤と混合する上記溶剤としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ミネラルオイル、ガソリン留分、水素化ジーゼル留分などを挙げることができる。
本発明の製造方法において上記溶剤は、重合触媒の活性を低下させないものが好ましく、ヘプタンが、特に好ましい。
【0045】
融点70℃以下の酸化防止剤と溶剤を混合する場合、得られる重合体100質量部に対して溶剤が5質量部未満となるような量の溶剤を使用することが好ましい。融点70℃以下の酸化防止剤100gと混合する上記溶剤の配合量は、1〜4,000gの範囲内であることが好ましく、より好ましくは、1〜1,000gである。上記範囲を超えると得られる重合体に溶剤が残留して本発明の効果が得られない場合がある。
【0046】
本発明の製造方法によって得られる重合体100質量部に対する好ましい溶剤の含有量は、0.1〜5質量部、より好ましくは、0.1〜2質量部である。溶剤の含有量が5質量部を超えると、成形加工時に発泡したり、重合活性に悪影響したりする場合があり、経済的に不利である。
【0047】
本発明の製造方法においては、重合を阻害しない範囲で、活性水素化合物、微粒子状担体、有機アルミニウム化合物、イオン交換性層状化合物、無機珪酸塩又は下記重合触媒以外の触媒構成成分、例えば担体等を含んでいてもよい。
【0048】
本発明の製造方法において重合触媒は、特に限定されるものではなく、公知の重合触媒を利用可能であり、例えば、周期表第3〜11族の遷移金属(例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、鉄、ニッケル、鉛、白金、イットリウム、サマリウム等)の化合物があり、代表的なものとしては、チーグラー触媒、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分からなるチーグラー・ナッタ触媒、窒素、酸素、硫黄、リンなどのヘテロ原子が周期表第4〜第10族の遷移金属と結合した化合物であるブルックハート触媒、少なくとも一個のシクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族〜第6族の遷移金属化合物と助触媒成分からなるメタロセン触媒が挙げられるが、電子供与性化合物を使用すると高品質の重合体が得られるので好ましい。
【0049】
上記チーグラー触媒としては、例えば、四塩化チタンを有機アルミニウム等で還元して得られた三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物を電子供与性化合物で処理し更に活性化したもの(例えば特開昭47−34478号公報、特開昭58−23806号公報、特開昭63−146906号公報)、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と、有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルとからなる触媒(特開昭56−100806号公報、特開昭56−120712号公報、特開昭58−104907号公報等参照)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体からなる担持型触媒(特開昭57−63310号公報、特開昭58−157808号公報、特開昭58−83006号公報、特開昭58−5310号公報、特開昭61−218606号公報、特開昭63−43915号公報、特開昭63−83116号公報等参照)等を挙げることができる。
【0050】
上記メタロセン触媒としては、例えば、特開平9−12621号公報に記載されている遷移金属メタロセン触媒や特開平5−043616号公報、特開平5−295022号公報、特開平5−301917号公報、特開平6−239914号公報、特開平6−239915号公報、特開平6−239917号公報、特開平7−082311号公報、特開平7−228621号公報、特開平7−330820号公報、特開平8−059724号公報、特開平8−085707号公報、特開平8−085708号公報、特開平8−127613号公報、特開平10−226712号公報、特開平10−259143号公報、特開平10−265490号公報、特開平11−246582号公報、特開平11−279189号公報、特開平11−349633号公報、特開2000−229990号公報、特開2001−206914号公報、特開2002−37795号公報、特開2002−194015号公報、特開2002−194016号公報、特表2002−535339号公報、WO99/37654号公報、WO99/45014号公報およびWO00/8036号公報に記載されている主としてポリプロピレンの重合に用いられる遷移金属メタロセン触媒などが挙げられる。
【0051】
上記電子供与性化合物としては、エーテル系化合物、エステル系化合物、ケトン系化合物、アルコキシシラン系化合物等を挙げることができる。上記電子供与性化合物は、単独の化合物を添加してもよく、必要に応じて複数の化合物を添加してもよい。
【0052】
上記エーテル系化合物としては、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン、2,2,5,5−テトラメチルテトラヒドロフラン、ジオキサン等を挙げることができる。
【0053】
上記エステル系化合物としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、フェニル酢酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、メトキシ安息香酸メチル、メトキシ安息香酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−イソブチル、フタル酸ジヘキシル、γ−ブチロラクトン、エチルセロソルブ等を挙げることができる。
【0054】
上記ケトン系化合物としては、例えば、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等を挙げることができる。
【0055】
上記アルコキシシラン系化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン−tert−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン−tert−ブチルメチルジメトキシシラン−tert−ブチルエチルジメトキシシラン−tert−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン−tert−ブチルイソプロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン−tert−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン−tert−ブチルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシラン等を挙げることができる。
【0056】
上記担体としては、特に種類の制限はないが、例えば、無機酸化物等の無機担体、多孔質ポリオレフィンなどの有機担体が挙げられ、複数を併用したものであってもよい。上記無機担体としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化亜鉛等を挙げることができる。また、この他の無機担体としては塩化マグネシウム、臭化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム、マグネシウムエトキシドなどのマグネシウムアルコキシド、イオン交換性層状化合物が挙げられる。
【0057】
上記イオン交換性層状化合物とは、イオン結合等によって構成される面が、互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有するもので、含有するイオンが交換可能な化合物を表す。イオン交換性層状化合物の具体例としては、例えば、カオリン、ベントナイト、タルク、カオリナイト、バーミキュライト、モンモリロナイト群、雲母群、α−Zr(HAsO
4)
2・H
2O、α−Zr(HPO
4)
2・H
2O、α−Sn(HPO
4)
2・H
2O、γ−Ti(NH
4PO
4)
2・H
2Oなどが挙げられる。
【0058】
上記有機担体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリ塩化ビニル等であり、これらは例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体のように架橋していてもかまわない。また、これら有機担体上に触媒が化学結合したものも使用可能である。
【0059】
これら担体の粒径(体積平均)は通常、0.1〜300μmであるが、好ましくは1〜200μm、更に好ましくは10〜100μmの範囲である。粒径が1μmよりも小さいと微粉状の重合体となりやすく、また大きすぎると粗大粒子が生成するため、所望の粒子形状に応じて担体の粒径を選択すべきである。上記の担体の細孔容積は通常、0.1〜5cm
3/gであり、好ましくは0.3〜3cm
3/gである。細孔容積は例えばBET法や水銀圧入法などにより測定できる。
【0060】
上記重合反応で用いられる重合槽としては、既存の重合設備における連続反応槽をそのまま使用すればよく、サイズ、形状、材質など、本発明が従来の重合設備に対して特に限定されることはない。
【0061】
上記重合体には、必要に応じてさらに、エチレン性不飽和結合を有するモノマーから得られる重合体に通常使用される樹脂添加剤を配合することができる。樹脂添加剤の配合方法としては、重合を阻害するものでなければ、他の樹脂添加剤を、エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合時に添加することができる。また、樹脂添加剤を目的に応じた配合量で前記重合物と混合し、あるいは、前記重合物とは異なる樹脂に、前記重合物と樹脂添加剤を配合して混合し、押出機などの成形加工機で溶融混錬して造粒、成形してもよい。さらに、上記樹脂添加剤が本発明で用いられる融点70℃以下の酸化防止剤であってもよい。
【0062】
上記他の添加剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物、重金属不活性化剤、造核剤、難燃剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト、充填剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、可塑剤等が挙げられる。
【0063】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、スチレン化フェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−メチル−4,6−ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノール、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、2,2’−オキサミド−ビス[エチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−エチルヘキシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−エチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸およびC13−15アルキルのエステル、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、ヒンダードフェノールの重合物(アデカパルマロマール社製商品名AO.OH998)、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキホスフォビン、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[モノエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネートカルシウム塩、5,7−ビス(1,1−ジメチルエチル)−3−ヒドロキシ−2(3H)−ベンゾフラノン、とo−キシレンとの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、DL−a−トコフェノール(ビタミンE)、2,6−ビス(α−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、ビス[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−フェニル)ブタン酸]グリコールエステル、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、ステアリル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、パルミチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ミリスチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ラウリル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド等を挙げることができる。
【0064】
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−tert−ブチル−4−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス−tert−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノールのホスファイト等を挙げることができる。
【0065】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−tert−オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−tert−ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−tert−アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩、又は金属キレート、特にニッケル、クロムの塩、又はキレート類等が挙げられる。
【0066】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、ビス{4−(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジル}デカンジオナート、ビス{4−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ウンデシルオキシ)ピペリジル)カーボナート、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製TINUVIN NOR 371等を挙げることができる。
【0067】
上記重金属不活性化剤としては、サリチルアミド−1,2,4−トリアゾール−3−イル、ビスサリチル酸ヒドラジド、ドデカンジオイルビス(2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド)、ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸)ヒドラジド等を挙げることができる。
【0068】
上記造核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、4−tert−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム及び2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ナトリウムビス(4−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート及びリチウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート等のリン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、及びビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール等の多価アルコール誘導体、N,N’,N”−トリス[2−メチルシクロヘキシル]―1,2,3−プロパントリカルボキサミド(RIKACLEAR PC1)、N,N’,N”−トリシクロヘキシル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミド、N,N’−ジシクロヘキシル−ナフタレンジカルボキサミド、1,3,5−トリ(ジメチルイソプロポイルアミノ)ベンゼン等のアミド化合物等を挙げることができる。
【0069】
上記難燃剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−2,6−キシレニルホスフェート及びレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族リン酸エステル、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル及びフェニルホスホン酸(1−ブテニル)等のホスホン酸エステル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体等のホスフィン酸エステル、ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸アンモニウム、リン含有ビニルベンジル化合物及び赤リン等のリン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレン及び2,4,6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、及び、臭素化スチレン等の臭素系難燃剤等を挙げることができる。
【0070】
上記充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス粉末、ガラス繊維、クレー、ドロマイト、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラステナイト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート等が好ましい。充填剤は、平均粒径(球状乃至平板状のもの)又は平均繊維径(針状乃至繊維状)が5μm以下のものが好ましい。
【0071】
上記滑剤は、成形体表面に滑性を付与し傷つき防止効果を高める目的で加えられる。滑剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド等を挙げることができる。これらは1種を使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0072】
上記帯電防止剤は、成形品の帯電性の低減化や、帯電による埃の付着防止の目的で加えられる。帯電防止剤としては、カチオン系、アニオン系、非イオン系等、種々多様にある。好ましい例としては、ポリオキシエチレンアルキルアミンやポリオキシエチレンアルキルアミドないしそれらの脂肪酸エステル、グリセリンの脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは1種を使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。また、帯電防止剤の添加量は、前記重合体100質量部に対し、好ましくは0.03〜2質量部、より好ましくは0.04〜1質量部である。帯電防止剤が過少の場合、帯電防止効果が不足する。一方、過多であると、表面へのブリード、重合体の物性低下を引き起こす場合がある。
【0073】
本発明で使用される他の添加剤の好ましい使用量の範囲は、効果が発現される量から添加効果の向上が見られなくなる範囲である。各添加剤の使用量は、前記重合体100質量部に対して、可塑剤が0.1〜20質量部、充填剤が1〜50質量部、表面処理剤が0.001〜1質量部、フェノール系酸化防止剤が0.001〜10質量部、リン系酸化防止剤が0.001〜10質量部、紫外線吸収剤が0.001〜5質量部、ヒンダードアミン化合物が0.01〜1質量部、難燃剤が1〜50質量部、滑剤が0.03〜2質量部、帯電防止剤が0.03〜2質量部であることが好ましい。尚、これらの添加剤は一種を単独で使用してもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0074】
本発明の製造方法により得られるポリマーは、押出成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等の公知の成形方法で成形することによって成形品とすることができる。そのようにして得られる成形品の用途としては、例えば、自動車内外装品、食品用容器、化粧品・衣料用容器、食品用ボトル、飲料用ボトル、食用油ボトル、調味料ボトル等のボトル、食品用包装材、ラッピング材、輸送用包装材等の包装材料、電子材料の保護膜、電化製品の保護シート等のシート・フィルム、繊維、日用雑貨、玩具等を挙げることができる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例、比較例をもって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によって制限を受けるものではない。
【0076】
〔製造例1〕(バルク重合法)
下記の手順([1]触媒スラリーの調製、[2]予備重合、[3]オレフィンモノマーの重合)に従い、バルク重合法でオレフィン系重合体を得た。
【0077】
[1]触媒スラリーの調製
無水塩化マグネシウム4.76g(50mmol)、デカン25mL及び2−エチルへキシルアルコール23.4mL(150mmol)を加えて、130℃で2時間加熱反応を行い均一溶液とした後、さらに無水フタル酸1.11g(7.5mmol)を添加し、130℃を維持しながら1時間撹拌して、無水フタル酸を該均一溶液に溶解させた。次に、均一溶液を室温に冷却し、−20℃に保持された四塩化チタン200mL(1.8mol)中に1時間にわたって全量滴下装入した。装入終了後、4時間かけて110℃まで昇温した。110℃に到達後、ジイソブチルフタレート2.68mL(12.5mmol)を加え、110℃を維持しながら2時間撹拌して反応させた。反応終了後、熱時ろ過にて残渣を採取し、該残渣を200mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃まで加熱して2時間反応させた。反応終了後、再び熱時ろ過で残渣を採取し、110℃のデカン及びヘキサンにて、洗液中に遊離しているチタン化合物が検出されなくなるまで充分に洗浄して固体チタン触媒成分を得た。この固体チタン触媒成分の一部を乾燥して触媒組成を分析したところ、チタン3.1質量%、塩素56.0質量%、マグネシウム17.0質量%及びイソブチルフタレート20.9質量%であった。
以上の製造方法にて合成された固体チタン触媒成分に、スラリーとして5mg/mLとなるようにヘプタンを加えて触媒スラリーを調製した。
【0078】
[2]予備重合
融点が70℃以下の酸化防止剤を加える前に、重合反応率を求めた。
窒素置換した1000ml耐圧反応器において、トリエチルアルミニウム74mg、ジシクロペンチルジメトキシシラン14.85mg(0.065mmol)、前記[1]で調製した触媒スラリー(チタン成分として3.3μmol)を加え、二分間攪拌した。次に、耐圧反応器をプロピレン雰囲気に置換してから、水素圧0.2barGの水素を入れ、プロピレンは、全圧が38.2barGを維持するようにして、継続的に耐圧反応器に導入し、25℃で3分間プレ重合を行った。プレ重合後、プロピレン圧を38.2barGのまま維持して70℃まで昇温し、1時間重合反応を行った。反応終了後、プロピレンをパージして白色固体の重合体を200g得た。得られた重合体の230℃におけるメルトフローレートは、いずれも20g/10minであった。
【0079】
[3]オレフィンモノマーの重合(バルク重合法)
上記予備重合で得られた重合体収量から重合活性を算出し、表1記載の酸化防止剤の配合量となるように酸化防止剤の添加量を調整して、窒素置換した1000ml耐圧反応器に加えた。酸化防止剤と溶剤を混合したものを添加する場合、酸化防止剤と溶剤を表2に記載の配合量にて窒素雰囲気下で混合したものを、窒素置換した1000ml耐圧反応器に加えた。
次に、酸化防止剤又は酸化防止剤と溶剤を混合したものを表1又は表3に記載の配合量になるように添加した以外は、上記予備実験と同一の条件で重合を行い、重合体を得た。得られた重合体の230℃におけるメルトフローレートは、いずれも20g/10minであった。尚、表中の酸化防止剤の欄に記載の化合物は、下記の製品名を表す。
3010:株式会社ADEKA製品名 ADEKA STAB 3010
(トリイソデシルホスファイト、常温(25℃)で液状)
3012:株式会社ADKEA製品名 ADEKA STAB 3012
(トリラウリルホスファイト、常温(25℃)で液状)
2112:株式会社ADEKA製品名 ADEKA STAB 2112
(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、融点180〜190℃)
【0080】
(1)重合活性
得られた重合体の収量により重合挙動への影響を評価した。重合活性(g−PP/g−触媒)は、1gの触媒量における重合体の生成量を表す。
【0081】
(2)安定化効果
得られた重合体に対して、単軸押出機(装置:株式会社東洋精機製作所製プラストミルμ、押出温度:230℃、スクリュー回転速度:50rpm)を用いて造粒を4回繰り返して重合体の重量平均分子量を測定することにより、重合体の安定化効果を評価した。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(装置:Viscotek社製 Moldel 350 HTGPC、カラム:東ソー株式会社製 TSKgel GMH
HR −H HT,TSKgel G200H
HR(20)HT,TSKguard column HHR (30)HT)、測定温度:145℃、溶剤:オルトジクロロベンゼン、濃度:30mg/10g)により、上記の押出前の重合体と4回押出後のペレットの重量平均分子量を測定した。これらの結果について表1,3にそれぞれ示す。
【0082】
(3)造粒時の発泡の有無
前記安定化効果の評価において、得られた重合体の最初の押出の際に発泡の有無を確認した。これらの結果について下記表1,3にそれぞれ示す。
【0083】
(4)作業環境
エチレン性不飽和モノマーの重合において、原料仕込みの際に粉塵の発生が確認された場合をNGとし、粉塵の発生が確認されなかった場合をGoodとして評価した。これらの結果について下記表1,3にそれぞれ示す。
【0084】
(5)流動性試験
得られた重合体の流動性について、下記の方法で評価した。
底面が直径160mmの円状である円錐型の本体と円錐の頂点から口径17mmの管状の足が連結されたものであって、円錐型本体の側面と上記足から天頂へ鉛直方向に伸ばした軸との角度が55°である漏斗において、漏斗の足から下部へ流出させないように足の端部の空隙を塞ぎ、漏斗の下部に受器を設置して足を下に向けた後、漏斗の円錐型本体の開いた口側に得られた重合体180gを投入し、足の空隙を塞いでいたものを取り除いて重合体を受器に自然落下させた。次に、受器に落下した重合体の重量を測定し、投入量の180gに対する比率を算出して流動性を評価した。数値が大きいほど流動性が良好であることを表し、100%は全量落下を表す。これらの結果について下記表1,3にそれぞれ示す。
【0085】
【表1】
※1:重合体100質量部に対する酸化防止剤量(質量部)
※2:造粒後(n=4)の重量平均分子量(×10
3)/重合後の重量平均分子量(×10
3)
1)3010:株式会社ADEKA製品名 ADEKA STAB 3010;トリイソデシルホスファイト
2)フェノール系AO:ステアリル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミドをトリエチルアルミニウムと混合してアルミニウムフェノキシド化合物としたもの
3)2112:株式会社ADEKA製品名 ADEKA STAB 2112;トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト
4)3012:株式会社ADEKA製品名 ADEKA STAB 3012;トリラウリルホスファイト
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
※3:重合体100質量部に対する溶剤の量(質量部)
【0088】
比較例2−2、比較例2−4及び比較例2−5より、得られた重合体100質量部に対して、溶剤の含有量が5質量部よりも多い場合、得られた重合体の押出加工時に発泡を確認した。また、比較例1−2、比較例2−3、比較例2−4より、融点が70℃よりも高い酸化防止剤を用いた場合、原料の仕込みなどの際に粉塵の発生が確認され、作業環境が良好では無かった。
これらに対し、実施例1−1〜1−8、および、参考例2−1〜2−6より、本発明は、エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合体に充分な安定化効果を付与しながら、得られる重合体の溶剤残留量を抑制し、発泡の発生を防止することができ、かつ、粉塵の発生を抑制しうることを確認した。また、実施例1−4及び実施例1−8より、融点が70℃以下の酸化防止剤と他の酸化防止剤を併用した場合でも、本発明の効果を得られることが確認できた。