(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0010】
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
【0011】
「室温」とは、25℃を意味する。
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはtert−ブチル基を表す。
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
【0012】
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×10
3〜1×10
8である重合体を意味する。
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×10
4以下の化合物を意味する。
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。
【0013】
「アルキル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜50であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜10である。アルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルオクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基、3−フェニルプロピル基、3−(4−メチルフェニル)プロピル基、3−(3,5−ジ−ヘキシルフェニル)プロピル基、及び6−エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは4〜10である。シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシル基及びメチルシクロヘキシル基が挙げられる。
「アルキレン基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1以上20以下であり、好ましくは1以上15以下であり、より好ましくは1以上10以下である。アルキレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基及びオクチレン基が挙げられる。
「シクロアルキレン基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3以上20以下である。シクロアルキレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシレン基が挙げられる。
【0014】
「芳香族炭化水素基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基を意味する。芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基を「アリール基」ともいう。芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基を「アリーレン基」ともいう。
芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
「芳香族炭化水素基」は、例えば、単環式の芳香族炭化水素(例えば、ベンゼンが挙げられる。)、又は、多環式の芳香族炭化水素(例えば、ナフタレン及びインデン等の2環式の芳香族炭化水素;アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン及びフルオレン等の3環式の芳香族炭化水素;ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、ピレン及びフルオランテン等の4環式の芳香族炭化水素;ジベンゾアントラセン、ジベンゾフェナントレン、ジベンゾフルオレン、ペリレン及びベンゾフルオランテン等の5環式の芳香族炭化水素;スピロビフルオレン等の6環式の芳香族炭化水素;並びに、ベンゾスピロビフルオレン及びアセナフトフルオランテン等の7環式の芳香族炭化水素が挙げられる。)から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基が挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよい。芳香族炭化水素基は、これらの基が複数結合した基を含む。
【0015】
「アルコキシ基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜40であり、好ましくは1〜10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、及びラウリルオキシ基が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜48である。アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、及びピレニルオキシ基が挙げられる。
【0016】
「複素環基」とは、複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基を意味する。複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基である「芳香族複素環基」が好ましい。複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子p個(pは、1以上の整数を表す。)を除いた基を「p価の複素環基」ともいう。芳香族複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子p個を除いた基を「p価の芳香族複素環基」ともいう。
「芳香族複素環式化合物」としては、例えば、アゾール、チオフェン、フラン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン及びカルバゾール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、並びに、フェノキサジン、フェノチアジン及びベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物が挙げられる。
複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜60であり、好ましくは2〜40であり、より好ましくは3〜20である。複素環基のヘテロ原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜30であり、好ましくは、1〜10であり、より好ましくは1〜3である。
複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、単環式の複素環式化合物(例えば、フラン、チオフェン、オキサジアゾール、ピロール、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ジアザベンゼン及びトリアジンが挙げられる。)、又は、多環式の複素環式化合物(例えば、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンゾジアゾール及びベンゾチアジアゾール等の2環式の複素環式化合物;ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ジベンゾホスホール、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10−ジヒドロアクリジン、5,10−ジヒドロフェナジン、フェナザボリン、フェノホスファジン、フェノセレナジン、フェナザシリン、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン及びジアザフェナントレン等の3環式の複素環式化合物;ヘキサアザトリフェニレン、ベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン及びベンゾナフトチオフェン等の4環式の複素環式化合物;ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール及びインデノカルバゾール等の5環式の複素環式化合物;カルバゾロカルバゾール、ベンゾインドロカルバゾール及びベンゾインデノカルバゾール等の6環式の複素環式化合物;並びに、ジベンゾインドロカルバゾール等の7環式の複素環式化合物が挙げられる。)から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基が挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよい。複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。
【0017】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
【0018】
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基(即ち、第2級アミノ基又は第3級アミノ基であり、好ましくは、第3級アミノ基である。)が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましい。アミノ基が有する置換基が複数存在する場合、それらは同一で異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基及びジアリールアミノ基が挙げられる。
アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(メチルフェニル)アミノ基、及びビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
【0019】
「アルケニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜30であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルケニル基及びシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0020】
「アルキニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2〜20であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルキニル基及びシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、及び、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0021】
「架橋基」とは、加熱、紫外線照射、近紫外線照射、可視光照射、赤外線照射、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基であり、好ましくは、式(B−1)〜式(B−17)のいずれかで表される基である。これらの基は、置換基を有していてもよい。
【0023】
「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基及びシクロアルキニル基が挙げられる。置換基は架橋基であってもよい。なお、置換基が複数存在する場合、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよいが、環を形成しないことが好ましい。
【0024】
「アルミニウム原子の量」は、ICP/MS法(誘導結合プラズマ質量分析法)により測定することができる。即ち、「アルミニウム原子の量」とは、ICP/MS法により測定した際のアルミニウム原子の質量濃度を意味する。また、「アルミニウム原子の量」が「0質量ppb」とは、ICP/MS法により測定した際に、アルミニウム原子の質量濃度が検出限界以下であることを意味する。
【0025】
本実施形態の発光素子用組成物において、ホスト材料は、ゲスト材料と、物理的、化学的又は電気的に相互作用する材料を意味する。この相互作用により、例えば、本実施形態の発光素子用組成物の発光特性、電荷輸送特性又は電荷注入特性を向上又は調整することが可能となる。
本実施形態の発光素子用組成物において、発光材料を一例として説明すれば、ホスト材料とゲスト材料とが電気的に相互作用し、ホスト材料からゲスト材料へ効率的に電気エネルギーを渡すことで、ゲスト材料をより効率的に発光させることができる。
【0026】
<ホスト材料>
ホスト材料は、ベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格を有する芳香族化合物を含む。ベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格を有する芳香族化合物は、化合物中に、ベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。また、ベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格を有する芳香族化合物は、化合物中に、ベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格を1個のみ含んでいてもよく、2個以上含んでいてもよい。以下、ホスト材料に含まれるベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格を有する芳香族化合物を、「ホスト材料用芳香族化合物」と称する場合がある。
【0027】
ホスト材料用芳香族化合物が有する縮合環骨格において、縮合しているベンゼン環の個数は、通常、3〜10個であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは3個〜7個であり、より好ましくは3個〜5個であり、更に好ましくは3個又は4個である。
ホスト材料用芳香族化合物が有する縮合環骨格は、ベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環の炭素骨格、ということもできる。縮合環骨格は、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくはアントラセン骨格、フェナントレン骨格、ベンゾアントラセン骨格、ベンゾフェナントレン骨格又はピレン骨格であり、より好ましくはアントラセン骨格、ベンゾアントラセン骨格又はピレン骨格であり、更に好ましくはアントラセン骨格である。
【0028】
ホスト材料用芳香族化合物は、ベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格を有する芳香族炭化水素(以下、「縮合環含有芳香族炭化水素」ともいう。)であってよく、当該芳香族炭化水素は置換基を有していてもよい。縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基としては、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、アリール基又は1価の複素環基であり、特に好ましくは、アリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基において、アリール基は、好ましくは、単環式又は2環式〜6環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、より好ましくは、単環式又は2環式〜4環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン又はベンゾフルオレンから、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、特に好ましくは、フェニル基又はナフチル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基において、1価の複素環基は、好ましくは、単環式又は2環式〜6環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、より好ましくは、単環式又は2環式〜4環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、ベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン又はベンゾナフトチオフェンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基であるアリール基の例及び好ましい範囲は、縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基におけるアリール基の例及び好ましい範囲と同じである。アミノ基が有する置換基である1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基における1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0029】
縮合環含有芳香族炭化水素は、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、置換基を有することが好ましい。縮合環含有芳香族炭化水素が置換基を有する場合、縮合環含有芳香族炭化水素が有する置換基の合計の個数は、通常、1個〜20個(但し、縮合環含有芳香族炭化水素が有する水素原子の合計個数以下であり、以下、同様である。)であり、ホスト材料の合成が容易であるので、好ましくは1個〜15個であり、より好ましくは1個〜10個であり、更に好ましくは1個〜7個であり、特に好ましくは1個〜5個であり、とりわけ好ましくは1〜3個である。
【0030】
縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、更に置換基を有さないことが好ましい。
縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0031】
ホスト材料は、ホスト材料用芳香族化合物以外の化合物を更に含有していてもよいが、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、ホスト材料用芳香族化合物を主成分とすることが好ましい。ホスト材料に占めるホスト材料用芳香族化合物の含有割合は、例えば、10質量%以上であってよく、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましく、95質量%以上がとりわけ好ましく、100質量%であってもよい。
ホスト材料は、ホスト材料用芳香族化合物を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。ホスト材料が、ホスト材料用芳香族化合物以外の化合物を更に含有する場合、ホスト材料は、ホスト材料用芳香族化合物以外の化合物を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
【0032】
ホスト材料用芳香族化合物は高分子化合物(以下、「高分子ホスト材料」ともいう。)であっても、低分子化合物(以下、「低分子ホスト材料」ともいう。)であってもよく、低分子ホスト材料が好ましい。
【0033】
(低分子ホスト材料)
低分子ホスト材料の分子量は、通常、1×10
2〜1×10
4であり、好ましくは、2×10
2〜5×10
3であり、より好ましくは3×10
2〜2×10
3であり、更に好ましくは4×10
2〜1×10
3である。
低分子ホスト材料中に含まれるベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格の合計の個数は、通常、1個〜10個であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは1〜7個であり、より好ましくは1個〜5個であり、更に好ましくは1個〜3個であり、特に好ましくは1個である。
低分子ホスト材料は、ベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよいが、低分子ホスト材料の合成が容易であるので、好ましくは1種〜5種であり、より好ましくは1種〜3種であり、更に好ましくは1種である。
本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、低分子ホスト材料は、ベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格を、ベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格を有する芳香族炭化水素から、縮合環骨格を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基(以下、「縮合環含有芳香族炭化水素基」ともいう。)として含むことが好ましく、この基は置換基を有していてもよい。
低分子ホスト材料中に含まれる縮合環含有芳香族炭化水素基の合計の個数は、通常、1個〜10個であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは1個〜7個であり、より好ましくは1個〜5個であり、更に好ましくは1個〜3個であり、特に好ましくは1個である。
低分子ホスト材料は、縮合環含有芳香族炭化水素基を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよいが、低分子ホスト材料の合成が容易であるので、好ましくは1種〜5種であり、より好ましくは1種〜3種であり、更に好ましくは1種である。
低分子ホスト材料において、縮合環含有芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0034】
[式(FH)で表される化合物]
低分子ホスト材料は、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、式(FH)で表される化合物であることが好ましい。
【0035】
n
1Hは、通常、10以下の整数であり、式(FH)で表される化合物の合成が容易であるので、好ましくは7以下の整数であり、より好ましくは5以下の整数であり、更に好ましくは3以下の整数である。また、n
1Hは、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、1以上の整数であることが好ましい。
【0036】
Ar
1Hにおいて、縮合環含有芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基は、アリール基及び1価の複素環基以外の置換基であり、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
縮合環含有芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基における置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基における置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
縮合環含有芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0037】
R
1Hは、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは、置換基を有していてもよいアリール基である。
R
1Hにおけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
R
1Hが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0038】
低分子ホスト材料としては、下記式で表される化合物、実施例に記載の化合物が例示される。これらの化合物は、置換基を有していてもよい。なお、式中、Z
1は、酸素原子又は硫黄原子を表す。Z
1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0041】
(高分子ホスト材料)
高分子ホスト材料のポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは5×10
3〜1×10
6であり、より好ましくは1×10
4〜5×10
5であり、更に好ましくは2×10
4〜2×10
5である。高分子ホスト材料のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1×10
4〜2×10
6であり、より好ましくは2×10
4〜1×10
6であり、更に好ましくは5×10
4〜5×10
5である。
高分子ホスト材料は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合した共重合体であることが好ましい。
高分子ホスト材料は、ベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格を、ベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格を有する芳香族炭化水素から、縮合環骨格を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基(縮合環含有芳香族炭化水素基)として含むことが好ましく、この基は置換基を有していてもよい。
高分子ホスト材料は、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、高分子化合物の主鎖中に、縮合環含有芳香族炭化水素基を含むことが好ましく、高分子化合物の主鎖中に、ベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格を有する芳香族炭化水素から、当該縮合環骨格を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基(2価の縮合環含有芳香族炭化水素基)を含むことがより好ましい。この基は置換基を有していてもよい。
高分子ホスト材料において、縮合環含有芳香族炭化水素基は、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、式(FH)で表される化合物から水素原子1個以上(好ましくは5個以下であり、より好ましくは1個〜3個であり、更に好ましくは2個)を除いた基であることが好ましい。
高分子ホスト材料において、高分子化合物中に含まれる縮合環含有芳香族炭化水素基の含有量は、高分子化合物中に含まれる全構成単位の合計含有量に対して、通常、0.1モル%〜100モル%であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは、1モル%〜100モル%であり、より好ましくは、10モル%〜100モル%であり、更に好ましくは30モル%〜100モル%である。
高分子ホスト材料は、縮合環含有芳香族炭化水素基を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよいが、高分子ホスト材料の合成が容易であるので、好ましくは1種〜5種であり、より好ましくは1種〜3種であり、更に好ましくは1種である。
高分子ホスト材料において、縮合環含有芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0042】
高分子ホスト材料は、高分子化合物中に、縮合環含有芳香族炭化水素基以外の構成単位を含んでいてもよく、高分子化合物の主鎖中に、縮合環含有芳香族炭化水素基以外の構成単位を含むことが好ましい。
縮合環含有芳香族炭化水素基以外の構成単位としては、例えば、縮合環含有芳香族炭化水素基以外の芳香族炭化水素基(好ましくはアリーレン基)、複素環基(好ましくは2価の複素環基)及び芳香族アミン化合物から水素原子1個以上を除いた基(好ましくは水素原子2個を除いた基)が挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよい。この置換基の例及び好ましい範囲は、縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
高分子ホスト材料において、高分子化合物中に含まれる、縮合環含有芳香族炭化水素基、縮合環含有芳香族炭化水素基以外の芳香族炭化水素基、複素環基及び芳香族アミン化合物から水素原子1個以上を除いた基の合計含有量は、高分子化合物中に含まれる全構成単位の合計含有量に対して、通常、1モル%〜100モル%であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは、50モル%〜100モル%であり、より好ましくは、70モル%〜100モル%である。
高分子ホスト材料は、高分子化合物中に、縮合環含有芳香族炭化水素基以外の構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0043】
<ゲスト材料>
芳香族アミン化合物とは、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基に、アミノ基及び置換アミノ基のうちの少なくとも1つが置換した骨格(以下、「芳香族アミン骨格」ともいう。)を含む化合物を意味する。芳香族アミン骨格は、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基に、置換アミノ基が1つ以上置換した骨格であることが好ましく、芳香族炭化水素基に、置換アミノ基が1つ以上置換した骨格であることがより好ましい。
芳香族アミン化合物における置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基における置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0044】
芳香族アミン化合物は、化合物中に、置換アミノ基を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。また、芳香族アミン化合物は、化合物中に、アミノ基及び置換アミノ基のうちのいずれか一方のみを含んでいてもよく、それぞれ1個のみを含んでいてもよく、それぞれ2個以上を含んでいてもよい。
芳香族アミン化合物は、化合物中に、芳香族アミン骨格を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。また、芳香族アミン化合物は、化合物中に、芳香族アミン骨格を1個のみ含んでいてもよく、2個以上含んでいてもよい。
【0045】
芳香族アミン骨格において、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基に置換された、アミノ基の個数は、通常、0個〜10個であり、好ましくは、0個〜5個であり、より好ましくは、0個〜3個であり、更に好ましくは、0個である。
芳香族アミン骨格において、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基に置換された、置換アミノ基の個数は、通常、1個〜10個であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは、1個〜7個であり、より好ましくは、1個〜5個であり、更に好ましくは、1個〜3個である。
芳香族アミン骨格において、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基に置換された、アミノ基及び置換アミノ基の合計の個数は、通常、1個〜10個であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは、1個〜7個であり、より好ましくは、1個〜5個であり、更に好ましくは、1個〜3個である。
芳香族アミン化合物において、芳香族炭化水素基としては、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは、単環式又は2環式〜6環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、より好ましくは、3環式〜5環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、更に好ましくは、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン又はピレンから、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン又はピレンから、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
芳香族アミン化合物において、芳香族複素環基としては、例えば、前述の複素環基の項で例示した複素環式化合物の中で、単環式又は2環式〜7環式の芳香族複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基が挙げられ、好ましくは、単環式又は2環式〜6環式の芳香族複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、より好ましくは、3環式〜5環式の芳香族複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、更に好ましくは、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン、ジアザフェナントレン、ベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン又はベンゾナフトチオフェンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
芳香族アミン化合物において、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基は、アミノ基及び置換アミノ基以外の置換基であり、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
芳香族アミン化合物において、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ベンゼン環のみが3個以上縮合した芳香族炭化水素が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
芳香族アミン化合物において、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、ベンゼン環のみが3個以上縮合した芳香族炭化水素が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0046】
ゲスト材料は、芳香族アミン化合物以外の化合物を更に含有していてもよいが、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、芳香族アミン化合物を主成分とすることが好ましい。ゲスト材料に占める芳香族アミン化合物の含有割合は、例えば、10質量%以上であってよく、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましく、95質量%以上がとりわけ好ましく、100質量%であってもよい。
ゲスト材料は、芳香族アミン化合物を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。ゲスト材料が、芳香族アミン化合物以外の化合物を更に含有する場合、ゲスト材料は、芳香族アミン化合物以外の化合物を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
【0047】
芳香族アミン化合物は高分子化合物(以下、「高分子ゲスト材料」ともいう。)であっても、低分子化合物(以下、「低分子ゲスト材料」ともいう。)であってもよく、低分子ゲスト材料が好ましい。
【0048】
(低分子ゲスト材料)
低分子ゲスト材料の分子量は、通常、1×10
2〜1×10
4であり、好ましくは、2×10
2〜5×10
3であり、より好ましくは3×10
2〜2×10
3であり、更に好ましくは4×10
2〜1×10
3である。
低分子ゲスト材料に含まれるアミノ基及び置換アミノ基の合計の個数は、通常、1個〜20個であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは1個〜15個であり、より好ましくは1個〜10個であり、更に好ましくは1個〜5個であり、特に好ましくは1個〜3個である。
低分子ゲスト材料に含まれるアミノ基の合計の個数は、通常、0個〜10個であり、好ましくは0個〜5個であり、より好ましくは0個〜3個であり、更に好ましくは0個である。
低分子ゲスト材料に含まれる置換アミノ基の合計の個数は、通常、1個〜20個であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは1個〜15個であり、より好ましくは1個〜10個であり、更に好ましくは1個〜5個であり、特に好ましくは1個〜3個である。
低分子ゲスト材料は、置換アミノ基を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよいが、低分子ホスト材料の合成が容易であるので、好ましくは1種〜10種であり、より好ましくは1種〜5種であり、更に好ましくは1種〜3種であり、特に好ましくは1種である。
低分子ゲスト材料に含まれる芳香族アミン骨格の合計の個数は、通常、1個〜10個であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは1個〜7個であり、より好ましくは1個〜5個であり、更に好ましくは1個〜3個であり、特に好ましくは1個である。
低分子ゲスト材料は、芳香族アミン骨格を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよいが、低分子ホスト材料の合成が容易であるので、好ましくは1種〜5種であり、より好ましくは1種〜3種であり、更に好ましくは1種である。
【0049】
[式(FB)で表される化合物]
低分子ゲスト材料は、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、式(FB)で表される化合物であることが好ましい。
【0050】
n
1Bは、通常、1以上10以下の整数であり、式(FB)で表される化合物の合成が容易であるので、好ましくは、1以上7以下の整数であり、より好ましくは1以上5以下の整数であり、更に好ましくは、1以上3以下の整数である。
【0051】
Ar
1Bは、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。
Ar
1Bにおける芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、芳香族アミン化合物における芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar
1Bが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、芳香族アミン化合物における芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0052】
R
1Bは、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは、置換アミノ基であり、この基は更に置換基を有していてもよい。
R
1Bにおける置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、芳香族アミン化合物における置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
R
1Bが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、芳香族アミン化合物における芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0053】
低分子ゲスト材料としては、下記式で表される化合物、実施例に記載の化合物が例示される。これらの化合物は、置換基を有していてもよい。なお、式中、Z
1は、前記と同じ意味を表す。
【0056】
(高分子ゲスト材料)
高分子ゲスト材料のポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量の好ましい範囲は、それぞれ、高分子ホスト材料のポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量の好ましい範囲と同じである。
高分子ゲスト材料は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合した共重合体であることが好ましい。
高分子ゲスト材料は、芳香族アミン骨格からなる構成単位を含む高分子化合物ということができる。高分子ゲスト材料は、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、高分子化合物の主鎖中に、芳香族アミン骨格を含むことが好ましい。
高分子ゲスト材料において、芳香族アミン骨格は、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、式(FB)で表される化合物から水素原子1個以上(好ましくは5個以下であり、より好ましくは1個〜3個であり、更に好ましくは2個)を除いた基であることが好ましい。
高分子ゲスト材料において、高分子化合物中に含まれる芳香族アミン骨格の含有量は、高分子化合物中に含まれる全構成単位の合計含有量に対して、通常、0.1モル%〜100モル%であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは、1モル%〜100モル%であり、より好ましくは、5モル%〜100モル%であり、更に好ましくは10モル%〜100モル%である。
高分子ゲスト材料において、高分子化合物中に、芳香族アミン骨格を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよいが、高分子ゲスト材料の合成が容易であるので、好ましくは1種〜5種であり、より好ましくは1種〜3種であり、更に好ましくは1種である。
高分子ゲスト材料において、芳香族アミン骨格が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、芳香族アミン化合物における芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0057】
高分子ゲスト材料において、高分子化合物中に、芳香族アミン骨格以外の構成単位を含んでいてもよく、高分子化合物の主鎖中に、芳香族アミン骨格以外の構成単位を含むことが好ましい。
芳香族アミン骨格以外の構成単位としては、例えば、芳香族炭化水素基(好ましくはアリーレン基)及び複素環基(好ましくは2価の複素環基)が挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよい。この置換基の例及び好ましい範囲は、縮合環含有芳香族炭化水素が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
高分子ゲスト材料において、高分子化合物中に含まれる、芳香族アミン骨格、芳香族炭化水素基及び複素環基の合計含有量は、高分子化合物中に含まれる全構成単位の合計含有量に対して、通常、1〜100モル%であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは、50〜100モル%であり、より好ましくは、70〜100モル%である。
高分子ゲスト材料において、高分子化合物中に、芳香族アミン骨格以外の構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0058】
<ゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の量(C
1)>
本実施形態の発光素子用組成物において、ゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の量(C
1)は、ゲスト材料の全量に対して、通常、0質量ppb以上33000質量ppb以下である。なお、「ゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の量」という文言は、ゲスト材料がアルミニウム原子を含んでいることを意図するものではなく、ゲスト材料はアルミニウム原子を含んでいても含んでいなくてもよい。本実施形態のゲスト材料において、アルミニウム原子の量は、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは3300質量ppb以下であり、より好ましくは330質量ppb以下であり、更に好ましくは315質量ppb以下であり、特に好ましくは300質量ppb以下であり、とりわけ好ましくは250質量ppb以下であり、とりわけより好ましくは200質量ppb以下であり、とりわけ更に好ましくは150質量ppb以下であり、とりわけ特に好ましくは110質量ppb以下である。また、本実施形態のゲスト材料において、アルミニウム原子の量は、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは0.01質量ppb以上であり、より好ましくは0.1質量ppb以上であり、更に好ましくは0.5質量ppb以上であり、特に好ましくは1質量ppb以上であり、とりわけ好ましくは3質量ppb以上であり、とりわけより好ましくは5質量ppb以上であり、とりわけ更に好ましくは7質量ppb以上であり、とりわけ特に好ましくは10質量ppb以上である。
【0059】
本実施形態のゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の量(C
1)は、本実施形態のゲスト材料が1種類である場合、その1種類のゲスト材料のアルミニウム原子の量がC
1となり、本実施形態のゲスト材料がアルミニウム原子の量が異なる複数種類の化合物から構成される場合には、その複数種類の化合物のアルミニウム原子の量と各化合物の質量比に応じてC
1が算出される。C
1の具体的な算出方法を後述の比較例CD1及び実施例D1を用いて、説明する。
【0060】
まず、比較例CD1では、ICP/MS法により測定した化合物EM2のアルミニウム原子の量は10質量ppbであるため、C
1は10質量ppbである。
【0061】
次に、実施例D1では、ICP/MS法により測定した化合物EM1及び化合物EM2のアルミニウム原子の量は、それぞれ、330質量ppb及び10質量ppbである。また、化合物EM1と化合物EM2との質量比は、化合物EM1:化合物EM2=1:9である。
よって、実施例D1におけるC
1は、化合物EM1及び化合物EM2に含まれるアルミニウム原子の量及びその仕込みの量から求めることができ、以下のとおり求められる。
C
1={330×1/(1+9)}+{10×9/(1+9)}=42質量ppb
【0062】
同様にして、実施例D4におけるC
1は10質量ppbである。
【0063】
<ホスト材料に含まれるアルミニウム原子の量(C
H)>
本実施形態の発光素子用組成物において、ホスト材料に含まれるアルミニウム原子の量(C
H)は、ホスト材料の全量に対して、通常、0質量ppb以上130000質量ppb以下である。なお、「ホスト材料に含まれるアルミニウム原子の量」という文言は、ホスト材料がアルミニウム原子を含んでいることを意図するものではなく、ホスト材料はアルミニウム原子を含んでいても含んでいなくてもよい。本実施形態のホスト材料において、アルミニウム原子の量は、好ましくは100000質量ppb以下であり、より好ましくは50000質量ppb以下であり、更に好ましくは13000質量ppb以下であり、特に好ましくは10000質量ppb以下であり、とりわけ好ましくは7500質量ppb以下であり、とりわけより好ましくは5000質量ppb以下であり、とりわけ更に好ましくは2500質量ppb以下であり、とりわけ特に好ましくは1300質量ppb以下である。また、本実施形態のホスト材料において、アルミニウム原子の量は、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは0.01質量ppb以上であり、より好ましくは0.1質量ppb以上であり、更に好ましくは0.5質量ppb以上であり、特に好ましくは1質量ppb以上であり、とりわけ好ましくは5質量ppb以上であり、とりわけより好ましくは10質量ppb以上であり、とりわけ更に好ましくは20質量ppb以上であり、とりわけ特に好ましくは24質量ppb以上である。
【0064】
C
Hの具体的な算出方法は、前述のC
1の具体的な算出方法と同様にして求めることができる。
例えば、比較例CD1における、C
Hは24質量ppbである。実施例D1における、C
Hは24質量ppbである。実施例D4における、C
Hは88質量ppbである。
【0065】
<C
1及びC
Hの低減方法>
C
1及びC
Hの低減方法としては、例えば、精製が挙げられる。
精製としては、第4版実験化学講座(1993年、丸善)、第5版実験化学講座(2007年、丸善)、新実験化学講座(1975年、丸善)、有機化学実験のてびき(1988年、化学同人)等に記載の公知の精製方法が挙げられる。
【0066】
精製としては、例えば、昇華、抽出、再沈殿、再結晶、クロマトグラフィー及び吸着が挙げられる。
低分子ゲスト材料及び低分子ホスト材料の精製としては、アルミニウム原子の量をより低減できるので、好ましくは、昇華、再結晶、クロマトグラフィー又は吸着であり、より好ましくは昇華又は再結晶であり、更に好ましくは昇華である。
高分子ゲスト材料及び高分子ホスト材料の精製としては、アルミニウム原子の量をより低減できるので、好ましくは、再沈殿、クロマトグラフィー又は吸着である。
精製を2回以上行う場合、それらの方法は、同一でも異なっていてもよい。
【0067】
昇華において、真空度及び昇華温度は、昇華する材料に合わせて、適宜、設定すればよい。真空度は、好ましくは1×10
−10Pa〜1×10
5Paであり、より好ましくは1×10
−7Pa〜1×10
2Paであり、更に好ましくは1×10
−5Pa〜1Paであり、特に好ましくは1×10
−4Pa〜1×10
−2Paである。また、昇華温度は、好ましくは−100℃〜1000℃であり、より好ましくは0℃〜700℃であり、更に好ましくは100℃〜500℃であり、特に好ましくは200℃〜350℃である。
【0068】
抽出としては、好ましくは、分液、又は、ソックスレー抽出器による固液抽出である。
【0069】
抽出に用いる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジグライム等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ヘキサン、デカリン、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;アセトン、ジメチルスルホキシド、水が挙げられる。溶媒は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0070】
クロマトグラフィーとしては、好ましくはカラムクロマトグラフィーである。
カラムクロマトグラフィーに用いる充填剤としては、シリカゲル又はアルミナが好ましい。
クロマトグラフィーに用いる溶媒の例は、抽出に用いる溶媒の例と同じである。
【0071】
再沈殿及び再結晶に用いる溶媒の例は、抽出に用いる溶媒の例と同じである。
【0072】
吸着としては、吸着剤による処理が好ましい。また、吸着剤としては、好ましくは、活性炭、シリカゲル、アルミナ又はセライトである。
吸着剤による処理は、通常、溶媒中で行う。吸着剤による処理に用いる溶媒の例は、抽出に用いる溶媒の例と同じである。
【0073】
<発光素子用組成物>
本実施形態の発光素子用組成物は、ホスト材料とゲスト材料とを含有する。
本実施形態の発光素子用組成物において、ホスト材料及びゲスト材料は、それぞれ、1種のみを含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
本実施形態の発光素子用組成物において、ホスト材料の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は、ゲスト材料の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長よりも短波長であることが好ましい。
本実施形態の発光素子用組成物において、ホスト材料の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は、好ましくは300nm以上500nm以下であり、より好ましくは330nm以上480nm以下であり、更に好ましくは360nm以上460nm以下である。
本実施形態の発光素子用組成物において、ゲスト材料の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は、好ましくは380nm以上500nm以下であり、より好ましくは400nm以上490nm以下であり、更に好ましくは430nm以上480nm以下である。
ホスト材料及びゲスト材料の発光スペクトルの最大ピーク波長は、測定対象物を、キシレン、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解させ、希薄溶液を調製し(1×10
-6質量%〜1×10
-3質量%)、該希薄溶液のPLスペクトルを室温で測定することで評価することができる。測定対象物を溶解させる有機溶媒としては、トルエン又はキシレンが好ましい。
【0074】
本実施形態の発光素子用組成物において、ホスト材料に含まれるアルミニウム原子及びゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の総量は、ホスト材料及びゲスト材料の総量に対して、24質量ppb以上1200質量ppb以下であり、本実施形態の発光素子の長期劣化が抑制されるので、好ましくは24質量ppb以上1190質量ppb以下であり、より好ましくは25質量ppb以上1180質量ppb以下であり、更に好ましくは25質量ppb以上1175質量ppb以下である。また、本実施形態の発光素子の長期劣化を調整できるので、本実施形態の発光素子用組成物において、ホスト材料に含まれるアルミニウム原子及びゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の総量は、ホスト材料及びゲスト材料の総量に対して、好ましくは24質量ppb以上1190質量ppb以下であり、より好ましくは25質量ppb以上1180質量ppb以下であり、更に好ましくは25質量ppb以上1175質量ppb以下であり、特に好ましくは35質量ppb以上1150質量ppb以下であり、とりわけ好ましくは45質量ppb以上1100質量ppb以下であり、とりわけより好ましくは50質量ppb以上1050質量ppb以下であり、とりわけ更に好ましくは65質量ppb以上1000質量ppb以下であり、とりわけ特に好ましくは75質量ppb以上950質量ppb以下である。
【0075】
本実施形態において、発光素子の長期劣化が抑制される理由は以下のとおり考えられる。
本実施形態の発光素子用組成物にホスト材料として含まれる芳香族化合物は、ベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格を有している。本発明者らは、このような縮合環骨格は、ゲスト化合物に含まれる芳香族アミン化合物と、電気的に相互作用すると考えている。一方、本発明者らは、本実施形態の発光素子用組成物にゲスト材料として含まれる芳香族アミン化合物は、ホスト材料として含まれる芳香族化合物と、電気的に相互作用すると考えている。
そして、本発明者らは、本実施形態の発光素子用組成物において、ホスト材料に含まれるアルミニウム原子及びゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の総量が所定の上限量を超えると、上述の相互作用に対して、アルミニウム原子が悪影響を与え、その結果、本実施形態の発光素子用組成物の発光特性、電荷輸送特性若しくは電荷注入特性の低下を招いたり、又は、本実施形態の発光素子の電荷のバランスを崩したりするため、本実施形態の発光素子の長期的な劣化が促進されると考えている。
その一方、本発明者らは、本実施形態の発光素子用組成物において、ホスト材料に含まれるアルミニウム原子及びゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の総量が所定の下限量以上であると、アルミニウム原子が上述の相互作用を強め、その結果、本実施形態の発光素子用組成物の発光特性、電荷輸送特性若しくは電荷注入特性を改善したり、又は、本実施形態の発光素子の電荷のバランスを改善したりするため、本実施形態の発光素子の長期的な劣化が抑制されると考えている。
したがって、本発明者らは、上記の考えに基づき、本実施形態では、ホスト材料に含まれるアルミニウム原子及びゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の総量が所定量であることで、発光素子の長期劣化の抑制という効果が得られると考えている。
【0076】
ホスト材料に含まれるアルミニウム原子及びゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の総量(質量ppb)は、ホスト材料とゲスト材料との合計質量に対する、ホスト材料の質量の比をW
H、ホスト材料とゲスト材料との合計質量に対する、ゲスト材料の質量の比をW
1としたとき、C
HW
H+C
1W
1で表される。
W
Hは、通常、0.01〜0.9999であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、0.30〜0.999であることが好ましく、0.50〜0.995であることがより好ましく、0.70〜0.99であることが更に好ましく、0.85〜0.95であることが特に好ましい。
W
1は、通常、0.0001〜0.99であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、0.001〜0.70であることが好ましく、0.005〜0.50であることがより好ましく、0.01〜0.30であることが更に好ましく、0.05〜0.15であることが特に好ましい。
【0077】
W
H及びW
1の具体的な算出方法を後述の比較例CD1及び実施例D1を用いて、説明する。
【0078】
まず、比較例CD1では、化合物H2(ホスト材料)と化合物EM2(ゲスト材料)との質量比は、化合物H2:化合物EM2=90:10である。
よって、比較例CD1におけるW
H及びW
1は、仕込みの量から求めることができ、以下のとおり求められる。
W
H=90/(90+10)=0.90
W
1=10/(90+10)=0.10
【0079】
実施例D1では、化合物H2と化合物EM1と化合物EM2との質量比は、化合物H2:化合物EM1:化合物EM2=90:1:9である。
よって、実施例D1におけるW
H及びW
1は、仕込みの量から求めることができ、以下のとおり求められる。
W
H=90/(90+1+9)=0.90
W
1=(1+9)/(90+1+9)=0.10
【0080】
同様にして、実施例D4におけるW
H及びW
1は、以下のとおり求められる。
W
H=(4.5+85.5)/(4.5+85.5+10)=0.90
W
1=10/(4.5+85.5+10)=0.10
【0081】
上述のとおり、C
1、C
H、W
1及びW
Hを算出することにより、C
HW
H+C
1W
1を算出することができる。
【0082】
例えば、比較例CD1におけるC
HW
H+C
1W
1は、以下のとおり求められる。
C
HW
H+C
1W
1=(24×0.90)+(10×0.10)=23質量ppb
【0083】
例えば、実施例D1におけるC
HW
H+C
1W
1は、以下のとおり求められる。
C
HW
H+C
1W
1=(24×0.90)+(42×0.10)=26質量ppb
【0084】
例えば、実施例D4におけるC
HW
H+C
1W
1は、以下のとおり求められる。
C
HW
H+C
1W
1=(88×0.90)+(10×0.10)=80質量ppb
【0085】
C
HW
H+C
1W
1は、通常、24質量ppb以上1200質量ppb以下であり、本実施形態の発光素子の長期劣化が抑制されるので、好ましくは24質量ppb以上1190質量ppb以下であり、より好ましくは25質量ppb以上1180質量ppb以下であり、更に好ましくは25質量ppb以上1175質量ppb以下である。また、C
HW
H+C
1W
1は、本実施形態の発光素子の長期劣化を調整できるので、好ましくは24質量ppb以上1190質量ppb以下であり、より好ましくは25質量ppb以上1180質量ppb以下であり、更に好ましくは25質量ppb以上1175質量ppb以下であり、特に好ましくは35質量ppb以上1150質量ppb以下であり、とりわけ好ましくは45質量ppb以上1100質量ppb以下であり、とりわけより好ましくは50質量ppb以上1050質量ppb以下であり、とりわけ更に好ましくは65質量ppb以上1000質量ppb以下であり、とりわけ特に好ましくは75質量ppb以上950質量ppb以下である。
【0086】
(その他の成分)
本実施形態の発光素子用組成物は、ホスト材料と、ゲスト材料と、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤及び溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料とを含有する組成物であってもよい。但し、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料は、ホスト材料及びゲスト材料とは異なる。
本実施形態の発光素子用組成物が、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤及び溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含有する場合、これらに含まれるアルミニウム原子の量を、前述の精製により、低減しておくことが好ましい。
【0087】
[インク]
ホスト材料と、ゲスト材料と、溶媒とを含有する組成物(以下、「インク」と言う。)は、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の湿式法を用いた発光素子の作製に好適である。インクの粘度は、印刷法の種類によって調整すればよいが、好ましくは25℃において1〜20mPa・sである。
インクに含まれる溶媒は、好ましくは、インク中の固形分を溶解又は均一に分散できる溶媒である。溶媒としては、例えば、塩素系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、多価アルコール系溶媒、アルコール系溶媒、スルホキシド系溶媒、アミド系溶媒が挙げられる。
インクにおいて、溶媒の配合量は、ホスト材料とゲスト材料との合計を100質量部とした場合、通常、1000質量部〜100000質量部である。
溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0088】
[正孔輸送材料]
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、好ましくは架橋基を有する高分子化合物である。
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体;側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレン及びその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン及びトリニトロフルオレノン等の電子受容性部位が結合された化合物でもよい。
本実施形態の発光素子用組成物において、正孔輸送材料が含まれる場合、正孔輸送材料の配合量は、ホスト材料とゲスト材料との合計を100質量部とした場合、通常、1質量部〜400質量部である。
正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0089】
[電子輸送材料]
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレン及びジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、及び、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
本実施形態の発光素子用組成物において、電子輸送材料が含まれる場合、電子輸送材料の配合量は、ホスト材料とゲスト材料との合計を100質量部とした場合、通常、1〜400質量部である。
電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0090】
[正孔注入材料及び電子注入材料]
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料及び電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン及びポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
本実施形態の発光素子用組成物において、正孔注入材料及び/又は電子注入材料が含まれる場合、正孔注入材料及び電子注入材料の配合量は、各々、ホスト材料とゲスト材料との合計を100質量部とした場合、通常、1質量部〜400質量部である。
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0091】
・イオンドープ
正孔注入材料又は電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは1×10
−5S/cm〜1×10
3S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
ドープするイオンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0092】
[発光材料]
発光材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。発光材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、並びに、イリジウム、白金又はユーロピウムを中心金属とする三重項発光錯体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、フルオレンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、アントラセンジイル基及びピレンジイル基等のアリーレン基;芳香族アミンから2個の水素原子を取り除いてなる基等の芳香族アミン残基;並びに、カルバゾールジイル基、フェノキサジンジイル基及びフェノチアジンジイル基等の2価の複素環基を含む高分子化合物が挙げられる。
【0093】
本実施形態の発光素子用組成物において、発光材料が含まれる場合、発光材料の含有量は、ホスト材料とゲスト材料との合計を100質量部とした場合、通常、0.1質量部〜400質量部である。
発光材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0094】
[酸化防止剤]
酸化防止剤は、ホスト材料及びゲスト材料と同じ溶媒に可溶であり、発光及び電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
本実施形態の発光素子用組成物において、酸化防止剤が含まれる場合、酸化防止剤の配合量は、ホスト材料とゲスト材料との合計を100質量部とした場合、通常、0.001質量部〜10質量部である。
酸化防止剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0095】
<膜>
膜は、本実施形態の発光素子用組成物を含有するものであって、発光素子における発光層として好適である。膜は、例えば、インクを用いて、湿式法により作製することができる。また、膜は、例えば、真空蒸着法等の乾式法により作製することができる。膜を乾式法により作製する方法としては、例えば、本実施形態の発光素子用組成物を蒸着する方法、及び、ホスト材料とゲスト材料とを共蒸着する方法が挙げられる。
膜の厚さは、通常、1nm〜10μmである。
【0096】
<発光素子>
本実施形態の発光素子は、上述の発光素子用組成物を含有する。
本実施形態の発光素子の構成としては、例えば、陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極との間に設けられた本実施形態の発光素子用組成物を含有する有機層とを有する。
【0097】
[層構成]
本実施形態の発光素子用組成物を含有する層は、通常、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選ばれる1種以上の層であり、好ましくは、発光層である。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を含む。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を、上述した膜の作製と同様の方法を用いて形成することができる。
【0098】
発光素子は、陽極と陰極の間に発光層を有する。本実施形態の発光素子は、正孔注入性及び正孔輸送性の観点からは、陽極と発光層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも1層を有することが好ましく、電子注入性及び電子輸送性の観点からは、陰極と発光層の間に、電子注入層及び電子輸送層の少なくとも1層を有することが好ましい。
【0099】
正孔輸送層、電子輸送層、発光層、正孔注入層及び電子注入層の材料としては、本実施形態の発光素子用組成物の他、各々、上述した正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、正孔注入材料及び電子注入材料等が挙げられる。
【0100】
正孔輸送層の材料、電子輸送層の材料及び発光層の材料は、発光素子の作製において、各々、正孔輸送層、電子輸送層及び発光層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に溶解する場合、該溶媒に該材料が溶解することを回避するために、該材料が架橋基を有することが好ましい。架橋基を有する材料を用いて各層を形成した後、該架橋基を架橋させることにより、該層を不溶化させることができる。
【0101】
本実施形態の発光素子において、発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法等の乾式法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法等の湿式法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液又は溶融状態からの成膜による方法等の湿式法が挙げられる。積層する層の順番、数及び厚さは、例えば、発光効率及び長期劣化を勘案して調整する。
【0102】
[基板/電極]
発光素子における基板は、電極を形成することができ、かつ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板の場合には、基板から最も遠くにある電極が透明又は半透明であることが好ましい。
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイト及びグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
陽極及び陰極は、各々、2層以上の積層構造としてもよい。
【0103】
本実施形態の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の光源、照明用の光源、有機EL照明、コンピュータ、テレビ及び携帯端末等の表示装置(例えば、有機ELディスプレイ及び有機ELテレビ)として好適に用いることができる。
【0104】
以上、本発明の好適な一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0105】
例えば、本発明の一側面は、ホスト材料とゲスト材料とが配合された発光素子用組成物の製造方法に関するものであってよい。
【0106】
<製造方法(1)>
一態様において、発光素子用組成物の製造方法は、縮合環含有芳香族化合物を含むホスト材料を準備するホスト材料準備工程と、芳香族アミン化合物を含むゲスト材料を準備するゲスト材料準備工程と、ホスト材料とゲスト材料とを、ホスト材料に含まれるアルミニウム原子及びゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の総量が24質量ppb以上1200質量ppb以下となる配合比で混合して、発光素子用組成物を得る製造工程と、を含む、発光素子用組成物の製造方法(以下、「製造方法(1)」ともいう。)であってよい。
【0107】
製造方法(1)において、ホスト材料準備工程は、アルミニウム原子が混在した縮合環含有芳香族化合物を準備する工程(A−1)と、工程(A−1)で準備した縮合環含有芳香族化合物の少なくとも一部を精製して、アルミニウム原子の少なくとも一部を除去する工程(A−2)と、を含んでいてよい。
【0108】
製造方法(1)において、工程(A−1)で準備される縮合環含有芳香族化合物におけるアルミニウム原子の含有量は特に限定されず、例えば、1300質量ppb以上であってよく、1500質量ppb以上であってよく、5000質量ppb以上であってもよく、10000質量ppb以上であってもよく、50000質量ppb以上であってもよく、100000質量ppb以上であってもよく、500000質量ppb以上であってもよい。また、工程(A−1)で準備される縮合環含有芳香族化合物におけるアルミニウム原子の含有量の上限は特に限定されず、当該含有量は、例えば、100000000質量ppb以下であってよく、50000000質量ppb以下であってよく、10000000質量ppb以下であってよく、5000000質量ppb以下であってもよく、1000000質量ppb以下であってもよい。
【0109】
工程(A−2)における精製方法としては、上述の<C
1及びC
Hの低減方法>で例示した方法が挙げられる。
【0110】
工程(A−2)後の縮合環含有芳香族化合物におけるアルミニウム原子の含有量は、通常、0質量ppb以上130000質量ppb以下であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは100000質量ppb以下であり、より好ましくは50000質量ppb以下であり、更に好ましくは13000質量ppb以下であり、特に好ましくは10000質量ppb以下であり、とりわけ好ましくは7500質量ppb以下であり、とりわけより好ましくは5000質量ppb以下であり、とりわけ更に好ましくは2500質量ppb以下であり、とりわけ特に好ましくは1300質量ppb以下である。また、工程(A−2)後の縮合環含有芳香族化合物におけるアルミニウム原子の含有量は、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは0.01質量ppb以上であり、より好ましくは0.1質量ppb以上であり、更に好ましくは0.5質量ppb以上であり、特に好ましくは1質量ppb以上であり、とりわけ好ましくは5質量ppb以上であり、とりわけより好ましくは10質量ppb以上であり、とりわけ更に好ましくは20質量ppb以上であり、とりわけ特に好ましくは24質量ppb以上である。
【0111】
ゲスト材料準備工程は、アルミニウム原子が混在した芳香族アミン化合物を準備する準備工程(B−1)と、工程(B−1)で準備した芳香族アミン化合物の少なくとも一部を精製して、アルミニウム原子の少なくとも一部を除去する工程(B−2)と、を含んでいてよい。
【0112】
工程(B−1)で準備される芳香族アミン化合物におけるアルミニウム原子の含有量は特に限定されず、例えば、330質量ppb以上であってよく、500質量ppb以上であってもよく、1000質量ppb以上であってもよく、5000質量ppb以上であってもよく、10000質量ppb以上であってもよく、50000質量ppb以上であってもよく、100000質量ppb以上であってもよい。また、工程(B−1)で準備される芳香族アミン化合物におけるアルミニウム原子の含有量の上限は特に限定されず、当該含有量は、例えば、100000000質量ppb以下であってよく、50000000質量ppb以下であってよく、10000000質量ppb以下であってよく、5000000質量ppb以下であってもよく、1000000質量ppb以下であってもよく、500000質量ppb以下であってもよい。
【0113】
工程(B−2)における精製方法としては、上述の<C
1及びC
Hの低減方法>で例示した方法が挙げられる。
【0114】
工程(B−2)後の芳香族アミン化合物におけるアルミニウム原子の含有量は、通常、0質量ppb以上33000質量ppb以下であり、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは3300質量ppb以下であり、より好ましくは330質量ppb以下であり、更に好ましくは315質量ppb以下であり、特に好ましくは300質量ppb以下であり、とりわけ好ましくは250質量ppb以下であり、とりわけより好ましくは200質量ppb以下であり、とりわけ更に好ましくは150質量ppb以下であり、とりわけ特に好ましくは110質量ppb以下である。また、工程(B−2)後の芳香族アミン化合物におけるアルミニウム原子の含有量は、本実施形態の発光素子の長期劣化がより抑制されるので、好ましくは0.01質量ppb以上であり、より好ましくは0.1質量ppb以上であり、更に好ましくは0.5質量ppb以上であり、特に好ましくは1質量ppb以上であり、とりわけ好ましくは3質量ppb以上であり、とりわけより好ましくは5質量ppb以上であり、とりわけ更に好ましくは7質量ppb以上であり、とりわけ特に好ましくは10質量ppb以上である。
【0115】
製造方法(1)において、製造工程では、ホスト材料に含まれるアルミニウム原子の量及びゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の量を考慮して、両者の総量が24質量ppb以上1200質量ppb以下となる配合比で、ホスト材料及びゲスト材料を混合する。これにより、発光素子の長期劣化を抑制可能な発光素子用組成物を得ることができる。
製造方法(1)の製造工程において、ホスト材料及びゲスト材料を混合する方法は、特に限定されないが、例えば、ホスト材料及びゲスト材料を上述のインクの項で説明した溶媒に溶解させて混合する方法、ホスト材料とゲスト材料とを固体状態で混合する方法、及び、ホスト材料とゲスト材料とを共蒸着により混合する方法等が挙げられる。
【0116】
製造方法(1)は、縮合環含有芳香族化合物に含まれるアルミニウム原子の含有量を測定するホスト材料測定工程を更に含んでいてもよい。製造方法(1)は、芳香族アミン化合物に含まれるアルミニウム原子の含有量を測定するゲスト材料測定工程を更に含んでいてもよい。製造方法(1)は、ホスト材料測定工程とゲスト材料測定工程とを含むことが好ましい。ホスト材料測定工程及びゲスト材料測定工程において、アルミニウム原子の含有量を測定する方法は、ICP/MS法が好ましい。
製造方法(1)において、ホスト材料測定工程及びゲスト材料測定工程は、製造工程より前に実施することが好ましい。
製造方法(1)において、ホスト材料準備工程は、ホスト材料測定工程を含むことが好ましい。製造方法(1)において、ゲスト材料準備工程は、ゲスト材料測定工程を含むことが好ましい。
【0117】
<製造方法(2)>
他の一態様において、発光素子用組成物の製造方法は、縮合環含有芳香族化合物を含むホスト材料を準備するホスト材料準備工程と、ホスト材料に対するゲスト材料の配合比を決定する決定工程と、芳香族アミン化合物を含み、上記配合比でホスト材料と混合したときホスト材料及びゲスト材料の総量に対するホスト材料に含まれるアルミニウム原子及びゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の総量が24質量ppb以上1200質量ppb以下となる、ゲスト材料を準備するゲスト材料準備工程と、ホスト材料とゲスト材料とを配合比で混合して、発光素子用組成物を得る製造工程と、を含む、発光素子用組成物の製造方法(以下、「製造方法(2)」ともいう。)であってよい。
【0118】
製造方法(2)において、ホスト材料準備工程は、アルミニウム原子が混在した縮合環含有芳香族化合物を準備する工程(A−1)と、工程(A−1)で準備した縮合環含有芳香族化合物の少なくとも一部を精製して、アルミニウム原子の少なくとも一部を除去する工程(A−2)と、を含んでいてよい。製造方法(2)における工程(A−1)及び工程(A−2)は、上述の製造方法(1)における工程(A−1)及び工程(A−2)と同様の工程であってよい。
【0119】
製造方法(2)において、決定工程では、発光素子の特性等に応じて、配合比を決定してよい。決定工程では、例えば、上述のホスト材料及びゲスト材料と類似の材料を用いた試験用組成物による発光素子の作製結果に基づいて配合比を決定してよく、アルミニウム原子の含有量が1200質量ppbを超える試験用組成物による発光素子の作製結果に基づいて配合比を決定してもよい。
【0120】
製造方法(2)において、ゲスト材料準備工程では、ホスト材料準備工程で準備されたホスト材料中のアルミニウム原子の含有量、及び、決定工程で決定された配合比によって、ゲスト材料に許容されるアルミニウム原子の含有量が決定される。すなわち、ゲスト材料準備工程では、アルミニウム原子の含有量が許容範囲内のゲスト材料を準備する工程ということができる。
【0121】
製造方法(2)において、ゲスト材料準備工程は、例えば、アルミニウム原子が混在した芳香族アミン化合物を準備する準備工程(B−1)と、工程(B−1)で準備した芳香族アミン化合物の少なくとも一部を精製して、アルミニウム原子の少なくとも一部を除去する工程(B−2)と、を含んでいてよい。製造方法(2)における工程(B−1)及び工程(B−2)は、上述の製造方法(1)における工程(B−1)及び工程(B−2)と同様の工程であってよい。
【0122】
製造方法(2)において、製造工程では、ホスト材料準備工程で準備されたホスト材料、及び、ゲスト材料準備工程で準備されたゲスト材料を、決定工程で決定された配合比で混合する。これにより、発光素子の長期劣化を抑制可能な発光素子用組成物を得ることができる。
製造方法(2)の製造工程におけるホスト材料及びゲスト材料を混合する方法は、製造方法(1)の製造工程におけるホスト材料及びゲスト材料を混合する方法と同様の方法であってよい。
【0123】
製造方法(2)は、前述のホスト材料測定工程を更に含んでいてもよい。製造方法(2)は、前述のゲスト材料測定工程を更に含んでいてもよい。製造方法(2)は、前述のホスト材料測定工程と前述のゲスト材料測定工程とを含むことが好ましい。
製造方法(2)において、前述のホスト材料測定工程及び前述のゲスト材料測定工程は、製造工程より前に実施することが好ましい。
製造方法(2)において、ホスト材料準備工程は、前述のホスト材料測定工程を含むことが好ましい。製造方法(2)において、ゲスト材料準備工程は、前述のゲスト材料測定工程を含むことが好ましい。
【0124】
<製造方法(3)>
更に他の一態様において、発光素子用組成物の製造方法は、芳香族アミン化合物を含むゲスト材料を準備するゲスト材料準備工程と、ゲスト材料に対するホスト材料の配合比を決定する決定工程と、縮合環含有芳香族化合物を含み、上記配合比でゲスト材料と混合したときホスト材料及びゲスト材料の総量に対するホスト材料に含まれるアルミニウム原子及びゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の総量が24質量ppb以上1200質量ppb以下となる、ホスト材料を準備するホスト材料準備工程と、ゲスト材料とホスト材料とを上記配合比で混合して、発光素子用組成物を得る製造工程と、を含む、発光素子用組成物の製造方法(以下、「製造方法(3)」ともいう。)であってよい。
【0125】
製造方法(3)において、ゲスト材料準備工程は、アルミニウム原子が混在した芳香族アミン化合物を準備する工程(B−1)と、工程(B−1)で準備した芳香族アミン化合物の少なくとも一部を精製して、アルミニウム原子の少なくとも一部を除去する工程(B−2)と、を含んでいてよい。製造方法(3)における工程(B−1)及び工程(B−2)は、上述の製造方法(1)における工程(B−1)及び工程(B−2)と同様の工程であってよい。
【0126】
製造方法(3)において、決定工程では、発光素子の特性等に応じて、配合比を決定してよい。決定工程では、例えば、上述のホスト材料及びゲスト材料と類似の材料を用いた試験用組成物による発光素子の作製結果に基づいて配合比を決定してよく、アルミニウム原子の含有量が1200質量ppbを超える試験用組成物による発光素子の作製結果に基づいて配合比を決定してもよい。
【0127】
製造方法(3)において、ホスト材料準備工程では、ゲスト材料準備工程で準備されたゲスト材料中のアルミニウム原子の含有量、及び、決定工程で決定された配合比によって、ホスト材料に許容されるアルミニウム原子の含有量が決定される。すなわち、ホスト材料準備工程では、アルミニウム原子の含有量が許容範囲内のホスト材料を準備する工程ということができる。
【0128】
製造方法(3)において、ホスト材料準備工程は、例えば、アルミニウム原子が混在した縮合環含有芳香族化合物を準備する準備工程(A−1)と、工程(A−1)で準備した縮合環含有芳香族化合物の少なくとも一部を精製して、アルミニウム原子の少なくとも一部を除去する工程(A−2)と、を含んでいてよい。製造方法(3)における工程(A−1)及び工程(A−2)は、上述の製造方法(1)における工程(A−1)及び工程(A−2)と同様の工程であってよい。
【0129】
製造方法(3)において、製造工程では、ゲスト材料準備工程で準備されたゲスト材料、及び、ホスト材料準備工程で準備されたホスト材料を、決定工程で決定された配合比で混合する。これにより、発光素子の長期劣化を抑制可能な発光素子用組成物を得ることができる。
製造方法(3)の製造工程におけるホスト材料及びゲスト材料を混合する方法は、製造方法(1)の製造工程におけるホスト材料及びゲスト材料を混合する方法と同様の方法であってよい。
【0130】
製造方法(3)は、前述のホスト材料測定工程を更に含んでいてもよい。製造方法(3)は、前述のゲスト材料測定工程を更に含んでいてもよい。製造方法(3)は、前述のホスト材料測定工程と前述のゲスト材料測定工程とを含むことが好ましい。
製造方法(3)において、前述のホスト材料測定工程及び前述のゲスト材料測定工程は、製造工程より前に実施することが好ましい。
製造方法(3)において、ホスト材料準備工程は、前述のホスト材料測定工程を含むことが好ましい。製造方法(3)において、ゲスト材料準備工程は、前述のゲスト材料測定工程を含むことが好ましい。
【0131】
<製造方法(4)>
更に他の一態様において、発光素子用組成物の製造方法は、ホスト材料として縮合環含有芳香族化合物を準備するホスト材料準備工程と、ゲスト材料として芳香族アミン化合物を準備するゲスト材料準備工程と、ホスト材料とゲスト材料との配合比を決定する決定工程と、上記配合比でホスト材料とゲスト材料とを混合したとき、ホスト材料及びゲスト材料の総量に対するホスト材料に含まれるアルミニウム原子及びゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の総量が24質量ppb以上1200質量ppb以下となるように、縮合環含有芳香族化合物及び芳香族アミン化合物の少なくとも一部を精製する精製工程と、縮合環含有芳香族化合物を含むホスト材料と芳香族アミン化合物を含むゲスト材料とを上記配合比で混合して、発光素子用組成物を得る製造工程と、を含む、発光素子用組成物の製造方法(以下、「製造方法(4)」ともいう。)であってよい。
【0132】
製造方法(4)では、ホスト材料準備工程で準備される縮合環含有芳香族化合物、及び、ゲスト材料準備工程で準備される芳香族アミン化合物のうち、少なくとも一方にアルミニウム原子が混在されていてよい。すなわち、ホスト材料準備工程がアルミニウム原子が混在した縮合環含有芳香族化合物を準備する工程であるか、又は、ゲスト材料準備工程がアルミニウム原子が混在した芳香族アミン化合物を準備する工程であってよい。
【0133】
製造方法(4)において、決定工程では、発光素子の特性等に応じて、配合比を決定してよい。決定工程では、例えば、上述のホスト材料及びゲスト材料と類似の材料を用いた試験用組成物による発光素子の作製結果に基づいて配合比を決定してよく、アルミニウム原子の含有量が1200質量ppbを超える試験用組成物による発光素子の作製結果に基づいて配合比を決定してよく、ホスト材料準備工程及びゲスト材料準備工程で準備した縮合環含有芳香族化合物及び芳香族アミン化合物を混合した試験用組成物による発光素子の作製結果に基づいて配合比を決定してもよい。
【0134】
製造方法(4)において、精製工程では、縮合環含有芳香族化合物及び芳香族アミン化合物の少なくとも一部を精製する。精製方法としては、上述の<C
1及びC
Hの低減方法>で例示した方法が挙げられる。精製工程は、縮合環含有芳香族化合物及び芳香族アミン化合物のうち一方のみを精製する工程であってよく、縮合環含有芳香族化合物及び芳香族アミン化合物の両方を精製する工程であってもよい。
【0135】
製造方法(4)において、製造工程では、縮合環含有芳香族化合物及び芳香族アミン化合物を、決定工程で決定された配合比で混合する。このとき、精製工程を経ているため、ホスト材料及びゲスト材料の総量に対するホスト材料に含まれるアルミニウム原子及びゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の総量が、24質量ppb以上1200質量ppb以下となる。これにより、発光素子の長期劣化を抑制可能な発光素子用組成物を得ることができる。
製造方法(4)の製造工程におけるホスト材料及びゲスト材料を混合する方法は、製造方法(1)の製造工程におけるホスト材料及びゲスト材料を混合する方法と同様の方法であってよい。
【0136】
製造方法(4)は、前述のホスト材料測定工程を更に含んでいてもよい。製造方法(4)は、前述のゲスト材料測定工程を更に含んでいてもよい。製造方法(4)は、前述のホスト材料測定工程と前述のゲスト材料測定工程とを含むことが好ましい。
製造方法(4)において、前述のホスト材料測定工程及び前述のゲスト材料測定工程は、製造工程より前に実施することが好ましい。
製造方法(4)において、ホスト材料準備工程又は精製工程は、前述のホスト材料測定工程を含むことが好ましい。製造方法(2)において、ゲスト材料準備工程又は精製工程は、前述のゲスト材料測定工程を含むことが好ましい。
【0137】
本発明の他の一側面は、発光素子の製造方法に関する。この製造方法は、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた有機層とを含む発光素子の製造方法であって、上記製造方法(1)〜(4)のいずれかにより製造された発光素子用組成物により、有機層を形成させる工程を含む、発光素子の製造方法であってよい。
本実施形態の発光素子の製造方法において、有機層の形成方法としては、例えば、上述した膜の作製と同じ方法を用いて形成することができる。
また、本実施形態の発光素子の製造方法において、上述した<発光素子>の項で説明した製造方法を用いてもよい。
また、本実施形態の発光素子の製造方法における発光素子としては、例えば、上述した<発光素子>の項で説明した発光素子が挙げられる。
【実施例】
【0138】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0139】
本実施例において、化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長は、分光光度計(日本分光株式会社製、FP−6500)により室温にて測定した。化合物をキシレンに、約0.8×10
−4質量%の濃度で溶解させたキシレン溶液を試料として用いた。励起光としては、波長325nmのUV光を用いた。
【0140】
本実施例において、化合物に含まれるアルミニウム原子の量は、ICP/MASS法により測定した。
【0141】
<化合物H1及び化合物EM1>
化合物H1は特開2011−105643号公報に記載の方法に準じて合成した。
化合物EM1は国際公開第2011/137922号に記載の方法に準じて合成した。
【0142】
【化9】
【0143】
化合物H1のHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。また、化合物H1に含まれるアルミニウム原子の量(C
H)は1300質量ppbであった。
化合物EM1のHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。また、化合物EM1に含まれるアルミニウム原子の量(C
1)は330質量ppbであった。
【0144】
<化合物H1の精製(化合物H2の合成)>
化合物H1の昇華精製を繰り返し行うことにより、化合物H2を得た。なお、昇華精製の際は、真空度を3×10
−3Pa〜5×10
−3Paとし、昇華温度を250℃〜300℃とした。
化合物H2のHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。また、化合物H2に含まれるアルミニウム原子の量(C
H)は24質量ppbであった。
【0145】
<化合物EM1の精製(化合物EM2の合成)>
化合物EM1の昇華精製を繰り返し行うことにより、化合物EM2を得た。なお、昇華精製の際は、真空度を3×10
−3Pa〜5×10
−3Paとし、昇華温度を250℃〜300℃とした。
化合物EM2のHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。また、化合物EM2に含まれるアルミニウム原子の量(C
1)は10質量ppbであった。
【0146】
化合物H1及びH2の発光スペクトルの最大ピーク波長は、421nmであった。化合物EM1及びEM2の発光スペクトルの最大ピーク波長は、454nmであった。
【0147】
<実施例D1> 発光素子D1の作製と評価
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚さでITO膜を付けることにより、陽極を形成した。該陽極上に、正孔注入材料であるND−3202(日産化学工業製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜した。正孔注入層を積層した基板を大気雰囲気下において、ホットプレート上で50℃、3分間加熱し、更に、230℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0148】
(正孔輸送層の形成)
キシレンに高分子化合物HTL−1を0.7質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより、正孔輸送層を形成した。なお、高分子化合物HTL−1は、国際公報第2014/102543号のポリマー実施例1の高分子化合物である。
【0149】
(発光層の形成)
トルエンに、化合物H2、化合物EM2及び化合物EM1(化合物H2/化合物EM2/化合物EM1=90質量%/9質量%/1質量%)を2質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより、発光層を形成した。
【0150】
(陰極の形成)
発光層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10
-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子D1を作製した。
【0151】
(発光素子の評価)
発光素子D1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。初期輝度が5000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(以下、「LT50」ともいう。)を測定した。
【0152】
<実施例D2〜D8及び比較例CD1〜CD2> 発光素子D2〜D8及びCD1〜CD2の作製と評価
実施例D1の(発光層の形成)における「化合物H2、化合物EM2及び化合物EM1(化合物H2/化合物EM2/化合物EM1=90質量%/9質量%/1質量%)」に代えて、表1に記載の材料を表1に記載の材料比で用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D2〜D8及びCD1〜CD2を作製した。
発光素子D2〜D8及びCD1〜CD2に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D2〜D8及びCD1〜CD2のLT50を測定した。
【0153】
実施例D1〜D8及び比較例CD1〜CD2の結果を表1に示す。発光素子CD2のLT50を1.0としたときの発光素子D1〜D8及びCD1のLT50の相対値を示す。
【0154】
【表1】
【解決手段】ホスト材料とゲスト材料とが配合された発光素子用組成物であり、前記ホスト材料が、ベンゼン環のみが3個以上縮合した縮合環骨格を有する芳香族化合物を含み、前記ゲスト材料が、芳香族アミン化合物を含み、前記ホスト材料に含まれるアルミニウム原子及び前記ゲスト材料に含まれるアルミニウム原子の総量が、前記ホスト材料及び前記ゲスト材料の総量に対して、24質量ppb以上1200質量ppb以下である、発光素子用組成物。