特許第6584249号(P6584249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6584249プラズマ処理チャンバの構成部品を洗浄する湿式洗浄工程
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584249
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】プラズマ処理チャンバの構成部品を洗浄する湿式洗浄工程
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20190919BHJP
   C23F 1/16 20060101ALI20190919BHJP
   C23G 1/00 20060101ALI20190919BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20190919BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   H01L21/302 101H
   C23F1/16
   C23G1/00
   H01L21/31 Z
   H01L21/304 648Z
   H01L21/304 651Z
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-178095(P2015-178095)
(22)【出願日】2015年9月10日
(65)【公開番号】特開2016-63226(P2016-63226A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2018年9月6日
(31)【優先権主張番号】62/051,920
(32)【優先日】2014年9月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/525,118
(32)【優先日】2014年10月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーメン・アボヤン
(72)【発明者】
【氏名】ケネット・バイロン
【審査官】 鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−126795(JP,A)
【文献】 特開2013−177679(JP,A)
【文献】 特表2006−528841(JP,A)
【文献】 特表2005−523584(JP,A)
【文献】 特開平11−219940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
C23F 1/00−4/04
C23G 1/00−5/06
H01L 21/205
H01L 21/302
H01L 21/304
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバの構成部品を洗浄する方法であって、
取り出した構成部品に基本洗浄工程を施すことであって、前記取り出した構成部品が、前記構成部品に堆積した少なくとも1つの物質を含む、基本洗浄工程の適用と、
前記取り出した構成部品を脱脂することと、
前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質を除去して、洗浄済みの構成部品を生み出すこととであって、
前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質に、加熱した酸化性溶液を適用して、前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質の第1の部分を酸化させることと、
前記取り出した構成部品に剥離液を適用して、前記少なくとも1つの物質の前記酸化した第1の部分を前記取り出した構成部品から除去することと、
エッチング液を適用して、前記少なくとも1つの物質の第2の部分を前記取り出した構成部品から除去することと、を含み、
前記加熱した酸化性溶液は、水酸化カリウム(KOH)と過マンガン酸カリウム(KMnO4)との混合物を、水酸化カリウム(KOH)約5と過マンガン酸カリウム(KMnO4)約2の割合で含む、前記少なくとも1つの物質の除去と
前記洗浄した構成部品を乾燥させることと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項に記載の方法であって、
前記剥離液は、フッ化水素酸(HF)を含む、方法。
【請求項3】
請求項に記載の方法であって、
前記剥離液は、硝酸(HNO3)を含む、方法。
【請求項4】
請求項に記載の方法であって、
前記剥離液は、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)との混合物を含む、方法。
【請求項5】
プラズマ処理チャンバの構成部品を洗浄する方法であって、
取り出した構成部品に基本洗浄工程を施すことであって、前記取り出した構成部品が、前記構成部品に堆積した少なくとも1つの物質を含む、基本洗浄工程の適用と、
前記取り出した構成部品を脱脂することと、
前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質を除去して、洗浄済みの構成部品を生み出すこととであって、
前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質に、加熱した酸化性溶液を適用して、前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質の第1の部分を酸化させることと、
前記取り出した構成部品に剥離液を適用して、前記少なくとも1つの物質の前記酸化した第1の部分を前記取り出した構成部品から除去することと、
エッチング液を適用して、前記少なくとも1つの物質の第2の部分を前記取り出した構成部品から除去することと、を含み、
前記剥離液は、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)との混合物を、フッ化水素酸(HF)約1と硝酸(HNO3)約1の割合で含む、前記少なくとも1つの物質の除去と、
前記洗浄した構成部品を乾燥させることと
を含む、方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法であって、
前記エッチング液は、フッ化水素酸(HF)を含む、方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法であって、
前記エッチング液は、硝酸(HNO3)を含む、方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法であって、
前記エッチング液は、酢酸(HAc)を含む、方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法であって、
前記エッチング液は、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)と酢酸(HAc)との混合物を含む、方法。
【請求項10】
プラズマ処理チャンバの構成部品を洗浄する方法であって、
取り出した構成部品に基本洗浄工程を施すことであって、前記取り出した構成部品が、前記構成部品に堆積した少なくとも1つの物質を含む、基本洗浄工程の適用と、
前記取り出した構成部品を脱脂することと、
前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質を除去して、洗浄済みの構成部品を生み出すこととであって、
前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質に、加熱した酸化性溶液を適用して、前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質の第1の部分を酸化させることと、
前記取り出した構成部品に剥離液を適用して、前記少なくとも1つの物質の前記酸化した第1の部分を前記取り出した構成部品から除去することと、
エッチング液を適用して、前記少なくとも1つの物質の第2の部分を前記取り出した構成部品から除去することと、を含み、
前記エッチング液は、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)と酢酸(HAc)との混合物を、フッ化水素酸(HF)約1、硝酸(HNO3)約7.5および酢酸(HAc)約3.7の割合で含む、前記少なくとも1つの物質の除去と
前記洗浄した構成部品を乾燥させることと
を含む、方法。
【請求項11】
請求項に記載の方法であって、
前記酸化性溶液、前記剥離液および/もしくは前記エッチング液のうちの少なくとも1つは、水で希釈される、方法。
【請求項12】
請求項に記載の方法であって、
前記洗浄した構成部品をプラズマ処理チャンバ内に設置することと、
前記プラズマ処理チャンバ内に基板を配置することと、
前記基板にプラズマ処理を施すことと
をさらに含む、方法。
【請求項13】
プラズマ処理チャンバの構成部品を洗浄する方法であって、
取り出した構成部品に基本洗浄工程を施すことであって、前記取り出した構成部品が、前記構成部品に堆積した少なくとも1つの物質を含む、基本洗浄工程の適用と、
前記取り出した構成部品を脱脂することと、
洗浄済みの構成部品を生み出すために、前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質を除去することと、
前記洗浄した構成部品を乾燥させることと、を含み、
前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質を除去することは、
前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質に、加熱した酸化性溶液を適用して、前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質の第1の部分を酸化させることであって、前記酸化性溶液は、水酸化カリウム(KOH)と過マンガン酸カリウム(KMnO4)との混合物を、水酸化カリウム(KOH)約5および過マンガン酸カリウム(KMnO4)約2の割合で含む、前記少なくとも1つの物質への酸化性溶液の適用と、
前記取り出した構成部品に剥離液を適用して、前記少なくとも1つの物質の前記酸化した第1の部分を前記取り出した構成部品から除去することであって、前記剥離液は、フッ化水素酸(HF)および硝酸(HNO3)の混合物を、フッ化水素酸(HF)約1および硝酸(HNO3)約1の割合で含む、前記取り出した構成部品への剥離液の適用と、
エッチング液を適用して、前記少なくとも1つの物質の第2の部分を前記取り出した構成部品から除去することであって、前記エッチング液は、フッ化水素酸(HF)、硝酸(HNO3)および酢酸(HAc)の混合物を、フッ化水素酸(HF)約1、硝酸(HNO3)約7.5および酢酸(HAc)約3.7の割合で含む、エッチング液の適用と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年9月17日に出願された「Wet Clean Process for Cleaning Plasma Processing Chamber Components」と題する米国特許仮出願第62/051,920号に基づく優先権を主張し、同文献を参照することによりあらゆる目的のために本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
本発明は全般的に洗浄工程に関し、さらに詳細には、半導体処理チャンバのセラミック、ガラス、石英、およびシリコン製の構成部品から生じる金属、ならびにその他の汚染物質を洗浄する方法およびシステムに関する。
【0003】
半導体処理チャンバは、多種多様な材料でできている極めて精密な形状の構成部品からなる複雑なアセンブリである。通常半導体処理チャンバは、アルミニウムもしくはステンレス鋼で形成される。半導体処理チャンバ内の構成部品には、セラミック、ステンレス鋼、アルミニウム、ガラス、石英および様々なシリコン化合物(SiO、SiO2、SiCなど)製のもの、ならびにその他の材料製のものがあってよい。これらの構成部品の多くは高価で、多くの精密な表面および精密な形状を備えた複雑な構成部品である。
【0004】
半導体処理チャンバ内の半導体ウエハには多種類の処理が施される。半導体処理チャンバ内部の様々な構成部品には、化学性の残留物および半導体ウエハから除去された材料の残留物が堆積している。化学性の残留物および半導体ウエハから除去された材料の残留物は、定期的に洗浄して半導体処理チャンバの内表面および構成部品から除去しなければならない。
【0005】
このような残留物を使用済み処理チャンバの構成部品から除去するには、労力を要することがあり、使用済み処理チャンバの構成部品を新しい処理チャンバの構成部品に交換するよりも費用がかかって困難であることが多い。使用済み処理チャンバの構成部品は、その後廃棄してよい。必要なのは、使用済み処理チャンバの構成部品を十分に洗浄して、洗浄した使用済み処理チャンバの構成部品を再利用できるようにするさらに効果的かつ効率的な工程である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
概して、本発明は、使用済み処理チャンバの構成部品を洗浄するためのシステムおよび方法を提供して、これらの需要を満たすものである。本発明は、多くの方法で実施でき、その方法には、プロセス、装置、システム、コンピュータ可読媒体、もしくはデバイスなどがあることを理解すべきである。本発明のいくつかの発明性のある実施形態を以下に説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施形態では、プラズマ処理チャンバの構成部品を洗浄する方法を提供する。被洗浄構成部品をプラズマ処理チャンバから取り出す。取り出した構成部品には物質が堆積している。取り出した構成部品に基本洗浄工程を施す。取り出した構成部品に脱脂工程を施し、取り出した構成部品から堆積物質を除去して洗浄済みの構成部品を生み出し、洗浄した構成部品を乾燥でき、プラズマ処理チャンバで再利用するために準備できる。
【0008】
取り出した構成部品に堆積している少なくとも1つの物質を除去することは、加熱した酸化性溶液を堆積物質に当てて堆積物質の第1の部分を酸化させることを含んでいてよい。剥離液を当てて、堆積物質の酸化した第1の部分を除去する。エッチング液を当てて、堆積物質の第2の部分を取り出した構成部品から除去する。
【0009】
酸化性溶液は、水酸化カリウム(KOH)および/もしくは過マンガン酸カリウム(KMnO4)を含んでいてよい。1つの酸化性溶液混合物が、水酸化カリウム(KOH)と過マンガン酸カリウム(KMnO4)との混合液を、水酸化カリウム(KOH)約5と過マンガン酸カリウム(KMnO4)約2の割合で含んでいてよい。
【0010】
剥離液は、フッ化水素酸(HF)および/もしくは硝酸(HNO3)を含んでいてよい。1つの剥離液混合物が、フッ化水素酸(HF)および硝酸(HNO3)を、フッ化水素酸(HF)約1と硝酸(HNO3)約1の割合で含んでいてよい。
【0011】
エッチング液は、フッ化水素酸(HF)および/もしくは硝酸(HNO3)、および/または酢酸(HAc)を含んでいてよい。1つのエッチング液混合物が、フッ化水素酸(HF)、硝酸(HNO3)および酢酸(HAc)を、フッ化水素酸(HF)約1、硝酸(HNO3)約7.5および酢酸(HAc)約3.7の割合で含む。酸化性溶液、剥離液および/もしくはエッチング液は、水で希釈してよい。
【0012】
洗浄した構成部品をプラズマ処理チャンバ内に設置でき、基板をプラズマ処理チャンバ内に配置でき、プラズマ処理を基板に施してよい。
【0013】
もう1つの実施形態では、エッチング表面を備えるプラズマ処理チャンバの構成部品を提供し、エッチング表面は、プラズマ処理チャンバの構成部品に堆積している少なくとも1つの物質を除去するためにエッチングされる。エッチング表面は、プラズマ処理チャンバの構成部品にある堆積物質に、加熱した酸化性溶液を当てて堆積物質の第1の部分を酸化させることを含む。酸化性溶液は、水酸化カリウム(KOH)と過マンガン酸カリウム(KMnO4)との混合物を含む。プラズマ処理チャンバの構成部品に剥離液を当てて、プラズマ処理チャンバの構成部品から酸化した堆積物質の第1の部分を除去する。剥離液は、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)との混合物を含む。エッチング液を当てて、プラズマ処理チャンバの構成部品から堆積物質の第2の部分を除去する。エッチング液は、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)と酢酸(HAc)との混合物を含む。洗浄した構成部品を再利用前に乾燥させてよい。
【0014】
本発明の利点は、これまでは洗浄および再利用が不可能であった構成部品を洗浄して再利用する能力を含む。構成部品を再利用することで得られるもう1つの利点は、交換する必要のある構成部品を少なくすることで作業コストを削減することを含む。さらにもう1つの利点は、使用済みの構成部品を廃棄する傾向を削減することを含む。
【0015】
本発明のその他の局面および利点は、本発明の原理を例示的に示している添付の図面と合わせて記載した以下の詳細な説明文から明らかになるであろう。
【0016】
本発明は、以下の詳細な説明文を添付の図面と合わせることで容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の実施形態を実施するための、半導体処理チャンバの簡易概略図である。
【0018】
図2】本開示の実施形態を実施するための、半導体処理チャンバから取り出した構成部品の表面に堆積したシリコン金属化合物膜の拡大図である。
【0019】
図3A】本開示の実施形態を実施するための、使用済み処理チャンバの構成部品を洗浄する際に実施される方法の作業を説明しているフローチャートである。
【0020】
図3B】本開示の実施形態を実施するための、半導体処理チャンバから取り出したエッジリングを示す図である。
【0021】
図3C】本開示の実施形態を実施するための、湯煎容器に設置した被洗浄構成部品を示す図である。
【0022】
図3D】本開示の実施形態を実施するための、任意選択の支持構成部品に支持されている構成部品を示す図である。
【0023】
図3E】本開示の実施形態を実施するための、湯煎容器内で任意選択の支持構成部品に支持されている構成部品を示す図である。
【0024】
図3F】本開示の実施形態を実施するための、任意選択の攪拌機構を備えた湯煎容器内にある構成部品を示す図である。
【0025】
図3G】本開示の実施形態を実施するための、すすぎシステム内で支持されている構成部品を示す図である。
【0026】
図3H】本開示の実施形態を実施するための、乾燥オーブン内で支持されている構成部品を示す図である。
【0027】
図4】本開示の実施形態を実施するための、使用済み処理チャンバの構成部品の表面をエッチングする際に実施される方法の作業を説明しているフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、使用済み処理チャンバの構成部品を洗浄するためのいくつかの例示的な実施形態を説明していく。本発明が本明細書に記載した特定の詳細の一部もしくは全部がなくとも実施できるものであることは、当業者には明らかであろう。
【0029】
半導体製造工程では様々な副産物が生じる。例を挙げると、エッチング処理チャンバで実行されるエッチング工程では、処理されている半導体ウエハから除去された揮発性のシリコン金属化合物が生じることがある。揮発性のシリコン金属化合物の少なくとも一部は、エッチング処理チャンバ内の様々な表面に堆積して固体形態に凝縮する。シリコン金属化合物膜は、この膜を適切なチャンバ洗浄工程でエッチング処理チャンバから定期的に除去しなければ、不要な粒子を発生させるおそれがある。
【0030】
シリコン金属化合物膜の少なくとも一部を除去するために、エッチング処理チャンバにチャンバ洗浄工程を施す。ただし、包括的にチャンバを洗浄するには、しばしばエッチング処理チャンバを分解して様々な構成部品を取り外す必要があることがある。その場合、1つ1つの構成部品を個別に洗浄し、エッチング処理チャンバを再度組み立てる前に検査することがある。
【0031】
図1は、本開示の実施形態を実施するための半導体処理チャンバ100の簡易概略図である。半導体処理チャンバ100は、チャンバ側壁139、チャンバ上部137および出口138で囲まれている。出口138は、揮発性のプラズマ副産物を処理チャンバ100から取り出すための真空ポンプ151に連結していてよい。
【0032】
半導体処理チャンバ100は下方電極108も備え、この下方電極は、半導体基板93を安全に保持して半導体処理チャンバ内で処理するための静電チャックを備えていることが多い。下方電極108は、下方電極と支持ハウジング143との間にある絶縁リング95で支持されている。下方電極108は、実質的に、1つ以上のRF結合リング114、1つ以上のエッジリング118および1つ以上の絶縁リング89で包囲されていてよい。RF結合リング114、エッジリング118および絶縁リング89は、絶縁材149で支持されている。
【0033】
半導体処理チャンバ100は上方電極アセンブリ105も備え、このアセンブリは、上方電極104、ガス供給プレート101、支持層119、121を備えている。1つ以上の選択したRF信号を上方電極104および/もしくは下方電極108に印加するために、上方電極アセンブリには制御回路124が連結される。ガス供給プレート101には1つ以上のガス源103が流体連結している。上方電極104はシャワーヘッドタイプの上方電極であってよく、この上方電極は、ガス供給プレート101から供給されるガスを半導体処理チャンバ100の中に流すためのガス口(図示せず)を1つ以上備えている。1つ以上の絶縁リング112が、上部電極アセンブリ105の一部、例えば周縁などを包囲して、上部電極アセンブリ105を上方電極延長アセンブリ129から絶縁する。上方電極延長アセンブリ129は、1つ以上の絶縁リング112の一部、例えば周縁などを包囲する。
【0034】
上方電極延長アセンブリ129は、上方電極延長部116、第1の層131および第2の層133を備えている。いくつかの実施形態では、上方電極延長アセンブリ129は、任意数の層を備えている。1つの実施形態では、上方電極延長部116は半導体で作製される。いくつかの実施形態では、第1の層131は、石英や窒化アルミニウムなどの誘電体で作製される。1つの実施形態では、第2の層133は、AC電源(図示せず)もしくはDC電源(図示せず)およびアースに接続されて熱を制御するヒータである。第2の層133から発生する熱は、上方電極延長部116に供給される。いくつかの実施形態では、上方電極延長アセンブリ129には第2の層133がない。1つの実施形態では、金属層99が1つ以上の絶縁リング97の一部を包囲する。
【0035】
様々な実施形態では、半導体処理チャンバ100は、シュラウド125を備えていてもよい。環状のシュラウド125を示しているが、いくつかの実施形態では、シュラウド125は別の形状であり、例えば断面が多角形の形状もしくは断面が楕円形の形状である。シュラウド125は、プラズマ領域150のエッジを形成してプラズマ領域内にプラズマを閉じ込めることができる。シュラウド125は、スロット145を備えていてよい。シュラウド125は、シュラウドの周縁部の代わりに、間隔をあけて並んでいる1つ以上の同心の閉じ込めリング125Aで形成されてもよい。
【0036】
スロットによって、プラズマの副産物およびガスをプラズマ領域150から出口138に向かって通すことが可能になる。半導体処理チャンバ100のさらに別の詳細が、2012年12月2日に出願された、「Systems and Methods for Controlling a Plasma Edge Region」と題する共同出願かつ同時係属出願の米国特許出願第13/310,673号に記載されており、同文献を参照することによりあらゆる目的のために本明細書に援用する。
【0037】
湿式洗浄するために半導体処理チャンバ100から取り外してよい構成部品の例には、上方電極104、シュラウド125、1つ以上の閉じ込めリング125A、ガス供給プレート101、上方電極延長部116、(1つもしくは複数の)エッジリング118および絶縁リング89などがあってよいが、これに限定されない。上方電極104、シュラウド125、1つ以上の閉じ込めリング125A、ガス供給プレート101、上方電極延長部116、(1つもしくは複数の)エッジリング118は、二酸化ケイ素などのシリコン含有材料、酸化アルミニウムなどのセラミック材料、もしくはこれ以外のセラミック材料、または石英含有材料などの非導電性材料で形成されてよい。
【0038】
図2は、本開示の実施形態を実施するための半導体処理チャンバ100から取り出した構成部品の表面に堆積したシリコン金属化合物膜202の拡大図200である。縮尺30のマイクロメータスケールを、参照のみを目的として提供する。シリコン金属化合物膜202は、図示したものより大きくても小さくてもよい。
【0039】
表1は、一平方センチメートルあたり10E15原子内にある微量の金属汚染物質の形態で、処理チャンバの構成部品にしばしば見られるいくつかの残留物の非包括的なリストを含んでいる。
【表1】
【0040】
銅含有残留物との相互汚染が起こる可能性を回避するために、銅含有残留物のある被洗浄構成部品を、銅含有残留物のない他の構成部品から分離してよいことに注意されたい。
【0041】
図3Aは、本開示の実施形態を実施するための使用済み処理チャンバの構成部品を洗浄する際に実施される方法の作業300を説明しているフローチャートである。いくつかの作業は副作業を含んでいてよく、場合によっては本明細書に記載した特定の作業が、図示した作業には含まれていないことがあることを理解すべきであることから、本明細書で説明する作業は例示的なものである。これを念頭に置いて、方法および作業300を以下に説明していく。
【0042】
作業305では、(1つもしくは複数の)被洗浄構成部品を半導体処理チャンバ100から取り外す。図3Bは、本開示の実施形態を実施するための半導体処理チャンバ100から取り除いたエッジリング118を示す図である。エッジリング118は、例示的な構成部品であり、本明細書に記載した湿式洗浄工程の場合、どのような適用可能な処理チャンバ構成部品を取り外してもよいことを理解すべきである。
【0043】
作業310では、被洗浄構成部品に基本洗浄工程を適用する。基本洗浄工程では、被洗浄構成部品の表面から付着物質を比較的ゆるく除去する。基本洗浄工程は、被洗浄構成部品の表面を拭く、ブラシで擦る、磨く、媒体を噴射するなどの洗浄工程を1つ以上含んでいてよい。1つの実施態様では、基本洗浄工程は、CO2ペレットもしくは同様の媒体を用いた媒体噴射を含んでいてよく、この媒体噴射は、約30から約40psiの圧力で、ペレットの供給率は約5分間隔で約0.3kg/分未満だが、目に見える堆積物を実質的に除去するには長時間必要である。構成部品は、次の作業に進む前に常温に温める必要があることがある。
【0044】
作業315では、被洗浄構成部品を湯煎容器内に設置してしばらくの間浸水させる。図3Cは、本開示の実施形態を実施するための、湯煎容器360内に設置した被洗浄構成部品118を示している。被洗浄構成部品118を湯煎容器360内の一定量の水363に完全に浸漬させる。
【0045】
図3Dは、本開示の実施形態を実施するための、任意選択の支持構成部品370に支持されている構成部品118を示している。図3Eは、本開示の実施形態を実施するための、湯煎容器360内で任意選択の支持構成部品370に支持されている構成部品118を示している。構成部品118は、湯煎360中に任意選択の支持構成部品370で支持されてよい。支持構成部品370は、構成部品を支持し、構成部品118を動かすためのハンドルを提供するが、構成部品を物理的に扱うことはない。任意選択の支持構成部品370は、使用前に洗浄されていなければならないことを理解すべきである。例を挙げると、任意選択の支持構成部品370の洗浄には、イソプロピルアルコール(IPA)を含ませたワイプを用いて任意選択の支持構成部品をしっかり拭いた後、超純水もしくは脱イオン水ですすぐことなどがあってよい。次に、2%のHNO3溶液を含ませたワイプを用いて任意選択の支持構成部品をしっかり拭いた後、第2の超純水もしくは脱イオン水ですすいでよい。
【0046】
湯煎容器360内の水363は、摂氏約65度から摂氏約90度であってよい。水を所望の温度に加熱して維持するためにヒータ366を設けてよい。水363は、脱イオン水などの超純水であってよい。構成部品118は、約30分から約90分間湯煎容器360内に設置してよい。
【0047】
水は、何らかの適切な攪拌機構367を用いて湯煎中に攪拌してよい。図3Fは、本開示の実施形態を実施するための任意選択の攪拌機構367を備えた湯煎容器内にある構成部品118を示している。例を挙げると、攪拌機構は、ノズル368を介してきれいな乾燥空気もしくは他の気体を水の中に入れてかき混ぜたり、泡立たせたり、超音波信号を湯煎容器360内の水363に当てるなどして超音波変換器を用いる超音波攪拌を行ったりできる。その他の適切な攪拌システムを用いてもよい。
【0048】
作業315の湯煎360は、湯煎後に構成部品118をすすぐためのすすぎ工程を含んでいてもよい。図3Gは、本開示の実施形態を実施するための、すすぎシステム370内で支持されている構成部品118を示している。構成部品118は、別の任意選択の支持構成部品370’で支持されているところが示されている。すすぎ工程は、ノズル381を用いて、脱イオン水(DIW)382を用いて約1分間スプレイですすぐことを含んでいてよい。作業315の湯煎は、きれいな乾燥空気、もしくはその他の気体を用いて構成部品の表面から余分な水分を吹き飛ばすことを含む乾燥作業を含んでいてもよい。きれいな乾燥空気、もしくはその他の気体は、約50から約50psiで約1分以上にわたって当てられて構成部品の表面から目に見える水分を除去してよい。
【0049】
作業320では、構成部品118に初期脱脂工程を施す。初期脱脂工程では、アセトン、イソプロピルアルコールおよび/もしくは適切な洗浄剤などの適切な溶剤を使用してよい。初期脱脂工程は、アセトンもしくはその他の適切な溶剤で湿らせたワイプで構成部品118をしっかり拭くことを含む。初期脱脂工程では、工程で生じた残留物および構成部品118から出るヒトの皮脂などの石油系油脂および油、ならびにその他のグリースおよび油をすべて実質的に除去する。初期脱脂工程では、構成部品に存在する堆積物を含むシリコン金属化合物などのポリマー系残留物の一部も除去できる。
【0050】
初期の脱脂は、構成部品118を一定量のアセトンもしくはその他の適切な溶剤に約10分以上にわたって浸漬させることも含んでいてよい。構成部品118は回転させることができ、かつ/または溶剤は10分の過程で少なくとも1回攪拌させることができる。構成部品118は、構成部品をアセトンもしくはその他の適切な溶剤に浸水させた後に、約1分間拭いてよい。初期の脱脂は、構成部品118を超純水もしくは脱イオン水ですすぐことも含んでいてよく、これについては以下でさらに詳細に説明していく。次に、すすいだ構成部品118は、空気で乾燥させるか、きれいな乾燥空気を用いて約45psi+/−5psiで送風して乾燥させてよい。
【0051】
作業325では、構成部品に第2の脱脂工程を施す。第2の脱脂工程では、何らかの適切な溶剤、例えばイソプロピルアルコール、エチルアルコール(エタノール)、塩化メチレンおよびその他の適切な溶剤、ならびにこれを組み合わせたものやこの混合物などを使用できる。第2の脱脂工程は、構成部品を一定量のイソプロピルアルコールもしくはその他の適切な溶剤に浸漬した後、イソプロピルアルコールもしくはその他の適切な溶剤で湿らせたワイプで構成部品118を拭くことを含む。第2の脱脂工程では、第1の溶剤の残留物など、第1の脱脂工程の何らかの残留物を実質的に除去する。第2の脱脂工程では、第1の脱脂工程の後で残った何らかのグリースまたは油も実質的に除去する。第2の脱脂は、構成部品118を純水もしくは脱イオン水ですすぐことも含んでいてよく、これについては以下でさらに詳細に説明していく。その後、すすいだ構成部品118をきれいな乾燥空気を用いて約45psi+/−5psiで空気乾燥させるか送風乾燥させることができる。
【0052】
作業330では、構成部品の表面をエッチングして、構成部品の表面に残留している堆積物を実質的に除去する。表面エッチング工程330については、以下の図4でさらに詳細に説明する。
【0053】
作業345では、水分およびその他の揮発性残留物を焼いて構成部品の表面からなくして、洗浄した構成部品118を乾燥させる。図3Hは、本開示の実施形態を実施するための乾燥オーブン390内で支持されている構成部品118を示している。1つの実施態様では、構成部品118は、オーブン390もしくはその他の適切なベーキングチャンバ内で摂氏約115から約125度の温度で約2時間以上にわたって焼いてよい。オーブン390は、使用前に清掃しておくべきであることを理解すべきである。例を挙げると、オーブン390の清掃は、イソプロピルアルコール(IPA)を含んだワイプを用いて、かつ/または2%のHNO3溶液を含んだワイプを用いてオーブンをしっかりと拭くことを含んでいてよい。これで本方法の作業を終えてよい。
【0054】
図4は、本開示の実施形態を実施するための、使用済み処理チャンバの構成部品の表面をエッチングする際に実施される方法の作業330を説明しているフローチャートである。本明細書で説明する作業は、例として次のようなものである。いくつかの作業が副作業を含むことがあり、場合によっては、本明細書に記載する特定の作業が、図示した作業に含まれていないことがあることを理解すべきである。これを念頭に置いて、次に方法および作業330を説明していく。
【0055】
作業405では、一定量の酸化性溶液を適切な容器に用意する。ある適切な酸化性溶液は、単位体積あたりの重量が約45から約85パーセントの水酸化カリウム(KOH)を、単位体積あたりの重量が約98から約100パーセントの過マンガン酸カリウム(KMnO4)および脱イオン水(DIW)と混合して、65/27/8重量パーセントの混合物にしたものである。KMnO4とKOHとの混合物は、KMnO4が約45パーセントから約85パーセントの範囲内であってよい。ただし、その他の適切な酸化性溶液とその他の適切な酸化性溶液を組み合わせたものとを使用してよいことを理解すべきである。
【0056】
作業410では、酸化性溶液を選択温度まで加熱する。選択温度は、酸化性溶液の沸点未満である。例を挙げると、酸化性溶液はKOHとKMnO4とDIWとの混合物であってよく、摂氏約70度から摂氏約90度に加熱されてよい。
【0057】
作業415では、構成部品118を加熱した酸化性溶液中に、選択した時間にわたって配置する。構成部品118は、加熱した酸化性溶液中に約10分から約60分にわたって配置されてよい。構成部品118は、加熱した酸化性溶液中に完全に浸漬させなければならず、これは、図3Cおよび図3Eに示したように構成部品を湯煎容器に浸漬させる様子と実質的にほぼ同じである。酸化性溶液は、構成部品の表面118を酸化させる。作業420では、構成部品を加熱した酸化性溶液から取り出し、図3Gのところで前述したように、DIWすすぎ液内で約2分間すすぐ。
【0058】
作業425では、一定量の酸化物剥離液を適切な容器に用意する。ある適切な酸化物剥離液は、単位体積あたりの重量が約49パーセントのフッ化水素酸(HF)、単位体積あたりの重量が約69パーセントの硝酸(HNO3)およびDIWを、1/1/1の割合にしたものである。このようにする代わりに、HFが豊富またはHNO3が豊富な酸混合物を使用してもよい。その他の適切な酸化物剥離液とその他の適切な酸化性溶液を組み合わせたものとを使用してもよいことを理解すべきである。
【0059】
作業430では、構成部品118を酸化物剥離液中に摂氏約15〜30度で約5から約20分にわたる選択時間にわたって配置する。酸化物剥離液は、酸化した表面の物質を構成部品から剥離するとともに、前述したように、金属残留物などの何らかの残留物も剥離する。
【0060】
作業435では、構成部品118を酸化物剥離液から取り出し、図3Gのところで前述したようにDIWすすぎ液内で約3分間すすぐ。
【0061】
作業440では、構成部品118をDIW槽に浸漬させ、図3Fに示したような超音波変換器367を用いてDIW槽に超音波信号を印加する。超音波信号は、任意の適切な周波数で、約15+/−5ワット/平方インチの電力であってよい。
【0062】
構成部品118をDIW槽に浸漬させ、超音波工程の時間は約5から約20分である。DIWを図3Cに示したような内容器362の中で流動状態に維持して、内容器からDIWが溢れ364、外容器361に流れるようにする。DIWは、2メガオームを上回る抵抗を用いて監視されてよい。内容器362内のDIWのターンオーバーは約1.5よりも大きくなくてはならず、この場合のターンオーバーは、(水の流量)×(超音波工程時間)/(内容器362の体積)と定義される。
【0063】
作業445では、構成部品118を超音波水槽から取り出し、図3Gのところで前述したようにDIWすすぎ液内で構成部品の各面を少なくとも約3分間すすぐ。
【0064】
作業450では、構成部品118をきれいな乾燥空気もしくはその他の適切な気体または気体混合物を用いて乾燥させる。構成部品118を乾燥させることで、構成部品の表面からほとんどの水分を除去する。
【0065】
作業455では、一定量の第2のエッチング液を適切な容器に用意する。ある適切な第2のエッチング液は、単位体積あたりの重量が約49パーセントのフッ化水素酸(HF)と、単位体積あたりの重量が約69パーセントの硝酸(HNO3)と、単位体積あたりの重量が約100パーセントの酢酸(HAc)と、DIWとを、1対7.5対3.7対87.8の割合にしたものである。このようにする代わりに、HFが豊富もしくはHNO3が豊富な酸混合物を使用してもよい。その他の適切なエッチング液とその他の適切なエッチング液を組み合わせたものとを使用してもよいことを理解すべきである。
【0066】
作業460では、構成部品118を約5分から約20分にわたって第2のエッチング液中に配置する。第2のエッチング液は、構成部品118の表面をさらにエッチングし、構成部品から表面の物質の一部をさらに除去するとともに、前述したような金属残留物などの何らかの残留物も除去する。
【0067】
作業465では、構成部品118を第2のエッチング液から取り出し、図3Gのところで前述したようにDIWすすぎ液内で少なくとも約3分間すすぐ。
【0068】
作業470では、構成部品118をきれいな乾燥空気もしくはその他の適切な気体または気体混合物を用いて乾燥させる。構成部品118を乾燥させることで、構成部品の表面からほとんどの水分を除去する。本方法の作業は、図3で前述したように、作業345に続く。
【0069】
洗浄した構成部品は、パッケージングや保管などに再利用するために準備されてよい。洗浄した構成部品は、再利用する準備が整っており、プラズマ処理チャンバに設置できる。するとこのプラズマ処理チャンバを使用して、プラズマ処理チャンバに配置された1つ以上の基板にプラズマ処理を施すことができる。
【0070】
以上の実施形態を念頭に置いて、本発明が、コンピュータシステムに格納されたデータを必要とするコンピュータに実装された様々な動作を用いてよいことを理解すべきである。これらの動作は、物理的な量の物理的な操作を必要とするものである。必須ではないものの通常これらの量は、格納、伝送、合成、比較あるいは操作が可能な電気信号もしくは磁気信号の形態である。さらに、実施される操作は、生成、識別、決定、もしくは比較などの用語で呼ばれることが多い。
【0071】
いくつかの実施態様では、制御装置はシステムの一部であり、上記の例の一部であってよい。このようなシステムは、1つもしくは複数の処理工作機械、1つもしくは複数のチャンバ、1つもしくは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理用構成要素(ウエハの基台、ガス流システムなど)を有する半導体処理設備を備えることができる。これらのシステムは、半導体のウエハまたは基板を処理する前、処理する間、処理した後に、そのシステムの動作を制御する電子機器に組み込まれていてよい。電子機器は、「制御装置」と呼ぶことがあり、1つもしくは複数のシステムの様々な構成要素またはサブパーツを制御できる。制御装置は、処理要件および/もしくはシステムの種類に応じてプログラムされ、処理ガスの送達、温度設定(例えば加熱および/もしくは冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器の設定、RFマッチング回路の設定、周波数設定、流量設定、流体送達の設定、位置および動作設定、ウエハを工作機械へ移送してそこから送出するプロセス、ならびに、特定のシステムに接続しているか同システムにインターフェースを介して接続しているその他の移送用機械および/もしくはロードロックへ移送してそこから送出するプロセスなど、本明細書に開示したどのプロセスでも制御できる。
【0072】
概して制御装置は、命令を受け取り、命令を出し、動作を制御し、動作を整理でき、エンドポイントを測定できるような、様々な集積回路、論理回路、メモリ、および/もしくはソフトウェアを有する電子機器であると定義できる。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェア形態のチップ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)と定義されているチップ、および/もしくはプログラム命令(例えばソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサ、またはマイクロ制御装置を含んでよい。プログラム命令は、特定のプロセスを半導体ウエハ上でまたは半導体ウエハに対して、あるいはシステムに対して実行するための動作パラメータを規定する様々な個別設定(またはプログラムファイル)の形態で制御装置と通信する命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、ウエハの1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化ケイ素、表面、回路、および/もしくはダイを製造する過程で、1つ以上の処理工程を実現するために、プロセスのエンジニアによって規定されるレシピの一部であってよい。
【0073】
制御装置は、いくつかの実施態様では、システムと一体化して接続しているか、そうでなければシステムとネットワークでつながっているか、あるいはこの両方を合わせた形態であるコンピュータの一部であってもよいし、このコンピュータに接続されていてもよい。例えば、制御装置は、ウエハの処理を遠隔アクセスできる製造ホストであるコンピュータシステムの「クラウド」であってもよいし、その全体または一部であってもよい。コンピュータは、システムに遠隔アクセスして、現在の製造作業の進捗を監視し、過去の製造作業の履歴を調べ、複数の製造作業から傾向または性能メトリックを調べて、現在の処理状況のパラメータを変更したり、現在の処理状況の後を続けるために処理工程を設定したり、新たな処理を開始したりできるようにしてよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えばサーバ)は、ネットワーク上で処理レシピをシステムに提供でき、このネットワークには、ローカルネットワークまたはインターネットなどがあってよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/もしくは設定の入力またはプログラミングを可能するユーザインターフェースを備えていてよく、このパラメータはその後、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、制御装置は、データの形態で命令を受け取り、この命令が、1つ以上の作業過程で実施される1つ1つの処理工程に対してパラメータを指定する。パラメータは、実施される処理の種類、および制御装置がインターフェースを介して接続されるか制御するように構成されている工作機械の種類に特有のものであってよいことを理解すべきである。そのため、前述したように、制御装置は、1つ以上の別々の制御装置を備えて、この制御装置が互いにネットワークで接続され、本明細書に記載した処理および制御などの共通の目的に向かって動作することなどによって、分散型であってよい。このようにするための分散型の制御装置の一例が、(プラットフォームのレベルまたはリモートコンピュータの一部のような)遠隔に位置する1つ以上の集積回路と通信しているチャンバにある1つ以上の集積回路であり、遠隔に位置する集積回路はそのチャンバでプロセスの制御を統合する。
【0074】
非限定的に、例として挙げたシステムは、プラズマエッチング用のチャンバもしくはモジュール、堆積用のチャンバもしくはモジュール、スピンリンス用のチャンバもしくはモジュール、金属めっき用のチャンバもしくはモジュール、洗浄用のチャンバもしくはモジュール、ベベルエッジエッチング用のチャンバもしくはモジュール、物理気相成長(PVD)用のチャンバもしくはモジュール、化学気相成長(CVD)用のチャンバもしくはモジュール、原子層堆積(ALD)用のチャンバもしくはモジュール、原子層エッチング(ALE)用のチャンバもしくはモジュール、イオン注入用のチャンバもしくはモジュール、飛跡検出用のチャンバもしくはモジュール、および半導体ウエハの製造および/もしくは生産に関連していてよい、または使用されてよいその他の任意の半導体処理システムを備えていてよい。
【0075】
上記のように、工作機械で実施する1つもしくは複数の処理工程に応じて、制御装置は、1つ以上のその他の工作機械の回路もしくはモジュール、その他の工作機械の構成部品、クラスタ工作機械、その他の工作機械のインターフェース、隣接する工作機械、近辺の工作機械、工場全体に設定されている工作機械、主要コンピュータ、別の制御装置、またはウエハの容器を工作機械の場所まで運んだり工作機械から運び出したりする、材料の移送に使用される工作機械および/もしくは半導体生産工場内のロードポートと通信していることがある。
【0076】
上記の発明を明瞭に理解するためにある程度詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲内であればいくつかの変更および修正を加えてよいことは明らかであろう。したがって、本実施形態は、例示的なものと考えるべきであって、限定的なものと考えてはならず、本発明は、本明細書で取り上げた詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲および均等物に収まれば修正してもよい。
本発明は、たとえば、以下のような態様で実現することもできる。

適用例1:
プラズマ処理チャンバの構成部品を洗浄する方法であって、
前記プラズマ処理チャンバから洗浄対象の前記構成部品を取り出すことであって、前記取り出した構成部品が、前記構成部品に堆積した少なくとも1つの物質を含む取り出しと、
前記取り出した構成部品に基本洗浄工程を施すことと、
前記取り出した構成部品を脱脂することと、
前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質を除去して、洗浄済みの構成部品を生み出すことと、
前記洗浄した構成部品を乾燥させることと
を含む、方法。

適用例2:
適用例1の方法であって、
前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質を除去することは、
前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質に、加熱した酸化性溶液を当てて、前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質の第1の部分を酸化させることと、
前記取り出した構成部品に剥離液を当てて、前記少なくとも1つの物質の前記酸化した第1の部分を前記取り出した構成部品から除去することと、
エッチング液を当てて、前記少なくとも1つの物質の第2の部分を前記取り出した構成部品から除去することと
を含む、方法。

適用例3:
適用例2の方法であって、
前記酸化性溶液は、水酸化カリウム(KOH)を含む、方法。

適用例4:
適用例2の方法であって、
前記酸化性溶液は、過マンガン酸カリウム(KMnO4)を含む、方法。

適用例5:
適用例2の方法であって、
前記酸化性溶液は、水酸化カリウム(KOH)と過マンガン酸カリウム(KMnO4)との混合物を含む、方法。

適用例6:
適用例2の方法であって、
前記酸化性溶液は、水酸化カリウム(KOH)と過マンガン酸カリウム(KMnO4)との混合物を、水酸化カリウム(KOH)約5と過マンガン酸カリウム(KMnO4)約2の割合で含む、方法。

適用例7:
適用例2の方法であって、
前記剥離液は、フッ化水素酸(HF)を含む、方法。

適用例8:
適用例2の方法であって、
前記剥離液は、硝酸(HNO3)を含む、方法。

適用例9:
適用例2の方法であって、
前記剥離液は、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)との混合物を含む、方法。

適用例10:
適用例2の方法であって、
前記剥離液は、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)との混合物を、フッ化水素酸(HF)約1と硝酸(HNO3)約1の割合で含む、方法。

適用例11:
適用例2の方法であって、
前記エッチング液は、フッ化水素酸(HF)を含む、方法。

適用例12:
適用例2の方法であって、
前記エッチング液は、硝酸(HNO3)を含む、方法。

適用例13:
適用例2の方法であって、
前記エッチング液は、酢酸(HAc)を含む、方法。

適用例14:
適用例2の方法であって、
前記エッチング液は、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)と酢酸(HAc)との混合物を含む、方法。

適用例15:
適用例2の方法であって、
前記エッチング液は、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)と酢酸(HAc)との混合物を、フッ化水素酸(HF)約1、硝酸(HNO3)約7.5および酢酸(HAc)約3.7の割合で含む、方法。

適用例16:
適用例2の方法であって、
前記酸化性溶液、前記剥離液および/もしくは前記エッチング液のうちの少なくとも1つは、水で希釈される、方法。

適用例17:
適用例2の方法であって、
前記洗浄した構成部品をプラズマ処理チャンバ内に設置することと、
前記プラズマ処理チャンバ内に基板を配置することと、
前記基板にプラズマ処理を施すことと
をさらに含む、方法。

適用例18:
プラズマ処理チャンバの構成部品を洗浄する方法であって、
前記プラズマ処理チャンバから洗浄対象の前記構成部品を取り出すことであって、前記取り出した構成部品が、前記構成部品に堆積した少なくとも1つの物質を含む取り出しと、
前記取り出した構成部品に基本洗浄工程を施すことと、
前記取り出した構成部品を脱脂することと、
洗浄済みの構成部品を生み出すために、前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質を除去することと、
前記洗浄した構成部品を乾燥させることと、を含み、
前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質を除去することは、
前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質に、加熱した酸化性溶液を当てて、前記取り出した構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質の第1の部分を酸化させることであって、前記酸化性溶液は、水酸化カリウム(KOH)と過マンガン酸カリウム(KMnO4)との混合物を、水酸化カリウム(KOH)約5および過マンガン酸カリウム(KMnO4)約2の割合で含む、前記少なくとも1つの物質への酸化性溶液の適用と、
前記取り出した構成部品に剥離液を当てて、前記少なくとも1つの物質の前記酸化した第1の部分を前記取り出した構成部品から除去することであって、前記剥離液は、フッ化水素酸(HF)および硝酸(HNO3)の混合物を、フッ化水素酸(HF)約1および硝酸(HNO3)約1の割合で含む、前記取り出した構成部品への剥離液の適用と、
エッチング液を当てて、前記少なくとも1つの物質の第2の部分を前記取り出した構成部品から除去することであって、前記エッチング液は、フッ化水素酸(HF)、硝酸(HNO3)および酢酸(HAc)の混合物を、フッ化水素酸(HF)約1、硝酸(HNO3)約7.5および酢酸(HAc)約3.7の割合で含む、エッチング液の適用と、
を含む、方法。

適用例19:
プラズマ処理チャンバの構成部品であって、
エッチング表面であって、前記プラズマ処理チャンバの構成部品に堆積した少なくとも1つの物質を除去するためにエッチングされる、エッチング表面
を備え、前記エッチング表面のエッチングは、
前記プラズマ処理チャンバの構成部品に堆積した少なくとも1つの物質に加熱した酸化性溶液を当てて、前記プラズマ処理チャンバの構成部品に堆積した前記少なくとも1つの物質の第1の部分を酸化させることであって、前記酸化性溶液は、水酸化カリウム(KOH)と過マンガン酸カリウム(KMnO4)との混合物を含むことと、
前記プラズマ処理チャンバの構成部品に剥離液を当てて、前記プラズマ処理チャンバの構成部品から前記少なくとも1つの物質の前記酸化した第1の部分を除去することであって、前記剥離液は、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)との混合物を含むことと、
エッチング液を当てて、前記プラズマ処理チャンバの構成部品から前記少なくとも1つの物質の第2の部分を除去することであって、前記剥離液は、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)と酢酸(HAc)との混合物を含むことと、
洗浄した前記構成部品を乾燥させることと
を含む、
プラズマ処理チャンバの構成部品。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図4