(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る発光装置及び発光装置の製造方法について説明する。
なお、以下の説明において参照する図面は、本発明の実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、平面図とその断面図において、各部材のスケールや間隔が一致しない場合もある。また、以下の説明では、同一の名称及び符号については原則として同一又は同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略することとする。
【0012】
<第1実施形態>
[発光装置の構成]
まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る発光装置の構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る発光装置100は、半導体発光素子1(以下、適宜「発光素子」と呼ぶ)と、光反射部材2と、波長変換部材3と、実装基板(サブマウント)9と、を備えて構成されている。
発光素子1は、半田などの導電性を有する接着部材93を介して、実装基板9にフリップチップ実装されている。また、発光素子1の側面には、第1層21及び第2層22を有する光反射部材2が設けられ、発光素子1の上面側からの光取り出し効率の向上が図られている。また、発光素子1の上面には、波長変換部材3が設けられており、発光素子1が発する光の少なくとも一部を異なる波長の光に変換して出射するように構成されている。
【0013】
次に、発光装置100の各部の構成について順次に詳細に説明する。
発光素子1は、平面視で横長の長方形である略直方体形状を有しており、n側電極13及びp側電極15が一方の面側に設けられるとともに、サブマウントである実装基板9の配線用電極92n,92pと、導電性の接着部材93を介して接合されるフリップチップ実装に適した構成を有するLEDチップである。
ここで、
図2を参照して、発光素子1の構成例について説明する。なお、
図2においては、n側電極13及びp側電極15が設けられた面が上方となるように示しており、
図1(b)とは上下が逆に示している。また、
図1及び後記する
図6などでは、発光素子1の構成は簡略化して示している。
【0014】
図2に示すように、発光素子1は、成長基板11と、半導体積層体12と、n側電極13と、全面電極14と、p側電極15と、絶縁膜16とを備えている。
発光素子1は、成長基板11の一方の面上に、n型半導体層12nとp型半導体層12pとを積層した半導体積層体12を備えている。半導体積層体12は、n側電極13及びp側電極15間に外部電源を接続して通電することにより発光するようになっており、n型半導体層12nとp型半導体層12pとの間に活性層12aを備えることが好ましい。
【0015】
成長基板11は、半導体積層体12をエピタキシャル成長させるための基板である。成長基板11は、半導体積層体12をエピタキシャル成長させることができる基板材料で形成されればよく、大きさや厚さ等は特に限定されない。例えば、半導体積層体12をGaN(窒化ガリウム)などの窒化物半導体を用いて形成する場合には、基板材料としては、C面、R面、A面の何れかを主面とするサファイアやスピネル(MgAl
2O
4)のような絶縁性基板、また炭化ケイ素(SiC)、ZnS、ZnO、Si、GaAs、ダイヤモンド、及び窒化物半導体と格子接合するニオブ酸リチウム、ガリウム酸ネオジム等の酸化物基板が挙げられる。なお、発光素子1をフリップチップ実装に適した構成とするためには、成長基板11は、良好な透光性を有する材料を用いることが好ましい。
【0016】
半導体積層体12は、活性層12aを含むn型半導体層12nとp型半導体層12pとが積層された積層体である。半導体積層体12には、p型半導体層12p及び活性層12aが部分的に存在しない領域、すなわちp型半導体層12pの表面から凹んだ領域(この領域を「段差部12b」と呼ぶ)が形成されている。段差部12bの底面には、n型半導体層12nと電気的に接続されたn側電極13が設けられている。p型半導体層12pの上面の略全面には、良好な導電性と光反射性とを有する全面電極14が設けられている。また、半導体積層体12の表面は、直接又は全面電極14を介して、絶縁膜16によって、段差部12bの底面の一部及び全面電極14の上面の一部を除き被覆されている。
【0017】
半導体積層体12(n型半導体層12n、活性層12a及びp型半導体層12p)は、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)等が好適に用いられる。また、これらの半導体層は、それぞれ単層構造でもよいが、組成及び膜厚等の異なる層の積層構造、超格子構造等であってもよい。特に、活性層12aは、量子効果が生ずる薄膜を積層した単一量子井戸又は多重量子井戸構造であることが好ましい。
【0018】
全面電極14は、p型半導体層12pの上面の略全面を覆うように設けられる。全面電極14は、上面の一部に設けられたp側電極15を介して供給される電流を、p型半導体層12pの全面に拡散させるための導体層である。また、全面電極14は良好な反射性を有し、発光素子1が発光する光を、光取り出し面である下方向(
図1(b)においては上方向)に反射させる反射膜としても機能する。
【0019】
全面電極14は、良好な導電性と反射性とを有する金属材料を用いることができる。特に可視光領域で良好な反射性を有する金属材料としては、Ag、Al又はこれらの金属を主成分とする合金を好適に用いることができる。また、全面電極14は、これらの金属材料を単層で、又は積層したものが利用できる。特に全面電極14の下層(p型半導体層12p側)としてマイグレーションしやすいAgを用いる場合には、上層として、例えば、Al、Ti、W、Auなどのような良好な導電性とバリア性とを有する金属材料を用いて、当該下層を被覆することが好ましい。
【0020】
n側電極13は、半導体積層体12の段差部12bの底面において、絶縁膜16の開口部16n内でn型半導体層12nと電気的に接続されるように設けられている。また、p側電極15は、全面電極14の上面において、絶縁膜16の開口部16p内で全面電極14と電気的に接続されるように設けられている。n側電極13はn型半導体層12nに、p側電極15は全面電極14を介してp型半導体層12pに、外部からの電流を供給するためのパッド電極である。
また、n側電極13及びp側電極15は、絶縁膜16を介して、全面電極14上の広範囲に延在するように設けられている。
【0021】
n側電極13及びp側電極15としては、金属材料を用いることができ、例えば、Ag、Al、Ni、Rh、Au、Cu、Ti、Pt、Pd、Mo、Cr、Wなどの単体金属及びそれらの合金などを好適に用いることができる。また、n側電極13及びp側電極15は、これらの金属材料を単層で、又は積層したものを利用することができる。
【0022】
絶縁膜16は、半導体積層体12及び全面電極14の上面及び側面を被覆する層であり、発光素子1の保護膜及び帯電防止膜として機能する。絶縁膜16は、段差部12bの底面の一部に開口部16nを有し、全面電極14の上面の一部に開口部16pを有している。また、絶縁膜16の上面の広範囲には、n側電極13及びp側電極15が相補的に延在するように設けられている。
絶縁膜16としては、金属酸化物や金属窒化物を用いることができ、例えば、Si、Ti、Zr、Nb、Ta、Alからなる群より選択された少なくとも一種の金属の酸化物又は窒化物を好適に用いることができる。
【0023】
なお、
図2に示した発光素子1は、一例を示しものであり、外形形状や、段差部12b、n側電極13及びp側電極15の配置領域などは適宜に変更することが可能である。
【0024】
図1に戻って、発光装置100の構成について説明を続ける。
光反射部材2は、発光素子1の側面を被覆するように設けられ、発光素子1の側面から出射する光を発光素子1内に反射させるものである。ここで、光反射部材2は、光が伝播する部材である半導体積層体12及び成長基板11の側面に設けられる。これによって、光取り出し面である発光素子1の上面の発光輝度を向上させることができる。
【0025】
図1に示した光反射部材2は、内側、すなわち発光素子1側に設けられる第1層21と、第1層21の外側に設けられる第2層22とから構成されている。
第1層21及び第2層22は、透光性を有する樹脂に、光反射性物質の粒子を含有させた層として形成される。
【0026】
前記したように、光反射性物質を高含有率で含有させるほど、反射率は向上するが、樹脂材料の流動性が低下して固くなるため、成形性が悪くなる。また、成形品が脆くなるため、成形品の信頼性が低下する。そこで、本実施形態では、第1層21を、光反射性物質を高含有率で含有させることで第2層22よりも高反射率となるように形成するとともに、光反射部材2全体として脆くならないように、第2層22よりも薄膜で形成する。そして、第2層22を、十分な成形性が得られる範囲の含有率で光反射性物質を含有させて、光反射部材2全体としての機械強度が確保されるように厚膜に形成する。このように構成することで、光反射部材2の光反射性と成形性とを両立させることができる。
また、このような光反射部材2を備えることで、発光装置100の光取り出し面方向である正面方向の発光輝度と、発光装置100の信頼性とを向上させることができる。
【0027】
第1層21は、光反射性物質の含有率を、その膜厚に応じて定めることができる。第1層21は、形状が維持されるように外側から第2層22によって補強される。そのため、第1層21は、第2層22よりも良好な光反射性を得るために、第2層22よりも高含有率で光反射性物質を含有させることができる。
良好な反射性が得られるように、第1層21の光反射性物質の含有率は、60質量%以上とすることが好ましく、90質量%以上とすることがより好ましい。また、光反射性物質の粒子同士の十分な結着性が得られるように、第1層21の光反射性物質の含有率は、99質量%以下することが好ましい。
なお、第1層21と発光素子1の側面との間に十分な密着性が得られれば、第1層21の光反射性物質の含有率が99質量%を超えてもよい。
【0028】
第1層21は、安定した形状で、また、安定した精度の膜厚で形成できるように、膜厚を2μm以上とすることが好ましく、10μm以上とすることが更に好ましい。
また、第1層21は、第2層22による補強によって形状が維持可能な範囲で、厚い膜厚で形成することが好ましい。このために、第1層21は、膜厚を30μm以下とすることが好ましい。
【0029】
第2層22は、例えば、金型や枠体などを用いた成形方法で十分な成形性が得られる範囲で、高含有率で光反射性物質を含有させることが好ましい。
第2層22の光反射性物質の含有率は、10質量%以上60質量%以下とすることが好ましく、20質量%以上50質量%以下とすることがより好ましい。
なお、第1層21が十分に高い光反射率(例えば、90%以上)とすることができる場合は、第2層22に含有させる光反射性物質の含有率は、1質量%程度としてもよく、含有させないようにしてもよい。
また、第2層22は、第1層21の形状を維持可能に十分に補強できる膜厚で形成することが好ましい。このために、第2層22は、膜厚を30μm以上とすることが好ましい。
【0030】
第1層21に用いる樹脂材料としては、良好な透光性を有することが好ましい。また、樹脂材料として熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。溶剤に熱硬化性樹脂と光反射性物質の固形粒子とを含有するスラリーを処方して、スプレー塗布した後に加熱することにより熱硬化性樹脂を硬化させることで、光反射性物質の固形粒子を高含有率で含有させた場合でも、安定した膜厚で第1層21を形成することができる。
【0031】
このような樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変性樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、又はこれらの樹脂を1種類以上含むハイブリッド樹脂などが挙げられる。なかでも、シリコーン樹脂又はエポキシ樹脂が好ましく、特に耐光性及び耐熱性に優れるシリコーン樹脂がより好ましい。
【0032】
第2層22に用いる樹脂材料としては、前記した第1層21と同様の樹脂材料を用いることができる。また、第2層22は、第1層21と同様に、スプレー法によって形成することもできるが、金型を用いた成形法、スクリーン印刷法などにより形成することもできる。
なお、第1層21に用いる樹脂材料と第2層22に用いる樹脂材料とは、異なる材料を用いてもよいが、同種の材料を用いることで、より高い密着性で第1層21と第2層22とを接合させることができる。また、第2層22の成形の際に、粘度や流動性を調整するために、前記したスラリーにシリカなどを添加するようにしてもよい。
【0033】
また、第1層21に用いる樹脂は、第2層22で用いる樹脂よりも発光素子1が発する光に対する屈折率が高いことが好ましい。このように構成することによって、第1層21を透過して第2層22に向かって伝播する光を、スネルの法則に基づいて第1層21と第2層22との界面で効率的に反射させることができる。
【0034】
第1層21及び第2層22に含有させる光反射性物質としては、前記した樹脂材料との屈折率差が大きく、良好な透光性を有する材料の粒子を用いることが好ましい。
このような光反射性物質としては、屈折率が、例えば1.8以上であって、光を効率的に散乱し高い光取り出し効率を得るためには、2.0以上であることが好ましく、2.5以上であることがより好ましい。樹脂材料との屈折率差は、例えば0.4以上であって、光を効率的に散乱し高い光取り出し効率を得るためには、0.7以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましい。また、光反射性物質の粒子の平均粒径(メジアン径)は、高い効率で光散乱効果を得られるように、0.08μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
【0035】
このような光反射性物質としては、TiO
2(酸化チタン)、ZrO
2(酸化ジルコニウム)、MgO(酸化マグネシウム)、MgCO
3(炭酸マグネシウム)、Mg(OH)
2(水酸化マグネシウム)、CaCO
3(炭酸カルシウム)、Ca(OH)
2(水酸化カルシウム)、CaSiO
3(珪酸カルシウム)、ZnO(酸化亜鉛)、BaTiO
3(チタン酸バリウム)、Al
2O
3(酸化アルミニウム)などを用いることができる。なかでも、TiO
2は、水分などに対して比較的安定でかつ高屈折率であり、また熱伝導性にも優れるため、好ましい。
また、より良好な反射性を得るために、発光素子1が発する光が可視光の場合には、光反射性物質としてTiO
2を用いることが好ましく、紫外光の場合には、光反射性物質としてAl
2O
3を用いることが好ましい。
【0036】
ここで、
図3を参照して、光反射部材2の第1層21及び第2層22の光反射率の具体例について説明する。
図3は、第1層21又は第2層22を想定した反射膜として、光反射性物質の含有率及び膜厚を変化させて作製し、作製した各反射膜について光反射率を測定した実験結果を示すものである。
本実験では、光反射性物質として、平均粒径(メジアン径)が0.2μmのTiO
2の粒子を用い、透光性の樹脂材料として、シリコーン樹脂を用いて反射膜を形成した。第1層21を想定して、TiO
2の含有率が95質量%(白丸「○」でプロット)、60質量%(黒丸「●」でプロット)の場合について、スプレー法(SP)で反射膜を作製した。また、第2層22を想定して、TiO
2の含有率が60質量%(白四角「□」でプロット)、40質量%(黒四角「■」でプロット)の場合について、トランスファーモールド法(TM)で反射膜を作製した、
図3に示すように、光反射性物質であるTiO
2の含有率が高くなるほど、また膜厚が厚くなるほど光反射率が高くなることが分かる。
【0037】
更に、発光素子1であるLEDチップの側面に、膜厚を30μmとし、TiO
2の含有率を95質量%、60質量%、40質量%とした反射膜を、それぞれ実験例1〜3として形成し、LEDの正面方向からの発光出力を測定した実験結果を表1に示す。ここで、LEDの発光出力は、実験例3を「100」とし、実験例1,2は、その相対値で示している。
なお、実験例1,2の反射膜はスプレー法で形成し、実験例3の反射膜はトランスファーモールド法で形成した。また、表1に示した実験結果として示した実験例1〜3は、第1層21に相当する膜厚の反射膜のみを設けて実験したものである。
【0039】
表1に示すように、従来の光反射部材として用いられる含有率40質量%の反射膜を形成した実験例3では、反射膜の光反射率が80%であるのに比べて、含有率60質量%の反射膜を形成した実験例2の場合で、反射膜の光反射率が90%となり、110%の発光出力が得られた。また、含有率95質量%の反射膜を形成した実験例1の場合で、反射膜の光反射率が95%となり、115%の発光出力が得られた。この実験により、従来の光反射部材として用いられる程度の光反射性物質の含有率の反射膜の膜厚の一部に代えて、光反射性物質が高含有率の薄膜を設けることで、高い光反射率を得て、LEDの正面方向の出力を向上させることができることが分かる。
【0040】
図1及び
図2に戻って、発光装置100の構成について説明を続ける。
波長変換部材3は、発光素子1の光取り出し面である上面側に設けられており、発光素子1が発する光を異なる波長の光に変換する波長変換物質を含有する層である。
波長変換物質とは蛍光体であり、波長変換部材3は、例えば、蛍光体の粒子を含有した透光性の樹脂を用いて形成することができる。樹脂材料としては、前記した光反射部材2に用いる樹脂と同様のものを用いることができる。また、波長変換部材3に光拡散性を付与するために、光拡散性物質の粒子を含有させるようにしてもよい。光拡散性物質としては、前記した光反射性物質を用いることができる。
【0041】
波長変換部材3の膜厚は、蛍光体の含有量や、発光素子1が発光する光と波長変換後の光との混色後の色調などによって定めることができ、例えば、1μm以上1000μm以下とすることができ、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上200μm以下がより好ましい。
【0042】
本実施形態において、波長変換部材3は、光反射部材2の上面にまで延在するように設けられているが、発光素子1上にのみ設けるようにしてもよい。また、波長変換部材3は必須の構成ではなく、省略するようにしてもよい。また、波長変換部材3に代えて、光拡散性物質を含有する光拡散部材を設けるようにしてもよいし、保護膜となるような透明層を設けるようにしてもよい。
【0043】
また、蛍光体(波長変換物質)としては、発光素子1が発する波長の光によって励起されて、この励起光と異なる波長の蛍光を発する蛍光物質であれば特に限定されず、粒状の蛍光体を好適に用いることができる。粒状の蛍光体は、光散乱性及び光反射性を有するため、波長変換機能に加えて光散乱部材としても機能し、光の拡散効果を得ることができる。蛍光体は、当該蛍光体が含有される樹脂層中に一様に分散されていることが好ましい。
【0044】
また、スプレー法によって波長変換部材3を形成する場合は、蛍光体は、溶剤及び熱硬化性樹脂とともに処方されるスラリーがスプレー塗布可能なように、平均粒径が2.5〜30μm程度とすることが好ましい。
なお、蛍光体の平均粒径の値は、空気透過法又はF.S.S.S.No(Fisher−SubSieve−Sizers−No.)によるものとする(いわゆるDバー(Dの上にバー)で表される値)。
【0045】
蛍光体材料としては、当該分野で公知のものを使用することができる。例えば、緑〜黄色に発光するセリウムで賦活されたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体、緑色に発光するセリウムで賦活されたLAG(ルテチウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体、緑〜赤色に発光するユーロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO−Al
2O
3−SiO
2)系蛍光体、青〜赤色に発光するユーロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)
2SiO
4)系蛍光体、緑色に発光するβサイアロン蛍光体、赤色に発光するCASN系又はSCASN系蛍光体などの窒化物系蛍光体、赤色に発光するKSF(K
2SiF
6:Mn)系蛍光体、緑色又は赤色に発光する硫化物系蛍光体などが挙げられる。
【0046】
また蛍光体材料は、例えば、いわゆるナノクリスタル、量子ドットと称される発光物質でもよい。このような材料としては、半導体材料、例えば、II−VI族、III−V族、IV−IV族の半導体、具体的には、CdSe、コアシェル型のCdS
XSe
1−X/ZnS、GaP、InAs等のナノサイズの高分散粒子を挙げることができる。このような蛍光体は、例えば、粒径1〜100nm、好ましくは1〜20nm程度(原子が10〜50個程度)とすることができる。このような粒径の蛍光体を用いることにより、内部散乱を抑制することができ、色変換された光の散乱を抑制し、波長変換部材3の光の透過率をより一層向上させることができる。
【0047】
実装基板(基板)9は、発光素子1を実装してパッケージ化するためのサブマウントである。
図1に示した実装基板9は、平面視で横長の長方形であり平板状の基体91と、基体91の長手方向の左右のそれぞれに、基体91の上面から裏面にかけて屈曲して設けられた配線用電極92n,92pが設けられて構成されている。
実装基板9は、平面視で、発光素子1が包含されるような大きさで形成されている。配線用電極92nはn側電極13と、配線用電極92pはp側電極15と、それぞれ導電性を有する半田などの接着部材93を用いて接合されている。
また、実装基板9の上面には、発光素子1の側面を被覆する光反射部材2が、その下面が密着するように設けられている。また、配線用電極92n,92pの露出部が、外部との接続端子として用いられる。
【0048】
実装基板9は必須の構成ではなく、省略することもできる。実装基板9を設けない場合において、n側電極13及びp側電極15上に、それぞれ外部接続用電極として、例えば、メッキ端子を設けることでCSP(Chip Size Package又はChip Scale Package)型の発光装置を構成することもできる(後記する第4実施形態を参照)。
【0049】
[発光装置の動作]
次に、
図1を参照(適宜
図2参照)して、発光装置100の動作について説明する。
なお、説明の便宜上、発光素子1は青色光を発光し、波長変換部材3は青色光を吸収して黄色光を発光するものとして説明する。
【0050】
図1に示した発光装置100は、実装基板9の配線用電極92n,92pを介して外部電源からn側電極13及びp側電極15間に電流が供給されると、発光素子1の活性層12aが青色光を発光する。
発光素子1の活性層12aが発光した青色光は、発光素子1の半導体積層体12及び成長基板11内を伝播して、発光素子1の上面から波長変換部材3に入射される。また、発光素子1内を横方向に伝播する光は光反射部材2によって発光素子1内に反射され、下方向に伝播する光は、全面電極14などによって上方に反射され、光取り出し面である発光素子1の成長基板11側から波長変換部材3に入射される。
なお、発光素子1の側面に向かって伝播する光は、主として光反射部材2の第1層21によって効率よく反射される。また、第1層21を透過した光も第2層22によって反射される。
【0051】
波長変換部材3に入射された青色光の一部は、波長変換部材3に含有される蛍光体に吸収され、黄色光に波長変換されて発光装置100の外部に取り出される。また、波長変換部材3に入射された他の少なくとも一部は、蛍光体に吸収されることなく青色光のまま発光装置100の外部に取り出される。そして発光装置100からは、黄色光と青色光とが混色した白色光が外部に取り出される。
【0052】
[発光装置の製造方法]
次に、
図4から
図8を参照して、
図1に示した第1実施形態に係る発光装置100の製造方法について説明する。
図4に示すように、発光装置100の製造方法は、半導体発光素子準備工程S101と、実装基板準備工程S102と、半導体発光素子実装工程S103と、第1層形成工程S104と、第2層形成工程S105と、光反射部材除去工程S106と、波長変換部材形成工程S107と、個片化工程S108と、を含んでいる。なお、第1層形成工程S104と第2層形成工程S105と光反射部材除去工程S106とで、光反射部材形成工程が構成されている。
【0053】
まず、半導体発光素子準備工程S101において、
図2に示した構成の個片化された発光素子1を準備する。以下に、発光素子1を製造する工程例について説明するが、市販の発光素子1を入手することで当該半導体発光素子準備工程S101としてもよい。
【0054】
具体的には、まず、サファイアなどからなる成長基板11上に、前記した半導体材料を用いて、n型半導体層12n、活性層12a及びp型半導体層12pを順次積層した半導体積層体12を形成する。
半導体積層体12が形成されると、半導体積層体12の表面の一部の領域について、p型半導体層12p及び活性層12aの全部、並びにn型半導体層12nの一部をエッチングにより除去してn型半導体層12nが底面に露出した段差部12bを形成する。
【0055】
次に、p型半導体層12p及び活性層12aを有する発光領域となる領域には、p型半導体層12pの上面の略全面を覆うように、光反射性を有する全面電極14を形成する。
次に、n側電極13とn型半導体層12nとが接続される領域、及びp側電極15と全面電極14とが接続される領域に、開口部16n,16pを有するように、ウエハの表面全体に、例えば、スパッタリング法により、SiO
2などの絶縁膜16を形成する。
次に、開口部16nから絶縁膜16の上面にかけて延在するように、パッド電極であるn側電極13を形成する。また、開口部16pから絶縁膜16の上面にかけて延在するように、パッド電極であるp側電極15を形成する。
【0056】
以上により、ウエハ状態の発光素子1が形成される。
次に、ダイシング法、スクライブ法などにより、ウエハ状態の発光素子1を所定の分割領域で割断することにより個片化された発光素子1を作製することができる。
なお、ウエハを割断する前に、成長基板11の裏面を研磨して薄肉化するようにしてもよい。これにより、容易に割断することができる。
【0057】
次に、実装基板準備工程S102において、
図5に示すような実装基板9を準備する。
図5に示した例では、複数の実装基板9の基体91が連続して形成された集合基板90の状態で準備されている。また、本実施形態では、個片化工程S108で個片化されるまで、複数の発光装置100が、この集合基板90上に同時に形成される。
図5に示すように、集合基板90は、縦方向に6個、横方向に3個の実装基板9が配列して構成されている。
図5において、個々の実装基板9の領域を、境界線81及び境界線82で区画して示している。また、集合基板90には、境界線82に沿って、基体91を厚さ方向に貫通する溝91aが形成されており、実装基板9は横方向には予め分離されている。また、基体91の上面から溝91aを介して下面側にまで延在するように、個々の実装基板9に対応して、それぞれ一対の配線用電極92n,92pが設けられている。基体91の上面側の中央部に設けられた配線用電極92n,92pのそれぞれの矩形領域が、発光素子1のn側電極13及びp側電極15と接続するための接続部92na,92paである。
また、配線用電極92n,92pの基体91の長手方向の両端部に設けられた領域が、2次実装時に外部と接続するための領域となる。
【0058】
なお、半導体発光素子準備工程S101と、実装基板準備工程S102とは、何れを先に行ってもよく、並行して行うようにしてもよい。また、実装基板9としては、集合基板90の状態ではなく、個片化された状態で準備するようにしてもよい。また、実装基板9の配線用電極92n,92pは、基体91の上面と下面とに設けられる領域が、基体91の厚さ方向に貫通するスルーホールを介して電気的に接続されるようにしてもよい。更にまた、実装基板9の配線用電極92n,92pは、基体91の上面側にのみ設けられてもよい。
【0059】
次に、半導体発光素子実装工程S103において、
図6に示すように、実装基板9に発光素子1を実装する。
図6に示すように、半田などの導電性の接着部材93を用いて、n側電極13と配線用電極92nの接続部92naとを接合するとともに、p側電極15と配線用電極92pの接続部92paとを接合することで、発光素子1を実装基板9にフリップチップ実装する。
【0060】
次に、光反射部材形成工程において、発光素子1の側面に光反射部材2を形成する。この工程には、前記したように、第1層形成工程S104と第2層形成工程S105と光反射部材除去工程S106とが含まれる。
【0061】
まず、第1層形成工程S104において、
図7(a)に示すように、発光素子1の側面を被覆するように、光反射部材2の第1層21を形成する。
なお、
図7(a)は、
図6(a)のIII−III線に相当する位置における断面を示したものである。
図7(b)から
図7(d)も同様である。
【0062】
本実施形態では、
図7(a)に示すように、スプレー装置61を用いて、溶剤に熱硬化性樹脂と光反射性物質の粒子とを含有させたスラリーのスプレー62を噴射して、発光素子1の表面に塗布膜を形成する。更に、塗布膜を加熱して熱硬化性樹脂を硬化させることで、光反射性物質の粒子同士が強固に結着した第1層21が形成される。
【0063】
また、前記したスラリーを塗布する前に、発光素子1の搭載箇所及びその近傍を除き、実装基板9の上面にマスキング用のテープ63を貼付しておき、塗布作業が終了後に、テープ63を除去する。これによって、実装基板9の上面の、配線用電極92n,92pの外部と接続するための領域に塗膜が形成されないようにすることができる。
なお、本工程では、発光素子1の側面の他に、発光素子1の上面及び発光素子1の近傍の実装基板9の上面の一部にも塗膜が形成される。
【0064】
また、本実施形態では、テープ63が、第1層21及び第2層22が形成される領域が被覆されないように設けられている。そして、テープ63は、本工程では除去されずに、次工程である第2層形成工程S105において、第2層22を形成する際の枠体としてもそのまま用いられる。
テープ63は、前記したスラリーに用いられる溶剤などに対して耐薬品性を有し、剥離又は適宜な薬剤による溶解などで除去可能なものであれば特に限定されない。
【0065】
第1層21の形成方法としては、前記したスプレー法の他に、インクジェット法、ポッティング法、スクリーン印刷法などの各種の塗布方法を用いることができるが、高含有率で光反射性物質の粒子を含有した樹脂材料を高精度に塗布する方法として、スプレー法が好ましい。特に、スプレー62をパルス状に、すなわち間欠的に噴射させる塗布法であるパルススプレー法が、より高精度な膜厚で塗布膜を形成できるため、更に好ましい。
【0066】
ここで、パルススプレー法について説明する。
パルススプレー法では、噴射量を少なくすることができるため、1回のスプレー塗布による塗布量を低減して薄膜を形成することができる。そして、スプレー塗布を複数回繰り返すことにより、塗布膜を精度のよい膜厚で形成することができる。また、樹脂材料として熱硬化性樹脂を用い、複数回のスプレー塗布の間に、1回の塗布ごと又は所定回数(例えば、3回)の塗布ごとに熱硬化性樹脂の仮硬化処理を行うことにより、液垂れなどにより膜厚が不均一となることを防止し、均一性の高い良好な膜厚精度で、塗布膜を形成することができる。
なお、ここで仮硬化とは、熱硬化性樹脂の硬化温度よりも低い温度で加熱することで、熱硬化性樹脂を含有するスラリーの流動性を消失させる程度に硬化させることをいう。
【0067】
スプレー装置61によって塗布されるスラリーは、溶剤と、熱硬化性樹脂と、光反射性物質蛍光体の粒子とが含有される。また、このスラリーは、スプレー噴射可能な範囲で、適度な粘度に調整される。
なお、熱硬化性樹脂としては、前記した樹脂材料を用いることができる。また、溶剤としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、アセトンなどの有機溶剤を用いることができる。
【0068】
なお、パルススプレー法及びスラリーの塗布に適したスプレー装置については、例えば、参考文献1及び参考文献2に詳細に説明されているため、更なる説明は省略する。
(参考文献1)特開昭61−161175号公報
(参考文献2)特開2003−300000号公報
【0069】
次に、第2層形成工程S105において、
図7(b)に示すように、第1層21の外側を被覆するように第2層22を形成する。このとき、前工程である第1層形成工程S104で用いたテープ63を枠体として、第1層21よりも光反射性物質の粒子の含有率が低い樹脂層を形成する。また、第2層22を、発光素子1の上面と同じ高さか、当該上面よりも高くなるような厚さで形成する。また、第2層22を形成した後に、テープ63を除去する。
【0070】
第2層22の形成方法としては、第1層21の形成方法として列挙した塗布方法を用いることができる。なお、スクリーン印刷法や金型を用いた成形方法などで第2層22を形成する場合は、テープ63を予め除去してから行うことができる。
【0071】
なお、第1層21及び第2層22に熱硬化性樹脂を用いる場合は、第1層形成工程S104において第1層21を仮硬化させ、第2層形成工程S105において第2層22とともに第1層21を本硬化させることが好ましい。これによって、第1層21と第2層22とを、より強固に接合させることができる。
ここで、本硬化とは、熱硬化性樹脂の硬化温度以上で加熱することで、熱硬化性樹脂を完全に硬化させることをいう。
【0072】
次に、光反射部材除去工程S106において、
図7(b)に示した切削線71の高さ、すなわち、発光素子1の上面の高さまで、光反射部材2(第1層21及び第2層22)を切削装置を用いて除去する。これによって、
図7(c)に示すように、発光素子1の光取り出し面である上面が露出し、光反射部材2は、発光素子1の側面のみを被覆するようにパターニングされる。
【0073】
次に、波長変換部材形成工程S107において、
図7(d)に示すように、発光素子1の上面及び光反射部材2の上面に、波長変換部材3を形成する。波長変換部材3は、前記した光反射部材2の第1層21又は第2層22の形成方法と同様の方法で形成することができる。
図7(d)に示した例では、スプレー装置64を用いて、溶剤に熱硬化性樹脂と蛍光体(波長変換物質)の粒子とを含有させたスラリーのスプレー65を噴射して塗布膜を形成することで波長変換部材3を形成している。
なお、スプレー法により波長変換部材3を形成する場合は、発光素子1及び光反射部材2の上面を除き、例えば、マスキング用のテープで被覆しておくことが好ましい。
【0074】
また、波長変換部材3は、別途に所定形状の板状部材として作製しておき、透光性を有する接着剤を用いて発光素子1及び光反射部材2の上面に接着することで設けるようにしてもよい。
【0075】
次に、個片化工程S108において、
図8(a)に示すように、境界線81に沿って実装基板9及び光反射部材2を切断することにより、発光装置100が個片化される。なお、前記したように、実装基板9は、境界線82に沿って設けられている溝91aによって、横方向に隣接する発光装置100とは分離されているため、境界線82に沿った切断作業は不要である。
【0076】
<第2実施形態>
[発光装置の構成]
次に、
図9を参照して、第2実施形態に係る発光装置について説明する。
図9に示すように、第2実施形態に係る発光装置100Aは、
図1に示した第1実施形態に係る発光装置100に対して、波長変換部材3が発光素子1の上面にのみ設けられていることと、波長変換部材3の上面に透明層7が設けられていることと、光反射部材2が波長変換部材3及び透明層7の側面を被覆する高さまで設けられていることと、が異なる。
発光装置100Aは、波長変換部材3が平面視で発光素子1の上面と同じ領域に設けられ、更に側面が光反射部材2によって被覆されているため、正面方向(
図9の上方向)の発光輝度をより高くすることができる。
【0077】
透明層7は、波長変換部材3の上面全体を被覆するように設けられ、透光性を有する樹脂材料を用いて形成される膜である。樹脂材料としては、光反射部材2又は波長変換部材3に用いられるものと同様の樹脂材料を用いることができる。
透明層7は、光反射部材除去工程S206(
図10参照)において、光反射部材2の上部を除去する際に、波長変換部材3に損傷を与えずに、波長変換部材3を光学的に露出させるための膜である。当該工程の詳細については後記する。
【0078】
なお、発光装置100Aは、透明層7を介して外部に光が取り出される。それ以外は、発光装置100Aは、発光装置100と同様に動作するため、同載についての詳細な説明は省略する。
【0079】
[発光装置の製造方法]
次に、
図10及び
図11を参照して、
図9に示した第2実施形態に係る発光装置100Aの製造方法について説明する。
図10に示すように、発光装置100Aの製造方法は、半導体発光素子準備工程S201と、実装基板準備工程S202と、半導体発光素子実装工程S203と、第1層形成工程S204と、第2層形成工程S205と、光反射部材除去工程S206と、個片化工程S207と、を含んでいる。
本実施形態では、波長変換部材3を形成する工程は、半導体発光素子準備工程S201に含まれる。以下、
図11を参照して、主として第1実施形態と異なる工程について詳細に説明する。
【0080】
まず、半導体発光素子準備工程S201において、第1実施形態における半導体発光素子準備工程S101と同様にして発光素子1を準備する。また、本工程において、発光素子1を個片化する前に、成長基板11側の表面に、スプレー法などによって波長変換部材3及び透明層7を順次に積層して形成する。そして、発光素子1とともに、波長変換部材3及び透明層7を割断することで、波長変換部材3及び透明層7付きの個片化された発光素子1Aを準備する。
実装基板準備工程S202は、第1実施形態における実装基板準備工程S102と同様であるから説明は省略する。
【0081】
次に、半導体発光素子実装工程S203において、
図11(a)に示すように、波長変換部材3及び透明層7付きの発光素子1Aを、接着部材93を用いて、n側電極13と配線用電極92nの接続部92naとを接合するとともに、p側電極15と配線用電極92pの接続部92paとを接合することで、実装基板9にフリップチップ実装する。
【0082】
次に、第1層形成工程S204及び第2層形成工程S205を、それぞれ第1実施形態における第1層形成工程S104及び第2層形成工程S105と同様にして行う。これにより、
図11(b)に示すように、発光素子1Aの側面及び上面を被覆するように、光反射部材2が形成される。
【0083】
次に、光反射部材除去工程S206において、光反射部材2を、
図11(b)に示した切削線73の高さまで切削することで除去する。これによって、
図11(c)に示すように、光取り出し面である波長変換部材3の上面が、光反射部材2から光学的に露出する。ここで、光学的に露出するとは、波長変換部材3の上面側に透明層7が介在してもよいことを意味する。
【0084】
なお、切削線73の高さは、透明層7の下端から上端までの間に設定される。工法にもよるが、切削加工による膜厚精度よりも、スプレー法などによって形成される波長変換部材3の方が高い膜厚精度が得られやすい。従って、予め高い膜厚精度で発光素子1の上面に形成された波長変換部材3を切削加工で損傷すると、色調が部分的に又は全体的に変化することとなる。
【0085】
そこで、本実施形態では、透明層7を設け、透明層7の厚さの範囲で光反射部材2を切削加工して除去することで、光取り出し面を光反射部材2から光学的に露出させるものである。
なお、透明層7の膜厚は、切削の加工精度に応じて、当該加工精度よりも厚くなるように定めることができる。
【0086】
個片化工程S207は、第1実施形態における個片化工程S108と同様に行うことができるため説明は省略する。
以上により、
図9に示した発光装置100Aが形成される。
【0087】
<第3実施形態>
[発光装置の構成]
次に、
図12を参照して、第3実施形態に係る発光装置について説明する。
図12に示すように、第3実施形態に係る発光装置100Bは、
図1に示した第1実施形態に係る発光装置100に対して、光反射部材2に代えて光反射部材2Bを備えることが異なる。光反射部材2Bは、第1層21Bが樹脂リッチ層23を介して発光素子1の側面に設けられている。
【0088】
第1層21Bは、第1実施形態における第1層21と同様に、光反射性物質を高含有率で含有して形成される。光反射性物質の粒子を高含有率(例えば、95質量%以上)で含有すると、発光素子1との間で十分な密着性が得られない場合がある。そのため、本実施形態では、光反射性物質の含有率が低い、言い換えれば樹脂成分が多い樹脂リッチ層23を、第1層21Bと発光素子1の間に設け、両者の密着性を向上させるものである。
【0089】
樹脂リッチ層23としては、第1実施形態における光反射部材2と同様の樹脂材料を用いることができる。また、光反射性物質は含有させなくてもよく、含有させる場合は、第1層21Bよりも低含有率とし、第2層22と同程度又は第2層22よりも低い含有率とすることが好ましい。また、樹脂リッチ層23は、第1層21Bによる光反射の効率が高くなるように、第1層21Bと発光素子1とを良好に密着性させることができる範囲で薄膜とすることが好ましい。このために、樹脂リッチ層23の膜厚は、第1層21Bと同程度か第1層21Bよりも薄いことが好ましい。具体的には、樹脂リッチ層23の膜厚は、1μm以上10μm以下とすることが好ましい。
【0090】
また、樹脂リッチ層23は、前記した第1層21,21Bの形成方法と同様に、各種の塗布方法を用いて形成することができる。樹脂リッチ層23を、より薄膜で均一に形成するためには、パルススプレー法が特に好ましい。
【0091】
発光装置100Bは、第1実施形態に係る発光装置100と同様に動作するから、動作についての説明は省略する。
【0092】
[発光装置の製造方法]
発光装置100Bは、第1実施形態に係る発光装置100の製造方法において、半導体発光素子実装工程S103の後に、かつ、第1層形成工程S104を行う前に、樹脂リッチ層23を形成し、他の工程を同様に行うことで製造することができる。
具体的には、第1層形成工程S104において第1層21Bを形成する前に、スプレー法などによって、発光素子1の表面を被覆するように、樹脂リッチ層23を形成する。
【0093】
なお、樹脂リッチ層23及び第1層21Bの樹脂材料として熱硬化性樹脂を用いる場合は、樹脂リッチ層23を発光素子1の表面に塗布した後は、塗布膜を自然乾燥又は仮硬化又はさせた状態とし、第1層21Bを塗布した後に、本硬化させることが好ましい。これによって、樹脂リッチ層23を介して、発光素子1と第1層21Bとをより強固に密着させることができる。他の工程は、第1実施形態と同様であるから説明は省略する。
以上により、
図12に示した発光装置100Bが形成される。
【0094】
なお、発光素子1の側面に樹脂リッチ層23を介して第1層21Bを設ける構成は、第2実施形態に係る発光装置100Aにも適用することができる。
【0095】
<第4実施形態>
[発光装置の構成]
次に、
図13を参照して、本発明の第4実施形態に係る発光装置の構成について説明する。
図13に示すように、第4実施形態に係る発光装置100Cは、発光素子1Cと、光反射部材2Cと、波長変換部材3と、透光性部材4と、支持部材5と、外部接続用電極6n,6pと、を備えて構成されている。
発光装置100Cは、
図1に示した発光装置100とは、発光素子1Cの側面に設けられる透光性部材4を備え、光反射部材2Cが、透光性部材4を介して発光素子1Cの側面を被覆するように設けられていることが異なる。
【0096】
また、発光装置100Cは、発光装置100とは、次の点でも異なっている。
発光装置100Cは、サブマウントである実装基板9に代えて、外部接続用電極6n,6pと支持部材5とを備え、CSP型のパッケージを構成している。また、発光装置100Cで用いられる発光素子1Cは、平面視形状が略正方形をしている。
なお、発光装置100と同様の構成要素については、同じ符号を付して説明は適宜に省略する。
【0097】
発光素子1Cは、
図1に示した発光素子1とは外形形状が異なるが、
図2に示した発光素子1と同様の断面構造を有しており、フリップチップ実装型のLEDチップである。また、発光素子1Cの平面視形状は特に限定されるものではなく、発光素子1と同様に長方形であってもよい。
また、発光素子1Cの側面である半導体積層体12及び成長基板11(
図2参照)の側面には透光性部材4が設けられている。
また、発光素子1Cの下面側には、n側電極13と電気的に接続される外部接続用電極6nと、p側電極15と電気的に接続される外部接続用電極6pと、平面視で外部接続用電極6n,6pの周囲を囲むように設けられた支持部材5と、が設けられている。
【0098】
透光性部材4は、発光素子1Cの側面に接し、平面視で発光素子1の外周を取り囲むように設けられ、発光素子1Cの側面から出射する光を、光取り出し方向である上方向に反射させるためのフィレットである。そのために、透光性部材4は、発光素子1の厚さ方向について光取り出し面方向である上方ほど、平面視で外側となるように逆傾斜した外側面を有している。このような透光性部材4を設けることで、発光素子1Cの側面から出射する光を、効率的に外部に取り出すことができる。
図13(b)に示した例では、透光性部材4の外側面は、その断面形状が直線となるように平面で構成されているが、これに限定されるものではなく、下に凸状に、又は上に凸状に湾曲した外側面としてもよい。
【0099】
また、透光性部材4の外側面は、光反射部材2Cの第1層21Cによって被覆されており、透光性部材4の上面には、波長変換部材3が発光素子1の上面から連続して設けられている。透光性部材4の上面から出射する光は、波長変換部材3を介して、外部に取り出される。
【0100】
透光性部材4は、良好な透光性を有する樹脂やガラスなどの材料で形成することができる。また、透光性部材4は、光反射部材2Cの第1層21Cに用いられる樹脂材料よりも屈折率の高い材料を用いて形成することが好ましい。透光性部材4を第1層21Cの樹脂材料よりも屈折率の高い材料で構成することにより、スネルの法則に基づき、第1層21Cとの界面である外側面で光を効率的に反射させることができる。
また、透光性部材4は、液状又はペースト状の樹脂材料を、例えば、ディスペンサを用いて発光素子1Cの側面に供給し、その後に硬化させることで形成することができる。
【0101】
光反射部材2Cは、第1層21Cと第2層22Cとの2層構造を有しており、透光性部材4の外側面を被覆するように設けられ、透光性部材4の外側面から出射する光を当該透光性部材4に反射させるものである。すなわち、光反射部材2Cは、発光素子1Cの側面を、透光性部材4を介して被覆するように設けられている。従って、第1層21Cは、透光性部材4の外側面を被覆するように設けられ、第2層22Cは、第1層21Cの外側を被覆するように設けられている。
また、
図13(b)に示した例では、光反射部材2Cの下面は、支持部材5の下面と同じ高さとなるように設けられている。
なお、第1層21C及び第2層22Cは、それぞれ第1実施形態の第1層21及び第2層22と同様の材料を用いて、同様の方法で形成することができる。
【0102】
波長変換部材3は、発光素子1の上面、透光性部材4の上面、及び光反射部材2の上面を被覆するように設けられている。波長変換部材3は、第1実施形態とは外形形状が異なるだけであるから、詳細な説明は省略する。
【0103】
支持部材5は、発光素子1Cの電極形成面である下面側に、平面視で外部接続用電極6n,6pを囲むように設けられており、外部接続用電極6n,6pを支持するための部材である。支持部材5は絶縁性を有する樹脂材料を用いて形成することができる。特に、フォトレジストとして用いられる感光性の樹脂材料を用いることで、フォトリソグラフィ法により支持部材5をパターニングすることができるため好ましい。また、支持部材5は、外部接続用電極6n,6pの周囲に設けられるため、半田などの接着部材を用いた実装時に、変形や変質しないように、耐熱性が良好な材料を用いることが好ましい。例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などをベースとした樹脂材料を好適に用いることができる。
【0104】
外部接続用電極6n,6pは、発光素子1Cを外部電源と接続するための電極端子である。外部接続用電極6nは、上面がn側電極13と電気的に接続され、下面が外部と接続するための接続部である。同様に、外部接続用電極6pは、上面がp側電極15と電気的に接続され、下面が外部と接続するための接続部である。
外部接続用電極6n,6pは、例えば、電解メッキによるメッキポストとして形成することができる。また、外部接続用電極6n,6pは、金属ワイヤを用いて形成することもできる。外部接続用電極6n,6pとしては、例えば、Cu、Auなどの導電性及び熱伝導性の良好な金属材料を用いることが好ましい。
【0105】
[発光装置の動作]
次に、
図13を参照(適宜
図2参照)して、発光装置100Cの動作について説明する。
なお、説明の便宜上、発光素子1Cは青色光を発光し、波長変換部材3は青色光を吸収して黄色光を発光するものとして説明する。
【0106】
図13に示した発光装置100Cは、外部電源から外部接続用電極6n,6pを介してn側電極13及びp側電極15間に電流が供給されると、発光素子1Cの活性層12aが青色光を発光する。
発光素子1Cの活性層12aが発光した青色光は、発光素子1Cの半導体積層体12及び成長基板11内を伝播して、発光素子1Cの上面から波長変換部材3を介して外部に取り出される。また、発光素子1C内を横方向に伝播する光は透光性部材4に入射され、外側に光反射部材2Cが設けられた外側面で上方向に反射され、波長変換部材3を介して外部に取り出される。また、発光素子1C内を下方向に伝播する光は、全面電極14などによって上方に反射され、波長変換部材3を介して外部に取り出される。
【0107】
波長変換部材3に入射された青色光の一部は波長変換部材3によって黄色光に変換され、青色光の少なくとも他の一部は波長変換されることなく青色光のまま、それぞれ発光装置100Cの外部に取り出される。そして、発光装置100Cからは、黄色光と青色光とが混色した白色光が外部に取り出される。
【0108】
[発光装置の製造方法]
次に、
図14を参照して、
図13に示した第4実施形態に係る発光装置100Cの製造方法について説明する。
図14に示すように、発光装置100Cの製造方法は、半導体発光素子準備工程S301と、半導体発光素子載置工程S302と、透光性部材形成工程S303と、第1層形成工程S304と、第2層形成工程S305と、光反射部材除去工程S306と、シート除去工程S307と、波長変換部材形成工程S308と、個片化工程S309と、を含んでいる。なお、第1層形成工程S304と第2層形成工程S305と光反射部材除去工程S306とで、光反射部材形成工程が構成されている。
【0109】
まず、半導体発光素子準備工程S301において、支持部材5及び外部接続用電極6n,6pが設けられ、個片化された状態の発光素子1Cを準備する。
そのために、まず、第1実施形態における半導体発光素子準備工程S101(
図4参照)と同様の手順で、発光素子1Cを形成する。
次に、発光素子1Cの電極形成面側に、フォトレジストを用いて、フォトリソグラフィ法によって支持部材5を形成する。このとき、支持部材5は、外部接続用電極6n,6pが形成される領域に開口部を有するようにパターニングされる。
次に、前記した開口部内を含めて、支持部材5上に、例えばスパッタリング法などによって、電解メッキのシード層となる金属膜を形成する。
次に、このシード層を電流経路とする電解メッキを行うことで、支持部材5の開口部内に、外部接続用電極6n,6pとして金属メッキ層を形成する。
次に、支持部材5及び金属メッキ層の上面を、所定の高さに切削することで、支持部材5及び外部接続用電極6n,6pが設けられた発光素子1Cが形成される。
なお、支持部材5及び外部接続用電極6n,6pの形成までをウエハレベルプロセスで行い、これらの部材を形成後に、発光素子1Cを個片化するようにしてもよい。
【0110】
次に、半導体発光素子載置工程S302において、
図15に示すように、表面に粘着性を有するシート66上に、支持部材5及び外部接続用電極6n,6pが設けられた発光素子1Cを、成長基板11及び半導体積層体12側を下向きとして載置する。
図15(a)に示した例では、所定の間隔を開けて、縦方向に3個、横方向の3個が配列するように発光素子1Cが載置されている。なお、載置する発光素子1Cは1個でもよく、更に多数の発光素子1Cを配列するようにしてもよい。
また、
図15(a)において、個々の発光装置100Cを区画する領域を、境界線81,82で示している。
【0111】
次に、透光性部材形成工程S303において、
図16に示すように、発光素子1Cの側面、すなわち、成長基板11及び半導体積層体12の側面に、平面視で発光素子1Cの外周を取り囲むように、透光性部材4を形成する。
透光性部材4は、例えば、透光性を有する樹脂材料を、ディスペンサなどを用いて発光素子1Cの側面に接するように供給し、その後に樹脂材料を硬化させることで形成することができる。透光性部材4は、外側面が、平面視で光取り出し方向(
図16(b)において発光素子1Cの下面側)ほど外側となるように傾斜した傾斜面とすることが好ましい。このような形状は、発光素子1Cの成長基板11の下面とシート66の上面とがなす角部に、適宜な粘度を有する樹脂材料を供給し、重力により下方ほど広がった形状として硬化させることで形成することができる。また、金型を用いて外側面の形状を成型して硬化させるようにしてもよい。
【0112】
次に、光反射部材形成工程において、透光性部材4の外側面を被覆するように、光反射部材2Cを形成する。この工程には、前記したように、第1層形成工程S304と第2層形成工程S305と光反射部材除去工程S306とが含まれる。
【0113】
まず、第1層形成工程S304において、
図17(a)に示すように、透光性部材4の外側面を被覆するように、光反射部材2Cの第1層21Cを形成する。第1層21Cは、第1実施形態と同様にして、スプレー装置61を用いて形成される。本工程では、第1層21Cは、シート66上に設けられている透光性部材4,支持部材5及び外部接続用電極6n,6pの表面全体に塗布することで形成される。
なお、
図17(a)は、
図15(a)のV−V線に相当する位置における断面を示すものである。
図17(b)の他の図及び
図18の各図も同様である。
【0114】
次に、第2層形成工程S305において、
図17(b)に示すように、第1層21Cの外側を被覆するように第2層22Cを形成する。このとき、第1層21Cよりも光反射性物質の粒子の含有率が低い樹脂層を形成する。また、第2層22Cを、外部接続用電極6n,6pの上面と同じ高さか、当該上面よりも高くなるような厚さで形成する。
第2層22Cの形成方法としては、第1実施形態と同様の方法を用いることができるため、説明は省略する。
【0115】
次に、光反射部材除去工程S306において、
図17(b)に示した切削線72の高さ、すなわち、外部接続用電極6n,6pの上面の高さまで、光反射部材2C(第1層21C及び第2層22C)を切削装置を用いて除去する。これによって、
図17(c)に示すように、外部接続用電極6n,6pの外部との接続部となる上面が露出し、光反射部材2は、発光素子1の側面を光反射部材2Cを介して被覆するようにパターニングされる。
【0116】
次に、シート除去工程S307において、
図17(d)に示すように、発光素子1Cの支持体であるシート66を除去する。このとき、複数の発光素子1Cは、互いに光反射部材2Cによって連結されているため、シート66が除去されても配列状態を維持することができる。
【0117】
次に、波長変換部材形成工程S308において、
図18(a)に示すように、発光素子1C及び透光性部材4の光取り出し面側に、波長変換部材3を形成する。なお、
図18(a)では、
図17(d)とは上下が逆になるように発光素子1Cが配置されている。従って、
図18(a)において、発光素子1Cの光取り出し面は上面側である。
また、波長変換部材3は、第1実施形態と同様にして形成することができるため、詳細な説明は省略する。
【0118】
次に、個片化工程S309において、
図18(b)に示すように、境界線82及び境界線81(
図15(a)参照)に沿って、波長変換部材3及び光反射部材2Cを切断することにより、発光装置100Cを個片化する。
以上により、
図13に示した発光装置100Cが形成される。
【0119】
<第5実施形態>
[発光装置の構成]
次に、
図19を参照して、本発明の第5実施形態に係る発光装置の構成について説明する。
図19に示すように、第5実施形態に係る発光装置100Dは、
図13に示した第4実施形態に係る発光装置100Cに対して、透光性部材4に代えて、透光性部材4Dを備えることが異なる。
【0120】
発光装置100Dにおいて、透光性部材4Dは、発光素子1Cの側面に加えて、一体的に上面も被覆するように設けられている。従って、波長変換部材3は、発光素子1の上面に透光性部材4Dを介して設けられている。
他の構成は、第4実施形態に係る発光装置100Cと同様であるから説明は省略する。
【0121】
発光装置100Dは、発光素子1Cが発した光で、発光素子1C内を上方に伝播する光が、透光性部材4Dを介して波長変換部材3に入射される。それ以外は、第4実施形態に係る発光装置100Cと同様に動作するから、動作についての詳細な説明は省略する。
【0122】
[発光装置の製造方法]
次に、
図20及び
図21を参照して、
図19に示した第5実施形態に係る発光装置100Dの製造方法について説明する。
図20に示すように、発光装置100Dの製造方法は、半導体発光素子準備工程S401と、透光性部材塗布工程S402と、半導体発光素子載置工程S403と、第1層形成工程S404と、第2層形成工程S405と、光反射部材除去工程S406と、シート除去工程S407と、波長変換部材形成工程S408と、個片化工程S409と、を含んでいる。なお、第1層形成工程S404と第2層形成工程S405と光反射部材除去工程S406とで、光反射部材形成工程が構成されている。
【0123】
半導体発光素子準備工程S401は、第4実施形態における半導体発光素子準備工程S301と同様に行われる。
【0124】
次に、透光性部材塗布工程S402において、ポッティング法、インクジェット法などの塗布法によって、
図21(a)に示すように、シート66上の発光素子1Cが載置される領域(
図21(b)参照)に、透光性部材4Dとして液状の樹脂材料を塗布する。ここで、液状の透光性部材4Dの塗布膜は、シート66上で、表面張力によって盛り上がるように形成される。
【0125】
次に、半導体発光素子載置工程S403において、
図21(b)に示すように、液状の透光性部材4D上に、発光素子1Cを載置する。このとき、発光素子1Cは、自重で液状の透光性部材4Dに沈降し、透光性部材4Dによって下面及び側面が被覆される。なお、透光性部材塗布工程S402において、発光素子1Cが透光性部材4Dによって下面及び側面が被覆されるように、液状の透光性部材4Dの塗布範囲、塗布量、粘度などが調整される。このような調整を容易に行うために、透光性部材4Dとして熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
また、発光素子1Cが透光性部材4Dによって下面及び側面を被覆された状態で、透光性部材4Dを硬化させる。なお、透光性部材4Dとして熱硬化性樹脂を用いる場合は、自然乾燥又は/及び加熱により硬化させることができる。
【0126】
次の第1層形成工程S404、第2層形成工程S405、光反射部材除去工程S406及びシート除去工程S407は、それぞれ第4実施形態における第1層形成工程S304、第2層形成工程S305、光反射部材除去工程S306及びシート除去工程S307と同様に行われる。
【0127】
次に、波長変換部材形成工程S408において、
図21(c)に示すように、光取り出し面である透光性部材4Dの上面に、波長変換部材3を形成する。波長変換部材3は、第4実施形態における波長変換部材形成工程S308と同様にして形成することができるため、詳細な説明は省略する。
なお、
図21(c)において、シート除去工程S407の後の発光素子1Cは、透光性部材4Dが設けられた面が上方となるように配置されている。
【0128】
次に、個片化工程S409において、第4実施形態における個片化工程S309と同様にして、
図21(c)に示した境界線82等に沿って、波長変換部材3及び光反射部材2Cを切断することにより、発光装置100Dを個片化する。
以上により、
図19に示した発光装置100Dが形成される。
【0129】
<変形例>
図1に示した発光装置100では、光反射部材2は、第1層21と第2層22とを積層した2層構成の反射層であるが、第1層21と第2層22とを、交互に複数組を積層して構成するようにしてもよい。これによって、より反射率の高い光反射部材2を構成することができる。また、この場合においても、第1層21に用いられる樹脂材料として、第2層に用いられる樹脂材料よりも屈折率が高くなるように構成することが好ましい。これによって、スネルの法則に基づく界面反射を利用でき、光反射部材2の反射率を更に向上させることができる。
【0130】
また、他の実施形態に係る発光装置100A,100B,100C及び100Dにおいても同様に、光反射部材2等において、第1層21等と第2層22等とを、交互に複数組を積層するように構成してもよい。
【0131】
以上、本発明に係る発光装置及びその製造方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。