(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献2に記載の植物培養装置は、複数の段の培養槽の夫々が植物の幼苗期から収穫期まで成長させるので、培養槽の長さが長くなり、植物培養装置が大型化する。特に、一定の環境条件を作り出す栽培室内に植物培養装置を設置する場合には、栽培室内の大きさは限られるので、植物培養装置が大型化すると栽培室内への設置が困難になり、限られた栽培室内の空間を有効に利用することができない。
【0006】
また、特許文献2に記載の植物培養装置は、搬入装置に培養トレイを供給し、また搬送装置から収穫期の植物が植えられた培養トレイを搬出する作業は、作業者が行っている。特に、植物工場棟の閉鎖空間における栽培では、栽培する植物の商品価値を高めるため、無農薬且つ衛生的な環境での栽培が求められる。しなしなからが、特許文献2に記載の植物培養装置では、作業者が栽培棚の周囲に頻繁に立ち入ることは、衛生上好ましくない。
【0007】
本発明の少なくとも一つの実施形態は、このような従来技術の状況の基になされた発明であって、その目的とするところは、栽培室内の空間の有効利用が可能であり、また衛生的な環境下での栽培が可能な植物培養装置及び植物工場を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一つの実施形態にかかる植物培養装置は、
植物を成長させる培養液が収容されて上部が開口する有底容器状の培養槽が上下方向に間隔を有して複数配設された培養棚と、
前記培養棚の両側端部の少なくともいずれかに近接配置され、前記培養液を吸収して成長する植物が収容された培養トレイを保持して移動する搬送装置と、を備える植物培養装置であって、
前記搬送装置は、
前記培養トレイを保脱可能なハンドと、
前記ハンドによって前記培養トレイを保持し又は離した状態にするハンド機構部と、
前記ハンドを水平方向に移動させるハンド水平移動機構部と、
前記ハンドを上下方向に移動させるハンド上下機構部と、
前記ハンドによって前記培養棚から取り出されて保持された培養トレイとともに前記ハンドを前記搬送装置内で昇降移動させるハンド昇降機構部と、
前記ハンド機構部、前記ハンド水平移動機構部、前記ハンド上下機構部、前記ハンド昇降機構部の作動を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記ハンド機構部、前記ハンド水平移動機構部、前記ハンド上下移動機構部、前記ハンド昇降機構部の作動を制御して、前記ハンドによって培養トレイを前記複数の培養槽の少なくともいずれかに対して搬出入させるように構成されている。
【0009】
上記(1)に記載の植物培養装置は、搬送装置は、培養トレイを保脱可能なハンドと、ハンドによって培養トレイを保持し又は離した状態にするハンド機構部と、ハンドによって保持した培養トレイとともに、ハンドを水平方向に移動させるハンド水平移動機構部と、ハンドを上下方向に移動させるハンド上下機構部と、ハンドによって保持された培養トレイとともに、ハンドを前記搬送装置内で昇降移動させるハンド昇降機構部と、ハンド機構部、ハンド水平移動機構部、ハンド上下機構部、ハンド昇降機構部の作動を制御するコントローラと、を備える。そして、コントローラは、ハンド機構部、ハンド水平移動機構部、ハンド上下移動機構部、ハンド昇降機構部の作動を制御して、ハンドによって培養トレイを前記複数の培養槽の少なくともいずれかに対して搬出入させるように構成されている。
【0010】
搬送装置は、ハンドによって培養トレイを複数の培養槽の少なくともいずれかに対して搬出入することができるので、上下方向に配設される複数の培養トレイを、植物の生育ステージに対応する複数の段にした場合、搬送装置によって複数の段のいずれかから取り出した培養トレイを他の段に搬入することができる。このため、培養トレイを複数の培養槽のいずれかに収容して培養槽の一端側から他端側へ日数をかけて移動させながら植物を成長させた後に、培養トレイを他の培養槽に移して植物を成長させ、最後の培養槽に培養トレイを移して植物を成長させて終着端で培養トレイを搬送装置によって搬出することができる。従って、植物が成長して収穫されるまでに培養トレイが移動する培養槽を上下方向に複数段に分けて配設することが可能になる。したがって、幼苗期など植物の高さが小さいステージ(段)の高さ方向のスペースを小さくすることができる。このため、植物が培養槽の一端側から他端側へ移動させながら作物を成長させ、終着端において成熟した植物を収穫するように構成された植物培養装置と比較して、植物培養装置の高さを抑えることができる。よって、植物培養装置を限られた栽培室内に設置する場合、植物培養装置の栽培室内への設置が容易となり、栽培室内の空間を有効に利用可能な植物培養装置を実現することができる。
【0011】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の記載の植物培養装置において、
前記搬送装置は、
該搬送装置の下部に配設されて前記培養トレイを載置して水平移動可能なバケットと、
前記バケットを移動させるバケット搬送機構部と、を更に備えているように構成される。
【0012】
上記(2)に記載の植物培養装置によれば、搬送装置は、搬送装置の下部に配設されて培養トレイを載置して水平移動可能なバケットと、バケットを移動させるバケット搬送機構部と、を更に備える。このため、搬送装置によって収穫される植物が収容された培養トレイをバケット上に載置すると、バケット搬送機構部によってバケットを移動させることができる。このため、バケット搬送機構部によるバケットの移動先を、植物培養装置が設置された栽培室と隣接する他の部屋にした場合、作業者が栽培室に出入りすることなく、収穫される植物を搬出することができる。よって、衛生的な環境での栽培が可能な植物培養装置を実現できる。
【0013】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の植物培養装置において、
前記搬送装置は、
前記ハンドによって前記培養槽から取り出された培養トレイの下方に配置された養液受けと、
前記培養トレイの下方位置と、該下方位置から前記栽培棚と反対側へ退避する退避位置との間で、前記養液受けを移動させる養液受け移動機構部とを、更に備え、
前記養液受けは、前記培養トレイに収容された植物の根部から落ちる培養液を受ける底板部を備えているように構成されている。
【0014】
上記(3)に記載の植物培養装置によれば、搬送装置は、ハンドによって培養槽から取り出された培養トレイの下方に配置された養液受けと、培養トレイの下方位置と、該下方位置から栽培棚と反対側へ退避する退避位置との間で、養液受けを移動させる養液受け移動機構部とを、更に備えている。そして、養液受けは、培養トレイに収容された植物の根部から落ちる培養液を受ける底板部を備えている。培養液を吸収して植物を成長させる水耕栽培では、植物の根部が培養液に浸かった状態や接触した状態となり、ハンドによって培養トレイを栽培槽から取り出すと、培養液が根部から滴り、取り出した培養槽よりも下方の培養槽内の植物や植物培養装置が設置された床に飛散する虞がある。ここで、培養液中には菌が含まれている場合があり、培養液が飛散すると、菌が拡散して、衛生上の品質低下や植物の成長に悪影響を及ぼす虞が生じる。しかしながら、ハンドの下方に養液受けが設けられているので、ハンドによって培養トレイが栽培槽から取り出された場合、培養トレイに収容された植物の根部から培養液が落ちても、この培養液を養液受けで受けることができる。よって、落下する培養液が下段の植物に飛散したり植物培養装置が設置された床に飛散する虞を防止することができる。このため、培養液に含まれた菌が飛散して、衛生上の品質低下や植物の成長に悪影響を与える虞を抑制することができる。
【0015】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載の植物培養装置において、
前記コントローラは、
前記ハンドが前記培養槽に収容されている培養トレイの上方に移動しているときには、前記養液受けが前記退避位置に移動するように前記養液受け移動機構部の作動を制御するように構成される。
【0016】
上記(4)に記載の植物培養装置によれば、コントローラは、ハンドが培養槽に収容されている培養トレイの上方に移動しているときには、養液受けが退避位置に移動するように養液受け移動機構部の作動を制御する。培養槽に収容されている培養トレイの上方にハンドが移動しているときは、ハンドの下方には培養槽が位置している。このため、培養トレイの上方にハンドが移動しているときに養液受けをハンドの下方に位置すると、養液受けが培養槽に接触する虞がある。そこで、培養トレイの上方にハンドが移動しているときは、養液受けを退避位置に移動させることで、養液受けが培養槽に接触する虞を防止することができ、養液受け及び培養槽が損傷する虞を未然に防止することができる。
【0017】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載の植物培養装置において、
前記コントローラは、
前記ハンドが前記バケットの上方の所定位置に接近すると、前記養液受けを退避移動させて前記バケットの上方が開放するように前記養液受け移動機構部の作動を制御するように構成される。
【0018】
上記(5)に記載の植物培養装置によれば、コントローラは、ハンドがバケットの上方の所定位置に接近すると、養液受けを退避移動させてバケットの上方が開放するように養液受け移動機構部の作動を制御する。バケット上に培養トレイを載置する場合、ハンドの下方に養液受けが存在すると、養液受けが邪魔をしてバケット上に培養トレイを載置することができない。そこで、ハンドがバケットの上方の所定位置に接近すると、養液受けを退避移動させることで、バケットの上方が開放してバケット上に培養トレイを載置することができる。
【0019】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)から(5)のいずれかに記載の植物培養装置において、
前記ハンドは、鉛直方向に延在する2つの保持部を備え、
前記2つの保持部は、鉛直方向に延在して前記ハンド前後移動機構部によって前記ハンドが移動する前後方向に間隔を有して2個設けられ、
前側の保持部は後側の保持部よりもより下方へ延びるように構成される。
【0020】
上記(6)に記載の植物培養装置によれば、ハンドは、鉛直方向に延在する2つの保持部を備える。そして、2つの保持部は、鉛直方向に延在してハンド前後移動機構部によってハンドが移動する前後方向に間隔を有して2個設けられる。そして、前側の保持部は後側の保持部よりもより下方へ延びるように構成される。このため、培養槽内の培養液に複数の培養トレイが浮いた状態で収容されている場合において、培養槽内に生じた隙間を埋めるために複数の培養トレイを隙間が存在する方向に押すときには、ハンドの2つの保持部のうち前側の保持部を最後尾の培養トレイに接触させて押す必要がある。ここで、保持部によって複数の培養トレイを押すためにハンドを前側に移動させると、後側の保持部が培養トレイの後側の側壁に接触する虞が生じる。しかしながら、後側の保持部は前側の保持部よりも下方への延びる長さが短いので、後側の保持部が培養トレイの後側の側壁に接触することはない。このため、前側の保持部によって複数の培養トレイを確実に移動させて隙間を埋めることができる。
【0021】
(7)本発明の少なくとも一つの実施形態にかかる植物工場は、
請求項1から6のいずれかに記載の前記植物培養装置と、
前記植物培養装置を収容する栽培室と、
前記搬送装置に対向する前記栽培室の壁部又は該壁部の外側に近接して設けられ、前記培養トレイを搬出入可能なパスボックスと、を備えるように構成される。
【0022】
上記(7)に記載の植物工場は、請求項1から6のいずれかに記載の植物培養装置と、植物培養装置を収容する栽培室と、搬送装置に対向する栽培室の壁部又は壁部の外側に近接して設けられ、培養トレイを搬出入可能なパスボックスと、を備える。このため、植物培養装置の栽培棚から培養トレイを取り出して栽培室の外側に搬送する場合、搬送装置によって栽培棚から培養トレイを取り出してパスボックスに搬送する。このため、パスボックスを介して培養トレイを栽培室外に搬送することができる。また、栽培室外から培養トレイを栽培室内に搬入する場合、パスボックスに収容された培養トレイを、搬送装置によって栽培室内に搬入して栽培棚に収容することができる。このため、培養トレイを栽培室から搬出したり搬入したりする際に、作業者が栽培室に立ち入ることがない。したがって、栽培室を衛生的な環境に維持することができ、商品価値の高い植物の栽培が可能な植物工場を実現できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態によれば、栽培室内の空間を有効に利用することができ、また衛生的な環境下での栽培が可能な植物培養装置及び植物工場を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について、
図1〜
図12を参照しながら説明する。本実施形態の植物培養装置は、培養液が収容される培養槽が上下方向に3段備えて栽培室内に設置される場合を例にして以下説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態にかかる植物培養装置の正面図を示し、
図2は
図1のI−I矢視における培養槽を備える培養棚の断面図を示す。
【0027】
本実施形態の植物培養装置1は、
図1及び
図2に示すように、植物pを成長させる培養液cが収容される有底容器状の培養槽20が上下方向に間隔を有して複数配設された栽培棚10と、栽培棚10の長手方向両端部に近接配置され、複数の培養槽20の少なくとも一つに対して植物pを搬出入する一対の搬出側搬送装置50a、供給側搬送装置50bと、を備える。そして、搬出側搬送装置50a、供給側搬送装置50bは、培養トレイ30を保脱可能なハンド53と、ハンド53によって培養トレイ30を保持し又は離した状態にするハンド機構部59(
図5(b)参照)と、ハンド53によって保持した培養トレイ30とともに、ハンド53を水平方向に移動させるハンド水平移動機構部60(
図5(a)参照)と、ハンド53を上下方向に移動させるハンド上下機構部61(
図5(a)参照)と、ハンド53によって保持された培養トレイ30とともに、ハンド53を昇降移動させるハンド昇降機構部63と、ハンド機構部59、ハンド水平移動機構部60、ハンド上下機構部61、ハンド昇降機構部63の作動を制御するコントローラ67と、を備える。そして、コントローラ67は、ハンド機構部59、ハンド水平移動機構部60、ハンド上下機構部61、ハンド昇降機構部63の作動を制御して、複数の培養槽20のいずれかに収容された培養トレイ30を、ハンド53によって取り出して他の培養槽20に搬入するように構成される。
【0028】
図示した実施形態では、植物培養装置1は栽培室70内に設置され、栽培室70の対向する壁71a、71bの夫々には、パスボックス73a、73bが設けられている。これらパスボックス73a、73b間の栽培室70内の空間部75に植物培養装置1が設置されている。
【0029】
植物培養装置1の栽培棚10は、
図1に示すように、直方体状に形成された枠体部11を備える。枠体部11は、平面視における四隅及び枠体部11の幅方向両端部の長手方向中間部に上下方向に起立して延在する複数の脚部12と、隣接する脚部12間に架け渡されて平面視において矩形枠体状に形成されて培養槽20を支持する複数の支持部13a、13b、13cとを備えている。支持部13a、13b、13cは、上下方向に間隔を有して3個設けられ、これらの支持部13a、13b、13cの夫々は、水平方向に延在している。複数の支持部13a、13b、13c間の上下方向の寸法Ha、Hb、Hcは、上方に進むに従って大きくなるように構成されている(Hc>Hb>Ha)。
【0030】
これらの支持部13a、13b、13c上に培養槽20が設置されている。培養槽20は、
図2に示すように、平面視長方形状に形成された底板部20aと、底板部20aの長手方向両端部及び短手方向両端部から屈曲して上方へ延在する側板部20bとを有して有底容器状に形成されている。培養槽20は、複数の脚部12の内側に近接配置されて支持部13a、13b、13c上に載置固定されている。
【0031】
培養槽20には、植物pを成長させるための培養液cが収容されている。培養液cは、肥料を水に溶かしたものである。培養槽20の底板部20aの短手方向一端側の2つの隅部には、培養液cを供給するための供給口20c1、供給口20c2が設けられている。また培養槽20の底板部20aの短手方向他端側の2つの隅部には、培養槽20に収容された培養液cを排出するための排出口20d1、排出口20d2が設けられている。給水と排水は、培養槽20の対角に沿った流れの方向になるように、供給口20c1,20c2及び排出口20d1、20d2に設けられた図示しない電磁弁の作動が制御されるようになっている。すなわち、供給口20c1及び排出口20d2が開口すると、供給口20c2及び排出口20d1は閉じた状態となり、供給口20c2及び排出口20d1が開口すると、供給口20c1及び排出口20d2は閉じた状態になる。供給口20c1及び排出口20d2、又は供給口20c2及び排出口20d1は、図示しない循環路を介して栽培棚10の下部に設置されたタンクT(
図1参照)に連通している。なお、供給口20c1,20c2及び排出口20d1、20d2の口径は排出口が供給口よりも大きくなっている。
【0032】
複数の培養槽20の夫々の上方には、
図1に示すように、植物pが生育するための生育空間23a、23b、23cが形成されている。図示した実施形態では、植物pの生育ステージに対応した、幼苗期の段21a、中間期の段21b、収穫期の段21cの3つの段が設定されている。そして、これらの3つの段の夫々には、植物pの生育に適した生育空間23a、23b、23cが形成されている。そして、幼苗期の段21aに対応する生育空間23aの高さHaは、中間期の段21bに対応する生育空間23bの高さHbよりも低く、中間期の段21bに対応する生育空間23bの高さHbは、収穫期の段21cに対応する生育空間23cの高さHcよりも低いように構成されている。そして、幼苗期の段21aは、3段に形成された3つの支持部13a、13b、13cのうち最も下方位置に配設された支持部13aに係る段であり、中間期の段21bは3つの支持部13a、13b、13cのうち上下方向中間位置に配設された支持部13bに係る段であり、収穫期の段21cは3つの支持部13a、13b、13cのうち最も上方位置に配設された支持部13cに係る段である。
【0033】
植物pは、一般的に成長するにしたがってその高さが高くなるが、植物pの成長過程を、幼苗期の段21aと、中間期の段21bと、収穫期の段21cの3つに分け、これらの段21a、21b、21cの夫々の生育空間23a、23b、23cの高さを、植物pが成長するに従って大きくしている。このため、各段21a、21b、21cの生育空間23a、23b、23c内における植物pとの間の余分なスペースを小さくすることができる。したって、植物培養装置1の上下方向における無駄なスペースを減らすことができる。
【0034】
幼苗期の段21a、中間期の段21b、収穫期の段21cの対応する生育空間23a、23b、23cの上部には、植物pに光を照射するための光源15が設けられている。光源15は、各段の上方に延在するブラケット16を介して設けられている。光源15は、培養トレイ30に植えられた複数の植物pの夫々の上方に位置するように、栽培棚10の幅方向に間隔を有して複数並設されている。光源15は、蛍光灯やLEDが含まれる。
【0035】
植物pは、
図2に示すように、培養液cに対して浮力を有した材料(例えば、発砲スロスチロール)で形成された培養トレイ30に設けられている。培養トレイ30は平面視において長方形状に形成され、培養槽20の短手方向に沿って延び、培養槽20の培養液c上に浮遊した状態で培養槽20の長手方向に他の培養トレイ30と接触した状態で培養槽20内に設けられている。培養トレイ30の短手方向中間部には、長手方向一端部から他端側へ向かって植物pが設けられている。植物pは、底部に孔が形成された図示しない容器内に入れたスポンジ等に植えられ、容器は培養トレイ30に形成された孔部に装着されて、植物pは培養トレイ30に設けられている。図示した実施形態では、一つの培養トレイ30に対して5つの植物pが設けられている。
【0036】
培養トレイ30の長手方向両端部には、短手方向に間隔を有した一対の挟持孔部31が設けられている。この一対の挟持孔部31に搬出側搬送装置50a、供給側搬送装置50bに設けられたハンド53の爪部53a(保持部)が挿入されて、ハンド53によって培養トレイ30が保持される。搬出側搬送装置50a、供給側搬送装置50bについては後述する。
【0037】
培養槽20は、培養槽20の長手方向一端側から他端側への培養トレイ30の移動を案内する案内部材25をさらに備えている。図示した実地形態では、案内部材25は、培養槽20の内側に配設されて培養槽20の長手方向一端側から他端側へ延在し培養トレイ30の移動方向に対して幅方向両側の側面30aに接触可能な幅方向ガイド部材25aと、培養槽20に浮遊する培養トレイ30の上方位置に配設されて培養槽20の長手方向一端側から他端側へ延在して培養トレイ30の上面30bに接触して上方への移動を規制する上方向ガイド部材25bとを含む。
【0038】
このため、培養トレイ30が培養槽20の長手方向一端側から他端側に移動する際に、培養トレイ30の両側の側面30aは対応する幅方向ガイド部材25aに沿って移動するので、培養トレイ30は移動方向に対して幅方向にずれることなく移動することができる。従って、培養トレイ30が移動方向に対して幅方向にずれて培養槽20の内面に引っ掛かって、培養トレイ30が移動できなくなる虞を防止することができる。また、新たな培養トレイ30を培養槽20内に供給する際には、幅方向ガイド部材25aの拡開部25a1が培養槽20の短手方向外側へ拡開しているので、一対の幅方向ガイド部材25aの拡開部25a1間のスペースは広くなっている。このため、培養トレイ30を培養槽20内に容易に供給することができる。
【0039】
また、幅方向ガイド部材25aは、その長手方向一端側が培養槽20の短手方向外側へ拡開するように屈曲する拡開部25a1を有している。このため、培養トレイ30を培養槽20内に供給する際に、培養トレイ30が幅方向ガイド部材25aに接触する虞が低減して培養トレイ30の供給を容易にすることができる。
【0040】
また、上方向ガイド部材25bは、培養液cに浮遊する培養トレイ30の長手方向両端部に形成された挟持孔部31よりも外側の上面30b上に接触可能な位置に延設されている。このため、培養トレイ30が培養槽20の長手一端側から他端側に移動する際に、培養トレイ30が上方へ移動しようとすると、培養トレイ30の上面30bが上方向ガイド部材25bに接触して培養トレイ30の上方への移動が規制される。このため、培養槽20に複数の培養トレイ30が浮遊している場合、培養トレイ30の移動方向に対して前後に隣接する培養トレイ30同士が上下方向に重なり合う事態を未然に防止することができる。また、培養トレイ30および搬送装置50の爪部53aは、上方向ガイド部材25bには接触しないように、配置している。
【0041】
図1に示すように、栽培棚10の長手方向両側には、栽培棚10の複数の培養槽20の少なくとも一つに対して植物pを搬出入するための搬出側搬送装置50a及び供給側搬送装置50bが設けられている。図示した実施形態では、搬出側搬送装置50a及び供給側搬送装置bは同一構造であるので、供給側搬送装置50bのみについて説明し、搬出側搬送装置50aについては符号を附して説明を省略する。
【0042】
図3は、本発明の一実施形態にかかる供給側搬送装置50bの前後方向後側から見た後面図であり、
図4は、本発明の一実施形態にかかる供給側搬送装置50b及び供給側搬送装置50bの後側に設置されたパスボックス73bの正面図であり、
図5は、本発明の一実施形態にかかるハンド53及び養液受け35を移動させる移動機構部(ハンド機構部59、ハンド水平移動機構部60、ハンド上下機構部61、養液受け移動機構部66)を説明するための図であり、
図5(a)は前後方向前側から見た移動機構部の前面図であり、
図5(b)は移動機構部の正面図であり、
図6は、本発明の一実施形態にかかる移動機構部の作動を制御するコントローラ67のブロック図である。
【0043】
供給側搬送装置50bは、
図3、
図4、
図5(a)、
図5(b)に示すように、筺体51と、培養トレイ30を把持運搬するためのハンド53と、培養トレイ30をパスボックス73bに搬送するバケット57と、ハンド53によって培養トレイ30を保持し又は離した状態にするハンド機構部59と、ハンド53を水平方向に移動させるハンド水平移動機構部60と、ハンド53を上下方向に移動させるハンド上下機構部61と、ハンド53によって培養槽20から取り出された培養トレイ30とともにハンド53を供給側搬送装置50b内で昇降移動させるハンド昇降機構部63と、ハンド機構部59、ハンド水平移動機構部60、ハンド上下機構部61、ハンド昇降機構部63の作動を制御するコントローラ67と、を備える。
【0044】
筐体51は、上下方向に延びる直方体状の枠体である。筐体51内には、ハンド昇降機構部63を介して昇降可能な昇降基板63aが設けられている。昇降基板63aは平板状に形成されて水平方向に延びる。この昇降基板63aは筺体51の幅方向両側に上下方向に延在するレールRに沿って上下方向に移動可能に接続されている。ハンド昇降機構部63は、レールRに沿って移動可能な移動台車63bと、移動台車63bを上下動させる昇降モータ63cとを備える。昇降モータ63cは筐体51の上部に設置され、昇降モータ63cの駆動力が動力伝達機構部63dを介して移動台車63bに伝達可能に構成されている。このため、昇降モータ63cが駆動すると、移動台車63bがレールRに沿って移動して、昇降基板63aを昇降させることができる。さらに、筺体51の幅方向両側にはレールRと平行に上下方向に延びる一対のガイドGが設けられ、レールRとガイドGとの間には、ガイドGに沿って移動可能なカウンターウェイト63eが設けられている。カウンターウェイト63eは、移動伝達機構部63dを介して伝達可能に構成されており、移動台車63bが上下方向に移動する際にバランスを取るために用いられる。
【0045】
昇降基板63aには、ハンド水平移動機構部60及びハンド上下機構部61を介してハンド53が設けられている。ハンド水平移動機構部60は、昇降基板63aの裏面に水平方向に延びて設けられた水平電動シリンダ60aと、水平電動シリンダ60aのスライダに一端部が接続されて下方へ延びるブラケット60bとを有してなる。このため、水平電動シリンダ60aのスライダが前後動するとブラケット60bを前後方向(
図4紙面の左右方向)に移動させることができる。
【0046】
ブラケット60bの先端側は上下方向に延在する上下電動シリンダ61aのボトム側に接続されている。この上下電動シリンダ61aはハンド上下機構部61の一部を構成し、上下電動シリンダ61aのロッド側端部は筐体51の幅方向両側に配置された一対のハンド53を連結支持する支持部材54に接続されている。このため、上下電動シリンダ61aが伸縮動するとハンド53を上下方向に移動させることができる。
【0047】
支持部材54は筐体51の幅方向に水平に延び、その両端部の夫々にはハンド機構部59を介して前後方向に間隔を有して配置された一対のハンド53が設けられている。ハンド53は、培養トレイ30の長手方向両側に設けられた一対の挟持孔部31の夫々に挿入されて開閉可能な一対の爪部53aを備える。一対の爪部53aは、上下方向に延びて対向して、支持部材54上に設置された開閉電動シリンダ59a及び開閉リンク機構部59bを介して開閉可能である。一対の爪部53aを備えるハンド53は、支持部材54の両端部に前後方向に間隔を有して2つ設けられている。すなわち、2つのハンド53で一対のハンド群を構成している。このため、培養トレイ30に設けられた4つの挟持孔部31の夫々に対応するハンド53の爪部53aが挿入されて培養トレイ30が挟持される。このため、培養トレイ30は四隅で挟持されて安定に保持される。
【0048】
一対のハンド53のうち前側のハンド53の爪部53aは後側のハンド53の爪部53aよりもより下方へ延びるように構成されている(
図5(b)参照)。これらの爪部53aの長さの差Lは、前側のハンド53の爪部53aによって培養槽20内に浮遊する培養トレイ30を押す際に、後側の爪部53aの下端部が培養槽20の側板部20bに接触しないような大きさを有する。なお、ハンド53は、培養トレイ30を機械的に保持するものに限るものではなく、エアーを利用した吸盤等でもよい。
【0049】
前述した水平電動シリンダ60a、上下電動シリンダ61a、開閉電動シリンダ59a、昇降モータ63cの作動はコントローラ67によって制御される。
【0050】
一対のハンド53の下方には、植物pの根部から滴る培養液cを受けるための養液受け35が配設されている。養液受け35は、水平方向に延びる底板部35aと、底板部35aの周縁部から屈曲して上方へ延びる側板部35bを有して皿状に形成されている。養液受け35は、昇降基板63aに接続された養液受け移動機構部66を介して前後方向に移動可能である。
【0051】
養液受け移動機構部66は、昇降基板63aの裏面に沿って延在する養液受け電動シリンダ66aと、養液受け電動シリンダ66aのスライダに一端部が接続されて下方へ延びて他端部が養液受けに接続されたブラケット66bとを有してなる。このため、養液受け電動シリンダ66aのスライダの前後動によって、ハンド53の下方の受け位置Puとハンド53から退避した退避位置との間で養液受け35を移動させることができる。
【0052】
筐体51内の下部には、筐体幅方向に延びるバケット57が延在している。バケット57は平面視において長方形状に形成されて、培養トレイ30を載置可能である。バケット57はバケット移動機構部65を介して筐体51の前後方向に移動可能であるとともに、バケット移動機構部65に対して着脱可能に設けられている。バケット移動機構部65は、バケット57の底部に接続されてバケット57を支持する台座部65aと台座部65aを筐体前後方向に移動させる第1バケット電動シリンダ65b及び第2バケット電動シリンダ65cとを有してなる。
【0053】
第1バケット電動シリンダ65b及び第2バケット電動シリンダ65cは、前後方向に向いて並設され、第1バケット電動シリンダ65bの全伸長時に第2バケット電動シリンダ65cが伸長するように構成されて、培養トレイ30を載置可能な載置位置Ps(
図11(j)参照)から培養トレイ30を搬出可能な搬出位置Pd(
図11(j)参照)まで台座部65aを搬送可能である。なお、電動シリンダを2本使用したのは、1本の電動シリンダのストロークが台座部65aの移動量よりも小さいためである。第1バケット電動シリンダ65b及び第2バケット電動シリンダ65cの伸縮作動はコントローラ67によって制御される。
【0054】
コントローラ67は、
図6に示すように、作動制御部67a、メモリ67b、ハンド開閉駆動部67c、ハンド上下駆動部67d、ハンド水平駆動部67e、ハンド昇降駆動部67f、第1バケット前後駆動部67g、第2バケット前後駆動部67hと、養液受け移動駆動部67iとを有してなる。コントローラ67には、収穫スイッチ72、搬出側戻しスイッチ74、供給スイッチ76、供給側戻しスイッチ77が電気的に接続されている。またコントローラ67には、開閉電動シリンダ59a、上下電動シリンダ61a、水平電動シリンダ60a、昇降モータ63c、第1バケット電動シリンダ65b、第2バケット電動シリンダ65c、養液受け電動シリンダ66aが電気的に接続されている。
【0055】
作動制御部67aは、収穫スイッチ72、搬出側戻しスイッチ74、供給スイッチ76、供給側戻しスイッチ77のいずれかがオン操作されると、オン操作されたスイッチに応じて予め設定されたハンド53の移動データに従ってハンド53が移動するように、ハンド開閉駆動部67c、ハンド上下駆動部67d、ハンド水平駆動部67e、ハンド昇降駆動部67f、第1バケット前後駆動部67g、第2バケット前後駆動部67h、養液受け移動駆動部67iを介してこれらに対応するシリンダ及びモータの作動を制御する。ハンド53、バケット57及び養液受け35の移動データは、メモリ67bに予め記憶されている。
【0056】
図7(a)は作業者が収穫期の植物pを収容した培養トレイ30を要求時の植物培養装置1の正面図であり、
図7(b)は搬出側搬送装置50aが培養トレイ30を取り出してパスボックス73aに搬送する際の植物培養装置1の正面図である。また
図8(c)は作業者がパスボックス73aから培養トレイ30を取り出す際の植物培養装置1の正面図で
あり、
図8(d)は作業者がバケット57をパスボックス73aに戻す際の植物培養装置1の正面図である。
図9(e)は搬出側搬送装置50aがバケット57を回収する状態を示した植物培養装置1の正面図であり、
図9(f)は供給側搬送装置50bが培養トレイ30を取り出した段の下段から培養トレイ30を移動させる状態を示した植物培養装置1の正面図である。10図(g)は搬出側搬送装置50aが幼苗期の段から培養トレイ30を取り出して上方の段に移動させる状態を示した植物培養装置1の正面図であり、
図10(h)は供給スイッチ76を押してバケット57をパスボックス73bに移動させる状態を示した植物培養装置1の正面図である。
図11(i)は作業者が苗を植えた培養トレイ30をパスボックス73bに置く作業を示した植物培養装置1の正面図であり、
図11(j)は供給側搬送装置50bがバケット57を移動させる状態を示した植物培養装置1の正面図である。
図12は、供給側搬送装置50bが培養トレイ30を栽培棚に供給する状態を示した植物培養装置1の正面図である。
【0057】
次に、搬出側搬送装置50a及び供給側搬送装置50bによって栽培棚10から植物pを収穫する場合について
図7から
図12を参照しながら説明する。先ず、
図7(a)に示すように、図示しない作業者が一方側の壁71aの外側に設けられた収穫スイッチ72をオン操作する。収穫スイッチ72がオン操作されると、植物pを取り出す側に配置された搬出側搬送装置50aが作動して、搬出側搬送装置50aのハンド53が最上段の生育空間23cの上下方向の幅の範囲内に移動し、生育空間23c内に移動して、収穫対象物の植物pが植えられた培養トレイ30を把持して上方へ持ち上げる。
【0058】
そして、
図7(b)に示すように、ハンド53は、培養トレイ30を培養槽20から取り出して筺体51内に移動させる。このとき、ハンド53の下方には養液受け35が位置している(
図5(b)参照)。このため、培養トレイ30に植えられた植物pの根部から滴る培養液cを養液受け35で受けることができ、培養液cの飛散を未然に防止することができる。そして、ハンド53は養液受け35がハンド53の下方に位置した状態のままで降下し、ハンド53がバケット57の上方の所定位置に移動すると、養液受け35がハンド53の下方から退避位置に移動してバケット57の上方が開放する。そしてハンド53はさらに降下して培養トレイ30をバケット57上に載置する。そして、バケット57はパスボックス73a側へ移動する。バケット57がパスボックス73aに接近すると、バケット57は一旦停止する。そして、パスボックス73aの内側に設けられた扉(図示せず)が開くと、バケット57がパスボックス73a内に移動し、その後、パスボックス73aの内側の扉が閉じる。なお、パスボックス73aの内側の扉は、パスボックス73aが内側の扉に近づくと自動で開閉するように構成されている。
【0059】
そして、
図8(c)に示すように、作業者がパスボックス73aの外側の扉(図示せず)を開けて、バケット57とともに培養トレイ30をパスボックス73aから取り出す。このように、培養トレイ30の搬出時にはパスボックス73aの内側の扉は閉じているので、栽培室70は閉じたままの空間になっている。また、培養トレイ30の搬出時には、バケット57とともに搬出するので、培養トレイ30に植えられた植物pから培養液cが栽培室70内に滴る虞もない。このため、栽培室70内の衛生環境を良い状態に維持することができる。
【0060】
次に、作業者は取り出したバケット57をパスボックス73aに戻すため、パスボックス73aの外側の扉を開いてバケット57をパスボックス73a内に入れる。そして、
図8(d)に示すように、作業者が外側の扉を閉じた後に、搬出側戻しスイッチ74をオン操作する。搬出側戻しスイッチ74がオン操作されると、
図9(e)に示すように、バケット57はバケット移動機構部65を介して載置位置に移動して回収される。
【0061】
そして、
図9(f)に示すように、供給側搬送装置50bによって、植物pが取り出された収穫期の段21cの下方の段(中間期の段21b)の培養槽20に浮遊する複数の培養トレイ30のうち供給側搬送装置50b側に最も近接した培養トレイ30を取り出して収穫期の段21cに移動させる。なお、培養トレイ30を収穫期の段21cに移動させる際には、前述したように、前後方向に配設された一対のハンド53のうちの前側のハンド53の爪部53aの長さは後側のハンド53の爪部53aの長さよりも長く形成されているので、前側のハンド53の爪部53aで収穫期の段21cに収容された培養トレイ30を押しているときに後側のハンド53の爪部53aが培養槽20に接触することはない。
【0062】
そして、
図10(g)に示すように、搬出側搬送装置50aによって、中間期の段21bの下方の段(幼苗期の段21a)の培養槽20に浮遊する複数の培養トレイ30のうち搬出側搬送装置50a側に最も近接した培養トレイ30を取り出して中間期の段21bに移動させる。そして、
図10(h)に示すように、作業者が他方側の壁71bの外側に設けられた供給スイッチ76をオン操作すると、供給側搬送装置50bのバケット移動機構部65が作動して、バケット57がパスボックス73b側へ移動する。バケット57がパスボックス73bに接近すると、バケット57は一旦停止する。そして、パスボックス73bの内側に設けられた扉が開くと、バケット57がパスボックス73b内に移動する。バケット57がパスボックス73b内に移動すると、内側の扉が閉じる。
【0063】
そして、
図11(i)に示すように、作業者がパスボックス73bの外側の扉を開けて、パスボックス73b内のバケット57上に培養トレイを載置する。そして、作業者はパスボックス73bの外側の扉を閉じる。そして、作業者は、
図11(j)に示すように、壁71bの外側に設けられた供給側戻しスイッチ77を押すと、パスボックス73bの内側の扉が開き、バケット移動機構部65を介してバケット57が載置位置Psに移動する。このように、培養トレイ30の搬入時には、パスボックス73bの内側の扉は閉じているので、栽培室70は閉じたままの空間になっている。また、培養トレイ30の搬入時には、バケット57とともに培養トレイ30が搬入されるので、培養トレイ30に植えられた植物pから培養液cが栽培室70内に滴る虞もない。このため、栽培室70内の衛生環境を良い状態に維持することができる。
【0064】
そして、
図12に示すように、供給側搬送装置50bによってバケット57上に載置された培養トレイ30を幼苗期の段21aの近傍位置に移動する。
【0065】
このように、植物培養装置1の搬出側搬送装置50a及び供給側搬送装置50bは、上下方向に配設された複数の培養槽20のいずれかに収容された培養トレイ30をハンド53によって取り出して他の培養槽20に搬入することができるので、上下方向に配設される複数の培養槽20を、植物の生育ステージに対応する複数の段にした場合、搬送装置によって複数の段のいずれかから取り出した培養トレイ30を他の段に搬入することができる。このため、培養トレイ30を複数の培養槽20のいずれかに収容して培養槽20の一端側から他端側へ日数をかけて移動させながら植物を成長させた後に、培養トレイ30を他の培養槽20に移して植物を成長させ、最後の培養槽20に培養トレイ30を移して植物を成長させて終着端で培養トレイ30を搬送装置によって搬出することができる。従って、植物が成長して収穫されるまでに培養トレイ30が移動する培養槽20を上下方向に複数段に配設することが可能になる。したがって、幼苗期など植物の高さが小さいステージ(段)の高さ方向のスペースを小さくすることができる。
【0066】
このため、植物を培養槽の一端側から他端側へ移動させながら成長させ、終着端において成熟した植物を収穫するように構成された植物培養装置と比較して、植物培養装置1の高さを抑えることができる。よって、植物培養装置1を限られた栽培室70内に設置する場合、植物培養装置1の栽培室70内への設置が容易となり、栽培室70内の空間を有効に利用することができる。
【0067】
以上、本発明の好ましい形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではない。例えば上述した実施形態を組み合わせても良く、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
【0068】
例えば、上述した実施形態では、栽培棚に培養槽を上下3段に設け、培養トレイを栽培棚の一端側から排出し他端側から搬入するように、栽培棚の両側に排出側搬送装置及び供給側搬送装置を設けた場合を例に説明したが、本発明の植物培養装置はこれに限定されるものではない。本発明の植物培養装置は、例えば、培養槽の数を偶数にして、培養トレイを栽培棚の一方側のみで一端側から培養トレイを排出し及び供給するようにしてもよい。このようにすると、搬送装置の内、片側の搬送装置の構造が簡単になり、植物培養装置をより小型化することができ、植物培養装置の栽培室内への設置がより容易となり、栽培室内の空間をさらに有効に利用することが可能になる。