(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583957
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】管体の離脱防止機構
(51)【国際特許分類】
F16L 21/08 20060101AFI20190919BHJP
F16L 21/02 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
F16L21/08 Z
F16L21/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-117457(P2015-117457)
(22)【出願日】2015年6月10日
(65)【公開番号】特開2017-2996(P2017-2996A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2017年7月31日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年3月2日 株式会社栗本鐡工所湖東工場において試験を実施
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】奥田 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】硲 昌也
(72)【発明者】
【氏名】藤本 光伸
(72)【発明者】
【氏名】間宮 聡
(72)【発明者】
【氏名】有吉 充
(72)【発明者】
【氏名】毛利 栄征
【審査官】
大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭53−125323(JP,U)
【文献】
特開平10−238671(JP,A)
【文献】
特開2012−077788(JP,A)
【文献】
特開昭53−072217(JP,A)
【文献】
特開平10−238673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L21/00−21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿し側管体(1)と、
前記挿し側管体(1)が挿し込まれる受け側管体(2)と、
前記挿し側管体(1)の外周面先端部に、前記受け側管体(2)に臨むように径方向に突出して設けられる係止突起(3)と、
前記受け側管体(2)の内周面に設けられ、両管体(1、2)に引き抜き力が作用した際に前記係止突起(3)と当接し、前記受け側管体(2)の先端部に向かうほど、その径方向の肉厚を小さくする丸め加工部(4a)と、奥側端部に、その径方向内向きに起立した当接壁(4b)が形成された抜け止め部材(4)と、
前記受け側管体(2)の内周面先端部に、両管体(1、2)の挿し込み状態において、前記抜け止め部材(4)に対して、前記係止突起(3)の管体軸方向反対側に、前記抜け止め部材(4)と離間して設けられる、径方向内向きに起立した環状突部(5a)が形成された水密部材(5)と、
を備え、
前記挿し側管体(1)及び前記受け側管体(2)が、繊維強化プラスチックと樹脂モルタルとを複合した強化プラスチック複合材からなり、
前記抜け止め部材(4)を弾性体とし、
前記抜け止め部材(4)の素材がゴムであって、
前記抜け止め部材(4)に対する外力が作用していない状態において、この抜け止め部材(4)の内径よりも、前記挿し側管体(1)の外径を大とし、
前記係止突起(3)と前記当接壁(4b)との当接力によって、前記丸め加工部(4a)を変形させつつ前記挿し側管体(1)の外周面に押し当て、
前記係止突起(3)と前記当接壁(4b)が当接して、前記抜け止め部材(4)と前記環状突部(5a)が変形したときに、前記抜け止め部材(4)と前記環状突部(5a)との間に隙間(g)を形成して両者の接触を防止するようにした管体の離脱防止機構。
【請求項2】
前記係止突起(3)を、金属、モルタル、樹脂含浸繊維、又はこれらを積層し、積層体とした請求項1に記載の管体の離脱防止機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、挿し側管体と受け側管体との連結時における水密状態を確保しつつ、両管体の抜け止めを図るための管体の離脱防止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
農業用水や上水道等の管路においては、挿し側管体を受け側管体に挿し込むとともに、両管体の間に介在して水密部材を設ける構成が一般的に採用される。このように、両管体の間に水密部材を介在させることにより、両管体の間の隙間からの漏水を防止している。近年、大規模な地震が頻発しており、地震による揺れが管体に作用すると、両管体が離脱して、漏水が生じる問題がある。そこで、地震の揺れが管体に作用しても、連結した管体同士が互いに抜けないように、抜け止め防止機構を採用することがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、先端外周面に突部2が設けられた、挿し口1を有する一方の管と、受け口3を有する他方の管とを結合する管継手構造が示されている。この管継手構造においては、挿し口1と受け口3との間に止水用ゴム輪4が配置されている。この止水用ゴム輪4には、係止片5が取り付けられている。また、受け口3の内周面には、係止片5が係合する係止片用溝部3bが形成され、この係止片用溝部3bの受け口3の管端側に寄った位置には、止水用ゴム輪4が嵌め込まれる止水ゴム輪用溝部3aが形成されている。挿し口1は、この挿し口1に設けられた突部2が止水用ゴム輪4を通過するまで受け口3に挿し込まれる。挿し口1が受け口3に挿し込まれた状態で両管に引っ張り力が作用すると、突部2は係止片5を介して係止片用溝部3bに当接し、管体の連結部分からの漏水を防止するとともに、管体同士の離脱を防止することができる(本文献の段落0033等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−142049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る構成は、止水用ゴム輪4が係止片5と一体に構成されているため、この係止片5が突部2と係止片用溝部3bとの間に挟み込まれた際に、この挟み込み力によって係止片が変位し、この変位に伴って止水用ゴム輪4に負荷が作用することがある。この負荷に起因して止水用ゴム輪4にひび割れ等の劣化が生じると、この止水用ゴム輪4による止水効果が低下して、管体の連結部分から漏水する問題が生じる虞がある。
【0006】
そこで、この発明は、管体同士の離脱防止、及び連結部分からの漏水防止の両立を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、この発明では、挿し側管体と、前記挿し側管体が挿し込まれる受け側管体と、前記挿し側管体又は前記受け側管体のうち一方側の管体の先端部に、相手側管体に臨むように径方向に突出して設けられる係止突起と、前記挿し側管体又は前記受け側管体のうち他方側の管体に設けられ、両管体に引き抜き力が作用した際に前記係止突起と当接する抜け止め部材と、前記挿し側管体又は前記受け側管体のいずれか一方側に、両管体の挿し込み状態において、前記抜け止め部材に対して、前記係止突起の管体軸方向反対側に、前記抜け止め部材と離間して設けられる水密部材と、を備えた管体の離脱防止機構を構成した。
【0008】
このように、両管体に引き抜き力が作用した際に、係止突起と抜け止め部材が当接するようにしたことにより、管体同士の離脱を確実に防止することができる。しかも、抜け止め部材と水密部材とを離間させたので、係止突起に抜け止め部材が係合して、この抜け止め部材が引き抜き力によって変形した場合においても、その変形の影響が水密部材には及ばない。このため、水密部材にひび割れ等の劣化が生じにくく、長期に亘って連結部分からの漏水を確実に防止することができる。
【0009】
前記構成においては、前記挿し側管体及び前記受け側管体が、繊維強化プラスチックと樹脂モルタルとを複合した強化プラスチック複合材からなる構成とするのが好ましい。このように、強化プラスチック複合材を用いることにより、管体連結部の高い強度を確保することができ、大地震の際の管体同士の離脱防止作用に加えて、破損防止作用も発揮される。
【0010】
前記各構成においては、前記抜け止め部材に、この抜け止め部材への外力無負荷時において管体の径方向かつ奥方向に開口する開口部を形成した構成とすることもできる。このように、抜け止め部材に開口部を形成しておくことにより、挿し側管体を受け側管体に挿し込む際には、この開口部が一旦閉じてスムーズに両管体を連結することができる。しかも、管体同士の連結後は、両管体に引き抜き力が作用した際に、抜け止め部材と係止突起が当接し、両管体の離脱防止作用が確実に発揮される。
【0011】
前記各構成においては、前記係止突起を、金属、モルタル、樹脂含浸繊維、又はこれらを積層し、積層体とした構成とすることができる。このように、係止突起の素材として金属等を選択することにより、管体に係止突起を容易に形成することができる。しかも、これらの素材は十分な強度を備えており、抜け止め部材が係止突起に当接した際に、この係止突起が破損することなく、両管体の抜け止め作用が確実に発揮される。
【0012】
前記各構成においては、前記抜け止め部材を弾性体とすることができる。このように、弾性体(ゴム等)を採用することにより、挿し側管体と受け側管体の連結をスムーズに行うとともに、両管体に引き抜き力が作用した際に、この抜け止め部材と当接する係止突起に過大な力が作用するのを防止して、この係止突起の長寿命化を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明では、挿し側管体と、前記挿し側管体が挿し込まれる受け側管体と、前記挿し側管体又は前記受け側管体のうち一方側の管体の先端部に、相手側管体に臨むように径方向に突出して設けられる係止突起と、前記挿し側管体又は前記受け側管体のうち他方側の管体に設けられ、両管体に引き抜き力が作用した際に前記係止突起と当接する抜け止め部材と、前記挿し側管体又は前記受け側管体のいずれか一方側に、両管体の挿し込み状態において、前記抜け止め部材に対して、前記係止突起の管体軸方向反対側に、前記抜け止め部材と離間して設けられる水密部材と、を備えた管体の離脱防止機構を構成した。
【0014】
このように、両管体に引き抜き力が作用した際に、係止突起と抜け止め部材が当接するようにしたことにより、管体同士の離脱を確実に防止することができる。しかも、抜け止め部材と水密部材とを離間させたので、係止突起に抜け止め部材が係合して、この抜け止め部材が変形した場合においても、その変形の影響が水密部材には及ばない。このため、水密部材にひび割れ等の劣化が生じにくく、長期に亘って連結部分からの漏水を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明に係る管体の離脱防止機構の第一実施形態を示す縦断面図であって、(a)は両管体の連結前の状態、(b)は両管体を連結した状態、(c)は両管体に引き抜き力が作用した状態
【
図2】この発明に係る管体の離脱防止機構の第二実施形態を示す縦断面図であって、(a)は両管体の連結前の状態、(b)は両管体を連結した状態、(c)は両管体に引き抜き力が作用した状態
【
図3】この発明に係る管体の離脱防止機構の第三実施形態を示す縦断面図であって、(a)は両管体の連結前の状態、(b)は両管体を連結した状態、(c)は両管体に引き抜き力が作用した状態
【
図4】この発明に係る管体の離脱防止機構の第四実施形態を示す縦断面図であって、(a)は両管体の連結前の状態、(b)は両管体を連結した状態、(c)は両管体に引き抜き力が作用した状態
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明に係る管体の離脱防止機構の第一実施形態を
図1(a)〜(c)に示す。この管体の離脱防止機構は、互いに連結した挿し側管体1と受け側管体2が、地震の揺れ等によって互いに抜けないようにするためのものである。この管体の離脱防止機構は、挿し側管体1と、この挿し側管体1が挿し込まれる受け側管体2と、挿し側管体1の外周面先端部に設けられる係止突起3と、受け側管体2の内周面に設けられる抜け止め部材4と、受け側管体2の内周面先端部に設けられる水密部材5と、を備えている。
【0017】
挿し側管体1には、先端部において管体の外径を縮径する段部1aが形成されており、受け側管体2を、その先端が段部1aに突き当たるまで挿し込み得るようになっている。挿し側管体1及び受け側管体2は、いずれも繊維強化プラスチックと樹脂モルタルとを複合した強化プラスチック複合材で構成されている。
【0018】
係止突起3は円環状をしており、その外径側に、挿し側管体1の先端に向かうほど、径方向の肉厚を小さくする傾斜面3aが形成されるとともに、奥側端部に、径方向外向きに起立した当接壁3bが形成されている。このように、傾斜面3aを形成することにより、この傾斜面3aに沿って受け側管体2に形成した抜け止め部材4及び水密部材5を挿し側管体1の奥側に案内して、両管体1、2の連結をスムーズに行うことができる。また、当接壁3bを形成することにより、この当接壁3bに抜け止め部材4を当接させて、管体1、2同士の抜け止めを図ることができる。
【0019】
この係止突起3の素材として、樹脂を含浸させた樹脂含浸繊維を複数積層した積層体が用いられている。この積層体は、挿し側管体1の外面に容易に形成することができる。しかも、硬化後の積層体は十分な強度を備えており、抜け止め部材4が係止突起3に当接した際に、両管体1、2の抜け止め作用が確実に発揮される。この実施形態においては、係止突起3の素材として樹脂含浸繊維の積層体を採用したが、金属、モルタル、又はこれらを積層した積層体も適宜採用することができる。この係止突起3の素材の硬度は、高ければ高いほど耐久性が向上するため好ましい。この実施形態においては、円環状の係止突起3を採用したが、この係止突起3は必ずしも円環状でなくてもよい。例えば、所定の円周角(例えば30度)に形成された複数の係止突起3を、所定角度間隔をもって円環状に配置した構成とすることもできる。
【0020】
抜け止め部材4は円環状をしており、その内径側に、受け側管体2の先端に向かうほど、径方向の肉厚を小さくする丸め加工部4aが形成されるとともに、奥側端部に、径方向内向きに起立した当接壁4bが形成されている。このように、丸め加工部4aを形成することで、この丸め加工部4aに沿って係止突起3がスムーズに案内され、挿し側管体1と受け側管体2を容易に連結することができる。しかも、この抜け止め部材4の当接壁4bと係止突起3の当接壁3bとが当接して、この当接力(引き抜き力)で抜け止め部材4が変形しても、抜け止め部材4と水密部材5との接触を防止することができる(
図1(b)中の符号gで示す隙間参照)。この接触を防止することにより、水密部材5にひび割れ等の劣化が生じて、漏水防止作用が低下するのを防止することができる。この第一実施形態においては、円環状の抜け止め部材4を採用したが、上記において説明した係止突起3と同様に、必ずしも円環状でなくてもよく、係止突起3を設けた位置に対応する位置のみに、抜け止め部材4を設けた構成とすることもできる。
【0021】
また、この抜け止め部材4の受け側管体2の内周面に臨む面には環状突部4cが形成されており、この環状突部4cは、受け側管体2の内周面に形成された周溝2aに嵌め込まれている。このように、環状突部4cを周溝2aに嵌め込むことによって、両管体1、2に引き抜き力が作用した際に、抜け止め部材4がその軸方向にずれて、管体1、2同士の離脱防止作用が発揮できなくなるのを防止することができる。この抜け止め部材4の素材として弾性体(ゴム等)が採用されており、両管体1、2の連結をスムーズに行い得るとともに、両管体1、2に引き抜き力が作用した際に、確実に離脱防止を図ることができる。また、抜け止め部材4を弾性体とすることにより、この抜け止め部材4と当接する係止突起3に過大な力が作用せず、この係止突起3の長寿命化を図ることができる。
【0022】
水密部材5は円環状をしており、その内径側に、径方向内向きに起立した2本の環状突部5a、5aが形成されている。各環状突部5a、5aには受け側管体2の先端に向かうほど、径方向の肉厚を小さくする傾斜面5bが形成されるとともに、奥側端部に、径方向内向きに起立した起立面5cが形成されている。このように、受け側管体2の先端側に傾斜面5bを形成すると、両管体1、2を連結する際に、傾斜面5bが係止突起3に形成された傾斜面3aに案内されるため、その連結をスムーズに行うことができる。
【0023】
水密部材5の受け側管体2先端側の端部には、径方向外向きに起立するフランジ5dが形成されている。このフランジ5dは、受け側管体2の端面を覆っている。このため、両管体1、2を連結した際に、挿し側管体1の段部1aと受け側管体2の端部が直接当接せず、連結作業の際の騒音発生や、両管体1、2の傷付きを防止することができる。
【0024】
また、この水密部材5の受け側管体2の内周面に臨む面には周溝5eが2本形成されており、この周溝5eに、受け側管体2の内周面に形成された環状突部2bが嵌め込まれている。このように環状突部2bを周溝5eに嵌め込むことによって、両管体1、2を連結する際に、水密部材5がその軸方向にずれて、漏水防止作用が低下するのを防止することができる。
【0025】
両管体1、2を連結した状態で、
図1(c)に示すように両管体1、2に引き抜き力が作用すると、係止突起3と抜け止め部材4が当接して、両管体1、2の離脱が防止される。
【0026】
この発明に係る管体の離脱防止機構の第二実施形態を
図2(a)〜(c)に示す。この管体の離脱防止機構は、第一実施形態に係るものと基本的な構成は同じであるが、係止突起3の挿し側管体1の外周面に臨む面に環状突部3cが形成されており、この環状突部3cが、挿し側管体1の外周面に形成された周溝1bに嵌め込まれている点で異なる。このように、環状突部3cを周溝1bに嵌め込むことによって、両管体1、2に引き抜き力が作用した際に、係止突起3がその軸方向にずれて、管体1、2同士の離脱防止作用が発揮できなくなるのを防止することができる。
【0027】
この発明に係る管体の離脱防止機構の第三実施形態を
図3(a)〜(c)に示す。この管体の離脱防止機構は、第一実施形態に係るものと基本的な構成は同じであるが、抜け止め部材4に、丸め加工部4a(
図1(a)参照)の代わりに傾斜面4dを形成するとともに、この抜け止め部材4の外力無負荷時において、受け側管体1の径方向かつ奥方向に開口する開口部4eを形成した点において異なる。このように、抜け止め部材4に開口部4eを形成しておくことにより、挿し側管体1を受け側管体2に挿し込む際には、この開口部4eが一旦閉じてスムーズに両管体1、2を連結することができる。しかも、管体1、2同士の連結後は、両管体1、2に引き抜き力が作用した際に、抜け止め部材4と係止突起3が当接し、両管体1、2の離脱防止作用が確実に発揮される。
【0028】
なお、
図3(b)(c)においては、両管体1、2の連結状態において開口部4eが閉じた態様を示しているが、挿し側管体1の外周面と受け側管体2の内周面とをさらに離間させ、両管体1、2の連結状態において、開口部4eが若干開口した態様としてもよい。
【0029】
この発明に係る管体の離脱防止機構の第四実施形態を
図4(a)〜(c)に示す。この管体の離脱防止機構は、第一実施形態に係るものと基本的な構成は同じであるが、挿し側管体1の段部1a(
図1(a)等参照)を形成していない点で異なる。このように、段部1aを形成しないことにより、挿し側管体1の加工コストを低減できるとともに、受け側管体2への挿し側管体1の差し込み深さの自由度を向上することができる。
【0030】
上記の各実施形態において説明した管体1、2の離脱防止機構及び離脱防止部材はあくまでも一例であって、管体同士の離脱防止、及び連結部分からの漏水防止の両立を図る、という本願発明の課題を解決し得る限りにおいて、その構成部材の形状、配置、個数等は適宜変更することができる。例えば、挿し側管体1に抜け止め部材4を設けるとともに、受け側管体2に係止突起3を設け、さらに、挿し側管体1に水密部材5を設ける態様とすることもできる。
【符号の説明】
【0031】
1 挿し側管体
1a 段部
1b 周溝
2 受け側管体
2a 周溝
2b 環状突部
3 係止突起
3a 傾斜面
3b 当接壁
3c 環状突部
4 抜け止め部材
4a 丸め加工部
4b 当接壁
4c 環状突部
4d 傾斜面
4e 開口部
5 水密部材
5a 環状突部
5b 傾斜面
5c 起立面
5d フランジ
5e 周溝
g 隙間