特許第6585134号(P6585134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585134
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20190919BHJP
【FI】
   G01N35/10 F
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-186488(P2017-186488)
(22)【出願日】2017年9月27日
(62)【分割の表示】特願2014-528108(P2014-528108)の分割
【原出願日】2013年7月25日
(65)【公開番号】特開2017-223713(P2017-223713A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2017年9月27日
(31)【優先権主張番号】特願2012-171677(P2012-171677)
(32)【優先日】2012年8月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安居 晃啓
(72)【発明者】
【氏名】時枝 仁
(72)【発明者】
【氏名】折橋 敏秀
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 佳明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直人
【審査官】 島田 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−060550(JP,A)
【文献】 特開2007−225608(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0175284(US,A1)
【文献】 特開2011−163909(JP,A)
【文献】 特開2008−180538(JP,A)
【文献】 特開2011−220928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料容器に収容された試料を吸引し、反応容器に吐出する試料分注ノズルを有する試料分注機構と、
試薬容器に収容された試薬を吸引し、反応容器に吐出する試薬分注機構と、
前記試料分注ノズルを洗浄水により洗浄する洗浄機構と、
前記反応容器に収容された試料を分析する分析部と、
前記試料分注機構、前記試薬分注機構、前記洗浄機構、及び前記分析部の動作を一定の動作周期に従って制御するコントローラと、
を備え、Nを2以上の整数としたとき、前記試料分注ノズルが同一試料からN回試料吸引を行う場合、
前記コントローラは少なくとも1回の一定の閾値以上の量の試料吸引が行われたか否かを判定し、
前記試料分注ノズルが前記一定の閾値以上の量の試料吸引を1回も行っていない場合には、
前記洗浄機構による前記試料分注ノズル内の洗浄を、前記N回目の前記試料分注ノズルが試料を吸引し、吐出した動作周期と同一の動作周期中に行い、
少なくとも1回以上前記試料分注ノズルが前記一定の閾値以上の量の試料吸引を行った場合には、
前記洗浄機構による前記試料分注ノズル内の洗浄を、前記N回目の前記試料分注ノズルが試料を吸引し、吐出した動作周期の次の動作周期以降で1回以上行うことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記試料分注ノズルのN回目の前記試料分注ノズルの試料吸引量が前記一定の閾値以上の場合は、前記N回目の前記試料分注ノズルが試料を吸引し、吐出した動作周期の次の動作周期以降で、前記洗浄機構による前記試料分注ノズル内の洗浄を複数回行うことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記試料分注ノズルの1〜N−1回までに前記一定の閾値以上の試料吸引が行われ、前記試料分注ノズルのN回目の試料吸引量が前記一定の閾値未満の場合には、前記N回目の前記試料分注ノズルが試料を吸引し、吐出した動作周期及び次の動作周期以降で、前記洗浄機構による前記試料分注ノズル内の洗浄を複数回行うことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記洗浄機構における前記試料分注ノズル内の洗浄圧力を前記コントローラに複数設定可能であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1記載の自動分析装置において、
複数の試料分注機構と複数の試料分注ノズルの洗浄機構を備え、
前記コントローラが、前記複数の洗浄機構が前記複数の試料分注ノズル内を同一時間に洗浄しないように制御することを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の成分を定量あるいは定性分析を行う自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液、尿等の生体試料に含まれる特定成分の定量あるいは定性分析を行う自動分析装置は、分析結果の再現性、処理速度の高さ、等から現在の診断には欠かせないものとなっている。
【0003】
自動分析装置の測定方法は、試料中の分析対象成分と反応し、反応液の色が変わるような試薬を用いる分析法(比色分析)と、対象成分と直接あるいは間接的に特異的に結合する物質に標識体を付加した試薬を用い、標識体をカウントする分析法(免疫分析)に大別される。いずれの分析法においても試料に所定量の試薬を混合して分析を行うが、分析項目によって、試料と試薬の混合比が異なり、試料の採取量は1μL程度から20μL以上の比較的大きな吸引量を必要とする。
【0004】
自動分析装置では異なる試料について、これら複数の項目分析を行うことから、採取が終わった試料から、次の試料の採取に移る間に、試料の分注を行うノズルの洗浄を行い、試料間のキャリーオーバを防いで、分析精度の低下を抑制している。
【0005】
また、自動分析装置では試料の分注と、洗浄とを1動作サイクルの中に組み込んで、これを繰り返すことで分析を実施する。試料の吸引量が多い場合には特にノズル内の汚染領域が増えるので、ノズルの洗浄を十分に行うため、特許文献1に記載の方法では試料の種別あるいは分注量に基づいて、ノズルの洗浄時間を変化させる発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−220928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年の自動分析装置は、処理能力の向上が求められ、単位時間当たり1000test以上の高速処理が要求される場合は、1動作サイクル当たりの動作を3.6s以下に抑えなければならない。
【0008】
一方で試料の吸引量は1.0μLから35μL程度までと広範囲であり、1動作サイクル内に試料の分注時間とノズルの十分な洗浄時間とを取ることは難しい。
【0009】
特許文献1に記載された技術のように、試料の種別あるいは分注量に基づいて、ノズルの洗浄時間を変化させる場合、上記のような高速処理を行う場合は、1動作サイクル内での最大洗浄時間が短縮化されてしまうため、ノズルの十分な洗浄時間を確保することはできず、試料間のキャリーオーバが発生する可能性がある。
【0010】
本発明の目的は、検体の処理を高速化した場合であっても、ノズルの十分な洗浄を確保し、分析精度の低下を抑制可能な自動分析装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0012】
自動分析装置において、試料容器に収容された試料を吸引し、反応容器に吐出する試料分注ノズルを有する試料分注機構と、試薬容器に収容された試薬を吸引し、反応容器に吐出する試薬分注機構と、前記試料分注ノズルを洗浄水により洗浄する洗浄機構と、前記反応容器に収容された試料を分析する分析部と、
前記試料分注機構、前記試薬分注機構、前記洗浄機構、及び前記分析部の動作を一定の動作周期に従って制御するコントローラと、を備え、Nを2以上の整数としたとき、前記試料分注ノズルが同一試料からN回試料吸引を行う場合、前記コントローラは少なくとも1回の一定の閾値以上の量の試料吸引が行われたか否かを判定し、前記試料分注ノズルが前記一定の閾値以上の量の試料吸引を1回も行っていない場合には、前記洗浄機構による前記試料分注ノズル内の洗浄を、前記N回目の前記試料分注ノズルが試料を吸引し、吐出した動作周期と同一の動作周期中に行い、少なくとも1回以上前記試料分注ノズルが前記一定の閾値以上の量の試料吸引を行った場合には、前記洗浄機構による前記試料分注ノズル内の洗浄を、前記N回目の前記試料分注ノズルが試料を吸引し、吐出した動作周期の次の動作周期以降で1回以上行う


【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、検体の処理を高速化した場合であっても、ノズルの十分な洗浄を確保し、分析精度の低下を抑制可能な自動分析装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明が適用される自動分析装置の概略構成図である。
図2】本発明の一実施例における試料分注機構の概略構成図である。
図3】本発明の一実施例における1動作サイクル中に行うことが可能なノズルの洗浄タイミングの設定例を示す図である。
図4】本発明の一実施例において、2回のノズル洗浄タイミングを有する洗浄サイクルを2回設定した場合を示す図である。
図5】本発明の一実施例の洗浄方法を示す図である。
図6】本発明の一実施例において、第1の閾値に加えて第2の閾値を設定した場合の動作説明図である。
図7】本発明の実施例1において、試料吸引と吐出とを1検体から行った例を示す図である。
図8】本発明の実施例1において、試料吸引と吐出とを1検体から行った他の例を示す図である。
図9】本発明の実施例1において、試料吸引と吐出とを1検体から行ったさらに他の例を示す図である。
図10】本発明の実施例1において、試料吸引と吐出とを1検体から行ったさらに他の例を示す図である。
図11】本発明の実施例1において、試料吸引と吐出とを1検体から行ったさらに他の例を示す図である。
図12】本発明の実施例1の変形例を説明する図である。
図13】本発明の実施例1におけるコントローラ内における動作機能ブロック図である。
図14】本発明の実施例1における動作フローチャートである。
図15】本発明の実施例2の動作説明図である。
図16】本発明の実施例2の動作説明図である。
図17】本発明が適用される自動分析装置の概略構成図である。
図18】本発明の実施例3の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例】
【0016】
(実施例1)
図1は、本発明が適用される自動分析装置の概略構成図である。
【0017】
図1において、反応ディスク1には反応容器2が円周状に並んでいる。また、試薬ディスク9の中には複数の試薬ボトル10が円状に配置可能である。反応ディスク1の近くには試料容器15を載せたラック16を移動する試料搬送機構17が設置されている。そして、反応ディスク1と試薬ディスク9との間には試薬を試薬ボトル10から吸引し、反応容器2内に吐出する試薬分注機構7、8が設置されている。
【0018】
また、反応ディスク1と試料搬送機構17との間には、回転及び上下動可能な試料分注機構11が設置されており、この試料分注機構11は試料分注ノズル(試料ノズルと略す)11aを備えている。試料ノズル11aには試料用ポンプ19が接続されている。試料ノズル11aは試料分注機構11の回転軸を中心に円弧を描きながら移動して試料容器15から試料を吸引し、反応容器2へ試料を吐出し、試料分注を行う。
【0019】
反応ディスク1の周囲には、反応容器2、洗浄機構3、分光光度計4、攪拌機構5、6、試薬ディスク9、試料搬送機構17が配置され、洗浄機構3には洗浄用ポンプ20が接続されている。試薬分注機構7、8、試料分注機構11、攪拌機構5、6の動作範囲上に洗浄槽13、30、31、32、33がそれぞれ設置されている。試薬分注機構7、8には、試薬用ポンプ18が接続されている。
【0020】
試料容器15には血液等の検査試料が含まれ、ラック16に載せられて試料搬送機構17によって運ばれる。試料分注機構11は、試料吸引位置15wに位置する試料容器15から試料を吸引する。また、各機構はコントローラ21に接続され、コントローラ21によって動作制御される。また、コントローラ21は、反応容器2内の検査試料を分析する分析部としての機能を有する。
【0021】
図2は、本発明の一実施例における試料分注機構11の概略構成図である。図2において、試料の吸引、吐出を行う試料ノズル11aはアーム55により上下移動及び回転移動が可能であり、ノズル11aは流路で試料を流動させるための差圧を発生させるピペッタ51に接続されている。そして、ピペッタ51からノズル11aに至る流路にシステム水を供給するポンプ53とポンプ53とピペッタ51とをつなぐ流路と、この流路中にあり、システム水の流れを制御する少なくとも1つの電磁弁52を備える。洗浄水はタンク54に貯えられている。
【0022】
また、試料ノズル11aを洗浄する洗浄槽13には、タンク54から洗浄水を供給するポンプ57と、このポンプ57と洗浄槽13とをつなぐ流路と、この流路中にあり、洗浄水の流れを制御する電磁弁58とを備える。
【0023】
図3は、本発明の一実施例における1動作周期つまり1動作サイクル(T0〜T1又はT1〜T2)中に行うことが可能なノズル11aの洗浄タイミングの設定例である。1サイクルの時間は反応ディスクの回転周期と同一である。本発明では1動作サイクル中に複数回のノズル洗浄実施が可能なタイミングを持ち、この中から分注ノズル11aの分注量に応じて単数又は複数の洗浄タイミングが選択される。
【0024】
なお、洗浄タイミングの洗浄時間t〜tについては互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。ポンプ57を試薬分注機構7、8の試薬ノズルの洗浄にも供用する場合には、ノズル11aの洗浄の実施タイミングと試薬分注機構7、8の試薬ノズルの洗浄実施タイミングとはオーバーラップしていない、あるいはオーバーラップしていてもノズル洗浄実施タイミングと洗浄時間t〜tを固定することで、試薬ノズルの洗浄水量を適切に制御し、安定させることが望ましい。
【0025】
ノズル11aの洗浄において、上記のように単純に洗浄時間を延長するのではなく、同じ洗浄時間であれば、複数回に分けることで、例えば、洗浄回数を2回に分ける場合では、ノズル11a内の試料を1回目の洗浄で洗浄水に置き換え、ノズル11aの内壁に残った汚れが2回目の洗浄までに前記1回目の洗浄で置き換えられた洗浄水に拡散することで、2回目の洗浄において、より多くの汚れを除去でき、洗浄効率を向上させることができる。
【0026】
図4は、本発明の一実施例において、図3中の1サイクルの最初の洗浄タイミングと最後の洗浄タイミングとの2回のノズル洗浄タイミングを有する洗浄サイクルを2回設定した場合を示す図である。
【0027】
次に、本発明の一実施例として、図4に示したようなノズル洗浄を設定した場合におけるノズルの洗浄方法を説明する。
【0028】
図5は、本発明の一実施例である、ノズル11aが1検体から1回の試料吸引を行う場合のノズル11aの洗浄方法を示す図である。図5に示す例は、閾値を20μLとし、ノズルの試料吸引量が20μL未満の場合は、1動作サイクル中に試料吸引、試料吐出、ノズル洗浄を行う。そして、ノズルの試料吸引量が20μL以上の場合は、1動作サイクル中の試料吸引、試料吐出後、次のサイクルにおいて、2回のノズル洗浄(洗浄、洗浄)を行う例である。
【0029】
図1図2図5において、時刻T0からT1の1動作サイクルで試料分注機構11は、試料吸引位置15wに位置する、試料搬送機構17上のラック16に設置した試料容器15にアクセスし、試料ノズル11aで比較的少ない量、例えば6μLの試料吸引を行う。次に、試料分注機構11は、反応ディスク1上の反応容器2にアクセスし、例えば1μLの試料吐出を行う。
【0030】
試料の吐出完了後、試料分注機構11によりノズル11aを洗浄槽13に移動し、図4に示した「洗浄」の時間、電磁弁53及び電磁弁58を開放しノズル11aの外面及び内面の洗浄を行う。
【0031】
次に、時刻T1からT2のサイクルで試料分注機構11は試料搬送機構17上のラック16に設置した、新たな試料容器15にアクセスし、試料ノズル11aで比較的多い量、例えば30μLの試料を吸引し、次に反応ディスク1上の反応容器2にアクセスし、例えば25μLの試料吐出を行う。
【0032】
試料の吐出完了後、試料分注機構11によりノズル11aを前記洗浄槽13に移動する。
【0033】
そして、次のサイクルである時刻T2からT3において、図4に示した「洗浄」、「洗浄」の時間、電磁弁53及び電磁弁58を開放しノズル11aの外面及び内面の洗浄を行う。
【0034】
上記の例では試料吸引量の履歴として、6μL、30μLを参照し、閾値を20μLとして洗浄に使用するサイクルと、洗浄回数を制御可能としている。なお、上記の閾値の設定は1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0035】
図6は、閾値を2つ設定する例であり、第1の閾値に加えて、例えば第2の閾値として35μLとして設定した場合の動作説明図である。そして、試料ノズル11aで、例えば40μLの試料を吸引した場合の洗浄法の例を図6の(a)〜(e)の複数示している。これらの例は、ノズル11aの試料吸引量が第2の閾値以上の場合は、試料を吸引、吐出したサイクルの、次のサイクル及びさらにその次のサイクルで洗浄を3回又は4回行う例である。
【0036】
図6の(a)の例は、サイクルT0〜T1後の次のサイクルT1〜T2で洗浄、洗浄を実行し、さらに、次のサイクルT2〜T3で洗浄を実行する例である。
【0037】
図6の(b)の例は、サイクルT0〜T1後の次のサイクルT1〜T2で洗浄、洗浄を実行し、さらに、次のサイクルT2〜T3で洗浄を実行する例である。
【0038】
図6の(c)の例は、サイクルT0〜T1後の次のサイクルT1〜T2で洗浄、洗浄を実行し、さらに、次のサイクルT2〜T3で洗浄、洗浄を実行する例である。
【0039】
図6の(d)の例は、サイクルT0〜T1後の次のサイクルT1〜T2で洗浄を実行し、さらに、次のサイクルT2〜T3で洗浄、洗浄を実行する例である。
【0040】
図6の(e)の例は、サイクルT0〜T1後の次のサイクルT1〜T2で洗浄を実行し、さらに、次のサイクルT2〜T3で洗浄、洗浄を実行する例である。
【0041】
図6に示した例のように、ノズル11aの吸引量が第2の閾値以上の場合には、洗浄回数と洗浄サイクルを複数回設けることで適切なタイミングで適切な量のノズル11aの洗浄を実施することができる。また、試料の吸引量が多い場合には試料吸引と試料吐出を1サイクル目、2サイクル目以降を洗浄とする複数サイクル動作とすることで、試料吸引量の履歴を基に、適切な洗浄動作を実行することができる。
【0042】
次に、本発明の他の例として、ノズル11aが1検体から複数回の試料吸引を行う場合のノズル洗浄方法を説明する。
【0043】
図7図10は、1検体から2回の試料吸引行う場合の説明図である。また、試料吸引量の閾値として20μLを設定し、試料吸引量が20μL未満の場合は図5の1サイクルであるT0〜T1に、試料分注及び洗浄の動作を行い、20μL以上の場合には、図5のT1〜T2において試料の分注及び洗T2〜T3において洗浄浄の動作を行うこととする。
【0044】
図7は、1サイクルT0〜T1において、例えば6μLの試料吸引を行い、1μLの試料吐出の後、次のサイクルT1〜T2において、1μLの試料吸引と1μLの試料吐出を1検体から行った例を示す図である。
【0045】
図7に示した例の場合は、試料吸引量の履歴としては、1回目の試料吸引が6μL、その後、1μLを反応容器2に吐出し、2回目の試料吸引で1μL吸引しているので、ノズル11a内の試料残量は、1μL+5μL=6μLである。2回の試料吸引量は共に閾値の20μLを下回っているので、図5のT0〜T1に示した分注及び洗浄の動作を、2回目に試料吸引吐出サイクルであるT1〜T2内でノズル洗浄を行う。
【0046】
1回目と2回目の試料吸引による吸引履歴が、閾値20μL以上の場合は、図5のT1〜T3に示した分注及び洗浄の動作が行われる。
【0047】
図8は、T0〜T1で例えば20μLの試料吸引と15μLの試料吐出の後、T1〜T2で15μuLの試料吸引と15μLの試料吐出を1検体から行った場合の例である。この場合は、吸引量の履歴としては、1回目の試料吸引が20μL、その後、15μLを反応容器2に吐出し、2回目の試料吸引で15μLを吸引しており、ノズル11a内の試料残量は、15μL+5μL=20μLと、2回とも閾値の20μLを上回っているので、図5のT1〜T3の洗浄動作に従い洗浄を行う。
【0048】
また、上述した図8の例は、20μL以上の試料吸引では分注サイクルと洗浄サイクルとに互いに分かれた2サイクル分注であり、図8の1回目の分注サイクルとその後の分注サイクルでは洗浄は省略して、3サイクル目で2回の洗浄を行っている。この結果、時刻T1〜T2に2回目の分注サイクル、T2〜T3で洗浄を実施し、3サイクルで分注から洗浄までを終える構成となっている。分注サイクルと洗浄サイクルとを別箇のサイクルにしたので、1サイクル当たりの時間を短縮することが可能となる。
【0049】
図9は、T0〜T1で例えば6μLの試料吸引と1μLの試料吐出の後、T1〜T2で15μLの試料吸引と15μLの試料吐出を1検体から行った場合の例である。この場合は、吸引量の履歴としては、1回目の試料吸引が6μL、その後、1μLを反応容器2に吐出し、2回目の試料吸引で15μLを吸引しており、ノズル11a内の試料残量は、15μL+5μL=20μLと2回目の吸引量が閾値の20μLを上回っているので、図5のT2〜T3の洗浄動作に従いT2〜T3で2回の洗浄、洗浄を行う。
【0050】
図10は、T0〜T1で例えば20μLの試料吸引と15μLの試料吐出の後、T1〜T2で1μLの試料吸引と1μLの試料吐出を1検体から行った場合の例である。この場合は、吸引量の履歴としては、1回目の試料吸引が20μL、その後、15μLを反応容器2に吐出し、2回目の試料吸引で1μLを吸引しており、ノズル11a内の試料残量は、1μL+5μL=6μLであり、1回目吸引量が閾値の20μL以上となっているので、図5のT2〜T3の洗浄動作に従い洗浄を行う。
【0051】
また、図8のケースと同様に、分注サイクル内における洗浄は省略し、別箇のサイクルで洗浄を実施している。この結果、時刻T1〜T2に2回目の分注サイクルを実施し、T2〜T3で洗浄を実施し、3サイクルで分注から洗浄までを終える構成となっているので、その場合には、1サイクル当たりの時間であるサイクルタイムの短縮が可能となる。
【0052】
さらに、図10の例においては、T1〜T2の2回目の分注サイクルでは試料吸引が6μLであり、試料吸引時間が短く、1回分のノズル洗浄が可能である。
【0053】
そこで、図11に示す例のように、2回の洗浄を、T1〜T2とT2〜T3に分けても構わない。図11の(a)は、T1〜T2で洗浄を行い、T2〜T3でも洗浄を行う例である。図11の(b)は、T1〜T2で洗浄を行い、T2〜T3で洗浄を行う例である。
【0054】
他の分注機構のノズル洗浄との干渉回避や、洗浄間隔を空けることで、1回目の洗浄で置き換わったノズル11a内のシステム水に汚れが残留する場合、その汚れがシステム水内に拡散する時間を稼ぐことができ、2回目の洗浄でより効率的なノズル洗浄を実施することができる。
【0055】
1検体から3回以上の試料吸引を行う場合には、1回目と2回目のうちの最大試料吸引量と3回目の試料吸引量に対して閾値判定を行い、1検体から4回以上の試料吸引を行う場合には、1〜3回目までの最大試料吸引量と4回目の吸引量に対して閾値判定を行い、ノズルの洗浄回数とタイミングを決定する。以上の内容を纏めると、図7図11に示したように、Nを2以上の整数としたとき、同一試料からN回試料吸引を行う場合、1〜N−1回までの最大試料吸引量と、ノズル洗浄直前のN回目の試料吸引量とに基づいて、不要に動作サイクルを増やすことなく、ノズル洗浄回数とタイミングを決定し、効率的にノズル洗浄を行う。図7〜11においては、図7図8〜10とで、2通りのノズル洗浄パターンを示したが、図8〜10において、図11のように、洗浄タイミングを変えることで、4通りのノズル洗浄パターンとしても良い。
【0056】
また、図8図9図10に示した例のように、分注サイクル内には洗浄動作を含めず、分注サイクルと洗浄サイクルとに分けたので、その場合には、1サイクルタイムの短縮が可能となる。
【0057】
ノズルの試料吸引量が少ない場合は、短時間の洗浄処理でノズルの充分な洗浄が可能であり、試料の分注時間も短時間であるため、試料の分注サイクル内で洗動作を行い、ノズルの試料吸引量が多い場合は、ノズルの充分な洗浄を確保するため、試料の分注サイクルとは別箇の洗浄サイクルを設定している。
【0058】
これによって、検体処理の高速化のために、1動作サイクル時間を短縮化した場合であっても、適切なノズル洗浄時間を確保し、分析精度の低下を抑制することが可能となる。
【0059】
図12は、本発明の実施例1の変形例を説明する図である。図12の(a)は、閾値が20μLとしたとき、ノズル11aにより比較的少ない量、例えば、6μLの試料を吸引し、反応ディスク1上の反応容器2にアクセスし、例えば1μLの試料を吐出して、そのサイクル内で洗浄を行う例である。
【0060】
また、図12の(b)は、閾値が20μLとしたとき、ノズル11aにより比較的多い量、例えば、30μLの試料を吸引し、反応ディスク1上の反応容器2にアクセスし、例えば25μLの試料を吐出する。そして、その次のサイクルで洗浄及び洗浄を行う例である。
【0061】
図12の(a)の例における試料分注サイクル内での試料吐出開始時間tと試料吐出終了時間tとは、試料の吸引量に応じて設定されたタイミングである。同様に、図12の(b)の例における試料分注サイクル内での試料吐出開始時間tと試料吐出終了時間tとは、試料の吸引量に応じて設定されたタイミングである。
【0062】
つまり、試料の吸引量に応じて試料吐出開始タイミング及び試料吐出終了タイミングを可変としている。
【0063】
図12の例のように、試料の吸引量に応じて試料吐出開始タイミング及び試料吐出終了タイミングを可変としても、検体処理の高速化のために、1動作サイクル時間を短縮化した場合も、適切なノズル洗浄時間を確保し、分析精度の低下を抑制することが可能となる。
【0064】
図13は、上述した本発明の実施例1におけるノズル洗浄動作を実行するための、コントローラ21内における動作機能ブロック図であり、図14は、動作フローチャートである。
【0065】
図13において、コントローラ21は、試料吸引位置到達判断部21aと、試料分注機構動作制御部21bと、分注回数カウンタ21cと、分注量メモリ21dと、分注量判断部21eと、洗浄パターンメモリ21fと、分注ノズル洗浄機構動作制御部21gとを備える。
【0066】
次に、図13、14を参照してノズル洗浄動作を説明する。
【0067】
図14のステップS0の分析start後、試料容器15が試料吸引位置15wに到達したことを試料吸引位置到達判断部21aが判断すると、試料情報の更新を行い、分注回数カウンタ21cをリセットして、n=1をセットする(ステップS1)。
【0068】
試料分注機構動作制御部21bの制御により、試料分注機構11は試料容器15にアクセスし、試料ノズル11aで試料を採取し、反応ディスク1上の反応容器2にアクセスして、xμLの試料分注を行う(ステップS2)。試料の分注量xμLの分注情報は、分注量メモリ21dの配列a[i]に対して、a[n]=xμLとして格納する(ステップS3)。上記と同一の試料容器15に収容された試料の残分析項目があるか否かを試料分注機構動作制御部21bは判断し(ステップS4)、残分析項目がある場合には、試料ノズル11aのノズル洗浄をキャンセルし、分注回数カウンタ21cを以下の数式(1)により更新する(ステップS5)。
【0069】
n=n+1 ・・・(1)
分注回数カウンタ21cの更新後、ステップS2に戻り、次サイクルにおいて、試料分注機構11は試料容器15にアクセスする。そして、試料ノズル11aで試料を採取して、反応容器2にアクセスし試料分注を行い、分注量を分注量メモリ21dの配列a[i]へ格納する(ステップS3)。
【0070】
次に、試料分注機構動作制御部21bが上記同一の試料容器15に収容した試料の残分析項目があるか否かを判断し(ステップS4)、残分析項目が無いと判断すると、n回目の試料分注量a[n]が、例えばある分注量閾値bμL未満であるか否かの判定を分注量判断部21eが行う(ステップS6)。
【0071】
ステップS6において、n回目の試料分注量a[n]が、分注量閾値bμL未満である場合は、ステップS8に進み、分注量判断部21eが、1〜n−1回目の試料分注量a[1]〜a[n−1]のすべてが、分注量閾値bμL未満であるか否かの判定を行う(ステップS8)。この判定は、試料分注量a[1]〜a[n−1]の最大試料吸引量が分注量閾値bμL未満であるか否かの判定を行うことと等価である。
【0072】
ステップS8において、試料分注量a[1]〜a[n−1]のすべてが、分注量閾値bμL未満であると判定した場合は、洗浄パターンメモリ21fに格納された洗浄パターンW4(例えば、図5のT0〜T1のサイクル内の洗浄パターン)を選択し(ステップS12)、分注ノズル洗浄機構動作制御部21gにより、洗浄パターンW4に適合するように、洗浄機構(電磁弁52、58、ピペッタ51、ポンプ53、57)の動作を制御する。
【0073】
ステップS8において、試料分注量a[1]〜a[n−1]のいずれかが、分注量閾値bμL以上であると判定した場合は、言い換えれば試料分注量a[1]〜a[n−1]の最大試料吸引量が分注量閾値bμL以上であると判断した場合は、洗浄パターンメモリ21fに格納された洗浄パターンW3(例えば、図11のT1〜T3のサイクル内の洗浄パターン)を選択し(ステップS11)、分注ノズル洗浄機構動作制御部21gにより、洗浄パターンW3に適合するように、洗浄機構の動作を制御する。
【0074】
ステップS6において、n回目の試料分注量a[n]が、分注量閾値bμL以上である場合は、ステップS7に進み、分注量判断部21eが、1〜n−1回目の試料分注量a[1]〜a[n−1]のすべてが、分注量閾値bμL未満であるか否かの判定を行う(ステップS7)。
【0075】
ステップS7において、試料分注量a[1]〜a[n−1]のすべてが、分注量閾値bμL未満であると判定した場合は、洗浄パターンメモリ21fに格納された洗浄パターンW2(例えば、図5のT1〜T3のサイクル内の洗浄パターン)を選択し(ステップS10)、分注ノズル洗浄機構動作制御部21gにより、洗浄パターンW2に適合するように、洗浄機構(電磁弁52、58、ピペッタ51、ポンプ53、57)の動作を制御する。
【0076】
ステップS7において、試料分注量a[1]〜a[n−1]のいずれかが、分注量閾値bμL以上であると判定した場合は、洗浄パターンメモリ21fに格納された洗浄パターンW1(例えば、図6(c)のT1〜T3のサイクル内の洗浄パターン)を選択し(ステップS9)、分注ノズル洗浄機構動作制御部21gにより、洗浄パターンW1に適合するように、洗浄機構の動作を制御する。
【0077】
以上のように、本発明の実施例1においては、n回目の分注量閾値を判定することによって、n回目分注後のサイクル内の空き時間とノズル11aの汚染量とを判断し、さらに、1〜n−1回目の分注量閾値を判定することによってn回目以前のノズル11aの汚染量を判断することで、分注後の空き時間とノズル11aの汚染量から、最適なノズル洗浄を実施することができる。
【0078】
したがって、検体の処理を高速化した場合であっても、ノズルの十分な洗浄を確保し、分析精度の低下を抑制可能な自動分析装置を実現することができる。
【0079】
図14では、ステップ6〜8によって、ノズル洗浄パターンW1〜W4を選択することを説明した。ここでは、ノズル洗浄パターンW1〜W4の洗浄パターンすべてが異なる例で説明した。しかし、本発明は、ノズル洗浄パターンW1〜W4のすべてが異なることまでに限定されるものではなく、例えばノズル洗浄パターンW2とW3とが同じ洗浄パターンであってもよい。また、図7図10のように、ノズル洗浄パターンW1〜W3が同じ洗浄パターンであってもよい。少なくとも、ノズル洗浄パターンW1〜W4のうち2種類のノズル洗浄パターンであればよい。仮に2種類のノズル洗浄パターンである場合には、ノズル洗浄パターンW4は、分注量閾値bμL以上の試料吸引量がなく、ノズル洗浄パターンW1〜W3は、少なくとも分注量閾値bμL以上の試料吸引量がある点で、大きく異なるため、ノズル洗浄パターンW1〜W3とW4とで、異なる2種類のノズル洗浄パターンであることが望ましい。
【0080】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について、図15図16を参照して説明する。
【0081】
図15図16は、本発明の実施例2の動作説明図である。この実施例2は、ノズル11aの試料吸引量の閾値として20μLを設定し、ノズル11aの試料吸引量の履歴からノズル11aの洗浄動作を変更する例である。
【0082】
なお、自動分析装置の全体構成及び分注機構等の構成は、実施例1と実施例2は同様な構成となっている。
【0083】
実施例1においては、ノズル11aの試料吸引量の履歴に基づいて、洗浄回数及び洗浄タイミングを調整したが、実施例2においては、ノズル11aの試料吸引量の履歴に基づいて、洗浄圧力、洗浄回数及び洗浄タイミングを調整する。
【0084】
図15の(a)は、ノズル11aが、例えば6μLの試料吸引を行い、1μLの試料吐出を1検体から行った場合の例を示す図である。この図15の(a)に示す例の場合は、ノズル11aの試料吸引量の履歴としては6μLであり、閾値の20μLを下回っているので、期間T0〜T1内で試料分注及びポンプ53の圧力を低圧、例えば200kPaに設定して、ノズル11aの洗浄を行う。
【0085】
図15の(b)は、ノズル11aが、例えば20μLの試料吸引を行い、15μLの試料吐出を1検体から行った場合の例である。この図15の(b)に示す例の場合は、吸引量の履歴としては20μLであり、閾値の20μL以上となっているので、期間T0〜T1で試料分注及びポンプ53の圧力を高圧、例えば400kPaに設定して、ノズル11aの洗浄を行う。
【0086】
ノズル11aの洗浄圧力を変更すると、洗浄量は圧力の平方根に比例するので、上記の例では同じ洗浄時間で約1.4倍のノズル11aの洗浄量を得ることができる。よって、動作サイクルを増やさずに、ノズル11aの試料吸引量に応じた最適なノズル洗浄を行うことができる。
【0087】
また、図16は、本発明の実施例2のその他の例である。
【0088】
図16の例は、例えば、第1の閾値を20μLとし、第2の閾値を35μLとした場合の例である。なお、ノズル11aによる試料の吸引量が20μL未満の場合は、図15の(a)に示した洗浄を行う。
【0089】
図16の(a)において、試料ノズル11aで、例えば30μLの試料吸引を行った場合、第1の閾値以上第2の閾値未満であるので、試料の吸引吐出をおこなったサイクルT0〜T1の次のサイクルT1〜T2において、低圧(例えば、200kPa)の洗浄を2回行う。
【0090】
図16の(b)において、試料ノズル11aで、例えば40μLの試料吸引を行った場合、第2の閾値以上であるので、試料の吸引吐出をおこなったサイクルT0〜T1の次のサイクルT1〜T2において、高圧(例えば、400kPa)の洗浄と、低圧(例えば、200kPa)の洗浄を2回行う。
【0091】
このように、洗浄回数と洗浄サイクル、さらに洗浄圧力を調整することで、適切なタイミングで適切な量のノズル11aの洗浄を実施することができる。
【0092】
なお、同一試料から複数回試料吸引を行う場合、試料ノズルの洗浄回数及びタイミングは、実施例1と同様に制御される。つまり、図14のフローチャートに従って、ノズル洗浄パターンW1〜W4のいずれかが選択され、実行される。
【0093】
よって、本発明の実施例2においても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【0094】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3について、図17図18を参照して説明する。
【0095】
図17は本発明が適用される自動分析装置の概略構成図である。
【0096】
図17は、図1の本発明が適用される自動分析装置に、試料分注機構12を備える。この試料分注機構12は試料分注機構11と同様に、試料ノズル12aを備え、試料ノズル12aには試料用ポンプ19が接続されている。試料ノズル12aは試料分注機構12の回転軸を中心に円弧を描きながら移動して試料吸引位置15W2に位置する試料容器15から試料を吸引し、反応容器2へ試料を吐出し、試料分注を行う。
【0097】
図18は、反発明の実施例3の動作説明である。この実施例2はノズル11a、ノズル12aの試料吸引量の閾値として20μLを設定し、ノズル11a、ノズル12aの試料吸引量の履歴からノズル11a、ノズル12の洗浄動作を変更する例である。
【0098】
図18は、図3中の1サイクルの最初の洗浄タイミングと最後2回の洗浄タイミングとの合計3回の洗浄タイミングを有する。
【0099】
図18の(a)は、ノズル11a、ノズル12aが、例えば6μLの試料吸引を行い、1μLの試料吐出を1検体から行った場合の例を示す図である。この図18の(a)に示す例の場合は、ノズル11a、ノズル12aの試料吸引量の履歴としては6μLであり、閾値の20μLを下回っているので、サイクルT0〜T1内で試料分注及びノズル11aは「洗浄2」の時間、ノズル12aは「洗浄3」の時間に洗浄を行う。
【0100】
図18の(b)は、ノズル11a、ノズル12aが、例えば30μLの試料吸引を行い、25μLの試料吐出を1検体から行った場合の例を示す図である。この図18の(b)に示す例の場合は、ノズル11a、ノズル12aの試料吸引量の履歴としては30μLであり、閾値の20μLを上回っているので、ノズル11aはサイクルT0〜T1内で試料分注を行い、サイクルT1〜T2内で「洗浄1」、「洗浄2」の時間に洗浄を行う。ノズル12aはサイクルT0〜T1内で試料分注及び「洗浄2」の時間に1回目の洗浄、サイクルT1〜T2内で「洗浄3」の時間に2回目の洗浄を行う。
【0101】
このように複数の試料ノズルが存在する自動分析装置においても洗浄サイクルは増やさず、試料ノズル11aと試料ノズル12aの洗浄干渉を回避することができる。特に、洗浄干渉を回避させることによって、試料ノズル11aと試料ノズル12aの洗浄に用いる洗浄液を同一のポンプによって供給する場合であっても、各洗浄液の吐出圧力を低下させることなく、洗浄力の低下を招くことなく洗浄を行うことができる。同一時間に洗浄液の吐出が発生することがなく吐出圧力の分散が抑制できるためある。例えば、この洗浄干渉の回避は、一方のノズルに対する洗浄液を供給する直前に、他方のノズルに対する洗浄液の供給弁を遮断することで実現できる。図18では、例えば「洗浄3」と「洗浄2」の間で、ノズル11aへの洗浄液の供給弁を遮断した状態から、ノズル12aへの洗浄液の供給弁を遮断した状態へ、切り替えることでこの洗浄力の低下を抑制することができる。
【0102】
なお、同一試料から複数回試料吸引を行う場合、試料ノズルの洗浄回数及びタイミングは、実施例1と同様に制御される。つまり、図14のフローチャートに従って、ノズル洗浄パターンW1〜W4のいずれかが選択され、実行される。
【0103】
よって、本発明の実施例3においても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0104】
1・・・反応ディスク、 2・・・反応容器、 3・・・洗浄機構、 4・・・分光光度計、 5、6・・・攪拌機構、 7、8・・・試薬分注機構、 9・・・試薬ディスク、 10・・・試薬ボトル、 11・・・試料分注機構、 11a・・・試料ノズル、 12・・・試料分注機構、 12a・・・試料ノズル、 13・・・洗浄槽、 14・・・洗浄槽、 15・・・試料容器、 15w・・・試料吸引位置、 15w2・・・試料吸引位置、 16・・・ラック、 17・・・試料搬送機構、 18・・・試薬用ポンプ、 19・・・試料用ポンプ、 20・・・洗浄用ポンプ、 21・・・コントローラ、 21a・・・試料吸引位置到達判断部、 21b・・・試料分注機構動作制御部、 21c・・・分注回数カウンタ、 21d・・・分注量メモリ、 21e・・・分注量判断部、 21f・・・洗浄パターンメモリ、 21g・・・分注ノズル洗浄機構動作制御部、 30・・・洗浄槽、31、32、33・・・洗浄槽、 51・・・ピペッタ、 52、58・・・電磁弁、 53、57・・・ポンプ、 54・・・タンク、 55・・・アーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図18