(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6580178
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】研磨装置の構成部品用のカバー、研磨装置の構成部品、および、研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 55/06 20060101AFI20190912BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20190912BHJP
B23Q 11/08 20060101ALI20190912BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
B24B55/06
B24B37/10
B23Q11/08 Z
H01L21/304 622M
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-31845(P2018-31845)
(22)【出願日】2018年2月26日
(62)【分割の表示】特願2014-72227(P2014-72227)の分割
【原出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-114614(P2018-114614A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2018年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】新海 健史
(72)【発明者】
【氏名】曽根 忠一
(72)【発明者】
【氏名】相澤 英夫
(72)【発明者】
【氏名】青野 弘
【審査官】
稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2006−0124501(KR,A)
【文献】
特開平10−225811(JP,A)
【文献】
特開2004−356517(JP,A)
【文献】
特開2002−058543(JP,A)
【文献】
特開2003−136364(JP,A)
【文献】
米国特許第06315651(US,B1)
【文献】
特開2013−141735(JP,A)
【文献】
特開2007−168039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00−13/00
B24B 3/00− 3/60
21/00−39/06
53/00−57/04
H01L 21/304
21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を研磨するための研磨装置の構成部品用のカバーであって、
前記構成部品の本体と前記カバーとを係止するための係止機構であって、前記カバーの内部に設けられた係止機構を備え、
外部に露出される前記カバーの外表面は、凹部を有しておらず、前記カバーの頂部を除いて、水平面を有しておらず、
前記構成部品の本体の外縁部と前記カバーの外縁部との当接部分における前記カバーの厚みは、前記当接部分以外における前記カバーの厚みよりも薄く、
前記構成部品の本体の外縁部と前記カバーの外縁部との当接部分の近傍において、前記カバーの側面における前記外表面が、前記当接部分から離れるほど外方に突出するように傾斜する傾斜面を有する、
カバー。
【請求項2】
請求項1に記載のカバーであって、
前記係止機構は、ボールキャッチ機構またはマグネットを備える
カバー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカバーであって、
外部に露出されるカバーの外表面は、撥水性を有する
カバー。
【請求項4】
研磨装置の構成部品であって、
前記構成部品の本体と、
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のカバーと
を備える構成部品。
【請求項5】
研磨装置であって、
請求項4に記載の構成部品を備える
研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置の構成部品用のカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造において、基板の表面を研磨する化学機械研磨(CMP,Chemical Mechanical Polishing)装置が知られている。CMP装置では、研磨テーブルの上面
に研磨パッドが貼り付けられて、研磨面が形成される。このCMP装置は、トップリングによって保持される基板の被研磨面を研磨面に押しつけ、研磨面に研磨液としてのスラリーを供給しながら、研磨テーブルとトップリングとを回転させる。これによって、研磨面と被研磨面とが摺動的に相対移動され、被研磨面が研磨される。このように研磨が行われると、研磨面には、砥粒や研磨屑が付着するので、研磨装置の稼働時間に応じて、研磨特性が次第に劣化する。このため、研磨面は、ドレッサによって、所定のタイミングでドレッシングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−168039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる研磨装置の使用環境では、スラリー(その微細な液体粒子を含む)が飛散または浮遊して、研磨装置の構成部品(特に、低い位置に配置された構成部品)のカバー、例えば、ドレッサ用カバーに付着する。付着したスラリーの多くは、下方へ流れ落ちる。しかしながら、かかる液体粒子が流れ落ちずに堆積されて放置されると、乾燥して固化物が生じる。この固化物が、万一、研磨中の基板上に落下すると、被研磨面にスクラッチが発生するなど、重大なトラブルが生じ得る。
【0005】
このようなことから、研磨液が固着しにくいカバーが求められる。また、カバーは、取付工数や取付時間が少ない構成であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
本発明の第1の形態によれば、基板を研磨するための研磨装置の構成部品用のカバーが提供される。このカバーは、構成部品の本体とカバーとを係止するための係止機構であって、カバーの内部に設けられた係止機構を備える。外部に露出されるカバーの外表面は、凹部を有しておらず、カバーの頂部を除いて、水平面を有していない。
【0008】
かかるカバーによれば、外部に露出されるカバーの外表面は、凹部を有していないので、凹部に研磨液が飛散し、滞留することがない。また、カバーの頂部を除いて水平面を有していないので、飛散した研磨液が堆積されにくい。したがって、研磨液が固着し、基板の研磨中に固着物が落下してトラブルが生じることを抑制できる。しかも、カバーの内部に係止機構が設けられるので、構成部品の本体とカバーとを多数箇所でボルト締めする必要がない。このため、多数箇所でボルト締めする構成と比べて、カバーの取付工数や取付時間も低減できる。また、多数箇所でのボルト締めが不要であるので、構成部品の本体とカバーとを重ね合わせるフランジ部やボルトの頭部などの水平面が形成されない。このこ
とも、カバーの外部に露出される外表面がカバーの頂部を除いて水平面を有していないことに寄与している。すなわち、第1の形態は、その構成要素が相互に関連し合い、研磨液の固着と、取付工数および取付時間の低減と、を同時に実現することができる。なお、カバーの頂部、すなわち、最も上方にある部位には、研磨液が飛散しにくいので、カバーの頂部に水平面が形成されていたとしても、研磨液が固着する可能性は小さい。
【0009】
本発明の第2の形態によれば、第1の形態において、係止機構は、ボールキャッチ機構またはマグネットを備える。かかる形態によれば、簡単な構成によって、構成部品の本体とカバーとを係止させることができる。
【0010】
本発明の第3の形態によれば、第1または第2の形態において、外部に露出されるカバーの外表面は、撥水性を有する。かかる形態によれば、外部に露出されるカバーの外表面に研磨液が飛散した場合に、当該研磨液が速やかに落下するので、研磨液の固着抑制効果が促進される。
【0011】
本発明の第4の形態によれば、第1ないし第3のいずれかの形態において、構成部品の本体の外縁部とカバーの外縁部との当接部分におけるカバーの厚みは、当接部分以外におけるカバーの厚みよりも薄い。かかる形態によれば、構成部品の本体の外縁部とカバーの外縁部との当接部分の厚み方向の距離を小さくできる。したがって、研磨液の微細な液体粒子が入り込む可能性のある、当接部分の微細な隙間を小さくできる。したがって、当該隙間に研磨液が堆積して固着し、落下するリスクを低減できる。
【0012】
本発明の第5の形態によれば、研磨装置の構成部品が提供される。この構成部品は、構成部品の本体と、第1ないし第4のいずれかの形態のカバーと、を備える。かかる研磨装置の構成部品によれば、第1ないし第4のいずれかの形態と同様の効果を奏する。
【0013】
本発明の第6の形態によれば、第5の形態において、カバーの内面には、カバーの内側に向けて突出する突出部が水平方向に沿ってカバーの全体にわたって形成されている。構成部品は、構成部品の本体と、突出部との間に配置される発泡性シール部材を備える。かかる形態によれば、カバー内部のシールが必要である場合に、形状追従性に優れる発泡性シール部材によって、構成部品の本体とカバーとの間がシールされるので、カバーを多数箇所でボルト締めする構成を採用しなくても、好適なシール性が得られる。
【0014】
本発明の第7の形態によれば、第5または第6の形態において、構成部品は、カバーの上に配置される補助カバーであって、カバーの一部の領域を覆うための補助カバーを備える。カバーは、補助カバーによって覆われる領域内に、カバーと構成部品本体とを固定するために使用されるボルト穴が形成された水平面を有する。かかる形態によれば、カバーを構成部品の本体にボルト固定することができる。したがって、カバーと、構成部品の本体と、の固定関係をいっそう強固にすることができる。なお、カバーと、構成部品の本体と、は、係止機構によって固定されるので、少ない箇所(例えば、1カ所)でボルト締めを行えば、十分な固定関係が得られる。このため、カバーの取付工数および取付時間が大幅に増大することはない。しかも、ボルト固定箇所は、外部に露出しない領域内にあるので、ボルト穴が形成された水平面やボルト頭部に研磨液が固着することがない。
【0015】
本発明の第8の形態によれば、研磨装置が提供される。この研磨装置は、第5ないし第7のいずれかの形態の構成部品を備える。かかる研磨装置は、第5ないし第7のいずれかの形態と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例としての研磨装置の概略構成を示す概略図である。
【
図2】カバーが取り付けられたドレッサアームを示す説明図である。
【
図3】カバーが取り外されたドレッサアームを示す説明図である。
【
図4】カバーが取り付けられたドレッサアームの断面を示す説明図である。
【
図5】比較例としての、カバーが取り付けられたドレッサアームを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施例としての研磨装置10の概略構成を示す概略図である。図示するように、研磨装置10は、研磨テーブル20とトップリング30と研磨液供給ノズル40とドレッサ50とを備えている。研磨テーブル20は、円盤状に形成されており、回転可能に構成されている。研磨テーブル20上には、研磨パッド25が貼り付けられている。このため、研磨パッド25は、研磨テーブル20が回転する際に、研磨テーブル20とともに回転する。研磨パッド25の表面は、研磨面を形成する。
【0018】
トップリング30は、所定の保持機構(例えば、真空吸着機構)によって、トップリング30の下面にウェハWを保持する。このトップリング30は、その上部の支持アーム35によって支持されている。支持アーム35は、アクチュエータ(図示省略)、例えば、エアシリンダおよびモータによって、鉛直方向に移動可能であり、また、ウェハWを保持した状態のトップリング30を回転可能に構成される。
【0019】
研磨液供給ノズル40は、研磨パッド25の研磨面に研磨液としてのスラリーやドレッシング液(例えば、水)を供給する。ドレッサ50は、ドレッサアーム51と、ドレッサアーム51の先端に回転可能に取り付けられたドレッシング部材52と、を備えている。かかるドレッサ50は、研磨面に砥粒や研磨屑が所定量付着した場合に、研磨面のドレッシングを行う。ドレッサアーム51は、その基端(ドレッシング部材52と反対の側)を中心に揺動(円弧運動)できるように構成されており、ウェハWの研磨が行われる際には、ドレッシング部材52を研磨テーブル20から待避させる。
【0020】
かかる研磨装置10では、以下のようにしてウェハWの研磨が行われる。まず、ウェハWを保持するトップリング30が回転されるとともに、研磨テーブル20が回転される。かかる状態で、研磨液供給ノズル40から研磨パッド25の研磨面に研磨液としてのスラリーが供給され、回転するトップリング30が下降される。これによって、ウェハWの表面(被研磨面)は、回転する研磨パッド25の研磨面に押しつけられる。これによって、ウェハWの被研磨面と研磨パッド25の研磨面とが、スラリーの存在下で接触した状態で、相対移動し、ウェハWの被研磨面が研磨される。かかる研磨処理中には、スラリーが、主に微細な液体粒子となって、その周辺に飛散する。
【0021】
図2〜4は、ドレッサアーム51の詳細を示している。
図2は、ドレッサアーム本体60にカバー70が取り付けられた状態を示している。
図3は、ドレッサアーム本体60からカバー70が取り外された状態を示している。
図4は、
図2に示すA−A線に沿ったドレッサアーム51の断面を示している。
図2に示すように、カバー70は、ドレッサアーム本体60上に配置され、ドレッサアーム本体60の上部を覆っている。カバー70は、頂面71と側面72とを備えており、ドレッサアーム51の先端側(ドレッシング部材52側)には、開口部73が形成されている。開口部73は、ドレッシング部材52を動作させるためのモータを取り付けるために使用される。開口部73の内周側には、水平面74が形成されている。この水平面74には、1つのボルト穴75が形成されている。開口部73には、モータが取り付けられた後に、上方から補助カバー80が被せられる。
【0022】
頂面71は、
図4(a)に示すように、断面におけるその中央部71aが水平に形成されており、中央部71aから外側に向けて高さが低くなるように傾斜している。本実施例
では、中央部71aは、その裏側に補強リブ71b(
図3参照)を形成するために、水平に形成されているが、傾斜面として形成されてもよい。
図2に示すように、頂面71および側面72は、凹部を一切有しておらず、また、中央部71aを除いて、水平面(鉛直方向と直交する面)を有していない。カバー70の基端側(ドレッシング部材52と反対の側)に形成された円弧状の面76も、内側から外側に向けて高さが低くなるように傾斜している。開口部73の周囲には、水平面が形成されているが、この部分は、補助カバー80が取り付けられたときに、外部に露出しない領域である。すなわち、外部に露出されるカバー70の外表面には、凹部は一切形成されておらず、また、中央部71aを除いて、水平面も一切形成されていない。
【0023】
かかる構成によれば、スラリーが凹部に飛散し、滞留することがない。また、外部に露出されるカバー70の外表面は、中央部71aを除いて、水平面を有していないので、飛散したスラリーは、長期に渡って外表面に付着することなく、落下しやすい。したがって、カバー70の外表面に飛散したスラリーが固着して、ウェハWの研磨中に固着物が落下してトラブルが生じることを抑制できる。さらに、本実施例では、外部に露出されるカバー70の外表面は、撥水性を有している。このため、飛散したスラリーが速やかに落下するので、スラリーの固着抑制効果が促進される。撥水性は、例えば、撥水性塗料でコーティングすることによって付与することができる。なお、本実施例では、頂面71の中央部71aは、水平面として形成されているが、中央部71aは、カバー70のうちで相対的に高さが高いので、研磨液供給ノズル40の供給口および研磨パッド25から、重力に逆らってスラリーが上方に向けて飛散し、中央部71aまで到達し、固着する可能性は小さい。補助カバー80の水平面として形成された上面81についても同様である。
【0024】
図3に示すように、ドレッサアーム本体60の外縁部には、段部61が形成されており、その結果、水平面62が形成されている。また、ドレッサアーム本体60の先端側には、鉛直方向に延在する支持部63が形成されている。支持部63は、ドレッサアーム本体60にカバー70が取り付けられた際に、カバー70を支持する。支持部63の頂面には、ボルト穴64が形成されている。また、カバー70の内側(より具体的には補強リブ71b)と、ドレッサアーム本体60の頂面には、一対のボールキャッチ機構91が設けられている。本実施例では、一対のボールキャッチ機構91は、2セット設けられているが、その数は、任意に設定することができる。ボールキャッチ機構91を使用することによって、ユーザは、カバー70をワンタッチでドレッサアーム本体60に係止させることができる。ユーザは、ボールキャッチ機構91によって、ドレッサアーム本体60とカバー70とを係止させた後に、ボルト穴75およびボルト穴64を利用して、ボルト締めすることによって、ドレッサアーム本体60とカバー70とをより強固に固定することができる。ドレッサアーム本体60とカバー70とは、ボールキャッチ機構91によって係止されているので、1カ所でボルト締めを行うだけで十分な固定関係が得られる。なお、ボールキャッチ機構91に代えて、種々の係止機構、例えば、マグネット(マグネットキャッチ機構であってもよい)が使用されてもよい。かかる構成によれば、カバー70の取付工数や取付時間を非常に少なくすることができる。
【0025】
図4(a)に示すように、カバー70の側面72の内側すなわち内面には、カバー70の下端部付近に、カバー70の内側に向けて突出する突出部77が、水平方向に沿ってカバー70の全体にわたって形成されている。この突出部77とドレッサアーム本体60との間には、発泡性シール部材92が配置されている。本実施例では、発泡性シール部材92は、ノルシールである。発泡性シール部材92は、形状追従性に優れているので、上述したように、ボールキャッチ機構91および1カ所でのボルト締めによって、ドレッサアーム本体60とカバー70とを固定する場合であっても、十分なシール性が得られる。
【0026】
図4(b)は、
図4(a)に示す領域Bの拡大図である。図示するように、ドレッサア
ーム本体60の外縁部すなわち水平面62と、カバー70の外縁部すなわち、側面72の端面78と、の当接部分におけるカバー70(側面72)の厚みW2は、当接部分以外におけるカバー70の厚みW1よりも薄くなっている。また、ドレッサアーム本体60の水平面62は、端面78よりも外側にはみ出さないように形成されている。かかる構成によれば、上記当接部分の厚み方向の距離を小さくできる。このことは、水平面62と端面78との微細な隙間、すなわち、スラリーの微細な液体粒子が入り込む可能性のある空間の容積を低減できることを意味している。このため、当該隙間にスラリーが堆積して固着し、落下するリスクを低減できる。
【0027】
図5は、比較例としてのドレッサアーム151を示している。この例では、カバー170は、水平面として形成された頂面171と、側面172とを備えている、側面172の外縁には、水平面としてのフランジ部173が形成されている。かかるカバー170は、フランジ部173において、多数のボルト181によってドレッサアーム本体60に固定されている。かかる構成によれば、水平面が多数形成されるので、スラリーが固着するリスクが高い。特に、フランジ部173およびボルト181の頭部(通常、水平面となるか凹部となる)は、相対的に低い位置にあり、鉛直方向においてスラリーの供給口および研磨パッド25に近いので、スラリーが固着しやすい。また、カバー170の取付工数や取付時間が非常に多くなる。
【0028】
一方、上述した本実施例のカバー70は、多数箇所でのボルト締めが不要であるので、フランジ部173やボルト181の頭部が形成されない。つまり、カバー70は、カバー70の取付構造と形状とを相互に関連させることによって、スラリーの固着と、取付工数および取付時間の低減と、を同時に実現することができる。
【0029】
上述した種々の構成は、ドレッサ50に限らず、研磨装置10を構成する構成部品であって、スラリーが飛散するおそれのある任意の構成部品に適用可能である。
【0030】
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。例えば、カバーが、構成部品の本体とカバーとを係止するための係止機構であって、カバーの内部に設けられた係止機構を備える構成を、外部に露出されるカバーの外表面の形状と切り離して、単独で実施することもできる。かかる構成によれば、上述したように、カバーの取付工数および取付時間の低減効果を好適に奏する。
【符号の説明】
【0031】
10…研磨装置
20…研磨テーブル
25…研磨パッド
30…トップリング
35…支持アーム
40…研磨液供給ノズル
50…ドレッサ
51…ドレッサアーム
52…ドレッシング部材
60…ドレッサアーム本体
61…段部
62…水平面
63…支持部
64…ボルト穴
70…カバー
71…頂面
71a…中央部
71b…補強リブ
72…側面
73…開口部
74…水平面
75…ボルト穴
76…面
77…突出部
78…端面
80…補助カバー
81…上面
91…ボールキャッチ機構
92…発泡性シール部材
W…ウェハ