【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の検体容器搬送システムの全体構成を示す図である。
【0013】
本発明における検体容器搬送システムは、前処理システムと分析システムを搬送ラインで接続した構成を有する。
【0014】
前処理システムは、検体容器に収容された検体に種々の前処理を実施する前処理装置100と、前処理が実施された検体容器の検体に分析処理を実施する複数(本実施の形態では2つ)の分析装置101,102と、前処理装置100及び分析装置101,102の装置の間で検体容器を搭載した検体容器ホルダを搬送する搬送路103と、搬送路103と複数の分析装置101,102のそれぞれとの間に設けられ、搬送路103により搬送された検体容器ホルダと各分析装置101,102で検体容器を搭載して搬送するのに用いる検体容器ラックとの間で検体容器を移載する複数(本実施の形態では2つ)の検体容器移載機構ユニット104,105と、検体処理システム全体の動作を制御する制御部106とを概略備えている。
【0015】
なお、制御部106は、検体容器移載機構部104,105の動作を制御する移載制御部106aと、検体処理システムに投入される検体容器に収容された検体の分析項目や優先情報等の検体情報、各識別子の検体との関係性などを記憶する記憶部106bとを有している。検体容器移載機構部104,105、移載制御部106a、及び記憶部106bの一部は、検体移載装置を構成している。
【0016】
前処理システム100は、種々の機能を有するユニットが複数連結されて構成されている。検体が収容された検体容器を投入するための検体投入ユニットや、検体に遠心分離処理を実施する遠心分離ユニット、検体容器の開栓を行う開栓ユニット、子検体容器にバーコード等の識別情報を添付する識別情報添付ユニット、検体容器から子検体容器に小分けした検体を分注する分注ユニット、検体容器に閉栓をおこなう閉栓ユニット、処理の終了した検体容器を収納する収納ユニットなどにより構成されている。なお、本システムの構成は一例にすぎず、他の機能ユニットを前処理システムに備えていても良い。前処理システム100の上記ユニットは、搬送路により接続されており、搬送路によって検体容器ホルダに搭載された検体容器1が搬送されている。
【0017】
分析システムは、用途に応じて生化学分析装置、免疫分析装置、凝固分析装置など、臨床用に用いられる種々の自動分析装置が接続されうる。
【0018】
図2は、本発明において使用されるホルダおよびラックの外形を示す図である。
【0019】
図2(a)はホルダ(1本ラック)を示し、円柱状の基部206と、基部の上に設けられ検体容器200の側壁を支持する支持部201を有する。支持部は複数本の支柱202が上方に突き出した形状を有している。各支柱は円周上に特定の角度ずつ離間して配置されており、検体容器の側面にバーコードラベルが貼付されている場合には、隣り合った支柱の間からバーコードラベルを読取ることが可能である。
【0020】
基部206の外形は円柱形状を有しているため、搬送ラインや分岐部での搬送中において、搬送ラインの側方に設けられた側壁との摩擦等により回転しやすい。そのためホルダ上に保持されている検体容器に張られたバーコードラベルの向きを常に制御することは難しく、バーコードラベルの読取り位置に搬送されたホルダ上に保持されている検体容器のバーコードラベル面が、バーコードリーダによる読取りができない向きとなっている場合がある。
【0021】
一方、
図2(b)は5本ラック203であり、搬送ラインによる搬送方向に長手方向を有し、検体容器200を保持可能なポジション204を5つ配置した構成を有している。5本ラックの側面には、検体容器の外壁に貼付されたバーコードラベルをラックの外から識別可能なように、ポジションごとに側面にスリット205が設けられている。バーコードリーダは5本ラックのスリットを介して、検体容器のバーコードラベルを読取る。
【0022】
図3は、検体容器移載ユニット104,105の構成を示す図である。
【0023】
検体容器移載ユニットは、検体前処理システムから搬送されたホルダを搬送するホルダ搬送ライン10a,10bと、搬送されたホルダ上の検体容器をチャッキングする検体チャック機構(詳細は後述)と、検体チャック機構を上下及び水平方向に移動させるXYZ駆動機構と、検体容器が載せられたラックを分析システムへ搬送するラック搬送ライン23a,23bを備える。
【0024】
ホルダ搬送ライン10aにより移送されたホルダは、ホルダ移載ポジション401にてストッパ機構14により一時停止する。ホルダ移載ポジション401に検体チャック機構がアクセスし、検体容器をチャッキングして上昇し、ホルダから抜き出す。その後、検体チャック機構が水平移動し、ラック搬送ライン23a上のラック移載ポジション402に待機しているラックの空きポジションに移載する。
【0025】
ラックの全てのポジションに検体容器を移載したか、あるいは次のホルダが到着する前にタイムアウトが発生すると、ラック搬送ライン23aはラックをラック移載ポジション402から搬出し、下流に接続された分析システムへと搬送する。
【0026】
分析システムでの分析が終了した後の検体容器はラック搬送ライン23bにより検体容器移載ユニットへと戻され、ラック移載ポジション403に停止させられる。その後、チャック機構がアクセスして検体容器を抜き出し、ホルダ搬送ライン10bの上のホルダ移載ポジション404に待機しているホルダに移載する。ホルダへ移載された検体容器は搬送ライン10bを介して前処理システムへ搬送されて収納ユニットに収納されるか、あるいは、搬送ライン103を介して別の分析システムへと搬送される。なお、分析が終了した後の検体容器はホルダへ戻すことなく、分析装置内の所定の収納場所に収納されるようにしても良い。
【0027】
検体容器移載ユニット104,105上のそれぞれの搬送ラインには、各所において検体容器に貼付されたバーコードラベルを読取るためのバーコードリーダ15a〜15bが配置されている。また、ホルダ上に保持された検体容器のバーコードラベルを読取るため、読取位置にはホルダを回転させる回転機構16が設けられている。
【0028】
図4は、本発明における検体移載機構の要部構成を示す図である、検体移載機構は例えば検体前処理システムの検体移載ユニット104,105に組み込まれるものである。
【0029】
上述したように、ホルダは搬送中に回転が生じ、検体移載ユニットに到達した時点で検体容器に付されたバーコードラベル面の向きは不揃いとなっている場合がある。一方で、ラックに移載した検体容器はバーコードラベル面がスリット305のスリット幅に位置付けられていないと、バーコードリーダで読取ることができないという課題がある。そのため、本発明における検体容器移載ユニットは、ホルダ移載ポジション401(ラベル面調整位置)でホルダを回転させながらバーコードリーダでバーコードラベルを読取り、ラベル面の向きを識別する。バーコードラベルの向きを識別すると、ラベル面の向きを適切に調整した後、検体チャック機構で検体容器をホルダから抜き出し、ラック搬送ライン上のラックに移載する。
【0030】
検体チャック機構400は、複数本のフィンガ18により検体容器12を掴むチャック19と、チャック19を上下方向および水平方向に移動させる駆動機構(図示せず)を備える。駆動機構は、少なくともホルダ搬送ライン10とラック搬送ライン23にまたがって、検体チャック機構400を移動させることができる駆動範囲を有する。
【0031】
検体容器21が移載されたラック20は、1ポジション移動して、次の空きポジションを検体チャック機構がアクセス可能となる位置へと移動させる。全てのポジションに検体容器が移載されるか、次の検体容器が一定時間以上搬送されてこない場合は、ラック搬送機構23上を移動して、図示されていない分析システムへと搬送される。一般的な分析システムでは、検体を認識するために、ラック20に移載された検体容器のバーコードを、スリット22を介してバーコードリーダ(図示せず)により読み取る。各機構の動作制御および情報は、制御部10で管理される。
【0032】
図5は、ラベル面調整位置における構成を示す上面図である。
【0033】
ラベル面位置調整位置には、ホルダ11を所定の位置に停止させるストッパ機構14、ストッパ機構で停止しているホルダを回転させる回転機構16、ホルダ上の検体容器に貼付されたバーコードラベルを読取るリーダ15を備える。なお、本発明においてリーダ15の構成は特に問わないため、詳細な説明は割愛するが、バーコードラベルを読取るための光を照射する照射部、ラベルからの反射光を取得する受光部を備える。そのため、照射部からの照射領域によって読取可能領域が決定される。
【0034】
また、回転機構16の構造は特に構造は問わないが、本実施例においては、モータの駆動により回転する駆動ローラ17をホルダ11の側面に押し当て、ホルダごと検体容器を回転させる機構を用いている。他の方式としては、検体容器に当接して検体容器を回転させるようにしても良いし、検体チャック機構で検体容器をチャッキングしながら回転させる機構であっても良い。バーコードリーダ15および回転機構16の詳細な動作原理に関しては後述する。
【0035】
図5のように、ストッパ機構で停止したホルダに対して、回転機構16とバーコードリーダ15が両方アクセスできるように配置することにより、ストッパ機構14でホルダ搬送ライン上に一時停止されたホルダを回転させながら、ホルダの上に保持された検体容器の側面に貼付されたバーコードラベルをリーダ15で読取ることが可能となる。
【0036】
次に
図6を用いて、ラベル面調整位置における検体容器の制御方法について説明する。
【0037】
まず、検体容器の側面は、バーコードラベル面上にバーコードや文字が印字されている印字領域と、バーコードラベル面上になにも印字されていない、もしくはバーコードラベルがそもそも貼付されていない非印字領域に分けられる。ホルダ搬送ライン10上を搬送されたホルダはラベル面調整位置において、一時停止されたのち、ホルダを回転させながらバーコードラベル24の読取りが実行される。この読取り動作により、バーコードラベル24の印字領域と非印字領域を識別する。
【0038】
バーコードラベル24の印字領域または非印字領域を識別すると、ラベルの印字領域を任意の向きに調整した後、検体チャック機構19により検体容器をチャッキングし、上昇させることでホルダから抜き出す。抜き出された検体容器はラック搬送ライン上にあるラック20の空きポジションに移載される。ラック20にはすでに検体容器21A,21Bがポジション22A、22Bに移載されているため、搬送された検体容器を空きポジション22Cに移載する。
【0039】
このように移載前に検体容器の向きを識別することにより、ラックに移載した際に検体容器のラベル面の向きを、簡易にラックのスリットに合わせることが可能である。
【0040】
次に、
図7〜
図9を用いてラベル面調整位置におけるラベル面の位置調整のフローを説明する。
【0041】
最初に、リーダ15に対するバーコードラベル24の向きを識別するための第一の読取りを実行する。具体的には、規定角度ホルダを回転させながら、読み取り対象となった検体容器12の読取りを実行し、バーコードラベルの印字領域と非印字領域を識別する(S101)。つまり、バーコードリーダの読取り領域800が検体容器の表面を規定角度だけスキャンすることとなる。
【0042】
図8は回転角度の決定方法を説明する図である。
【0043】
回転の規程角度は、バーコード読み取りの障害となることが想定される対象物の大きさに応じて決定される。ホルダの支柱302が基部の円周上に等間隔に配置されており、その支柱の幅が円周角度θである場合には、規定角度はθ以上とする。例えば、支柱が円周上に等間隔に4本設けられ、支柱の両端とホルダの中心とを結んだ円周角度が45°である場合には、規定角度は45°以上に設定する。これにより、規定角度ずつ回転させている最中に必ず1回は読取り可能領域がラベルの印字領域をスキャンすることになり、支柱がラベルの印字に重なっていたとしても読取りを成功させることができる。
【0044】
S101の間に、読み取りが一度も出来なかった場合は、ホルダを規定角度ずつ回転する間、読取可能領域800がラベルの非印字領域をスキャンすることとなるため、ラベル面の読取りをすることができない。そのため、
図9Aの状態、つまりバーコードラベルの印字面がバーコードリーダに向いておらず、読取可能領域は非印字領域にあると判定し、S105へ移動する(S102:N)。
【0045】
S101の間に読取りが成功した場合は、
図9B(a)または(b)の状態、すなわちバーコードラベルはリーダに対して正面を向いている状態か、バーコードラベルはリーダに対して正面を向いているが、ホルダの支柱により一部隠されている領域があると判断する。これらの場合は印字領域が読取領域の向きにあると判断して(S102:Y)、S103へ移行する。
【0046】
なお、
図9Bの(a)または(b)のいずれの状態にあるかは、回転角度と読取成功/読取失敗の関係により識別可能である。
図9B(a)の状態では、ホルダの支柱の間に印字領域の中心が位置し、支柱はラベルの印字領域の両端を隠している。そのため、規定角度だけ回転する間、最初および最後のタイミングでは、ラベルの読取りは失敗するが、その間のタイミングでは読取成功となる。一方、
図9B(b)の状態では、ホルダの支柱とラベルの印字領域の中心が重なっているため、その重なり領域ではバーコードラベルの読取りは失敗するが、S101にて規定角度θだけ回転させるので、必ず支柱の間に印字領域が生じるエリアを読取ることができる。
【0047】
S103では、S101およびS102の工程が規定回数実行されたか否かが判定される。規定回数は、規定角度ずつ回転させたときに検体容器の全周(360°)がチェックできるように規定角度との関係で決定されることが望ましい。なお、場合によっては2周以上ホルダを回転させてチェックできるようにしても良い。例えば、規定角度を45°とした場合には、規定回数は8回となる。リトライ読み取り回数が8回未満であれば、S101の処理に戻り、さらに規定角度ずつ回転させながら検体容器の読取りを実行し、非印字領域を探す処理を続行する。一方、規定回数に到達した場合は、エラー処理(S104)が実行される。エラー処理(S104)では、対象の検体容器についてバーコードが読み取れなかった旨が報知され、必要に応じて搬送処理を実行する。
【0048】
S102で規定角度の回転の間中、読取り失敗である(つまり非印字領域である)と判定されると、回転機構によるホルダの回転を一旦停止させ、バーコードリーダの読取可能領域に非印字領域が対向した状態とする。その状態で、ホルダを回転させながら、連続的にバーコードラベルの読み取りを実行し、バーコードラベルの印字領域を探す(S105)。回転角度は最大で360°とする。
【0049】
S105中にバーコードラベルの読み取りが成功すると(S106:Y)、印字領域の端部を特定したと判定して、S107へ移行する。一方、S105中に一度も読み取りが出来なかった場合(S106:N)は、バーコードラベルが検体容器に貼付されていない、あるいはバーコードラベルが読取不可能と判断してエラー処理(S104)が実行される。バーコードラベルが読取不可能な状態としては、例えば
図9Cに示すようにバーコードラベルに傷や汚れ801があるために読み取れない場合などである。このようにエラー処理が実行された検体容器は、ラックへの移載が実行されず、エラー検体用の回収部に回収される。
【0050】
S107では、S106でバーコードラベルの端部読取りが成功した地点から、所定の角度だけさらにホルダを回転させる。このステップはなくても良いが、ホルダを回転させることで、バーコードラベルの印字領域の中心を所望の角度に調整可能であり、ラックのスリット位置にバーコードラベル面の中心に揃えることが可能となる。ホルダの回転量は、前記リーダ15と移載先ラック20の位置関係、および通信時間を考慮して決定し、スリット22に対してバーコードが正面から可能な限り広い範囲見えている状態にするのが望ましい。
【0051】
所定の角度だけホルダを回転させた後に回転機構を停止させ、検体容器のラベル面の位置を確定させる(S108)。その状態で検体チャック機構をホルダ上の検体容器にアクセスさせ、検体容器をチャッキングし、ラックへの移載を実行する。
【0052】
本方法によれば、規定角度ずつ回転させながら印字領域と非印字領域を識別するので、
図9B(b)のように、読取り開始当初は読取りができないと判断されるラベル面の向きであったとしても、ラベル面の向きを正しく判定し、向きを調整可能である。
【0053】
なお、本実施例では検体容器移載機構を例として説明したが、検体容器の移載処理は実行せず、単にバーコード読取位置等でラベル面の位置を合わせるためだけに使用しても良い。
【0054】
また、本実施例では1本ホルダから5本ラックへの検体容器の移載処理を一例として説明したが、この間の移動に限定されるものではなく、アレイ状に検体容器を保持可能なトレイに移載する際に向きを調整するために用いても良い。
【0055】
本実施例ではバーコードラベルとバーコードリーダの組合せを例として説明したが、バーコードラベル以外のラベル(例えば、2次元バーコード)であっても良い。他には、ラベルに人が読取可能な文字が印字されており、撮像した画像を解析することでラベルの識別をおこなう場合には、バーコードリーダに替えてカメラを備えていても良い。また、検体容器そのものの外壁に印字されている文字を読取る場合であっても良い。
【0056】
また、本実施例においては、検体容器12を回転させる手段として回転機構16を例に挙げたが、チャック機構19に回転機能を持たせ、回転させてもよい。回転方法として、前記チャック機構19に回転機能を持たせ、検体容器を掴み上げて回転させる方法を形態とする場合、フィンガの円周角度を
図7のステップS101における規定角度として設定する。
【実施例2】
【0057】
次に、ラベルの向きを調整するための別の一例について説明する。以下では、実施例1と同様の部分については説明を省略する。
【0058】
実施例1の方法では、バーコードの読み取り精度が低いと、実際にはバーコードが正しい向きにあるにもかかわらず「バーコード読み取り失敗」と判断されてしまい、結果としてエラー処理になる可能性がある。エラー処理になると、処理が中断されたり、リトライ処理されたりすることになり、全体の処理時間は長くなってしまう。より具体的には、
図7のS102で成功と判断されるべき状態にあっても、バーコードの読み取り精度が低いと失敗と判断されS105の処理に移ってしまうことが考えられる。本来であればS102からS105に移る場合には非印字領域が特定されていることが前提となるが、このようなケースの場合には実際には非印字領域が特定されないままS105の処理が始まることになるのでS106で失敗となり結果的にS104のエラー処理になってしまう。そこで、本実施例では、バーコードの読み取り精度に依存せず、ラベルの向きをそろえることが可能な方法を説明する。
【0059】
実施例1で説明したように、ストッパ機構14によりホルダが搬送ライン上で停止させられると、最初に、検体容器側面の印字領域に印字された情報の読み取りが成功するまで連続でバーコード読取りとホルダの回転を行う(S201)。これによってホルダは印字領域がリーダ15のバーコード読み取り領域800に位置するまで回転される(S201、S202)。前述のようにホルダの回転は駆動ローラ17によって行われる。なお、ホルダが回転することよって、ホルダに保持されている検体容器も同時に回転するため、本明細書の各実施例においてはホルダの回転と検体容器の回転は同じ意味を示すものとして考えることができる。駆動ローラ17は制御部106によって動作が制御される。また、リーダ15によってバーコードが読み取られ、制御部106によって読み取りの成否が判定される。駆動ローラ17、リーダ15、制御部106の動作は以下の各ステップにおいても同様である。回転角度は最大で360°とし、360°回転させている間中読み取りが1度も出来なかった場合はエラーとして処理する(S202)。例えば読み取り可能なラベルがはりつけられていない場合はここでエラー処理される。
【0060】
S202で読み取りが成功した場合には、少なくとも読み取りが成功した向きには印字領域が存在するため、特定された印字領域からバーコードを連続的に読み取りながらホルダを回転させればラベルの端部の位置を特定することが可能である場合もある。ホルダを逆回転させることが可能な構造である場合には、このようにラベルの端部の位置を特定した後に所定角度(より具体的にはラベルの幅の半分)だけ逆回転させればラベルの中央をリーダ15の向きに合わせることが可能である。しかしながら、ホルダが一方向にしか回転できない場合には、この方法でラベルの端部の位置を特定してもラベルの中央をリーダ15の向きに合わせることができないため、以下のように非印字領域を一旦特定してから印字領域の端部を特定する方法が特に有効となる。
【0061】
S202で読み取りが成功し、印字領域がバーコード読み取り領域800に来るまで回転が行われた後に、規程角度分、ホルダを回転させながらバーコードの読み取りを実行する(S203)。S203ではS201と同じ方向にホルダを回転させる。S203では規定角度ごとに間欠的に回転が行われる。
【0062】
S203で規定角度分回転させる間にバーコードが正常に読み取れる向きが存在する場合にはさらに規定角度分回転させながらバーコードを読み取り続ける。例えば
図9Bの(a)(b)いずれの場合にも規定角度以内には必ずバードコードが正常に読み取れる向きが存在する。
【0063】
このS203の動作を読み取り失敗となるまで繰り返し行う(S204)。ただし、繰り返しが規定回数に達した場合はエラーとして処理する(S205)。規定回数に達したか否かは制御部106によって判定される。ここで、規程角度と規定回数は、前述した
図7で示す方法と同じ方法で設定する。つまり、規定角度は、支柱202の幅に対応する円周角度θ(
図8参照)以上とするのが好ましい。言い換えれば、規定角度は支柱202の両端とホルダの中心の成す円周角度以上と表現することもできる。
【0064】
規定角度分回転させる間に一度も読み取りに成功することが無い場合には、S204で読み取り失敗と判断される。規定角度が適正に(すなわち支柱202の幅に対応する円周角度θ以上に)設定されている場合、支柱202にさえぎられているせいでバーコードが読み取れないのではなく、規定角度内に読み取り可能なバーコードが存在しない(
図9Aの状態)ことを意味する。つまり、S204は、非印字領域を特定することを目的としている。したがって、S204からS206に移る場合には、非印字領域がバーコード読み取り領域800の向きに位置する状態となっている。
【0065】
バーコードの読み取りの成功の判定基準は、バーコードから情報を取得できれば成功と判定する場合と、取得したバーコード情報が事前に取得していた情報と一致した場合のみ成功と判定する場合がある。判定基準を後者とする場合、支柱202と重なった
図9B(b)に示すような状態において、読み取り自体は可能であるが正確な情報を取得できない恐れがある。支柱202により正確な情報が取得できない場合は読取り失敗と判定されるため、印字領域上であるが非印字領域と判定される。このような場合は、S204にて複数の読取り結果(例えば0〜θ、θ〜2θの2回の読み取り結果の成否)によって判定することにより、
図9B(b)の状態か非印字領域かを判別することが可能である。例えば、2回失敗が連続する場合は、
図9B(b)で示すような状態ではなく非印字領域であると判定できる。
【0066】
S204にて読取り失敗となった向きから再びバーコード読取りをしながらホルダの回転を連続で行い(S206)、読み取りが成功するまでホルダを回転する(S207)。S206で最初に読み取りが成功する位置は、印字領域の端部に当たる。なお、印字領域の端部が支柱202に隠れている場合も想定されるが、このような場合にはS206で最初に読み取りが成功した位置は支柱202とバーコードの境界に当たる。このような場合には支柱202の幅だけ向きがずれることになるが、通常この程度のずれがあってもラック203のスリット205にバーコードが収まるように移載することが可能である。したがって、本明細書ではこのような場合も含めて「印字領域の端部」と称することとする。以上のように、S206、S207によって非印字領域からホルダを連続的に回転させて印字領域を特定することができる。
【0067】
また、仮にホルダの逆回転が可能であれば、S206の回転動作をS203での回転動作と逆回転とすることにより、印字領域端部を特定する時間の短縮も可能である。
【0068】
次に、S206、S207にて印字領域の端部を特定した地点から、前述したS107と同様に、所定の角度(例えばバーコードの幅の半分に相当する円周角度)だけ回転し、バーコードラベルの印字領域の中心を所望の角度(例えばスリット205の中心)に調整し回転を停止する(S208、S209)。
【0069】
その後、実施例1で説明したように、検体チャック機構によりホルダから検体容器を搬出し、ラック203に移載される。
【0070】
図7で示した実施例1の方法は、非印字領域から回転し印字領域の端部を特定したが、
図11で示した実施例2の方法は、印字領域を特定した上で非印字領域に一旦向きを変えそこから回転し印字領域の端部を特定する。つまり、
図11の方法では、印字領域と非印字領域の位置を両方特定した上で印字領域の端部に回転しているため、バーコードの読み取り精度によらず安定してラベルの向きをそろえることができる。これによってエラー処理が少なくなり、結果として、全体の動作時間短縮が可能となる。
【0071】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各制御処理等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置くことができる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。