(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について説明するが、本発明がこれらの実施形態に限定されることはない。
【0024】
<組成物>
本実施形態の組成物は、電荷輸送性を有する構造単位を有し、かつ、1級又は2級アミド基を有するポリマー又はオリゴマー、及び溶媒を含有し、加熱又は冷却により粘度が大きく変化する(激変する)ことを特徴とする。この組成物は、電荷輸送材料用の組成物であることが好ましい。
【0025】
ここで、粘度は、粘度計(東機産業(株)製 TPE−100H)を用いて、ずり速度2sec
-1で測定した値である。
粘度の変化値は、加熱又は冷却の前後で、1000mPa・sよりも大きいことが好ましく、1500mPa・s以上であることがより好ましく、さらには、2000mPa・s以上、3000mPa・s以上であることが、この順に一層好ましい。
【0026】
加熱又は冷却は、溶媒の沸点の観点から、0〜300℃の温度範囲内において行われることが好ましく、この温度範囲は10〜200℃であることがより好ましく、15〜60℃であることがさらに好ましい。
加熱又は冷却は、使用するポリマー又はオリゴマーの特性に応じ、上記の粘度変化が得られるように行われるものであり、特に限定はされないが、その目安としては例えば、10℃以上の温度変化を伴うものであることが好ましい。また、この温度変化は、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましく、60℃以下であることが一層好ましい。
【0027】
さらに具体的には、例えば、温度範囲0〜300℃において、10℃、20℃、又は30℃のいずれか一つの温度変化により、粘度が1000mPa・sよりも大きく変化する組成物であることが好ましい。このときの温度範囲と粘度の変化値のより好ましい値は、上述のとおりである。
【0028】
組成物の粘度を変化させるための加熱又は冷却は、一般的な加熱機器又は冷却機器によって行うことができ、例えば加熱は、水浴、油浴、ホットプレート、マントルヒーター、オーブンなどによって行うことができる。
加熱時間又は冷却時間は、所望の温度変化が得られるように設定すれば良いため、特に限定はされないが、例えば目安として、10秒〜48時間であることが好ましく、1分〜1時間であることがより好ましく、1分〜10分であることがさらに好ましい。
【0029】
ポリマーが1級又は2級のアミド基、すなわち窒素原子に結合する少なくとも1つの水素原子を有するアミド基を有することで、温度変化により組成物の粘度が大きく変化する理由については、あくまで推論であるが、アミド基間が水素結合し、又は水素結合が切れることにより発現するものと考えられる。すなわち、加熱により水素結合が切れることで粘度が下がり、冷却により再度水素結合が生じることで粘度が上がると推察する。組成物の粘度をより大きく変化させるには、アミド基は、ポリマーの末端に位置することが好ましい。
また、ポリマー中のアミド基の数、又はその位置を適宜設定することにより、粘度変化の度合いを適宜調整することができる。
【0030】
[ポリマー又はオリゴマー]
ポリマー又はオリゴマーは、電荷輸送性を有する構造単位を含み、電荷を輸送する能力を有するポリマー又はオリゴマー(電荷輸送性ポリマー又は電荷輸送性オリゴマー)である(以下の記載において、ポリマー又はオリゴマーを、まとめて「ポリマー」とも記す。)。ここで、電荷輸送性を有する構造単位は、正孔輸送性を有する構造単位であることが好ましく、ポリマーは、正孔輸送性ポリマー又はオリゴマーであることが好ましい。
【0031】
このポリマーは、直鎖状であっても、又は、分岐構造を有していてもよい。ポリマーは、好ましくは、電荷輸送性を有する2価の構造単位Lと末端部を構成する1価の構造単位Tとを少なくとも含み、分岐部を構成する3価以上の構造単位Bを更に含んでもよい。ポリマーは、各構造単位を、それぞれ1種のみ含んでいても、又は、それぞれ複数種含んでいてもよい。ポリマーにおいて、各構造単位は、「1価」〜「3価以上」の結合部位において互いに結合している。
【0032】
本実施形態のポリマーは、1級又は2級アミド基を有することを、特徴的な構造として備えている。そのため、上記の「電荷輸送性を有する2価の構造単位L」及び「末端部を構成する1価の構造単位T」の少なくとも一部が、1級又は2級アミド基を含む構造単位であることが好ましい。なかでも、1級又は2級アミド基は、「末端部を構成する1価の構造単位T」の少なくとも一部に含まれて、該アミド基が、前記ポリマー又はオリゴマーの末端に位置することが好ましい。
【0033】
ここで、「アミド基」とは、アミンから誘導される置換基であって、アミノ基の水素をアシル基で置換したカルボン酸アミド基のほか、スルホンアミド、有機リン酸アミド等も含む、広義の「酸アミド」を意味する。なかでも、カルボン酸アミドであることが好ましい。この場合に、1級アミド基は−CONH
2基であり、2級アミド基は−CONHR’基である。
上記酸アミドが2級アミドである場合に、窒素原子に結合するR’としては、特に限定はされないが、炭素数1〜22の直鎖、環状又は分岐アルキル基、もしくは、炭素数2〜30個のアリール基又はヘテロアリール基が挙げられ、なかでも、炭素数3〜18のアルキル基が好ましい。
【0034】
(構造)
ポリマーに含まれる部分構造の例として、以下が挙げられる。ポリマーは、以下の部分構造を有するものに限定されない。部分構造中、「L」は構造単位Lを、「T」は構造単位Tを、「B」は構造単位Bを表す。本明細書において式中の「*」は、他の構造単位との結合部位を表す。以下の部分構造中、複数のLは、互いに同一の構造単位であっても、互いに異なる構造単位であってもよい。T及びBについても、同様である。
【0037】
(構造単位L)
構造単位Lは、電荷輸送性、好ましくは正孔輸送性を有する2価の構造単位である。構造単位Lは、電荷を輸送する能力を有する原子団を含んでいればよく、特に限定されない。例えば、構造単位Lは、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、ビフェニレン構造、ターフェニレン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、テトラセン構造、フェナントレン構造、ジヒドロフェナントレン構造、ピリジン構造、ピラジン構造、キノリン構造、イソキノリン構造、キノキサリン構造、アクリジン構造、ジアザフェナントレン構造、フラン構造、ピロール構造、オキサゾール構造、オキサジアゾール構造、チアゾール構造、チアジアゾール構造、トリアゾール構造、ベンゾチオフェン構造、ベンゾオキサゾール構造、ベンゾオキサジアゾール構造、ベンゾチアゾール構造、ベンゾチアジアゾール構造、ベンゾトリアゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。芳香族アミン構造は、好ましくはトリアリールアミン構造であり、より好ましくはトリフェニルアミン構造である。
【0038】
一実施形態において、構造単位Lは、優れた正孔輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、フルオレン構造、ベンゼン構造、ピロール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましく、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることがより好ましい。他の実施形態において、構造単位Lは、優れた電子輸送性を得る観点から、置換又は非置換の、フルオレン構造、ベンゼン構造、フェナントレン構造、ピリジン構造、キノリン構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択されることが好ましい。
【0039】
本実施形態のポリマーは、構造単位Lとして、1級又は2級アミド基を含む構造単位L(以下、これを「構造単位L1」とも記す。)を含むことができる。
構造単位L1は、特に限定はされないが、以下のいずれかの構造を有することが好ましい。ポリマーは、複数種の構造単位L1を含んでいてもよい。
【0040】
【化6】
(式(IIIa)〜(IIIc)中のR
1〜R
2は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、Ar
bは、アレーントリイル基又はヘテロアレーントリイル基を表す。ただし、R
1及びR
2の少なくともいずれか一方は水素原子である。)
【0041】
上記式(IIIa)〜(IIIc)において、R
1〜R
2のアルキル基は、直鎖でも分岐していても、又は環状でもよく、炭素数は1〜22が好ましく、3〜18がより好ましい。例えば、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、エチルヘキシル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。
【0042】
また、アレーントリイル基とは、芳香族炭化水素から水素原子3個を除いた原子団であり、置換基を有していてもよく、ヘテロアレーントリイル基とは、ヘテロ原子を有する芳香族化合物(芳香族複素環)から水素原子3個を除いた原子団であり、置換基を有していてもよい。
芳香族炭化水素及び芳香族複素環は、特に限定はされないが、上記構造単位Lとして記載した環構造を有することが好ましい。
【0043】
これらの環が有しても良い置換基(以下、「置換基R」とも記す。)としては、特に限定はされないが、−R
1、−OR
2、−SR
3、−OCOR
4、−COOR
5、−SiR
6R
7R
8、ハロゲン原子、及び、後述する重合性官能基を含む基からなる群から選択されるものであることが好ましい。R
1〜R
8は、それぞれ独立に、水素原子;炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基;又は、炭素数2〜30個のアリール基又はヘテロアリール基を表す。アリール基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団である。ヘテロアリール基は、芳香族複素環から水素原子1個を除いた原子団である。アルキル基は、更に、炭素数2〜20個のアリール基又はヘテロアリール基により置換されていてもよく、アリール基又はヘテロアリール基は、更に、炭素数1〜22個の直鎖、環状又は分岐アルキル基により置換されていてもよい。置換基Rは、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基である。
【0044】
本実施形態のポリマーは、上記構造単位L1以外の構造単位Lとして、1級又は2級アミド基を含まない構造単位L(以下、これを「構造単位L2」とも記す。)を含んでいてもよい。
構造単位L2の具体例として、以下が挙げられる。構造単位L2は、以下に限定されない。
【化7】
【0046】
Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。このRの置換基は、上記構造単位L1において説明した「置換基R」と同じである。Arは、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。 アリーレン基(アレーンジイル基)とは、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた原子団であり、ヘテロアリーレン基(ヘテロアレーンジイル基)とは、芳香族複素環から水素原子2個を除いた原子団である。Arは、好ましくはアリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。
【0047】
(構造単位T)
構造単位Tは、ポリマーの末端部を構成する1価の構造単位である
本実施形態においては、構造単位Tの少なくとも一部が、1級又は2級アミド基を有する構造単位(以下、これを「構造単位T1」とも記す。)であることが好ましい。ポリマーは、構造単位T1を、一種のみ有していても、又は、二種以上有していてもよい。ポリマーがその末端に構造単位T1を含むことで、組成物の粘度をより大きく変化させることができる。
【0048】
構造単位T1は、特に限定はされないが、以下のいずれかの構造を有することが好ましい。
【化9】
(式(Ia)〜(Ic)中のR
1〜R
2は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。ただし、R
1及びR
2の少なくともいずれか一方は水素原子である。)
【化10】
(式(IIa)〜(IIc)中のR
1〜R
2は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、Ar
aは、アリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。ただし、R
1及びR
2の少なくともいずれか一方は水素原子である。)
【0049】
上記式(Ia)〜(IIc)におけるR
1〜R
2のアルキル基は、特に限定はされないが、上記式(IIIa)〜(IIIc)のR
1〜R
2のアルキル基として説明したと同様のものであることが好ましい。アリーレン基及びヘテロアリーレン基を構成する芳香族炭化水素及び芳香族複素環は、上記構造単位Lとして記載した環構造であることが好ましく、アリーレン基及びヘテロアリーレン基は、上記「置換基R」等の置換基を有していてもよい。
【0050】
一実施形態において、ポリマーは、末端の構造単位Tとして、上記構造単位T1以外の、すなわち1級又は2級アミド基を有さない構造単位(以下、これを「構造単位T2」とも記す。)を含んでいてもよい。ポリマーは、構造単位T2を、一種のみ有してもよいし、二種以上有してもよい。
【0051】
構造単位T2は、特に限定されず、例えば、置換又は非置換の、芳香族炭化水素構造、芳香族複素環構造、及び、これらの1種又は2種以上を含む構造から選択される。一実施形態において、構造単位T2は、電荷の輸送性を低下させずに耐久性を付与するという観点から、置換又は非置換の芳香族炭化水素構造であることが好ましく、置換又は非置換のベンゼン構造であることがより好ましい。また、他の実施形態において、後述するように、ポリマーが末端部に重合性官能基を有する場合、構造単位T2は重合可能な構造(すなわち、例えば、ピロール−イル基等の重合性官能基)であってもよい。構造単位Tは、構造単位Lと同じ構造を有していても、又は、異なる構造を有していてもよい。
【0052】
構造単位T2の具体例として、以下が挙げられる。構造単位T2は、以下に限定されない。
【化11】
上記式の構造単位T2中、Rは、上述の「置換基R」と同じである。
【0053】
(構造単位B)
構造単位Bは、ポリマーが分岐構造を有する場合に、分岐部を構成する3価以上の構造単位である。
好ましい一実施形態において、ポリマーは、構造単位Bを含む分岐構造であり、かつ、3つ以上の末端を有するポリマーである。このような分岐構造を有することで、末端のアミド基の含有量を調整することができる。
【0054】
構造単位Bは、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、好ましくは6価以下であり、より好ましくは3価又は4価である。構造単位Bは、電荷輸送性を有する単位であることが好ましい。例えば、構造単位Bは、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、置換又は非置換の、芳香族アミン構造、カルバゾール構造、縮合多環式芳香族炭化水素構造、及び、これらの1種又は2種以上を含有する構造から選択される。構造単位Bは、構造単位Lと同じ構造を有していても、又は、異なる構造を有していてもよく、また、構造単位Tと同じ構造を有していても、又は、異なる構造を有していてもよい。
【0055】
構造単位Bの具体例として、以下が挙げられる。構造単位Bは、以下に限定されない。
【化12】
【0056】
Wは、3価の連結基を表し、例えば、炭素数2〜30個のアレーントリイル基又はヘテロアレーントリイル基を表す。Arは、それぞれ独立に2価の連結基を表し、例えば、それぞれ独立に、炭素数2〜30個のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Arは、好ましくはアリーレン基、より好ましくはフェニレン基である。Yは、2価の連結基を表し、例えば、構造単位LにおけるRのうち水素原子を1個以上有する基から、更に1個の水素原子を除いた2価の基が挙げられる。Zは、炭素原子、ケイ素原子、又はリン原子のいずれかを表す。構造単位中、ベンゼン環及びArは、置換基を有していてもよく、置換基の例として、構造単位LにおけるRが挙げられる。
【0057】
(重合性官能基)
一実施形態においてポリマーは、重合反応により硬化させ、溶剤への溶解度を変化させる観点から、重合性官能基(「重合可能な置換基」とも記す。)を少なくとも1つ有することが好ましい。「重合性官能基」とは、熱及び/又は光を加えることにより、互いに結合を形成し得る官能基をいう。
【0058】
重合性官能基としては、炭素−炭素多重結合を有する基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、エチニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、メタクリロイルアミノ基、ビニルオキシ基、ビニルアミノ基等)、小員環を有する基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基等の環状アルキル基;エポキシ基(オキシラニル基)、オキセタン基(オキセタニル基)等の環状エーテル基;ジケテン基;エピスルフィド基;ラクトン基;ラクタム基等)、複素環基(例えば、フラン−イル基、ピロール−イル基、チオフェン−イル基、シロール−イル基)などが挙げられる。重合性官能基としては、特に、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、及びオキセタン基が好ましく、反応性及び有機エレクトロニクス素子の特性の観点から、ビニル基、オキセタン基、又はエポキシ基がより好ましく、オキセタン基が最も好ましい。
【0059】
重合性官能基の自由度を上げ、重合反応を生じさせやすくする観点からは、ポリマーの主骨格と重合性官能基とが、例えば炭素数1〜8の直鎖状のアルキレン鎖で連結されていることが好ましい。また、例えば、電極上に有機層を形成する場合、ITO等の親水性電極との親和性を向上させる観点からは、エチレングリコール鎖、ジエチレングリコール鎖等の親水性の鎖で連結されていることが好ましい。さらに、重合性官能基を導入するために用いられるモノマーの調製が容易になる観点からは、ポリマーは、アルキレン鎖及び/又は親水性の鎖の末端部、すなわち、これらの鎖と重合性官能基との連結部、及び/又は、これらの鎖とポリマーの骨格との連結部に、エーテル結合又はエステル結合を有していてもよい。前述の「重合性官能基を含む基」とは、重合性官能基それ自体、又は、重合性官能基とアルキレン鎖等とを合わせた基を意味する。重合性官能基を含む基として、例えば、国際公開第WO2010/140553号に例示された基を好適に用いることができる。
【0060】
重合性官能基は、ポリマーの末端部(すなわち、構造単位T)に導入されていても、末端部以外の部分(すなわち、構造単位L又はB)に導入されていても、末端部と末端以外の部分の両方に導入されていてもよい。この場合に、ポリマーは、上記構造単位T、L又はBの置換基Rの一部として、この重合性官能基を含むことができる。
硬化性の観点からは、少なくとも末端部に導入されていることが好ましく、硬化性及び電荷輸送性の両立を図る観点からは、末端部のみに導入されていることが好ましい。また、ポリマーが分岐構造を有する場合、重合性官能基は、ポリマーの主鎖に導入されていても、側鎖に導入されていてもよく、主鎖と側鎖の両方に導入されていてもよい。
【0061】
重合性官能基は、溶解度の変化に寄与する観点からは、ポリマー中に多く含まれる方が好ましい。一方、電荷輸送性を妨げない観点からは、ポリマー中に含まれる量が少ない方が好ましい。重合性官能基の含有量は、これらを考慮し、適宜設定できる。
【0062】
例えば、ポリマー1分子あたりの重合性官能基数は、十分な溶解度の変化を得る観点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、重合性官能基数は、電荷輸送性を保つ観点から、1,000個以下が好ましく、500個以下がより好ましい。
【0063】
ポリマー1分子あたりの重合性官能基数は、ポリマーを合成するために使用した、重合性官能基の仕込み量(例えば、重合性官能基を有するモノマーの仕込み量)、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量、ポリマーの重量平均分子量等を用い、平均値として求めることができる。また、重合性官能基の数は、ポリマーの
1H NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおける重合性官能基に由来するシグナルの積分値と全スペクトルの積分値との比、ポリマーの重量平均分子量等を利用し、平均値として算出できる。簡便であることから、仕込み量が明らかである場合は、好ましくは、仕込み量を用いて求めた値を採用する。
【0064】
特に好ましい一実施形態において、ポリマーは、高い正孔注入性、正孔輸送性等を有する観点から、芳香族アミン構造を有する構造単位及び/又はカルバゾール構造を有する構造単位を主要な構造単位(主骨格)とする化合物であることが好ましい。また、ポリマーは、多層化を容易に行う観点から、少なくとも2個以上の重合可能な置換基を有する化合物であることが好ましい。重合可能な置換基は、優れた硬化性を有する観点から、環状エーテル構造を有する基、炭素−炭素多重結合を有する基等であることが好ましい。
【0065】
(構造単位の割合)
ポリマーに含まれる構造単位L(構造単位L1とL2の合計)の割合は、十分な電荷輸送性を得る観点から、全構造単位を基準として、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Lの割合は、構造単位T及び必要に応じて導入される構造単位Bを考慮すると、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下が更に好ましい。
【0066】
ポリマーが構造単位T1を含まず構造単位L1とL2の双方を含む場合、構造単位Lの全量に対し、構造単位L1の割合は5モル%以上、より好ましくは15%モル以上、更に好ましくは25モル%以上であることが好ましい。上限は特に限定されず、100モル%以下である。
【0067】
ポリマーに含まれる構造単位T(構造単位T1とT2の合計)の割合は、有機エレクトロニクス素子の特性向上の観点、又は、粘度の上昇を抑え、ポリマーの合成を良好に行う観点から、全構造単位を基準として、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Tの割合は、十分な電荷輸送性を得る観点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。
【0068】
好ましい一実施形態において、上述のとおり、ポリマーは分岐構造を有し、かつ、3つ以上の末端を有するポリマーであるところ、さらに好ましい一実施形態において、全ての末端中の3つ以上に1級又は2級アミド基を有する。すなわち、ポリマーは、上記構造単位T1を3つ以上有するものであることが好ましい。
【0069】
ポリマーの全末端における構造単位T1の割合は、適切な粘度変化を実現する観点から、全末端数(T1+T2)を基準として20%以上、より好ましくは25%以上、更に好ましくは35%以上であることが好ましい。上限は特に限定されず、100%以下である。
【0070】
ポリマーが構造単位Bを含む場合、構造単位Bの割合は、有機エレクトロニクス素子の耐久性向上の観点から、全構造単位を基準として、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更に好ましい。また、構造単位Bの割合は、粘度の上昇を抑え、ポリマーの合成を良好に行う観点、又は、十分な電荷輸送性を得る観点から、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。
【0071】
ポリマーが重合性官能基を有する場合、重合性官能基の割合は、ポリマーを効率よく硬化させるという観点から、全構造単位を基準として、0.1モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましく、3モル%以上が更に好ましい。また、重合性官能基の割合は、良好な電荷輸送性を得るという観点から、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下が更に好ましい。なお、ここでの「重合性官能基の割合」とは、重合性官能基を有する構造単位の割合をいう。
【0072】
電荷輸送性、耐久性、生産性等のバランスを考慮すると、構造単位L及び構造単位Tの割合(モル比)は、L:T=100:1〜70が好ましく、100:3〜50がより好ましく、100:5〜30が更に好ましい。また、電荷輸送性ポリマーが構造単位Bを含む場合、構造単位L、構造単位T、及び構造単位Bの割合(モル比)は、L:T:B=100:10〜200:10〜100が好ましく、100:20〜180:20〜90がより好ましく、100:40〜160:30〜80が更に好ましい。
【0073】
上記において、各構造単位の割合(モル%)は、ポリマーの重量平均分子量と、各構造単位の分子量から算出することにより求めることができる。
構造単位の割合は、ポリマーを合成するために使用した、各構造単位に対応するモノマーの仕込み量を用いて求めることもできる。また、構造単位の割合は、ポリマーの
1H NMRスペクトルにおける各構造単位に由来するスペクトルの積分値を利用し、平均値として算出することができる。
【0074】
(数平均分子量)
ポリマーの数平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。数平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましい。また、数平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インクの調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。
【0075】
(重量平均分子量)
ポリマーの重量平均分子量は、溶剤への溶解性、成膜性等を考慮して適宜、調整できる。重量平均分子量は、電荷輸送性に優れるという観点から、1,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。また、重量平均分子量は、溶媒への良好な溶解性を保ち、インクの調製を容易にするという観点から、1,000,000以下が好ましく、700,000以下がより好ましく、400,000以下が更に好ましく、300,000以下が最も好ましい。
【0076】
数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定することができる。
【0077】
(製造方法)
本実施形態のポリマーは、上記構造単位L1又はT1を含む一種以上のモノマーと、任意にその他の一種以上のモノマー(例えば上記構造単位L2又はT2を含むモノマー及び/又は上記構造単位Bを含むモノマー)を含んでもよいモノマー混合物を用いて、これらのモノマーを共重合させることにより、好ましく製造することができる。共重合の形式は、交互、ランダム、ブロック又はグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する共重合体、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。
【0078】
ポリマーは、種々の合成方法により製造でき、特に限定されない。例えば、鈴木カップリング、根岸カップリング、園頭カップリング、スティルカップリング、ブッフバルト・ハートウィッグカップリング等の公知のカップリング反応を用いることができる。鈴木カップリングは、芳香族ボロン酸誘導体と芳香族ハロゲン化物の間で、Pd触媒を用いたクロスカップリング反応を起こさせるものである。鈴木カップリングによれば、所望とする芳香環同士を結合させることにより、ポリマーを簡便に製造できる。
【0079】
カップリング反応では、触媒として、例えば、Pd(0)化合物、Pd(II)化合物、Ni化合物等が用いられる。また、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等を前駆体とし、ホスフィン配位子と混合することにより発生させた触媒種を用いることもできる。ポリマーの合成方法については、例えば、国際公開第WO2010/140553号の記載を参照できる。
【0080】
[溶媒]
溶媒は、上記実施形態のポリマーを溶解又は分散しうるものである。
溶媒としては、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を使用できる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ペンタン、ヘキサン、オクタン等のアルカン;シクロヘキサン等の環状アルカン;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等の芳香族炭化水素;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられる。好ましくは、芳香族炭化水素、脂肪族エステル、芳香族エステル、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等である。
【0081】
[重合開始剤]
ポリマーが重合性官能基を有する場合、組成物は、好ましくは、重合開始剤(開始剤)を含有する。重合開始剤として、公知のラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤等を使用できる。インクを簡便に調製できる観点から、後述するドーパントとしての機能と重合開始剤としての機能とを兼ねる物質を用いることが好ましい。そのような物質として、例えば、イオン化合物が挙げられる。
【0082】
好ましい一実施形態において、ポリマーを酸化して導電性を向上させるために開始剤を用いることができる。すなわち、ポリマーに対して酸化剤として作用し得る物質を使用することは、正孔輸送性向上の観点から好ましい。このような開始剤としては、特に限定はされないが、例えば、酸化剤、又は、カチオンとアニオンからなるオニウム塩を用いることが好ましい。なかでも、オニウム塩は、組成物の溶解度の変化の観点から好ましい。
【0083】
開始剤の含有量(開始剤に由来する物質も含む)は、ポリマーを酸化し導電性を向上させるという観点から、ポリマーの質量に対し、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましい。また、開始剤の含有量は、有機層中に残存する開始剤に由来する物質による素子特性の低下を防止するという観点から、ポリマーの質量に対し、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。開始剤に由来する物質としては、開始剤そのもの、開始剤の分解物、反応物などがある。
【0084】
<電荷輸送材料>
本実施形態の電荷輸送材料は、上記実施形態の組成物を含むものである。すなわち、この電荷輸送材料は、上記のポリマーと溶媒を少なくとも含んでいればよく、正孔輸送材料であることが好ましい。この電荷輸送材料は、有機エレクトロニクス材料として好ましく用いることができる。以下、電荷輸送材料を有機エレクトロニクス材料と記載する場合もある。
電荷輸送材料は、さらに、低分子化合物又は電荷輸送性低分子化合物、ドーパントとして作用し得る物質、他のポリマー等を含んでいてもよい。
【0085】
[ドーパント]
ドーパントは、電荷輸送材料に添加することでドーピング効果を発現させ、電荷の輸送性を向上させ得るものであればよく、特に制限はない。ドーピングには、p型ドーピングとn型ドーピングがあり、p型ドーピングではドーパントとして電子受容体として働く物質が用いられ、n型ドーピングではドーパントとして電子供与体として働く物質が用いられる。正孔輸送性の向上にはp型ドーピング、電子輸送性の向上にはn型ドーピングを行うことが好ましい。有機エレクトロニクス材料に用いられるドーパントは、p型ドーピング又はn型ドーピングのいずれの効果を発現させるドーパントであってもよい。また、1種のドーパントを単独で添加しても、複数種のドーパントを混合して添加してもよい。
【0086】
p型ドーピングに用いられるドーパントは、電子受容性の化合物であり、例えば、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属化合物、イオン化合物、ハロゲン化合物、π共役系化合物等が挙げられる。具体的には、ルイス酸としては、FeCl
3、PF
5、AsF
5、SbF
5、BF
5、BCl
3、BBr
3等;プロトン酸としては、HF、HCl、HBr、HNO
5、H
2SO
4、HClO
4等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、1−ブタンスルホン酸、ビニルフェニルスルホン酸、カンファスルホン酸等の有機酸;遷移金属化合物としては、FeOCl、TiCl
4、ZrCl
4、HfCl
4、NbF
5、AlCl
3、NbCl
5、TaCl
5、MoF
5;イオン化合物としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、AsF
6−(ヘキサフルオロ砒酸イオン)、BF
4−(テトラフルオロホウ酸イオン)、PF
6−(ヘキサフルオロリン酸イオン)等のパーフルオロアニオンを有する塩、アニオンとして前記プロトン酸の共役塩基を有する塩など;ハロゲン化合物としては、Cl
2、Br
2、I
2、ICl、ICl
3、IBr、IF等;π共役系化合物としては、TCNE(テトラシアノエチレン)、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)等が挙げられる。また、特開2000−36390号公報、特開2005−75948号公報、特開2003−213002号公報等に記載の電子受容性化合物を用いることも可能である。好ましくは、ルイス酸、イオン化合物、π共役系化合物等である。
【0087】
n型ドーピングに用いられるドーパントは、電子供与性の化合物であり、例えば、Li、Cs等のアルカリ金属;Mg、Ca等のアルカリ土類金属;LiF、Cs
2CO
3等のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩;金属錯体;電子供与性有機化合物などが挙げられる。
【0088】
ポリマーが重合性官能基を有する場合は、有機層の溶解度の変化を容易にするために、ドーパントとして重合性官能基に対する重合開始剤として作用し得る化合物を用いることが好ましい。
【0089】
[含有量]
電荷輸送材料中のポリマーの含有量は、良好な電荷輸送性を得る観点から、電荷輸送材料の全質量に対して50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。電荷輸送性ポリマーの含有量の上限は特に限定されず、100質量%とすることも可能である。ドーパント等の添加剤を含むことを考慮し、ポリマーの含有量を、例えば95質量%以下、90質量%以下、等としてもよい。
【0090】
ドーパントを含有する場合、その含有量は、電荷輸送材料の電荷輸送性を向上させる観点から、電荷輸送材料の全質量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、成膜性を良好に保つ観点から、電荷輸送材料の全質量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0091】
<インク>
本実施形態のインク(インク組成物)は、上記実施形態の組成物を含むものである。すなわち、このインクは、上記のポリマーと溶媒を少なくとも含んでいればよい。インクを用いることによって、塗布という簡便な方法によって有機層を容易に形成できる。
インクは、さらに、その他の添加剤、例えば重合禁止剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、難燃剤、酸化防止剤、還元防止剤、酸化剤、還元剤、表面改質剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤などを含んでいてもよい。
【0092】
[含有量]
インクにおける溶媒の含有量は、種々の塗布方法へ適用することを考慮して定めることができる。すなわち、インクを調製する際、上記組成物にさらに、組成物中の溶媒と同一の、又は異なる溶媒を適宜追加してもよい。例えば、溶媒の含有量は、溶媒に対しポリマーの割合が、0.1質量%以上となる量が好ましく、0.2質量%以上となる量がより好ましく、0.5質量%以上となる量が更に好ましい。また、溶媒の含有量は、溶媒に対しポリマーの割合が、20質量%以下となる量が好ましく、15質量%以下となる量がより好ましく、10質量%以下となる量が更に好ましい。
【0093】
<粘度調整方法>
本実施形態の粘度調整方法は、前記実施形態の組成物、インク、又は電荷輸送材料の粘度を、加熱又は冷却により1000mPa・sよりも大きく変化させるものである。
加熱又は冷却は、0〜300℃の温度範囲内において行われることが好ましく、この温度範囲は10〜200℃、15〜60℃であることが、この順にさらに好ましい。
加熱又は冷却は、例えば、10℃以上の温度変化を伴うものであることが好ましい。また、この温度変化は、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましく、60℃以下であることが一層好ましい。
この粘度調整方法によれば、組成物、インク、又は電荷輸送材料の温度と粘度の対応関係を予め知っておくことにより、それらの使用に際し、温度の調整のみで簡便に所望の粘度とすることができる。
【0094】
別の実施形態の粘度調整方法は、電荷輸送性を有する単位を有するポリマー又はオリゴマー、及び溶剤を含有する組成物の粘度調整方法であって、前記ポリマー又はオリゴマーに1級又は2級アミド基を導入することにより、加熱又は冷却により前記組成物の粘度を1000mPa・sよりも大きく変化させる、粘度調整方法である。
【0095】
<有機層>
本発明の実施形態である有機層は、前記実施形態の組成物、電荷輸送材料、又はインクを用いて形成された層である。インクを用いることによって、塗布法により有機層を良好かつ簡便に形成できる。塗布方法としては、例えば、スピンコーティング法;キャスト法;浸漬法;凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平版印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の有版印刷法;インクジェット法等の無版印刷法などの公知の方法が挙げられる。塗布法によって有機層を形成する場合、塗布後に得られた有機層(塗布層)を、ホットプレート又はオーブンを用いて乾燥させ、溶媒を除去してもよい。
前記実施形態の組成物、電荷輸送材料、又はインクは、選択する塗布方法に適した粘度とするために、上記の粘度調整方法に従って加熱又は冷却を行い、粘度調整を行うことができる。
【0096】
ポリマーが重合性官能基を有する場合、光照射、加熱処理等によりポリマーの重合反応を進行させ、有機層の溶解度を変化させることができる。溶解度を変化させた有機層を積層することで、有機エレクトロニクス素子の多層化を容易に図ることが可能となる。有機層の形成方法については、例えば、国際公開第WO2010/140553号の記載を参照できる。
【0097】
乾燥後又は硬化後の有機層の厚さは、電荷輸送の効率を向上させる観点から、好ましくは0.1nm以上であり、より好ましくは1nm以上であり、更に好ましくは3nm以上である。また、有機層の厚さは、電気抵抗を小さくする観点から、好ましくは300nm以下であり、より好ましくは200nm以下であり、更に好ましくは100nm以下である。
【0098】
<有機エレクトロニクス素子>
本発明の実施形態である有機エレクトロニクス素子は、少なくとも一つの前記実施形態の有機層を有する。有機エレクトロニクス素子として、例えば、有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタ等が挙げられる。有機エレクトロニクス素子は、好ましくは、少なくとも一対の電極の間に有機層が配置された構造を有する。
【0099】
<有機EL素子>
本発明の実施形態である有機EL素子は、少なくとも一つの前記実施形態の有機層を有する。有機EL素子は、通常、発光層、陽極、陰極、及び基板を備えており、必要に応じて、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等の他の機能層を備えている。好ましい一実施形態において、有機EL素子は、陽極、前記実施形態の有機層、発光層、及び陰極を有する。各層は、蒸着法により形成してもよく、塗布法により形成してもよい。有機EL素子は、好ましくは、前記有機層を発光層又は他の機能層として有し、より好ましくは機能層として有し、更に好ましくは正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一方として有する。
【0100】
図1は、有機EL素子の一実施形態を示す断面模式図である。
図1の有機EL素子は、多層構造の素子であり、基板8、陽極2、正孔注入層3及び正孔輸送層6、発光層1、電子輸送層7、電子注入層5、並びに陰極4をこの順に有している。以下、各層について説明する。
【0101】
[発光層]
発光層に用いる材料として、低分子化合物、ポリマー、デンドリマー等の発光材料を使用できる。ポリマーは、溶媒への溶解性が高く、塗布法に適しているため好ましい。発光材料としては、蛍光材料、燐光材料、熱活性化遅延蛍光材料(TADF)等が挙げられる。
【0102】
蛍光材料として、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクドリン、スチルベン、色素レーザー用色素、アルミニウム錯体、これらの誘導体等の低分子化合物;ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール、フルオレンーベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、これらの誘導体等のポリマー;これらの混合物等が挙げられる。
【0103】
燐光材料として、Ir、Pt等の金属を含む金属錯体などを使用できる。Ir錯体としては、例えば、青色発光を行うFIr(pic)(イリジウム(III)ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジネート−N,C
2]ピコリネート)、緑色発光を行うIr(ppy)
3(ファク トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム)、赤色発光を行う(btp)
2Ir(acac)(ビス〔2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナート−N,C
3〕イリジウム(アセチル−アセトネート))、Ir(piq)
3(トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム)等が挙げられる。Pt錯体としては、例えば、赤色発光を行うPtOEP(2、3、7、8、12、13、17、18−オクタエチル−21H、23H−フォルフィンプラチナ)等が挙げられる。
【0104】
発光層が燐光材料を含む場合、燐光材料の他に、更にホスト材料を含むことが好ましい。ホスト材料としては、低分子化合物、ポリマー、又はデンドリマーを使用できる。低分子化合物としては、例えば、CBP(4,4’−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル)、mCP(1,3−ビス(9−カルバゾリル)ベンゼン)、CDBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2’−ジメチルビフェニル)、これらの誘導体等が、ポリマーとしては、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフルオレン、これらの誘導体等が挙げられる。
【0105】
熱活性化遅延蛍光材料としては、例えば、Adv. Mater., 21, 4802-4906 (2009);Appl. Phys. Lett., 98, 083302 (2011);Chem. Comm., 48, 9580 (2012);Appl. Phys. Lett., 101, 093306 (2012);J. Am. Chem. Soc., 134, 14706 (2012);Chem. Comm., 48, 11392 (2012);Nature, 492, 234 (2012);Adv. Mater., 25, 3319 (2013);J. Phys. Chem. A, 117, 5607 (2013);Phys. Chem. Chem. Phys., 15, 15850 (2013);Chem. Comm., 49, 10385 (2013);Chem. Lett., 43, 319 (2014)等に記載の化合物が挙げられる。
【0106】
[正孔注入層、正孔輸送層]
上記の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された有機層を、正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも一方として使用することが好ましく、少なくとも正孔輸送層として使用することが一層好ましい。上述のとおり、有機エレクトロニクス材料を含むインクを用いることにより、これらの層を容易に形成することができる。
有機EL素子が、上記の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された有機層を正孔輸送層として有し、さらに正孔注入層を有する場合、正孔注入層には公知の材料を使用できる。また、有機EL素子が、上記の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された有機層を正孔注入層として有し、更に正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層には公知の材料を使用できる。
【0107】
[電子輸送層、電子注入層]
電子輸送層及び電子注入層に用いる材料としては、例えば、フェナントロリン誘導体、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレン、ペリレンなどの縮合環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、アルミニウム錯体等が挙げられる。また、前記実施形態の有機エレクトロニクス材料も使用できる。
【0108】
[陰極]
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金が用いられる。
【0109】
[陽極]
陽極材料としては、例えば、金属(例えば、Au)又は導電性を有する他の材料が用いられる。他の材料として、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))が挙げられる。
【0110】
[基板]
基板として、ガラス、プラスチック等を使用できる。基板は、透明であることが好ましく、また、フレキシブル性を有するフレキシブル基板であることが好ましい。石英ガラス、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。
【0111】
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等からなるフィルムが挙げられる。
【0112】
樹脂フィルムを用いる場合、水蒸気、酸素等の透過を抑制するために、樹脂フィルムへ酸化珪素、窒化珪素等の無機物をコーティングして用いてもよい。
【0113】
[封止]
有機EL素子は、外気の影響を低減させて長寿命化させるため、封止されていてもよい。封止に用いる材料としては、ガラス、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルム、又は酸化珪素、窒化ケイ素等の無機物を用いることができるが、これらに限定されることはない。
封止の方法も、特に限定されず、公知の方法で行うことができる。
【0114】
[発光色]
有機EL素子の発光色は特に限定されるものではない。白色の有機EL素子は、家庭用照明、車内照明、時計又は液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
【0115】
白色の有機EL素子を形成する方法としては、複数の発光材料を用いて複数の発光色を同時に発光させて混色させる方法を用いることができる。複数の発光色の組み合わせとしては、特に限定されないが、青色、緑色及び赤色の3つの発光極大波長を含有する組み合わせ、青色と黄色、黄緑色と橙色等の2つの発光極大波長を含有する組み合わせなどが挙げられる。発光色の制御は、発光材料の種類と量の調整により行うことができる。
【0116】
<表示素子、照明装置、表示装置>
本発明の実施形態である表示素子は、前記実施形態の有機EL素子を備えている。例えば、赤、緑及び青(RGB)の各画素に対応する素子として、有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。画像の形成方法には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。
【0117】
また、本発明の実施形態である照明装置は、本発明の実施形態の有機EL素子を備えている。さらに、本発明の実施形態である表示装置は、照明装置と、表示手段として液晶素子とを備えている。例えば、表示装置は、バックライトとして本発明の実施形態である照明装置を用い、表示手段として公知の液晶素子を用いた表示装置、すなわち液晶表示装置とすることができる。
【0118】
<有機光電変換素子>
本実施形態の有機光電変換素子は、陽極、有機層、光電変換層、及び陰極を有する有機光電変換素子であって、前記有機層の少なくとも一つが、前記実施形態の有機層である。
有機光電変換素子には、有機太陽電池及び有機光センサーが含まれ、通常、光電変換層、電極、及び基板を備えている。さらに、変換効率または空気中の安定性を向上させる目的で、バッファ層、電子輸送層などの他の層を1種以上有していてもよい。有機光電変換素子は、少なくとも上述の有機層を有しており、有機層を光電変換層及びバッファ層として使用することができ、バッファ層として使用することが好ましい。したがって、有機光電変換素子の例は、陽極、バッファ層としての有機層、光電変換層、及び陰極をこの順に有し、さらにこれらの層の間に任意の層を有していてもよい。以下に、有機光電変換素子の構成について記載する。
【0119】
[光電変換層]
光電変換層には、光を吸収して電荷分離を起こし、起電力を発生するものであれば任意の材料を用いることができる。特に、変換効率の観点から、p型有機半導体と、n型有機半導体とをブレンドした混合物が好ましい。
【0120】
p型有機半導体としては、例えば、オリゴチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリフェニレンビニレン(PPV)等のポリマー又はオリゴマー;ポルフィリン、フタロシアニン、銅フタロシアニン;これらの誘導体等が好適に使用できる。
【0121】
n型有機半導体としては、例えば、CN−ポリ(フェニレン−ビニレン)(CN−PPV)、MEH−CN−PPV、それらの−CF
3置換ポリマー等の−CN基または−CF3基含有ポリマー又はオリゴマー;ポリ(フルオレン)誘導体、フルオレン−ベンゾチアジアゾール共重合体等のポリマー又はオリゴマー;フラーレン(C
60)、[6,6]-Phenyl-C
61-butyric acid methyl ester(PCBM)、[6,6]-Phenyl-C
71-butyric acid methyl ester(PCBM)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)、ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド、キナクドリン;これらの誘導体等が好適に使用できる。
【0122】
光電変換層の形成方法としては、特に限定されず、蒸着法により形成しても、塗布法により形成してもよい。塗布法により形成する場合、有機光電変換素子を安価に製造することができ、より好ましい。塗布法により形成する方法としては、発光層の形成方法で述べた方法を用いることができる。
【0123】
[その他の層]
また、有機光電変換素子は、光電変換層以外に上述のバッファ層を有し、さらに電子輸送層などの層を有していてもよい。バッファ層としては、上述の有機層を用いることができ、電子輸送層としては、LiF、TiO
x、ZnO
x等が一般的に用いられる。
【0124】
[電極]
電極は、導電性を有するものであれば任意の材料を用いることが可能である。電極としては、例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム、フッ化リチウム等の金属あるいはそれらの合金又は塩;酸化インジウム、酸化錫等の金属酸化物、あるいはその合金(ITO);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl
3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子などのドーパントを添加した前記導電性高分子;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などが挙げられる。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0125】
電極は少なくとも一対(2個)設けられるが、少なくとも一方は透明電極である。透明電極としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の酸化物;金属薄膜;PEDOT:PSS等の導電性高分子などが挙げられる。
【0126】
電極は、光電変換層内に生じた正孔及び電子を捕集する機能を有するものであり、正孔及び電子の捕集に適した電極材料を対にして用いることが好ましい。正孔の捕集に適した電極材料としては、例えば、Au、ITO等の高い仕事関数を有する材料が挙げられる。一方、電子の捕集に適した電極としては、例えば、Alのような低い仕事関数を有する材
料が挙げられる。
電極の形成方法は、特に制限はないが、例えば、真空蒸着、スパッタ、塗布法等を用いることができる。
【0127】
[基板]
基板は、各層を支持できるものであれば任意の材料を用いることが可能である。基板としては、例えば、ガラス等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、塩化ビニル、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン、ポリ乳酸等の有機材料;絶縁性を付与するために表面をコートあるいはラミネートしたステンレス、チタン、アルミニウム等の金属等の複合材料などが挙げられる。また、ガスバリア性の付与のために、酸化珪素、窒化珪素等の無機物を積層した基板を用いてもよい。
特に、PET、PEN、PES、PI、PEI、COP、PPS等の有機材料からなるフィルムは、透明性、フレキシブル性を付与でき、好ましい。
【0128】
[封止]
光電変換素子は、外気の影響を低減させて長寿命化させるため、封止されていてもよい。封止に用いる材料としては、ガラス、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、PET、PEN等のプラスチックフィルム、酸化珪素、窒化珪素等の無機物等を用いることができる。
封止の方法としては、特に限定されないが、たとえば、真空蒸着、スパッタ、塗布法等により有機光電変換素子上に直接形成する方法、ガラス又はプラスチックフィルムを接着剤により有機光電変換素子に張り合わせる方法等が使用可能である。
【実施例】
【0129】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
<Pd触媒の調製>
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、室温下、サンプル管にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(73.2mg、80μmol)を秤取り、アニソール(15ml)を加え、30分間攪拌した。同様に、サンプル管にトリス(t−ブチル)ホスフィン(129.6mg、640μmol)を秤取り、アニソール(5mL)を加え、5分間攪拌した。これらの溶液を混合し、室温で30分間攪拌して、触媒の溶液を得た。なお、触媒の調製において、すべての溶媒は、30分以上窒素バブルにより脱気した後に使用した。
【0130】
<モノマー1:4-ブロモフェニルヘキシルアミドの合成>
100mLのナスフラスコにヘキシルアニリン5.06g(50mmol)、4−ブロモベンゾイルクロリド11.85g(54mmol)、及び炭酸カリウム6.91g(50mmol)を秤取り、トルエン30mLと純水30mLを加えて室温で2時間撹拌した。撹拌停止後、有機層を水洗し、硫酸マグネシウムで脱水後、減圧下で溶媒を留去した。さらに反応液を真空ポンプで乾燥させ、無色の液体14.1g(49.6mmol)を得た(収率99%)。生成物の
1H−NMRは以下の通りである。
1H-NMR(CDCl
3) [ δ= 7.63 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 6.14 (s, 1H), 3.43 (dd, 2H) , 1.62 (m, 2H), 1.42-1.31 (m, 6H), 0.89 (t, 3H) ]
【0131】
以上の合成反応の化学反応式を以下に示す。
【化13】
【0132】
<末端に2級アミド基を有するポリマーAの合成)
三口丸底フラスコに、下記モノマー2(1.0mmol)、下記モノマー3(2.5mmol)、上記合成したモノマー1(2.0mmol)、及びアニソール(20ml)を加え、さらに調製したPd触媒溶液(1.0mL)を加えた。混合物を30分撹拌した後、10%テトラエチルアンモニウム水酸化物水溶液(12mL)を加えた。すべての溶媒は30分以上、窒素バブルにより脱気した後、使用した。この混合物を2時間加熱・還流した。ここまでの全ての操作は窒素気流下で行った。
【0133】
【化14】
【0134】
反応終了後、有機層を水洗し、有機層をメタノール−水(9:1)に注いだ。生じた沈殿を吸引ろ過により回収し、メタノール−水(9:1)で洗浄した。得られた沈殿をトルエンに溶解し、メタノールから再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過により回収し、トルエンに溶解し、Triphenylphosphine, polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer(Strem Chemicals社、ポリマー100mgに対して200mg、以下「金属吸着剤」という。)を加えて、一晩撹拌した。撹拌終了後、金属吸着剤と不溶物をろ過して取り除き、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮液をトルエンに溶解した後、メタノール−アセトン(8:3)から再沈殿した。生じた沈殿を吸引ろ過により回収し、メタノール−アセトン(8:3)で洗浄した。得られた沈殿を真空乾燥し、置換基としてヘキシル基を有する2級アミド基を末端に有するポリマーAを得た。分子量は、溶離液にテトラヒドロフラン(THF)を用いたGPC(ポリスチレン換算)により測定した。重量平均分子量は39,000、収率は52%であった。
【0135】
GPCの測定条件は以下のとおりである。
送液ポンプ:L−6050 (株)日立ハイテクノロジーズ
UV−Vis検出器:L−3000 (株)日立ハイテクノロジーズ
カラム:Gelpack(登録商標) GL−A160S/GL−A150S 日立化成(株)
溶離液:THF(HPLC用、安定剤を含まない) 和光純薬工業(株)
流速:1mL/min
カラム温度:室温
分子量標準物質:標準ポリスチレン
【0136】
ポリマーAは、モノマー2に由来する構造単位B、モノマー3に由来する構造単位L2、及びモノマー1に由来する構造単位T1を有しており、それぞれの構造単位の割合(モル%)は、24.4%、49.6%、及び25.9%であった。また、それぞれの構造単位の単位数の平均値は、33、67、及び35であった。
【0137】
ここで、構造単位の割合は、各単位数の平均値から求めた割合である(例えば構造単位Bであれば「33/(33+67+35)」と計算)。
また、各構造単位の単位数の平均値は、ポリマーAの重量平均分子量(39,000)から算出した。具体的には、ポリマーAの重量平均分子量(39,000)=(Bの分子量)×(Bの単位数)+(L2の分子量)×(L2の単位数)+(T1の分子量)×(T1の単位数)であり、鈴木カップリングは交互共重合であることからBの単位数を「n」とすると、各単位の比率(B):(L2):(T1)=n:2n+1:n+2となる。また、各構造単位(B、L2、T1)の分子量は、使用したモノマーの分子量から反応により脱離する原子の分子量を差し引いて計算できる(構造単位Bの分子量=約242、構造単位L2の分子量=約299、構造単位T1の分子量=約305)ので、これらを用いて計算した。以下の合成例においても同様の計算を行った。
【0138】
<モノマー4:4-ブロモフェニルジヘキシルアミドの合成>
100mLのナスフラスコにジヘキシルアニリン9.27g(50mmol)、4−ブロモベンゾイルクロリド11.85g(54mmol)、及び炭酸カリウム6.91g(50mmol)を秤取り、トルエン30mLと純水30mLを加えて室温で2時間撹拌した。撹拌停止後、有機層を水洗し、硫酸マグネシウムで脱水後、減圧下で溶媒を留去した。さらに反応液を真空ポンプで乾燥させた後、シリカゲルクロマトグラフィにより精製し、淡黄色の液体9.67g(26.2mmol)を得た(収率52%)。生成物の1H−NMRは以下の通りである。
1H-NMR(CDCl3) [δ= 7.52 (d, 2H), 7.25 (d, 2H), 3.46 (dd, 2H) , 3.16 (dd, 2H) , 1.63-1.13 (m, 16H), 0.87 (t, 6H) ]
【0139】
以上の合成反応の化学反応式を以下に示す。
【化15】
【0140】
<末端に3級アミド基を有するポリマーBの合成)
モノマー1を上記合成したモノマー4(2.5mmol)に変更した以外は、合成例1と同様の方法でポリマーBを得た。重量平均分子量は48,000、収率は53%であった。
【化16】
【0141】
ポリマーBは、モノマー2に由来する構造単位B、モノマー3に由来する構造単位L2、及びモノマー4に由来する構造単位T2を有しており、それぞれの構造単位の割合は、24.5%、49.7%、及び25.7%であった。また、それぞれの単位数の平均値は、41、83、及び43であった。
【0142】
<末端にアルキル基を有するポリマーCの合成)
モノマー1を下記モノマー5(2.5mmol)に変更した以外は、合成例1と同様の方法でポリマーCを得た。重量平均分子量は52,000、収率は53%であった。
【化17】
【0143】
ポリマーBは、モノマー2に由来する構造単位B、モノマー3に由来する構造単位L2、及びモノマー5に由来する構造単位T2を有しており、それぞれの構造単位の割合は、24.6%、49.7%、及び25.7%であった。また、それぞれの単位数の平均値は、45、91、及び47であった。
【0144】
[実施例1、比較例1〜2]
(インクの調製)
各実施例・比較例において、上記で得たポリマーA、B又はCを、それぞれメシチレンに溶解(ポリマー4.5mg/40.5mg)し、インク1〜3を調製した。いずれのインクも、均一な溶液として得られた。
【0145】
調製した各インクについて、30℃、40℃、及び60℃における粘度を測定した。粘度の測定は、粘度計(東機産業(株)製 TPE−100H)を用いて、ずり速度2sec
-1の粘度で比較を行った。測定結果を表1に示す。
【0146】
【表1】
【0147】
表1より明らかであるように、本実施形態のインクは、温度によって粘度が1000mPa・sよりも大きく変化することを示した。本実施形態の組成物を使用することにより、温度を変化させるだけで、様々な印刷方法に適した粘度に調節でき、有機エレクトロニクス素子の塗布法による多層化を、簡便に行うことができる。