(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
機械的位置合わせを行うために、2つ以上の位置合わせアクチュエータに、前記マスク若しくは前記マスクキャリア、前記キャリアアセンブリ、又は、前記マスク若しくは前記マスクキャリア及び前記キャリアアセンブリを接触させることを更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
前記真空チャンバのゲートバルブを開き、かつ、前記キャリアアセンブリが浮上している間に、前記真空チャンバから出すように前記キャリアアセンブリを移動させることを更に含む、請求項9に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0010]本開示の様々な実施形態をこれより詳細に参照していく。これらの実施形態の一又は複数の例が図中に示されている。図面についての下記の説明において、同じ参照番号は同じ構成要素を表す。個々の実施形態に関しては、相違点についてのみ説明する。本開示の説明として各例が提供されているが、例は本開示を限定することを意図するものではない。更に、1つの実施形態の一部として図示又は説明されている特徴は、更なる実施形態を創出するために、他の実施形態で使用されることも、他の実施形態と併用されることも可能である。本明細書がかかる改変例及び変形例を含むことが、意図されている。
【0012】
[0011]本書に記載の実施形態は、キャリア又は基板の非接触型の浮上、搬送、及び/又は位置合わせに関する。本開示はキャリアアセンブリに言及しており、このキャリアアセンブリは、基板を支持するキャリア、基板を伴わないキャリア、基板、又は支持体によって支持された基板からなる群のうちの一又は複数の要素を含みうる。本開示全体における「非接触(contactless)」という語は、キャリアと基板などの重量が、機械的接触又は機械的な力によって保持されず、磁力によって保持されるという意味に、理解されうる。具体的には、キャリアアセンブリは、機械的な力の代わりに磁力を使用して、浮上状態又は浮動状態で保持される。一例としては、本書に記載の装置は、堆積ソースアセンブリの重量を支持する、機械的レールなどの機械的手段を有さないことがある。一部の実行形態では、システム内でキャリアアセンブリが浮上(例えば移動)している間に、キャリアアセンブリと装置のそれ以外の部分との機械的接触が全く存在しないことがある。
【0013】
[0012]本開示の実施形態により、浮上すること又は浮上は、機械的な接触又は支持を伴わずに物体が浮動している、物体の状態を表す。更に、物体の移動は、駆動力(例えば浮力とは異なる方向への力)を提供することを表し、物体は、一つの位置からそれとは異なる別の位置(例えば別の横方向位置)に移動する。例えば、キャリアアセンブリなどの物体は、例えば重力に反作用する力によって浮上し、浮上している間に重力に平行な方向とは異なる方向に移動しうる。
【0014】
[0013]本書に記載の実施形態による、キャリアアセンブリの非接触型の浮上、搬送、及び/又は位置合わせは、キャリアアセンブリの搬送中又は位置合わせ中に、堆積ソースアセンブリと機械的レールなどの装置の部位との機械的接触による粒子発生がないという点で、有利である。したがって、詳細には非接触型の浮上、搬送、及び/又は位置合わせを使用すると粒子発生が最少化されることから、本書に記載の実施形態は、基板への層堆積の純度及び均一性の向上をもたらす。
【0015】
[0014]キャリアアセンブリを誘導するための機械的手段と比較しての更なる利点は、本書に記載の実施形態が、キャリアアセンブリの移動の直線性及び/又は精度に影響を与える摩擦の関与を受けないことである。キャリアアセンブリの非接触型搬送はキャリアアセンブリの摩擦のない移動を可能にし、マスクに対するキャリアアセンブリの位置合わせは、高精度で制御され、維持されうる。また更に、浮上により、キャリアアセンブリのスピードの素早い加速及び減速、及び/又は、キャリアアセンブリのスピードの微細な調整が、可能になる。
【0016】
[0015]更に、機械的レールの材料には、典型的には、チャンバの排出によって、また、温度、使用、摩耗などによって引き起こされうる、変形が発生する。かかる変形は、キャリアアセンブリの位置付けに影響を与え、ひいては、堆積層の品質に影響を与える。対称的に、本書に記載の実施形態は、例えば、本書に記載の誘導構造体に発生する可能性がある変形を補償することを可能にする。キャリアアセンブリが浮上し、搬送される非接触様態を鑑みるに、本書に記載の実施形態は、キャリアアセンブリの非接触型位置合わせを可能にする。したがって、マスクに対する基板の位置合わせの改善及び高効率化がもたらされうる。
【0017】
[0016]本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる実施形態により、装置は、垂直方向(例えばy方向)に沿った、かつ/又は、一又は複数の横断方向(例えばx方向)に沿った、キャリアアセンブリの非接触型平行移動に適するよう、構成される。
【0018】
[0017]本書に記載の実施形態は、例えばマスクに対してキャリアアセンブリを角度方向に位置合わせするための、少なくとも1つの回転軸に対するキャリアアセンブリの非接触型回転を可能にする。0.003度〜3度の角度範囲内で、回転軸に対する堆積ソースアセンブリの回転が行われうる。[0017]本書に記載の実施形態は、例えばマスクに対してキャリアアセンブリを角度方向に位置合わせするための、少なくとも1つの回転軸に対するキャリアアセンブリの追加の機械的回転(すなわち、接触を伴う回転)を可能にする。0.0001度〜3度の角度範囲内で、回転軸に対する堆積ソースアセンブリの機械的回転が行われうる。
【0019】
[0018]本開示では、「実質的に平行(substantially parallel)」な方向という文言は、互いに10度まで又は15度までの小角度をなす複数の方向を含みうる。更に、「実質的に直角(substantially perpendicular)」な方向という文言は、互いに90度未満(例えば、少なくとも80度、又は少なくとも75度)の角度をなす、複数の方向を含みうる。同様の考えが、実質的に平行又は直角な軸、平面、領域などの概念に適用される。
【0020】
[0019]本書に記載の一部の実施形態は、「垂直方向(vertical direction)」という概念を伴う。垂直方向は、重
力に沿った方向に実質的に平行な方向と見なされる。垂直方向は、例えば15度までの角度
の範囲で、厳密な垂直性(重力によって規定される
鉛直方向)からずれうる。例えば、本書に記載のy方向(図では「Y」と示す)は、垂直方向である。詳細には、図示されているy方向は重力の方向を画定している。
【0021】
[0020]本書に記載の実施形態は、「横断方向(transversal direction)」という概念を、更に伴いうる。横断方向は、垂直方向とは相違すると理解すべきである。横断方向は、重力によって画定される厳密な垂直方向に対して、直角又は実質的に直角でありうる。例えば、本書に記載のx方向及びz方向(図では「X」及び「Z」と示す)は、横断方向である。
【0022】
[0021]本書に記載の実施形態は、例えばディスプレイ製造向けに大面積基板をコーティングするために、利用されうる。本書に記載の装置及び方法の提供の対象である基板又は基板受領領域は、大面積基板でありうる。例えば、大面積基板又はキャリアは、約0.67m
2の基板(0.73×0.92m)に相当するGEN4.5、約1.4m
2の基板(1.1m×1.3m)に相当するGEN5、約4.29m
2の基板(1.95m×2.2m)に相当するGEN7.5、約5.7m
2の基板(2.2m×2.5m)に相当するGEN8.5、又は、約8.7m
2の基板(2.85m×3.05m)に相当するGEN10でもありうる。GEN11及びGEN12などの更に大型の世代、並びに、それに相当する基板領域も、同様に実装されうる。
【0023】
[0022]本書において、「基板(substrate)」という語は、特に、ウエハ、サファイアなどの透明結晶体の薄片、又はガラスプレートといった、実質的に非フレキシブルな基板を包含しうる。しかし、本開示はそれらに限定されるわけではなく、「基板」という語は、ウェブや箔などのフレキシブル基板も包含しうる。「実質的に非フレキシブルな(substantiallyinflexible)」という文言は、「フレキシブル」とは相違すると理解される。具体的には、0.5mm以下の厚さを有するガラスプレートなどの実質的に非フレキシブルな基板も、ある程度の可撓性を有することがあり、実質的に非フレキシブルな基板の可撓性は、フレキシブル基板と比較して低くなる。
【0024】
[0023]基板は、材料堆積に好適な任意の材料で作製されうる。例えば、基板は、ガラス(例えばソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、炭素繊維材料、若しくは、堆積プロセスによってコーティングされうる他の任意の材料又は材料の組み合わせからなる群から選択された材料で、作製されうる。
【0025】
[0024]
図1Aに示しているように、一実施形態により、キャリアアセンブリ110及び/又は基板120の非接触型搬送のための装置100が提供される。装置はキャリアアセンブリ110を含む。キャリアアセンブリ110は基板120を含みうる。キャリアアセンブリ110は、第1受動磁気ユニット150を含む。装置は、キャリアアセンブリ搬送方向に延在する、誘導構造体170を含む。誘導構造体は、複数の能動磁気ユニット175を含む。キャリアアセンブリ110は、誘導構造体170に沿って可動である。強磁性材料の棒状体などの第1受動磁気ユニット150、及び、誘導構造体170の複数の能動磁気ユニットは、キャリアアセンブリ110を浮上させるための第1磁気浮力を提供するよう構成される。本書で説明している浮上のための手段は、例えばキャリアアセンブリを浮上させる非接触力を提供するための手段である。
【0026】
[0025]本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる実施形態により、装置100は処理チャンバ内に配置されうる。処理チャンバは、真空チャンバ又は真空堆積チャンバでありうる。本書において、「真空(vacuum)」という語は、例えば10mbar未満の真空圧を有する工業的真空の意味に理解されうる。装置100は、真空チャンバの内部に真空を発生させるために真空チャンバに接続された、ターボポンプ及び/又はクライオポンプなどの一又は複数の真空ポンプを含みうる。
【0027】
[0026]
図1Aは、装置100の側面図を示している。装置100はキャリアアセンブリ110を含む。更に、装置は誘導構造体170を含む。装置は、駆動構造体180を更に含みうる。駆動構造体は、複数の更なる能動磁気ユニットを含む。キャリアアセンブリは、駆動構造体180の更なる能動磁気ユニット185と相互作用する、強磁性材料の棒状体などの第2受動磁気ユニット160を含みうる。
図1AはX−Y平面の側面図を示している。
図1Bは、
図1Aの装置100の上面図を示している。
図1BはX−Z平面を示している。
図1Bでは、複数の能動磁気ユニット175が上側視点から示されている。
図1Cは、装置100の別の側面図を示している。
図1CはZ−Y平面を示している。
図1Cには、複数の能動磁気ユニットのうちの1つの能動磁気ユニット175が示されている。能動磁気ユニット175は、キャリアアセンブリ110の第1受動磁気ユニット150と相互作用する、磁力を提供する。例えば、第1受動磁気ユニット150は強磁性材料のロッドでありうる。ロッドは、キャリアアセンブリ110の、支持構造体112に接続されている部分でありうる。このロッド又は第1受動磁気ユニットはそれぞれ、基板120を支持するための支持構造体112と一体的に形成されることもある。キャリアアセンブリ110は、更なるロッドなどの第2受動磁気ユニット160を更に含みうる。更なるロッドはキャリアアセンブリ110に接続されうる。このロッド又は第2受動磁気ユニットはそれぞれ、支持構造体112と一体的に形成されることもある。
【0028】
[0027]「受動(passive)」磁気ユニットという用語は、本書では、「能動(active)」磁気ユニットという概念と区別するために使用される。受動磁気ユニットは、少なくとも装置100の動作中以外においては、能動的な制御又は調整の影響を受けない磁気特性を有する要素のことでありうる。例えば、キャリアアセンブリのロッド又は更なるロッドなどの受動磁気ユニットの磁気特性は、通常、堆積装置又は処理装置に至るキャリアアセンブリの移動中には、能動制御の影響を受けない。本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる一部の実施形態により、装置100のコントローラは、堆積ソースアセンブリの受動磁気ユニットを制御するようには構成されない。受動磁気ユニットは、静磁場などの磁場を発生させるよう適合しうる。受動磁気ユニットは、調整可能磁場を発生させるようには構成されない。受動磁気ユニットは、強磁性材料などの磁性材料でありうるか、永久磁石でありうるか、又は、永久磁石特性を有しうる。
【0029】
[0028]能動磁気ユニットによって発生した磁場の調整可能性及び制御可能性を考慮すると、受動磁気ユニットと比較して、能動磁気ユニットはより高い適応性及び精度を供する。本書に記載の実施形態により、能動磁気ユニットによって発生した磁場は、キャリアアセンブリ110の位置合わせを行うよう、制御されうる。例えば、調整可能磁場を制御することによって、キャリアアセンブリ110に作用する磁気浮力が高い精度で制御されることが可能であり、ゆえに、能動磁気ユニットによって、キャリアアセンブリ、ひいては基板の非接触型位置合わせが可能になる。
【0030】
[0029]本書に記載の実施形態により、複数の能動磁気ユニット175が、第1受動磁気ユニット150、ひいてはキャリアアセンブリ110に磁力を提供する。複数の能動磁気ユニット175は、キャリアアセンブリ110を浮上させる。更なる能動磁気ユニット185が、例えばX方向に沿って、すなわち基板搬送方向である第1方向に沿って、処理システム内でキャリアを駆動する。したがって、複数の更なる能動磁気ユニット185は、キャリアアセンブリ110を、複数の能動磁気ユニット175によって浮上している間に移動させるための、駆動構造体を形成する。更なる能動磁気ユニット185は、第2受動磁気ユニット160と相互作用して、基板搬送方向に沿った力を提供する。例えば、第2受動磁気ユニット160は、極性が交互になるように配置されている、複数の永久磁石を含みうる。結果として得られる第2受動磁気ユニット160の磁場は、複数の更なる能動磁気ユニット185と相互作用して、キャリアアセンブリ110を、浮上している間に移動させうる。
【0031】
[0030]複数の能動磁気ユニット175を用いてキャリアアセンブリ110を浮上させ、かつ/又は、複数の更なる能動磁気ユニット185を用いてキャリアアセンブリ110を移動させるために、能動磁気ユニットは、調整可能磁場を提供するよう制御されうる。調整可能磁場は、静的又は動的な磁場でありうる。本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる実施形態により、能動磁気ユニットは、垂直方向に沿って延在する磁気浮力を提供するための磁場を発生させるよう、構成される。本書に記載の更なる実施形態と組み合わされうる他の実施形態により、能動磁気ユニットは、横断方向に沿って延在する磁力を提供するよう、構成されうる。本書で説明している能動磁気ユニットは、電磁デバイス、ソレノイド、コイル、超伝導磁石、又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された要素でありうるか、又は、かかる要素を含みうる。
【0032】
[0031]
図2は、真空チャンバ内で基板を処理するための装置200を示している。真空チャンバ252は、例えば、チャンバ壁253を有しうる。ゲートバルブ262がチャンバ壁253に設けられうる。ゲートバルブは、キャリアアセンブリ110を真空チャンバ252内にローディングし、そこから出すために、開きうる。一又は複数の誘導構造体170が提供される。一又は複数の誘導構造体は、複数の能動磁気ユニット175を含みうる。
図2は、2つのゲートバルブ262及び2つの誘導構造体170を有する、装置200の一実施形態を示している。したがって、2つのキャリアアセンブリ110が、例えば交互又は同時に、真空チャンバ252にローディングされ、真空チャンバ252からアンローディングされうる。キャリアアセンブリ110を交互にローディング及びアンローディングすることには、堆積ソースなどの処理ツールがキャリアアセンブリの基板を処理するのと同時に、別途、別のキャリアアセンブリの別の基板がアンローディング又はローディングされるという、利点がある。したがって、装置200のスループットが増大しうる。
【0033】
[0032]
図2に示しているように、装置200は、例えば更なる真空チャンバでありうる、保守チャンバ254を更に含む。保守チャンバ254は、更なるゲートバルブ264によって真空チャンバ252から分離されうる。本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる一実施形態により、装置200は堆積装置でありうる。堆積ソースアセンブリ270は、軌道272に沿って移動しうる。軌道272又は軌道272の一部分は、堆積ソースアセンブリを真空チャンバ252から保守チャンバ254へと移動させるために、保守チャンバ254内に延在しうる。堆積ソースアセンブリ270を保守チャンバ内に移動させることには、堆積ソースアセンブリが真空チャンバ252の外部でメンテナンスされうるという利点がある。例えば、更なるゲートバルブ264が閉じた後に、堆積ソースアセンブリへの保守アクセスを有するよう、保守チャンバ254が換気されうる一方、真空チャンバ252は排気されたままでありうる。一部の実施形態により、第2堆積ソースアセンブリ270が真空チャンバ252内で動作している間に、第1堆積ソースアセンブリ270は、保守チャンバ254内でメンテナンスされうる。追加的又は代替的には、真空チャンバ252が換気を要する回数が減少することの結果として、真空チャンバ252内の環境がよりクリーンになる。
【0034】
[0033]本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる本開示の一部の実施形態により、堆積ソースアセンブリ270は支持体274を含みうる。支持体274は、堆積ソースアセンブリ270を軌道272に沿って移動させるために、駆動ユニットを含みうる。支持体274は、堆積ソースアセンブリを浮上させるために、磁気ユニットを更に含みうる。堆積ソースアセンブリには一又は複数の堆積ソースが含まれうる。
図2に例示しているように、支持体274は、材料を蒸発させて基板に堆積させるための、3つのるつぼ276を支持する。蒸発した材料は、蒸気分配要素又は蒸気分配管278内に誘導されうる。蒸気分配要素又は蒸気分配管は、キャリアアセンブリ110のキャリアに装着された基板へと、蒸発した材料を方向付けうる。
【0035】
[0034]
図2は、
図2の上側のキャリアアセンブリ110の基板に対面している堆積ソースアセンブリを示している。堆積ソースアセンブリは、キャリアアセンブリのキャリアに装着された基板に沿って移動しうる。例えば、堆積ソースアセンブリは、一又は複数の線ソースを含みうる。線ソースの提供と堆積ソースアセンブリの移動とを組み合わせることで、ディスプレイ製造用の大面積基板などの長方形基板に材料を堆積させることが可能になる。更なる代替例により、堆積ソースアセンブリの分配管は、基板表面に沿って移動しうる一又は複数の点ソースを含みうる。
【0036】
[0035]堆積ソースアセンブリの平行移動に加えて、堆積ソースアセンブリは、
図2に示す下側のキャリアアセンブリ110の基板に向けて堆積ソースを方向付けるように、堆積ソースを回転させることも可能である。したがって、キャリアアセンブリ110が、
図2に示す上側の位置と下側の位置のうちの第1位置で真空チャンバ252内にローディングされ、そこから出されている間に、キャリアアセンブリの基板が、
図2に示す上側の位置と下側の位置のうちの対応する他方の位置で、処理されうる。この対応する他の基板が処理された後に、例えばキャリアアセンブリ110への新たな基板のローディングが完了しうる。堆積ソースアセンブリ270の一又は複数の堆積ソースが回転した後、
図2に示す上側の位置と下側の位置のうちの第1位置にローディングされた基板が処理されうる。同様に、第1位置における基板の処理(例えば層堆積)中に、他方の位置において、別の基板のアンローディング及びローディングが実行されうる。
【0037】
[0036]実施形態により、ソース搬送方向に沿った堆積ソースアセンブリのスピードが、堆積速度を制御するために制御されうる。堆積ソースアセンブリのスピードは、コントローラの制御のもとに、リアルタイムで調整されうる。調整は、堆積速度の変化を補償するために行われうる。スピードプロファイルが規定されうる。スピードプロファイルは、種々の位置における堆積ソースアセンブリのスピードを決定しうる。スピードプロファイルは、コントローラに提供されうるか、又は、コントローラに記憶されうる。コントローラは、堆積ソースアセンブリのスピードがスピードプロファイルに準じるように、駆動システムを制御しうる。したがって、層の均一性が更に向上しうるように、堆積速度のリアルタイムの制御及び調整が行われうる。本書に記載の実施形態によるものと見なされる、ソース搬送方向に沿った堆積ソースアセンブリの平行移動は、コーティングプロセスにおける高コーティング精度、特に高マスキング精度を可能にする。コーティング中に基板及びマスクが静止したままでありうるからである。
【0038】
[0037]
図2に示しているように、マスク212が、堆積ソースアセンブリ270とキャリアアセンブリ110の基板との間に提供されうる。
図2は、上側の位置、すなわち、堆積ソースアセンブリと上側のキャリアアセンブリ110との間の位置における第1マスク212と、下側の位置、すなわち、堆積ソースアセンブリと下側のキャリアアセンブリ110との間の位置における第2マスク212とを、示している。
【0039】
[0038]本書に記載の、
図5及び
図6に関連してより詳細に説明されている実施形態により、マスクは、エッジ除外マスクでありうるか、又は、基板上にパターンを堆積させるためのマスク(シャドウマスク)でありうる。本書に記載の実施形態により、マスクはマスクキャリアによって支持されうる。したがって、本書で言及されているマスクの位置合わせ、浮上、又は、かかるマスクとの機械的接触も、このマスクキャリアに関連して行われうる。本開示の実施形態は、処理装置内で浮上したキャリアアセンブリを移動させることに言及している。浮上したキャリアアセンブリの移動は、機械的に支持される、すなわち、例えば基板搬送ローラに対する機械的接触という接触を伴わずには支持されない、キャリアアセンブリの移動と比較して、より高精度の位置付けを可能にする。特に、浮上したキャリアアセンブリの移動は、
図1Aから
図1CのX方向及びY方向などの、搬送方向及び/又は垂直方向での、高精度の基板位置付けを可能にする。本書に記載の実施形態による、キャリアアセンブリのこの位置付け精度により、マスク212に対する、キャリアアセンブリのキャリアによって支持された基板の位置合わせの改善が可能になる。位置合わせは、一部のマスク構成については所望の精度を提供するよう改善されうるか、又は、その他の一部のマスク構成については、別個の位置合わせシステムの複雑性の低減を可能にするよう改善されうる。
【0040】
[0039]本開示による装置及び方法が、垂直基板処理に使用されうる。かかる装置及び方法においては、基板処理中に基板が垂直に配向される。すなわち、基板は、本書で説明している(すなわち、発生可能性のある厳密な垂直性からのずれを許容する)垂直方向に、平行に配置される。基板配向の厳密な垂直性からの小さなずれが提供されうる。例えば、基板支持体がかかるずれを伴うことで、より安定的な基板位置、又は、基板表面への粒子付着の低減がもたらされうるからである。基本的に垂直な基板は、垂直配向からの+−15°以下のずれを有しうる。したがって、本開示の実施形態は、基板配向への言及がなされる場合に、垂直+−15°の方向に言及していることがある。
【0041】
[0040]
図3A及び
図3Bは、垂直な基板配向を提供する装置の代替的な実施形態を示しており、15°以下の絶対値を有する小さなずれが提供されうる。本開示の実施形態により、支持体112によって支持された基板120は、若干下向きに傾いていることがある。このことが、基板処理中の基板表面への粒子付着を低減する。
図3Aは、第1受動磁気ユニット150及び第2受動磁気ユニットを有する、キャリアアセンブリを示している。基板120を支持するための支持体112は、第1受動磁気ユニットと第2受動磁気ユニットとの間に設けられうる。
図3Aは、誘導構造体170及び駆動構造体180を更に示している。
図3Aに示すキャリアアセンブリは、誘導構造体170の長さに沿って分布する更なる能動磁気ユニット370又は複数の更なる能動磁気ユニット370を提供することによって、傾いており、すなわち、垂直配向からの若干のずれを有し、第2受動磁気ユニット160が更なる能動磁気ユニット370に引き寄せられている。したがって、浮上状態のキャリアアセンブリが提供され、キャリアアセンブリの下端部が、更なる能動磁気ユニット370によって側方に引っ張られる。機械的接触を伴わずにキャリアアセンブリの下端部を側方に引っ張るための他の要素も、提供されうる。
【0042】
[0041]また更なる実施形態により、垂直配向からのずれは、永久磁石などの受動磁気ユニットによっても提供されうる。例えば、キャリアアセンブリは、第2受動磁気ユニット160として、又は、第2受動磁気ユニット160に加えて(例えば隣接して)提供された、永久磁石を有しうる。更なる永久磁石は永久磁石の下方に提供されうる。更なる永久磁石と永久磁石とは、互いに引き寄せ合うよう、極性が逆になるように提供されうる。この引力によって、キャリアアセンブリが垂直配向から偏向しうる。更に、引力により、搬送方向に沿った誘導が行われうる。本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる、また更なる実施形態により、キャリアの上端部に誘導力を提供するために、永久磁石同士のまた更なる対が提供されうる。したがって、永久磁石同士の第2の対のうちの1つの永久磁石は、キャリアアセンブリの上部領域内に提供されることがあり、永久磁石同士の第2の対のうちのこれに対応する永久磁石は、誘導構造体の領域内に隣接して提供されうる。永久磁石同士の第2の対の間の引力によって、搬送方向に沿った誘導が行われうる。
【0043】
[0042]
図3は、第1受動磁気ユニット150及び第2受動磁気ユニット160を有する、本開示の別の実施形態を示している。傾いた、すなわち、垂直配向から若干(例えば15°以下の絶対値だけ)ずれている、基板120の基板配向を提供するために、支持体112が基板傾きを提供するよう形作られる一方で、キャリアアセンブリは垂直である。
【0044】
[0043]本開示の実施形態により、本書に示すキャリアアセンブリ110などのキャリアアセンブリは、プレート又はフレームに基板120を保持するよう構成された、一又は複数の保持デバイス(図示せず)を含みうる。一又は複数の保持デバイスは、機械クランプ及び/又は磁性クランプなどの、機械的手段、静電手段、動電(ファンデルワールス:vanderWaals)手段、電磁的手段、及び/又は、磁性手段のうちの、少なくとも1つを含みうる。
【0045】
[0044]一部の実行形態では、キャリアアセンブリは、静電チャック(Eチャック)を含むか、又は、Eチャックである。Eチャックは、表面上に基板120を支持するための支持面(例えば、
図1C、
図3A、及び
図3Bに示す支持体112)を有しうる。一実施形態では、Eチャックは、電極が内部に埋め込まれている誘電本体を含む。誘電本体は、誘電体材料、好ましくは、熱分解性の窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナ、又は等価材料などの高熱伝導性誘電体材料から、製造されうる。電極は電源に連結されてよく、電源は、チャック力を制御するために電極に電力を提供する。チャック力は、支持体の支持面に基板を固定するよう基板120に作用する、静電力である。
【0046】
[0045]一部の実行形態では、キャリアアセンブリ110は、動電チャック若しくはゲッコチャック(Gチャック)を含むか、又は、動電チャック若しくはGチャックである。Gチャックは、表面上に基板を支持するための支持面を有しうる。チャック力は、支持面に基板を固定するよう基板に作用する、動電力でありうる。
【0047】
[0046]
図4A及び
図4Bは、本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる実施形態による、装置100の動作状態を示している。
図4A及び
図4Bは、装置100の側面図を示している。図示しているように、誘導構造体170は、キャリアアセンブリの搬送方向、すなわち、
図4A及び
図4BにおけるX方向に沿って、延在しうる。キャリアアセンブリの搬送方向は、本書で説明している横断方向である。誘導構造体170は、搬送方向に沿って延在する直線形状を有しうる。ソース搬送方向に沿った誘導構造体170の長さは1〜30mでありうる。
【0048】
[0047]
図4A及び
図4Bに示している実施形態では、基板120は、例えば+15のずれを伴って、図の平面に実質的に平行に配置されうる。層堆積プロセスなどの基板処理中、基板は基板受領領域内に提供されうる。基板受領領域は、対応する基板寸法と同じか、又は、それよりも若干(例えば5〜20%)大きい、長さや幅などの寸法を有する。
【0049】
[0048]装置100の動作中に、キャリアアセンブリ110は、x方向などの搬送方向に、誘導構造体170に沿って平行移動可能でありうる。
図4Aと
図4Bは、誘導構造体170に対して、x方向に沿った別々の位置にあるキャリアアセンブリ110を示している。水平矢印485は駆動構造体180の駆動力を示す。結果として、誘導構造体170に沿った、左から右へのキャリアアセンブリ110の平行移動が行われる。垂直矢印475はキャリアアセンブリに作用する浮力を示す。
【0050】
[0049]第1受動磁気ユニット150は、搬送方向に、第1受動磁気ユニット150の長さに実質的に沿った、磁気特性を有しうる。能動磁気ユニット175’によって発生した磁場は、第1受動磁気ユニット150の磁気特性と相互作用して、第1磁気浮力及び第2磁気浮力を提供する。したがって、キャリアアセンブリ110の非接触型の浮上、搬送、及び位置合わせが行われうる。
【0051】
[0050]
図4Aに示しているように、キャリアアセンブリ110は第1位置に提供される。本開示の実施形態により、2つ以上の能動磁気ユニット175’(例えば、2つ又は3つの能動磁気ユニット175’)が、コントローラ440によって活性化されて、キャリアアセンブリ110を浮上させるための磁場を発生させる。本開示の実施形態により、キャリアアセンブリは、機械的接触を伴わずに、誘導構造体170の下方に浮遊する。
【0052】
[0051]
図4Aでは、2つの能動磁気ユニット175’が、矢印475で示されている磁力を提供する。磁力は、キャリアアセンブリを浮上させるように、重力に接触する。コントローラ440は2つの能動磁気ユニット175’を制御して(詳細には、2つの能動磁気ユニットを個別に制御して)、キャリアアセンブリを浮上状態に維持する。更に、一又は複数の更なる能動磁気ユニット185’が、コントローラ440によって制御される。更なる能動磁気ユニットは、交互極性の永久磁石の組などの第2受動磁気ユニット160と相互作用して、矢印485で示す駆動力を発生させる。駆動力は、搬送方向に沿って、キャリアアセンブリの支持体によって支持された基板などの基板を移動させる。
図4Aに示しているように、搬送方向はX方向でありうる。本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる本開示の一部の実施形態により、更なる能動磁気ユニット185’のうち、駆動力を提供するために同時に制御されるものの数は、1〜3である。他の実施形態により、更なる能動磁気ユニット185’の制御は、能動磁気ユニット175’を制御するコントローラ440とは異なる第2コントローラによって行われることもある。
【0053】
[0052]キャリアアセンブリの移動が、X方向などの搬送方向に沿って基板を移動させる。したがって、基板は、第1位置において能動磁気ユニット175’の第1の群の下方に位置付けられ、更なる別の位置においては、能動磁気ユニット175’の更なる別の群の下方に位置付けられる。コントローラ440は、それぞれの位置に関してどの能動磁気ユニット175’が浮力を提供するかを制御し、かつ、キャリアアセンブリを浮上させるよう、それぞれの能動磁気ユニットを制御する。例えば、浮力は、基板が移動している間に、直後の能動磁気ユニットによって提供されうる。本書に記載の実施形態により、キャリアアセンブリは、能動磁気ユニットの1つの組から能動磁気ユニットの別の組へと、渡されていく。
【0054】
[0053]
図4Bは、第2位置のキャリアアセンブリを示している。
図4Bに示す位置は、基板が処理される処理位置に相当する。この処理位置において、キャリアアセンブリは所望の位置に移動しうる。基板は、本開示で説明されている非接触型搬送システムを用いて、マスクに対して位置合わせされる。
【0055】
[0054]
図4Bで例示している第2位置において、2つの能動磁気ユニット175’は、矢印494で示す第1磁力、及び、矢印496で示す第2磁力を提供する。コントローラ440は、2つの能動磁気ユニット175’を制御して、
図4BのY方向などの垂直方向に、位置合わせを行う。更に、追加的又は代替的には、コントローラ440は、2つの能動磁気ユニット175’を制御して位置合わせを行い、キャリアアセンブリがX−Y平面内で回転する。この両方の位置合わせ移動が、点線のキャリアアセンブリ410の位置と実線で描かれたキャリアアセンブリ110の位置とを比較することによって、
図4Bで例示的に視認されうる。
【0056】
[0055]コントローラは、キャリアアセンブリを垂直方向に平行移動させて位置合わせするために能動磁気ユニット175’を制御するよう、構成されうる。能動磁気ユニットを制御することによって、キャリアアセンブリ110は、ターゲットの垂直位置に位置付けられうる。キャリアアセンブリ110は、コントローラ440の制御のもとで、ターゲットの垂直位置に維持されうる。本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる実施形態により、コントローラは、第1回転軸(例えば、主要基板表面に対して直角な回転軸、すなわち本開示におけるZ方向に延在する回転軸)に対して堆積ソースを角度方向に位置合わせするために、能動磁気ユニット175’を制御するよう、構成される。
【0057】
[0056]本開示の実施形態により、垂直方向(Y方向)のキャリアアセンブリの位置合わせ、特に非接触型位置合わせは、0.1mm〜3mmの位置合わせ範囲で行われうる。更に、垂直方向の位置合わせ精度、特に非接触型位置合わせ精度は、1μm〜10μm、例えば5μmなど、50μm以下でありうる。本開示の実施形態により、回転の位置合わせ精度、特に非接触型位置合わせ精度は、3°以下でありうる。
【0058】
[0057]本開示の実施形態により、一又は複数の更なる能動磁気ユニット185’は、矢印498で示す駆動力を提供しうる。コントローラは、一又は複数の更なる能動磁気ユニット185’を制御して、
図4BのX方向などの横断方向に、位置合わせを行う。本開示の実施形態により、横断方向(X方向)のキャリアアセンブリの位置合わせは、誘導構造体の長さに沿って延在する位置合わせ範囲で行われうる。更に、横断方向の位置合わせ精度、特に非接触型位置合わせ精度は、5μm〜30μmなど、50μm以下でありうる。
【0059】
[0058]
図5は、本開示の他の実施形態と組み合わされうる、マスクの位置合わせの一実施形態を示している。
図5に示すマスク512はエッジ除外マスクである。このエッジ除外マスクは、マスク512のエッジ514を提供することによって、基板120のエッジの一部を覆う。例えば、基板120の覆われた部分の幅516は、5mm以下など、10mm以下でありうる。開放領域(又は開口部518)がエッジ514によって提供される。すなわち、開口部518はエッジ514によって囲まれる。2つ以上の開口部518が対応する複数のエッジによって囲まれて存在するように、エッジ除外マスク512の中央に仕切り壁がオプションで提供されうる。しかし、開口部は、パターンフィーチャを画定するようには構成されない。開口部は、基板の面積をを画定するよう構成される。例えば、
図5に示す開口部518の面積は、基板の面積の少なくとも80%である。2つ以上の開口部を有する実施形態については、各開口部が、基板面積の少なくとも0.1%の面積を有する。
【0060】
[0059]
図5は、表面上に基板120を支持しているキャリアアセンブリ110を示している。キャリアアセンブリ110、ひいては基板120は、マスク512、ひいてはマスクのエッジ514に対して位置合わせされうる。本開示の実施形態によるキャリアアセンブリとマスクとの位置合わせは、誘導構造体170の能動磁気ユニット175’及び/又は駆動構造体180の更なる能動磁気ユニット185’などの能動磁気ユニットの制御によって、実行される。一部の実施形態により、エッジ除外マスクであるマスクについては特に、能動磁気ユニットによる位置合わせを利用する位置合わせ精度は、基板処理の所望の精度のために十分なものでありうる。したがって、本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる本開示の一部の実施形態により、基板及びマスクの互いに対する位置合わせが、機械的接触を伴わない基板搬送システムなどの基板を浮上させる基板搬送システムの能動磁気ユニットによって、行われる。
【0061】
[0060]例えば、OLEDディスプレイの製造などのディスプレイ製造は、
図5の一又は複数の開口部518に対応する面積などの基板上の大面積を覆って、導電層が提供される、メタライズプロセスを含みうる。メタライズプロセスは、エッジ除外マスク512を利用して実行されうる。基板及びマスクの互いに対する位置合わせは、誘導構造体の能動磁気ユニット及び/又は駆動構造体の能動磁気ユニットによって行われうる。能動磁気ユニットを用いた位置合わせの精度(例えば、50μm以下の精度)は、メタライズプロセスのために十分なものでありうる。
【0062】
[0061]
図6は、マスクの位置合わせの更なる実施形態を示している。
図6は、複数の小型開口部614を含むシャドウマスク612を示している。例えば、これらの開口部の面積、すなわち、生成されることになるパターンのうちの一フィーチャの面積は、基板面積の0.01%未満でありうる。
図6は、表面上に基板120を支持しているキャリアアセンブリ110を示している。事前位置合わせが、誘導構造体170の能動磁気ユニット175’及び/又は駆動構造体180の更なる能動磁気ユニット185’などの能動磁気ユニットの制御によって、実行されうる。本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる本開示の一部の実施形態により、基板及びマスクの互いに対する事前位置合わせが、機械的接触を伴わない基板搬送システムなどの基板を浮上させる基板搬送システムの能動磁気要素によって、行われる。事前位置合わせは、50μm以下の精度を有しうる。事前位置合わせのこの精度は、位置合わせアクチュエータ630(例えば、圧電位置合わせアクチュエータなどの圧電アクチュエータ)を利用することを可能にし、このことにより、位置合わせユニット又は位置合わせシステムの複雑性が低減する。本開示の一部の実施形態により、位置合わせユニット又は位置合わせシステムは、2つ以上(例えば4つ)の位置合わせアクチュエータを含みうる。位置合わせアクチュエータは、上述の事前位置合わせの精度を伴わずに利用される一般的な位置合わせアクチュエータと比較して、複雑性が低くなりうる。上記を鑑みるに、本開示の実施形態による基板搬送システムの能動磁気要素を用いた位置合わせは、処理システムの所有コストを減少させうる。複雑性が低い位置合わせユニット又は位置合わせシステムについて、下記で
図7から
図9に関連して説明する。
【0063】
[0062]
図7及び
図8は、本書に記載の実施形態による、処理チャンバ内での層堆積中に、キャリアアセンブリ110の基板キャリア111、及びマスクキャリア740を支持するための、保持構成700の概略図を示している。
図8は、本書に記載の実施形態による、処理チャンバ内での層堆積中に基板キャリア111及びマスクキャリア740を支持するための、保持構成700の断面図を示している。
図9は、4つの位置合わせアクチュエータを有する保持構成の概略図を示している。
【0064】
[0063]垂直に動作するツールで使用される位置合わせシステムは、処理チャンバの外部から(すなわち外気側(atmospheric side)から)機能しうる。位置合わせシステムは、例えば処理チャンバの壁を通って延在する剛性アームを用いて、基板キャリア及びマスクキャリアに接続されうる。マスクキャリア又はマスクと基板キャリア又は基板との間の機械的パスが長いと、システムは、外部干渉(振動、加熱など)及び許容誤差の影響を受けやすくなる。
【0065】
[0064]いくつかの実施形態では、本開示は、2つ以上の位置合わせアクチュエータを有する保持構成を提供し、このアクチュエータは、マスクキャリアと基板キャリアとの間に短い接続パスを提供する。本書に記載の実施形態による保持構成は外部干渉の影響を受けにくく、堆積層の品質が向上しうる。
【0066】
[0065]保持構成700は、基板キャリア111とマスクキャリア740の少なくとも一方に接続可能な、2つ以上の位置合わせアクチュエータを含み、保持構成700は基板キャリア111を、第1平面内に、又は第1平面に平行に支持するよう構成され、2つ以上の位置合わせアクチュエータのうちの第1位置合わせアクチュエータ710は、キャリアアセンブリとマスクキャリア740とを、少なくとも第1方向Yに、互いに対して移動させるよう構成され、2つ以上の位置合わせアクチュエータのうちの第2位置合わせアクチュエータ720は、キャリアアセンブリとマスクキャリア740とを、少なくとも、第1方向Y、及び、第1方向Yとは異なる第2方向Xに、互いに対して移動させるよう構成され、第1方向Y及び第2方向Xは、第1平面内にある。2つ以上の位置合わせアクチュエータは、「位置合わせブロック」とも称される。
【0067】
[0066]本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる、本書に記載の一部の実施形態により、マスク725はマスクキャリア740に取り付けられうる。一部の実施形態では、保持構成700は、詳細には層堆積中に、基板キャリア111とマスクキャリア740の少なくとも一方を実質的に垂直な配向に支持するよう、構成される。
【0068】
[0067]2つ以上の位置合わせアクチュエータを使用して、キャリアアセンブリとマスクキャリア740とを、少なくとも第1方向Y及び第2方向Xに、互いに対して移動させることによって、基板120は、マスクキャリア740又はマスク725に対して位置合わせされることが可能であり、堆積層の品質が向上しうる。
【0069】
[0068]2つ以上の位置合わせアクチュエータは、キャリアアセンブリとマスクキャリア140の少なくとも一方に接続可能でありうる。一例としては、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、キャリアアセンブリ又は基板キャリア111に接続可能であり、マスクキャリア140に対して基板キャリア130を移動させるよう構成される。マスクキャリア140は定位置又は静止位置にありうる。他の例では、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、マスクキャリア140に接続可能であり、基板キャリア111に対してマスクキャリア140を移動させるよう構成される。基板キャリア111は定位置又は静止位置にありうる。
【0070】
[0069]
図9の保持構成では、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、第3位置合わせアクチュエータ930と第4位置合わせアクチュエータ940の少なくとも一方を含む。本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる一部の実施形態により、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、キャリアアセンブリ若しくは基板キャリア111、又はマスクキャリア140を、第1平面内で又は第1平面に平行に(例えば、x方向及びy方向に)移動させるか、又は位置合わせするよう構成され、かつ、基板キャリア130又はマスクキャリア140の角位置を第1平面内で又は第1平面に平行に、調整するか、又は変化させるよう構成される。
【0071】
[0070]一部の実行形態では、2つ以上の位置合わせアクチュエータのうちの少なくとも1つの位置合わせアクチュエータは、基板120とマスクキャリア140とを、第3方向Zに、互いに対して移動させるよう構成され、詳細には、第3方向は第1平面及び/又は基板表面711に対して実質的に直角である。一例としては、第1位置合わせアクチュエータ710及び第2位置合わせアクチュエータ720は、第3方向Zに基板キャリア111又はマスクキャリア140を移動させるよう構成される。一部の実行形態では、基板120とマスク725との間の距離は、キャリアアセンブリ若しくは基板キャリア111、又はマスクキャリア140を第3方向Zに移動させることによって、調整されうる。一例としては、基板120又は基板キャリア111とマスク725との間の距離は、表面上に層が堆積されるよう構成された基板表面711の領域において実質的に一定になるよう、調整されうる。一部の実施形態により、この距離は、1mm未満、具体的には500マイクロメートル未満、更に具体的には50マイクロメートル未満でありうる。
【0072】
[0071]本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる一部の実施形態により、第1位置合わせアクチュエータ710は、第2方向Xに対する浮動を行っている。「浮動(floating)」という語は、第1位置合わせアクチュエータ710が、基板キャリア130が第2方向Xに移動する(例えば、第2位置合わせアクチュエータ720によって駆動される)ことを可能にすることであると、理解されうる。
【0073】
[0072]基板キャリア111は、第1エッジ部分732及び第2エッジ部分734を有しうる。第1エッジ部分及び第2エッジ部分は、基板キャリア111の両側に配置されうる。基板120が配置されうる基板キャリアの基板領域は、第1エッジ部分732と第2エッジ部分734との間に提供されうる。一例としては、第1エッジ部分732は、基板キャリアの上側エッジ部分又は上部エッジ部分でありうる。第2エッジ部分734は、基板キャリアの下側エッジ部分又は底部エッジ部分でありうる。
【0074】
[0073]本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる一部の実施形態により、第1位置合わせアクチュエータ710及び第2位置合わせアクチュエータ720は、第1エッジ部分732又は第2エッジ部分734に提供される。一部の実行形態では、第1位置合わせアクチュエータ710及び第2位置合わせアクチュエータ720は、基板キャリア111の角又は角領域(例えば、第1エッジ部分732又は第2エッジ部分734の角又は角領域)に提供されうる。
【0075】
[0074]本書に記載の他の実施形態と組み合わされうる一部の実施形態により、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、電動アクチュエータ又は空圧アクチュエータでありうる。2つ以上の位置合わせアクチュエータは、例えば、線形位置合わせアクチュエータでありうる。一部の実行形態では、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、ステッパアクチュエータ、ブラシレスアクチュエータ、DC(直流)アクチュエータ、ボイスコイルアクチュエータ、及び圧電アクチュエータからなる群から選択された、少なくとも1つのアクチュエータを含みうる。「アクチュエータ(actuator)」という語は、ステッパモータなどのモータを表しうる。2つ以上の位置合わせアクチュエータは、プラスマイナス約1マイクロメートル未満の精度で、キャリアアセンブリ又は基板キャリア111を(したがって基板を)移動させるか、又は位置付けるよう、構成されうる。一例としては、2つ以上の位置合わせアクチュエータは、第1方向Y、第2方向X、及び第3方向Zのうちの少なくとも1つの方向に、プラスマイナス約0.5マイクロメートル、具体的には約0.1マイクロメートルの精度で、基板キャリア111を移動させるか、又は位置付けるよう、構成されうる。
【0076】
[0075]一部の実行形態では、2つ以上の位置合わせアクチュエータを同時に又は順次駆動することによって、第1方向、第2方向、及び第3方向のうちの少なくとも1つの方向への基板の移動が実施されうる。
【0077】
[0076]
図10は、本開示の実施形態による、キャリアアセンブリの非接触型位置合わせの方法を図示するフロー図を示している。ブロック902に示しているように、キャリアアセンブリは浮上する。例えば、能動磁気ユニット175’がコントローラ440によって活性化されかつ/又は制御され、2つが、重力に反作用する磁力を提供する。磁力は、キャリアアセンブリを浮上させる役割を果たす。ブロック904は、キャリアアセンブリをマスクに対して位置付けるために、キャリアアセンブリを移動させることを示している。本書に記載の実施形態により、キャリアアセンブリを移動させること、又はキャリアアセンブリの移動は、キャリアアセンブリが浮上している間に実行される。ブロック906は、マスクに対してキャリアアセンブリを位置合わせすることを示している。したがって、キャリアアセンブリの移動は、マスクに対するキャリアアセンブリの十分な精度を伴う位置付け、すなわち位置合わせを行うよう、制御される。
【0078】
[0077]本開示の一部の実施形態により、オプションで、キャリアアセンブリ及び/又はマスクは、更なる機械的位置合わせを行うために、例えば位置合わせアクチュエータに、機械的に接触されうる。そのような場合、ブロック906に示す位置合わせは、事前位置合わせと見なされうる。
【0079】
[0078]本開示の実施形態により、キャリアアセンブリの搬送システム又は保持装置は、位置合わせ、又は少なくとも事前位置合わせを行うよう、構成される。本書に記載の方法は、キャリアアセンブリの、例えば浮上している間の、機械的接触を伴わない移動を行い、非接触型搬送システムは、キャリアによって支持されたかつ/又はキャリアアセンブリの一部分である基板などの基板とマスクとを互いに対して位置合わせするのに十分な精度を可能にする。例えば、この精度は、50μm以下など、100μm未満でありうる。
【0080】
[0079]本開示には、いくつかの用途向けの別々の位置合わせアクチュエータを避けること、又は、少なくとも、多数用途向けの複数の位置合わせアクチュエータの複雑性を低減することを含む、いくつかの利点がある。マスクに対する基板の位置合わせの改善及び/又は高効率化が、提供されうる。したがって、処理システムの所有コストが減少しうる。更に、本開示の一部の実施形態はスループットの増大を可能にする。更なる利点は、とりわけ、例えばOLEDディスプレイ製造に利用される大面積基板向けの堆積システムなどの処理システムにおける、粒子発生を減少させることを含む。例えば、基板上の堆積層の純度及び均一性の向上が提供されうる。
【0081】
[0080]以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。