【文献】
酵母エキス ハイパーミースト,アサヒグループ食品[online],2015年 1月29日,[retrieved on 5.15.2019],URL,https://web.archive.org/web/20170129161412/https://www.asahi-fh.com/products/wholesale/yeast-extract02.html
【文献】
加藤友治,食品分野における界面活性剤,オレオサイエンス,2001年,Vol. 1, No. 10,pp. 29-35
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、チーズの大きな粒感と滑らかな食味を両立したチーズ含有酸性液状乳化調味料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、驚くべきことに、チーズ含有酸性乳化液状調味料において、チーズの体積基準粒度分布において104.7μm超2000μm以下の範囲におけるモード径及びその頻度を特定範囲内に調整することによって、意外にもチーズの大きな粒感と滑らかな食味とを両立できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明の一態様によれば、
チーズ及び食用油脂を含む酸性液状乳化調味料であって、
前記チーズの含有量が、前記酸性液状乳化調味料の全量に対して1質量%以上20質量%以下であり、
前記食用植物油脂の含有量が、前記酸性液状乳化調味料の全量に対して30質量%以上70質量%以下であり、
前記酸性液状乳化調味料の25℃における粘度が1.5Pa・s以上15.0Pa・s以下であり、
前記酸性液状乳化調味料中のチーズは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、分析条件:非球形及び屈折率1.6、粒子径測定範囲:0.023μm以上2000μm以下、粒子径区分:132chで測定した体積基準粒度分布において、
104.7μm超2000μm以下の範囲におけるモード径の頻度が、1.00%以上4.30%以下であることを特徴とする、
酸性乳化液状調味料が提供される。
【0009】
本発明の態様においては、前記体積基準粒度分布において、0.023μm以上104.7μm以下の粒子径の累積頻度が10.00%以上55.00%以下であることが好ましい。
【0010】
本発明の態様においては、前記体積基準粒度分布において、前記モード径が、114.1μm以上1535μm以下であり、前記モード径の頻度が、2.00%以上4.00%以下であることが好ましい。
【0011】
本発明の態様においては、前記酸性液状乳化調味料は、円柱型プランジャー(直径20mm)のテクスチャーアナライザーを使用し、温度25℃の前記酸性乳化液状調味料中へ、前記プランジャーを下降スピード10mm/秒で30mm進入させ荷重をかけたときの硬さが50g以上1000g以下であり、
その後、前記酸性乳化液状調味料から前記プランジャーを上昇スピード10mm/秒で離したときの付着力が10g以上200g以下であることが好ましい。
【0012】
本発明の態様においては、前記チーズが2種類以上の原料チーズを含むことが好ましい。
【0013】
本発明の態様においては、前記原料チーズが、ナチュラルチーズ及びプロセスチーズをそれぞれ少なくとも1種以上であることが好ましい。
【0014】
本発明の態様においては、前記酸性液状乳化調味料は、ペースト状の酵母エキスをさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の酸性乳化液状調味料は、チーズの大きな粒感を感じつつ、チーズの粒形の不均一性があることで、滑らかな食味を感じることもできる。このような商品の品質向上によって、消費者の購買意欲を高め、チーズ含有酸性乳化液状調味料のさらなる市場拡大が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<酸性乳化液状調味料>
本発明の酸性乳化液状調味料は、少なくとも、チーズ及び食用油脂を含むものであり、酵母エキス、増粘剤、酸材、卵黄、及び他の原料等をさらに含んでもよい。
【0017】
本発明の酸性乳化液状調味料は、水相中に油相が油滴状に分散した液状調味料(水中油滴型(O/W型)液状調味料)を指す。このような液状調味料としては、ドレッシング、ソース、タレ、およびこれらに類する他の食品が挙げられ、ドレッシングが好ましい。酸性乳化液状調味料中の水分含有量は、特に限定されないが、酸性乳化液状調味料の全量に対して、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは25質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは55質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以下である。なお、酸性乳化液状調味料中の水分含有量は、常法により測定でき、例えば、七訂日本食品標準成分表分析マニュアルに記載されている常圧加熱乾燥法の直接法により、測定することができる。
【0018】
(体積基準粒度分布)
本発明の酸性乳化液状調味料中のチーズは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、分析条件:非球形及び屈折率1.6、粒子径測定範囲:0.023μm以上2000μm以下、粒子径区分:132chで測定した体積基準粒度分布において、
104.7μm超2000μm以下の範囲におけるモード径(最頻度粒子径)が、好ましくは114.1μm以上1535μm以下であり、より好ましくは135.7μm以上であり、さらに好ましくは176.0μm以上であり、また、好ましくは1291μm以下であり、より好ましくは1086μm以下であり、
前記モード径の頻度が、1.00%以上4.30%以下であり、好ましくは1.50%以上であり、より好ましくは2.00%以上であり、また、好ましくは4.15%以下であり、より好ましく4.00%以下である。
なお、104.7μm超2000μm以下の範囲におけるモード径は、1つのみが存在してもよいし、2つ以上存在してもよい。
粒状のチーズの前記モード径及びその頻度が上記範囲内であれば、チーズの大きな粒感を感じつつ、チーズの粒形の不均一性があるため、滑らかな食味も感じることができる。なお、粒状のチーズの前記モード径及びその頻度を調整する方法としては、例えば、酸性乳化液状調味料の下記の製造工程において、第1の加熱処理(水相加熱処理)及び第2の加熱処理(最終加熱処理)の温度や時間を調節することや、乳化条件を調節することが挙げられる。
【0019】
また、0.023μm以上104.7μm以下の粒子径の累積頻度が、好ましくは10.00%以上であり、より好ましくは15.00%以上であり、さらに好ましくは20.00%以上であり、また、好ましくは55.00%以下であり、より好ましくは45.00%以下であり、さらに好ましくは35.00%以下である。
粒状のチーズの当該範囲の粒子径の累積頻度が上記範囲内であれば、チーズの大きな粒感を感じつつ、チーズの粒形の不均一性があるため、滑らかな食味も感じることができる。なお、粒状のチーズの当該範囲の粒子径の累積頻度を調整する方法としては、例えば、酸性乳化液状調味料の下記の製造工程において、第1の加熱処理(水相加熱処理)及び第2の加熱処理(最終加熱処理)の温度や時間を調節することや、乳化条件を調節することが挙げられる。
本発明において、粒子の頻度とは、0.023μm〜2000μmにおいて粒子径区分132chで測定した際の各粒子径区分に入る粒子の割合が全体の何%かを表す値を指す。0.023μm以上104.7μm以下の粒子径の累積頻度とは、当該範囲の粒子径区分に入る粒子の割合が全体の何%かを表す値である。
【0020】
(体積基準粒度分布の測定方法)
本発明において、上述した酸性乳化液状調味料中のチーズの体積基準粒度分布は、次のような手順で測定する。
【0021】
(測定手順)
まず、本発明の酸性液状乳化調味料に等量の水を加えよく混和し、遠心分離機にて遠心(2800rpm×30秒)し、上澄みを廃棄した。これを5回繰り返し、測定試料を調整する。調整した測定試料を、レーザー回折式粒度分布測定装置により下記の測定条件で測定する。
【0022】
(測定条件)
・測定機器:レーザー回折式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、粒度分布計MT3300EXII)
・測定基準:体積
・分析条件:非球形、屈折率1.6
・粒子径測定範囲:0.023μm以上2000μm以下
・粒子径区分:132ch
【0023】
(硬さ及び付着力)
本発明の酸性乳化液状調味料は、円柱型プランジャー(直径20mm)のテクスチャーアナライザーを使用し、温度25℃の酸性乳化液状調味料中へ、前記プランジャーを下降スピード10mm/秒で30mm進入させ荷重をかけたときの硬さが、好ましくは50〜1000gであり、より好ましくは80〜800gであり、さらに好ましくは100〜700である。
硬さが上記範囲内であれば、酸性乳化液状調味料が食材と絡み易く、十分な量の酸性乳化液状調味料を食材に付着させることができる。なお、硬さを調整する方法としては、例えば、増粘剤の配合量や油脂の配合量等を調整することが挙げられる。
【0024】
その後、酸性乳化液状調味料から前記プランジャーを上昇スピード10mm/秒で離したときの付着力が、好ましくは10〜200gであり、より好ましくは20〜150gであり、さらに好ましくは35〜120gである。
付着力が上記範囲内であれば、酸性乳化液状調味料が食材と絡み易く、十分な量の酸性乳化液状調味料を食材に付着させることができる。なお、付着力を調整する方法としては、例えば、増粘剤の配合量や油脂の配合量等を調整することにより行うことができる。
【0025】
(硬さ及び付着力の測定方法)
本発明において、上述した酸性乳化液状調味料の硬さ及び付着力は、次のような手順で測定する。
【0026】
(測定手順)
酸性乳化液状調味料を容器に充填し、以下の条件で測定する。容器に充填した酸性乳化液状調味料に対し、円柱型プランジャー(直径20mm)を下降スピード10mm/秒で30mm進入させ荷重をかけたとき、最大の荷重となる点を算出し、「硬さ」(g)とする。
また、前記荷重をかけた後、酸性乳化液状調味料から前記プランジャーを上昇スピード10mm/秒で離したとき、荷重0の点から負の荷重最大値となる点を算出し、「付着力」(g)とする。なお、付着力は絶対値で表す。
【0027】
(測定条件)
・測定装置:テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製、Texture Analyzer TA.XT.plus)
・円柱型プランジャー(直径20mm)
治具:P/20 20mm DIA CYLINDER ALMINIUM
プランジャー:AD/100(100mm ProbeAdaptor)
・レンジ幅:0〜1kg
・プランジャーの下降スピード:10mm/秒
・モード:Distance
・試料への進入距離:30mm
・試料へ進入後のプランジャーの上昇スピード:10mm/秒
・測定温度:25℃
【0028】
(粘度)
本発明の酸性乳化液状調味料の25℃における粘度は、1.5Pa・s以上であり、好ましくは2.0Pa・s以上であり、より好ましくは2.5Pa・s以上であり、また、15.0Pa・s以下であり、好ましくは14.5Pa・s以下、さらに好ましくは14.0Pa・s以下である。液状調味料に上記範囲内の粘度を付与することで、酸性乳化液状調味料の風味をより感じることができる。
なお、粘度の測定方法は、BH形粘度計を使用し、品温25℃、回転数10rpmの条件で、粘度が1.5Pa・s以上10.0Pa・s未満のとき:ローターNo.3、10.0Pa・s以上15Pa・s以下のとき:ローターNo.4を使用し、測定開始後ローターが2回転した時の示度により算出した値である。
【0029】
(チーズ)
本発明の酸性乳化液状調味料に用いるチーズは、特に限定されないが、ナチュラルチーズ及び/又はこれを用いて製したプロセスチーズを用いれば良い。例えば、ナチュラルチーズとしては、パルメザンチーズ、グラナチーズ、チェダー、エメンタール、ゴーダ、マリボー等の原料チーズが挙げられる。本発明においては、これらの1種または2種以上の原料チーズを用いることができ、酸性乳化液状調味料に食味やコクを与えるために2種以上用いることが好ましい。特に、ナチュラルチーズ及びプロセスチーズをそれぞれ1種以上用いることが好ましい。
【0030】
チーズの配合量(2種以上用いる場合、合計量)は、酸性乳化液状調味料の全量に対して、1質量%以上であり、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、また、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以下である。チーズの配合量が上記範囲内であれば、チーズの大きな粒感を感じ易く、滑らかな食味を感じ易い。
【0031】
(食用油脂)
本発明の酸性乳化液状調味料に用いる食用油脂としては、特に限定されないが、例えば、菜種油、大豆油、パーム油、綿実油、コーン油、ひまわり油、サフラワー油、胡麻油、オリーブ油、亜麻仁油、米油、椿油、荏胡麻油、グレープシードオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、魚油、牛脂、豚脂、鶏脂、又はMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的あるいは酵素的処理等を施して得られる油脂等を挙げることができる。これらの中でも、菜種油、大豆油又はパーム油を用いることが好ましい。
【0032】
食用油脂の配合量は、酸性乳化液状調味料の全量に対して、30質量%以上であり、好ましくは35質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上であり、また、70質量%以下であり、好ましくは65質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下である。食用油脂の配合量が上記範囲内であれば、油のコクを感じ易く、また酸性乳化液状調味料の食味を滑らかにすることができる。
【0033】
(酵母エキス)
本発明の酸性乳化液状調味料に用いる酵母エキスとは、原料となる酵母体を自己消化や酵素添加などにより分解してエキス化したものをいう。原料となる酵母体としては、例えば、ビール製造時に副生する余剰酵母であるいわゆるビール酵母や、パン製造時に使用されるパン酵母あるいは食用に生産されるトルラ酵母、日本酒製造時に使用される酒酵母、ワイン製造に使用されるワイン酵母、醤油製造時に使用される醤油酵母などが挙げられる。このような酵母エキスとしては、粉末状、ペースト状、液状のものが市販されており、これら市販品を用いることができる。特に、酸性乳化液状調味料の食味が滑らかになったり、粉末状よりも飛散しづらく製造工程が簡便であったりするため、ペースト状の酵母エキスを用いることが好ましい。
【0034】
酵母エキスの配合量は、酸性乳化液状調味料の全量に対して、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.10質量%以上であり、また、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以下である。酵母エキスの配合量が上記範囲内であれば、酸性乳化液状調味料にコクを与えたり、酸性乳化液状調味料の食味をより滑らかにしたりすることができる。
【0035】
(増粘剤)
本発明の酸性乳化液状調味料は、粘度調節のために増粘剤を配合することが好ましい。本発明の酸性乳化液状調味料に用いる増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、およびアラビアガム等が挙げられ、キサンタンガムが好ましい。
【0036】
増粘剤の配合量は、酸性乳化液状調味料の全量に対して、好ましくは1.0質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以下であり、さらにより好ましくは0.3質量%以下であり、また、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.03質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上である。増粘剤の配合量が上記範囲内であれば、酸性乳化液状調味料は保存後でも安定した乳化状態を維持することができる。
【0037】
(酸材)
本発明の酸性乳化液状調味料は、酸材を配合することで、酸性の液状調味料にすることができる。本発明の酸性乳化液状調味料のpHは、特に限定されないが、例えば、好ましくは3.0以上であり、より好ましくは3.3以上であり、さらに好ましくは3.8以上であり、また好ましくは6.5以下であり、より好ましくは5.5以下であり、さらに好ましくは4.6以下である。pHが上記範囲内であれば、酸味により調味料全体の風味を引き立てることができる。
【0038】
本発明の酸性乳化液状調味料に用いる酸材としては、例えば、食酢(酢酸)、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ソルビン酸、安息香酸、アジピン酸、フマル酸、コハク酸等の有機酸及びそれらの塩、燐酸、塩酸等の無機酸及びそれらの塩、レモン果汁、リンゴ果汁、オレンジ果汁、乳酸発酵乳等を用いることができる。
【0039】
酸材の配合量は、目的とするpHに応じて適宜調節することができる。例えば、酸材として食酢(酸度4%)を用いる場合、食酢の配合量は、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下である。食酢の配合量が上記範囲内であれば、酸味により調味料全体の風味を引き立てることができる。
【0040】
(卵黄)
本発明の酸性乳化液状調味料は、卵黄をさらに配合してもよい。本発明の酸性乳化液状調味料に用いる卵黄は、乳化材として一般的に用いている卵黄であれば特に限定されるものではない。卵黄としては、例えば、鶏卵を割卵し卵白と分離して得られた生卵黄や、当該生卵黄に殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼA1、ホスフォリパーゼA2、ホスフォリパーゼC、ホスフォリパーゼD又はプロテアーゼ等による酵素処理、超臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩又は糖類等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施したもの等が挙げられる。
【0041】
卵黄の配合量は、生換算で、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、また、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。卵黄の配合量が上記範囲内であれば、酸性乳化液状調味料は保存後でも安定した乳化状態を維持することができる。
【0042】
(他の原料)
本発明の酸性乳化液状調味料は、上述した原料以外に、本発明の効果を損なわない範囲で液状調味料に通常用いられている各種原料を適宜選択し含有させることができる。例えば、醤油、みりん、食塩、胡麻、グルタミン酸ナトリウム、ブイヨン等の調味料、ぶどう糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、オリゴ糖、トレハロース等の糖類、からし粉、胡椒等の香辛料、レシチン、リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の加工澱粉以外の乳化剤、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、静菌剤等が挙げられる。
【0043】
<酸性乳化液状調味料の製造方法>
本発明の酸性乳化液状調味料の製造方法の一例について説明する。例えば、まず、チーズ、酵母エキス、増粘剤、酸材、及び調味料等の他の水相原料を混合し、ミキサー等で撹拌して、水相を調整する。水相を調整した後、第1の加熱処理を施してもよい。第1の加熱処理は、例えば、50〜90℃まで達温したり、さらに当該温度で0分超10分間以下保持したりして行うことができる。
続いて、調整した水相に卵黄を加えて、ミキサー等で撹拌しながら、油相原料である食用油脂を注加して乳化し、水相中に油相を乳化分散させた液状調味料を得ることができる。乳化後にさらに第2の加熱処理を施してもよい。第2の加熱処理は、例えば、例えば、50〜80℃まで達温したり、さらに当該温度で0分超10分間以下保持したりして行うことができる。
上記のように第1の加熱処理及び/または第2の加熱処理を施すことで、酸性乳化液状調味料中のチーズの104.7μm超2000μm以下の範囲におけるモード径やその頻度、粒度分布を調節することもできる。
【0044】
本発明の酸性乳化液状調味料の製造には、通常の乳化食品の製造に使われる装置を用いることができる。このような装置としては、例えば、一般的な攪拌機、スティックミキサー、スタンドミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー等が挙げられる。撹拌機の撹拌羽形状としては、例えばプロペラ翼、タービン翼、パドル翼、アンカー翼等が挙げられる。
【実施例】
【0045】
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の内容に限定して解釈されるものではない。
【0046】
<酸性乳化液状調味料の製造例>
[例1〜9]
表1に記載の配合Aの配合割合に準じて、酸性乳化液状調味料を製造した。具体的には、まず、ナチュラルチーズパウダー、プロセスチーズパウダー、食塩、グラニュー糖、及びキサンタンガムを調整後、別途調整した食酢、ペースト状酵母エキス、及び清水と混合し、ホモディスパーを用いて、回転数1400rpmで5分間攪拌して、水相を調整した。
その後、調整した水相に別途調整した卵黄を加え、ホモミキサーを用いて、回転数8000rpmで5分間攪拌しながら食用油脂を注加して乳化し、酸性液状乳化調味料を調整した。
なお、製造工程において、表2に記載の通り、調整した水相を60℃または90℃まで達温する第1の加熱処理、及び/又は、得られた酸性液状乳化調味料を60℃または80℃まで達温する第2の加熱処理を行って、104.7μm超2000μm以下の範囲におけるモード径の頻度(%)を調節して、例1〜9の酸性液状乳化調味料を得た。
【0047】
[例10〜18]
配合Aの酸性乳化液状調味料の製造工程において、乳化時にホモディスパーを用いて、回転数4500rpmで5分間攪拌した以外は、例1〜9と同様にして、表3に記載の通り104.7μm超2000μm以下の範囲におけるモード径の頻度(%)を調節して例10〜18の酸性液状乳化調味料を調整した。
【0048】
[例19〜27]
表1に記載の配合Bの配合割合に準じた以外は、例10〜18と同様にして、表4に記載の通り104.7μm超2000μm以下の範囲におけるモード径の頻度(%)を調節して例19〜27の酸性液状乳化調味料を調整した。
【0049】
上記で得られた例1〜27の酸性液状乳化調味料のpHは全て3.8以上4.6以下の範囲内であった。
【0050】
【表1】
【0051】
(体積基準粒度分布の測定)
上記で得られた例1〜27の酸性乳化液状調味料中のチーズについて、上記の「体積基準粒度分布の測定方法」の欄で詳述した方法により、体積基準粒度分布を測定し、104.7μm超2000μm以下の範囲におけるモード径、前記モード径の頻度、及び、0.023μm以上104.7μm以下の粒子径の累積頻度を算出した。測定結果を表2〜4に示した。
【0052】
(硬さ及び付着力の測定)
上記で得られた例1〜27の酸性乳化液状調味料について、上記の「硬さ及び付着力の測定方法」の欄で詳述した方法により、硬さ及び付着力を測定した。測定結果を表2〜4に示した。
【0053】
(粘度の測定)
上記で得られた例1〜27の酸性乳化液状調味料について、BH形粘度計を使用し、品温25℃、回転数10rpmの条件で、粘度が1.5Pa・s以上10.0Pa・s未満のとき:ローターNo.3、10.0Pa・s以上15Pa・s以下のとき:ローターNo.4を使用し、測定開始後ローターが2回転した時の示度により算出した。測定結果を表2〜4に示した。
【0054】
(官能評価)
上記で得られた例1〜27の酸性乳化液状調味料について、下記の基準で、「チーズ粒の存在感」と「滑らかな食味」を官能評価した。評価結果を表2〜4に示した。評価が2点以上であれば、良好な結果であると言える。
[チーズ粒の存在感の評価基準]
4:チーズの粒をとてもよく感じた。
3:チーズの粒をよく感じた。
2:チーズの粒を感じた。
1:チーズの粒を感じなかった。
[滑らかな食味の評価基準]
4:チーズの粒形の不均一性があり、滑らかな食味をとてもよく感じた。
3:チーズの粒形の不均一性があり、滑らかな食味をよく感じた。
2:チーズの粒形の不均一性があり、滑らかな食味を感じた。
1:チーズの粒形の不均一性がなく、滑らかな食味を感じなかった。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
上記の例1〜27によれば、酸性乳化液状調味料の製造工程において、第1の加熱処理(水相加熱処理)及び第2の加熱処理(最終加熱処理)の温度を調節することや、乳化条件を調節することで、酸性乳化液状調味料中のチーズの体積基準粒度分布における104.7μm超2000μm以下の範囲におけるモード径及びその頻度、さらには特定範囲の粒子径における累積頻度を調節することができた。それによって、チーズの大きな粒感と滑らかな食味に好適なチーズの前記モード径及びその頻度、さらには特定範囲の粒子径における好適な累積頻度を見出し、チーズの大きな粒感と滑らかな食味を両立できるチーズ含有酸性乳化液状調味料を調整することができた。
【解決手段】チーズの含有量が、前記酸性液状乳化調味料の全量に対して1質量%以上20質量%以下であり、前記食用植物油脂の含有量が、前記酸性液状乳化調味料の全量に対して30質量%以上70質量%以下であり、前記酸性液状乳化調味料の25℃における粘度が1.5Pa・s以上15.0Pa・s以下であり、前記酸性液状乳化調味料中のチーズは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、分析条件:非球形及び屈折率1.6、粒子径測定範囲:0.023μm以上2000μm以下、粒子径区分:132chで測定した体積基準粒度分布において、104.7μm超2000μm以下の範囲におけるモード径の頻度が、1.00%以上4.30%以下である、酸性乳化液状調味料。