特許第6584858号(P6584858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584858
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】カセット管理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20190919BHJP
   B65G 49/00 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   H01L21/68 V
   B65G49/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-159645(P2015-159645)
(22)【出願日】2015年8月12日
(65)【公開番号】特開2017-38014(P2017-38014A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2018年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【審査官】 井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−313867(JP,A)
【文献】 特開平4−196339(JP,A)
【文献】 特開平11−255321(JP,A)
【文献】 特開2005−254170(JP,A)
【文献】 特開昭59−118561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65G 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の被加工物を複数収容して運搬する収容カセットと、
被加工物に付された該被加工物のIDを示す印を読み取る読み取り手段とを備えるカセット管理システムであって、
該収容カセットは、
被加工物を収容し、互いに対をなすガイドレールが内側に複数対形成される一対の側壁と、
該被加工物のIDと該収容カセットのIDと被加工物の運搬先情報とを対応付けた加工情報において、該読み取り手段が読み取った被加工物のIDに対応する運搬先情報を受信する受信手段と、
該受信手段が受信した該運搬先情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とするカセット管理システム。
【請求項2】
該読み取り手段は、
該加工情報において、読み取った被加工物のIDに対応する収容カセットのIDを表示する表示部を備えることを特徴とする請求項1に記載のカセット管理システム。
【請求項3】
該収容カセットが、
該受信手段と該表示手段を駆動する充電可能な電池を備え、
該収容カセットが運搬先又は運搬元の所定の領域に載置されると、該電池と電力供給源とが接続され、該電池が充電されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカセット管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カセット管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエーハや樹脂パッケージ基板、セラミックス板、ガラス板等の板状の被加工物を複数のデバイスチップに分割する加工装置として、切削装置やレーザー加工装置が知られている。それらの加工装置で被加工物は、単体の状態、又は環状フレームの開口に粘着テープ(ダイシングテープ)を介して支持されてフレームユニットを構成した状態で、複数段のガイドレールが形成された収容カセットに収容されて運搬され、加工装置に搬入される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
収容カセットは、運搬する事を目的としているため、必ず運搬先があるが、どこに運搬するかは、ウエーハを見てもわからない事が多く、例えば、カセットに添付された指示書などを見てオペレータが収容カセットを運搬する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−213782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、こうした加工装置を操作するオペレータは、頻繁に交代する。このために、オペレータは、指示書を見忘れたり、見たとしても誤った加工装置に収容カセットを運搬してしまう恐れがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、間違い無く所定の加工装置に運搬されることができるカセット管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のカセット管理システムは、板状の被加工物を複数収容して運搬する収容カセットと、被加工物に付された該被加工物のIDを示す印を読み取る読み取り手段とを備えるカセット管理システムであって、該収容カセットは、被加工物を収容し、互いに対をなすガイドレールが内側に複数対形成される一対の側壁と、該被加工物のIDと該収容カセットのIDと被加工物の運搬先情報とを対応付けた加工情報において、該読み取り手段が読み取った被加工物のIDに対応する運搬先情報を受信する受信手段と、該受信手段が受信した該運搬先情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
また、前記カセット管理システムにおいて、該読み取り手段は、該加工情報において、読み取った被加工物のIDに対応する収容カセットのIDを表示する表示部を備えるものとすることができる。
【0008】
また、前記カセット管理システムにおいて、該収容カセットが、該受信手段と該表示手段を駆動する充電可能な電池を備え、該収容カセットが運搬先又は運搬元の所定の領域に載置されると、該電池と電力供給源とが接続され、該電池が充電されるものとすることができる。
【発明の効果】
【0009】
そこで、本願発明は、加工責任者や管理者などが入力した運搬先情報を表示手段が表示するため、オペレータが頻繁に交代しても、収容カセット自体に運搬先が表示される。したがって、収容カセットは、間違い無く所定の加工装置に運搬されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る収容カセットが用いられるカセット管理システムの構成例を示す図である。
図2図2は、図1に示されたカセット管理システムの構成例のブロック図である。
図3図3は、図1に示されたカセット管理システムのサーバに記憶された加工情報の一例を示す図である。
図4図4は、図1に示されたカセット管理システムの読み取り手段の表示部の表示状態の一例を示す平面図である。
図5図5は、実施形態に係る収容カセットの概略の構成を示す斜視図である。
図6図6は、図5に示された収容カセットの端末装置の表示部の表示状態の一例を示す平面図である。
図7図7は、実施形態に係る収容カセットの概略の構成を示す断面図である。
図8図8は、図1に示されたカセット管理システムのシーケンス図の一例である。
図9図9は、実施形態の変形例に係る収容カセットの概略の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係る収容カセットを図面に基いて説明する。図1は、実施形態に係る収容カセットが用いられるカセット管理システムの構成例を示す図である。図2は、図1に示されたカセット管理システムの構成例のブロック図である。図3は、図1に示されたカセット管理システムのサーバに記憶された加工情報の一例を示す図である。図4は、図1に示されたカセット管理システムの読み取り手段の表示部の表示状態の一例を示す平面図である。図5は、実施形態に係る収容カセットの概略の構成を示す斜視図である。図6は、図5に示された収容カセットの端末装置の表示部の表示状態の一例を示す平面図である。図7は、実施形態に係る収容カセットの概略の構成を示す断面図である。
【0013】
実施形態に係る収容カセット1は、板状の被加工物Wを複数収容可能な収容カセットであって、複数の被加工物Wを半導体製造工程で用いられる各種の加工装置101a,101b,101c間で運搬するためのものである。
【0014】
実施形態では、被加工物Wは、シリコン、サファイア、ガリウムなどを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハである。被加工物Wは、表面に形成された複数のデバイスDが複数のストリートSによって格子状に区画されている。被加工物Wは、図5に示すように、環状フレームFの開口を覆い外周部が環状フレームFに貼着された粘着テープTに貼着されてフレームユニットFUを構成する。被加工物Wは、フレームユニットFUに構成された状態で収容カセット1内に収容される。なお、本発明では、被加工物Wとして、ウエーハの他に、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、ガラス板等でも良い。
【0015】
さらに、本発明の収容カセット1は、被加工物WをフレームユニットFUに構成することなく、直接収容しても良い。また、被加工物Wは、環状フレームFの所定の位置に被加工物WのID(Identification)を示す印であるバーコードBCが付されている。なお、被加工物WがフレームユニットFUを構成しない場合には、バーコードBCは、被加工物WのデバイスDが形成されていない外周余剰領域に付される。
【0016】
収容カセット1は、図1に示すカセットステーション100に載置されて、被加工物Wが出し入れされる。収容カセット1は、加工装置101a,101b,101cのカセット載置部102上に載置されて、加工装置101a,101b,101cにより加工される。加工装置101a,101b,101cは、被加工物Wを切削する切削装置、被加工物Wを研削する研削装置、被加工物Wを研磨する研磨装置、又は被加工物Wをレーザー加工するレーザー加工装置などの種々の被加工物Wに種々の加工を施す加工装置である。なお、図1には、加工装置101a,101b,101cは、三つ示されているが、これに限定されない。
【0017】
また、運搬先又は運搬元の所定の領域であるカセットステーション100及び加工装置101a,101b,101cのカセット載置部102には、収容カセット1の表示端末 の電源である電池30を充電するための充電端子103(図1及び図7に示す)が設けられる。充電端子103には、電力供給源である商用電源104からの交流電流がAC−DCコンバータにより変換された直流電流が供給される。また、加工装置101a,101b,101cのカセット載置部102には、カセット載置部102上に載置された収容カセット1の図示しない通信用端子に接続して、通信用端子に加工装置101a,101b,101cのID(Identification)を示す情報を送信する図示しない送信用端子が設けられている。被加工物Wは、予め定められた順番に従って複数の加工装置101a,101b,101cに順に運搬され、運搬された加工装置101a,101b,101cにおいて各種の加工が順に行われる。
【0018】
収容カセット1は、図1及び図2に示すカセット管理システム200により管理される。カセット管理システム200は、収容カセット1を運搬すべき加工装置101a,101b,101cを表示するシステムである。カセット管理システム200は、図1及び図2に示すように、管理入力装置210と、サーバ220と、読み取り手段230と、収容カセット1とを備える。
【0019】
管理入力装置210は、加工装置101a,101b,101cが設けられる被加工物Wの加工工場の建物内に配置され、加工責任者や管理者などがサーバ220に図3に示す加工情報PJを入力するものである。加工情報PJは、図3に示すように、被加工物WのIDと、収容カセット1のID(Identification)と、工程情報KJとを対応付けている。収容カセット1のIDは、対応付けられた被加工物Wを収容する収容カセット1のIDを示している。工程情報KJは、対応付けられた被加工物Wが運搬される複数の加工装置101a,101b,101cのIDを、運搬される加工装置101a,101b,101cの順番に従って示している。
【0020】
実施形態において、加工情報PJは、IDが「0001」の被加工物W及びIDが「0002」の被加工物WをIDが「0001」の収容カセット1に収容し、IDが「0001」の被加工物W及びIDが「0002」の被加工物WをIDが「0001」の加工装置101aとIDが「0002」の加工装置101bとIDが「0003」の加工装置101cに順に運搬することを示している。また、実施形態において、加工情報PJは、IDが「N」の被加工物WをIDが「n」の収容カセット1に収容し、IDが「N」の被加工物WをIDが「0002」の加工装置101bとIDが「0001」の加工装置101aとIDが「0003」の加工装置101cに順に運搬することを示している。
【0021】
管理入力装置210は、インターネット300を介してサーバ220に接続し、表示部211と、入力部212と、CPU(Central Processing Unit)213と、記憶部214とを備えている。表示部211は、入力する加工情報PJなどを表示する。表示部211は、液晶ディスプレイのようなフラットパネルディスプレイにより構成される。入力部212は、加工情報PJに被加工物W、収容カセット1及び加工装置101a,101b,101cのIDを入力するためのものである。入力部212は、キーボード、タッチパネル、及びマウスの少なくとも一つにより構成される。
【0022】
記憶部214は、加工情報PJを入力するプログラム等を保存している。記憶部214は、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリにより構成される。CPU213は、インターネット300を介してサーバ220に接続している。CPU213は、入力部212により入力された加工情報PJをインターネット300経由でサーバ220に送信し、サーバ220のDB221に記憶する。
【0023】
サーバ220は、加工工場又は加工メーカーの建物内に設置され、インターネット300を介して管理入力装置210に接続している。サーバ220及び管理入力装置210は、インターネット300を介して無線送受信機225に接続している。サーバ220は、加工情報PJを管理している。サーバ220は、DB(Database)221と、CPU(Central Processing Unit)222とを備えている。DB221は、加工情報PJを記憶している。サーバ220のCPU222は、読み取り手段230が読み取った被加工物WのIDを受信すると、DB221に記憶された加工情報PJを検索し、受信したIDの被加工物Wに対応した収容カセット1のIDと、工程情報KJを抽出する。サーバ220のCPU222は、受信したIDの被加工物Wに対応した収容カセット1のIDを読み取り手段230に送信し、工程情報KJを受信したIDの被加工物Wに対応した収容カセット1の端末装置20に送信する。
【0024】
読み取り手段230は、被加工物Wに付されたバーコードBCを読み取るものである。読み取り手段230は、バーコードリーダにより構成される。読み取り手段230は、無線送受信機231に接続している。読み取り手段230は、液晶表示装置により構成された表示部232と、表示部232などの動作を制御する図示しないCPU(Central Processing Unit)とを備える。読み取り手段230は、読み取った被加工物WのIDを示す情報を、無線送受信機231,225と、インターネット300を介してDB221に送信する。読み取り手段230は、読み取ったIDの被加工物Wを収容する収容カセット1のIDを示す情報を、DB221、インターネット300、無線送受信機225,231を介して受信し、図4に示すように、表示部232に表示する。
【0025】
収容カセット1は、板状の被加工物Wを複数収容して運搬するためのものである。収容カセット1は、図5に示すように、対向する一対の側壁2a,2bと、一対の側壁2a,2bの下端同士を連結する下端連結壁3と、一対の側壁2a,2bの上端同士を連結する上端連結壁4と、一対の側壁2a,2bと下端連結壁3と上端連結壁4とに連なる図示しない奥壁とを備えて、箱状に形成される。収容カセット1は、一対の側壁2a,2bと下端連結壁3と上端連結壁4とで囲まれて構成される出入口5を通して被加工物Wが出し入れされる。
【0026】
収容カセット1は、一対の側壁2a,2b間に収容する。収容カセット1は、互いに対をなすガイドレール10,11が一対の側壁2a,2bの内側に複数対形成される。互いに対をなすガイドレール10,11は、互いに間隔をあけて対向し、互いに同じ高さとなる位置に配置されている。ガイドレール10,11は、水平方向と平行に直線状に延びている。複数対のガイドレール10,11は、鉛直方向に間隔をあけて配置されている。複数対のガイドレール10,11の鉛直方向の間隔は、環状フレームF及び被加工物Wの厚みよりも若干大きい。収容カセット1は、図7に示すように、互いに対をなすガイドレール10,11上に被加工物Wを載置して、複数の被加工物Wを収容する。
【0027】
また、収容カセット1は、端末装置20を備える。端末装置20は、タブレット端末により構成される。端末装置20は、収容カセット1の外表面に取り付けられている。実施形態において、端末装置20は、上端連結壁4の上面に取り付けられている。
【0028】
端末装置20は、無線送受信機21と、制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)22と、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)23と、CPU22の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)24と、CPU22により情報が書き込まれる不揮発性メモリ25と、表示手段である表示部26とを少なくとも備える。
【0029】
無線送受信機21は、収容カセット1が収容した被加工物Wの運搬先情報である工程情報KJを受信する受信手段である。無線送受信機21は、DB221が送信した工程情報KJを受信する。CPU22は、無線送受信機21が受信した工程情報KJを不揮発性メモリ25に書き込む。CPU22は、通信用端子に接続しており、収容カセット1が載置されたカセット載置部102から加工装置101a,101b,101cのIDを示す情報が入力する。CPU22は、端末装置20の動作を制御する。表示部26は、液晶表示装置により構成される。表示部26は、図6に示すように、無線送受信機21が受信した運搬先情報である工程情報KJの次に収容カセット1が運搬される加工装置101a,101b,101cのIDを表示する。
【0030】
また、端末装置20は、図7に示すように、無線送受信機21、表示部26、CPU22及びRAM24を駆動する充電可能な電池30と、電池30を充電可能な充電機31とを備える。充電機31は、収容カセット1がカセットステーション100又はカセット載置部102に載置されると充電端子103に接続する接続端子32が接続している。収容カセット1は、カセットステーション100又はカセット載置部102に載置されると、電池30と商用電源104とが接続されて、充電端子103から接続端子32を介して充電機31に直流電流が供給される。そして、電池30が充電される。収容カセット1がカセットステーション100又はカセット載置部102から取り外されると、充電機31は、電池30の充電を停止する。
【0031】
次に、前述した構成のカセット管理システム200の動作を図面に基づいて説明する。図8は、図1に示されたカセット管理システムのシーケンス図の一例である。
【0032】
カセット管理システム200は、被加工物Wを収容カセット1に収容して、複数の加工装置101a,101b,101cに順に運搬する際に、まず、オペレータが収容カセット1をカセットステーション100に載置する。すると、収容カセット1の端末装置20の電池30が充電機31により充電される。なお、カセット管理システム200は、管理入力装置210から加工情報PJがDB221に入力されている。
【0033】
そして、オペレータが、収容カセット1から被加工物Wを取り出し、読み取り手段230を用いて被加工物Wに付されたバーコードBCを読み取る(ステップST1)。読み取り手段230のCPUが、読み取ったバーコードBCが示す被加工物WのIDを示す情報を無線送受信機231から無線送受信機225に送信する(ステップST2)。そして、無線送受信機225が受信した被加工物WのIDを示す情報をインターネット300を介してサーバ220が受信する(ステップST11)。
【0034】
サーバ220のCPU222がDB221に記憶された加工情報PJを検索して、受信した被加工物WのIDに対応する収容カセット1のID及び工程情報KJを抽出する(ステップST12)。サーバ220のCPU222がインターネット300を介して、無線送受信機225から無線送受信機231に向けて抽出した収容カセット1のIDを示す情報を送信するとともに、インターネット300を介して、無線送受信機225から無線送受信機21に向けて抽出した工程情報KJを収容カセット1の端末装置20に送信する(ステップST13)。
【0035】
無線送受信機231が収容カセット1のIDを示す情報を受信し、受信した情報が示す収容カセット1のIDを読み取り手段230のCPUに送信する(ステップST3)。読み取り手段230のCPUは、図4に示すように、表示部232に収容カセット1のIDを表示する(ステップST4)。
【0036】
また、無線送受信機21が工程情報KJを受信すると、端末装置20のCPU22が工程情報KJを不揮発性メモリ25に記憶する(ステップST21)。CPU22は、不揮発性メモリ25に記憶した工程情報KJを検索して、最初に収容カセット1が運搬される加工装置101a,101b,101cのIDを抽出し、図6に示すように、抽出した加工装置101a,101b,101cのIDを表示部26に表示する(ステップST22)。
【0037】
そして、オペレータが、表示部26に表示されたIDの加工装置101a,101b,101cに収容カセット1を運搬し、収容カセット1をカセット載置部102に載置する。このとき、端末装置20のCPU22は、表示部26に表示されたIDの加工装置101a,101b,101cのカセット載置部102に収容カセット1が載置されたか否かを判定する(ステップST23)。具体的には、端末装置20のCPU22は、通信用端子を介して入力した加工装置101a,101b,101cのIDが表示部26に表示した加工装置101a,101b,101cのIDに一致すると、表示部26に表示されたIDの加工装置101a,101b,101cのカセット載置部102に収容カセット1が載置されたと判定する。また、本発明では、加工装置101a,101b,101cに加工装置101a,101b,101cのID情報を送信する無線送信機があり、加工装置101a,101b,101cに収容カセット1を位置付けると、収容カセット1が載置された加工装置101a,101b,101cのIDを端末装置20が受信しても良い。端末装置20のCPU22は、表示部26に表示されたIDの加工装置101a,101b,101cのカセット載置部102に収容カセット1が載置されていないと判定する(ステップST23:No)と、ステップST23を繰り返すことで、オペレータに表示部26に表示されたIDの加工装置101a,101b,101cに収容カセット1を運搬することを促すこととなる。
【0038】
端末装置20のCPU22は、表示部26に表示されたIDの加工装置101a,101b,101cのカセット載置部102に収容カセット1が載置されたと判定する(ステップST23:Yes)と、収容カセット1が載置された加工装置101a,101b,101cが最後の工程を行うものであるか否かを判定する(ステップST24)。端末装置20のCPU22は、収容カセット1が載置された加工装置101a,101b,101cが最後の工程を行うものではないと判定する(ステップST24:No)と、不揮発性メモリ25に記憶した工程情報KJを検索して、次に収容カセット1が運搬される加工装置101a,101b,101cのIDを抽出して(ステップST25)、ステップST22に戻る。端末装置20のCPU22は、収容カセット1が載置された加工装置101a,101b,101cが最後の工程を行うものであると判定する(ステップST24:Yes)と、カセットステーション100を示す情報を表示部26に表示する(ステップST26)。そして、オペレータが、収容カセット1をカセットステーション100に運搬して、収容カセット1の工程を終了する。
【0039】
以上のように、実施形態に係る収容カセット1は、加工責任者や管理者などが入力した運搬先情報である工程情報KJを収容カセット1に取り付けられた端末装置20の表示部26に表示する。このために、収容カセット1は、収容カセット1自体に運搬先が表示されるため、オペレータが頻繁に交代しても、収容カセット1を誤った運搬先に運搬する恐れがないという効果を奏する。したがって、収容カセット1は、間違い無く所定の加工装置101a,101b,101cに運搬されることができる。また、加工装置101a,101b,101cのカセット載置部102やカセットステーション100に収容カセット1を載置することで端末装置20の電池30を充電可能であるので、表示部26が表示できなくなる事を抑制することができる。
【0040】
〔変形例〕
本発明の実施形態の変形例に係る収容カセットを図面に基いて説明する。図9は、実施形態の変形例に係る収容カセットの概略の構成を示す斜視図である。なお、図9において、実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
実施形態の変形例に係る収容カセット1−2は、図9に示すように、端末装置20を一方の側壁2bの外表面に取り付けている。変形例に係る収容カセット1−2は、実施形態と同様に、加工情報PJを収容カセット1に取り付けられた端末装置20の表示部26に表示するために、収容カセット1を誤った運搬先に運搬する恐れがなく、収容カセット1−2を上下で積み重ねた状態でも、端末装置20の表示部26を視認することができるという効果を奏する。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、カセット管理システム200は、サーバ220のDB221に加工情報PJを記憶することなく、管理入力装置210と読み取り手段230及び端末装置20がインターネット300を介することなく、無線送受信機21,225,231を介して情報を送受信してもよい。また、カセット管理システム200は、サーバ220に被加工物Wの工程情報KJを記憶した例を挙げたが、被加工物Wに関する工程情報KJが記載された指示書等がある場合、その内容を読み取り手段230で読み取って受信手段である無線送受信機21に送信し、その工程情報KJを表示手段である表示部26で表示させても良い。
【符号の説明】
【0043】
1,1−2 収容カセット
2a,2b 側壁
10,11 ガイドレール
21 無線送受信機(受信手段)
26 表示部(表示手段)
30 電池
100 カセットステーション(所定の領域)
102 カセット載置部(所定の領域)
104 商用電源(電力供給源)
KJ 工程情報(運搬先情報)
W 被加工物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9