(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明の一実施例に係る、検体容器傾き矯正機構22を搭載した検体容器移載装置2を構成の一部とする検体搬送システム1の構成例を表す模式図である。
【0014】
前処理システム3からオペレータより投入された検体は、検体搬送システム1内に保持している搬送用の搬送ホルダ(図示なし)に搭載され、ベルトコンベア等の搬送装置により適切な前処理ユニットへと搬送される。前処理システム3内では、依頼項目よって、遠心分離、開栓、分注等の処理を行い、ホルダ搬送システム4を経由し、検体移載装置2へと搬送される。なお、本実施例において検体ホルダは1本ずつの検体容器を保持するものである。
【0015】
本発明において、前処理システム3と検体移載装置2を介して接続されている分析装置5は、搬送ホルダとは異なるタイプの搬送体に検体容器を搭載して分析処理を実行するものであるとする。そのため、検体移載装置2は検体容器を搬送ホルダから取り出して分析装置5で使用する検体ラック(図示せず)に移載する機能を有する。検体ラックに移載された検体容器は分析装置5に搬送され、分析処理が実行される。さらに検体移載装置2は、検体ラックに搭載され、分析装置5による分析処理が終了した検体容器を搬送ホルダに移載する機能を有していても良い。
【0016】
図2は本発明の一実施例に係わる、検体容器移載装置2の構成例を表す模式図である。
【0017】
検体容器移載装置2は、ホルダ搬送システム4から搬送された検体搬送用ホルダに架設された検体容器を供給ホルダ側検体容器移載位置30へと搬送する検体ホルダ供給ライン10と、検体容器を検体ラックへ移載後、空になったホルダを回収する空ホルダ回収ライン11と、分析を終えた検体容器を戻りホルダ側検体容器移載位置31で受け取り、ホルダ搬送システム4へと搬送する検体ホルダ戻りライン13と、検体ホルダ戻りライン13へと空ホルダを供給する空ホルダ供給ライン12を有する。
【0018】
さらに検体移載装置2は、分析装置5内で検体搬送用に使用される検体ラック28をバッファリングするラックバッファ24と、検体ラック28をラックバッファ24から供給ラック側の検体容器移載位置32に搬送し、検体容器を移載後に分析装置5へ搬送する検体ラック供給ライン20と、検体ラック28を分析装置5から戻りラック側の検体容器移載位置33に搬送し、検体容器を移載後にラックバッファ24へ搬送する検体ラック戻りライン21を有する。ラックバッファ24には、検体ラック28が複数搭載されており、これらの搬送は、図示していない2つの引っ掛け部でラックを引っ掛けて押し出すことで搬送する。検体ラック供給ライン20、検体ラック戻りライン21も同様に、検体ラック28終端面を引っ掛け部で引っ掛けて搬送する。
【0019】
さらに検体移載装置2は、検体ホルダ供給ライン10上にあるホルダに搭載された検体容器を把持し、検体ラック供給ライン20上にある検体ラックへ移載する供給側検体容器移載機構26と、検体ラック戻りライン21上にある検体ラックに搭載された検体容器を把持し、検体ホルダ戻りライン13上にあるホルダへ移載する戻り側検体容器移載機構27を有する。
【0020】
さらに検体移載装置2は、検体ラック供給ライン20上の供給ラック側検体移載位置32にあり、検体容器を移載するタイミングで検体容器の傾きを矯正する供給ラック用検体容器用傾き矯正機構22aと、供給ラック用検体容器用傾き矯正機構22aと同様の構造をし、検体ラック戻りライン21上の戻りラック側検体移載位置33にある戻りラック用検体容器用傾き矯正機構22bを有する。
【0021】
なお、本発明において、検体容器の「矯正」とは、検体容器を保持して直立した姿勢に維持させるだけでなく、周囲を囲って検体容器の傾きの角度を所定の範囲内に収めることも含む。例えば、検体容器を保持する程の把持力ではなく、検体容器移載機構により引っ張られると検体容器を抜き出すことができる程度の把持力で検体容器を保持している場合であっても良い。
【0022】
図4および
図5に示す検体容器傾き矯正機構22では、検体容器移載位置の検体容器に対して傾き角度を矯正する1対の第一の傾き矯正ホルダ51と、第一の傾き矯正ホルダ51に隣接したポジションの検体容器に対して傾き角度を矯正する1対の第二の傾き矯正ホルダ52と、第一の傾き矯正ホルダ51および第二の傾き矯正ホルダ52を開閉動作する検体容器傾き矯正機構駆動用のモータ50と、弾性体部材53と、モータ50の軸に固定された1対のカム55と、第一の傾き矯正ホルダ51及び第二の傾き矯正ホルダ52の開閉状態を検知するための2つの検知器56、57と、カム55に固定された検知部材58を有している。
【0023】
一対の第一の傾き矯正ホルダ51は、カム55に対して両側に設けられた1対の第一の固定部材54(アーム)と、アームの先端に設けられ検体容器の外壁と接触するV字型の窪みを有する矯正部材を備えている。このような矯正部材を備えることにより、検体容器の傾き角度を抑制し、検体容器を直立に近い角度にすることができる。
【0024】
第一の固定部材54には、それぞれ第二の固定部材59(アーム)が軸60を中心として回転可能となるように固定されている。1対の第二の固定部材59の先端には第二の傾き矯正ホルダ52が固定されている。また、その1対の第二の固定部材59には弾性体部材53が固定されており、第二の傾き矯正ホルダ52が互いに近づく方向に引っ張り力を与えている。第二の傾き矯正ホルダ51には第一の傾き矯正ホルダ51と同様の形状を有する矯正部材が設けられている。
【0025】
モータ50の軸に固定されたカム55は、第一の固定部材54の内側にあり、第一の固定部材54とカム55は接触している。モータ50が回転するとカム55も一緒に回転し、カム55に接触している第一の固定部材54が開閉方向に稼動する。それにより、第一の傾き矯正ホルダ51および第二の傾き矯正ホルダ52が開閉する機構となっている。
【0026】
第一の傾き矯正ホルダ51と第二の傾き矯正ホルダ52の位置関係は、検体ラック28上で検体容器を保持するポジション29の間隔と同一であり、検体ラック28上に移載された検体容器を第一の傾き矯正ホルダ51で、隣接した検体容器を第二の傾き矯正ホルダ52で傾き矯正する位置関係となっている。
【0027】
また、第一の傾き矯正ホルダ51の最大開き量は、第二の傾き矯正ホルダ52の最大開き量よりも大きく、本実施例では4mm広くなるように構成されている。これにより、第一の傾き矯正ホルダ51が開いた状態のまま第二の傾き矯正ホルダ52を閉じることが可能となる。
【0028】
検体容器傾き矯正機構22のモータ50を回転させると、モータ50の軸に固定されたカム55及び検知部材58が一緒に回転する。本実施例において検知部材は、二本の検知棒が所定の角度を形成して配置されたV字型を有している。第一の検知器56にのみ検知部材58が入る状態(
図6(a))では、カム55は第一の固定部材54を押し広げ、第一の固定部材に軸60を介して接続されている第二の固定部材59も開いた状態にある。従って、第一の傾き矯正ホルダ51,第二の傾き矯正ホルダ52がともに開いた状態となっている。この状態では、検体容器傾き矯正機構22の下を検体ラックに搭載された検体容器が通過しても、傾き矯正部が検体容器に接触することはない。
【0029】
検知器56及び検知器57の両方に検知部材58が入る状態(
図6(b))では、カム55と第一の固定部材54との接触状態が変わることにより、第一の固定部材54および第二の固定部材59は
図6(a)の状態を比較して少し閉じた状態となる。完全にカム55と第一の固定部材54との接触状態が解消されたわけではないので、第一の傾き矯正ホルダ51は開いた状態にあるが、第二の傾き矯正ホルダ52は第一の傾き矯正ホルダ51よりも狭い平木幅で固定されているため、閉じた状態になる。そのため、検体ラック上で検体移載機構による移載対象となる検体容器の隣接ポジション34に搭載された検体容器の傾きが矯正される。
【0030】
なお、ここでいう「閉じた状態」とは、検体容器の壁面に傾き矯正部が少なくとも1点で接触することで、検体容器の傾きを矯正する機能を発揮する状態にあることを言い、必ずしも検体容器の外壁を固定的に保持している状態のみを指すのではない。また、「開いた状態」とは、閉じた状態にないことを言う。
【0031】
検知器57のみに検知部材58が入る状態(
図6(c))では、カム55と第一の固定部54とが完全に接触しない状態となる。この場合は、弾性部材53の張力により第一の固定部54、第二の固定部59共に閉じる方向に引き寄せられ、第一の傾き矯正ホルダ51、第二の傾き矯正ホルダ52が共に閉じた状態となる。そのため、検体容器移載機構による移載対象の検体容器および、その検体容器の隣接ポジション34にある検体容器の両方の傾きが矯正される。
【0032】
以上のように、カムを備えたモータ50を回転させ、カムと第一の固定部材54との接触状態を調整することにより、第一の傾き矯正ホルダ51及び第二の傾き矯正ホルダ52の開閉状態を個別に制御可能となる。この機構により、移載機構が、ラック上の空きポジションに検体容器を移載する、もしくはラック上に保持されている検体容器を別の場所へ移載するために抜取するときに、移載機構がアクセスする位置にある検体容器と、その隣接ポジション34にある検体容器の傾きを矯正し、検体容器と移載機構の接触リスクを排除することを可能としている。
【0033】
なお、
図4,5に示す矯正部材の形状は一例であって、この形状に限定するものではない。例えば、複数個のローラが検体容器を挟むことができる位置関係で設けられているタイプの矯正部材であっても良い。また、単に検体容器の周囲を囲う囲い形状であっても良い。要は、検体容器が傾くことにより、隣接する検体容器や、検体容器移載機構に接触する事態を抑制することができるものであればよい。
【0034】
また、検知部材58はV字型に限定したものではない。本発明では傾き矯正機構が三段階の状態を取りうるため2つの検知器のOn/Offで識別しているが、取りうる状態が三段階以上ある場合にはさらに多数の検知器および検知部材を備えるようにしても良い。
【0035】
また、本発明における検体容器の移送は、必ずしもホルダと検体ラック間での移送に限定されるものではない。例えば、検体容器をアレイ状に配置する検体トレイと、ラック・ホルダ間で検体容器を移載する際に設けても良い。この場合、例えば検体容器傾き矯正機構22は、トレイ上の検体移載位置にある検体容器およびそれに隣接する検体容器の傾きを矯正するようトレイ側の上方にも設けられていることとなる。
【実施例2】
【0036】
まず、ホルダに搭載された検体容器を10本の検体容器を搭載可能な検体ラックに移載する場合の制御について説明する。
【0037】
前処理システム3に投入された検体容器は、ホルダに搭載された状態で搬送され、遠心、開栓、分注等の処理をした後、ホルダ搬送システム4を通過し検体容器移載装置2へ搬入される。検体容器移載装置2へ搬入された検体容器は、検体ホルダ供給ライン10上にある供給ホルダ側検体容器移載位置30まで搬送され、待機する。
【0038】
一方、ラック搬送側においては、ラックバッファ24で待機している検体ラック28を検体ラック供給ライン20まで搬送後、検体ラック供給ライン20上の検体ラック28を動作させる供給ラック用移送機構35でラック終端面を押し、検体ラック28のポジション29aが検体ラック供給ライン20の供給ラック側検体容器移載位置32にくるまで移動させる。
【0039】
供給側検体容器移載機構26は、複数本の開閉可能なアーム(検体容器チャック40)と、アームを開閉させるモータやソレノイド等の駆動源と、アームを上下方向に移動させるレール機構からなる移動機構を備えている。供給側検体容器移載機構26は、検体ホルダ供給ライン10上の供給ホルダ側検体容器移載位置30まで搬送された検体容器の上空まで移動し、検体容器チャック40を開き下降する。下降後、検体容器チャック40が閉じて検体容器を掴み、上昇してホルダから抜き取る。
【0040】
次に供給側検体容器移載機構26は、検体容器チャック40で検体容器を掴んだ状態で供給ラック側移載位置32にある検体ラック28のポジション29aの上方まで移動する。このとき、
図6(b)のごとく、供給ラック用検体容器用傾き矯正機構22aはモータ50を回転させ、検知器56及び検知器57の両方に検知部材58を入れて停止する。これにより、第一の傾き矯正ホルダ51が開いた状態かつ、第二の傾き矯正ホルダ52が閉じた状態になるが、本ケースにおいては、ポジション29aは1本目に移載される検体容器であるため、隣接ポジションに検体容器は設置されておらず、第二の傾き矯正ホルダ52は検体容器の外壁と接触することはない。なお、このように1本目の検体容器の移載時には隣接した検体容器が傾いて検体容器の移載処理を阻害することは考えにくいため、
図6(b)への状態遷移工程は省略しても良い。
【0041】
供給側検体容器移載機構26は下降して検体ラック28のポジション29aに挿入する。検体容器チャック40が開いて検体容器の移載が終了したことを検知すると、
図6(c)のごとく、供給ラック用検体容器用傾き矯正機構22aはモータ50を回転させ、検知器57にのみ検知部材58が検知される状態に遷移したのち停止する。これにより、第一の傾き矯正ホルダ51および第二の傾き矯正ホルダ52が共に閉じた状態となり、ポジション29aに移載された検体容器の傾きを矯正することができる。そして、供給側検体容器移載機構26は検体容器チャック40を開いて検体容器を放し、供給側検体容器移載機構26が上昇し、ポジション29aへの移載を終える。
【0042】
検体容器傾き矯正機構22は、ポジション29aに搭載された検体容器の傾きを矯正することで、供給側検体容器移載機構26の上昇時に、検体容器チャック40とポジション29aに搭載された検体容器が接触させるリスクを抑制することができる。
【0043】
供給側検体容器移載機構26が上昇した後は、供給ラック用検体容器用傾き矯正機構22aは
図6(a)となるようにモータ50を回転させ、検知器56にのみ検知部材58を入れて停止する。これにより、第一の傾き矯正ホルダ51および第二の傾き矯正ホルダ52がともに開いた状態となり、検体容器の傾き抑制動作を停止する。その後、供給ラック用移送機構35が検体ラック28を押して、供給ラック側検体容器移載位置32にポジション29bがくるまで搬送し、待機する。
【0044】
続いて、2本目の検体容器が検体ホルダ供給ライン10上の移載位置まで搬送されると、供給側検体容器移載機構26は1本目の検体容器と同様、供給ホルダ側検体容器移載位置30まで移動し、検体容器チャック40を開き、下降する。2本目の検体容器を掴むと、上昇し、供給ラック検体容器移載位置32まで再び移動する。
【0045】
ここで供給ラック用検体容器用傾き矯正機構22aは、前述の1本目の検体容器の移載時と同様に、
図6(b)のごとくモータ50を回転させ、検知器56及び検知器57の両方に検知部材58を入れて停止し、第一の傾き矯正ホルダ51が開いた状態かつ第二の傾き矯正ホルダ52が閉じた状態となるようにする。これにより、供給ラック検体容器移載位置の隣接ポジション34、すなわちポジション29aに搭載された1本目の検体容器は第二の傾き矯正ホルダ52により傾きを矯正され直立する。ポジション29aに検体容器が搭載されていても、その検体容器が大きく傾いて、供給側検体容器移載機構26あるいはこれによって搬送されてきた検体容器と接触するリスクを抑制する。
【0046】
この状態のまま、供給側検体容器移載機構26は下降し、ラックのポジション29bに検体容器を挿入する。下降動作後、供給ラック用検体容器用傾き矯正機構22aは1本目の検体容器の移載時と同様に、
図6(c)のごとくモータ50を回転させ、検知器57にのみ検知部材58を入れて停止させ、第一の傾き矯正ホルダ51および第二の傾き矯正ホルダ52が共に閉じた状態にする。これにより、ポジション29aに挿入された検体容器だけでなく、ポジション29bに挿入された検体容器の傾きをも抑制することができる。
【0047】
検体容器移載機構26は検体容器チャック40を開き、ポジション29bへ移載した検体容器を開放する。その後、供給側検体容器移載機構26が上昇し、検体ラック28のポジション29bへの移載を終える。この際にも、検体容器傾き矯正機構22は、ポジション29aおよびポジション29bの検体容器に対して、それぞれ第一の傾き矯正ホルダ51および第二の傾き矯正ホルダ52で共に傾きを抑制しているので、検体容器移載機構22は検体容器に接触することなく上昇することができる。
【0048】
検体ラック28のポジョション29bへの移載終了後、供給ラック用検体容器用傾き矯正機構22aは
図6(a)のごとくモータ50を回転させ、検知器56にのみ検知部材58を入れて停止し、第一の傾き矯正ホルダ51,第二の傾き矯正ホルダ52を共に開いて検体容器の傾き矯正をやめる。
【0049】
続いて、検体ラック供給ライン20は検体ラック28のポジション29cが移載位置にくるよう検体ラック28を移動させ、次の検体容器の移載に備える。上記の移載方法で検体ラック28のポジション29fまでの検体容器の移載を終えると、検体ラック28は検体ラック供給ライン20から搬出され、分析装置5へ搬入される。
【実施例3】
【0050】
次に、複数本の検体容器を搭載している検体ラックに搭載された検体容器を、1本ずつホルダに移載する場合の制御について説明する。
【0051】
分析装置5での分析処理を終えた検体容器は、検体ラック28に搭載された状態で分析装置5から搬出され、検体容器移載装置2へ搬送される。検体ラック28には、すべてのポジション29に検体容器が挿入されている。検体容器移載装置2の検体ラック戻りライン21に検体ラック28を搬入後、そのまま検体ラック28のポジション29fが検体ラック戻りライン21上の戻りラック側検体容器移載位置33にくるまで搬送する。このとき検体ラック28の搬送方法は、実施例1の検体ラック供給ライン20同様、戻りラック用移送機構36で検体ラック28の終端面を押して搬送する。
【0052】
このとき、戻り側検体容器移載装置27は、検体ラック28に挿入された検体容器と戻り側検体容器移載装置27の第一の傾き矯正ホルダ51及び第二の傾き矯正ホルダ52が衝突しないよう、
図6(a)のごとく、モータ50を回転させ、検知器56にのみ検知部材58を入れて停止し、第一の傾き矯正ホルダ51および第二の傾き矯正ホルダ52をともに開いた状態としておく。
【0053】
その後検体ラック28は、ポジション29fが戻りラック側検体容器移載位置33に位置するまで搬送され、戻り側検体容器移載装置27は検体ラック28のポジション29fの上空まで移動する。
【0054】
ここで、戻りラック用検体容器用傾き矯正機構22bは、
図6(c)ごとくモータ50を回転させて、検知器57にのみ検知部材58を入れて停止し、第一の傾き矯正ホルダ51および第二の傾き矯正ホルダ52が共に閉じた状態にする。これにより、検体ラック28のポジション29fにある検体容器およびその隣接したポジション29eにある検体容器の傾きを抑制する。
【0055】
戻りラック用検体容器用傾き矯正機構22bが検体容器の傾きを抑制すると、戻り側検体容器移載機構27は検体容器チャック40を開き、ポジション29fへ下降する。このとき、ポジション29fおよび29eに搭載されている検体容器は戻りラック用検体容器用傾き矯正機構22bにより傾きを抑制されているため、検体容器チャック40と検体容器が接触することなく、スムーズに下降することができる。
【0056】
下降後、検体容器チャック40が閉じて検体容器を掴む。検体容器チャック40が閉じたことを検出すると、戻りラック用検体容器用傾き矯正機構22bは
図6(b)のごとくモータ50を回転させ、検知器56及び検知器57の両方に検知部材58を入れて停止する。これにより、第一の傾き矯正ホルダ51が開いた状態、かつ、第二の傾き矯正ホルダ52を閉じた状態とする。そのため、ポジション29fにある検体容器は傾きの矯正が開放され、戻り側検体容器移載機構27は検体容器チャック40が閉じて上昇し、ポジション29fに搭載されていた検体容器を検体ラックから抜き出す。このとき、ポジション29eにある検体容器は依然として第二の傾き矯正ホルダ52により傾きが抑制されている状態にあるため、ポジション29fの検体容器を引き抜く際に、検体容器チャック40あるいは検体容器とポジション29eにある検体容器が接触及び衝突することはない。
【0057】
戻り側検体容器移載機構27は、上昇後、検体ホルダ戻りライン13の戻りホルダ側検体容器移載位置31まで移動し、再び下降してホルダへ挿入する。その後、検体容器チャック40を開いて再度上昇し、検体ラック28のポジション29fの移載を終える。
【0058】
戻り側検体容器移載装置27は、戻り側検体容器移載機構27の上昇後、
図6(a)のごとくモータ50を回転させて、検知器56にのみ検知部材58を入れて停止し、第一の傾き矯正ホルダ51および第二の傾き矯正ホルダ52を共に開いた状態とする。検体ラック戻りライン21は、戻りラック用移送機構36を動作させて検体ラック28のポジション29eを戻りラック側検体容器移載位置33に移動させる。
【0059】
続いて、検体ラック28のポジション29eの移載を開始する。動作はポジション29fで行った移載と同様の動きとなる。ホルダに移載された検体容器は、検体容器移載装置2を搬出後、ホルダ搬送システム4を通過し、前処理システム3へ搬送され、収納される。検体ラック28は、ポジション29aまでのすべての検体容器を移載し終えた後は、検体ラック戻りライン21から搬出され、ラックバッファ24へ搬送される。この検体ラック28は、また次の検体ホルダ供給ライン10へ訪れた検体容器の移載で再利用される。
【0060】
ここで、戻りラック側検体容器移載位置33の検体容器を引き抜く際、検体容器傾き矯正機構22の第一の傾き矯正ホルダ51のみ開き、検体容器移載機構27で検体容器を引き抜く実施例にて説明したが、第一の傾き矯正ホルダ51の形状がローラなどの摩擦力の少ない部材を用いることで、第一の傾き矯正ホルダ51を開く動作をせずに引き抜くことも可能である。その場合には、第一の傾き矯正機構22を
図6(c)の状態とし、傾きの矯正をしたまま検体チャック機構部40が上昇して検体容器を抜き出す。
【0061】
なお、上記の実施例では、検体容器搬送用の検体ラックへ/からの検体容器の移載を例として説明してきたが、搬送用のラックではなく、収納、保持するためのラックでもよい。また、ラックは複数の並列した差し込み口だけでなく、列、行、共に並列した2次元上に差し込み口を有したラック(トレイ)でもよい。
【0062】
さらに、第一の傾き矯正ホルダ51および第二の傾き矯正ホルダ52は同一のモータ50により開閉するものとしたが、これに限らず、傾き矯正部ごとに個別の駆動源を備えていても良い。