(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記観察において、前記冷凍麺類がムラなく染色されていれば、該冷凍麺類にはコーティング液が充分に付着していたと評価され、該冷凍麺類に染色ムラがあるか、染色されていない部分があれば、該冷凍麺類への該コーティング液の付着は不充分であったと評価される、請求項1記載の方法。
【背景技術】
【0002】
茹でた麺類を冷凍した冷凍麺類は、様々な種類のものが従来流通、販売されている。なかには、麺類の結着防止のための油脂等を含むほぐし液をまぶした状態や、又は調味液(ソースなど)をまぶした状態で冷凍され、マイクロ波解凍してそのまま喫食できるタイプのものも販売されている。さらに近年では、麺類を油脂を含む液でコーティングすることによる冷凍麺類の冷凍焼けを防止技術も開発されている。このように、様々な種類の油脂を含む液をコーティングした状態で麺類を冷凍することが行われている。
【0003】
上記のような麺類のコーティングにおいては、麺類のほぐれ、味付け、冷凍焼け防止などの効果を十分に得るために、コーティング液を麺類の表面に満遍なく付着させることが望ましい。コーティング液の付着ムラがあると、ほぐれ、味付け、冷凍焼け防止等の効果にもムラが生じることによって、冷凍麺類の品質が低下する。
【0004】
冷凍麺類へのコーティング液の付着状態は、目視によって確認することができる。しかし、従来使用されているコーティング液はほぼ無色又は淡色であることも多く、目視検査は容易ではないことが少なくない。さらに、工場などで冷凍麺類を大規模製造する場合、1つ1つの製品を目視検査することには非常な手間を要する。
【0005】
油脂染色は、主に生化学又は医学などの分野において、生体内の脂肪の検出又は細胞識別などに利用されている手法である。また、非特許文献1には、ホルマリン固定した麺の薄切切片を油脂染色して麺組織に浸透した油分を顕微鏡観察することにより、油脂が塗布された手延べ麺を判別したことが記載されている。
【0006】
さらに特許文献1〜5では、油脂染色を工場の製造ラインの機器の洗浄状態又は残留物汚染の評価に使用することが提案されている。しかしこれは、工場で製造した製品そのものの品質を評価する方法ではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書における「麺類」とは、その種類及び製法は特に限定されず、例えば、マカロニ、スパゲッティ等のパスタ、うどん、ひやむぎ、そうめん、平めん、日本蕎麦、中華麺、ビーフン、麺皮類(餃子、焼売、春巻き、ワンタンの皮、ピザ生地等)などを含む。
【0016】
本明細書における「冷凍麺類」とは、好ましくは冷凍調理済み麺類をいい、生麺、半生麺、又は乾麺を加熱調理した後に凍結させたものである。加熱調理の手段としては、麺類をアルファ化できる手段であればよく、例えば、茹で、蒸し、揚げ、焼き、マイクロ波加熱等が挙げられる。
【0017】
本明細書における「コーティング液」とは、上記冷凍麺類に対して、その表面に付着させることを目的として適用されるあらゆる液体をいう。本発明で使用されるコーティング液は、油脂を含むコーティング液である。該コーティング液に含まれる油脂としては、食用油脂であればその種類は特に限定されず、動物性油脂、植物性油脂、及びそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、本発明で使用される油脂を含むコーティング液の例としては、麺類の結着を防ぎ、ほぐれ易くするためのほぐし液、麺類の調味液(例えば、ソース、ドレッシング等)、麺類の冷凍焼け防止用液、等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書において、「油脂染色試薬」とは、油脂を特異的に染色するために使用される試薬をいう。本発明で使用することができる「油脂染色試薬」の例としては、脂肪染色試薬として一般的に使用されているもの、例えば、ナイルレッド、オイルレッドO、ズダンIII、ズダンIV、ズダンブラックBなどが挙げられる。これらの試薬は市販されており、例えば、和光純薬工業株式会社、東京化成工業株式会社、シグマアルドリッチ、武藤化学株式会社などから購入することができる。本発明で使用することができる「油脂染色試薬」の別の例としては、四酸化ルテニウム(特開2000−83929号公報)が挙げられる。
【0019】
本発明は、冷凍麺類へのコーティング液の付着状態の評価方法を提供する。当該方法は、(1)油脂を含むコーティング液を添加された冷凍麺類を準備すること;(2)該コーティング液を添加された冷凍麺類に油脂染色試薬を添加し、該冷凍麺類を染色すること;及び、(3)該冷凍麺類の染色状態を観察すること、を含む。
【0020】
油脂を含むコーティング液を添加された冷凍麺類は、麺類(好ましくは調理済み麺類)に油脂を含むコーティング液を添加し、次いで該麺類を凍結させることで作製することができる。好ましくは、調理済み麺類を、1〜数人前ずつ小分けにした後、必要に応じて冷凍食品として保存、流通、販売されるときの一般的な形態(例えば、麺塊の形態)に成形し、該成形した麺類に対して該コーティング液を添加する。添加の際、麺類は、トレーなどの容器に盛りつけられた状態であってもよい。
【0021】
麺類にコーティング液を添加する手段としては、噴霧、塗布、添加混合、浸漬などが挙げられるが、麺類(又は麺塊)の表面にコーティング液を付着させることができる手段であれば特に限定されない。コーティング液を添加した後の麺類は、必要に応じて冷凍食品として保存、流通、販売されるときの一般的な形態(例えば、麺塊の形態)に成形した後、速やかに凍結させることが好ましい。
【0022】
油脂を含むコーティング液を添加された冷凍麺類を作製する別の手段としては、調理済み麺類を、1〜数人前ずつ小分けにし、冷凍食品として保存、流通、販売されるときの一般的な形態(例えば、麺塊の形態)に成形した後、凍結させ、次いで、該凍結した麺類に、噴霧、塗布、浸漬などにより、油脂を含むコーティング液を添加する方法が挙げられる。好ましくは、添加の手段は、該凍結した麺類の形態を変形させない手段、例えば、噴霧又は塗布であるとよい。添加の際、麺類はトレーなどの容器に盛りつけられた状態であってもよい。コーティング液を添加した後の麺類は、再度凍結させてもよい。
【0023】
上記本発明の方法において、麺類に添加するコーティング液の量、温度、組成、その際の麺類の品温などは、特に限定されない。
【0024】
上記本発明の方法において、油脂を含むコーティング液を添加された冷凍麺類は、作製された場で直ちに次の油脂染色工程に付されてもよいが、作製された後、保存又は移送されてから、次の油脂染色工程に付されてもよい。
【0025】
続いて、油脂を含むコーティング液を添加された冷凍麺類に対して油脂染色試薬を添加し、該冷凍麺類を染色する。油脂染色試薬の添加方法は、上述の手順で準備されたコーティング液が付着している冷凍麺類の表面に、該試薬を適用できる方法であればよく、該試薬の種類に応じて適切な方法を採用することができる。好ましくは、油脂染色試薬の添加方法には、コーティング液が付着している冷凍麺類の表面に該試薬を適用できるが、冷凍麺類の内部に該試薬が浸透しにくい方法を採用するとよい。また好ましくは、油脂染色試薬の添加方法は、成形した該冷凍麺類(麺塊)の形態を変形させない方法であるとよい。油脂染色試薬の好ましい添加方法としては、例えば、噴霧又は塗布が挙げられ、麺塊への直接噴霧がより好ましい。油脂染色試薬の添加の際、該冷凍麺類は、トレーなどの容器に盛りつけられた状態であってもよい。また、該冷凍麺類への油脂染色試薬の添加は、麺表面のコーティング液が解凍される前に行われてもよいが、染色試薬がコーティング液と混じりやすいように、表面を解凍してから行ってもよい。
【0026】
例えば、油脂染色試薬に四酸化ルテニウムを使用する場合、パーフルオロモルフォリン溶媒に四酸化ルテニウムを溶解させ、この四酸化ルテニウム溶液を気化させてガス状にし、該ガスに該冷凍麺類を曝露すればよい。四酸化ルテニウム溶液の調製、溶液の気化、及び気化したガスへの曝露の手順は、特開2000−83929号公報に記載の手順に従って実行することができる。
【0027】
その他の油脂染色試薬、例えばナイルレッド、オイルレッドO、ズダンIII、ズダンIV、ズダンブラックBなどを使用する場合には、該試薬を溶媒に溶解させ、この試薬溶液を該冷凍麺類に噴霧若しくは塗布するか、又はこの試薬溶液に該冷凍麺類を浸漬させればよい。試薬を溶解させる溶媒は、該試薬の製品マニュアル又は定法に従えばよいが、アルコール及びその水溶液、アセトン、それらの混液などが挙げられる。試薬がナイルレッド、オイルレッドO、ズダンIII、ズダンIV、又はズダンブラックBの場合、好ましい溶媒としては、70v/v%〜100v/v%アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、アセトン、及びそれらの混液が挙げられ、より好ましい例としては、ナイルレッドの場合は70v/v%〜100v/v%エタノール、アセトン、又はそれらの混液が挙げられ、オイルレッドOの場合は70v/v%〜100v/v%のエタノール若しくはイソプロパノール、又はそれらの混液が挙げられ、ズダンIII、ズダンIV及びズダンブラックBの場合は70v/v%〜100v/v%エタノールが挙げられる。あるいは、溶媒に溶解された状態で販売されているこれらの染色試薬溶液を、製品マニュアルに従って使用してもよい。
【0028】
上記油脂染色試薬溶液の濃度、温度及び使用量、ならびに該試薬溶液による染色時間は、使用する試薬の種類に応じて調節すればよい。例えば、試薬溶液は常温で調製することができる。試薬溶液の使用量は、該試薬溶液が冷凍麺類の表面全体を覆うのに必要な量であればよく、例えば、該試薬溶液で冷凍麺類の表面が満遍なく覆われるまで、該試薬溶液を噴霧又は塗布すればよい。試薬溶液の濃度は、ズダンIII、ズダンIV、ズダンブラックB溶液の場合は1〜2質量%程度が好ましく、ナイルレッドの場合は0.05〜0.2質量%程度が好ましく、オイルレッドOの場合は1〜5質量%程度が好ましい。染色時間は1〜30秒程度であればよく、その後、該冷凍麺類を洗浄する。好ましくは、冷凍麺類に該試薬溶液を噴霧、塗布又は浸漬した後、直ちに洗浄に付す。
【0029】
洗浄は、使用した試薬溶液に応じて適切な方法で行えばよく、好ましくは、洗浄液を、冷凍麺類の表面が満遍なく覆われるまで噴霧又は塗布すればよい。使用する洗浄液としては、油脂染色試薬の製品マニュアル又は定法に従えばよいが、例えば、アルコール及びその水溶液、アセトン、それらの混液などが挙げられる。試薬がナイルレッド、オイルレッドO、ズダンIII、ズダンIV、又はズダンブラックBの場合、好ましい洗浄液としては、70v/v%〜100v/v%アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、アセトン、及びそれらの混液が挙げられ、より好ましい例としては、試薬溶液がズダンIII、ズダンIV又はズダンブラックB溶液の場合は70v/v%〜100v/v%エタノール溶液を、ナイルレッドの場合は70v/v%〜100v/v%エタノール、アセトン、又はそれらの混液を、オイルレッドOの場合は70v/v%〜100v/v%のエタノール若しくはイソプロパノール、又はそれらの混液を挙げることができる。洗浄により、余分な試薬溶液は除去され、染色された冷凍麺類を得ることができる。
【0030】
次いで、染色された冷凍麺類の染色状態を観察する。冷凍麺類において油脂を含むコーティング液が付着した部分は、上記油脂染色試薬によって染色される。すなわち、冷凍麺類の染色状態、例えば、染色の有無又は染色ムラの有無(すなわち、満遍なく染色されているか否か)は、該冷凍麺類への油脂を含むコーティング液の付着状態、例えば、付着の有無又は付着ムラの有無(すなわち、満遍なく付着しているか否か)を表している。したがって、油脂染色試薬による冷凍麺類の染色状態を観察することにより、該冷凍麺類への油脂を含むコーティング液の付着状態を評価することができる。
【0031】
冷凍麺類の染色状態の観察は、目視によって行えばよく、肉眼による直接観察又は画像観察を行うことができる。画像観察の場合、画像はカラー画像であることが好ましい。また、染色されたコーティング液が解けて麺表面から流出することを防ぐため、観察を染色後速やかに行うか、又は染色した麺類を観察まで低温下で保持しておくことが望ましい。
【0032】
本発明の方法によれば、麺のほぐし液、冷凍焼け防止用液、又はオイルソースなどの、ほぼ無色又は淡色で麺との判別が困難であったコーティング液の付着状態を、目視により簡便に評価することが可能になる。
【0033】
例えば、冷凍麺類が全体にムラなく染色されていれば、該麺類にはコーティング液が全体に満遍なく付着していた(すなわち、該麺類にはコーティング液が充分に付着していた)と評価することができる。反対に、冷凍麺類に染色ムラがあるか、染色されていない部分があれば、該麺類にはコーティング液が満遍なく付着していなかった(すなわち、該麺類へのコーティング液の付着は不充分であった)と評価することができる。
【0034】
上記評価結果は、油脂を含むコーティング液を添加された冷凍麺類を準備したときの各種条件、例えば、コーティング液の量、温度、組成、添加の手段、添加される麺類の形態、品温などの条件が、該冷凍麺類をコーティングするために適切であったかどうかを判断する材料となる。準備された冷凍麺類にコーティング液が充分に付着していたと評価できる場合、該冷凍麺類は、該コーティング液付着のための適切な条件下で、該コーティング液を添加されたと判断することができる。反対に、準備された冷凍麺類へのコーティング液の付着が不充分と評価される場合、該冷凍麺類は、該コーティング液付着のための適切な条件下で該コーティング液を添加されていないと判断され、添加の際の条件は見直す必要がある。
【0035】
したがって、本発明はまた、冷凍麺類へのコーティング液の付着条件の決定方法を提供する。当該方法は、(1)所定の条件下で、油脂を含むコーティング液を添加された冷凍麺類を準備すること;(2)該コーティング液を添加された冷凍麺類に油脂染色試薬を添加し、該冷凍麺類を染色すること;(3)該冷凍麺類の染色状態を観察すること;及び、(4)該観察の結果、該冷凍麺類の表面全体が染色されていた場合に、該所定の条件を、冷凍麺類へのコーティング液の付着のための条件として採用すること、を含む。
【0036】
上記本発明の方法において、コーティング液を添加された冷凍麺類を準備する際の「所定の条件」とは、冷凍麺類への充分なコーティング液付着を実現するための条件の候補となり得るあらゆる条件を含む。例えば、「所定の条件」とは、油脂を含むコーティング液の温度又は組成、麺類へのコーティング液の添加量又は添加の手段、コーティング液を添加される麺類の形態又は品温、等から選択される少なくとも1つであり得るが、好ましくはこれらの条件の2つ以上の組み合わせであり得、より好ましくはこれらの条件の全部の組み合わせであり得る。
【0037】
上記本発明の方法において、油脂を含むコーティング液を添加された冷凍麺類を準備する手順、該冷凍麺類を油脂染色試薬で染色する手順、該冷凍麺類の染色状態の観察の手順、観察結果からコーティング液の付着状態を評価する手順は、上述したとおりである。
【0038】
染色された冷凍麺類の染色状態を観察した結果、冷凍麺類の表面全体が染色されており、冷凍麺類にコーティング液が充分に付着していたと評価できる場合、上記コーティング液が添加された冷凍麺類を準備する際の「所定の条件」を、該冷凍麺類へのコーティング液付着のための適切な条件として採用することができる。反対に、冷凍麺類に染色ムラ又は染色されていない部分があり、冷凍麺類へのコーティング液の付着が不充分と評価される場合、上記「所定の条件」は、該冷凍麺類へのコーティング液付着のためには不適切な条件と判断される。その場合には、該冷凍麺類へのコーティング液付着のための適切な条件が見つかるまで、該「所定の条件」を変更して本発明の方法を繰り返すことができる。
【0039】
上述した本発明による冷凍麺類へのコーティング液の付着状態の評価方法、及び冷凍麺類へのコーティング液の付着条件の決定方法は、油脂染色試薬を用いるため、安全及び衛生上の観点からは、商品として流通する冷凍麺類の製造場所とは別の場所で行われることが求められる。例えば、商品の製造工場とは異なる場所に検査設備を設け、そこで工場での製造手順と同様の手順でコーティング液を添加した冷凍麺類を製造し、それを油脂染色してコーティング液の付着状態を評価したり、コーティング液付着のための適切な条件を検討したりすることができる。あるいは、工場で商品用のコーティング液を添加した冷凍麺類を製造した後、その一部を抜き取って別の場所にある検査設備に移送し、そこで油脂染色してコーティング液の付着状態を評価したり、コーティング液付着のための適切な条件を検討したり、あるいは現在の工場での付着条件が適切か否かを検査したりすることができる。一旦、冷凍麺類へのコーティング液付着のための適切な条件を決定した後は、工場等の冷凍麺類の製造場所にて、該条件にて冷凍麺類にコーティング液を付着させ、コーティング液が付着した冷凍麺類を製造することができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
参考例1 コーティング液の調製
下記組成で油脂、増粘剤及び水を混合し、コーティング液を調製した。
大豆油 33.2
増粘剤 0.498
水 残余(約66)
合計 100 (質量%)
【0042】
参考例2 コーティング液付着冷凍麺の製造
乾燥スパゲティ(直径1.7mm、マ・マーマカロニ株式会社製)を沸騰水にて約8分間茹で、水道水に晒して冷却した後、ざるに入れて麺に付着した水気を充分に切り、茹でスパゲティを調製した。この茹でスパゲティ100gに対し、参考例1のコーティング液8.5g(麺質量に対して8.5%)を添加し、手でもみ込んで全体によく絡ませた。
同様の手順で、コーティング液非添加の茹でスパゲティ100gを製造した。
コーティング液を添加した茹でスパゲティ及びコーティング液非添加の茹でスパゲティ各100gを、凍結トレー(縦17cm×横12.5cm×高さ4cm)に並べて充填し、−20℃で急速冷凍して冷凍麺を製造した。
【0043】
実施例1 油脂染色試薬による冷凍麺のコーティング状態の評価−1
油脂染色試薬として、ズダンブラックB(和光純薬工業株式会社)、ズダンIII(東京化成工業株式会社)、及びズダンIV(和光純薬工業株式会社)を用いた。各染色試薬1gを99.5v/v%エタノール100g(ズダンブラックB及びズダンIII)又は50g(ズダンIV)中に溶解させ、得られた溶液を濾過して、黒色を有するズダンブラックB溶液、ならびに赤色を有するズダンIII及びズダンIV溶液をそれぞれ調製した。
参考例2で製造した冷凍麺を凍結トレーから取り出し、麺表面のコーティング液が解凍する前に、上記で調製した染色溶液のいずれかを冷凍麺全体に霧吹きで噴霧した。次いで、99.5v/v%エタノールを霧吹きで噴霧して冷凍麺全体を洗浄し、麺表面の余分な染色溶液を洗い流した。
【0044】
洗浄後すぐに、冷凍麺の染色状態を目視で直接観察した。結果を
図1A〜Cに示す。コーティング液を添加した冷凍麺は、ズダンブラックB染色では黒青色〜黒色に染色され(
図1A右)、ズダンIII及びズダンIV染色では赤橙色〜赤色に染色された(
図1B〜C右)。一方、コーティング液非添加の冷凍麺は、いずれの染色溶液でも染色されなかった(
図1A〜C左)。染色の有無に基づいてコーティング液を添加した冷凍麺と非添加の冷凍麺とを肉眼で識別することができた。
【0045】
実施例2 油脂染色試薬による冷凍麺のコーティング状態の評価−2
油脂染色試薬としてナイルレッド(和光純薬工業株式会社)を用いた。ナイルレッド0.01gを20gの99.5v/v%エタノールに溶解させ、ナイルレッド−エタノール溶液を調製した。参考例2で製造した冷凍麺を凍結トレーから取り出し、麺表面のコーティング液が解凍する前に、染色溶液を冷凍麺全体に霧吹きで噴霧した。次いで、99.5v/v%エタノールを霧吹きで噴霧して冷凍麺全体を洗浄し、麺表面の余分な染色溶液を洗い流した。洗浄後すぐに、冷凍麺の染色状態を目視で直接観察した。
同様の手順で、ただし染色溶液としてナイルレッド−アセトン溶液(ナイルレッド0.015gをアセトン20gに溶解)を、冷凍麺の洗浄液としてアセトンを用いて、冷凍麺の染色及び観察を行った。
【0046】
結果を
図2A、Bに示す。コーティング液を添加した冷凍麺は薄桃色〜桃色に染色された(
図2A、B右)。一方、コーティング液非添加の冷凍麺はいずれも染色されなかった(
図2A、B左)。染色の有無に基づいてコーティング液を添加した冷凍麺と非添加の冷凍麺とを肉眼で識別することができた。
【0047】
実施例3 油脂染色試薬による冷凍麺のコーティング状態の評価−3
油脂染色試薬としてオイルレッドO(和光純薬工業株式会社)を用いた。2gのオイルレッドOを50gの99.5v/v%エタノールに溶解させ、オイルレッドO−エタノール溶液を調製した。参考例2で製造した冷凍麺を凍結トレーから取り出し、麺表面のコーティング液が解凍する前に、染色溶液を冷凍麺全体に霧吹きで噴霧した。次いで、99.5v/v%エタノールを霧吹きで噴霧して冷凍麺全体を洗浄し、麺表面の余分な染色溶液を洗い流した。洗浄後すぐに、冷凍麺の染色状態を目視で直接観察した。
同様の手順で、ただし染色溶液としてオイルレッドO−イソプロパノール溶液(1gのオイルレッドOを50gの99.5v/v%イソプロパノールに溶解)を、冷凍麺の洗浄液として99.5v/v%イソプロパノールを用いて、冷凍麺の染色及び観察を行った。
【0048】
結果を
図3A、Bに示す。コーティング液を添加した冷凍麺は赤橙〜濃赤色に染色された(
図3A、B右)。一方、コーティング液非添加の冷凍麺はいずれも染色されなかった(
図3A、B左)。染色の有無に基づいてコーティング液を添加した冷凍麺と非添加の冷凍麺とを肉眼で識別することができた。
【0049】
実施例4 油脂染色試薬による冷凍麺のコーティング状態の評価−4
油脂染色試薬として四酸化ルテニウム溶液(商品名Developer、株式会社ピー・エス・インダストリー製;特開2000−83929号公報参照)を用いた。参考例2で製造した冷凍麺を、室温(約25℃)に静置し、麺表面のコーティング液を解凍させた。この冷凍麺全体を、四酸化ルテニウム溶液をバブリングし気化したものに曝露し、染色した。染色作業後すぐに、冷凍麺の染色状態を目視で直接観察した。
【0050】
結果を
図4に示す。コーティング液を添加した冷凍麺は灰色に染色され(
図4右)、一方、コーティング液非添加の冷凍麺は染色されなかった(
図4左)。染色の有無に基づいてコーティング液を添加した冷凍麺と非添加の冷凍麺とを肉眼で識別することができた。