特許第6583985号(P6583985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6583985電極リード線部材の製造方法及び電極リード線部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583985
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】電極リード線部材の製造方法及び電極リード線部材
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/30 20060101AFI20190919BHJP
   H01M 2/06 20060101ALI20190919BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20190919BHJP
   H01M 2/08 20060101ALI20190919BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20190919BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20190919BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALN20190919BHJP
【FI】
   H01M2/30 D
   H01M2/06 K
   H01M10/04 Z
   H01M2/08 K
   H01G11/84
   H01G11/74
   !H01M10/0585
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-43663(P2015-43663)
(22)【出願日】2015年3月5日
(65)【公開番号】特開2016-162730(P2016-162730A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】村田 穂
(72)【発明者】
【氏名】高波 正充
(72)【発明者】
【氏名】東倉 充
(72)【発明者】
【氏名】山下 祥司
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−199816(JP,A)
【文献】 特開2014−207069(JP,A)
【文献】 特開平11−312514(JP,A)
【文献】 特開2000−285904(JP,A)
【文献】 特開2013−020878(JP,A)
【文献】 特開2007−035379(JP,A)
【文献】 特開2014−217886(JP,A)
【文献】 特開2012−003877(JP,A)
【文献】 特開2002−075327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/30
H01G 11/74
H01G 11/84
H01M 2/06
H01M 2/08
H01M 10/04
H01M 10/0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極リード線部材の製造方法であって、次の工程(1)〜(3)、
(1)断面が円形状で直径が1.6mm〜8.0mmであり、長さが0.3mから2000mの長尺の金属線材を、対向する少なくとも一対の圧延ロールを備えた圧延機により連続的に圧延して製造された長尺の金属薄板帯であって、前記長尺の金属薄板帯の幅方向の両端部に切断面が形成されておらず、前記幅方向の両端部が、曲面に仕上がっている前記長尺の金属薄板帯を製造する工程と、
(2)前記金属薄板帯に不動態化処理液を塗布した後に乾燥させて、前記金属薄板帯の表面に耐食性保護層を形成する工程と、
(3)前記金属薄板帯を、所定間隔で幅方向に切断する工程と、
を順に経ることを特徴とする電極リード線部材の製造方法。
【請求項2】
電極リード線部材の製造方法であって、次の工程(1)〜(4)、
(1)断面が円形状で直径が1.6mm〜8.0mmであり、長さが0.3mから2000mの長尺の金属線材を、対向する少なくとも一対の圧延ロールを備えた圧延機により連続的に圧延して製造された長尺の金属薄板帯であって、前記長尺の金属薄板帯の幅方向の両端部に切断面が形成されておらず、前記幅方向の両端部が、曲面に仕上がっている前記長尺の金属薄板帯を製造する工程と、
(2)前記金属薄板帯に不動態化処理液を塗布した後に乾燥させて、前記金属薄板帯の表面に耐食性保護層を形成する工程と、
(3)前記金属薄板帯の長手方向に、所定間隔で絶縁フィルムを貼り合わせ加熱圧着する工程と、
(4)前記金属薄板帯を、所定間隔で幅方向に切断する工程と、
を順に経ることを特徴とする電極リード線部材の製造方法。
【請求項3】
電極リード線部材の製造方法であって、次の工程(1)〜(4)、
(1)断面が円形状で直径が1.6mm〜8.0mmであり、長さが0.3mから2000mの長尺の金属線材を、対向する少なくとも一対の圧延ロールを備えた圧延機により連続的に圧延して製造された長尺の金属薄板帯であって、前記長尺の金属薄板帯の幅方向の両端部に切断面が形成されておらず、前記幅方向の両端部が、曲面に仕上がっている前記長尺の金属薄板帯を製造する工程と、
(2)前記金属薄板帯に不動態化処理液を塗布した後に乾燥させて、前記金属薄板帯の表面に耐食性保護層を形成する工程と、
(3)前記金属薄板帯の長手方向に、所定間隔で絶縁フィルムを貼り合わせ加熱圧着する工程と、
(4)前記絶縁フィルムが加熱圧着された前記金属薄板帯を、リールに巻き取る工程と、
を順に経ることを特徴とする電極リード線部材の製造方法。
【請求項4】
前記絶縁フィルムが、無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、エポキシ官能基を有するグリシジルメタクリレートモノマーで変性されたポリプロピレン樹脂からなる樹脂群から選択された1種の樹脂の単層フィルム、又は前記樹脂群から選択された2種以上の樹脂の積層フィルムであることを特徴とする請求項2又は3に記載の電極リード線部材の製造方法。
【請求項5】
前記金属線材が、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、銅からなる金属群から選択された1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電極リード線部材の製造方法。
【請求項6】
前記不動態化処理液が、水溶性樹脂と、Fイオンを含む化合物であるフッ化金属又はその誘導体とを含有する処理液であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電極リード線部材の製造方法。
【請求項7】
断面が円形状の金属線材を圧延して製造された長尺の圧延金属薄板帯であって、前記長尺の圧延金属薄板帯の幅方向の両端部に切断面が形成されておらず、前記幅方向の両端部が、曲面に仕上がっている前記長尺の圧延金属薄板帯の表面に、耐食性保護層が形成されてなり、前記金属線材が、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、銅からなる金属群から選択された1種であり、前記耐食性保護層の上に、無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、エポキシ官能基を有するグリシジルメタクリレートモノマーで変性されたポリプロピレン樹脂からなる樹脂群から選択された1種の樹脂の単層フィルム、又は前記樹脂群から選択された2種以上の樹脂の積層フィルムからなる絶縁フィルムが加熱圧着されてなり、前記耐食性保護層が、前記圧延金属薄板帯の表面に、水溶性樹脂と、Fイオンを含む化合物であるフッ化金属又はその誘導体と、を含有する不動態化処理液を塗布した後に乾燥させて形成されてなることを特徴とする電極リード線部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池、キャパシタ、固体電池、太陽電池モジュールなどに使用される電極リード線部材の製造方法及び電極リード線部材に関する。さらに詳細には、本発明は、バリ取りの不良に起因する絶縁不良の発生を確実に防止できると共に、生産性に優れた電極リード線部材の製造方法及び電極リード線部材に関する。
また、以下の説明では、リチウム二次電池用の電極リード線部材の製造方法及び電極リード線部材を中心に説明するが、本発明は、リチウム二次電池用に限定されず、各種の電極用として使用できる電極リード線部材の製造方法及び電極リード線部材を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、世界的な環境問題の高まりと共に、電気自動車の普及や、風力発電・太陽光発電などの自然エネルギーの有効活用が課題となっている。それに伴って、これらの技術分野では、電気エネルギーを貯蔵するための蓄電池として、リチウムイオン電池などの二次電池やキャパシタが注目されている。
また、電気自動車などに使用されるリチウムイオン電池を収納する外装容器には、アルミニウム箔と樹脂フィルムを積層した電池外装用積層体を使用して作成した平袋や、絞り成形または折り曲げ成形による成形容器が使用されて薄型軽量化が図られている。
ところで、リチウムイオン電池の電解液は、水分や光に弱いという性質を有している。そのため、リチウムイオン電池用の外装材料には、ポリアミドやポリエステルからなる基材層とアルミニウム箔とが積層された、防水性や遮光性に優れた電池外装用積層体が使用されている。
【0003】
このような電池外装用積層体を用いて作成された収納容器に、リチウムイオン電池を収納するには、例えば、図3(a)に示すように、あらかじめ電池外装用積層体を用いて、凹部31を有するトレー状の形状を絞り成形などにより成形し、そのトレーの凹部31にリチウムイオン電池(図示せず)および電極などの付属品を収納する。次いで、図3(b)に示すように、電池外装用積層体からなる蓋材33を上から重ねて電池を包み、トレーのフランジ部32と蓋材33の四方の側縁部34をヒートシールして電池を密閉する。このようなトレーの凹部31に電池を載置する方法により形成された収納容器35では、上から電池を収納できるため、生産性が高い。
【0004】
上述した図3(a)に示したリチウムイオン電池の載置容器30において、トレーの深さ(以下、トレーの深さを「絞り」ということがある)は、従来、小型のリチウムイオン電池においては5〜6mm程度であった。ところが、近年では、電気自動車用などの用途では、これまでより大型電池用の収納容器が求められている。大型電池用の収納容器を製造するには、より深い絞りのトレーを成形しなければならなくなり技術的な困難さが増している。
また、リチウムイオン電池の電極リード線部材36の切断面に、バリ取りの不良に起因したバリが残っていると、絶縁フィルムの破損が起こり、その結果として絶縁不良が発生する恐れがあるという問題があった。
【0005】
上記のリチウムイオン電池の電極リード線部材に係わる問題の解決を図るものとして、特許文献1には、リード電極の側面と外装材との間に隙間が残ることに起因した封止不良の発生を解消して、生産性が高く外装材に包容される電池内部の密封性を高めるため、外装材とリード電極との間隙に介挿されてその間隙を封止する熱可塑性材料からなるシール材を備えることが開示されている。
また、特許文献2には、電池タブの製造工程において電池タブの端面に発生するバリがリチウムイオン電池の安定的電池性能を阻害して、電池タブとリチウムイオン電池の短絡を発生させる問題を解決し、安定した電池性能を示す電池タブの効率的な製造方法及びその方法に用いるフープ材が開示されている。
また、特許文献2の電池タブの製造方法は、長尺帯状の金属部材で構成されるフープ材の幅方向両端部近傍を押圧する第1工程と、フープ材の表裏面に幅方向に延びる帯状のメッキ層を長手方向に所定間隔で形成する第2工程と、フープ材の表面全体に耐食コート層を積層する第3工程と、メッキ層に沿ってフープを幅方向に切断する第4工程と、を有することを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−266952号公報
【特許文献2】特開2010−238613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、従来技術による電極リード線部材の生産は、バリ取り工程を経る必要があるが、このバリ取り工程に不具合が発生すると、直接に電池の性能に重大な影響を及ぼす。そのため、さらに電極リード線部材の生産において、安定性及び信頼性の向上した電極リード線部材の製造方法が求められている。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みて行われたものであり、バリ取りの不良に起因する絶縁不良の発生を確実に防止できると共に、生産性に優れた電極リード線部材の製造方法及び電極リード線部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、金属薄板を切断して電極リード線部材を製造することに伴うバリの発生を避けると共に、バリ取り工程を省くため、断面が円形状の金属線材を、対向する少なくとも一対の圧延ロールを備えた圧延機により連続的に圧延して長尺の金属薄板帯を製造する。このことにより、長尺の金属薄板帯の幅方向の両端部に切断面が形成されておらず、幅方向の両端部が、おのずと曲面に仕上がっている長尺の金属薄板帯を得ることを技術思想としている。
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明は、電極リード線部材の製造方法であって、次の工程(1)〜(3)、
(1)断面が円形状で直径が1.6mm〜8.0mmであり、長さが0.3mから2000mの長尺の金属線材を、対向する少なくとも一対の圧延ロールを備えた圧延機により連続的に圧延して製造された長尺の金属薄板帯であって、前記長尺の金属薄板帯の幅方向の両端部に切断面が形成されておらず、前記幅方向の両端部が、曲面に仕上がっている前記長尺の金属薄板帯を製造する工程と、
(2)前記金属薄板帯に不動態化処理液を塗布した後に乾燥させて、前記金属薄板帯の表面に耐食性保護層を形成する工程と、
(3)前記金属薄板帯を、所定間隔で幅方向に切断する工程と、
を順に経ることを特徴とする電極リード線部材の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、電極リード線部材の製造方法であって、次の工程(1)〜(4)、
(1)断面が円形状で直径が1.6mm〜8.0mmであり、長さが0.3mから2000mの長尺の金属線材を、対向する少なくとも一対の圧延ロールを備えた圧延機により連続的に圧延して製造された長尺の金属薄板帯であって、前記長尺の金属薄板帯の幅方向の両端部に切断面が形成されておらず、前記幅方向の両端部が、曲面に仕上がっている前記長尺の金属薄板帯を製造する工程と、
(2)前記金属薄板帯に不動態化処理液を塗布した後に乾燥させて、前記金属薄板帯の表面に耐食性保護層を形成する工程と、
(3)前記金属薄板帯の長手方向に、所定間隔で絶縁フィルムを貼り合わせ加熱圧着する工程と、
(4)前記金属薄板帯を、所定間隔で幅方向に切断する工程と、
を順に経ることを特徴とする電極リード線部材の製造方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、電極リード線部材の製造方法であって、次の工程(1)〜(4)、
(1)断面が円形状で直径が1.6mm〜8.0mmであり、長さが0.3mから2000mの長尺の金属線材を、対向する少なくとも一対の圧延ロールを備えた圧延機により連続的に圧延して製造された長尺の金属薄板帯であって、前記長尺の金属薄板帯の幅方向の両端部に切断面が形成されておらず、前記幅方向の両端部が、曲面に仕上がっている前記長尺の金属薄板帯を製造する工程と、
(2)前記金属薄板帯に不動態化処理液を塗布した後に乾燥させて、前記金属薄板帯の表面に耐食性保護層を形成する工程と、
(3)前記金属薄板帯の長手方向に、所定間隔で絶縁フィルムを貼り合わせ加熱圧着する工程と、
(4)前記絶縁フィルムが加熱圧着された前記金属薄板帯を、リールに巻き取る工程と、
を順に経ることを特徴とする電極リード線部材の製造方法を提供する。
【0013】
また、前記絶縁フィルムが、無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、エポキシ官能基を有するグリシジルメタクリレートモノマーで変性されたポリプロピレン樹脂からなる樹脂群から選択された1種の樹脂の単層フィルム、又は前記樹脂群から選択された2種以上の樹脂の積層フィルムであることが好ましい。
【0014】
また、前記金属線材が、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、銅からなる金属群から選択された1種であることが好ましい。
【0015】
また前記不動態化処理液が、水溶性樹脂と、Fイオンを含む化合物であるフッ化金属又はその誘導体とを含有する処理液であることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、断面が円形状の金属線材を圧延して製造された長尺の圧延金属薄板帯であって、前記長尺の圧延金属薄板帯の幅方向の両端部に切断面が形成されておらず、前記幅方向の両端部が、曲面に仕上がっている前記長尺の圧延金属薄板帯の表面に、耐食性保護層が形成されてなり、前記金属線材が、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、銅からなる金属群から選択された1種であり、前記耐食性保護層の上に、無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、エポキシ官能基を有するグリシジルメタクリレートモノマーで変性されたポリプロピレン樹脂からなる樹脂群から選択された1種の樹脂の単層フィルム、又は前記樹脂群から選択された2種以上の樹脂の積層フィルムからなる絶縁フィルムが加熱圧着されてなり、前記耐食性保護層が、前記圧延金属薄板帯の表面に、水溶性樹脂と、Fイオンを含む化合物であるフッ化金属又はその誘導体と、を含有する不動態化処理液を塗布した後に乾燥させて形成されてなることを特徴とする電極リード線部材を提供する。
【0017】
また、前記耐食性保護層が、前記圧延金属薄板帯の表面に、水溶性樹脂と、Fイオンを含む化合物であるフッ化金属又はその誘導体と、を含有する不動態化処理液を塗布した後に乾燥させて形成されてなることが好ましい。
【0018】
また、前記絶縁フィルムが、前記圧延金属薄板帯の長さ方向に一定間隔で加熱圧着されてなり、前記絶縁フィルムが加熱圧着された前記圧延金属薄板帯が、リールに巻き取られてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係わる電極リード線部材の製造方法は、断面が円形状の金属線材を、対向する少なくとも一対の圧延ロールを備えた圧延機により連続的に圧延して長尺の金属薄板帯を製造することから、金属薄板を切断して電極リード線部材を製造することに伴うバリの発生を避けることができると共に、バリ取り工程を省くことができる。
そのため、長尺の金属薄板帯の幅方向の両端部に切断面が形成されておらず、幅方向の両端部が、おのずと曲面に仕上がっている長尺の金属薄板帯を得ることができ、バリ取りの不良に起因する絶縁不良の発生を確実に防止できると共に、生産性に優れた電極リード線部材の製造方法及び電極リード線部材を提供することができる。
また、本発明に係わる電極リード線部材では、タブリードとなる圧延金属薄板帯の幅方向の両端部に切断面が形成されておらず、幅方向の両端部が、曲面に仕上がっているため、絶縁フィルムを用いて圧延金属薄板帯を表裏両側から挟み込むようにしても、圧延金属薄板帯の幅方向の両端部と外装材との間に隙間が生じ難いので、外気からの空気及び水分が、電池用収納容器の内部に侵入するのを防止できる。
その結果、リチウムイオン電池を収納する外装容器に電極リード線部材を取り付ける信頼性が、飛躍的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】電池用収納容器の一例を示す斜視図である。
図2】電池用収納容器に用いられる電池用外装積層体の一例を示す概略断面図である。
図3】リチウムイオン電池を収納容器に収める工程を順に示す斜視図である。
図4】(a)は、本発明に係わる電極リード線部材の一例を示す斜視図であり、(b)は、(a)のS−S線に沿う断面図である。
図5】本発明に係わる電極リード線部材の、別の例を示す斜視図である。
図6】本発明に係わる電極リード線部材の、製造工程の一例を示す概念図である。
図7】本発明に係わる電極リード線部材の、製造工程の別の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係わる電極リード線部材を、電池外装用積層体を用いて製造したリチウムイオン電池用の収納容器から、引き出した構成のリチウムイオン電池を例に取り上げ、図1および図2を参照しながら説明する。
図1に示すように、本発明の電極リード線部材18及びリチウムイオン電池17は、図2に示した電池外装用積層体10を折り重ねて作成された、電池用外装容器20に内包されている。
さらに、電池用外装容器20の三方の側縁部19は、外装材の電池外装用積層体10をヒートシールして袋状に製袋することで、形成されている。電極リード線部材18は、図1のように電池用外装容器20から引き出されている。なお、本発明に係わる電極リード線部材18を用いて製造したリチウムイオン電池の電池用収納容器における収納方法は、図3に示した。
【0022】
ラミネートフィルム積層体からなる電池外装用積層体10は、図2に示すように、基材層11と、アルミ箔12と、樹脂フィルム13とが、それぞれ接着剤層15,16を介して接着されている。
図4に示すように、電極リード線部材18は、例えばアルミニウム製、ニッケルメッキ銅板製など金属製のタブリード(金属薄板帯)21を備える。タブリード21の表面上に、絶縁フィルム23が、例えば、水酸基を含有するポリビニルアルコールの骨格を有する樹脂又はその共重合樹脂からなる薄膜コーティング層の耐食性保護層22を介して、積層されている。
耐食性保護層22は、水溶性樹脂と、Fイオンを含む化合物であるフッ化金属又はその誘導体とを含有する不動態化処理液を用いて形成された薄膜コーティング層からなる。Fイオンを含む化合物であるフッ化金属又はその誘導体は、水溶性樹脂である水酸基を含有するポリビニルアルコールの骨格を有する樹脂、又はその共重合樹脂からなる薄膜コーティング層を架橋させ、且つ、金属表面を不動態化させる。但し、Fイオンを含む化合物であるフッ化金属又はその誘導体が含まれていなくても、耐食性保護層22の耐食性は向上している。
【0023】
耐食性保護層22は、タブリード21の表面に、不動態化処理液を塗布した後、乾燥させて形成された薄膜コーティング層である。
タブリード21の表面に形成されている耐食性保護層22は、熱処理により、架橋または非晶化することにより耐水化されている。
また、Fイオンを含む化合物であるフッ化金属のように、水溶液の状態では遊離して酸性になる物質を、耐食性保護層22に含有させて使用することにより、金属表面が不動態化されて、金属表面と耐食性保護層22の皮膜とが強く接着される。
【0024】
ところで、水溶性樹脂であるポリビニルアルコールの骨格を有する樹脂、又はその共重合樹脂からなる薄膜コーティング層の耐食性保護層22は、一般的にガスバリヤ性が良いことが知られている。耐食性保護層22を構成する樹脂内部は、空隙が少なく、特に湿度の低い雰囲気下では、水素ガスのような分子径の小さなガス分子に対してもガスバリヤ性があることから、リチウム電池やキャパシタのような非水系電解液を用いた電池において、水分の存在しない電池内部の構成部材に耐食性保護層22が使用される場合は、電解液や水分に対するバリヤ性が高いと考えられる。従って、フッ酸等の金属表面を腐食させる物質に対するバリヤ性も高いので、腐食防止の効果があると予想される。このように、水酸基を含有する物質の中から選定された、ポリビニルアルコールの骨格を有する樹脂又はその共重合樹脂からなる耐食性保護層22は、架橋させることにより、耐食性の向上を図ることができる。
【0025】
電極リード線部材18のタブリード21は、一般的に、正極はアルミ板、負極は銅板にニッケルメッキで被覆した金属が使用される。アルミラミネートフィルムからなる電池外装用積層体10との熱接合を容易にするために、電極リード線部材18の接合部分に事前に、絶縁フィルム23を積層して置く。絶縁フィルム23は、タブリード21を表裏両側から挟み込むように両面に積層することが好ましい。
【0026】
もし、タブリード21の表層に耐食性保護層22を形成させていないと、電解液の浸透により、タブリード21の表層で、水分と電解液とが反応してフッ酸が発生し、タブリード21が腐食することにより、その接着を劣化させることが懸念される。よって、少なくともタブリード21の電池内部に収納される部分の表層面に、水酸基を含有するポリビニルアルコールの骨格を有する樹脂、又はその共重合樹脂からなる薄膜コーティング層を用いた耐食性保護層22が積層されてなることが好ましい。図4(b)に示すように、外装材との接合部分においては、タブリード21の断面の外周部全体に、耐食性保護層22を積層する必要がある。
【0027】
また、従来技術による電極リード線部材では、タブリードの幅方向の両端部において、角部を面取りしているが、両端部を曲面に仕上げることが困難であり、絶縁フィルムを用いてタブリードを表裏両側から挟み込むようにしても、タブリードの幅方向の両端部と外装材との間に隙間が生じ易いという問題があった。
しかし、本発明に係わる電極リード線部材18では、断面が円形状の金属線材を、対向する少なくとも一対の圧延ロールを備えた圧延機により連続的に圧延して長尺の金属薄板帯を製造しているので、タブリード21の幅方向の両端部24に切断面が形成されておらず、幅方向の両端部が、おのずと曲面に仕上がっている。このため、上記の絶縁フィルム23を用いてタブリード21を表裏両側から挟み込むようにしても、タブリード21の幅方向の両端部24と外装材との間に隙間が生じ難いので、従来技術の問題を解消している。
【0028】
また、従来技術においては、電極リード線部材に用いられるアルミ製のタブリード21についての、電解液に対する腐食防止対策として、クロメート処理が広く用いられている。しかし、アルミ製のタブリード21と比較して、銅にニッケルメッキを施したタブリード21に対しては、クロメート処理の効果が少ない。ところが、本発明による電極リード線部材18は、銅にニッケルメッキを施したタブリード21についても、電解液に対する腐食防止の効果があることが解った。
このことから、本発明の耐食性保護層22による電解液に対する腐食防止は、腐食防止のメカニズムが、従来技術のクロメート処理と異なっていると考えられる。
絶縁フィルム23は、正極と負極の、双方のタブリード21にまたがるように積層しても良い。これにより、正極と負極とが一体化した電極リード線部材を得ることができる。また、耐食性保護層22の腐食防止効果は、アルミ板やニッケルメッキ銅板など各種金属板に対して得られるので、耐食性保護層22を正極と負極の双方のタブリード21に設けることが好ましい。
【0029】
水酸基を含有するポリビニルアルコールの骨格を有する樹脂、又はその共重合樹脂とは、ビニルエステル系モノマーの重合体又はその共重合体をケン化して得られる樹脂である。ビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステルや、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステルが挙げられる。共重合させる他のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、α−オレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和酸類、塩化ビニルや塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類などが挙げられる。
【0030】
また、耐食性保護層22には、Fイオンを含む化合物であるフッ化金属又はその誘導体からなり、水酸基を含有するポリビニルアルコールの骨格を有する樹脂、又はその共重合樹脂からなる薄膜コーティング層を架橋させる物質を含有することが好ましい。Fイオンを含む化合物であるフッ化金属又はその誘導体としては、例えばフッ化クロム、フッ化鉄、フッ化ジルコニウム、フッ化チタン、フッ化ハフニウム、ジルコンフッ化水素酸およびそれらの塩、チタンフッ化水素酸およびそれらの塩、等のフッ化物が挙げられる。これらのFイオンを含む化合物であるフッ化金属又はその誘導体は、水酸基を含有するポリビニルアルコールの骨格を有する樹脂、又はその共重合樹脂を架橋させる物質であると同時に、不動態であるアルミニウムのフッ化物を形成する。従って、タブリード21がアルミニウム製である場合には、タブリード21の表面を不動態化して、腐食防止の効果を高めることができると考えられる。
【0031】
このタブリード21の表層面に、耐食性保護層22を形成するには、例えば、水酸基を含有するポリビニルアルコールの骨格を持つ非結晶ポリマーを0.2〜6wt%、及びフッ化クロム(III)を0.1〜3wt%溶解した水溶液を用いて、乾燥後の厚みが0.1〜5μm程度となるように塗布した後、更にオーブンにて加熱乾燥及び焼き付け接着及び架橋化を行なうことにより、耐食性保護層22を形成することができる。
【0032】
このように、タブリード21の表層面に耐食性保護層22が積層されていると、耐食性保護層22の耐圧強度が高いので、絶縁フィルム23であるポリプロピレン層又はポリエチレン層の厚みを薄くしても耐圧強度が保持できるため、タブリード21のエッジ部分(側縁部)からリチウムイオン電池内部への水分の浸入が少なくなり、リチウムイオン電池の電解液の経時劣化が減少するので電池の製品寿命が長くなる。
更に、微量の水分が電池内部に浸入し、電解液と水分とが反応して電解液が分解することによりフッ酸が発生した場合にも、タブリード21の表層面に積層された水酸基を含有するポリビニルアルコールの骨格を有する樹脂又はその共重合樹脂からなる薄膜コーティング層を用いた耐食性保護層22は、空隙が少ないので、ガスバリヤ性が高く、シーラント層に沿って、外部へ拡散すること、及び微量のフッ酸がタブリード21であるアルミ板の表面に接触しても、アルミ板の表面に形成されている不動態化膜によりタブリード21の腐食が防止されて、タブリード21と絶縁フィルム23との層間接着強度が保たれ、耐圧強度保持が高くなり、電池の液漏れ等の問題も発生しない。
【0033】
事前に接合する絶縁フィルム23の厚さは50〜300μmが良く、防水性を考えると50〜150μmが最も良い。タブリード21の幅方向の両端部にバリがあると、タブリード21のエッジにより絶縁フィルム23の破損が起きて、タブリード21の絶縁が出来ない場合がある。そこで、外装材との接合部に沿う断面で見たタブリード21の幅方向の両端部24が丸みのある曲面を有していることが好ましい。これにより、バリ取りの不良に起因する絶縁不良の発生を防止することが可能となる。
さらに、タブリード21の幅方向の両端部24が曲面に仕上がっていると、絶縁フィルム23を用いてタブリード21を表裏両側から挟み込むようにしても、タブリードの幅方向の両端部24と電池外装用積層体10との間に隙間が生じ難いので、外気からの空気及び水分が、電池用収納容器20の内部に侵入するのを防止できる。タブリード21の表裏面25は、金属線材を圧延する工程において、圧延ロールの押圧面により形成することができる。表裏面25は平面であってもよく、曲面であってもよい。表裏面25を曲面とする場合は、幅方向の両端部24に向けてタブリード21の厚みが徐々に薄くなるようにしてもよい。
【0034】
タブリード21の材料となる金属線材は、断面が円形状で長尺の金属線材である。金属線材は、圧延(好ましくは冷間圧延)で加工できるよう、適度な硬度と寸法を有することが好ましい。熱間圧延の場合、加工温度が高いので、圧延後に冷却(急冷又は徐冷)することが好ましい。金属線材の直径は、例えば1.6mm〜8.0mmである。金属線材の長さは、例えば0.3mから2000mである。金属線材及び金属薄板帯を構成する金属は、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、銅からなる金属群から選択された1種であることが好ましい。
【0035】
また、水酸基を含有するポリビニルアルコールの骨格を有する樹脂、又はその共重合樹脂からなる薄膜コーティング層を用いた耐食性保護層22の厚みは、0.1〜5.0μmが望ましく、更に望ましくは0.5〜3μmであり、このような耐食性保護層22の厚みであると、防湿性や接着強度の性能が増加する。
【0036】
耐食性保護層22を形成するための不動態化処理液は、任意の塗布方法により、タブリード21の必要部分に付与される。塗布方式としては、インクジェット方式、ディスペンサー方式、スプレーコート方式など、公知の塗布方法を用いることが可能である。本発明に使用できる塗布方法は任意であるが、タブリード21の表裏面25だけでなく、タブリードの断面で見た幅方向の両端部24にも塗布する必要があるため、インクジェット方式とディスペンサー方式が良い。特に、ディスペンサー方式において、10mm幅程度に薄く幅を持たせて塗布できる塗布ヘッドを用いて実験したところ、最も適した方式であることが判った。
【0037】
事前にタブリードに接合しておく絶縁フィルム23は、アルミラミネートフィルム等の、電池外装用積層体10の最内層に用いられる樹脂フィルム13と同一または類似の樹脂フィルムを用いるのが好ましい。
樹脂フィルム13が、一般的に使用されているポリプロピレンの場合、絶縁フィルム23は、無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、エポキシ官能基を有するグリシジルメタクリレートモノマーで変性されたポリプロピレン樹脂からなる樹脂群(ポリプロピレン系樹脂)から選択された1種の樹脂の単層フィルム、又は前記樹脂群から選択された2種以上の樹脂の積層フィルムであっても良い。
樹脂フィルム13が、ポリエチレン樹脂の場合も、絶縁フィルム23は、ポリエチレン樹脂、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂もしくは、エポキシ官能基を有するグリシジルメタクリレートモノマーで変性されたポリエチレン樹脂等からなる樹脂群(ポリエチレン系樹脂)の単層フィルムであってもよく、さらに、これとポリエチレン樹脂及びその共重合体との多層フィルムでもよい。この場合は、電解液と接触する面が、無水マレイン酸やアクリル酸の共重合体、グリシジルメタクリレート等で変性されたポリエチレン樹脂などであっても良い。
【0038】
また、図5は、本発明に係わる電極リード線部材の、別の例を示した斜視図である。図5において、耐食性保護層の形成された金属薄板帯3の長さ方向に、所定間隔で絶縁フィルム6が熱圧着により貼り合わされ、リール8に巻き取られて、絶縁フィルムの貼合された金属薄板帯7のリール体47となっている。なお、絶縁フィルムの貼合された金属薄板帯7の、巻き取り状態を確認できるようにするため、リールは、透明性を有するプラスチック樹脂の成型体を使用するのが好ましい。図5において、絶縁フィルム6は、リール8から引き出された一部のみ図示するが、金属薄板帯3の全長にわたって絶縁フィルム6が貼り合わされた状態で、リール8に巻き取られる。このため、リール8の溝幅は、金属薄板帯3の幅より広いことが好ましい。
【0039】
また、図6は、本発明に係わる電極リード線部材の、製造工程の一例を示した概念図である。
図6において、金属線材のリール体41から巻き戻された、断面が円形状の金属線材1を、対向する少なくとも一対の圧延ロール51を備えた圧延機50により連続的に圧延して長尺の金属薄板帯2を製造する工程と、この金属薄板帯2の表面に、不動態化処理液61の塗布装置60と乾燥装置70により耐食性保護層を形成する工程と、耐食性保護層の形成された金属薄板帯3をリールに巻き取る工程と、を経て、耐食性保護層の形成された金属薄板帯のリール体43を得ることができる。
また、耐食性保護層の形成された金属薄板帯のリール体43は、図5に示した絶縁フィルムの貼合された金属薄板帯のリール体47において、絶縁フィルム6を貼合しない状態のものである。不動態化処理液61は、上述のようにタブリードの必要部分に付与されることから、金属薄板帯2の長手方向に間隔を設けて塗布されることが好ましい。金属薄板帯2に塗布される不動態化処理液61の形態は特に限定されず、滴状、霧状、液柱状、液膜状等が挙げられる。本製造工程では、一連の金属線材1及び金属薄板帯2を、ロール26,27で長手方向に搬送しながら加工することができる。搬送は、間欠的でも連続的でもよい。搬送速度を工程ごとに変化させる機構を設けてもよい。
【0040】
また、図7は、本発明に係わる電極リード線部材の、製造工程の別の例を示した概念図である。
図7において、金属線材のリール体41から巻き戻された、断面が円形状の金属線材1を、対向する少なくとも一対の圧延ロール51を備えた圧延機50により連続的に圧延して長尺の金属薄板帯2を製造する工程と、この金属薄板帯2の表面に、不動態化処理液61の塗布装置60と乾燥装置70により耐食性保護層を形成する工程と、耐食性保護層の形成された金属薄板帯3の表面に、絶縁フィルムの貼合装置80によりテープ5の状態で供給される絶縁フィルムを加熱圧着する工程と、絶縁フィルムの貼合された金属薄板帯7をリールに巻き取る工程と、を経て、図5に示した絶縁フィルムの貼合された金属薄板帯のリール体47を得ることができる。貼合装置80では、リール体40から供給される絶縁フィルムのテープ5を、所望の長さで切断することにより、図4及び図5の絶縁フィルム6,23が得られる。耐食性保護層の形成された金属薄板帯3と絶縁フィルムのテープ5とを合わせロール28の間に挟み込んで加熱圧着する際、金属薄板帯3とテープ5の長手方向は、互いに交差(例えば直交)していてもよい。
【0041】
本発明が用いられる非水系電池としては、二次電池であるリチウムイオン電池や電気二重層キャパシタなどの電解液に有機電解質を使用したものが挙げられる。有機電解質としては、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチレンカーボネートなどの炭酸エステル類を媒質とするものが一般的であるが、特にこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0042】
1…金属線材、2…金属薄板帯、3…耐食性保護層の形成された金属薄板帯、5…絶縁フィルムのテープ、6…絶縁フィルム、7…絶縁フィルムの貼合された金属薄板帯、8…リール、10…電池外装用積層体、11…基材層、12…アルミ箔、13…樹脂フィルム、15,16…接着剤層、17…リチウムイオン電池、18、36…電極リード線部材、19…側縁部、20…電池用外装容器、21…タブリード(金属薄板帯)、22…耐食性保護層、23…絶縁フィルム、30…電池用載置容器、35…電池用収納容器、40…絶縁フィルムのリール体、41…金属線材のリール体、43…耐食性保護層の形成された金属薄板帯のリール体、47…絶縁フィルムの貼合された金属薄板帯のリール体、50…圧延機、51…圧延ロール、60…不動態化処理液の塗布装置、61…不動態化処理液、70…乾燥装置、80…絶縁フィルムの貼合装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7