(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、「%」は「質量%」を意味する。
【0010】
<本発明の特徴>
本発明は、ウコンエキスを含有する容器入り食品において、酢酸菌又はその粉砕物を含有し、酢酸濃度が0.3%以下であり、前記容器を、酸素遮断性容器にすることにより、ウコン特有の土臭さが低減され、しかも保存後もそれが維持された容器入り食品であることに特徴を有する。
一般的にウコンエキスを高濃度含有した食品では、ウコン特有の苦みと土臭さをマスキングするために、甘味料や柑橘系の香料を含有するが、その場合、雑味がひどくなり、食品本来の美味しさを損なってしまう。
本発明の食品は、0.3%以下の低酢酸濃度下で、酢酸菌とウコンエキスとを共存させることにより、ウコン特有の土臭さを自然に低減することができるため、食品の基本機能である美味しさを得ることが出来る。
【0011】
<食品>
本発明の食品の形態としては、一般的に食品と称されるものであれば、いずれの形態でもよい。
例えば、炭酸飲料、酸性飲料、又は清涼飲料等の飲料、ハードカプセル、ソフトカプセル、又は打錠物等の錠剤、顆粒が挙げられ、さらに、調味料、菓子、又は惣菜等の一般的な料理も含まれる。
特に、飲料、錠剤、及び顆粒の形態は、ウコンエキスの土臭さが問題となるため、本発明が好適である。
【0012】
<ウコン及びウコンエキス>
ウコンとは、英語名をターメリックともいい、香辛料、着色料、生薬として用いられるショウガ科ウコン属の多年草である。
ウコンは、春ウコン、夏ウコン、秋ウコン等主に3種類に分けられ、秋ウコンにはクルクミン含量が最も多く約3〜5%含有されている。
本発明に用いるウコンエキスとしては、常法に則り、ウコンからクルクミンを抽出し、クルクミン含量を高めたものであり、一般的に市販されているものであればいずれのものでもよく、その形態は例えば、液状でも粉末状でもよい。
ウコン特有の土臭さが強いため、秋ウコンエキスを用いた食品において、本発明の効果を奏しやすい。
【0013】
<ウコンエキスの含有量>
本発明の食品において、ウコンエキスの含有量は、一般的にウコンエキス入りの食品に含有される程度であれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、乾燥粉末換算量で、0.005%以上35%以下とするとよく、さらに0.01%以上25%以下とするとよい。
【0014】
<酸素遮断性容器>
後述する酢酸菌又はその粉砕物は、酸素によって褐変等の酸化劣化を生じると、ウコン特有の土臭さを低減する効果が得られなくなる。
そこで、本発明の食品を入れる容器は、保存後も低減されたウコン特有の土臭さを維持するために、酸素遮断性容器を用いる。
本発明に用いる酸素遮断性容器は、実質的に酸素を透過させない容器であればいずれのものでもよく、具体的には、例えば、酸素を全く透過させないアルミやスチール等の金属容器、ガラス容器、又はアルミ箔若しくはアルミ蒸着されたアルミパウチ等だけでなく、温度30℃、容器外部の相対湿度80%及び容器内部の相対湿度100%の条件下における容器壁面全体の酸素透過度の平均値が、50cc/m
2・day・atm以下の容器であるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)等の酸素バリア性を有する樹脂を層構成に有する容器等が挙げられる。
特に、製造や運搬が容易であるアルミやスチール等の金属製の容器、又はアルミパウチを用いると良い。
さらに、本発明の食品を酸素遮断性容器に充填する際に、窒素置換しながら充填すると、容器内の酸素濃度を低い状態で保存できることから、例えば、ヘッドスペース部の残存酸素濃度が10%O
2以下になるようにするとよい。
【0015】
<酢酸菌>
本発明の食品に用いる酢酸菌は、代表的な酢酸菌の種類として、グルコンアセトバクタ−(Gluconacetobacter)属、アセトバクタ−(Acetobacter)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属等を挙げることができる。
特に、本発明の効果を発揮し易いことから、グルコンアセトバクター属の酢酸菌を用いると良い。
グルコンアセトバクター属の菌としては例えば、
グルコンアセトバクター・コンブチャ(Gluconacetobacter kombuchae)、
グルコンアセトバクター・スウィングシ(Gluconacetobacter swingsii)、
グルコンアセトバクター・キシリヌス(Gluconacetobacter xylinus)、
グルコンアセトバクター・ユーロペウス(Gluconacetobacter europaeus)、
グルコンアセトバクター・マルタセティ(Gluconacetobacter maltaceti)、
グルコンアセトバクター・ハンゼニイ(Gluconacetobacter hansenii)、
及びグルコンアセトバクター・リックウェフェシエンス(Gluconacetobacter liquefaciens)等をあげることができる。
さらに、グルコンアセトバクター属の酢酸菌の中でも、
グルコンアセトバクター・コンブチャ、
グルコンアセトバクター・ハンゼニイ
グルコンアセトバクター・スウィングシ、
グルコンアセトバクター・キシリヌス、
グルコンアセトバクター・ユーロペウス、
及びグルコンアセトバクター・マルタセティ等の1種又は2種以上を用いると良い。
なお、酢酸菌自体の生死は問わないが、生育しうる酢酸菌を用いると、ウコンが発酵してしまうため、本発明の効果を損ねる場合がある。
【0016】
<酢酸菌の調製方法>
酢酸菌の調製方法は、特に限定されないが、醸造酢製造の常法に基づき発酵により調製すれば良い。常法に基づけば、酢酸菌体が0.001〜0.01%に増殖して、酢酸を4〜20%と高濃度に生成する。この他に、アミノ酸や多糖類等を生成する。本発明の食品では、酢酸濃度を0.3%以下まで低減させた上で酢酸菌を回収する。
【0017】
<酢酸菌の粉砕物>
本発明の食品に用いる酢酸菌の粉砕物は、酢酸菌を粉砕したものであればいずれのものでもよく、フレンチプレスによる押圧、又は超音波処理等の方法等、常法に則り、粉砕すればよい。
【0018】
<酢酸菌又はその粉砕物の形態>
本発明の食品に酢酸菌又はその粉砕物を含有させる形態としては、例えば、酢酸菌をそのまま、あるいはその粉砕物を乾燥処理した形態、アミノ酸、デキストリン、又は乳糖等を加えて造粒した形態、又は炭酸カルシウムやシリカ等といった多孔質素材のマクロ孔の中に吸着させた形態等が挙げられる。
特に、酢酸菌を粉砕せずに用いたものは、酸化劣化を生じ難いため、ウコン特有の土臭さを低減する効果を奏しやすい。
なお、酢酸菌の形態は、本発明の食品を電子顕微鏡で観察することにより、目視で確認することができる。
【0019】
<酢酸菌又はその粉砕物の含有量>
本発明の食品において、酢酸菌又はその粉砕物の含有量は、ウコンエキスとの含有比率によるため、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、食品全体に対し酢酸菌換算量で0.001%以上35%以下含有するとよく、さらに0.005%以上25%以下含有するとよい。
【0020】
<ウコンエキス1部に対する酢酸菌又はその粉砕物の含有量>
本発明の食品において、ウコンエキス1部(乾燥粉末換算)に対する酢酸菌又はその粉砕物の含有量は、酢酸菌換算量で0.01部以上であると良く、さらに0.04部以上、0.25部以上であると良い。
なお、上限は規定するものではないが、4部以上多く含有したとしても、含有量に応じた本発明の効果が得られ難く、経済的ではないので、上限は4部とすると良い。
【0021】
<酢酸>
本発明の食品は、ウコン特有の土臭さを低減する食品を得るために、酢酸濃度は0.3%以下であり、さらに0.1%以下であると良く、本発明は、酢酸濃度0%も含まれる。
酢酸濃度が0.3%より多いと、酢酸特有の鼻に残る酸味によって、ウコン特有の土臭さが強調されてしまう。
なお、酢酸菌を培養すると培地中に酢酸が産生される。そこで、本発明の食品に酢酸菌又はその粉砕物を添加する際は、水溶性成分である酢酸等と不溶性成分である酢酸菌体とを遠心処理等で分離回収し、酢酸濃度を上記濃度まで低下させる。
【0022】
<アスコルビン酸又はその塩>
本発明に用いる酢酸菌又はその粉砕物は、酸素によって褐変等の酸化劣化を生じることから、本発明の食品は、酸化防止剤としてアスコルビン酸又はその塩を含有するとよい。
また、アスコルビン酸又はその塩の含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、例えば、0.01%以上5%以下であると良く、さらに0.05%以上2%以下であると良い。
【0023】
<乳糖>
本発明の食品は、乳糖を含有することができる。乳糖特有の甘味と酢酸菌又はその粉砕物との相乗効果により本発明の効果を奏しやすくなる。
【0024】
<乳糖の含有量>
乳糖の含有量は、一般的に食品に含有される程度であれば特に限定されず、例えば、0.01%以上25%以下含有することができ、さらに0.1%以上10%以下含有することができる。
乳糖の含有量が25%より多いと、甘味を強く感じ易く、食味に影響を及ぼす場合がある。
一方、乳糖の含有量が0.01%より小さいと、例えば、錠剤にした際に、打錠適性が低下する場合がある。
【0025】
<遊離アミノ酸、又はそれらの塩>
遊離アミノ酸、又はそれらの塩のマスキング効果により、ウコン特有の土臭さをより低減できることから、本発明の食品は、さらに2種以上の特定の遊離アミノ酸、又はそれらの塩を配合するとよい。
ここで、2種以上の特定の遊離アミノ酸、又はそれらの塩としては、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン、及びアルギニンの少なくともいずれか1種の遊離アミノ酸、又はそれらの塩であるとよく、
さらに、グルタミン酸及びアスパラギン酸の少なくともいずれか1種の酸性アミノ酸、又はそれらの塩と、
リジン及びアルギニンの少なくともいずれか1種の塩基性アミノ酸、又はそれらの塩とを組み合わせて配合するとよい。
【0026】
<遊離アミノ酸、又はそれらの塩の配合量>
本発明の食品において、遊離アミノ酸、又はそれらの塩の配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、例えば、遊離アミノ酸換算量で0.001%以上25%以下配合すればよい。
【0027】
<酢酸菌と遊離アミノ酸、又はそれらの塩の配合比率>
本発明の食品に用いる酢酸菌と遊離アミノ酸、又はそれらの塩との配合比率は、本発明の効果が得られ易いことから、
酢酸菌:酸性アミノ酸=20:1〜1:20とすることができ、さらに1:10〜10:1とすることができる。
同様に、酢酸菌:塩基性アミノ酸=20:1〜1:20とすることができ、さらに1:10〜10:1とすることができる。
なお、酢酸菌の粉砕物を配合する場合、上記配合比率は酢酸菌換算として算出し、
アミノ酸塩を配合する場合は、遊離アミノ酸換算として算出する。
【0028】
<その他の原料>
本発明の食品には、上述したウコンエキス、酢酸菌又はその粉砕物、酢酸、アスコルビン酸又はその塩、乳酸以外の食品素材を本発明の効果が損なわれない範囲で適宜添加することができる。
具体的には、砂糖、ショ糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖、水あめ、還元水あめ、オリゴ糖、還元オリゴ糖、又ははちみつ等の糖類、
スクラロース、アスパルテーム、エリスリトール、L−フェニルアラニン化合物、アセスルファムK、又はステビア等の甘味料、
クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、又は酒石酸等の酸味料、
ナイアシン又はイノシトール等の各種ビタミン類、
キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、グアガム、アラビアガム、又はサイリュームシードガム等の増粘多糖類、
馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉などの澱粉、湿熱処理澱粉、又は加工澱粉等の澱粉類、
カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナンなどの安定剤、
菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油、卵黄油等の動植物油又はこれらの精製油(サラダ油)、あるいはMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的、又は酵素的処理等を施して得られる油脂等の食用油脂、
カテキン、ビタミンE、又は酵素処理ルチン等の酸化防止剤、
タウリン、肝臓水解物、オルニチン、ビサクロン、色素、香料等が挙げられる。
【0029】
次に、本発明を実施例、比較例及び試験例に基づき、さらに説明する。
なお、本発明はこれに限定するものではない。
【0030】
[調製例1](酢酸菌又はその粉砕物の調製方法)
エタノール4%、酵母エキス0.2%、及び清水95.7%に酢酸菌(Gluconacetobacter swingsii)0.1%を添加し、品温30℃、通気量4L/minの条件で、24時間培養を行った。
得られた酢酸菌溶液に遠心濃縮処理を施した後、培地を清水洗浄で除去し、10%酢酸菌溶液を調製した。
次に、10%酢酸菌溶液に、入口品温170℃、出口品温65℃の噴霧乾燥処理を施し、粒径0.5〜5μmの酢酸菌粉末(酢酸菌含量100%)を調製した。
【0031】
[調製例2](酢酸菌又はその粉砕物の調製方法)
調製例1と同様の方法により、10%酢酸菌溶液を調製した。
次に、10%酢酸菌溶液を超音波処理し、10%酢酸菌粉砕物を得た。
得られた10%酢酸菌粉砕物を、凍結乾燥機(東京理化器械株式会社製)を用いて、真空度40Pa、棚温度65℃で凍結乾燥し、粉末状の酢酸菌粉砕物(酢酸菌含量100%)を調製した。
【0032】
[調製例3](酢酸菌又はその粉砕物の調製方法)
エタノール4%、酵母エキス0.2%、及び清水95.7%に酢酸菌(Gluconacetobacter kombuchae, NBRC14816)0.1%を添加し、品温30℃、通気量4L/minの条件で、24時間培養を行った。
得られた酢酸菌溶液に遠心濃縮処理を施した後、培地を清水洗浄で除去し、10%酢酸菌溶液を調製した。
次に、10%酢酸菌溶液10%、グルタミン酸ナトリウム0.5%、アスパラギン酸ナトリウム0.5%、L-アルギニン1%、デキストリン10%、清水78%を撹拌混合後、入口品温170℃、出口品温65℃の噴霧乾燥処理を施し、酢酸菌と遊離アミノ酸、又はそれらの塩の配合比率が、酢酸菌:酸性アミノ酸=1:1、酢酸菌:塩基性アミノ酸=1:1である、酢酸菌粉末を調製した。
【0033】
[調製例4](酢酸菌又はその粉砕物の調製方法)
調製例3と同様の方法で、10%酢酸菌溶液を調製した。
次に、10%酢酸菌溶液10%、グルタミン酸ナトリウム2.5%、アスパラギン酸ナトリウム2.5%、リジン塩酸塩5%、デキストリン15%、清水65%を撹拌混合後、入口品温170℃、出口品温65℃の噴霧乾燥処理を施し、酢酸菌と遊離アミノ、又はそれらの塩の配合比率が、酢酸菌:酸性アミノ酸=1:5、酢酸菌:塩基性アミノ酸=1:5である、酢酸菌粉末を調製した。
【0034】
[実施例1](容器入り食品の調製)
配合表1に基づいて、秋ウコンエキス粉末、調製例1で調製した酢酸菌粉末、酢酸、清水を混合し、実施例1の試験液を調製した。得られた試験液を残存酸素濃度が10%O
2以下になるように窒素置換しながらスチール製容器に充填し、本発明の容器入り食品を調製した。
【0035】
[配合表1]
秋ウコンエキス粉末 0.08%
調製例1で調製した酢酸菌粉末 0.02%
酢酸 0.05%
清水で 100%
【0036】
[試験例1]
酢酸菌又はその粉砕物添加の有無、及び酢酸濃度による、ウコン特有の土臭さが低減される効果について調べるため、秋ウコンエキス粉末及び酢酸菌粉末を表1に記載の含有量に変更した以外は、実施例1と同様の調製方法で、比較例1及び2の容器入り食品を調製した。
次に、実施例1、並びに比較例1及び2で調製したそれぞれの容器入り食品を品温25℃で1ヶ月保存後、官能評価を行った。
具体的には、比較例1の風味を基準に、容器入り食品を1mLずつ舌の上に滴下して相対評価を行った。
【0037】
評価は、下記の評価基準に従ったものである。
<ウコン特有の土臭さ>
◎:比較例1よりも、ウコン特有の土臭さが非常に低減されていた。
〇:比較例1よりも、ウコン特有の土臭さが低減されていた。
△:比較例1よりも、ウコン特有の土臭さが若干低減されていた。
×:比較例1と同程度であった。
【0039】
表1より、ウコンエキスを含有する容器入り食品において、
酢酸菌又はその粉砕物を含有し、
酢酸濃度が0.3%以下であり、
前記容器が、酸素遮断性容器であると、
ウコン特有の土臭さが低減され、しかも保存後もそれが維持されることが理解できる(実施例1)。
なお、実施例1の容器入り食品において、容器充填前と常温保存後で風味に変化がなく、酢酸菌によってウコンが発酵されていることはなかった。
【0040】
[試験例2]
酢酸菌又はその粉砕物添加の含有量による、ウコン特有の土臭さが低減される効果について調べるため、秋ウコンエキス粉末及び酢酸菌粉末を表2に記載の含有量に変更した以外は、実施例1と同様の調製方法で、実施例2乃至5の容器入り食品を調製した。
官能評価は、試験例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
【0042】
表2より、酢酸菌又はその粉砕物の含有量が、酢酸菌換算量で0.001%以上35%以下である方が、ウコン特有の土臭さが低減され、しかも保存後もそれが維持され易いことが理解できる(実施例1乃至5)。
特に、前記酢酸菌又はその粉砕物の含有量が、酢酸菌換算量で0.005%以上25%以下の方が、本発明の効果が顕著に現れた(実施例1、4及び5)
【0043】
[試験例3]
酢酸菌の種類による、ウコン特有の土臭さが低減される効果について調べるため、酢酸菌の種類を表3に記載の酢酸菌に変更した以外は、実施例1と同様の調製方法で、実施例6乃至8の容器入り食品を調製した。
官能評価は、試験例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
【0045】
表3より、全ての実施例において、ウコン特有の土臭さが低減され、しかも保存後もそれが維持されていた。
また、グルコンアセトバクター属の酢酸菌の方が、本発明の効果が得られ易いことが理解できる(実施例1、6及び7)
特に、グルコンアセトバクター属の中でも、例えば、グルコンアセトバクター・キシリヌス、又はグルコンアセトバクター・スウィングシの方が、本発明の効果が顕著に現れた(実施例1及び6)
【0046】
[実施例9〜11]
使用する酢酸菌粉末を調製例1〜4にそれぞれ変更した以外は、実施例1の調製方法に準じて実施例9〜11の容器入り食品を調製した。
ただし、酢酸菌含量を考慮して、調製例3の酢酸菌粉末は0.26%、調製例4の酢酸菌粉末は0.42%使用した。
得られた容器入り食品を試験例1と同様の方法で評価したところ、
実施例10及び11の容器入り食品は実施例1と同等以上の効果が得られ、全くウコン特有の土臭さを感じなかった。
一方、実施例9の容器入り食品は土臭さは低減されていたものの、実施例1の方がより低減されていた。
【0047】
[実施例12](容器入り食品 打錠物)
配合表2に基づいて、実施例12の錠剤を調製した。
つまり、秋ウコンエキス粉末、調製例1で調製した酢酸菌粉末、デキストリン(松谷化学工業(株)製、「TK−16」、DE値16)、結晶セルロース(旭化成(株)製、「アビセル」)、乳糖、L−アスコルビン酸ナトリウムを粉体混合し、コーンスターチ、乳化剤、オレンジフレーバー、オレンジ香料を加えて、流動層造粒機にて水と共に噴霧して乾燥させた後、打錠機にて錠剤を製し、窒素置換しながらアルミパウチに包装した。
【0048】
[配合表2]
秋ウコンエキス粉末 25%
調製例1で調製した酢酸菌粉末 10%
デキストリン 20%
結晶セルロース 20%
コーンスターチ 15%
乳糖 5%
乳化剤 4%
L−アスコルビン酸ナトリウム 1%
オレンジフレーバー 0.5%
オレンジ香料 0.5%
計 100%
【0049】
[実施例13、14]
使用する酢酸菌粉末を調製例3及び4に変更した以外は、実施例12の調製方法に準じて実施例13及び14の錠剤を調製し、窒素置換しながらアルミパウチに包装した。
【0050】
[比較例3]
実施例12と同様の調製方法により得られた錠剤を窒素置換せずにポリエチレン製のパウチに密封包装した。
【0051】
実施例12乃至14と比較例3で調製した錠剤を品温25℃で1ヶ月間保存後に開封し、それぞれ舌の上にのせて錠剤が溶け始めるのを待ち、ウコン特有の土臭さについて調べた。
その結果、実施例12乃至14の錠剤は、ウコン特有の土臭さが非常に低減されており、特に、実施例13及び14の錠剤については、土臭さが全く感じられなかった。
それに対して、比較例3で調製した錠剤は、土臭さを強く感じた。
【0052】
[実施例15](容器入り食品 清涼飲料)
配合表3に基づいて、実施例15の清涼飲料を調製した。
つまり、ウコンエキス(固形分10%)、調製例2で調製した酢酸菌粉砕物、果糖ブドウ糖液糖、アセスルファムK、ジェランガム、L−アスコルビン酸ナトリウム、グレープフルーツ香料、クエン酸(無水)、タウリン、ナイアシン、イノシトール、クエン酸三ナトリウム、清水を常法に則り、添加、混合した。
得られた水溶液を93℃に加熱したものを、窒素置換しながら100mLのアルミ容器に密封充填し、清涼飲料を調製した。
【0053】
[配合表3]
ウコンエキス 0.8%(乾燥粉末換算で0.08%)
調製例2で調製した酢酸菌粉砕物 0.02%
果糖ブドウ糖液糖 4%
アセスルファムK 4%
ジェランガム 2%
L−アスコルビン酸ナトリウム 0.1%
グレープフルーツ香料 0.1%
クエン酸(無水) 0.08%
タウリン 0.05%
ナイアシン 0.05%
イノシトール 0.05%
クエン酸三ナトリウム 0.02%
清水で 100%
【0054】
[実施例16、17]
使用する酢酸菌粉末を調製例3及び4に変更した以外は、実施例15の調製方法に準じて実施例16及び17の清涼飲料を調製し、窒素置換しながら100mLのアルミ容器に充填した。
ただし、酢酸菌含量を考慮して、調製例3の酢酸菌粉末は0.26%、調製例4の酢酸菌粉末は0.42%使用した。
【0055】
[比較例4]
実施例15と同様の調製方法により調製した清涼飲料を、窒素置換せずに100mLのPETボトルに充填した。
【0056】
実施例15乃至17と比較例4で調製した清涼飲料を品温25℃で1ヶ月間保存後に開封し、喫食して、ウコン特有の土臭さについて調べた。
その結果、実施例15乃至17の清涼飲料は、ウコン特有の土臭さが低減されており、特に、実施例16及び17の清涼飲料については、土臭さが全く感じられなかった。
それに対して、比較例4の清涼飲料は、土臭さを強く感じた。
【0057】
[実施例18](容器入り食品 炭酸飲料)
配合表4に基づいて、実施例18の炭酸飲料を調製した。
つまり、ウコンエキス(固形分10%)、調製例1で調製した酢酸菌粉末、果糖ブドウ糖液糖、パイナップル果汁、酢酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、マルトオリゴ糖、パイナップル香料、清水を混合した。
得られた水溶液を65℃10分間加熱後40℃以下に冷却したものを、100mLのアルミ容器に充填後、1.5kg/cm
2の圧力で炭酸ガスを密封充填し、炭酸飲料を調製した。
【0058】
[配合表4]
ウコンエキス 0.8%(乾燥粉末換算で0.08%)
調製例1で調製した酢酸菌粉末 0.02%
果糖ブドウ糖液糖 13%
パイナップル果汁 5%
酢酸 0.2%
L−アスコルビン酸ナトリウム 0.1%
酢酸ナトリウム 0.05%
マルトオリゴ糖 0.03%
パイナップル香料 0.01%
清水で 100%
【0059】
実施例18で調製した炭酸飲料を品温25℃で1ヶ月間保存後に開封し、喫食したところ、ウコン特有の土臭さが非常に低減されていた。