【実施例】
【0103】
以下において、本発明を実施例によって具体的に説明し、実施例のデータ、及び実施例と比較例の対照により、本発明の構成の合理性と有意性及び有用性並びに従来技術に対する卓越性を実証する。
【0104】
[重合体の構造の解析方法]
実施例で得た(共)重合体の構造は、日本電子(株)製JNM−ECS400を用いた各種NMR解析により決定した。極性基を有するオレフィンに由来するモノマーユニットの含有率と共重合体末端構造は、溶媒として1,2,4−トリクロロベンゼン(0.55mL)及び緩和試薬としてCr(acac)
3(10mg)を用い、120℃において、逆ゲート付きデカップリング法を用いた
13C−NMR(9.0マイクロ秒の90°パルス、スペクトル幅:31kHz、緩和時間:10秒、取り込み時間:10秒、FIDの積算回数5,000〜10,000回)、又は溶媒として1,1,2,2−テトラクロロエタン−d
2を使用した120℃における
1H−NMRによって決定した。ここでacacは、アセチルアセトネートを表す。
【0105】
[数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)]
東ソー(株)製・TSKgel・GMHHR−H(S)HTカラム(7.8mmI.D.×30cmを2本直列)を備えた東ソー(株)製高温GPC装置、HLC−8121GPC/HTを用い、単分散ポリスチレンを分子量の標準物質とするサイズ排除クロマトグラフィー(溶媒:1,2−ジクロロベンゼン、温度:145℃)により算出した。
【0106】
なお、以下の合成例で特に断りのない限り、操作は精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は脱水・脱酸素したものを用いた。
【0107】
[実施例化合物の合成]
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(化合物bの合成)
【0108】
【0109】
2,6−ジイソプロピルアニリン(364.4mg,2mmol)とホルマリン(0.18mL,2.2mmol)を無水エタノール3mL中、室温化で混合した溶液Aを、先ず調製した。ここでは、2,6−ジイソプロピルフェニルをDipと表記している。氷冷無水エタノールに無水酢酸(0.17mL,2.4mmol)を滴下することで調整した塩酸エタノール溶液に、8−ヒドロキシ−2−キノリンカルボアルデヒド(34
6.4 mg,2.0mmol,化合物a)を溶解させた室温溶液に対して、溶液Aを滴下し、そのまま1日室温下で撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、高真空化で乾燥した。得られた固体を塩化メチレンに溶解し、1M塩酸で洗浄した。有機層をブラインで洗浄したのち、有機層に対し過剰の炭酸ナトリウムを加え撹拌し中和した。固形分をセライトろ過によって除去したのち、溶液を濃縮し、エーテルに対し滴下することで目的の化合物bが沈殿として得られた(収率80%).
1HNMR(DMSO−d
6,δ,ppm):11.81(d,J=1.8Hz,1H)
,8.31(d,J=1.9Hz,1H),7.64(t,J=7.8Hz,1H),7
.47(d,J=7.7Hz,2H),7.45(d,J=9.5Hz,1H),7.
37(d,J=9.6Hz,1H),7.15(dd,J=7.4,8.4Hz,1H)
,6.57(dd,J=1.2,8.4Hz,1H),6.47(dd,J=1.1,7.3Hz,1H), 2.24(sept,J=6.9Hz,2H),1.14(d,J=6.6Hz,6H),1.13(d,J=6.6Hz,6H)
【0110】
2−(2,6−ジベンズヒドリル−4−メチルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(化合物cの合成)
【0111】
【化19】
【0112】
化合物bと同様の合成方法及びスケールで、2,6−ジイソプロピルアニリンを2,6−ベンズヒドリル−4−メチルアニリンに変更することで化合物cを得た(収率76
%)。ここでは、2,6−ベンズヒドリル−4−メチルフェニルをDip
*と表記している。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ10.83(s,1H),7.34(d
,1H),7.24−7.05(m,15H),6.96−6.86(m,8H),6.83(s,2H),6.63(d,1H),6.56(d,1H),5.18(s,2H),2.20(s,3H)
【0113】
錯体1の合成
【0114】
【化20】
【0115】
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(166.3mg,0.48mmol,化合物b)とカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(100mg,0.50mmol)をテトラヒドロフラン10mL中で5分間撹拌した。このテトラヒドロフラン溶液に、クロロ(メチル)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(132.5mg,0.50mmol)を加えると、瞬時に暗褐色溶液に変化した。20分間撹拌した後に、溶液はセライトろ過し、ヘキサン中に滴下した。黄色の析出物をろ過により回収し、ヘキサンで洗浄した後に、減圧乾燥し、目的とする錯体1を得た(収率46%)。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)7.41(t,1H),7.21(d,2H
),7.09−6.94(m,5H),6.76(d,1H),2.62(sept,2H),1.47(d,6H),1.09(d,6H),−0.34(s,3H)
【0116】
錯体2の合成
【0117】
【化21】
【0118】
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(121mg,0.2mmol,化合物b)とナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(39mg,0.2mmol)にエーテル5.0mLを加え、室温で30分撹拌した。この溶液に、Ni(cod)
2(58mg,0.2mmol)を加えると瞬時に暗赤色に溶液の色が変化した。室温で1時間撹拌した後に、N−(2−ブロモフェニル)アセトアミド)(43mg,0.2mmol) を添加した。徐々に、オレンジ色の固体が析出した。昼夜で撹拌した後に、析出した固体をセライトでろ過した。セライト上の固体をエーテルで洗浄した後に、ジクロロメタンで抽出し、溶媒を除去して目的とする錯体2を得た(収率63%)。
【0119】
錯体3の合成
【0120】
【化22】
【0121】
錯体2と同様の合成方法及びスケールで、化合物bを化合物cに変更することで、錯体3を合成した(収率28%)。
【0122】
2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−7−(2,4,6−トリメチルフェニル)8−(メトキシメトキシ)キノリン(化合物e)の合成
【0123】
【化23】
【0124】
アルゴン雰囲気下、7−ブロモ−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−8−(メトキシメトキシ)キノリン(3.40g、10mmol、化合物d)、2,4,6−トリメチルフェニルボロン酸(3.28g、20mmol、東京化成製)、Pd
2(dba)
3(516mg、0.5mmol)、Sphos(411g、1.0mmol、和光純薬製)、リン酸三カリウム(2.12g、10mmol、Aldrich製)を、トルエン(20mL)を溶媒として、105℃で18時間還流した。混合物を常温に冷却したのち、イオン交換水と酢酸エチルを用いて分液し、有機層を更に飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を濃縮したのちシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=92:8→34:66)にて精製し化合物eを黄色粉末として得た。収量は29%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ8.23(d,1H),7.63(m,
2H),7.29(d,1H),6.95(s,2H),5.98(s,1H),5
.27(s,2H),4.28−4.09(m,4H),2.96(s,3H),2.
32(s,3H),2.04(s,6H)
【0125】
8−ヒドロキシ−7−(2,4,6−トリメチルフェニル)キノリン−2−カルボアルデヒド(化合物f)の合成
空気下、2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−7−(2,4,6−トリメチルフェニル)8−(メトキシメトキシ)キノリン(化合物e、2.9mmol)を4規定塩酸、エタノール、クロロホルム(各20mL)の混合溶媒で二日間加熱還流した。有機層を留去したのち塩化メチレンに再溶解させ、1規定塩酸、イオン交換水、飽和塩化ナトリウム溶液で順に洗浄した。得られた有機層は過剰の塩化メチレンを用いてシリカゲルを通すことで精製し、溶媒を留去することで化合物fを赤色粉末として得た。収率は87%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ10.23(s,1H),8.35(d
,1H),8.14(s,1H),8.07(d,1H),7.47(d,1H), 7
.43(d,1H),7.00(s,2H),2.36(s,3H),2.06(s, 6H)
【0126】
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−8−(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(化合物gの合成)
空気下、2,6−ジイソプロピルアニリン(東京化成製、0.30mmol)、ホルマリン(関東化学製、50μL)をエタノール(1mL)中で混合し均一の溶液を得たのち、塩化アセチル(東京化成製)とエタノールから直前に調製した塩酸エタノール溶液(1.2mmol/L)を0.30mL加え撹拌する。続いて8−ヒドロキシ−7−(2,4,6−トリメチルフェニル)キノリン−2−カルボアルデヒド(化合物f、0
.30mmol)を粉末として加え、エタノール1mL、塩化メチレン1mLを追加し、室温で60時間撹拌する。揮発成分を留去したのち、得られた橙色固体を分取TLC(ヘキサン:酢酸エチル:塩化メチレン:メタノール=3:3:3:1)で精製することで化合物gを黄橙色粉末として得た。収率は71%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ11.93(s,1H),7.52(t
,1H),7.47(d,1H),7.30(d,2H),7.27−21(m, 2H),7.17(d,1H),6.92(s,2H),6.70(d,1H),2.32(sept,2H),2.28(s,3H),2.11(s,6H),1.18 (d,6H),1.14(d,6H)
【0127】
錯体4の合成
アルゴン雰囲気下室温にて、2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−8−(2,4
,6−トリメチルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(1
8.5mg、0.040mmol、化合物g)、水素化カリウム(12mg、0.3mmol)をTHF(2mL)中で二時間撹拌した。反応溶液を濾過したのちPdMeCl(lut)(10.6mg、0.040mmol)を加え更に一時間撹拌した。ここでlutは、2,6−ルチジンを表す。反応溶液を濾過・濃縮することで錯体4を黄色粉末として得た。収率は85%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.25−7.18(m,3H),7.
03(d,1H),7.00(s,1H),6.93(d,2H),6.87(s, 2H),6.80(d,1H),6.71(d,2H),6.51(s,1H),2.71(s,6H),2.47(sept,2H),2.25(s,3H),2.20 (s,6H),0.98(d,6H),0.95(d,6H),−0.41(s,3H)
【0128】
8−ヒドロキシ−7,5−ジニトロキノリン−2−カルボアルデヒド(化合物h)の合成
【0129】
【化24】
【0130】
空気下、60%硝酸(120mL,関東化学製)と硫酸(30mL,関東化学製)の混合溶液を予め氷浴しておき、8−ヒドロキシキノリン−2−カルボアルデヒド(5.19g、化合物a)を粉末として10回程度に分け少しずつ加える。氷浴下2時間撹拌したのち、混合物を約1Lの氷に注ぐと黄色粉末が析出する。粉末を濾別し、氷水、ジエチルエーテルで洗浄したのちに加熱乾燥することで、化合物hを黄色粉末として得た。収量は51%であった。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ10.10(s,1H),9.31(d,1H),9.18(s,1H),8.13(d,1H)
【0131】
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−6,8−ジニトロイミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(化合物iの合成)
空気下、2,6−ジイソプロピルアニリン(0.43mL、3.0mmol、東京化成製)、ホルマリン(0.37mL、4.5mmol、関東化学製)をエタノール(5mL)中で混合し均一の溶液を得たのち、塩化アセチル(東京化成製)とエタノールから直前に調製した塩酸エタノール溶液(1.2mmol/L)を3.0mL加え撹拌する。続いて8−ヒドロキシ−7,5−ジニトロキノリン−2−カルボアルデヒド(790mg、3.0mmol、化合物h)を粉末として加え、室温で48時間撹拌する。黄色沈殿をろ別し、冷エタノールで洗浄することで化合物iを黄色粉末として得た。収率は36%であった。
1H−NMR(400MHz,DMSOd6):δ11.44(s,1H),9.00(s,1H),8.66(d,1H),8.58(d,1H),8.08(d,1H),7.64(t,1H),7.47(d,2H),2.21(sept,2H),1.09(m,12H)
【0132】
錯体5の合成
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−6,8−ジニトロイミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(217mg、0.50mmol、化合物i)、カリウムビス(トリメチルシリルアミド)(120mg、0.60mmol、Aldrich製)をTHF(12mL)中で30分撹拌した。反応溶液にPdMeCl(cod)(132
.5mg、0.50mmol)を加え更に15分撹拌した。反応溶液を濾過・濃縮し、過剰量のヘキサンへ滴下することで錯体5を茶色粉末として得た。収率は14%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.76(d,1H),7.59(s,
1H),7.51−7.21(m,5H),2.42(sept,2H),1.10(m
,12H),0.06(s,3H)
【0133】
2−(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(化合物jの合成)
【0134】
【化25】
【0135】
化合物bと同様の合成方法及びスケールで、2,6−ジイソプロピルアニリンを2,4,6−トリメチルフェニルアニリンに変更することで化合物jを得た(収率71%)。ここでは、2,4,6−トリメチルフェニルをMesと表記している。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ10.93(s,1H),7.92 (s,1H),7.62(d,1H),7.45−7.32(m,3H),7.05−6.96(m,3H),2.35(s,3H),2.02(s,6H)
【0136】
錯体6(ボールド)の合成
2−(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(151mg、0.50mmol、化合物j)、カリウムビス(トリメチルシリルアミド)(120mg、0.60mmol、Aldrich製)をTHF(12mL)中で30分撹拌した。反応溶液にPdMeCl(cod)(132.5mg、0.50mmol)を加え更に15分撹拌した。反応溶液をろ過・濃縮し、過剰量のヘキサンへ滴下することで錯体6ボールドを黄色粉末として得た。収率は75%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.07−6.99(m,3H),6.
96−6.90(m,4H),7.75(dd,1H),2.29(s,3H),2.1
9(s,6H),−0.32(s,3H)
【0137】
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピリジニウム−5−スルホナート一水和物(化合物v)の合成
【0138】
【化26】
【0139】
アルゴン雰囲気下、−78℃に冷却した2−ブロモ−6−(1,3−ジオキソラン−2−イル)ピリジン(1.56mL、10mmol、文献(Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 8475.)に従って合成)のジエチルエーテル(30mL)溶液に対し、ブチルリチウム(1.63M、6.1mL、ヘキサン溶液、関東化学製)を滴下し、15分撹拌した。続いて、−78℃に冷却した塩化スルフリル(1.0mL、和光純薬製)のジエチルエーテル溶液(30mL)に対しこの混合物をゆっくりと滴下した。滴下終了後、冷浴を外しそのまま一時間撹拌したのち、水酸化リチウム(753mg、Aldrich製)を加え常温で撹拌すると、徐々に固体が沈殿した。室温で12時間撹拌したのち、溶液を空気下にさらしジエチルエーテル層をデカンテーションした。
更にジエチルエーテルを加え撹拌、デカンテーションを二回繰り返したのち、過剰量のアセトンを用いて固体を洗浄し、アセトンを濃縮することで化合物tを含む吸湿性の混合物を得た。この混合物を3規定塩酸(20mL)とエタノール(20mL)の混合溶媒中、空気下で一時間加熱還流したのち、エタノールを留去し、水層を塩化メチレンで三回洗浄した。水層を濃縮することで化合物uを含む吸湿性の混合物(約0.90g)が得られた。この混合物に対し、更に2,6−ジイソプロピルアニリン(0.85mL、東京化成製)、ホルマリン(0.40mL、関東化学製、50μL)、塩化アセチル(東京化成製)とエタノールから直前に調製した塩酸メタノール溶液(5.0mL、1.0mmol/L)を加え、室温で60時間撹拌した。揮発成分を留去したのちイオン交換水(10mL)を加え塩化メチレンで3回抽出して得られた有機層を炭酸カリウムで乾燥・中和し、濃縮後に過剰量のジエチルエーテルに滴下することで、化合物vが薄茶色粉末として得られた。収率は21%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ9.75(s,1H),7.85(d,
1H),7.75(d,1H),7.66(s,1H),7.61(t,1H),7.
44(t,1H),7.38(d,1H),2.15(sept,2H),1.1−1.3(m,12H)
【0140】
錯体7の合成
アルゴン雰囲気下、2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピリジニウム−5−スルホナート一水和物(75.3mg、0.20mmol、化合物v)、水素化カリウム(24mg、0,60mmol)、炭酸カリウム(138mg、1.0mmol)をTHF(6mL)中で二時間撹拌する。混合物を濾過し溶液を濃縮し、茶色固体を得た。収率は86%であった。この中間体については同定を行わずそのまま次に用いた。
アルゴン雰囲気下、得られた茶色粉末(15.9mg、0.040mmol)とPdMeCl(cod)(10.6mg、0.040mmol)をTHF(4mL)中で15分撹拌したのち、混合物をろ過し、ヘキサンを用いて再沈殿を行うことで錯体7を得た。収率は82%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ8.18(d,1H),7.87(d,
1H),7.72(d,1H),7.62−7.20(m,4H),2.15(sept,1H),2.01(sept,1H),1.20−1.12(m,12H),0.
11(s,3H)
【0141】
実施例1〜8;重合手順(エチレン)
アルゴン雰囲気下、錯体1〜7を任意の(表1中に記載)触媒量含む耐圧硝子工業(株)製50mLオートクレーブ中に、トルエン約20mL、コモノマー(表1中に記載)を加えた。エチレン(表1中に記載)を充填した後、オートクレーブを任意の(表1中に記載)温度で、任意の(表1中に記載)時間撹拌した。室温に冷却後、オートクレーブ中にメタノール(約20mL)を加えた。生じた共重合体をろ過によって回収し、メタノール、イオン交換水で洗浄した後に減圧下乾燥して、重合体を得た。重合活性(kg/mol/hr)は表1中に記載した。サイズ排除クロマトグラフィーにより、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)算出し、MwとMw/Mnを表1に記載した。共重合体中のコモノマー含有率は、
1H−NMR測定により、エチレン:コモノマーのモル比を決定し、コモノマー含量mol%という表記で表1に記載した。表中のMAは、メチルアクリレートを表す。
【0142】
実施例9〜13;重合手順(プロピレン)
アルゴン雰囲気下、錯体1,4,6を任意の(表2中に記載)触媒量含む耐圧硝子工業(株)製50mLオートクレーブ中に、トルエン約20mL、コモノマー(表2中記載)を加えた。反応容器を氷浴しながらプロピレンガスを10分印加し、加圧前後で反応容器全体の重量差を計測することでプロピレンの充填量を算出した。オートクレーブを任意の(表2中に記載)温度で、任意の(表2中に記載)時間撹拌した。室温に冷却後、反応溶液を回収しオートクレーブ内を塩化メチレンでリンスしたものと合わせ減圧留去した。得られた固体を、メタノールを用いて繰り返しもみ洗いした後に減圧下乾燥して重合体を得た。重合活性(kg/mol/hr)は表2中に記載した。サイズ排除クロマトグラフ
ィーにより、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出し、MwとMw/Mnを表2に記載した。共重合体中のコモノマー含有率は、
1H−NMR測定により、プロピレン:コモノマーのモル比を決定し、コモノマー含量mol%という表記で表2に記載した。表中AAcは、酢酸アリルを表す。
【0143】
錯体8の合成
【0144】
【化27】
【0145】
10mLのバイアルに、2,6−ジベンズヒドリル−4−メチルアニリン(440mg、1.0mmol)とホルマリン(36−38%水溶液、122mg)とエタノール5.0mLとジクロロメタン1.5mLを加え、空気下で均一な溶液になるまで2時間撹拌した。得られた溶液に塩化水素エタノール溶液(1.25M,0.80mL,1.0mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後に、8−ヒドロキシキノリン−2−カルバルデヒド(173mg、1.0mmol)をバイアル中に加え、バイアルをキャップで蓋をした。混合物は24時間撹拌した。この混合物に水と炭酸ナトリムを加えた。混合物はジクロロメタンで抽出し、有機相は硫酸ナトリウムで脱水した。溶媒を除去した後に、粗生成物はシリカゲルカラムによって精製した。最初は展開液に酢酸エチル/ヘキサン(1/1)を使用し、副生成物を除去した。次に酢酸エチル/エタノール(1/2)展開液を用いて生成物Lbを黄色固体として得た(0.51g、84%)。
【0146】
1H−NMR(500MHz,DMSO−d
6)δ11.27(s,1H),7.31(d,J=9.5Hz,1H),7.25-7.06(m,15H),6.96-6.93(m,8H),6.88(s,2H),6.53(d,J=8.5Hz,1H),6.4
1(d,J=7.5Hz,1H),5.19(s,2H),2.24(s,3H);
13C−NMR(126MHz,DMSO−d
6)δ164.23(1C),141.82(2C),141.60(2C),141.22(2C),140.15(1C),13
1.41(1C),129.46(2C),128.96(1C),128.87(4C),128.62(4C),128.58(1C),128.54(4C),128
.52(4C),127.84(1C),126.85(2C),126.80(2C),126.44(1C),120.77(1C),119.73(1C),114
.23(1C),112.32(1C),105.69(1C),50.94(2C),21.42(1C).
【0147】
80mLシュレンクチューブに、Ni(COD)
2(1.57g、5.71mmol)を加え、ジエチルエーテル10mLに溶解した。この溶液を氷水で冷却し、トリエチルホスフィン(25mmol、1.0MのTHF溶液)を加えた。室温まで昇温し、2時間撹拌した。溶媒を取り除いた後、シュレンクチューブをグローブボックスに移送した。ヘキサン5mLを加え、セライトを通してろ過した。その後セライトをヘキサン5mLで洗浄した。ろ液にクロロベンゼン(1.10g、9.77mmol)を加え、室温で更に4時間撹拌した。その後、溶媒を減圧下で取り除き、ペンタン5mLを添加した。得られた混合物はセライトを通してろ過し、セライトはペンタン5mLで洗浄した。ろ液はその後−35℃で終夜保管し、結晶を得た。結晶は冷やしたペンタンで洗浄し、得られた結晶を2時間室温で減圧乾燥し、目的物NiPhCl(PEt
3)
2をオレンジ固体として得た(2.00g、86%)。
【0148】
1H−NMR(500MHz,C
6D
6)δ7.43(d,J=7.5Hz,2H)6.
97(t,J=7.3Hz,2H),6.80(t,J=7.0Hz,1H),1.32(m,12H),1.02(m,18H);
13C−NMR(126MHz,C
6D
6):155.31(t,J=54Hz,1C),137.54(t,J=6Hz,2C),126.79(t,J=4Hz,2C),121.33(t,J=4Hz,1C),14
.25(t,J=20Hz,6C),8.32(s,6C);
31P−NMR(202MHz,C
6D
6)δ11.1;Elemental analysis,Calcd for C
18H
35ClNiP
2;C,53.05;H,8.66.found C,52.
81;H,8.57.
【0149】
グローブボックス中で、10mLバイアルにLb(61mg、0.10mmol)と水素化カリウム(10mg、0.25mmol)をTHF3mL中で撹拌した。混合物は室温で終夜撹拌し、その間に溶液の色は黄色から暗赤色に変化した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはTHF3mLで洗浄した。ろ液に、NiPhCl(PEt
3)
2(41mg、0.10mmol)を添加し、室温で12時間撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはTHF2mLで洗浄した。その後ろ液の溶媒を除去した。粗生成物はトルエン10mLで抽出し、再度セライトを通してろ過した。ろ液の溶媒を除去した後に、ヘキサン8mLを加え、生じた沈降物をろ過で回収し、ヘキサンで洗浄した後に室温で2時間減圧乾燥し、黄色固体として錯体8(40mg、47%)を得た。
【0150】
1H−NMR(500MHz,THF−d
8)δ1.32-1.18(m,15H),2.
18(s,3H),4.97(s,1H),6.07(s,2H),6.13-6.09(m,2H),6.21(t,J=7.5Hz,2H),6.56(d,J=7.5Hz,1H),6.69-6.66(m,6H),6.79(d,J=9.5Hz,1H
),6.82(d,J=8.0Hz,1H),6.92-6.93(m,6H),7.
03(t,J=8.0Hz,1H),7.08(d,J=7.5Hz,2H),7.
13-7.17(m,2H),7.22-7.25(m,8H);
13C−NMR(126MHz,THF−d
8);δ8.57(s,3C),13.46(d,J=21Hz,3C),21.49(s,1C),53.67(s,2C),111.50(s,1C),114.11(s,1C),118.50(s,1C),119.83(s,1C),119.87(s,1C),125.41(s,1C),125.55(s,1C),125.83(d,J=1.3Hz,2C),126.21(d,J=1.3Hz,1C),126.44(s,1C),126.51(s,2C),126.78(s,2C),126.97(s,1C),128.48(s,8C),129.39(s,4C),129.72(s,2C),131.37(s,4C),136.87(s,1C),137.93(s,1C),138.48(d,J=3.8Hz,2C),14
1.34(s,2C),143.51(s,2C),145.44(s,2C),15
1.00(d,J=39.1Hz,1C),156.84(s,1C),165.04(d,J=102.1Hz,1C);
31P−NMR(202MHz,THF−d
8)δ10.6;Elemental analysis,Calcd for C
56H
53N
2NiOP;C,78.24;H,6.21;N,3.26;found C,77.9
5;H,6.55;N,3.23.
【0151】
錯体9の合成
【0152】
【化28】
【0153】
80mLシュレンクチューブに、p−トルイジン(420mg、3.9mmol)とビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)メタノール(3.2g、7.8mmol)の混合物を140℃まで加熱した。この混合物に、別の20mLシュレンクであらかじめ用意した塩化亜鉛(267mg、2.0mmol)と濃塩酸(0.33mL,3.9mmol、36.5%)の溶液を加えた。140℃で2時間撹拌した後に、水20mLと炭酸ナトリウムを加えた。得られた混合物はジクロロメタンで抽出し、有機相は硫酸ナトリウムで脱水した。ろ過した後に、揮発性成分を減圧で除去した。得られた粗生成物にエタノール30mLを添加し、生じた固体をろ過により回収した。更にエタノールで洗浄し、減圧下で乾燥し8cを白色固体として得た(3.14g、収率90%)。
【0154】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.23(t,J=1.8Hz,4H),6.93(d,J=1.6Hz,8H),6.44(s,2H),5.40(s,2H
),3.45(s,2H),2.05(s,3H),1.22(s,72H);
13C−NMR(126MHz,CDCl
3)δ150.33(8C),142.42(4C),140.04(1C),130.34(2C),128.90(2C),126.39(1C),124.12(8C),119.88(4C),53.21(2C),34.
90(8C),31.60(24C),21.21(1C);Elementalanalysis,Calcd forC
65H
93N C,87.87;H,10.55;N,1.58.found C,87.81;H,10.57;N,1.63.
【0155】
Lcは、2,6−ジベンズヒドリル−4−メチルアニリンを8cに変更した以外は、Lbと同様の合成方法で得た(黄色固体、収率44%)。
【0156】
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)δ12.03(s,1H),7.28(t,J=7.5Hz,1H),7.22(s,2H),7.14(s,3H),7.04(d,J=7.5Hz,1H),6.82(s,2H),6.75(s,4H),6.
62(s,4H),6.49(d,J=7.0Hz,1H),6.42(d,J=9.5Hz,1H),5.63(s,1H),5.09(s,2H),2.27(s,3H),1.19(s,36H),1.08(s,36H);
13C−NMR(126MHz,CDCl
3)δ164.91(1C),150.91(4C),150.65(4C),142.35(1C),141.57(2C),140.92(2C),139.81(1C),131.96(1C),130.10(2C),129.71(2C),129.30(2C),126.73(1C),126.47(1C),123.95(4C),123.15(4C),122.79(1C),120.54(1C),1
20.45(2C),120.29(2C),114.86(1C),111.06(1C),107.64(1C),53.16(2C),34.92(4C),34.76(4C),31.52(12C),31.51(12C).;HRMS−ESI(m/z)calcd for C
76H
99N
2O([M+H]
+)1055.7757,found 1055.7736.
【0157】
グローブボックス中で、15mLバイアルにLc(53mg、0.05mmol)と水素化カリウムとジエチルエーテル5.0mLを加え、室温で終夜撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはジエチルエーテル2mLで洗浄した。ろ液の溶媒を除去した。ろ液に、NiPhCl(PEt
3)
2(20.5mg、0.05mmol)を添加し、室温で12時間撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはジエチルエーテル5mLで洗浄し、ろ液の溶媒を除去した。得られた粗生成物はヘキサン5mLに溶解し、溶媒を除去した。この作業は、残留したジエチルエーテルとトリエチルホスフィンを取り除く目的で2回繰り返した。得られた固体はペンタン3mLに溶解し、−35℃で保管した。得られた固体はろ過により回収し、冷やしたペンタンで洗浄した。得られた茶色固体は、室温で2時間減圧乾燥し、目的錯体9を得た(36mg、55%)。
【0158】
1H−NMR(500MHz,THF−d
8)δ7.33(d,J=6.5Hz,2H
),7.28-7.26(m,6H),6.80(d,J=8.0Hz,1H),6.7
7-6.74(m,3H),6.69(s,4H),6.52(d,J=7.0Hz,1H),6.19(d,J=9.5Hz,1H),5.89-5.84(m,3H),5.
80(s,2H),5.46(s,1H),2.10(s,3H),1.30(s,36H),1.24-1.18(m,15H),1.01(s,36H);
13C−NMR(126MHz,THF−d
8)δ164.16(d,J=102 Hz,1C),1
56.96(d,J=3.8Hz,1C),151.38-150.98(dd,J=42.8,7.6Hz,1C),150.49(s,4C),150.22(s,4C),144.74(s,2C),142.98(s,2C),140.41(s,2C),139.12(d,J=5.0Hz,2C),136.53(d,J=15.1Hz,1C),129.57(s,2C),127.20(s,1C),126.23(s,1C),125.76(s,4C),125.63(m,3C),125.47(s,1C),125.34(d,J=2.5Hz,1C),124.66(s,1C),124.06(s,1C),123.17(s,4C),120.04(s,2C),120.01(s,2C),119.84(s,1C),119.10(d,J=2.5Hz,1C),114.38(s,1C),111.37(s,1C),55
.46(s,2C),35.33(s,4C),34.96(s,4C),31.70(s,12C),31.57(s,12C),21.62(s,1C),13.34(d,J=21.4Hz,3C),8.63(s,3C);
31P−NMR(202MHz,THF−d
8)δ12.5;Elementalanalysis,Calcd forC
88H
117N
2NiOP C,80.77;H,9.01;N,2.14.found C,80.84;H,9.22;N,2.05.
【0159】
実施例14と15
[重合手順]
50mLステンレス鋼オートクレーブを120℃乾燥機で3時間乾燥した後に、組み立てて、125℃で2時間減圧乾燥した。室温まで冷却後、アルゴン下で、オートクレーブに錯体8又は錯体9(10μmol、5.0mL、2.0mmol/Lトルエン溶液)とNi(COD)
2(20μmol、3.0mL、6.7mmol/Lトルエン溶液)を加えた。混合物は、5分間室温で撹拌した後に酢酸アリル(2.0mL,20mmol)を加えた。その後、オートクレーブはエチレン3.0MPaで充填し、60℃で15時間撹拌した。室温まで冷却後、エチレンをパージし、反応はエタノール20mLでクエンチし、100℃で2時間減圧乾燥し、目的とする重合物を得た。
【0160】
化合物10aの合成
【0161】
【化29】
【0162】
アルゴン雰囲気下で、ディーン・スターク装置を接続した100mLの二口フラスコに、6−ブロモピコリンアルデヒド(4.00g、21.5mmol)とp−トルエンスルホン酸一水和物(0.205g、1.08mmol)を加えた。その後、シリンジでエチレングリコール(2.4mL、43.0mmol)とトルエン(50mL)を加え、2日還流し、溶媒を除去した。粗生成物はシリカゲルカラムで精製した:一度目は展開溶媒に酢酸エチル/ヘキサン=1/3を用い、二度目は酢酸エチル/ヘキサン=1/1を用いて生成物2を黄色固体として得た(4.682g、95%)。
アルゴン雰囲気下で、80mLシュレンクフラスコ中で、2(1.59g、6.91mmol)をTHF(20mL)に溶解させた。アセトン−ドライアイスバス中で、溶液にn−BuLi(5.4mL、8.29mmol)を滴下した。反応溶液は、黄色から暗赤色に変わった。反応溶液は、同じ温度で1時間撹拌した。その後、t−Bu
2PC(1.
7mL,8.98mmol)を滴下し、アセトン−ドライアイスバスを外した。混合物は室温で終夜撹拌した後に、水(2.0mL)をゆっくり加え、反応をクエンチした。その後、揮発成分を減圧下で除去し、メタノール(15mL)を加えて粗生成物を溶解した。H
2O
2(1.4mL、13.8mmol)を混合物にゆっくりと加え、室温で1時間撹拌した。過剰なH
2O
2をNaHSO
3でクエンチし、混合物はジクロロメタンで二回抽出し、有機相をNa
2SO
4で脱水した。揮発性成分を除去した後に、粗生成物はTHF(20mL)に溶解させた。HCl(1.0M,20mL)を加え、50℃で終夜撹拌した。混合物に水と炭酸ナトリウムを加えた。混合物は、ジクロロメタンで抽出し、有機相をNa
2SO
4で脱水した。溶媒を除去した後に、粗生成物は、シリカゲルカラムで精製した:一度目は、展開溶媒に酢酸エチル/ヘキサン=1/1を用い、二度目はジクロロメタン/メタノール=7/1を用い粗3−Bu(1.66g)を得た。
【0163】
50mgのフラスコに、粗3−Bu(1.00g、3.74mmol)と2,6−ジイソプロピルアニリン(796mg、4.49mmol)とHCOOH(1滴)を加えた。メタノール(20mL)を加え、終夜還流した。減圧下で揮発成分を除去した後に、混合物はシリカゲルカラムで精製した:一度目は展開溶媒に、酢酸エチル/ヘキサン=1/2を用い、二度目は酢酸エチル/ヘキサン/メタノール=1:3:0.5を用いて、粗4a(1.15g)を得た。その後、アルゴン雰囲気下で、10mLのJ−ヤングフラスコに粗4a(1.15g、約2.69mmol)を加え、クロロメチルメチルエーテル(MOM−Cl、4.1mL,53.9mmol)を注入し、終夜還流した。揮発成分は減圧下で除去し、粗生成物はジクロロメタン(10mL)に溶解し、セライトを通してろ過した。セライトはジクロロメタン(5mL)で洗浄した。揮発成分は減圧下で除去し、ジクロロメタン(0.5mL)とジエチルエーテル(20mL)を加え、室温で終夜攪拌した。得られた白色固体をろ過で回収し、ジエチルエーテル(5mL)で洗浄した。白色固体は90℃で1時間減圧乾燥し、10aを得た(1.11g、2.34mmol)。
【0164】
1H−NMR(500MHz,THF−d
8)δ10.877(d,J=5.0Hz,1H),9.195(s,1H),8.822(d,J=9.0Hz,1H),8.002(t,J=7.5Hz,1H),7.621(m,2H),7.432(d,J=8.0Hz,2H),2.270(sept,J=6.5Hz,2H),1.406(s,9H),1.377(s,9H),1.220(d,J=7.0Hz,6H),1.143(d,J=7.0Hz,6H).
31P−NMR(202MHz,THF−d
8)δ6
0.36.
【0165】
化合物11bの合成
【0166】
【化30】
【0167】
50mLフラスコに、粗3−Bu(0.66g、1.22mmol)と2,6−ジベンズヒドリル−4−メチルアニリン(493mg、1.12mmol)とHCOOH(1滴)を加えた。メタノール(20mL)を加え、混合物を終夜還流した。揮発性成分を減圧下で除去した後に、混合物はシリカゲルカラムで精製した:一度目は、展開溶媒に酢酸エチル/ヘキサン=1/1を用い、二度目は、酢酸エチル/ヘキサン/エタノール=150:50:15を用い、粗4bを得た(1.02g)。その後、粗4b(1.02g、約1.48mmol)とMOM−Cl(2.2mL,29.6mmol)をJ−ヤングフラスコに加え、終夜還流した。揮発成分を減圧下で除去し、粗生成物はジクロロメタン(10mL)に溶解した。セライトを通してろ過し、セライトはジクロロメタン(5mL)で洗浄した。再度揮発成分を減圧下で除去し、ジクロロメタン(0.5mL)とジエチルエーテル(20mL)を加え、室温で終夜撹拌した。得られた白色固体を回収し、ジエチルエーテル(5mL)で洗浄した。白色固体は90℃で1時間減圧乾燥し、11bを得た(1.01g、1.37mmol)。
【0168】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ10.133(d,J=0.8Hz,1H),8.500(s,1H),8.058(d,J=10Hz,1H),7.674(t,J=7.4Hz,1H),7.368(t,J=8.4Hz,1H),7.239(m,12H),6.952(m,10H),5.088(s,2H),2.258(s
,3H),1.186(s,9H),1.149(s,9H).
31P−NMR(162MHz,THF−d
8)δ61.11.
【0169】
錯体10及び11の合成
【0170】
【化31】
【0171】
バイアルに10a(205mg、0.43mmol)とAg
2O(200mg、0.
86mmol)とアセトニトリル(6mL)を加えた。混合物は遮光して、室温で2日間撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはアセトニトリル(5mL)で洗浄した。ろ液に(COD)PdMeCl(120mg、0.45mmol)を加え、遮光して室温で終夜撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはアセトニトリル(3mL)で洗浄し、揮発成分を減圧下で除去した。得られた固体にTHF(3mL)とジエチルエーテル(5mL)を加え、混合物は0.5時間撹拌した。その後、混合物は−35℃で1時間冷却し、薄い黄色固体をろ過により回収した。回収した固体はジエチルエーテル(5mL)で洗浄し、1時間減圧乾燥し、10−Clを薄い黄色固体として得た(228mg、89%)。グローブボックス中で、バイアルに10−Cl(50mg、0
.084mmol)とNaBArf4(テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム、74mg、0.084mmol)を加え、2,6−ルチジン(18mg、0.17mmol)とトルエン(5mL)を添加した。混合物は室温で2時間撹拌した。その後、バイアルはグローブボックスから取り出し、精製を空気下で行った。混合物はセライトを通してろ過し、セライトをジクロロメタン(5mL)で洗浄した。ろ液の揮発成分を減圧下で除去し、得られた粗生成物にジエチルエーテル(10mL)を加え、混合物はセライトを通してろ過し、セライトをジエチルエーテル(3mL)で洗浄した。その後、揮発成分を減圧下で除去し、80℃で1時間減圧乾燥し、黄色固体として錯体10を得た(119mg、92%)。
【0172】
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)δ7.703(s,8H),7.562(m
,2H),7.511(s,4H),7.466(m,1H),7.447(s,1H
),7.303(d,J=8Hz,2H),7.095(d,J=7.5Hz,2H),7.023(m,1H),6.860(t,J=8Hz,1H),2.993(s,6H),2.861(sept,J=6.8Hz,2H),1.366(d,J=7Hz,6H),1.219(s,9H),1.189(s,9H),0.990(d,J=6.5Hz,6H),0.268(s,3H).
31P−NMR(202MHz,THF−d
8)δ62.64.
【0173】
グローブボックス中で、バイアルに11b(100mg、0.14mmol)とAg
2O(63mg、0.27mmol)を加え、アセトニトリル(6mL)を添加した。混合物は遮光して室温で2日間撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはアセトニトリル(5mL)で洗浄した。ろ液に(COD)PdMeCl(36mg、0.14mmol)を加え、遮光して室温で終夜撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはアセトニトリル(3mL)で洗浄し、揮発成分を減圧下で除去した。得られた固体にTHF(3mL)とジエチルエーテル(5mL)を加え、混合物を0.5時間撹拌した。その後、混合物は−35℃で1時間冷却し、薄い黄色固体をろ過により回収した。回収した固体はジエチルエーテル(5mL)で洗浄し、1時間減圧乾燥し、11−Clを黄色固体として得た(54mg、47%)。グローブボックス中で、バイアルに11−Cl(54mg、0.063mmol)とNaBArf4(56mg、0.063mmol)を加え、2,6−ルチジン(14mg、0.13mmol)とトルエン(5mL)を添加した。混合物は室温で2時間撹拌した。その後、バイアルはグローブボックスから取り出し、空気下で精製した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはジクロロメタン(5mL)で洗浄した。揮発成分は減圧下で除去し、粗生成物にトルエン(10mL)加えた。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはトルエン(3mL)で洗浄し、ろ液の揮発成分を減圧下で除去した。生成物は80℃で1時間減圧乾燥し、黄色固体11を得た(94mg、83%)。
【0174】
1H−NMR(500MHz,CDCl
3)δ7.705(s,8H),7.617(t
,J=7.8Hz,1H),7.511(s,4H),7.289(m,5H),7.1
79−7.083(m,16H),6.909(m,1H),6.849(s,2H),6.737(m,2H),6.707(m,4H),3.133(s,6H),2.2
55(s,3H),1.291(s,9H),1.261(s,9H),0.084(s
,3H).
31P−NMR(202MHz,THF−d
8)δ62.67.
【0175】
実施例16〜19
[重合手順]
50mLステンレス鋼オートクレーブを120℃の乾燥機で3時間乾燥した後に、組み立てて、125℃で2時間減圧乾燥した。室温まで冷却後、アルゴン下で、オートクレーブに錯体10又は錯体11(2.5μmol、5.0mL、0.50mmol/Lトルエン溶液)とトルエン(5〜9mL)を加えた。その後、必要に応じてコモノマー(MA)を加えた。その後、オートクレーブはエチレン3.0MPaで充填し、表4に記載の温度・時間撹拌した。室温まで冷却後、エチレンをパージし、反応はエタノール20mLでクエンチし、重合物をろ過により回収した。重合物を100〜120℃で2時間減圧乾燥し、目的とする重合物を得た。共重合体中のコモノマー含有率は、
1H−NMR測定により、エチレン:コモノマーのモル比を決定し、コモノマー含量mol%という表記で表4に記載した。表中のMAは、メチルアクリレートを表す。
【0176】
[比較例化合物の合成]
錯体12の合成
【0177】
【化32】
【0178】
N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール(0.21mg、0.93mmol)とクロロヨードメタン(8.19g、46.40mmol)を80℃で16時間撹拌した。撹拌終了後、揮発成分を減圧下で除去し、残渣をジクロロメタン/トルエンで再沈殿させ、化合物kを白色固体として得た。化合物kをアセトン10mLに溶解させ、ヨウ化ナトリウム(1.34g、8.94mmol)を加えて、80℃で5時間撹拌した。撹拌終了後、アセトンを減圧除去し、残渣をジクロロメタン/ヘキサンで再沈殿させ、化合物lを白色固体(0.24g、収率52%)として得た。
化合物l(0.22g、0.45mmol)と亜硫酸ナトリウム(0.56g、4.4
5mmol)をテトロヒドロフラン/水10mL中で、1時間室温にて撹拌した。撹拌終了後、溶媒を減圧除去し、残渣をメタノールで抽出し、抽出液に水を添加し、再沈殿によって化合物mを白色固体として得た(0.10g、収率67%)。
【0179】
1HNMR(DMSO−d
6,δ,ppm):9.54−9.56(m,1H),8.0
3−8.04(m,1H),8.00−8.02(m,1H),7.62(t,J=7
.8Hz,1H),7.45(d,J=7.8Hz,2H),5.05(s,2H),2.27(sept,J=6.9Hz,2H),1.14(d,J=6.9Hz,6H)1.12(d,J=6.9Hz,6H);
13CNMR(DMSO−d
6,δ,ppm)145.1,138.6,131.4,130.5,124.4,124.2,124
.1,63.1,28.0,23.9,23.7
【0180】
【化33】
【0181】
化合物m(0.23g、0.70mmol)と酸化銀(I)をクロロホルム2.5mLに溶解させ、60℃で18時間遮光して撹拌した。撹拌終了後、反応溶液はセライトろ過し、ヘキサンを加えて再沈殿させ、化合物nを白色固体として得た(0.18g、60%)。
化合物n(0.29g、0.65mmol)と[(2,6−ルチジン)パラジウムメチルクロライド]
2(0.17g、0.33mmol)をクロロホルム5mLに溶解させ、1時間室温にて撹拌した。撹拌終了後、反応溶液はセライトろ過し、ヘキサンを加えて再沈殿させ、錯体12を白色固体として得た(0.15g、42%)
【0182】
1HNMR(CDCl
3,δ,ppm):7.49(t,J=7.5z,1H),7.4
6(t,J=7.8Hz,1H),7.27−7.29(m,3H),7.02(d,J=7.5Hz,2H),6.91(d,J=1.8Hz,1H),5.40(s,2H)
,3.00(s,6H))2.90(sept,J=6.0Hz,2H),1.37(d
,J=6.0Hz,6H)1.08(d,J=5.9Hz,6H),−0.15(s,3H);
13CNMR(CDCl
3,δ,ppm)171.3.1,159.0,145.
9,138.0,135.2,130.1,124.5,123.7,122.6 12
2.3,66.0,28.5,26.5,25.8,22.6、−13.2
【0183】
(比較例1)
錯体12(5.5mg、0.01mmol)を重クロロホルム2.5mLに溶かしオー
トクレーブ中でエチレン3MPaを圧入し、80℃で15時間撹拌の後、揮発成分を除去したところ、ポリマーは得られなかった。
【0184】
(比較例2)
錯体12(5.5mg、0.01mmol)を重クロロホルム2.5mLに溶かしオー
トクレーブ中でエチレン0.1MPaを圧入し、40℃で15時間撹拌の後、反応溶液を分析したところ、炭素数13までのオリゴマーしか得られず、ポリマーは得られなかった。
【0185】
【表1】
【0186】
【表2】
【0187】
【表3】
【0188】
【表4】
【0189】
[実施例と比較例の結果の考察]
各実施例においては、本発明の錯体を用いることにより、概して、分子量が高くコモノマー含量も高い、エチレン及びプロピレンなどのα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーとの共重合体が得られている。なお、重合活性(触媒活性)も良好な実施例も見られる。一方、各比較例では本発明の錯体を用いていないので、ポリマーは得られていない。
したがって、エチレン及びプロピレンなどのα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーとの共重合の重合用触媒における、本発明の構成の有意性と合理性及び有用性並びに従来技術に対する卓越性が立証されている。